JP3065628B2 - ヒト免疫グロブリン遺伝子関連dna断片及び該dna断片を用いる診断方法 - Google Patents

ヒト免疫グロブリン遺伝子関連dna断片及び該dna断片を用いる診断方法

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JP3065628B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、免疫学、遺伝学、発生学、血液学、癌研究
等の分野で、下等動物より哺乳動物などの高等動物まで
の免疫グロブリンあるいはT細胞レセプターを生産する
動物類における、なかでもヒトにおける免疫グロブリン
あるいはT細胞レセプターの産生に関与する新たなDNA
断片に関する。
本発明のこれらDNA断片の、各種細胞からのクローニ
ング及び構造決定による免疫グロブリンあるいはT細胞
レセプターの多様な反応性の遺伝子レベルでの解析・実
証を行なうことにより、これらDNA断片に含まれる遺伝
子の発現過程を利用して、多様な抗原特異性を持つ免疫
ブロブリンを各種生産する技術の確立に必要な情報が提
供され得る。
更に、本発明は、前記のこれら特定のDNA断片を含む
固定のDNA断片を腫瘍マーカーとして用いるB細胞系あ
るいはT細胞系腫瘍細胞の検出法、すなわちリンパ系腫
瘍、白血病等の診断方法も提供する。
[従来の技術及び発明が解決しようとする課題] 免疫化学、細胞免疫学、免疫遺伝学の進展により、動
物の生産する抗体分子(免疫グロブリン)については、
以下のような事実が明らかとされている(参考文献1:後
述の参考文献リストにその詳細を示す)。
免疫グロブリン(Ig)は、2本の同一な重鎖(H鎖)
および軽鎖(L鎖)からできている。H鎖、L鎖は構造
および機能上、2つの領域に分かれており、定常(不
変)領域(C領域)と呼ばれる一定した一次構造を持つ
C末端側に位置する領域と、可変領域(V領域)と呼ば
れるN末端より約110アミノ酸残基の領域とがあり、V
領域が抗原結合領域に相当する。
抗体の抗原結合能力の多様性は、V領域のアミノ酸一
次配列の相違で説明され、即ち対応する遺伝子のDNA塩
基配列の相違に起因する。
H鎖及びL鎖のV領域のアミノ酸の多様性について、
N末端からの距離とアミノ酸の変異度との相関からみる
と、V領域全体として高い変異度があるが、その中でも
とりわけ多様性に富んでいる場所が、それぞれ3個所に
集中している。それは、IgのV領域の立体構造において
βシート構造を形作るポリペプチドIIとIIIの間、IIIと
IVの間及びVIとVIIの間の3個所であり、H、L両鎖で
計6個所となる。これらの個所が抗原結合部位をポケッ
ト状に形成するので、相補性決定部位(complementarit
y determing region;CDR)と呼ばれている。
そして、これら3個所はそれぞれCDR I、CDR II、CDR
IIIと呼ばれる。
この中でH鎖のCDR IIIはとりわけ多様性に富んでお
り、このV領域部分が、多種類の抗原結合能を有するこ
とと密接に関連している。
20種類のアミノ酸のうち、比較的βシート構造をつく
りやすいアミノ酸は、システィン、フェニルアラニン、
イソロイシン、ロイシン、メチオニン、グルタミン、ス
レオニン、バリン、トリプトファン、チロシンの10種類
である。
他方IgH鎖遺伝子の全構成はH鎖V(variable)領域
(VH)遺伝子、H鎖D(diversity、分岐)領域(DH
遺伝子、H鎖J(joining、結合)領域(JH)遺伝子及
びC領域遺伝子の順で成り立っている。
Ig遺伝子は、Bリンパ球系細胞に特異的に発現する遺
伝子で、その発現はB細胞の分化・成熟の過程にともな
って調節・制御される。
すなわち、これら遺伝子は2種類のDNA再配列を行な
い、1つはVH−DH−JH結合で、これにより完全な活性型
V遺伝子が形成される。いま1つは、H鎖のクラススイ
ッチのためのDNA再編成である。
胎児型遺伝子配列の中で分散していたH鎖遺伝子は、
幹細胞からB細胞へ分化する過程で、まず1つのDH遺伝
子断片と1つのJH遺伝子断片が、その間のシグナルヘプ
タマー、シグナルノナマー、スペーサーを含むイントロ
ン部分の欠失をともなって結合し、次にこのDJ結合断片
が1つのVH断片と結合し、VDJという遺伝子配列をもつ
活性型のV遺伝子が形成される。
このIgH鎖遺伝子D領域に存在するDH遺伝子が、H鎖C
DR IIIをコードする遺伝子であり、同一のファミリーに
属する胎児型DH遺伝子は、規則的な間隔で、マウスでは
5キロ塩基対(kb)(参考文献2)、ヒトでは9kb(参
考文献3)ごとに繰り返しコードされている。
しかしながら、ヒトD領域におけるDH遺伝子の分布、
存在様式については、十分で詳細にわたる検討は未だ行
なわれていなかったのが現状であり、わずかSiebenlist
らが上記の報告(参考文献3)で2つのDH遺伝子ファミ
リー(DHQ52、DLR)を同定していたにすぎない。
そこで、本発明者らの一人は、既にマウスの胎児型DH
遺伝子を12個同定し、3つのファミリーに分類した(参
考文献2)が、引き続き本発明者らはヒトDH領域ゲノム
についても詳細に検討し、9kb単位の中に、5つの異な
るDH遺伝子(DM1遺伝子、DLR1遺伝子、DXP1遺伝子、D
XP′1遺伝子及びDN1遺伝子)を同定した(参考文献
4)。
DH遺伝子領域は、抗体分子の各種抗原に対する多様な
反応性を、VH遺伝子領域、JH遺伝子領域とともに規定し
ており、これら3つの遺伝子の結合の組み合せから、1
個の生体は106〜108種類の抗体分子をつくり得るとされ
てる。
他方、T細胞レセプター、特にβ鎖、δ鎖の遺伝子の
VDJ結合の多様な組合せ、そして抗原に対する多様な反
応性も免疫グンロブリンと同様に解明されてきている。
このように多様な抗原に対して、B細胞系細胞あるい
はT細胞系細胞が分化し、その分化過程で抗体あるいは
T細胞レセプターの各遺伝子間で再編成が起き、多様な
抗体あるいはT細胞レセプターを産生するメカニズムの
大筋は明らかにされたが、その実体については未解決の
問題も多く、そのメカニズムを利用した多様な抗体等の
人為的な生産の研究は未だ行なわれていなかった。
本発明者らは、CRD IIIの抗原結合能の多様性の決定
に特別深く関与しているDH遺伝子領域の全貌を明らかに
し、多種多様な抗体を作製する手段を開発する道を切り
開くことにつなげたいと考えた。
すなわち、更により多くのDH遺伝子をクローニング
し、そのヌクレオチド配列を明らかにし、特定の部位の
アミノ酸を種々変えたIgを人工的に調製するために、そ
れらDH遺伝子を使用することを企画した。
従来における抗体生産の研究は、特定の抗原に対する
ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体を必要にせま
られ調製している場合がほとんどすべてであったが、本
発明者らの方法は、従来における研究とは逆に、あらか
じめ様々な抗体を人工的に作製しておき、しかる後に、
これまで未検討の抗原あるいは新たに出現してきた抗原
に対応する抗体を、それらの中から探索・スクリーニン
グしていくという方法である。
本発明の目的は、Igの産生調節機構の解明及び新たに
人工的なIgの生産に有用な細胞生物学上、また医学的
に、更に医療産業上の応用に極めて有用な技術を提供す
ることにある。
例えば、各種DH遺伝子の詳細なヌクレオチド配列と各
種DH遺伝子のスクリーニングや同定に有用なプローブを
提供することにある。
更に、本発明は、前記の各種DH遺伝子DNA断片を含む
固有のDNA断片を腫瘍マーカーとして用いるB細胞系あ
るいはT細胞系腫瘍細胞の検出法、すなわちリンパ系腫
瘍、白血病等の診断方法も提供する。
[課題を解決するための手段] 本発明のDNA断片は、DH遺伝子ファミリーDA、DK及び
DIRに属するDH遺伝子の1以上を少なくとも含むことを
特徴とする。
このDNA断片は、各種DH遺伝子のスクリーニングや同
定などのプローブとして、あるいは特定の部位のアミノ
酸を種々変えたIgを人工的に調製するための各過遺伝子
工学的操作に用いる遺伝子配列として有用である。
以下、本発明のDNA断片について、DHP4遺伝子、DA4
伝子、DK4遺伝子、DN4遺伝子、DIR遺伝子、DM1遺伝
子、DLR1遺伝子、DXP1遺伝子、DXP′1遺伝子、DA1
伝子、DK1遺伝子、DN1遺伝子,DIR遺伝子及びDM2遺伝
子を含む15kbからなるDNA断片を代表例として詳細に説
明する。
なお、15kb DNA断片中に見い出される遺伝子ファミリ
