JP3068252B2 - 反射防止膜を有する光学部材 - Google Patents
反射防止膜を有する光学部材Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は反射防止膜を有する光学
部材に関する。
部材に関する。
【０００２】
【従来の技術】合成樹脂からなる光学部材の表面反射特
性を改善するために合成樹脂の表面上に反射防止膜を施
すこと、またその反射防止膜の耐擦傷性を向上させるた
めに合成樹脂と反射防止膜との間に下地層を介在させる
ことがよく知られている。この下地層を介在させている
例として、例えば特開昭５６−１１６００３号公報（以
下、「公報１」という。）、特開平２−２９１５０２号
公報（以下、「公報２」という。）にはＳｉＯ2 のみか
らなる下地層が、また特開昭５６−６６８０２号公報
（以下「公報３」という。）には屈折率が１．５４でＳ
ｉＯ2 とＡｌ2 Ｏ3 を混合してなる下地層を施した合成
樹脂製光学部材が開示されている。
性を改善するために合成樹脂の表面上に反射防止膜を施
すこと、またその反射防止膜の耐擦傷性を向上させるた
めに合成樹脂と反射防止膜との間に下地層を介在させる
ことがよく知られている。この下地層を介在させている
例として、例えば特開昭５６−１１６００３号公報（以
下、「公報１」という。）、特開平２−２９１５０２号
公報（以下、「公報２」という。）にはＳｉＯ2 のみか
らなる下地層が、また特開昭５６−６６８０２号公報
（以下「公報３」という。）には屈折率が１．５４でＳ
ｉＯ2 とＡｌ2 Ｏ3 を混合してなる下地層を施した合成
樹脂製光学部材が開示されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】公報１、２に開示され
ているＳｉＯ2 のみからなる下地層を施した合成樹脂製
光学部材、公報３に開示されている屈折率が１．５４で
ＳｉＯ2 とＡｌ2 Ｏ3 を混合してなる下地層を施した合
成樹脂製光学部材はガラス製基板のように蒸着時の基板
温度を高くして成膜することができないため、下地層が
経時的に耐熱温度の低下する程度が大きいという特性を
有する。その影響で下地層の上に施される反射防止膜も
経時的に耐熱温度の低下する程度が大きくなるという問
題を有する。この問題は例えば、以下に記す不都合が生
じる。眼鏡装用者はサウナの中で眼鏡を装用したり、ま
た自動車の中に眼鏡を置いたまま自動車の外に出ること
がよくある。このような高温の条件下で公報１〜３に開
示されている光学部材を眼鏡用レンズとして使用する場
合、前記光学部材を作製して４ケ月ぐらいで反射防止膜
にひび割れが生じやすくなる。本発明は上述した不都合
を解決するためになされ、その目的は基板が合成樹脂の
ように、蒸着時の基板温度を低くしなければならない場
合でも、経時的に耐熱温度の低下する程度が小さくなる
反射防止膜を有する光学部材を提供することにある。
ているＳｉＯ2 のみからなる下地層を施した合成樹脂製
光学部材、公報３に開示されている屈折率が１．５４で
ＳｉＯ2 とＡｌ2 Ｏ3 を混合してなる下地層を施した合
成樹脂製光学部材はガラス製基板のように蒸着時の基板
温度を高くして成膜することができないため、下地層が
経時的に耐熱温度の低下する程度が大きいという特性を
有する。その影響で下地層の上に施される反射防止膜も
経時的に耐熱温度の低下する程度が大きくなるという問
題を有する。この問題は例えば、以下に記す不都合が生
じる。眼鏡装用者はサウナの中で眼鏡を装用したり、ま
た自動車の中に眼鏡を置いたまま自動車の外に出ること
がよくある。このような高温の条件下で公報１〜３に開
示されている光学部材を眼鏡用レンズとして使用する場
合、前記光学部材を作製して４ケ月ぐらいで反射防止膜
にひび割れが生じやすくなる。本発明は上述した不都合
を解決するためになされ、その目的は基板が合成樹脂の
ように、蒸着時の基板温度を低くしなければならない場
合でも、経時的に耐熱温度の低下する程度が小さくなる
反射防止膜を有する光学部材を提供することにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】上述した目的は、以下に
記す発明によって達成された。その発明は、合成樹脂上
に下地層と反射防止膜とを有する光学部材であって、前
記下地層は、ＳｉＯ2とＡｌ2 Ｏ3 を必須成分とし、Ｔ
ａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 、ＴｉＯ2 、ＺｒＯ2 を任意成分と
する混合物のみから構成され、さらに前記下地層の屈折
率の範囲が１．４８〜１．５２であることを特徴とする
反射防止膜を有する光学部材である。
記す発明によって達成された。その発明は、合成樹脂上
に下地層と反射防止膜とを有する光学部材であって、前
