JP3068116B1 - 導電性合成樹脂積層体 - Google Patents

導電性合成樹脂積層体

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JP3068116B1
JP3068116B1 JP11088795A JP8879599A JP3068116B1 JP 3068116 B1 JP3068116 B1 JP 3068116B1 JP 11088795 A JP11088795 A JP 11088795A JP 8879599 A JP8879599 A JP 8879599A JP 3068116 B1 JP3068116 B1 JP 3068116B1
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Abstract

【要約】 【課題】 金属の導電剤を使用した従来の導電性床材に
見られるような、高価で取扱い難い重量物であるという
問題点や金属の導電剤の持つ酸化劣化の欠点を改良し、
長期間にわたって高い導電性能を維持でき、経済性や取
扱性に優れ、使用後の処理でもリサイクルが可能な、導
電性床材に好適な導電性合成樹脂積層体を提供する。 【解決手段】 炭素系層間化合物を含有する厚みの薄い
導電性塗布膜を中間層とし、その両側を帯電防止レベル
の導電性を有する合成樹脂からなる表面層と基層とで挟
んで一体とした導電性合成樹脂積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂(以下、
ゴムを含めて合成樹脂という)製の導電性を有する積層
体(以下、導電性合成樹脂積層体という)に関し、特に
屋内で使用する導電性を付与した床材(以下導電性床材
という)に好適な導電性合成樹脂積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造工場、電子部品製造工場、コ
ンピュータールームなどでは静電気によるトラブルを防
止するため、内装材料などにも静電気対策を施したもの
が用いられている。導電性床材もそうした内装材料の一
つで、一般的に表面抵抗率1×106〜1×1010Ωの
もの多く使われている。現在市販されている導電性床材
は、主として、表面層、中間層および基層の3層より構
成される積層体である。導電性床材表面で発生した静電
気は、表面層から中間層に流れ中間層を通ってアースに
導かれる。このため、特に中間層は金属並みの導電性を
有するいわゆる導電層である。
【0003】従来、前記の導電層として、多量のカーボ
ンブラック、炭素繊維、金属粉などの導電剤を練り込ん
だ合成樹脂組成物を成形して得られたシートが多く用い
られてきた。導電性床材は、この導電層を中間層として
表面層および基層で挟んで積層成形した積層体である。
導電剤を練り込むタイプの導電層シートは、製造条件に
より合成樹脂中の導電剤の分散性が変動しやすく、導電
性がばらつき不安定になりやすい。この欠点を解消する
ためには、合成樹脂に練り込む導電剤を増やすと共に導
電層シートの厚みも厚くする必要があった。その結果、
得られる導電性床材は、生産性が低く、コストが高く、
重量物で取扱作業性の悪いものであった。また導電層と
して前記のシートに代えて金属の網を用いた導電性床材
が提案されているが、二次加工性や施工性が悪いため普
及していない。
【0004】また、金属の導電剤は、高価なうえ酸化な
どの化学変化により導電性能が低下し長期間の使用に耐
えないという欠点があった。さらに、使用済みの導電性
床材は金属と熱可塑性樹脂の分離が難しくリサイクルし
にくい点も問題であった。その他、熱可塑性樹脂として
ポリ塩化ビニルを用いる場合は、導電性を付与するため
有機酸とポリエチレングリコールとのエステルなどのい
わゆる帯電防止性可塑剤が用いられるが、得られる塩化
ビニル樹脂組成物は熱安定性が低下したり帯電防止性可
塑剤のブリード(滲出)が発生しやすいなどの欠点があ
った。このブリードの発生を抑制するため、ポリ塩化ビ
ニルに対し、分子中に少なくとも一つのエーテル結合を
有するエステル系可塑剤と過塩素酸塩を配合した塩化ビ
ニル樹脂組成物が提案されている(特開平2−2558
52号公報)。しかし、前記の塩化ビニル樹脂組成物は
熱安定性が十分とは言えず、熱変色しやすいため、製品
製造時や製品使用時の色調の安定性の改善が求められて
いた。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の導
電性床材など導電性合成樹脂積層体に見られるような、
高価で取扱い難い重量物であるという問題点や金属の導
電剤の持つ酸化劣化の欠点を改良し、長期間にわたって
高い導電性能を維持でき、経済性や取扱性に優れ、使用
後の処理でもリサイクルが可能な、導電性床材に好適な
導電性樹脂積層体を提供することを課題とする。