ーDA、DK及びDIRに属するDH遺伝子、すなわち、DAに属
するDA4遺伝子、DA1遺伝子;DKに属するDK4遺伝子、DK1
遺伝子;DIRに属するDIR、DIRは、その存在及び具
体的なDNA配列が本発明者らによって初めて特定された
ものである。
先に述べたようにDH遺伝子領域(多数のDH遺伝子が配
列された領域)には、同一ファミリーに属するDH遺伝子
が9kb間隔で繰り返されていることが知られており、本
発明者らにより同定された上記のDH遺伝子と同一ファミ
リーに属するDH遺伝子が該15kb DNA断片領域以外のDH
伝子領域にも存在する(このことは後述の実施例の結果
によっても支持されている)。
従って、上記15kb DNA断片以外のDH遺伝子領域中にあ
る遺伝子ファミリーDA、DK、DIRに属するDH遺伝子もま
た本発明に含まれるものである。
該15kb DNA断片領域のヒト胎児型DNAでの存在位置を
第1図に模式的に示す。
該15kb DNA断片領域は、前述のSiebenlistらの報告
(参考文献3)にあるD1に対応するDLR1の上流及び下流
部分に相当し、9kbからなるDLR1を含むその上流部分を
とし、下流部分をとし、同一ファミリーのDH遺伝子
が対応するよう分割して示した。即ち、のDNA鎖の
3′末端に、のDNA鎖の5′末端が連結している。
のDNA鎖とのDNA鎖の間に引いた線は、両鎖を比較
して挿入あるいは欠失がある部分を示す。
なお、RE1及びRE2で示された領域は16bpの繰り返しを
示す。また、EはEcoR I切断部位、BはBamH I切断部
位、HはHind III切断部位をそれぞれ示す。Eは、ク
ローニングのために人工的にマニアチスらにより導入さ
れたEcoR I切断部位である。
従って、該15kb DNA断片から所望の部位を含む小断片
を得るには、これらの制限酵素切断部位が好適に利用で
きる。
上述の本発明の15kb DNA断片および各DH遺伝子は、遺
伝子工学を利用した人工的な各種抗体の調製等、これら
DNA断片の機能を種々の用途に使用する際の原料とし
て、また後に説明する本発明者らによる新たな知見を確
認するための、あるいは免疫グロブリン生産調節機構の
更なる解明のために利用する試薬として有用である。
これら本発明の15kb DNA断片および各DH遺伝子は、例
えばヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子を適当な制限酵素で
処理して断片化し、これを適当なベクターに結合して、
DNAライブラリーを作製し、その中から所望の遺伝子を
含むクローンを選択する方法により作製できる。また、
DH遺伝子は、15kb DNA断片からの再クローニングや化学
的合成法で調製できる。
このDNAライブラリーの作製には、クローニングに広
く用いられている各種のプラスミドやフファージからな
るベクターを用いることができる。
以下、ベクターとしてλ−ファージ由来のベクターを
用いる場合について述べる。
まず、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子を有する適当な
造血細胞のDNAを常法により調製し、これを適当な制限
酵素で処理し、得られたDNA断片をCharon 4 Aベクター
等のλ−ファージ由来のベクターに結合させて、DNAフ
ァージライブラリーを作製する。
次に、このDNAファージライブラリーから適当なDH
伝子スクリーニング用のプローブとハイブリダイズする
組換え体を、プラークハイビリダイゼーション等の方法
により選別する。
選別された、クローンが所望の遺伝子を含んでいるか
どうかは、その制限酵素地図を作製したり、ヌクレオチ
ド配列を分析することにより確認できる。
なお、上述のDNAファージライブラリーとしては、例
えばマニアチス(T.Maniatis)のヒトDNAファージライ
ブラリー(参考文献5)が利用できる。
なお、このスクリーニングには、例えば、Benton−Da
vis法(参考文献6)などが利用できる。
なお、λ−ファージ由来のベクターに所望の遺伝子を
組み込んで作製したクローンは、適当な細菌を宿主とし
て増殖させて、種々の用途に用いることができる。
マニアチスのヒトDNAファージライブラリーのよう
に、Charon 4 Aベクターを用いた場合は、宿主として、
大腸菌(Escherichia coli)DP 50、E.coli 803[例え
ば、K.Murray(University of Edinburgh)等から入手
できる]、E.coli K−12 X 1776(ATTC 31244)、E.col
i K 802(ATTC 33526)、E.coli LE 392(ATTC 3357
2)、E.coli MM 29d(ATTC 33625)、E.coli MM21(ATT
C 33678)などが利用できる。これらの中では、E.coli
803が好ましい。
上記15kb DNA断片を含むクローンは、例えば、上記マ
ニアチスのヒトDNAファージライブラリーから、Ravetch
らが取り出したDH−JHプローブ(参考文献10)を用い
て、前述のBenton−Davis法(参考文献6)によって単
離することができる。
なお、後述の実施例1でマニアチスのヒトDNAファー
ジライブラリーから分離された第1図の15kb DNA断片を
含むクローン(Bacteriophage,Clone HUD−3)は、NCI
MB(National Collection of Industrial and Marine B
acteria;P0 Box 31,135 Abbeyoad,AberdeenAB9 8DG,Sco
tland,UK)にブタペスト条約に基づいて寄託されてお
り、その寄託日及び寄託番号は以下のとおりである。
寄託日:昭和63年(1989)2月27日 寄託番号:NGIB 40122 また、該15kb断片中の各DH遺伝子を個々に、適当なベ
クター中に組み込んだクローンは、常法に従って各DH
伝子の上流及び下流にある適当な制限酵素切断部位を利
用して、これらを切り出してクローン化することによっ
て得ることもできる。
該クローン化に、Charon 4 Aベクターを用いた場合
は、宿主として上記の大腸菌が利用できる。
また、プラスミドベクターを用いたクローンとして
は、例えば、後述の実施例2で得られたプラスミドpPDX
P(DXP1遺伝子を含む)、プラスミドpDA(DA4遺伝子を
含む)、プラスミドpDK(DK1遺伝子を含む)、プラスミ
ドpDN(DN4遺伝子を含む)、プラスミドpDM(DM2遺伝子
を含む)、プラスミドpDLR(DLR1遺伝子を含む)等を挙
げることができる。
なお、これらプラスミドpPDXPを有する大腸菌MV1184
は昭和63年12月15日付で、ブタペスト条約に基づいて工
業技術陰微生物工業技術研究所[茨城県つくば市東1丁
目1番3号(郵便番号305)]に寄託され、各寄託番号
は次のとおりである。
大腸菌pPDXP(プラスミドpPDXPを有する): FERM BP−2193 大腸菌pDA(プラスミドpDAを有する): FERM BP−2188 大腸菌pDK(プラスミドpDKを有する): FERM BP−2189 大腸菌pDM(プラスミドpDMを有する): FERM BP−2191 大腸菌pDN(プラスミドpDNを有する): FERM BP−2192 大腸菌pDLR(プラスミドpDLRを有する): FERM BP−2190 この15kb DNA断片の塩基配列は第2図に示すとおりで
ある。
第2図において、シグナルヘプタマー、シグナルノナ
マー部分に下線が引かれ、オープンリーディングフレー
ム(DHコード領域)には太い下線が引かれている。
また、典型的なDHコード領域の隣接領域のなか以外の
領域にも15個のCAC(A/T)GTG領域が存在し、そこにも
下線が引いてある。
それらのうちの1つで、DM遺伝子の上流に位置するヘ
プタマーはシグナルノナマーにより取り囲まれている。
第1図の始めの9kb領域には、6個の異なるDH遺伝
子が同定された。すなわち、5′−DXP4−(1061bp)−
DA4−(889bp)−Dk4−(1773bp)−DN4−(430bp)−D
M1−(2610bp)−DLR1−3′である。
DXPとDLRの間には特徴的な16bpの繰り返し配列が存在
し、これらは21回繰り返され、該繰り返し部分の共通配
列は、CCTGG(G/A)C(C/T)T(C/A)AC(C/T)TG(A
/G)である(なお、「/」は「または」を意味する)。
また、DXP4の上流には同じ16bp配列が17回繰り返されて
