JP3066888B2 - 食器洗い乾燥機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は食器を洗浄し乾燥させる
食器洗い乾燥機に係り、特に洗浄水の汚れ具合を判別す
る機能を有する食器洗い乾燥機に関する。

【０００２】

【従来の技術】食器洗い乾燥機は、給水または給湯設備
に接続され、水または温水（以下、これらを洗浄水とい
う。）や洗剤を用いて食器を洗浄すると共に、洗浄後の
食器を乾燥する装置である。

【０００３】従来の食器洗い乾燥機では、食器の洗浄に
関して、丁寧に長時間洗浄するモードや簡単に短時間洗
浄するモード等の複数のモードが用意されており、ユー
ザが食器の量や汚れの質、量、付着具合等から経験的に
モードを選択することによって、効率良く洗浄ができる
ようになっている。例えば、ユーザは、食器洗い乾燥機
に食器を入れて、食器が多いときは長時間洗浄するモー
ドに設定し、少ないときは短時間洗浄するモードに設定
する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このように従来は、ユ
ーザが食器の量や汚れの質、量、付着具合等を経験的に
判断してモードを選択するが、これによって必ずしも最
適な洗浄条件を選択できるとは限らない。それは、食器
の汚れ具合、汚れの種類、汚れを放置した時間、放置環
境等によって汚れの落ち方が異なるが、これらをユーザ
が正確に把握することは困難だからである。また、洗浄
水の温度は状況によって変化し、この温度によっても汚
れの落ち方が異なるが、洗浄水の温度をユーザが正確に
把握することも困難である。従って、ユーザの経験に頼
ってモードを選択する従来の食器洗い乾燥機では、最適
な洗浄条件を決定することは困難であった。

【０００５】そこで、本出願人は、洗浄水を循環する水
通路部分に、対向する発光部と受光部とを有し洗浄水の
光透過度合を検出するセンサを設け、このセンサの出力
から洗浄水の汚れ具合を判別し、さらに、この洗浄水の
汚れ具合から食器に付着している汚れの量や落ち易さや
質を判別する技術を提案している。

【０００６】ところが、上記センサは油分等を含んだ高
温の洗浄水にさらされるため、発光部や受光部の表面に
汚れが付着し、センサの出力が低下する場合がある。こ
のようにセンサに付着した汚れによってセンサの出力が
低下すると、このセンサの出力を用いた洗浄水の汚れ具
合の判別が不正確になり、その結果、洗浄水の汚れに基
づいて決定される洗浄条件が不適切になるおそれがあ
る。

【０００７】そこで本発明の目的は、洗浄水の光透過度
合を検出するセンサを用いて洗浄水の汚れ具合を判別で
きると共に、センサに付着した汚れによる悪影響を防止
できるようにした食器洗い乾燥機を提供することにあ
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の食器洗い
乾燥機は、食器を収納する収納部と、この収納部に収納
された食器を洗浄する洗浄手段と、この洗浄手段によっ
て洗浄された食器を乾燥させる乾燥手段と、洗浄手段が
用いる洗浄水を循環させる循環手段と、この循環手段に
よって循環される洗浄水の光透過度合を検出するセンサ
と、このセンサの出力を用いて洗浄水の汚れ具合を判別
する汚れ判別手段と、洗浄実施前の洗浄水に対するセン
サの出力を、センサに汚れがない場合における洗浄実施
前の洗浄水に対するセンサの出力として設定された標準
値と比較する比較手段と、この比較手段の比較結果に応
じて、汚れ判別手段が洗浄水の汚れ具合を判別する際に
用いるセンサの出力と洗浄水の汚れ具合との対応関係を
補正する補正手段とを備えたものである。

【０００９】この食器洗い乾燥機では、センサによって
洗浄水の光透過度合が検出され、このセンサの出力を用
いて汚れ判別手段によって洗浄水の汚れ具合が判別され
る。また、比較手段によって、洗浄実施前の洗浄水に対
するセンサの出力が、センサに汚れがない場合における
洗浄実施前の洗浄水に対するセンサの出力として設定さ
れた標準値と比較され、この比較結果に応じて、補正手
段によって、汚れ判別手段が洗浄水の汚れ具合を判別す
る際に用いるセンサの出力と洗浄水の汚れ具合との対応
関係が補正される。

【００１０】請求項２記載の食器洗い乾燥機は、請求項
１記載の食器洗い乾燥機において、さらに、比較手段の
比較の結果、センサの出力と標準値とのずれの度合が補
正手段によって補正可能な範囲外である場合には、セン
サの清掃を促す警告を発する警告手段を備えたものであ
る。