【0006】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、炭素系層間化合物を含有する厚みの薄い導電性
塗布膜を中間層とし、その両側を帯電防止レベルの導電
性を有する熱可塑性樹脂からなる表面層と基層とで挟ん
で一体とした導電性樹脂積層体が前記の課題を解決する
ことを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は以下の構成を有する。 (1)厚みが0.3〜70μmの導電性塗布膜からなる
中間層(A)の一方の面に、体積抵抗率が104 〜10
10Ωcmである合成樹脂表面層(B)を、さらに前記中
間層の他方の面に、体積抵抗率が105 〜1012Ωcm
である合成樹脂基層(C)を一体に設けてなる、表面抵
抗率が104 〜108 Ωである導電性合成樹脂積層体。 (2)中間層(A)の導電性塗布膜が炭素系層間化合物
を必須成分として含有することを特徴とする(1)項に
記載の導電性合成樹脂積層体。 (3)合成樹脂表面層(B)および合成樹脂基層(C)
の少なくとも一方を構成する合成樹脂が、ポリ塩化ビニ
ル100重量部に対し10〜70重量部の帯電防止性可
塑剤を含有する塩化ビニル樹脂組成物である(1)もし
くは(2)項に記載の導電性合成樹脂積層体。 (4)帯電防止性可塑剤が、下記式1および下記式2で
表される化合物の群から選ばれる1種もしくは2種以上
の混合物である(3)項に記載の導電性合成樹脂積層
体。
【0008】
【化3】 COO(C24O)m(CH23CH3 / R1 −式1 \ COO(CH2nH (式中、R1)は炭素数2〜8のアルキレン基もしくは
フェニレン基、mは1〜3の整数、nは4〜12の整数
である。)
【0009】
【化4】 COO(C24O)p(CH23CH3 / R2 −式2 \ COO(C24O)q(CH23CH3 (式中、R2)は炭素数2〜8のアルキレン基もしくは
フェニレン基、pとqは夫々1〜3の整数である。)
【0010】(5)帯電防止性可塑剤が、フタル酸2−
エチルヘキシルブトキシエトキシエチルを40〜60重
量%、フタル酸ジブトキシエトキシエチルを20〜10
重量%、およびアジピン酸ジブトキシエトキシエチルを
40〜30重量%含有する帯電防止性可塑剤組成物であ
る(3)項に記載の導電性合成樹脂積層体。 (6)帯電防止性可塑剤が、0.1〜2重量%の過塩素
酸金属塩を含有することを特徴とする(3)〜(5)項
のいずれか1項に記載の導電性合成樹脂積層体。 (7)塩化ビニル樹脂組成物が、ポリ塩化ビニル100
重量部に対し0.01〜5重量部のマグネシウム化合物
を安定剤として含有する(3)〜(6)項のいずれか1
項に記載の導電性合成樹脂積層体。
【0011】本発明の導電性合成樹脂積層体の表面抵抗
率は、104 〜108Ωである。表面抵抗率が、104Ω
未満では漏電などの場合に人体に感電の恐れがあり、1
8Ωを超えると積層体の導電性が不十分となる。
【0012】本発明の導電性合成樹脂積層体において、
中間層(A)に用いられる導電性塗布膜は、厚みが0.
3〜70μm、好ましくは0.5〜50μm、さらに好
ましくは2〜50μmである。導電性塗布膜の厚みが
0.3μm未満では導電性塗布膜の導電性が不十分であ
り、積層時に塗膜が切れて導電性能が損なわれる恐れが
ある。厚みが70μmを超えると導電性はそれ以上増大
せず、かえって前記積層体の層の間の接着強度が低下
し、床材などとして使用している間に剥離が発生し導電
性が損なわれる恐れがある。前記の導電性塗布膜は、表
面抵抗値が103Ω以下で、合成樹脂表面層(B)およ
び合成樹脂基層(C)との接着性が良好な塗布膜である
ことが好ましい。前記の導電性塗布膜としては、炭素系
層間化合物を必須成分として含有するものであることが
好ましい。本発明において、炭素系層間化合物とは例え
ば黒鉛などのような層状構造を有する炭素の層間に他の
原子、イオン、分子が挿入されてできる化合物である。
具体的には黒鉛またはカーボンブラックと、架橋型高分
子と、線状高分子化合物と、アルカン系直鎖低分子有機
化合物と、無機化合物との複合体からなり、前記架橋型
高分子により全体が三次元網状構造されたものが例示で
きる(特許第2686559号公報)。
【0013】前記の炭素系層間化合物を必須成分として
含有する導電性塗布膜は、黒鉛またはカーボンブラッ
ク、架橋型高分子用モノマーもしくはプレポリマー、線
状高分子化合物、アルカン系直鎖低分子有機化合物およ
び無機化合物を有機溶媒中で混合・反応させて得られる
導電性塗布剤を、合成樹脂表面層(B)および/または
合成樹脂基層(C)に塗布・乾燥することによって形成
される。さらに、導電性合成樹脂積層体は、中間層
(A)である前記の導電性塗布膜を挟んで、合成樹脂表
面層(B)/中間層(A)/合成樹脂基層(C)が加熱
・接着され一体に積層されることによって形成される。