いる。
第1図の領域の次の9kb領域の前半部分には、DXP
遺伝子を含むDNA断片が重複化しており、DXP1とD
XP′1が存在する。
この領域でのDH遺伝子の配列順序は、5′−DXP1
(97bp)−DXP′1−(804bp)−DA1−(884bp)−Dk1
−(1426bp)−DN1−(430bp)−DM2−3′である。
なお、DLR2は、まだ本発明者らの配列決定はそこまで
到達していないが、前に挙げたSiebenlistらの報告(参
考文献3)のとおりに存在しているはずである。
また、第1図部分と部分での繰り返し配列を対比
すると、4つの大きな欠失及び挿入部分が存在し、それ
らはI(256bp)、II(859bp)、III(499bp)、IV(16
bp)で表示された部分(四角で囲んだり、塗りつぶした
3角の印がついている)である(第1図にも対応する部
分を示してある)。
更に、部分と部分では、点変異や1〜3ヌクレオ
チドの欠失、挿入のような僅かの相違の存在も認められ
た(後述の表1)。
DLR1の上流領域のDXP4遺伝子は、DLR1の下流領域にお
いて局所的に重複化されDXP1遺伝子及びDXP′1遺伝子
となっている。
先に挙げた参考文献4の報告で、相同的配列のCCACAG
(G/*)CCTCCC(C/T)における不平等交差(乗り換えc
rossing−over)が生じるであろうという仮説は、上記
の事実によって確証された。
以上第1図および第2図で説明したように、本発明者
らがクローン化した15kb断片中に新たに3つのDH遺伝子
ファミリーが見い出されたことから、DH遺伝子領域中に
存在するDH遺伝子の総数は約30と見積ることができる。
すなわち、Siebenlistら(参考文献3)は、4個DLR
遺伝子ファミリーに属するDH遺伝子がヒトのゲノム上で
9kbの間隔で直列にコードされていると報告している。
最近、Matsudaら(参考文献7)は、VH遺伝子領域の中
に更に1つのDLR遺伝子(DLR5)を同定した。Buluwelら
(参考文献8)もまた、DH遺伝子の大及び小クラスター
の構成の特性を記述した。
なお、本発明の15kb DNA断片は、これら公表論文のD
LR4の3′側よりDLR2の5′側までの部分に相当するも
のである。
本発明者らは、実施例3においてDH遺伝子の総数を見
積るために、第1図に示すような異なるファミリーに属
するDH遺伝子を個々にそれぞれ含む6つのプローブ(第
1図中ので示された部分のDNA断片をそれぞれ含むク
ローン)を調製し、これらのプローブを使用した、BamH
I、EcoR I及びHind IIIでそれぞれ消化処理したヒト胎
盤DNAのサザーンハイブリダイゼーションを行なった。
DLRプローブは、BamH I消化物では18、7.2、6.5、2.2
及び1.9kbに相当する位置に5つのバンドを同定した
が、これは上述の参考文献3での報告とほぼ同じであっ
た。Dxpプローブは、BamH I消化物では20、7.2、6.5、
4.4及び3.7kbに相当する位置に5つのバンドを同定し
た。同様に、DA、DK及びDMプローブは上記3種の異なる
制限酵素の1種で5つのバンドを同定した。
このことは、これら5つのDH遺伝子ファミリー
[DLR、Dxp、DA、DK及びDM)はすべて5つのメンバーよ
り構成されていることを示す。
なお、DNプローブでは、上記3種全ての制限酵素にお
ける消化物で3つのバンドしか同定されていないが、こ
れは9kbの繰り返しのヌクレオチド配列が繰り返し領域
間で良く似ているので、1つのバンドが2つ以上のDH
伝子を含んでいたために生じた可能性がある。また、こ
れに加えて、大きなDNA断片もまた、2つ以上のDH遺伝
子を含んでいる可能性もあるかもしれない。
これらプローブのそれぞれの大きさは、ほぼ500ヌク
レオチド長であるが、プローブでカバーされる領域中に
制限酵素切断部位があるため、あるプローブが1個のDH
遺伝子に対し2個のバンドを同定する可能性もある。
すなわち、これらの要因によりサザーンハイブリダイ
ゼーションによるDH遺伝子の数の見積りは妨害を受る可
能性がある。
しかしながら、それぞれのプローブはDNプローブを除
き3種の制限酵素に3〜5のバンドを同定したので、5
つの9kb間隔を置いた繰り返しがそれぞれ6種のDH遺伝
子ファミリーを含んでおり、DH遺伝子の総数がほぼ30で
あるということはほぼ間違いない。
一方、第4図に示すように、上記15kb DNA断片中の各
DH遺伝子は7つのDH遺伝子のファミリーに分類された。
各DH遺伝子は図示するように12ヌクレオチドスペーサ
ーで分離されたシグナル ヘプタマーとノナマー(下線
が引かれている)にその両側が取り囲まれている。
DLR1〜DLR4は前述のSiebenlistらの報告(参考文献
3)で公表されたものである。
ところが、本発明者らの分析では、DLR1のほぼ中央部
は、AAではなくGGであった。これは本発明者らによる新
たな知見である。
また、DLR5は参考文献9に、DHQ52は参考文献10)に
報告されたものである。
第4図の比較結果からわかるように、同一DH遺伝子フ
ァミリーに属するDH遺伝子間でシグナルヘプタマーは良
く保存されている。ただし、DM2の5′側でCACAGTGの代
りにCACAGCGが見つかり、DA1の5′側でTGCTGTGが見つ
かった。
これに対し、シグナルノナマーは比較的に共通ノナマ
ー(GGTTTTTGTまたはACAAAAACC)から分岐していた。
この現象は、IgおよびT細胞レセプター(TRC)遺伝
子(参考文献11)の別のシグナル領域の中に一般的に見
られる。
なお、マウスの12個のDH遺伝子は3つのファミリー
(DSP2、DFL16及びDQ52)に分類された(参考文献
2)。
最大のファミリーのDSP2はTACTATGGT配列を中心領域
に含んでいる。また、一番頻繁に使用されるDH遺伝子の
FL16.1はTACTACGGT配列を含んでいる。DSP2ファミリ
ーはTyr−Tyr−Gly、Thr−Met、Leu−Trpをコードし得
るものであり、またDFL16.1はTyr−Tyr−Gly、Thr−Th
r、Leu−Argをコードし得るものである。
ところで、マウス体細胞DH配列の大多数はTyr−Tyr−
Glyを含んでいる(参考文献12)。
このことは、マウスでは3通りのオープンリーディン
グフレームの中の1つが主に使用されていることを示唆
している。
これに反して、ヒトでは第5図に示すように、3通り
のオープンリーディングフレームがすべて等しく使われ
ている。
なお、第5図の15個の体細胞型DH遺伝子の配列は参考
文献4に公表されたものである。また、第5図に要約さ
れているヌクレオチド配列の他にも、多数のヒト体細胞
型DH領域のアミノ酸配列が報告されている(参考文献1
2)。
これらは第6図に示すように2つの組み合せ、すなわ
ち同一アミノ酸からなるPOMとLAY、及び同一アミノ酸配
列[RPPWRFT(Arg−Pro−Pro−Trp−Arg−Phe−Thr]を
含むMCEとNZUを除いては完全に分岐している。
その他のアミノ酸配列は、3アミノ酸以上の長さの配
列相同性を有していない。
次に、体細胞型DHのアミノ酸配列と、第4図のヌクレ
オチド配列から決めた胎児型DHのアミノ酸配列とが以下
のように比較された。
3通りのオープンリーディングフレームはすべて読み
出されことができると仮定して、4つのアミノ酸の内で
3つのアミノ酸が一致する例、あるいは4つのより多い
アミノ酸が一致する例が探された。
これらの判断基準を体細胞型DHの胎児型DHへの帰属に
採用した理由は、偶然の一致のために3つのアミノ酸が
一致することはほぼ起こり得ないといえるからである。
見かけ上のアミノ酸配列はこれらの間で非常に異なって
いるが、第6図に示すように19個の体細胞型DH配列は胎
児型DH遺伝子のどれか1つに帰属された。
なお第6図において、体細胞型DH遺伝子配列は参考文
献12に報告されているものであり、胎児型DH遺伝子配列
は第2図のヌクレオチド配列から決定されたものであ
る。なお、共通のアミノ酸部分には下線が引かれてい
る。第6図において各アルファベットは以下に示すアミ
ノ酸を表す。
MCEとNZUで見られた異なる体細胞型DH配列中の同一配
列の存在は、これらがTdTによる無秩序なヌクレオチド
挿入の産物ではなくて、胎児型配列の中にコードされて
いることを示している。
RPPWRをコードしていると予測されるヌクレオチド配
列はGCに富んでいる。これらはDIR領域にコードされて
いるようである。
15個の公表された体細胞型DH配列は、すべてDNA配列