記下地層は、ＳｉＯ2とＡｌ2 Ｏ3 を必須成分とし、Ｔ
ａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 、ＴｉＯ2 、ＺｒＯ2 を任意成分と
する混合物のみから構成され、さらに前記下地層の屈折
率の範囲が１．４８〜１．５２であることを特徴とする
反射防止膜を有する光学部材である。
【０００５】以下、本発明について詳細に説明する。下
地層の屈折率の範囲を１．４８〜１．５２とし、さらに
膜素材の必須成分をＳｉＯ2 とＡｌ2 Ｏ3 に特定するこ
とによって従来の特性を損なわずに下地層の耐熱温度が
向上し、経時的な耐熱温度の低下の程度が小さくなる。
さらに、基板が合成樹脂のように蒸着時の基板温度を低
くしなければならない場合であっても、この下地層を施
すことによって、下地層の表面上に施された反射防止膜
全体の耐熱温度が向上し、経時的な耐熱温度の低下の程
度が小さくなることを本発明者は見い出した。
地層の屈折率の範囲を１．４８〜１．５２とし、さらに
膜素材の必須成分をＳｉＯ2 とＡｌ2 Ｏ3 に特定するこ
とによって従来の特性を損なわずに下地層の耐熱温度が
向上し、経時的な耐熱温度の低下の程度が小さくなる。
さらに、基板が合成樹脂のように蒸着時の基板温度を低
くしなければならない場合であっても、この下地層を施
すことによって、下地層の表面上に施された反射防止膜
全体の耐熱温度が向上し、経時的な耐熱温度の低下の程
度が小さくなることを本発明者は見い出した。
【０００６】上述した範囲外の下地層の屈折率、例えば
１．４８未満、１．５２を超える場合、また下地層の必
須成分がＳｉＯ2 とＡｌ2 Ｏ3 との混合物ではない場合
には、耐熱温度が向上せず、さらに経時的な耐熱温度の
低下の程度が小さくならないので好ましくない。
１．４８未満、１．５２を超える場合、また下地層の必
須成分がＳｉＯ2 とＡｌ2 Ｏ3 との混合物ではない場合
には、耐熱温度が向上せず、さらに経時的な耐熱温度の
低下の程度が小さくならないので好ましくない。
【０００７】本発明における下地層は、上述した効果を
損なわない程度でＴａ2 Ｏ5 、Ｙ2Ｏ3 、ＴｉＯ2 、Ｚ
ｒＯ2 を任意成分として混合することが可能である。ま
た下地層の膜厚の範囲は特に限定されないが、反射防止
膜のひび割れ（クラック）発生温度を高くさせるために
０．１２５λ〜０．８λ（λ＝５００ｎｍ）が特に好ま
しい。
損なわない程度でＴａ2 Ｏ5 、Ｙ2Ｏ3 、ＴｉＯ2 、Ｚ
ｒＯ2 を任意成分として混合することが可能である。ま
た下地層の膜厚の範囲は特に限定されないが、反射防止
膜のひび割れ（クラック）発生温度を高くさせるために
０．１２５λ〜０．８λ（λ＝５００ｎｍ）が特に好ま
しい。
【０００８】本発明における反射防止膜の膜構成は特に
限定されず、λ／４−λ／４の２層膜、λ／４−λ／４
−λ／４あるいはλ／４−λ／２−λ／４の３層膜、さ
らに４層以上の多層膜などを用いることができる。特に
好ましい膜構成は以下に記述する二つの反射防止膜が挙
げられる。その第１の反射防止膜（特許請求の範囲の欄
の請求項２に該当する。）は、下地層の表面から順にＴ
ａ2 Ｏ5 層と、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2 と
を含む混合層より構成される第１の低屈折率層；Ｔａ2
Ｏ5 層と、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2 とを含
む混合層と、Ｔａ2 Ｏ5 層より構成される高屈折率層；
ＳｉＯ2 層より構成される第２の屈折率層を積層して構
成されるものである。また第２の反射防止膜（特許請求
の範囲の欄の請求項３に該当する。）は、下地層の表面
から順にＴａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 及びＳｉＯ2 とを含む混
合層と、Ｔａ2 Ｏ5 層より構成される第１の低屈折率
層；Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2 とを含む混合
層と、Ｔａ2 Ｏ5 層と、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳ
ｉＯ2 とを含む混合層より構成される高屈折率層；Ｓｉ
Ｏ2 層より構成される第２の低屈折率層を積層して構成
されるものである。
限定されず、λ／４−λ／４の２層膜、λ／４−λ／４
−λ／４あるいはλ／４−λ／２−λ／４の３層膜、さ
らに４層以上の多層膜などを用いることができる。特に
好ましい膜構成は以下に記述する二つの反射防止膜が挙
げられる。その第１の反射防止膜（特許請求の範囲の欄
の請求項２に該当する。）は、下地層の表面から順にＴ
