JP3062439B2 - 鋳造装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は鋳造装置に関し、一
層詳細には、ダイカスト機に溶湯を供給するために垂直
方向に延在する射出スリーブに対して溶湯を効果的に供
給することが可能な鋳造装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】鋳造装置は、所定の形状のキャビテイ内
に溶湯を供給し、そしてキャビテイ内で溶湯を固化させ
ることにより所望の鋳造品を幅広く得ることができる。

【０００３】鋳造装置は、概ね、ホットチャンバとコー
ルドチャンバに分類することができる。図５に周知のコ
ールドチャンバ型の鋳造装置の一例を開示する。

【０００４】水平方向に指向する射出スリーブ１１は固
定プレート１２の略中央に位置するように配置されてい
る。射出スリーブ１１は固定プレート１２の底面の略中
央に位置する給湯口１３を有する。固定プレート１２は
給湯口１３の下に位置するＬ字状のパイプホール１４と
連通している。射出スリーブ１１に溶湯を供給するため
の給湯パイプ１５はパイプホール１４に延在する一端を
有し、給湯口１３と連結されている。

【０００５】給湯パイプ１５の他端は溶湯１７を貯留し
所定の温度に保持するための溶湯保持炉１６に連結され
ている。

【０００６】電磁ポンプ１８は給湯口１３を介し射出ス
リーブ１１に溶湯保持炉１６から溶湯１７を給湯するた
めの給湯パイプ１５に対して配設されている。溶湯保持
炉１６は溶湯保持炉１６内の溶湯１７を所定温度に保持
するヒータ１９を有する。

【０００７】キャビテイ２０は固定ダイ２１と可動ダイ
２２との間に画成される。温度を検出するためのセンサ
２３は湯道２４を介し射出スリーブ１１に連結されるキ
ャビテイ２０の底部の一端に臨む。溶湯１７が射出スリ
ーブ１１に必要量供給されたとき、センサ２３は充填さ
れた溶湯１７に接触し、射出スリーブ１１内に必要且つ
十分な量の溶湯１７が正確に供給されたことを検出す
る。すなわち、射出スリーブ１１には溶湯１７が１００
％満たされたということになる。フレーム２５は固定プ
レート１２の外側表面に連接し、タイバ２７を介して可
動ダイフレーム２８にボルト２６でしっかりと緊締され
ている。一端部が継手３０に連結し他端部が射出プラン
ジャチップ３１を保持するロッド２９は、圧力で駆動さ
れるシリンダ３３のシャフト３２と連結されている。

【０００８】図５を参照して従来の鋳造工程を説明す
る。

【０００９】溶湯保持炉１６に蓄えられた溶湯１７はヒ
ータ１９によって所定の温度に温められ、保持される。
このとき、シリンダ３３によって射出プランジャチップ
３１は退動動作を行う。電磁ポンプ１８は、給湯パイプ
１５を経て溶湯保持炉１６から射出スリーブ１１に溶湯
１７を給湯すべく駆動される。電磁ポンプ１８は溶湯１
７が射出スリーブ１１に所定量供給されるまで付勢さ
れ、センサ２３は、所定量の溶湯１７が供給されたこと
を検知すると、電磁ポンプ１８による射出スリーブ１１
への溶湯１７の供給を停止する信号を図示しないコント
ローラへ送る。

【００１０】シリンダ３３はロッド２９を所定速度で変
位させ、射出プランジャチップ３１はその速度で前方へ
と押し出される。

【００１１】このようにして射出スリーブ１１に供給さ
れた溶湯１７は湯道２４を経て、射出プランジャチップ
３１によりキャビテイ２０に強制的に注入される。一定
時間の経過後、キャビテイ２０は冷却されて溶湯１７が
固化する。キャビテイ２０中の溶湯１７が固化した後、
シリンダ３３はキャビテイ２０から離間するように射出
プランジャチップ３１を退動させる。そして、固定ダイ
２１および可動ダイ２２は離間し、完成された鋳造品を
キャビテイ２０から取り出すことが可能となる。

【００１２】上記鋳造装置において、射出スリーブ１１
を図６に示す位置に配置するとき、高品質の最終鋳造品
を得ることができる。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、時とし
て、射出スリーブ１１はそれよりも上方に位置するキャ
ビテイ２０に溶湯１７を供給するために垂直方向に指向
させる必要がある。