【００１１】この食器洗い乾燥機では、比較手段の比較
の結果、センサの出力と標準値とのずれの度合が補正手
段によって補正可能な範囲外である場合には、警告手段
によって、センサの清掃を促す警告が発せられる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。図１ないし図４は本発明の一実施例
に係るものである。

【００１３】図１は本実施例に係る食器洗い乾燥機の概
略の構成を示す説明図である。この図に示すように、本
実施例の食器洗い乾燥機は、食器を収納する収納部１１
を有し、この収納部１１内には、洗浄手段を構成する洗
浄ノズル１２が設けられている。この洗浄ノズル１２に
は洗浄水循環路１３の一端が接続され、この洗浄水循環
路１３の他端は収納部１１の底部に設けられた排水口１
４に接続されている。また、この洗浄水循環路１３の途
中には洗浄水を循環させるための洗浄ポンプ１５が設け
られている。これら洗浄水循環路１３および洗浄ポンプ
１５によって、洗浄ノズル１２から噴出された洗浄水を
排水口１４および洗浄水循環路１３を経て再び洗浄ノズ
ル１２に供給する循環手段が構成されている。なお、図
示しないが、食器洗い乾燥機は、給水または給湯設備に
接続される給水ホースを介して給湯または給水を行う装
置、および排水ホースを介して洗浄水等を排水する装置
を有している。

【００１４】本実施例では、洗浄水循環路１３に濁度セ
ンサ１６が取り付けられている。この濁度センサ１６
は、洗浄水循環路１３を挟んで対向するように配設され
た発光部１７と受光部１８を有し、発光部１７から出射
され洗浄水循環路１３を通過する洗浄水を透過して受光
部１８で受光される光の光量を検出することよって、洗
浄水の光透過度合を検出するようになっている。

【００１５】また、食器洗い乾燥機のハウジングには操
作パネル１９が設けられている。この操作パネル１９内
には、濁度センサ１６の清掃を促す警告を発するための
センサ清掃警告灯１９ａが含まれている。食器洗い乾燥
機は、さらに、洗浄ポンプ１５、濁度センサ１６、操作
パネル１９等を制御して洗浄、乾燥等のシーケンス全体
を制御する制御装置２０を備えている。

【００１６】図２は本実施例に係る食器洗い乾燥機の制
御装置とその周辺の構成を示すブロック図である。この
図に示すように、制御装置２０は、ＣＰＵ（中央処理装
置）２１、ＲＯＭ（リード・オンリ・メモリ）２２、Ｒ
ＡＭ（ランダム・アクセス・メモリ）２３、時刻を計時
するためのクロック２４および入出力ポート２５を備
え、これらは互いにバス２６によって接続されている。
入出力ポート２５には、前述の濁度センサ１６、洗浄ポ
ンプ１５および操作パネル１９の他に、洗浄ノズル１２
を回転させるためのモータ２７と、洗浄水の加熱および
乾燥のためのヒータ２８と、乾燥のために送風するファ
ン２９とが接続されている。

【００１７】この制御装置２０では、ＣＰＵ２１が、Ｒ
ＡＭ２３をワーキングエリアとして、ＲＯＭ２２に格納
されたプログラムを実行することによって、洗浄、乾燥
等のシーケンスを制御するようになっている。

【００１８】また、図３に示すように、制御装置２０
は、濁度センサ１６の出力を用いて洗浄水の汚れ具合を
判別する汚れ判別手段３１と、この汚れ判別手段３１の
判別結果に基づいて洗浄条件を制御する洗浄制御手段３
２と、予洗い行程における洗浄実施前の洗浄水に対する
濁度センサ１６の出力を、濁度センサ１６に汚れがない
場合における洗浄実施前の洗浄水に対する濁度センサ１
６の出力として設定された標準値と比較する比較手段３
３と、この比較手段３３の比較結果に応じて、汚れ判別
手段３１が洗浄水の汚れ具合を判別する際に用いるセン
サの出力と洗浄水の汚れ具合との対応関係を補正する補
正手段３４と、比較手段３３の比較の結果、センサの出
力と標準値とのずれの度合が補正手段３４によって補正
可能な範囲外である場合には、センサ清掃警告灯１９ａ
を用いてセンサの清掃を促す警告を発する警告手段３５
の各機能を備えている。

【００１９】また、汚れ判別手段３１は、濁度センサ１
６の出力が洗浄水の光の透過度に対応（例えば比例）す
ることを利用して、濁度センサ１６の出力から洗浄水の
汚れ具合を判別する。制御装置２０は、濁度センサ１６
の出力と洗浄水の汚れ具合との対応関係を表すテーブル
をＲＯＭ２２内に持っており、汚れ判別手段３１は、こ
のテーブルあるいは後述するようにこのテーブルを補正
したテーブルを用いて洗浄水の汚れ具合を判別するよう
になっている。