ａ2 Ｏ5 層と、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2 と
を含む混合層より構成される第１の低屈折率層；Ｔａ2
Ｏ5 層と、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2 とを含
む混合層と、Ｔａ2 Ｏ5 層より構成される高屈折率層；
ＳｉＯ2 層より構成される第２の屈折率層を積層して構
成されるものである。また第２の反射防止膜（特許請求
の範囲の欄の請求項３に該当する。）は、下地層の表面
から順にＴａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 及びＳｉＯ2 とを含む混
合層と、Ｔａ2 Ｏ5 層より構成される第１の低屈折率
層；Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2 とを含む混合
層と、Ｔａ2 Ｏ5 層と、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳ
ｉＯ2 とを含む混合層より構成される高屈折率層；Ｓｉ
Ｏ2 層より構成される第２の低屈折率層を積層して構成
されるものである。
【０００９】これらの反射防止膜が特に好ましい理由
は、これらの反射防止膜自体が良好な耐熱性を有し、さ
らに経時的な耐熱温度の低下の程度が小さいという特性
を有しているためである。本発明における下地層の上に
これらの反射防止膜を施すことによって耐熱性に優れ、
さらに経時的な耐熱温度の低下の程度が極めて小さい反
射防止膜を有する光学部材を得ることができる。
は、これらの反射防止膜自体が良好な耐熱性を有し、さ
らに経時的な耐熱温度の低下の程度が小さいという特性
を有しているためである。本発明における下地層の上に
これらの反射防止膜を施すことによって耐熱性に優れ、
さらに経時的な耐熱温度の低下の程度が極めて小さい反
射防止膜を有する光学部材を得ることができる。
【００１０】また他の特に好ましい反射防止膜の例とし
て、前述した下地層と同じ屈折率範囲、同じ膜素材から
なる層を反射防止膜の中に設けたものが挙げられる。
（特許請求の範囲の欄の請求項４に該当する。）この層
を反射防止膜の中に設けることにより、さらに反射防止
膜の耐熱性が向上し、経時的な耐熱温度の低下の程度が
小さくなる。
て、前述した下地層と同じ屈折率範囲、同じ膜素材から
なる層を反射防止膜の中に設けたものが挙げられる。
（特許請求の範囲の欄の請求項４に該当する。）この層
を反射防止膜の中に設けることにより、さらに反射防止
膜の耐熱性が向上し、経時的な耐熱温度の低下の程度が
小さくなる。
【００１１】本発明の光学部材に用いる合成樹脂として
は、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリ
レートと１種以上の他のモノマーとをモノマー成分とす
る共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカー
ボネートと１種以上の他のモノマーとをモノマー成分と
する共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン含有共重
合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリウレタンなどの重合体が挙げられる。
は、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリ
レートと１種以上の他のモノマーとをモノマー成分とす
る共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカー
ボネートと１種以上の他のモノマーとをモノマー成分と
する共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン含有共重
合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリウレタンなどの重合体が挙げられる。
【００１２】合成樹脂の上に下地層、反射防止膜を設け
る場合には、合成樹脂表面に有機ケイ素重合体を含むハ
ードコート層をディッピング法、スピンコート法等の塗
布法により成膜し、このハードコート層上に下地層およ
び反射防止膜を設けることが好ましい。なお、本発明の
反射防止膜を成膜するにあたっては、真空蒸着法の他、
同様の焼結体をターゲット材料とするスパッタリング法
や、イオンプレーティング法等の方法を用いることもで
きる。
る場合には、合成樹脂表面に有機ケイ素重合体を含むハ
ードコート層をディッピング法、スピンコート法等の塗
布法により成膜し、このハードコート層上に下地層およ