【0014】前記の導電性塗布剤の構成成分である黒鉛
またはカーボンブラックとしては、天然黒鉛、人造黒
鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどが挙
げられ、粒径1μm以下、特に0.1μm以下のものが
好ましい。前記の導電性塗布剤の構成成分である架橋型
高分子用モノマーもしくはプレポリマーとしては、三次
元網状構造を形成する熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹
脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂な
どの合成に用いられるモノマーもしくはプレポリマーが
挙げられる。前記の導電性塗布剤の構成成分である線状
高分子化合物としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルな
どが挙げられる。前記の導電性塗布剤の構成成分である
アルカン系直鎖低分子有機化合物としては、炭素数が2
0以上のアルカン系直鎖炭化水素もしくはその脂肪酸が
挙げられる。
【0015】前記の導電性塗布剤の構成成分である無機
化合物としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩
化カリウム、臭化カリウムなどのアルカリ金属のハロゲ
ン化物、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどのアルカリ
金属の硫酸塩、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属の
炭酸塩、塩化第二鉄、塩化亜鉛、四塩化チタン、四塩化
錫などの金属のハロゲン化物、酸化クロム、酸化チタ
ン、酸化ジルコニウムなどの遷移金属の酸化物が挙げら
れる。前記の導電性塗布剤の製造に用いる有機溶媒とし
ては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化
水素、n−ブタノール、n−プロパノールなどのアルコ
ール類、メチルエチルケトンなどのケトン類が挙げられ
る。
【0016】本発明の導電性合成樹脂積層体において、
合成樹脂表面層(B)は、体積抵抗率が104〜1010
Ωcmである。表面層(B)の体積抵抗率が104Ωc
m未満では、漏電などの場合に人体に感電の恐れがあ
り、1010Ωcmを超えると前記積層体の導電性が不十
分となる。前記の表面層(B)の厚さは特に限定するも
のではないが、30〜1000μm、好ましくは200
〜400μmである。表面層(B)の厚さが30μm未
満では前記積層体の表面抵抗率が104Ω未満になる恐
れがあり、表面層(B)の厚さが1000μmを超える
と前記積層体の表面抵抗率が108Ωを超える恐れがあ
る。
【0017】本発明の導電性合成樹脂積層体において、
合成樹脂基層(C)は、体積抵抗率が105 〜1012Ω
cmである。基層(C)の体積抵抗率が105Ωcm未
満である必要はなく、かえってコストの上昇を招く。体
積抵抗率が1012Ωcmを超えると基層(C)が帯電す
る恐れがある。基層(C)の厚さはとくに限定するもの
ではないが、0.2〜5.0mm、好ましくは0.5〜
2.0mmである。基層(C)の厚さが0.2mm未満
では前記積層体の表面層(B)に加えられた荷重によっ
て中間層(A)が破損する場合があり、厚さが5.0m
mを超えると前記の積層体のが厚くなり過ぎて施工性や
取扱性が悪くなる恐れがある。
【0018】前記の表面層(B)および基層(C)に用
いられる合成樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、アク
リル樹脂、ポリカボネート、ポリ塩化ビニルなどを挙げ
ることができる。また、ゴム類を用いてもよい。前記の
合成樹脂には前記の体積抵抗率を付与するために、導電
性充填剤、帯電防止剤、帯電防止性可塑剤などを添加す
ることができる。前記の合成樹脂としては、表面層
(B)および基層(C)で別に選択することもできる
が、積層時に十分な接着強度を得るためには、表面層
(B)と基層(C)の張合わせ面の成分は同じであるこ
とが好ましい。
【0019】これらの合成樹脂の中でも、難燃性やコス
トの観点からポリ塩化ビニル100重量部に対し10〜
70重量部の帯電防止性可塑剤を含有する塩化ビニル樹
脂組成物が好ましく用いられる。帯電防止性可塑剤の量
が10重量部未満では表面層もしくは基層の体積抵抗率
が大きくなり、70重量部を超えると帯電防止性可塑剤
を含有する塩化ビニル樹脂組成物の熱安定性が低下する
恐れがある。前記帯電防止性可塑剤としては、ポリエチ
レングリコールやポリプロピレングリコールなどの多価
アルコールとフタル酸やアジピン酸などの多価カルボン
酸とのエステルが知られているが、ポリ塩化ビニルに対