レベルでは胎児型DH遺伝子またはDIR遺伝子のどれかに
帰属されているので(第5図)、本発明の15kb DNA断片
に含まれる7種のDH遺伝子ファミリーとは異なる多くの
他のDH遺伝子が残っている可能性は少ないと考えられ
る。
第6図中でこれまでに決めた胎児型DH遺伝子に帰属で
きない体細胞型DH遺伝子は、6種のDH遺伝子ファミリー
に属する別のDH遺伝子に由来するのかもしれないし、ま
た配列の分岐は体細胞突然変異により更に拡大している
のかもしれない。
従って、ヒトIgH鎖のCDR III領域中の大きな多様性
は、限られた数の胎児型DH遺伝子および体細胞突然変異
により作られたということはもっとなことである。
これらの結果は、IgH鎖の体細胞DH配列が、マウスと
ヒトでは本質的に同じ機構で作られており、VH−DH−JH
構造中の体細胞DH領域の中心部が各々唯一のDH遺伝子か
ら由来していることを示している。
一方、DH遺伝子の進化については以下のような仮説が
立てられている。
SakanoらによりV及びCドメインをコードするDNA断
片は、おそらく原始的遺伝子の多重化により生じたもの
であろうとの推論がなされ(参考文献14)、更に、Saka
no(参考文献13)らは先祖のVコードDNA断片は連続し
ていたが、挿入断片(IS)様DNA要素がこの先祖V遺伝
子の中に挿入されVとJ遺伝子という2つの部分に分け
られたと提唱した。
そこで推定上のIS様DNA要素の両端には、12及び23ヌ
クレオチドスペーサーシグナルの存在を仮定し、また同
様のIS様断片がさらにもう一度J遺伝子の5′端の近く
に挿入され、DとJ遺伝子に分けられたのではないかと
考えられる。
IgやTCR遺伝子部位におけるスペーサーの長さの規則
性はこの仮説により説明される。更にこのIS様DNA断片
はどちら向きにも挿入されたであろう。
実際、ツノザメのIgH鎖遺伝子部位で見られるDH遺伝
子は5′側に12ヌクレオチドスペーサーシグナルを、ま
た3′側に23ヌクレオチドスペーサーシグナルを含んで
いる(参考文献15)。
このIS仮説が正しいならば、JH遺伝子領域の近くに位
置するDHQ52が最初に進化したDH遺伝子であるはずであ
る。
そこで、他のDH遺伝子はDHQ52遺伝子から由来してい
るのだろうかという疑問が出てくる。しかしながら、シ
グナル領域における突然変異頻度の程度が介在領域にお
けるよりもわずかに低いにも拘らず、これら6つの異な
るDH遺伝子が同一の原始DH遺伝子より由来しているとい
うのはありそうもないことである。DH遺伝子の本質的機
能は分岐性を創造することなので、通常の蛋白質をコー
ドする遺伝子のようにDH遺伝子のヌクレオチド配列を保
持するような進化上の選択圧力が存在するのは理屈にあ
わない。機能を持たないDH遺伝子の創造は生存能力には
なんの影響も及さないのかもしれない。
Akiraら(参考文献11)は、スペーサーの長さと同じ
ヘプタマーやノナマー配列が組み換えに本質的であり、
スペーサー領域におけるヌクレオチド配列は重要ではな
いということを示した。
しかしながら、Ichiharaらが指摘しているように(参
考文献4)、シグナルノナマーやヘプタマー配列ばかり
ではなくスペーサー領域もまた一般的に回分式(パリン
ドローム的)である。
この特徴は突然変異の結果ではありえず、DH遺伝子の
起源の反映であると考え得る。
以上の推論や仮説に対して、本発明において得られた
新たな知見は、次のような新たな実証への手ががりを提
供する。
第7図は、本発明の15kb DNA断片中にある新規なDIR
遺伝子ファミリーに属する不規則スペーサーシグナルを
含むDH遺伝子の概要である。
第7図(a)に示されるように、DM遺伝子の上流にCA
CAGTG配列が在している。このヘプタマーはシグナルノ
ナマー様配列により両側を取り囲まれている。TとA
は、それぞれGGTTTTTGT−及びACAAAAACC−様配列を示し
ている。上側の配列(DIR−DM1)は第1図の最初の9
kb領域の中に、また下側の配列(DIR−DM2)は第
1図のに続く9kb領域の前半領域中に存在する。
これらのDIR遺伝子間で相違しているヌクレオチドに
は点が付されている。胎児型DH配列のどれにも帰属でき
なかった2つの体細胞型DH配列(HIG1と333)は、これ
ら領域と配列相同性を有している。このHIG1の体細胞型
DH配列は相補性配列を有しており、また333の体細胞型D
H配列はDIR遺伝子領域と同じ方向で相同性を示してい
る。コロン(:)は体細胞型DH遺伝子と胎児型DIR遺伝
子の間で一致している、あるいは相補性のあるヌクレオ
チドを示している。
この体細胞DH配列データは、HIG1については参考文献
16から、333については参考文献17より引用した。
更に第7図(b)に示すようにDIR領域は、両側を12
及び32ヌクレオチドスペーサーで隔てられたシグナルヘ
プタマー及びノナマーにより挟まれている。白抜き四角
はGGTTTTTGT−およびACAAAAACC−様配列を示す。黒塗り
四角はシグナルヘプタマー配列を示す。推定上のDH遺伝
子はシグナルヘプタマー(黒塗り三角)及びノナマー
(白抜き三角)ではさまれた白抜き枠で示した。ヘプタ
マーとノナマーの間の数字はスペーサーの長さを示す。
このDIR遺伝子ファミリーが新たに同定されたこと
で、以下のような事項が示唆され得る。
参考文献4には、GとC残基に富むHIG1および333細
胞の体細胞DH配列に対応するもう一つの胎児型DH遺伝子
が予言されている。
しかし、すでに同定されていた17個の胎児型DH遺伝子
は、これと配列相同性を示さず、更にマウスにおいてさ
え、GとC残基に富む体細胞型DH配列のいくつかは12個
の胎児型DH断片のどれとも相同性を示さない(参考文献
2)。
AltとBaltimore(参考文献18)は、N領域の分岐に末
端転移酵素の関与を提案した際に、N領域にはGCに富む
配列が高頻度で現れることと末端転移酵素がdG残基を選
択しやすいことを強調した。
このような胎児型DH遺伝子のどれにも帰属されなかっ
たGCに富む体細胞型DH配列において、胎児型DH遺伝子に
よりコードされている領域はおそらくエクソヌクレアー
ゼ活性により除かれているのであろうと考えられる。
これに対し、本発明者らは第7図(a)に示すよう
に、DM遺伝子の上流に、配列がHIG1DH配列に相補的(18
/21ヌクレオチド)で、かつ333細胞のDH配列と相同的な
(16/23ヌクレオチド)DNA領域を発見した。このDNA領
域を取り囲む領域は上述のようにいくつかのシグナルヘ
プタマーとノナマーを含んでいる。第7図(b)にはそ
の位置とスペーサー長が図解的に示されている。
このDIR遺伝子ファミリーにおける5′端のヘプタマ
ーとDM遺伝子のヘプタマーとの間の距離はかなり長い
(127または151)にも拘らず、これら領域は両端を12及
び23ヌクレオチドスペサーシグナルの両者により取り囲
まれているこことがわかる。
このDIR領域は欠失または逆位によりDIR−DH結合に
関与している可能性がある。
興味あることに、相同な配列をならべてみると、HIG1
のDHとDIRの極性は逆で333とDIRの極性は同じであ
る。推定上のDIR−DH結合は5′側に12及び23ヌクレオ
チドスペーサーシグナルを、また3′側に12ヌクレオチ
ドスペーサーシグナルを持つはずなので、VH−DIR−DH
−JH、VH−DH−DIR−JH及びVH−DH−DIR−DH−JHの構
造のどれかを形成するための基質であるかもしれない。
次に本発明者らによって得られた知見を基にDH遺伝子
および介在領域での突然変異の頻度を計算するために、
第1図のとの部分が比較検討された。
DH遺伝子が機能を有する断片であるためには、両側の
21ヌクレオチドスペーサーシグナルの存在が本質的であ
ると思われる。
表1に第1図のとの部分における突然変異の頻度
を要約した。
なお、この比較から4つの長い挿入または欠失領域
(第1図及び第2図に示したI〜IVで示された部分)は
のぞかれている。
表1のグループIは16bp繰り返し領域とDXP遺伝子の
間の領域に、グループIIはDXP遺伝子とDA遺伝子の間の
領域にそれぞれ対応する。
また、1574から1829までの挿入領域、12686から13184
まで、13232から13247まで、及び3536から4394までの部
分は表1の比較から除かれている。
更に、グループIIIはDA遺伝子とDK遺伝子の間の領域
に、グループIVはDK遺伝子とDN遺伝子の間の領域にそれ
ぞれ対応している。
一方、グループVはDN遺伝子とDM遺伝子の間の領域