び反射防止膜を設けることが好ましい。なお、本発明の
反射防止膜を成膜するにあたっては、真空蒸着法の他、
同様の焼結体をターゲット材料とするスパッタリング法
や、イオンプレーティング法等の方法を用いることもで
きる。
【００１３】本発明の反射防止膜を有する光学部材は、
眼鏡レンズのほか、カメラ用レンズ、自動車の窓ガラ
ス、ワードプロセッサーのディスプレイに付設する光学
フィルターなどに使用することが可能である。
眼鏡レンズのほか、カメラ用レンズ、自動車の窓ガラ
ス、ワードプロセッサーのディスプレイに付設する光学
フィルターなどに使用することが可能である。
【００１４】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例及び比較例で得られた反射防止膜を有
する光学部材は、以下に示す試験方法により、諸物性を
測定した。
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例及び比較例で得られた反射防止膜を有
する光学部材は、以下に示す試験方法により、諸物性を
測定した。
【００１５】（ａ）耐擦傷性試験 ＃００００のスチールウールにより表面を往復回数で１
０回こすって耐擦傷性を次のように判定した。 Ａ：わずかに傷がつく Ｂ：多く傷がつく Ｃ：膜のはがれが生じる
０回こすって耐擦傷性を次のように判定した。 Ａ：わずかに傷がつく Ｂ：多く傷がつく Ｃ：膜のはがれが生じる
【００１６】（ｂ）密着性試験 ＪＩＳ−Ｚ−１５２２に従いゴバン目を１０×１０個作
りセロファン粘着テープにより剥離試験を３回行い、残
ったゴバン目の数を数えた。
りセロファン粘着テープにより剥離試験を３回行い、残
ったゴバン目の数を数えた。
【００１７】（ｃ）視感反射率（片面） 日立製作所製Ｕ３４１０型自記分光光度計を用い、視感
反射率を求めた。 （ｄ）耐熱性試験 蒸着膜形成直後の反射防止膜を有する光学部材をオーブ
ンに１時間入れて加熱し、クラックの発生の有無を調べ
た。加熱温度は、５０℃より始め、５℃づつ上げて、ク
ラックが発生する温度を調べた。
反射率を求めた。 （ｄ）耐熱性試験 蒸着膜形成直後の反射防止膜を有する光学部材をオーブ
ンに１時間入れて加熱し、クラックの発生の有無を調べ
た。加熱温度は、５０℃より始め、５℃づつ上げて、ク
ラックが発生する温度を調べた。
【００１８】（ｅ）経時的な耐熱性試験 蒸着形成直後の反射防止膜を有する光学部材を４ケ月間
屋外暴露を行い、その後、前記した耐熱性試験と同じ方
法により評価を行った。
屋外暴露を行い、その後、前記した耐熱性試験と同じ方
法により評価を行った。
【００１９】（ｆ）耐酸性試験 ２０℃、１０％塩酸水溶液に１時間浸漬した後、耐酸性
を次のように判定した。 ○：浸漬前と変化せず ×：反射防止膜にはがれが生じる
を次のように判定した。 ○：浸漬前と変化せず ×：反射防止膜にはがれが生じる
【００２０】（ｇ）耐アルカリ性試験 ２０℃、１０％水酸化ナトリウム水溶液に１時間浸漬し
た後、耐アルカリ性を次のように判定した。 ○：浸漬前と変化せず ×：反射防止膜にはがれが生じる
た後、耐アルカリ性を次のように判定した。 ○：浸漬前と変化せず ×：反射防止膜にはがれが生じる
【００２１】実施例１ まず反射防止膜を設ける合成樹脂として、ジエチレング
ルコールビスアリルカーボネートを主成分とし、紫外線
吸収剤として２−ヒドロキシ−４−ｎ−オプトキシベン
ゾフェノンを、前者／後者の重量比が９９．９７／０．
０３となるように含有する、屈折率が１．４９９のプラ
スチックレンズを用意した。
ルコールビスアリルカーボネートを主成分とし、紫外線
吸収剤として２−ヒドロキシ−４−ｎ−オプトキシベン
ゾフェノンを、前者／後者の重量比が９９．９７／０．
０３となるように含有する、屈折率が１．４９９のプラ
スチックレンズを用意した。
【００２２】（ｉ）ハードコート層（ｎｄ１．５０）の
形成 前記プラスチックレンズを、８０モル％のコロイダルシ
リカと２０モル％のγ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランを含有するコーティング液に浸漬し、その後
硬化してハードコート層を設けた。
形成 前記プラスチックレンズを、８０モル％のコロイダルシ
リカと２０モル％のγ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランを含有するコーティング液に浸漬し、その後
硬化してハードコート層を設けた。
【００２３】（ｉｉ）下地層および反射防止膜の形成 前記ハードコート層を有するプラスチックレンズを８０
℃に加熱し、前記ハードコート層の上に真空蒸着法（真
空度２×１０-5Ｔｏｒｒ）によりＳｉＯ2 とＡｌ2 Ｏ3
からなる下地層〔屈折率１．５１、膜厚０．６λ（λ＝