する相溶性が良好でブリードが少ない点で、下記式1も
しくは下記式2で表される化合物の群から選ばれる1種
もしくは2種以上の混合物が好ましく用いられる。
【0020】
【化5】 COO(C24O)m(CH23CH3 / R1 −式1 \ COO(CH2nH (式中、R1)は炭素数2〜8のアルキレン基もしくは
フェニレン基、mは1〜3の整数、nは4〜12の整数
である。)
【0021】
【化6】 COO(C24O)p(CH23CH3 / R2 −式2 \ COO(C24O)q(CH23CH3 (式中、R2)は炭素数2〜8のアルキレン基もしくは
フェニレン基、pとqは夫々1〜3の整数である。)以上
【0022】式1で表される化合物の具体的な例として
は、アジピン酸2−エチルヘキシルブトキシエトキシエ
チル、アジピン酸ノニルブトキシエトキシエチル、アゼ
ライン酸2−エチルヘキシルブトキシエトキシエチル、
フタル酸2−エチルヘキシルブトキシエトキシエチル、
フタル酸ノニルブトキシエトキシエチルなどのジエステ
ルが挙げられる。式2で表される化合物の具体的な例と
しては、としては、アジピン酸ジブトキシエトキシエチ
ル、アゼライン酸ジブトキシエトキシエチル、フタル酸
ジブトキシエトキシエチルなどのジエステルが挙げられ
る。一般的に、式1で表される化合物は式2で表される
化合物に比べて、ポリ塩化ビニルとの相溶性に優れるが
帯電防止性が低い傾向であるが、化合物の原料となる酸
やアルコールなどの種類により性能は異なる。
【0023】前記の式1もしくは式2で表される化合物
は単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよ
い。中でも、アジピン酸のジエステルやフタル酸のジエ
ステルが性能と価格の点で好ましく用いられる。フタル
酸のジエステルはアジピン酸のジエステルに比べてポリ
塩化ビニルとの相溶性に優れる。アジピン酸のジエステ
ルはポリ塩化ビニルに対する相溶性は低いが、ポリ塩化
ビニル樹脂組成物に低温柔軟性(耐寒性)を付与するこ
とができるため、フタル酸ジエステルと混合し併用され
る事が多い。このため、本発明の導電性合成樹脂積層体
において、合成樹脂表面層(B)および合成樹脂基層
(C)の少なくとも一方を構成する合成樹脂として塩化
ビニル樹脂組成物を用いる場合には、帯電防止性可塑剤
として、フタル酸2−エチルヘキシルブトキシエトキシ
エチルを40〜60重量%、フタル酸ジブトキシエトキ
シエチルを20〜10重量%、およびアジピン酸ジブト
キシエトキシエチルを40〜30重量%含有する帯電防
止性可塑剤組成物が好ましく用いられる。フタル酸2−
エチルヘキシルブトキシエトキシエチルは帯電防止性と
ポリ塩化ビニルとの相溶性のバランスが良好であり、フ
タル酸ジブトキシエトキシエチルは特に帯電防止性が良
好である。アジピン酸ジブトキシエトキシエチルは帯電
防止性と耐寒性に優れ過塩素酸金属塩の溶解性に優れ
る。前記の帯電防止性可塑剤もしくは帯電防止性可塑剤
組成物をポリ塩化ビニルに含有させる場合、均質な塩化
ビニル樹脂組成物を得るために、フタル酸ジ2−エチル
ヘキシル(DOP)などの汎用可塑剤を用いることがで
きる。
【0024】なお、前記の帯電防止性可塑剤は、ブリー
ドの発生を抑制し帯電防止性を高めるため、0.1〜2
重量%の過塩素酸金属塩を含有することが好ましい。前
記の過塩素酸金属塩の金属としては、アルカリ金属が好
ましく、中でもリチウムが特に好ましく用いられる。過
塩素酸金属塩の含有量が0.1重量%未満では、ブリー
ドの発生を抑制し帯電防止性を高める効果が少なく、2
重量%を超える熱安定性が低下する恐れがある。なお、
過塩素酸金属塩は帯電防止性可塑剤もしくはそれを用い
た塩化ビニル樹脂組成物の中で塩素酸金属塩に変化する
ことがある。前記の過塩素酸金属塩は1種の単独使用で
も2種以上の併用でもよい。また、過塩素酸金属塩の代
わりに過塩素酸アンモニウム塩を用いてもよい。
【0025】本発明の導電性合成樹脂積層体において、
合成樹脂表面層(B)および合成樹脂基層(C)の少な
くとも一方を構成する合成樹脂として、ポリ塩化ビニル
100重量部に対し10〜70重量部の帯電防止性可塑
剤を含有する塩化ビニル樹脂組成物を用いる場合には、
前記の塩化ビニル樹脂組成物に、ポリ塩化ビニル100
重量部に対し0.01〜5重量部のマグネシウム化合物
を安定剤として含有させると塩化ビニル樹脂組成物の熱
安定性が顕著に向上する。有機マグネシウム化合物の含
有量が0.01重量部未満では、熱安定性の向上が不十
分であり、5重量部を超えると塩化ビニル樹脂組成物の
透明性が低下する恐れがある。前記のマグネシウム化合
物としては、ハイドロタルサイトなどの無機マグネシウ
ム化合物、モノアルキルリン酸マグネシウム、ジアルキ
ルリン酸マグネシウム、脂肪酸マグネシウムなどの有機
マグネシウム化合物が例示できる。前記の塩化ビニル樹