【００２０】次に本実施例の食器洗い乾燥機の動作につ
いて説明する。

【００２１】本実施例の食器洗い乾燥機は、洗剤を用い
ずに洗浄水のみを用いて食器を洗浄する予洗い行程、洗
剤を用いて食器を洗浄する本洗い行程、すすぎ行程およ
び乾燥行程を順に実行する。本実施例では、予洗い行程
における洗浄開始前に濁度センサ１６の出力を取り込ん
で濁度センサ１６の汚れ具合を判別して、その汚れ具合
に応じてその後のシーケンスを決定するようになってい
る。

【００２２】図４は予洗い行程において濁度センサ１６
の汚れ具合を判別してその後のシーケンスを決定する動
作を示す流れ図である。この動作では、まず、給湯また
は給水を開始し（ステップＳ１０１）、次に、満水にな
ったか否かを判断する（ステップＳ１０２）。満水にな
っていない場合（ステップＳ１０２；Ｎ）は給湯または
給水を続ける（ステップＳ１０１）。満水になった場合
（ステップＳ１０２；Ｙ）は、洗浄実施前の汚れのない
状態の洗浄水に介する濁度センサ１６の出力を制御装置
２０によって読み込み、これを制御装置２０内のＲＡＭ
２３に格納する（ステップＳ１０３）。

【００２３】次に、図３における比較手段３３によっ
て、濁度センサの出力１６と、濁度センサ１６に汚れが
ない場合における洗浄実施前の洗浄水に対する濁度セン
サ１６の出力として設定された標準値とを比較して、セ
ンサ出力が標準値よりも低いか否かを判断する（ステッ
プＳ１０４）。センサ出力が標準値よりも低くない場合
（ステップＳ１０４；Ｎ）は、シーケンスの継続を決定
して（ステップＳ１０７）、動作を終了する。一方、セ
ンサ出力が標準値よりも低い場合（ステップＳ１０４；
Ｙ）は、センサ出力と標準値とのずれの度合が図３にお
ける補正手段３４によって補正可能な範囲内であるか否
かを判断する（ステップＳ１０５）。補正可能範囲内で
ある場合（ステップＳ１０５；Ｙ）は、図３における補
正手段３４によって、センサ出力と標準値とのずれの度
合に応じて、汚れ判別手段３１が洗浄水の汚れ具合を判
別する際に用いるセンサ出力と洗浄水の汚れ具合との対
応関係を表すテーブルを補正し（ステップＳ１０６）、
補正後のテーブルをＲＡＭ２３に展開し、シーケンスの
継続を決定して（ステップＳ１０７）、動作を終了す
る。このようにテーブルが補正された場合には、図３に
おける汚れ判別手段３１は、補正後のテーブルを用い
て、濁度センサ１６の出力から洗浄水の汚れ具合を判別
する。

【００２４】また、センサ出力と標準値とのずれの度合
が補正手段３４によって補正可能な範囲外である場合
（ステップＳ１０５；Ｎ）は、図３における警告手段３
５によって、操作パネル１９のセンサ清掃警告灯１９ａ
を点灯し（ステップＳ１０８）、以降のシーケンスの停
止を決定して（ステップＳ１０９）、動作を終了する。

【００２５】なお、図３における洗浄制御手段３２は、
例えば、予洗い行程の開始時と終了時の洗浄水の汚れ具
合の差に基づいて食器に付着している汚れの量を判別し
たり、予洗い行程中における洗浄水の汚れ具合の変化に
基づいて食器に付着している汚れの落ち易さを判別す
る。あるいは、予洗い行程を２回実行させて、各予洗い
行程の終了時における洗浄水の汚れ具合の差が大きい場
合には食器に付着している汚れは落ち易い汚れであると
判別し、差が小さいときは食器に付着している汚れは落
ちにくい汚れであると判別するようにしても良い。ま
た、予洗い行程の洗浄開始前と洗浄終了後所定時間放置
後の各時点における洗浄水の汚れ具合の差に基づいて食
器に付着している汚れのうちの水溶性の物質の量を推定
すると共に、洗浄終了時と洗浄終了後所定時間放置後の
各時点における洗浄水の汚れ具合の差に基づいて食器に
付着している汚れのうちの水溶性ではない物質の量を推
定して、食器に付着している汚れの質を判別するように
しても良い。

【００２６】そして、洗浄制御手段３２は、上述のよう
にして判別された食器に付着している汚れの量や落ち易
さや質に応じて、その後のシーケンスにおける洗浄条件
を制御する。例えば、落ちにくい汚れの場合には、落ち
易い汚れの場合に比べて、洗浄水の温度を上げたり、洗
浄時間を長くしたりする。また、例えば、水溶性ではな
い物質の多い汚れの場合には洗浄水の温度を上げたりす
る。このように本実施例によれば、濁度センサ１６の出
力を用いて洗浄水の汚れ具合を判別し、さらに、この洗
浄水の汚れ具合から食器に付着している汚れの量や落ち
易さや質を判別して、これらに応じて最適な洗浄条件を
決定することができる。