５００ｎｍ）〕を形成した。次に、前記下地層の上にＴ
ａ2 Ｏ5 層（屈折率２．０５、膜厚０．０６λ）と、Ｔ
ａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2 からなる混合層（屈
折率１．６１、膜厚０．１１λ）よりなる第１の低屈折
率層を形成した。この第１の低屈折率層の上にＴａ2 Ｏ
5 層（屈折率２．０５、膜厚０．０５λ）と、Ｔａ2 Ｏ
5、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2 からなる混合層（屈折率
１．６１、膜厚０．０５λ）と、Ｔａ2 Ｏ5 層（屈折率
２．０５、膜厚０．１５λ）よりなる高屈折率層を形成
し、さらにこの高屈折率層の上にＳｉＯ2 からなる第２
の低屈折率層（屈折率１．４６、膜厚０．２５λ）を形
成して、反射防止膜付きプラスチックレンズを得た。
尚、前記第１の低屈折率層から第２の低屈折率層は前記
下地層を形成した同様の真空蒸着法により形成した。
℃に加熱し、前記ハードコート層の上に真空蒸着法（真
空度２×１０-5Ｔｏｒｒ）によりＳｉＯ2 とＡｌ2 Ｏ3
からなる下地層〔屈折率１．５１、膜厚０．６λ（λ＝
５００ｎｍ）〕を形成した。次に、前記下地層の上にＴ
ａ2 Ｏ5 層（屈折率２．０５、膜厚０．０６λ）と、Ｔ
ａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2 からなる混合層（屈
折率１．６１、膜厚０．１１λ）よりなる第１の低屈折
率層を形成した。この第１の低屈折率層の上にＴａ2 Ｏ
5 層（屈折率２．０５、膜厚０．０５λ）と、Ｔａ2 Ｏ
5、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2 からなる混合層（屈折率
１．６１、膜厚０．０５λ）と、Ｔａ2 Ｏ5 層（屈折率
２．０５、膜厚０．１５λ）よりなる高屈折率層を形成
し、さらにこの高屈折率層の上にＳｉＯ2 からなる第２
の低屈折率層（屈折率１．４６、膜厚０．２５λ）を形
成して、反射防止膜付きプラスチックレンズを得た。
尚、前記第１の低屈折率層から第２の低屈折率層は前記
下地層を形成した同様の真空蒸着法により形成した。
【００２４】実施例１は特許請求の範囲の欄の請求項２
に該当するものである。
に該当するものである。
【００２５】得られた反射防止膜付きプラスチックレン
ズの評価結果を表２に示す。表２に示されるように実施
例１の反射防止膜付きプラスチックレンズは耐擦傷性、
密着性、耐酸性、耐アルカリ性に優れ、さらにクラック
発生温度が１００℃と高く、また４ケ月間屋外暴露を行
った後のクラック発生温度が９５℃と経時的な耐熱温度
の低下の程度が小さいものであった。
ズの評価結果を表２に示す。表２に示されるように実施
例１の反射防止膜付きプラスチックレンズは耐擦傷性、
密着性、耐酸性、耐アルカリ性に優れ、さらにクラック
発生温度が１００℃と高く、また４ケ月間屋外暴露を行
った後のクラック発生温度が９５℃と経時的な耐熱温度
の低下の程度が小さいものであった。
【００２６】比較例１−１、比較例１−２ 実施例１の比較として二つの比較例を挙げる。表１に示
すように下地層を本発明の範囲外である屈折率１．４７
（比較例１−１）、１．５４（比較例１−２）にした以
外はすべて実施例１と同様にして反射防止膜を作製し
た。評価結果を表２に示す。表２に示されるように比較
例１−１の反射防止膜付きプラスチックレンズのクラッ
ク発生温度が９０℃、４ケ月間屋外暴露を行った後のク
ラック発生温度が７０℃と、また比較例１−２の反射防
止膜付きプラスチックレンズのクラック発生温度が９０
℃、４ケ月間屋外暴露を行った後のクラック発生温度が
７５℃と実施例１の反射防止膜付きプラスチックレンズ
と比べ耐熱性が小さく、経時的なクラック発生温度の低
下の程度が大きいものであった。
すように下地層を本発明の範囲外である屈折率１．４７
（比較例１−１）、１．５４（比較例１−２）にした以
外はすべて実施例１と同様にして反射防止膜を作製し
た。評価結果を表２に示す。表２に示されるように比較
例１−１の反射防止膜付きプラスチックレンズのクラッ
ク発生温度が９０℃、４ケ月間屋外暴露を行った後のク
ラック発生温度が７０℃と、また比較例１−２の反射防
止膜付きプラスチックレンズのクラック発生温度が９０
℃、４ケ月間屋外暴露を行った後のクラック発生温度が
７５℃と実施例１の反射防止膜付きプラスチックレンズ
と比べ耐熱性が小さく、経時的なクラック発生温度の低
下の程度が大きいものであった。
【００２７】実施例２ 特許請求の範囲の欄の請求項３に該当する実施例として
実施例２を挙げる。膜構成を表３に示したようにし、さ
らに成膜条件を実施例１と同じにして反射防止膜付きプ
ラスチックレンズを得た。評価結果は表４に示されるよ