脂組成物においては、前記マグネシウム化合物は、他の
熱安定剤と併用することが好ましく、併用できる熱安定
剤としては、通常、軟質塩化ビニル樹脂組成物に用いら
れるバリウム−亜鉛(Ba−Zn)系複合安定剤、カル
シウム−亜鉛(Ca−Zn)系複合安定剤、錫(Sn)
系安定剤などを挙げることができる。
【0026】前記の塩化ビニル樹脂組成物に用いられる
ポリ塩化ビニルとしては、平均重合度500〜250
0、好ましくは700〜1500の、塩化ビニル単独重
合体もしくはエチレン、プロピレンなどのオレフィン、
酢酸ビニール、アクリル酸エステルなどと塩化ビニルと
の共重合体を挙げることができる。ポリ塩化ビニルの重
合法としては懸濁重合、塊状重合、乳化重合などいずれ
でも構わない。
【0027】なお、前記の塩化ビニル樹脂組成物には、
ポリ塩化ビニル、帯電防止性可塑剤、マグネシウム化合
物、熱安定剤の他に、本発明の効果を損なわない範囲
で、通常、軟質塩化ビニル樹脂組成物に用いられる添加
剤を使用することができる。前記の添加剤の例として
は、DOP、DOA、TCPなどの可塑剤、カーボンブ
ラックや金属粉などの導電剤、カチオン系やアニオン系
もしくはノニオン系帯電防止剤、炭酸カルシウムやタル
クなどの無機充填剤、着色剤などを挙げることができ
る。
【0028】前記の表面層(B)および基層(C)は必
ずしもそれぞれ単層構造である必要はなく、2層以上の
積層構造でも構わない。積層構造の例としては、着色剤
を含有させるなどして装飾性を持たせた層と、その上に
積層した透明の保護層とからなる表面層などが挙げられ
る。
【0029】本発明の導電性合成樹脂積層体を作成する
には、まず表面層(B)および基層(C)に用いる合成
樹脂をシート成形した後、表面層(B)の下面もしくは
基層(C)の上面に、前記の導電性塗布剤を乾燥・架橋
反応後の塗布膜厚みが0.3〜50μm、となるように
塗工機などを用いて塗布し、乾燥し、次いで基層(C)
の上面もしくは表面層(B)の下面が導電性塗布剤塗膜
と接するように基層(C)もしくは表面層(B)を加熱
下で積層し、中間層(A)を架橋反応させることによっ
て、表面層(B)・中間(導電)層(A)・基層(C)
が一体になった導電性合成樹脂積層体が得られる。積層
はラミネーターもしくはプレス機を用いて加熱下で行な
う。
【0030】本発明の導電性樹脂積層体は、さらに後加
工として、表面に加飾処理又は磨耗防止用トップシー
ト、下面に織布又は不織布等任意に張り合わせて使用す
ることができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるも
のではない。試験方法について説明する。 (a)体積抵抗率:JIS K 6911「熱硬化性プ
ラスチック一般試験方法」に従って測定した。 (b)表面抵抗率:JIS K 6911「熱硬化性プ
ラスチック一般試験方法」に従って測定した。 (c)熱安定性:積層体サンプルを180℃のギアオー
ブンに入れ、表面層が黄色に変色するまでの時間を測定
する。黄色に変色するまでの時間の大きい方が、熱安定
性に優れている。 (d)ブリード性:積層体サンプルを温度80℃、湿度
80%の恒温高湿槽内に5日間放置した後、サンプルの
表面に滲み出しがあるかどうか観察した。滲み出しがは
っきり認められる場合は×、わずかに認められる場合は
△、認められない場合は○と判定した。
【0032】実施例1 (表面層用シートサンプル作成)下記に示す処方のコン
パウンド150gを、6インチテストロールを用いて、
ロール表面温度170℃で、5分間混練りし、テストロ
ールのクリアランス厚さ0.3mmの表面層用シートサ
ンプルを得た。なお、シートサンプルの厚さはテストロ
ールのロール間隙を開閉して調節した。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤AS 50 重量部 Ba−Mg−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)A 2.0重量部 (マグネシウム化合物50重量%含有) Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD(平均粒径:1.72μm) 50 重量部 なお、上記帯電防止性可塑剤の組成は、下記の通り。 フタル酸2−エチルヘキシルブトキシエトキシエチル 40 重量% フタル酸ジブトキシエトキシエチル 10 重量% フタル酸ジ2−エチルヘキシル(DOP) 19 重量% アジピン酸ジブトキシエトキシエチル 30 重量% 過塩素酸リチウム 1 重量%
【0033】(基層用シートサンプル作成)同様に下記
に示す処方のコンパウンド150gを、6インチテスト
ロールを用いて、ロール表面温度170℃で、10分間
混練りし、厚さ0.6mmの基層用シートサンプルを得