に、グループVIはDM遺伝子の下流にそれぞれ対応してい
る。
不一致の(1)と(2)は(塩基)転移(G⇔Aおよ
びT⇔C)と(塩基)転移(プリン⇔ピリミジン)をそ
れぞれ示す。なお、数字は塩基対数を示している。
表1に示すように、転移:塩基転換の頻度比率は、約
3:2であった。
また、短いヌクレオチドの欠失(または挿入)の総数
は1bpのものが45回、2bpのものが8回、3bpのものが3
回であった。
介在領域での2つの重複単位間の配列の違いの全体
は、約12%である。
シグナル領域においては、2つの同一遺伝子間でのヌ
クレオチドの違いがノナマーでは7bp(8%)、ヘプタ
マーでは4bp(6%)、スペーサー領域では10bp(8
%)見られた。
シグナル領域及び介在領域における突然変異の大多数
はDNA複製の間違いに起因するものと考えられる。
要約すると、1個のヌクレオチドの不一致は236回、
連続する2個のヌクレオチドの不一致は52回、連続する
3個のヌクレオチドの不一致は7回、連続する4個のヌ
クレオチドの不一致は1回、連続する8個のヌクレオチ
ドの不一致は1回であった。
1〜3個のヌクレオチドの欠失または挿入の大多数は
GCCCからGCCまたはGCCCCへのようなDNAポリメラーゼの
すべり(slippage)反応(参考文献21)により起こって
いる。
DHコード領域に見られる突然変異のいくつかは上記と
同様である。
DA4コード領域とDA1コード領域の間には差異はなく、
DM1コード領域とDM2コード領域では2個所に1個のヌク
レオチドの不一致が見られた。
DN1コード領域とDN4コード領域の間での連続する3個
のヌクレオチドの欠失(または挿入)はDNAポリメラー
ゼのすべり反応に起因するかもしれない。というのは、
AGC配列の3回繰り返しの中の1個のAGCが欠失していた
からである。
例えば、DXP1とDXP′1との間、DK4とDK1との間、D
LRファミリー等の、その他のDHコード領域で見られる差
異は、異なる特徴を持っている。
突然変異したヌクレオチドは限られた領域に密集して
おり、分岐したヌクレオチドは他のDHコード領域と相同
性を示している。
参考文献4では、DH遺伝子のコード配列が短いオリゴ
ヌクレオチドから組み立てられているように見え、DXP1
中のGATATTやDXP′1の中のGGGGAのような分岐した配
列がそれぞれDLR1やDHQ52の中にも見い出されることが
指摘された。
そこで、遺伝子変換(参考文献19)は、DHコード領域
における分岐性を高めている主経路の1つであるかもし
れないといえる。
更に、上述の本発明における新たな知見を用いてマウ
スとヒトのDH配列が比較された。
その結果、第8図(a)に示すように。1つのヒトDH
遺伝子のDHコードおよびシグナル配列はマウスのDSP2
ものと81%(59/73)の相同性を有しており、その上にD
K4の場合にはDH遺伝子領域だけでなく5′側及び3′側
隣接配列もDSP2のものと57%(135/236)の相同性を有
していることが判明した[第8図(b)]。
このことは、一度DHが進化した後は、DH遺伝子部位に
は広範囲な突然変異が起こらなかったことを示唆する。
6つの異なるDH遺伝子間では、この隣接配列は大いに
分岐しているようにみえるが、ある組み合せでは5′隣
接配列の100ヌクレオチド以上にわたり56〜61%の類似
性が見つかった。
同程度(52〜61%)の相補性が5′と3′隣接配列の
間に見い出された[第9図(a)]。
興味深いことには、相補性を示す隣接領域の配列の組
み合せは第9図(b)に示すように異なる遺伝子ファミ
リーに属している。
以上の事項を要約すると、 a.重複化してできてきた2つの単位間での介在配列の相
違は約12%であるが、シグナル領域では6〜8%の相違
があり、 b.5′隣接領域配列の間におけるある組み合せでは約60
%の類似性が見い出されており、 c.5′と3′隣接領域配列の間にもまた約60%の相補性
が見い出されており、 d.更に、DHコード領域の大多数には、CAC(A/T)GTG−
様の配列が見い出された(第4図)。
これらの結果に基き、本発明者らはDH遺伝子の起源に
つき以下の仮説を提唱することができる。
第10図に示す構造の原始的半D遺伝子(prih−D)の
クラスターが存在していた。
prih−D遺伝子とそれを取り除く領域のヌクレオチド
配列は初めから既に分岐していた。
V−(D)−J結合のリコンビナーゼは2つのprih−
D遺伝子を認識した。
これらDNA断片の極性は同じなので、欠失の代りに逆
位が起こった。
N断片は2つのシグナルヘプタマーの間に入れられた
のであろう。
この結果得られた断片は、DHコード領域が二組の12ヌ
クレオチドスペーサーシグナルにより取り囲まれている
ので、DH遺伝子としての機能を有している。
この仮定がこの限定された領域で数回生じた。
このprih−D遺伝子の起源として推定される遺伝子
は、シグナルを含み、多遺伝子ファミリーからなってお
り、既に分岐しており、クラスターを形成しているはず
である。
このprih−D遺伝子はV遺伝子の3′端であるだろ
う。というのは、DH遺伝子の隣接領域列とDH遺伝子の
3′隣接領域配列の間に配列類似性が本発明者らによっ
て見い出されたからである(第11図)。
相同性または相補性の程度(57〜63%)は、DH遺伝子
の隣接領域同士の間で見られるのと非常に似ている。
VH遺伝子がprih−D遺伝子になるためには、23ヌクレ
オチドスペーサー領域中にCAC(A/T)GTG配列が創造さ
れたはずである。
このことは起こり得たと考えられる。すなわち、現在
のDH遺伝子の3′側にスペーサーの中にもCAC(A/T)GT
G様の配列が見つかるからである(参考文献20)。
このモデルの有利な点は、逆位で得られたものが機能
を持った分岐DH遺伝子であること、及び多種多様なDH
伝子を得るためにはこの他に更に突然変異が起こったこ
とを仮定する必要がないことである。
上記した種々の知見から、ヒト免疫グロブリン重鎖お
よびTCRβ鎖、δ鎖遺伝子におけるVDJ結合の近傍領域の
塩基配列、すなわちV(−N−D−N)Jは、事実上、
無限大の多様性を示すことが明らかとなった。
なお、Nは胎児型のV、DあるいはJ遺伝子にコード
されていないヌクレオチド断片の略号で、V−D−Jの
再配列の過程で、DNA配列内にターミナルトランスフェ
ラーゼの作用により入るヌクレオチド断片である。
例えば、後記の患者骨髄由来のIgD−分泌ミエローマ
細胞のDNAをBamH Iで水解し、JHプローブで検出、分離
した20kbのDNAをフアージにパッケージしたDNAクローン
λIGD−1(参考文献26に記載)のVDDHJH再配列結合部
位を第12図に示す。
DH部分にはDk1およびDxp′1のみ含まれることが明
らかとなった(第13図)。
すなわち、他の例を含めて各体細胞型DHには、本発明
でクローン化された15kbのDNA断片等の中の多数の胎児
型DH遺伝子のうちごく一部のものが、VDDHJH再配列の際
に無作為に使用されており、体細胞型DHの塩基配列は無
限大の多様性を示し得る。
この無限大の多様性のあるDNA断片に対応する抗体の
ペプチド部位がCDR III領域である。
他方、リンパ球系腫瘍細胞は各個人、それぞれモノク
ローナルであることが知られており、腫瘍ごとにDH及び
DH近傍領域(NH)で固有のDNA断片を有すると考えられ
る。
このことから、リンパ系腫瘍に羅患した各患者のDH
びDH近傍領域(NH)の、その患者に固有のDNA断片の塩
基配列を腫瘍マーカーとして決定しておけば、その配列
を有するDNAプローブなどを用いて、患者の全リンパ球
(DNA量)における腫瘍細胞(DNA量)の割合を算出する
ことができる。
すなわち、Bリンパ球系腫瘍あるいはTリンパ球系腫
瘍、白血病、骨髄腫等において、種々の抗がん剤やステ
ロイド剤による骨髄形成の抑制のための化学療法が行な
われている。しかしながら、腫瘍細胞を完全に消滅させ
ることは、副作用などを警戒して、化学療法剤を充分
に、徹底的に投与することができないため、不可能に近
い現状である。
従って、白血病の活動を一時的に抑え込むことができ
た、いわゆるリンパ種、白血病の緩解期においても、再
生した正常骨髄細胞中に混入している腫瘍細胞の動態を
定期的に検査・診断し、白血病等の再発を、早期に診
断、予防、治療することが望まれ、行なわれているが、
診断法は、細胞診、骨髄穿刺による骨髄検査などの形態
学的分析にたよらざるをえない状況にある。
骨髄検査においては、白血病性幼若細胞が5〜15%を
超えた時はじめて、再発の診断が可能であり、早期の的