【００２７】また、本実施例では、予洗い行程における
洗浄開始前に濁度センサ１６の出力を取り込んで濁度セ
ンサ１６の汚れ具合を判別し、その汚れ具合が補正可能
な範囲内であれば、洗浄水の汚れ具合を判別する際に用
いるセンサ出力と洗浄水の汚れ具合との対応関係を表す
テーブルを補正してシーケンスを継続し、濁度センサ１
６の汚れ具合が補正可能な範囲外であれば、センサ清掃
警告灯１９ａによって濁度センサ１６の清掃を促す警告
を発して、シーケンスを停止するようにしている。従っ
て、濁度センサ１６に付着した汚れによる悪影響を防止
することができる。

【００２８】なお、本発明は上記実施例に限定されず、
例えば、センサ出力と洗浄水の汚れ具合との対応関係を
補正する場合、センサ出力と洗浄水の汚れ具合との対応
関係を表すテーブルを補正せずに、このテーブルを用い
た出力値（洗浄水の汚れ具合）を、他のテーブルあるい
は演算式によって補正するようにしても良い。また、テ
ーブルを用いずに所定の演算式によってセンサ出力から
洗浄水の汚れ具合を求めるようにし、センサ出力と標準
値とのずれの度合に応じてこの演算式を修正するように
しても良い。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように請求項１記載の食器
洗い乾燥機によれば、センサによって洗浄水の光透過度
合を検出し、このセンサの出力を用いて汚れ判別手段に
よって洗浄水の汚れ具合を判別すると共に、比較手段に
よって、洗浄実施前の洗浄水に対するセンサの出力を、
センサに汚れがない場合における洗浄実施前の洗浄水に
対するセンサの出力として設定された標準値と比較し、
この比較結果に応じて、補正手段によって、汚れ判別手
段が洗浄水の汚れ具合を判別する際に用いるセンサの出
力と洗浄水の汚れ具合との対応関係を補正するようにし
たので、センサにを用いて洗浄水の汚れ具合を判別でき
ると共に、センサに付着した汚れによる悪影響を防止す
ることができるという効果がある。

【００３０】また、請求項２記載の食器洗い乾燥機によ
れば、比較手段の比較の結果、センサの出力と標準値と
のずれの度合が補正手段によって補正可能な範囲外であ
る場合にはセンサの清掃を促す警告を発する警告手段を
設けたので、上記効果に加え、センサの汚れが多くなっ
た場合にセンサの清掃を促すことができ、より一層セン
サに付着した汚れによる悪影響を防止することができる
という効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る食器洗い乾燥機の概略
の構成を示す説明図である。

【図２】図１における制御装置とその周辺の構成を示す
ブロック図である。

【図３】図１における制御装置の機能を示す機能ブロッ
ク図である。

【図４】図１の食器洗い乾燥機において濁度センサの汚
れ具合を判別してその後のシーケンスを決定する動作を
示す流れ図である。

【符号の説明】

１１ 収納部 １２ 洗浄ノズル １３ 洗浄水循環路 １５ 洗浄ポンプ １６ 濁度センサ １７ 発光部 １８ 受光部 １９ 操作パネル １９ａ センサ清掃警告灯 ２０ 制御装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47L 15/00 - 15/46

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 食器を収納する収納部と、 この収納部に収納された食器を洗浄する洗浄手段と、 この洗浄手段によって洗浄された食器を乾燥させる乾燥
   手段と、 前記洗浄手段が用いる洗浄水を循環させる循環手段と、 この循環手段によって循環される洗浄水の光透過度合を
   検出するセンサと、 このセンサの出力を用いて洗浄水の汚れ具合を判別する
   汚れ判別手段と、 洗浄実施前の洗浄水に対する前記センサの出力を、セン
   サに汚れがない場合における洗浄実施前の洗浄水に対す
   るセンサの出力として設定された標準値と比較する比較
   手段と、 この比較手段の比較結果に応じて、前記汚れ判別手段が
   洗浄水の汚れ具合を判別する際に用いるセンサの出力と
   洗浄水の汚れ具合との対応関係を補正する補正手段とを
   具備することを特徴とする食器洗い乾燥機。
2. 【請求項２】 前記比較手段の比較の結果、センサの出
   力と標準値とのずれの度合が前記補正手段によって補正
   可能な範囲外である場合には、センサの清掃を促す警告
   を発する警告手段をさらに具備することを特徴とする請
   求項１記載の食器洗い乾燥機。