た。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤AS 40 重量部 可塑剤DOP 10 重量部 Ba−Mg−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)A 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD 50 重量部
【0034】(導電性塗布剤の調製)下記の処方にて混
合溶液を調製し、導電性塗布剤とした。 カーボンブラック(平均粒径0.1μm以下) 60 重量部 アルキッドメラミンレジンモノマー 40 重量部 n−パラフィン(平均粒径5μm以下の微粉末) 30 重量部 高分子量ポリエチレン(平均粒径15μm以下の粉末) 10 重量部 液状ポリブタジエン 20 重量部 臭化カリウム 10 重量部 トルエン 45 重量部 メチルエチルケトン 25 重量部 n−ブタノール 30 重量部 キシレン 40 重量部 シクロヘキサノン 10 重量部
【0035】(導電性塗布剤の塗布)表面層用シートサ
ンプル(厚み:0.3mm、寸法:A−4版)の片面
に、上記の導電性塗布剤を刷毛で塗布した。20分間室
温に放置後、105℃のオーブンで5分間乾燥し、導電
性塗布膜の厚みを測定した。0.5μmであった。
【0036】(積層体サンプル作成)次いで、前記の塗
布済み表面層用シートサンプルと基層用シートサンプル
3枚を重ね、表面層/導電性塗布剤層/基層(3枚)の
順の積層体になるようにプレス成形を実施した。プレス
成形条件は、予熱150℃で3分間、加圧は150℃、
98Paで1分間、冷却は水温15℃、98Paで2分
間とした。プレス成形後の積層体サンプルの厚さは、
2.0mmであった。前記積層体サンプルの体積抵抗
率、表面抵抗率、熱安定性およびブリード性の測定結果
を表1に示した。
【0037】実施例2 導電性塗布膜の厚みが10μmである以外は、実施例1
と同じ条件で積層体サンプルを作成し、体積抵抗率、表
面抵抗率、熱安定性およびブリード性を測定した。測定
結果を表1に示した。
【0038】実施例3 導電性塗布膜の厚みが30μmである以外は、実施例1
と同じ条件で積層体サンプルを作成し、体積抵抗率、表
面抵抗率、熱安定性およびブリード性を測定した。測定
結果を表1に示した。
【0039】実施例4 導電性塗布膜の厚みが50μmである以外は、実施例1
と同じ条件で積層体サンプルを作成し、体積抵抗率、表
面抵抗率、熱安定性およびブリード性を測定した。測定
結果を表1に示した。
【0040】実施例5 (表面層用シートサンプル作成)下記に示す処方のコン
パウンド150gを、6インチテストロールを用いて、
ロール表面温度170℃で、5分間混練りし、厚さ0.
3mmの表面層用シートサンプルを得た。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤AS 15 重量部 可塑剤DOP 35 重量部 Ba−Mg−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)A 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD 50 重量部 上記の(表面層用シートサンプル作成)および導電性塗
布膜の厚みが10μmである以外は、実施例1と同じ条
件で積層体サンプルを作成し、体積抵抗率、表面抵抗
率、熱安定性およびブリード性を測定した。測定結果を
表1に示した。
【0041】実施例6 (基層用シートサンプル作成)下記に示す処方のコンパ
ウンド150gを、6インチテストロールを用いて、ロ
ール表面温度170℃で、10分間混練りし、厚さ0.
6mmの基層用シートサンプルを得た。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤AS 10 重量部 可塑剤DOP 40 重量部 Ba−Mg−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)A 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD 50 重量部 上記の(基層用シートサンプル作成)および導電性塗布
膜の厚みが10μmである以外は、実施例1と同じ条件
で積層体サンプルを作成し、体積抵抗率、表面抵抗率、
熱安定性およびブリード性を測定した。測定結果を表1
に示した。
【0042】比較例1 導電塗布膜の厚みが0.1μmである以外は、実施例1
と同じ条件で積層体サンプルを作成し、体積抵抗率、表
面抵抗率、熱安定性およびブリード性を測定した。測定
結果を表2に示した。
【0043】比較例2 (表面層用シートサンプル作成)下記に示す処方のコン
パウンド150gを、6インチテストロールを用いて、
ロール表面温度170℃で、5分間混練りし、厚さ0.