確な診断は困難であり、またリンパ球に特異的なモノク
ロナール抗体を用いた細胞蛍光分析法による診断も近年
行なわれているが、検出限界はそう改善されてはいな
い。
そこで本発明者らは、前記の知見に基き、リンパ球系
細胞が生産する免疫グロブリン、TCRに対応する再配列
遺伝子中のVH(NH 1−DH−NH 2)JHのDNA断片、特にDH
域及びDH領域近傍領域(NH 1、NH 2)のCDR IIIに対応す
る塩基配列が無限の多様性を示すことを利用して、腫瘍
細胞に固有のDNA断片の配列を同定した上で、正常リン
パ球系細胞のDNA量に対する割合を算出するというDNA診
断法を完成するに至った。
このDNA診断法は以下の過程を含む。
まず、個々の患者のリンパ球系細胞固有のDNA配列を
決定し、リンパ系腫瘍細胞の量を定量するに当って、ほ
とんど全ての細胞のVHおよびJH遺伝子に保存され、共通
にみられるDNA断片、すなわちVH中のオリゴヌクレオチ
ドを第1のプライマーとし、またJH中のオリゴヌクレオ
チドと相補的なオリゴヌクレオチドを第2のプライマー
として合成し、これらを患者リンパ系腫瘍細胞から分取
したDNAと混合し、PCR法[Saiki等のpolymerase chain
reaction法;参考文献24]等によってDNAポリメラーゼ
の存在下で多量のDNAを増幅生産させ、個々の患者のリ
ンパ球系細胞固有のDH領域近傍の遺伝子(NH 1、NH 2)の
塩基配列を決定し、上記VH中から選択したDNA断片VH (a)
と、決定したNH 1中から選択したDNA断片NH 1(a)からなる
VH (a)−NH 1(a)DNA断片を、また場合によってはDHにまで
入り込んだDNA断片を、患者固有の第3のプライマーと
して合成する。また、上記JH中から選択したDNA断片と
相補的なDNA断片JH (a)と、決定したNH 2から選択したDNA
断片と相補的なDNA断片NH 2(a)とからなるNH 2(a)−JH (a)
DNA断片を、また場合によってはJH領域の他の部位のDNA
断片と相補的なDNA断片を、患者固有の第4のプライマ
ーとして合成する。
次に、更に患者の治療過程において経時的に患者リン
パ球DNAと第3のプライマーと第2のプライマー(また
は第4のプライマー)の組と、あるいは第1のプライマ
ーと第4のプライマーの組と混合してPCR法等によってD
NAポリメラーゼの存在下で多量のDNAを増幅生産させ、
その生産されたDNA量からリンパ系腫瘍細胞の割合を測
定する。
この方法を用いることにより、白血病等の患者の制癌
剤等による治療効果、奏功度の診断、および再発の診断
を早期に、迅速に行なうことができる。
この診断法は、Bリンパ種、Tリンパ種、急性白血
病、骨髄腫等の診断に特に好適に利用できる。
IgD−分泌ミエローマ患者における本発明の診断法の
一例を以下に説明する。
まず、患者固有のV(N1−D−N2)Jの再配列結合部
位のDNA断片の塩基配列を決定する。
IgD−分泌ミエローマ患者の骨髄細胞あるいは末梢血
リンパ細胞より常法(参考文献22)に従いDNAを分取
し、そしてVH中に高い頻度で保存されたDNA断片オリゴ
ヌクレオチドを第1のプライマーとし、またJH中に高い
頻度で保存されたDNA断片オリゴヌクレオチドに相補的
な配列を有するDNA断片オリゴヌクレオチドを第2のプ
ライマーとして選択し、選択した配列を、例えば固相ト
リエステル法(参考文献23)によって、Applied Biosys
tems Model 380A DNA合成器を用いて合成する。
次に、合成されたオリゴヌクレオチドをHPLCで精製し
た。
第1及び第2のプライマーとしては、以下のものが用
い得る。
第1のプライマー 第2のプライマー 次に、検査診断対象としてのIgD−分泌ミエローマ患
者より常法(参考文献22)により分取したリンパ球系細
胞DNAと、第1および第2のプライマーを用い、PCR法を
利用して、これらプライマー間に形成されるDNA配列
[V(N1−D−N2)Jをコードする配列:VH(NH 1−DH
NH 2)JH]を多量に増幅生産させる。
増幅されたDNA配列は、そのヌクレオチド配列をサン
ガーらのジデオキシ法(参考文献25)によって決定して
から、その患者固有の腫瘍マーカーとして登録してお
く。
次に、この患者のリンパ球系細胞固有のDH領域近傍の
遺伝子(N1 H、N2 H)の塩基配列を選択し、上記VH中の任
意のDNA断片VH (a)と、決定したNH 1の中の任意のDNA断片
NH 1(a)からなるVH (a)−NH 1(a)DNA断片を、また場合によ
ってはDHにまで入り込んだDNA断片を、患者固有の第3
のプライマーとして合成する。
また、上記JH中の任意のDNA断片と相補的なDNA断片JH
(a)と、決定したNH 2の中の任意のDNA断片と相補的なDNA
断片NH 2(a)とからなるNH 2(a)−JH (a)DNA断片を、また場
合によってはJH領域の他の部位のDNA断片と相補的なDNA
断片を、患者固有の第4のプライマーとして合成する。
この第3及び第4のプライマーとしては例えば以下の
ものが利用できる。
第3のプライマー 第4のプライマー 次に、第3及び第4のプライマーと、検査診断対象と
してのIgD−分泌ミエローマ患者より、たとえば治療経
過を追って経時的に常法(参考文献22)により分取した
リンパ球系細胞DNAとをPCR法によって処理し、これらプ
ライマーの作用によって増幅したDNA配列があるかどう
か、また増幅したDNAの量から腫瘍細胞の割合を測定す
る。
なお、この増幅操作には、第1のプライマーと第4の
プライマーとを組合せて、第3のプライマーと第2のプ
ライマーとを組合せて用いることもできる。
また、増幅したDNA配列の検出は、電気泳動法によっ
て反応混合物を展開し、発色反応等によって可視化した
バンドと、先に患者固有の腫瘍マーカーとして登録した
DNA配列の同様の操作上の結果とを比較して、同一の位
置にバンドが表れるかどうかによって行なうことができ
る。
また、プライマーとして用いたDNA断片をプローブ類
として用いサザーンハイブリダイゼーションを行ない、
バンドを分析することもできる。
なお、第3及び第4のプライマーは、DNA配列を患者
固有の腫瘍マーカーとして登録したDNA配列から任意に
選択し、選択された配列ごとに上述と同様の操作を繰り
返して、その有効性を確認することで決定でき、上記の
配列に限定されない。
[実施例] 実施例1 Ichihara,Y.,Kurosawa,Y.et al;Eur.J.Immunol.,18,6
49−652(1988)に記載の方法に従って、T.Maniatis
(ハーバード大学)から供給されたヒトDNAファージラ
イブラリー(参考文献5)からヒト胎児型DNAのクロー
ンHUD−3を単離した。
すなわち、上記マニアチスのヒトDNAファージライブ
ラリーから、Ravetchらが取り出したDH−JHプローブ
(参考文献10)を用いて、Benton−Davis法(参考文献
6)によって、該DH−JHプローブにハイブリダイズする
15kb DNA断片を含むクローンHUD−3を単離した。
次に得られたクローンHUD−3中の15kb断片の常法に
従って制限酵素地図を作製し、またそのヌクレオチド配
列を、Messingら[Messing,J.et al;Nucleic Acids Re
s.,,309−321(1981)]の方法に従ったM13mp10また
はM13mp11をクローニングベクターとして用いたジデオ
キシ法[Sanger,F.et al;Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,
74,5463−5467(1977)]により決定し、第1図に示す
制限酵素地図及び第2図に示すヌクレオチド配列が得ら
れた。
第1図及び第2図に示した結果から、該クローンHUD
−3の15kb断片は、参考文献3中におけるD1に対応する
DLR1を断片が含むことが確認され、該15kb断片は胎児型
DH遺伝子領域を含むものであることが判明した。
実施例2 実施例1で得たクローンHUD−3中の15kb断片から以
下に示す制限酵素切断部位を利用して各DNA断片を調製
し、それらをそれぞれ個々に、BLUESCRIPT KS plus ベ
クター(Stratagene,San Diego,CA,USA)中に常法に従
って、クローン化し、第1図ので示される部位を有す
る組み換えDNA、すなわち、プラスミドpPDXP(DXP1遺伝
子を含む)、プラスミドpDA(DA4遺伝子を含む)、プラ
スミドpDK(DK1遺伝子を含む)、プラスミドpDN(DN4