うにクラック発生温度が１００℃と優れ、さらに４ケ月
間屋外暴露を行った後のクラック発生温度が９５℃と経
時的な耐熱温度の低下の程度が小さいものであった。
実施例２を挙げる。膜構成を表３に示したようにし、さ
らに成膜条件を実施例１と同じにして反射防止膜付きプ
ラスチックレンズを得た。評価結果は表４に示されるよ
うにクラック発生温度が１００℃と優れ、さらに４ケ月
間屋外暴露を行った後のクラック発生温度が９５℃と経
時的な耐熱温度の低下の程度が小さいものであった。
【００２８】比較例２−１、比較例２−２ 実施例２の比較として比較例２−１、比較例２−２を挙
げる。下地層の屈折率を本発明の範囲外である１．４７
（比較例２−１）、１．５４（比較例２−２）にした以
外は実施例２と同様にして反射防止膜付きプラスチック
レンズを得た。評価結果は表４に示されるように実施例
２の反射防止膜付きプラスチックレンズと比べ耐熱性が
小さく、また経時的なクラック発生温度の低下の程度が
大きいものであった。
げる。下地層の屈折率を本発明の範囲外である１．４７
（比較例２−１）、１．５４（比較例２−２）にした以
外は実施例２と同様にして反射防止膜付きプラスチック
レンズを得た。評価結果は表４に示されるように実施例
２の反射防止膜付きプラスチックレンズと比べ耐熱性が
小さく、また経時的なクラック発生温度の低下の程度が
大きいものであった。
【００２９】実施例３ 特許請求の範囲の欄の請求項２に該当するもう一つの実
施例として実施例３を挙げる。膜構成を表５に示したよ
うにし、さらに成膜条件を実施例１と同じにして反射防
止膜付きプラスチックレンズを得た。評価結果は表６に
示されるようにクラック発生温度が１０５℃と耐熱性に
優れ、さらに４ケ月間屋外暴露を行った後のクラック発
生温度が１００℃と経時的な耐熱温度の低下の程度が小
さいものであった。
施例として実施例３を挙げる。膜構成を表５に示したよ
うにし、さらに成膜条件を実施例１と同じにして反射防
止膜付きプラスチックレンズを得た。評価結果は表６に
示されるようにクラック発生温度が１０５℃と耐熱性に
優れ、さらに４ケ月間屋外暴露を行った後のクラック発
生温度が１００℃と経時的な耐熱温度の低下の程度が小
さいものであった。
【００３０】比較例３−１、比較例３−２ 実施例３の比較として比較例３−１、比較例３−２を挙
げる。下地層の屈折率を本発明の範囲外である１．４７
（比較例３−１）、１．５４（比較例３−２）にした以
外は実施例３と同様にして反射防止膜付きプラスチック
レンズを得た。評価結果は表６に示されるように実施例
３の反射防止膜付きプラスチックレンズと比べ耐熱性が
小さく、また経時的なクラック発生温度の低下の程度が
大きいものであった。
げる。下地層の屈折率を本発明の範囲外である１．４７
（比較例３−１）、１．５４（比較例３−２）にした以
外は実施例３と同様にして反射防止膜付きプラスチック
レンズを得た。評価結果は表６に示されるように実施例
３の反射防止膜付きプラスチックレンズと比べ耐熱性が
小さく、また経時的なクラック発生温度の低下の程度が
大きいものであった。
【００３１】実施例４〜実施例６−２ 特許請求の範囲の欄の請求項４に該当する実施例として
四つの実施例を挙げる。膜構成を表７（実施例４）、表
９（実施例５）、表１１（実施例６−１、実施例６−
２）に示したようにし、さらに成膜条件を実施例１と同
じようにして反射防止膜付きプラスチックレンズを得
た。評価結果は表８（実施例４）、表１０（実施例
５）、表１２（実施例６−１、実施例６−２）に示され
るようにすべて経時的なクラック発生温度の低下の程度
が小さいものであった。
四つの実施例を挙げる。膜構成を表７（実施例４）、表
９（実施例５）、表１１（実施例６−１、実施例６−
２）に示したようにし、さらに成膜条件を実施例１と同
じようにして反射防止膜付きプラスチックレンズを得
た。評価結果は表８（実施例４）、表１０（実施例
５）、表１２（実施例６−１、実施例６−２）に示され
るようにすべて経時的なクラック発生温度の低下の程度
が小さいものであった。
【００３２】比較例４−１〜比較例６−２ 実施例４の比較として比較例４−１〜比較例４−４を、
実施例５の比較として比較例５−１〜比較例５−４を、
実施例６−１、実施例６−２の比較として比較例６−１
〜比較例６−３を挙げる。膜構成を表７（比較例４−１
〜比較例４−４）、表９（比較例５−１〜比較例５−
４）、表１１（比較例６−１〜比較例６−３）に示した
ようにし、さらに成膜条件を実施例１と同じようにして
反射防止膜付きプラスチックレンズを得た。評価結果は
表８（比較例４−１〜比較例４−４）、表１０（比較例
５−１〜比較例５−４）、表１２（比較例６−１〜比較
例６−３）に示されるように、比較例４−１〜比較例４
−４の反射防止膜付きプラスチックレンズは実施例４の