3mmの表面層用シートサンプルを得た。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤AS 5 重量部 可塑剤DOP 45 重量部 Ba−Mg−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)A 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD 50 重量部 上記の(表面層用シートサンプル作成)および導電性塗
布膜の厚みが10μmである以外は、実施例1と同じ条
件で積層体サンプルを作成し、体積抵抗率、表面抵抗
率、熱安定性およびブリード性を測定した。測定結果を
表2に示した。
【0044】比較例3 (基層用シートサンプル作成)下記に示す処方のコンパ
ウンド150gを、6インチテストロールを用いて、ロ
ール表面温度170℃で、10分間混練りし、厚さ0.
6mmの基層用シートサンプルを得た。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤AS 5 重量部 可塑剤DOP 45 重量部 Ba−Mg−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)A 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD 50 重量部 上記の(基層用シートサンプル作成)および導電性塗布
膜の厚みが10μmである以外は、実施例1と同じ条件
で積層体サンプルを作成し、体積抵抗率、表面抵抗率、
熱安定性およびブリード性を測定した。測定結果を表2
に示した。
【0045】比較例4 (表面層用シートサンプル作成)下記に示す処方のコン
パウンド150gを、6インチテストロールを用いて、
ロール表面温度170℃で、5分間混練りし、厚さ0.
3mmの表面層用シートサンプルを得た。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤AS 50 重量部 Ba−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)C 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD 50 重量部
【0046】(基層用シートサンプル作成)同様に下記
に示す処方のコンパウンド150gを、6インチテスト
ロールを用いて、ロール表面温度170℃で、10分間
混練りし、厚さ0.6mmの基層用シートサンプルを得
た。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤AS 40 重量部 可塑剤DOP 10 重量部 Ba−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)C 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD 50 重量部 上記の(表面層用シートサンプル作成)、(基層用シー
トサンプル作成)および導電性塗布膜の厚みが50μm
である以外は、実施例1と同じ条件で積層体サンプルを
作成し、体積抵抗率、表面抵抗率、熱安定性およびブリ
ード性を測定した。測定結果を表2に示した。
【0047】比較例5 (表面層用シートサンプル作成)下記に示す処方のコン
パウンド150gを、6インチテストロールを用いて、
ロール表面温度170℃で、5分間混練りし、厚さ0.
3mmの表面層用シートサンプルを得た。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤(アジピン酸ジエステル系)市販品A 50 重量部 Ba−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)C 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD 50 重量部 なお、帯電防止性可塑剤市販品Aには、過塩素酸塩は含
有されていない。
【0048】(基層用シートサンプル作成)同様に下記
に示す処方のコンパウンド150gを、6インチテスト
ロールを用いて、ロール表面温度170℃で、10分間
混練りし、厚さ0.6mmの基層用シートサンプルを得
た。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤(アジピン酸ジエステル系)市販品A 40 重量部 可塑剤DOP 10 重量部 Ba−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)C 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD 50 重量部
【0049】(導電性シートサンプルの作成)下記に示
す処方のコンパウンド150gを、6インチテストロー
ルを用いて、ロール表面温度170℃で、10分間混練
りし、厚さ0.2mmの導電性シートサンプルを得た。
このシートサンプルの体積抵抗率は、1.0×104Ω
cmであった。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤(アジピン酸ジエステル系)市販品A 75 重量部 Ba−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)C 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 カーボンブラック(平均粒径0.3μm) 20 重量部
【0050】(積層体サンプル作成)次いで前記の導電
性シートサンプルを、表面層用シートサンプル(導電性
塗布剤の塗布なし)と基層用シートサンプル3枚(但
し、用いたシートは厚さ0.6mmが2枚と0.4mm
が1枚)との間に挿入し、表面層/導電性シート層/基
層(3枚)の順の積層体になるようにプレス成形を実施
した。プレス成形条件は、予熱150℃で3分間、加圧
は150℃、98Paで1分間、冷却は水温15℃、9
8Paで2分間とした。プレス成形後の積層体サンプル
の厚さは、2.0mmであった。前記積層体サンプルの
体積抵抗率、表面抵抗率、熱安定性およびブリード性の
測定結果を表2に示した。
【0051】比較例6 (表面層用シートサンプル作成)下記に示す処方のコン
パウンド150gを、6インチテストロールを用いて、
ロール表面温度170℃で、5分間混練りし、厚さ0.