【００１４】垂直方向に指向する射出スリーブを経て上
方のキャビテイに溶湯が供給される場合を図６および図
７に示す。

【００１５】図６は垂直方向に指向するシリンダロッド
３５と、図示しない上方にあるダイ組立体に溶湯を強制
的に供給する位置にあるプランジャチップ３６を有する
射出スリーブ３４を示している。射出スリーブ３４は給
湯口３７を有し、この給湯口３７は射出スリーブ３４の
底部近傍に設けられ溶湯１７を導入する。給湯口３７は
給湯ブロック３９を介して給湯パイプ３８と連結されて
いる。給湯パイプ３８の一端は所定温度に溶湯１７を保
持する溶湯保持炉１６の出口と連結されている。クラン
ク状の形状を有する給湯パイプ３８は給湯口３７を介し
給湯ブロック３９を経て射出スリーブ３４へ溶湯保持炉
１６から溶湯１７を供給するための流体通路を有してい
る。溶湯１７は電磁ポンプ１８を用いて給湯パイプ３８
を介して射出される。加熱用コイル４０は溶湯保持炉１
６から離間して位置し、溶湯１７を溶融状態に保つため
給湯ブロック３９側のクランク状の給湯パイプ３８の上
部にある。

【００１６】上記した鋳造装置の不都合を以下に説明す
る。

【００１７】第１には、射出スリーブ３４に溶湯１７を
充填するために電磁ポンプ１８が付勢されたとき、特に
溶湯１７が初めて給湯口３７から射出スリーブ３４に入
るとき、給湯パイプ３８内の空隙４１は前記溶湯１７を
クランク状の給湯パイプ３８の上部へ進入させる。前記
空隙４１は溶湯１７が給湯口３７の最上部の射出スリー
ブ３４を満たすまで給湯パイプ３８に残存する。溶湯１
７の表面は、クランク状の給湯パイプ３８の上方の水平
方向に指向した部分で多大な部分が空気に曝される。こ
のような多大な表面部分Ｓは給湯パイプ３８の空気によ
り酸化され易く、品質の悪い鋳造品を生ずることとな
る。

【００１８】第２には、溶湯１７が給湯口３７を通過し
て射出スリーブ３４に入るとき、溶湯１７の表面部分Ｓ
に起伏と波Ｗが発生してしまう。このような波Ｗは溶湯
１７中に取り込む空気を多くすることになる。このよう
にして取り込まれた空気がキャビテイ２０内にもたらさ
れると、内部に巣のある品質の悪い鋳造品が形成される
ことになる。

【００１９】第３には、クランク状の給湯パイプ３８の
上部を水平に指向する結果として、図６中、破線で示し
た位置、すなわち、給湯口３７よりプランジャチップ３
６を高く上昇させる時、給湯パイプ３８内に残る溶湯１
７はプランジャチップ３６の下の射出スリーブ３４の底
部に給湯口３７を経てこぼれることになる。このように
してこぼれた溶湯１７は、続いて、例えば、プランジャ
チップ３６を動かすシリンダロッド３５の図示しないシ
リンダ内の射出スリーブ３４の下部に位置するキャステ
ィング装置内に集まり、凝固してしまう。このように流
入し且つ凝固した溶湯１７は、鋳造作業の効率を劣化さ
せる。

【００２０】第４には、溶湯保持炉１６と給湯ブロック
３９との中央部分を占めるクランク状の給湯パイプ３８
はその領域内で冷気と触れるため、溶湯１７の溶融状態
を保つために加熱用コイル４０を配設することが必要と
されている。特に、クランク状給湯パイプ３８の上部で
は必要である。しかしながら、加熱用コイル４０の利用
時においても、給湯パイプ３８の容積全体の溶湯１７を
十分適度な溶融状態に維持することは難しい。そして、
特に、給湯パイプ３８中の溶湯１７は、実際に加熱用コ
イル４０の加熱効果がある部分から離れた給湯ブロック
３９あるいはクランク状の給湯パイプ３８の壁部分と、
給湯パイプ３８または給湯ブロック３９の壁の内側で凝
固する傾向を有している。