反射防止膜付きプラスチックレンズよりも、比較例５−
１〜比較例５−４の反射防止膜付きプラスチックレンズ
は実施例５の反射防止膜付きプラスチックレンズより
も、また比較例６−１〜比較例６−３の反射防止膜付き
プラスチックレンズは実施例６−１、実施例６−２の反
射防止膜付きプラスチックレンズよりも経時的なクラッ
ク発生温度の低下の程度が大きいものであった。
実施例５の比較として比較例５−１〜比較例５−４を、
実施例６−１、実施例６−２の比較として比較例６−１
〜比較例６−３を挙げる。膜構成を表７（比較例４−１
〜比較例４−４）、表９（比較例５−１〜比較例５−
４）、表１１（比較例６−１〜比較例６−３）に示した
ようにし、さらに成膜条件を実施例１と同じようにして
反射防止膜付きプラスチックレンズを得た。評価結果は
表８（比較例４−１〜比較例４−４）、表１０（比較例
５−１〜比較例５−４）、表１２（比較例６−１〜比較
例６−３）に示されるように、比較例４−１〜比較例４
−４の反射防止膜付きプラスチックレンズは実施例４の
反射防止膜付きプラスチックレンズよりも、比較例５−
１〜比較例５−４の反射防止膜付きプラスチックレンズ
は実施例５の反射防止膜付きプラスチックレンズより
も、また比較例６−１〜比較例６−３の反射防止膜付き
プラスチックレンズは実施例６−１、実施例６−２の反
射防止膜付きプラスチックレンズよりも経時的なクラッ
ク発生温度の低下の程度が大きいものであった。
【００３３】
【表１】
【００３４】
【表２】
【００３５】
【表３】
【００３６】
【表４】
【００３７】
【表５】
【００３８】
【表６】
【００３９】
【表７】
【００４０】
【表８】
【００４１】
【表９】
【００４２】
【表１０】
【００４３】
【表１１】
【００４４】
【表１２】
【００４５】
【発明の効果】本発明の反射防止膜を有する光学部材
は、プラスチック基板のように低い基板温度で成膜する
場合でも耐擦傷性、密着性、耐酸性、耐アルカリ性が良
好なばかりでなく、経時的な耐熱温度の低下が小さい。
したがって、本発明の光学部材は例えば、作製して長時
間保存する可能性のある眼鏡レンズに特に好適に用いる
ことができる。
は、プラスチック基板のように低い基板温度で成膜する
場合でも耐擦傷性、密着性、耐酸性、耐アルカリ性が良
好なばかりでなく、経時的な耐熱温度の低下が小さい。
したがって、本発明の光学部材は例えば、作製して長時
間保存する可能性のある眼鏡レンズに特に好適に用いる
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) G02B 1/10
Claims (7)
- 【請求項１】合成樹脂上に下地層と反射防止膜とを有す
る光学部材であって、前記下地層は、ＳｉＯ2 とＡｌ2
Ｏ3 を必須成分とし、Ｔａ 2 Ｏ 5 、Ｙ 2 Ｏ 3 、Ｔｉ
Ｏ 2 、ＺｒＯ 2 を任意成分とする混合物のみから構成さ
れ、さらに前記下地層の屈折率の範囲が１．４８〜１．
５２であることを特徴とする反射防止膜を有する光学部
材。 - 【請求項２】下地層の膜厚の範囲が０．１２５λ〜０．
８λ( λ＝５００ｎｍ) であることを特徴とする請求項
１記載の光学部材。 - 【請求項３】 前記反射防止膜は下地層の表面から順
に、Ｔａ2 Ｏ5 層と、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉ
Ｏ2 とを含む混合層より構成される第１の低屈折率層；
Ｔａ2 Ｏ5 層と、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2
とを含む混合層と、Ｔａ2 Ｏ5 層より構成される高屈折
率層；ＳｉＯ2 層より構成される第２の低屈折率層を積
層してなることを特徴とする請求項１記載の反射防止膜
を有する光学部材。 - 【請求項４】 前記反射防止膜は下地層の表面から順
に、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2Ｏ3 およびＳｉＯ2 とを含む混合
層と、Ｔａ2 Ｏ5 層より構成される第１の低屈折率層；
Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉＯ2 とを含む混合層
と、Ｔａ2 Ｏ5 層と、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｙ2 Ｏ3 およびＳｉ
Ｏ2 とを含む混合層より構成される高屈折率層；ＳｉＯ
2 層より構成される第２の低屈折率層を積層してなるこ
とを特徴とする請求項１記載の反射防止膜を有する光学
部材。 - 【請求項５】 前記反射防止膜はＳｉＯ2 とＡｌ2 Ｏ3
との混合層を有し、さらにその混合層の屈折率の範囲が
１．４８〜１．５２であることを特徴とする請求項１記