3mmの表面層用シートサンプルを得た。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤(フタル酸ジエステル系)市販品P 50 重量部 Ba−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)C 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD 50 重量部 なお、帯電防止性可塑剤市販品Pには、過塩素酸塩は含
有されていない。
【0052】(基層用シートサンプル作成)同様に下記
に示す処方のコンパウンド150gを、6インチテスト
ロールを用いて、ロール表面温度170℃で、10分間
混練りし、厚さ0.6mmの基層用シートサンプルを得
た。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤(フタル酸ジエステル系)市販品P 40 重量部 可塑剤DOP 10 重量部 Ba−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)C 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 炭酸カルシウムD 50 重量部
【0053】(導電性シートサンプルの作成)下記に示
す処方のコンパウンド150gを、6インチテストロー
ルを用いて、ロール表面温度170℃で、10分間混練
りし、厚さ0.2mmの導電性シートサンプルを得た。
このシートサンプルの体積抵抗率は、1.0×104Ωc
mであった。 ポリ塩化ビニル(平均重合度:1030) 100 重量部 帯電防止性可塑剤(フタル酸ジエステル系)市販品P 75 重量部 Ba−Zn粉状複合安定剤(共同薬品(株)製)C 2.0重量部 Ba−Zn液状複合安定剤(共同薬品(株)製)B 2.4重量部 カーボンブラック(平均粒径0.3μm) 20 重量部
【0054】(積層体サンプル作成)次いで前記の導電
性シートサンプルを、表面層用シートサンプル(導電性
塗布剤の塗布なし)と基層用シートサンプル3枚(但
し、用いたシートは厚さ0.6mmが2枚と0.4mm
が1枚)との間に挿入し、表面層/導電性シート層/基
層(3枚)の順の積層体になるようにプレス成形を実施
した。プレス成形条件は、予熱150℃で3分間、加圧
は150℃、98Paで1分間、冷却は水温15℃、9
8Paで2分間とした。プレス成形後の積層体サンプル
の厚さは、2.0mmであった。前記積層体サンプルの
体積抵抗率、表面抵抗率、熱安定性およびブリード性の
測定結果を表2に示した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】本発明の導電性合成樹脂積層体は、特定の
導電性塗布剤および帯電防止性可塑剤を用いることによ
り、導電剤として金属粉末または金属繊維を使用した従
来の導電性床材に見られるような、高価で取扱い難い重
量物であるという問題点や金属の導電剤の持つ酸化劣化
の欠点を改良し、長期間にわたって高い導電性能を維持
でき、経済性や取扱性に優れ使用後の処理でもリサイク
ルが可能な、導電床材に好適な導電性合成樹脂積層体で
ある。本発明の導電性合成樹脂積層体は、単に静電気に
よるトラブルを防止する用途だけでなく、電磁波を遮蔽
する用途にも好適である。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚みが0.3〜70μmの導電性塗布膜か
    らなる中間層(A)の一方の面に、体積抵抗率が104
    〜1010Ωcmである合成樹脂表面層(B)を、さらに
    前記中間層の他方の面に、体積抵抗率が105 〜1012
    Ωcmである合成樹脂基層(C)を一体に設けてなる、
    表面抵抗率が104 〜108Ωである導電性合成樹脂積
    層体。
  2. 【請求項2】中間層(A)の導電性塗布膜が炭素系層間
    化合物を必須成分として含有することを特徴とする請求
    項1に記載の導電性合成樹脂積層体。
  3. 【請求項3】合成樹脂表面層(B)および合成樹脂基層
    (C)の少なくとも一方を構成する合成樹脂が、ポリ塩
    化ビニル100重量部に対し10〜70重量部の帯電防
    止性可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂組成物である請求
    項1もしくは2に記載の導電性合成樹脂積層体。
  4. 【請求項4】帯電防止性可塑剤が、下記式1および2で
    表される化合物の群から選ばれる1種もしくは2種以上
    の混合物である請求項3に記載の導電性合成樹脂積層
    体。 【化1】 COO(C24O)m(CH23CH3 / R1 −式1 \ COO(CH2nH (式中、R1)は炭素数2〜8のアルキレン基もしくは
    フェニレン基、mは1〜3の整数、nは4〜12の整数
    である。) 【化2】 COO(C24O)p(CH23CH3 / R2 −式2 \ COO(C24O)q(CH23CH3 (式中、R2)は炭素数2〜8のアルキレン基もしくは
    フェニレン基、pとqは夫々1〜3の整数である。)
  5. 【請求項5】帯電防止性可塑剤が、フタル酸2−エチル
    ヘキシルブトキシエトキシエチルを40〜60重量%、
    フタル酸ジブトキシエトキシエチルを20〜10重量
    %、およびアジピン酸ジブトキシエトキシエチルを40
    〜30重量%含有する帯電防止性可塑剤組成物であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の導電性合成樹脂積層
    体。
  6. 【請求項6】帯電防止性可塑剤が、0.1〜2重量%の
    過塩素酸金属塩を含有することを特徴とする請求項3〜
    5のいずれか1項に記載の導電性合成樹脂積層体。
  7. 【請求項7】塩化ビニル樹脂組成物が、ポリ塩化ビニル
    100重量部に対し0.01〜5重量部のマグネシウム
    化合物を安定剤として含有する請求項3〜6のいずれか
    1項に記載の導電性合成樹脂積層体。
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