伝子を含む)、プラスミドpDM(DM2遺伝子を含む)、プ
ラスミドpDLR(DLR1遺伝子を含む)を得た。
DXP1遺伝子を含む断片(DXP′1遺伝子を含む); BamH I−Bal I(10232)−Pst I(10749) DA4遺伝子を含む断片; BamH I−EcoR V(1561)−Acc I(2287)−Xho I DK1遺伝子を含む断片; Sac I(12241)−Sma I(12875) DN4遺伝子を含む断片; BamH I(4260)−Nco I(4901)−Sal I DM2遺伝子を含む断片(DIRを含む); Xba I−Stu I(14339)−Eco I(14923) DLR1遺伝子を含む断片; Xba I−Nco I(7577)−Hind III(8174) なお、上記の「」は構築過程で破壊された部位を示
し、また括弧内の数字は第2図における塩基番号に相当
する。
なお、各DH遺伝子を含むプラスミドの単離には、ベク
ターの有するポリリンカー部位が利用された。
得られた各組み換えDNAはそれぞれ個々に大腸菌MV118
4に常法によって導入された。
実施例3 実施例2で得た15kbから得られた各断片をそれぞれ個
々にプローブとして用いて、ヒト胎盤DNAのサザンハイ
ブリダィゼーションを行なった。
Gross−Bellardらの方法[Gross−Bellard,M.et al.;
Eur.J.Biochem.,36,32−38(1973)]に従ってヒト胎盤
DNAを抽出した。
抽出したヒト胎盤DNAは、制限酵素BamH I、EcoR I及
びHind IIIでそれぞれ個々に消化処理された。
得られた3種のDNA混合物(各々5μ)は、それぞれ
0.8%アガロースゲルを用いた電気泳動処理された。
各ゲルは、まず0.25M HClで15分間、次に0.5M NaO
H、1.5M NaClで30分間、更に1.0M Tris−HCl(pH7.5)
緩衝液(1.5M NaClを含む)で30分間処理された。
この処理によって得られたDNAは、Olszewskaら[Olsz
ewska,S.et al,;Trends in Genetics,,92−94(198
8)]によるサザーンの方法[Southern,E.M.;J.Mol.Bio
l.,98,503−517(1975)]の変法に従って、LKB 2016 V
acuGene vaccum blotting system(ファルマシア社製)
を用いて、20×SSCを利用してナイロン膜(Hybond N,ア
マーシャム)に移された。
膜に移されたDNAは5分間の紫外線照射処理及び80
℃、2時間の処理で固定された。
上記の操作で調製された各膜は、煮沸洗浄溶液(0.1
×SSC、0.1% SDS)中に15分間浸漬された後、プレハイ
ブリダイゼーション{5×SSPE(20×SSPE:0.2M NaH2PO
4緩衝液(pH7.4、3.6M NaCl、20mM EDTAを含む)、0.1m
g/ml熱変性サケ***DNA、50%ホルムアミド[メルク社
(ダルムシュタット、***)製]、5%Irishcream liq
uer[Baileys社(ダブリン、アイルランド)製]および
0.1%SDSに42℃で一晩処理}を行なった。
この、プレハイブリダイゼーション処理が終了した
後、実施例2で得た各DNA断片をランダムオリゴヌクレ
オチドラベリング法[Feinberg,A.P.et al.:Anal.Bioch
em.,132,6−13(1983)]によって32Pで標識する過程を
含む方法により、熱変性32P標識化DNAとし、それらを個
々にプローブとして加えることを除いては、上記プレハ
イブリダイゼーションと同様の処理条件のハイブリダイ
ゼーションを行なった。
4×SSCで42℃、30分の洗浄および2回の0.5×SSCの
洗浄処理を行ない、−80℃の条件でのオートラジオグラ
フを行なった。
結果を第3図に示す。
実施例4 [第1及び第2のプライマー用の配列の選択] 実施例1及び2で得られた各DNA断片及びこれらDNA断
片のクローニングに用いた各種プローブを用い、IgD−
分泌ミエローマ患者から常法(参考文献22)に従い骨髄
細胞あるいは末梢血リンパ細胞より分取したDNAを、実
施例3と同様の手法を用いたサザーンハイブリダイゼー
ションにかけ、その結果からVH(NH 1−DH−NH 2)JHの再
配列結合を有するDNA断片を特定してそれを実施例1で
用いたBenton−Davis法によりクローニングし、それら
のヌクレオチド配列をSangerらのジデオキシ法(参考文
献25)によって分析した。
次に、上述のようにして得られたV(N1−D−N2)J
の再配列結合部の配列をコードする領域[VH(NH 1−DH
−NH 2)JH]におけるVH遺伝子領域及びJH遺伝子領域の
それぞれにおいて高い頻度で保存されたDNA配列を特定
した。
その結果、VH遺伝子領域中に高い頻度で保存されたDN
A配列として以下の配列(なお括弧内はどれを選択して
も良く、括弧内部分の異なるものを混合して用いても良
い)を見い出し、第1のプライマー用配列とした。
また、JH遺伝子領域に高い頻度で保存されたDNA配列
と相補的な配列として、以下の配列を見い出し、第2の
プライマー用配列とした。
なお、参考に、第2のプライマー用配列の選択に利用
した上記の分析の結果得られたJH遺伝子領域における配
列の一部を第14図に示す。
実施例5 実施例4で選択した第1のプライマー用配列のうちの
1つを選択し、その配列を有するオリゴヌクレオチドを
固相トリエステル法(参考文献23)によって、Applied
Biosystems Model 380 A DNA合成器によって合成し、HP
LC(高速液体クロマトグラフィー)によって精製した。
これとは別に、実施例4で選択した第2のプライマー
用配列を有するオリゴヌクレオチドを固相トリエステル
法(参考文献23)によって、Applied Bio−systems Mod
el 380 A DNA合成器によって合成し、HPLC(高速液体ク
ロマトグラフィー)によって精製した。
次に、実施例4と同様の方法で、診断対象としてのIg
D−分泌ミエローマ患者(女性、45才)の骨髄細胞ある
いは末梢血リンパ細胞から分取した腫瘍細胞DNAと上記
の2種の精製オリゴヌクレオチドとを、SaikiらのPCR法
(参考文献24)によって反応させた。
反応液の組成は以下のとおりであり、反応条件はSaik
iらに従い、アニーリング温度は55℃とした。また、DNA
増幅のための反応は25回繰り返えされた。
反応液組成; 細胞DNA(100μg/ml) 10μl 第1のプライマー(20μg/ml) 3μl 第2のプライマー(20μg/ml) 1μl dNTP(150μM) 16μl Taqポリメラーゼ(10u/μl) 1μl 10×PCR用緩衝液 10μl 蒸留水 59μl 合計100μl 〔PCR用緩衝液:トリス塩酸(pH8.0)、NaCl 50mM、MgC
l2 10mM、メルカプトエタノール10mM〕 増幅反応終了後、反応混合液をアガロースゲルを用い
た電気泳動法によって展開した後、エチジウムブロマイ
ドでDNA断片を染色した。
その結果、282bpに相当する位置にバンドが検出され
た。
なお、実施例4で選択した第1のプライマー用配列の
うちあるいはを用いた場合に、282bpの位置に単一
のバンドが検出され、配列あるいはが、このIgD−
分泌患者の場合には、あるいはより優れていた。
次に、この282bpのDNA断片を必要に応じて適当な制限
酵素で処理し、実施例1で用いたデジオキシ法によっ
て、そのヌクレオチド配列を求めた。
得られたヌクレオチド配列を解析したところ、第12図
と同様の配列が含まれていることが確認された。
このヌクレオチド配列を前記診断対象患者に固有のDN
A断片マーカーとして登録した。
実施例6 [第3及び第4のプライマーの調製] 第12図に示された配列のVH(NH 1−DH領域から、以下
の配列を選択し、該配列を有するオリグヌクレオチドを
第3のプライマー用配列として実施例4と同様の方法に
より合成し、精製した。
更に、第12図に示された配列のDH−NH 2)JH領域より
下流の、第2のプライマー用配列と相補的な配列より更
に下流の配列を選択し、該配列と相補的な以下の配列を
有するオリグヌクレオチドを第4のプライマーとして実
施例4と同様の方法により合成し、精製した。
実施例7 [本発明の診断法の感度の検定] 実施例5で診断対象患者から分取した腫瘍細胞DNAの
細胞1個当りの量を測定した。
次に、正常胎盤細胞及び正常リンパ球細胞から実施例