載の反射防止膜を有する光学部材。 - 【請求項６】 前記合成樹脂と前記下地層の間に有機ケ
イ素重合体を含むハードコート層を介在させたことを特
徴とする請求項１〜５いずれか１項記載の反射防止膜を
有する光学部材。 - 【請求項７】 前記光学部材は眼鏡用レンズであること
を特徴とする請求項１〜６いずれか１項記載の反射防止
膜を有する光学部材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3185494A JP3068252B2 (ja) | 1991-06-28 | 1991-06-28 | 反射防止膜を有する光学部材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3185494A JP3068252B2 (ja) | 1991-06-28 | 1991-06-28 | 反射防止膜を有する光学部材 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0511101A JPH0511101A (ja) | 1993-01-19 |
| JP3068252B2 true JP3068252B2 (ja) | 2000-07-24 |
Family
ID=16171755
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3185494A Expired - Fee Related JP3068252B2 (ja) | 1991-06-28 | 1991-06-28 | 反射防止膜を有する光学部材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3068252B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6004850A (en) * | 1998-02-23 | 1999-12-21 | Motorola Inc. | Tantalum oxide anti-reflective coating (ARC) integrated with a metallic transistor gate electrode and method of formation |
| CA2355021C (en) * | 2000-08-29 | 2004-11-02 | Hoya Corporation | Optical element having antireflection film |
| US6972136B2 (en) * | 2003-05-23 | 2005-12-06 | Optima, Inc. | Ultra low residual reflection, low stress lens coating and vacuum deposition method for making the same |
| JP4468902B2 (ja) | 2006-01-17 | 2010-05-26 | 株式会社資生堂 | 情報を記録した積層材料、それを貼付した物品、および情報読み取り方法 |
| FR2903197B1 (fr) | 2006-06-28 | 2009-01-16 | Essilor Int | Article d'optique revetu d'une sous-couche et d'un revetement anti-reflets multicouches resistant a la temperature, et procede de fabrication |
| US7692855B2 (en) | 2006-06-28 | 2010-04-06 | Essilor International Compagnie Generale D'optique | Optical article having a temperature-resistant anti-reflection coating with optimized thickness ratio of low index and high index layers |
| WO2008133136A1 (ja) * | 2007-04-16 | 2008-11-06 | Konica Minolta Opto, Inc. | 反射鏡 |
-
1991
- 1991-06-28 JP JP3185494A patent/JP3068252B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0511101A (ja) | 1993-01-19 |
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