4で用いた方法によって分取したDNAから、102個、104
個、106個の細胞分に相当するDNA量をそれぞれ調製し
た。
次に、腫瘍細胞DNAと、正常胎盤細胞DNAまたは正常リ
ンパ球細胞DNAとを混合し、細胞の個数[腫瘍細胞DNA
(X):正常胎盤細胞DNAまたは正常リンパ球細胞DNA
(Y)]で以下の比率となる試料A〜Iをそれぞれ調製
した。なお各試料の(合計)DNA量は、PCRを実施する前
で一定とした。
試料A 腫瘍細胞DNAのみ 試料B 正常胎盤細胞DNAのみ 試料C 正常胎盤細胞DNA使用、 X:Y=10-2:1(X=2ng) 試料D 正常胎盤細胞DNA使用、 X:Y=10-4:1(X=20pg) 試料E 正常胎盤細胞DNA使用、 X:Y=10-6:1(X=0.2pg) 試料F 正常リンパ球細胞DNAのみ 試料G 正常リンパ球細胞DNA使用、 X:Y=10-2:1(X=2ng) 試料H 正常胎盤細胞DNA使用、 X:Y=10-4:1(X=20pg) 試料I 正常胎盤細胞DNA使用、 X:Y=10-6:1(X=0.2pg) 次に、各試料を個々に用い、実施例5で調製した第3
及び第4のプライマーとのPCR法によるDNAの増幅生産を
行なった。
PCR用の反応液組成は以下のとおりである。なお、試
料の容量は、試料A〜Eで11.5μl、F〜Iで16.2μl
とした。また、各成分の濃度は実施例5と同様とした。
PCR用の反応液組成 試料 11.5μlまたは16.2μl 第1のプライマー 3 μl 第2のプライマー 3.5μl dNTP 16 μl Taqポリメラーゼ 0.5μl 10×PCR用緩衝液 10 μl 蒸留水 55.5μlまたは50.8μl 合計100μl 反応条件はSaikiらに従い、アニーリング温度は65℃
とした。また、DNA増幅のための反応は50回繰り返えさ
れた。
増幅反応終了後、反応混合液をアガロースゲルを用い
た電気泳動法によって展開した後、エチジウムブロマイ
ドでDNA断片を染色した。
試料A,C〜E、G〜Hにおいていずれも131bpに相当す
る位置に単一バンドが検出された。
また、試料B、Fではバンドは検出されなかった。
次に、131bpのDNA断片を常法により単離し、必要に応
じて制限酵素によって処理して、実施例1で用いたジデ
オキシ法によって、そのヌクレオチド配列を求めた。
得られたヌクレオチド配列を解析したところ、この13
1bpのDNA断片は第12図に示す配列中に含まれるものであ
ることが確認された。
以上の結果から、1/106の腫瘍細胞濃度まで検出でき
ることが確認できた。
実施例8 実施例5と同一の診断対象患者の治療過程において、
経時的にリンパ系細胞を分取し、得られた細胞からDNA
を分離して、実施例7の方法でリンパ系細胞中に含まれ
る腫瘍細胞の割合を検定した。
その結果、治療後、時間経過すると、増加する腫瘍細
胞も、抗癌剤の投与により、再び減少過程に入ることが
確認された。
[発明の効果] 従来の抗体生産の研究、実用においては、ある特定の
抗原に対応した抗体を、動物においてポリクローナル抗
体、マウス、ヒト等の抗体産生ハイブリドーマにおいて
モノクローナル抗体として生産することが行なわれてき
た。
本発明により得られたDH遺伝子等30種を利用し、また
3通りのオープンリーディングフレームを使用して、DH
領域だけでも少なくとも90種類の抗体を生産できる可能
性がある。VH領域、JH領域と組み合せれば、膨大な種類
の抗体が生産できるのであるが、本発明により得られた
知見をもとにして、細胞工学的、遺伝子工学的手法によ
り予め様々な抗体を人工的に作製しておき、しかる後
に、これまで未検討の抗原あるいは新たに出現してきた
抗原に対応する所望の抗体をそれらの中から探索、スク
リーニングするという方法が考案される。この方法が一
般化すれば、緊急を要し、量的に必要とされる特定の抗
体を、所望通り、医療用、あるいは研究用に提供するこ
とが可能となる。
また、本発明において、種々のDH遺伝子を含むVHDHJH
再配列結合部分のDNA配列がほぼ無限大の多様性を持つ
という知見が明らかとされ、現実の患者の腫瘍細胞のDH
領域に、本発明により同定とされた、DH遺伝子も含まれ
ていることも示された。更に、これらの知見に基づい
て、一人の腫瘍患者の腫瘍細胞はモノクローナルである
ことに基づいて、V(N−D−N)J領域は個々の患者
の腫瘍細胞に固有のDNA配列からなりたっており、それ
をメルクマールとして患者固有のDNA断片マーカーを、P
CR法による増幅を行なうためにプライマーとして合成
し、患者の腫瘍細胞に固有のDNA配列を増幅生産し、腫
瘍細胞の他のリンパ系細胞に対する割合を算出できるこ
とが実証され、本発明の診断法が確立された。
この診断法は、従来の形態学的、細胞遺伝学的診断法
に比べ、はるかに感度が良く、精度良い検査法であり、
リンパ系腫瘍、白血病等の早期診断および化学的療法の
奏功度のチェックに有用である。
更に、本発明により得られた各種のDHプローブは様々
な患者に対応する患者リンパ球の細胞タイピングに使用
される診断薬として有用である。
また、免疫グロブリン遺伝子及び関連遺伝子の調製よ
りも本発明のDHプローブを用いることによりより簡便に
行なえる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の15kb DNA断片におえる12個のDH遺伝子
の配列位置を模式的に示した図、第2図(a)〜(c)
は第1図に示した12個のDH遺伝子を含む15kb DNA断片の
ヌクレオチド配列、第3図は実施例3で行なったサザー
ンハイブリダイゼーションの結果を示す図、第4図は第
1図の15kb DNA断片中に見い出されたDH遺伝子を含む17
個のヒト胎児型遺伝子のヌクレオチド配列、第5図は胎
児型DH遺伝子と体細胞型DH遺伝子のヌクレオチド配列の
比較図、第6図はアミノ酸レベルでの体細胞型DH配列と
胎児型DH配列の比較図、第7図(a)及び(b)はDIR
遺伝子ファミリーの構成を示す図、第8図(a)及び
(b)はマウスとヒトDH配列の比較図、第9図(a)及
び(b)はDH遺伝子の隣接する配列間でのヌクレオチド
配列の比較図、第10図はDH遺伝子誕生のモデルを模式的
に示す図(四角枠内の数字はヌクレオチド数を示す)、
第11図はDH遺伝子の両隣接領域の配列と胎児型VH遺伝子
の3′側隣接領域との比較図、第12図はIgD−分泌ミエ
ローマ患者のVHDHJH領域のDNA配列を示す図(〜は
プライマーの選択に用いた配列を示し、ヌクレオチド配
列直上のアルファベットはその直下のコドンに対応する
アミノ酸を示し、第6図におけるのと同様に定義され
る)、第13図は第12図のDH領域のDNA配列のみを示す図
(はDK1に相当する部分、はDXP′1に相当する配
列)、第14図は同定された各種JH領域の結果の一部を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粟屋 昭 神奈川県横浜市戸塚区矢部町1541番地 (72)発明者 石塚 雄作 神奈川県横浜市中区本牧大里町21番地 (56)参考文献 Proc.Natl.Acad.Sc i.USA 85[22](1988,No v.)p.8548−8552 Eur.J.Immunol.18[4 ](1988,Apr.)p.649−652 Science 238(1987)p. 1134−1138 J.Exp.Med.155[1 ](1982)p.201−218 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) BIOSIS(DIALOG) EPAT(QUESTEL) GenBank/EMBL/DDBJ/G eneseq JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトDNAファージライブラリーから分離さ
    れた約15kbのDNA断片であって、以下のDH遺伝子: を含むことを特徴とするDNA断片。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のDNA断片を含むλファー
    ジクローン。
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Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85[22](1988,Nov.)p.8548−8552
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