【００２１】この溶湯１７の凝固により給湯パイプ３８
および給湯ブロック３９の有容な容積は失われる。射出
スリーブ３４に正確な量の溶湯１７を供給するのは給湯
パイプ３８の内側の容積によって調整されるため、この
ような給湯パイプ３８と給湯ブロック３９の内側の容積
が減少することは、実際に射出スリーブ３４に溶湯１７
を供給することを調整する際に問題となる。

【００２２】さらには、射出スリーブ３４に供給される
べき溶湯１７が溶湯保持炉１６から射出スリーブ３４の
間の給湯パイプ３８を通過する間に壁で凝固してしまう
ことは、給湯パイプ３８とダイ組立体に供給する溶湯１
７の全体量を減らし、その結果、最終的に射出スリーブ
３４とキャビテイ２０に供給する規定量の溶湯１７をコ
ントロールすることができなくなる原因となっている。

【００２３】射出スリーブの底部分に溶湯１７がこぼれ
ることに関する問題の一つの改善方法を図７に示す。図
７において、前述した構成要素と同一の構成要素には同
一の参照符号を付して、詳細な説明は省略する。

【００２４】具体的には、給湯ブロック３９と給湯口３
７を経て射出スリーブ３４に入る給湯パイプ３８に傾斜
を有する通路を付したものである。その給湯ブロック３
９もまたその中に通路３９ａを有する。給湯パイプ３８
と給湯ブロック３９を経る傾斜を有する通路によってプ
ランジャチップ３６が給湯口３７の上部に達するとき、
射出スリーブ３４の底部に溶湯１７が流れ出る傾向が少
なくなっている。

【００２５】そして、さらには、給湯ブロック３９の上
部に残った大部分の溶湯１７は、給湯口３７を経て射出
スリーブ３４の底部に流出する代わりに、給湯パイプ３
８と給湯ブロック３９の通路を戻る。

【００２６】しかしながら、図７に示す改良によっても
給湯パイプ３８の内側において溶湯１７の表面が空気に
曝されるために起こる給湯パイプ３８と給湯ブロック３
９の壁面に溶湯が付着し凝固する問題は解決されず、そ
の結果として溶湯１７の酸化は起こり得る。

【００２７】本発明は、この種の問題を解決するもので
あり、鋳造工程における溶湯の酸化を阻止し、欠点のな
い高品質の鋳造品を得るべく常に適量の溶湯をチャンバ
に正確に秤取することが可能な鋳造装置を提供すること
を目的とする。

【００２８】

【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、本発明は、溶湯を貯留するための溶湯保持炉と、
鋳造品を製造するために、前記溶湯保持炉の溶湯が強制
的に注入されるキャビテイを画成するダイ組立体と、給
湯口を有し、溶湯の進行方向に対し上方向に位置する前
記キャビテイに前記溶湯を供給するとともに、外周部に
前記給湯口に位置して円錐台形状の着座用凹部が設けら
れる射出スリーブと、前記射出スリーブの近傍に配置さ
れ、前記給湯口に連通する屈折した通路を有し且つ前記
着座用凹部に着座する円錐台形状のテーパ連結部を有す
る給湯ブロックと、前記着座用凹部と前記テーパ連結部
との着座部位に配設される断熱用パッキン部材、および
／または該着座用凹部と該テーパ連結部との間に形成さ
れる断熱用空間を有する断熱手段と、前記屈折した通路
に溶湯を供給するために、前記溶湯保持炉と前記給湯ブ
ロックとに連結される給湯パイプと、前記溶湯を前記溶
湯保持炉から前記給湯パイプを通過させ、前記屈折した
通路と前記給湯口を経て前記射出スリーブへ給湯するた
めの供給手段と、を備えることを特徴とする鋳造装置に
係わるものである。

【００２９】また、本発明は、溶湯を貯留するための溶
湯保持炉と、鋳造品を製造するために、前記溶湯保持炉
の溶湯が強制的に注入されるキャビテイを画成するダイ
組立体と、給湯口を有し、溶湯の進行方向に対し上方向
に位置する前記キャビテイに前記溶湯を供給するための
射出スリーブと、前記射出スリーブを囲繞して配置され
るとともに、外周部に前記給湯口に対応して円錐台形状
の着座用凹部が設けられるスリーブガイドと、前記スリ
ーブガイドの近傍に配置され、前記給湯口に連通する屈
折した通路を有し且つ前記着座用凹部に着座する円錐台
形状のテーパ連結部を有する給湯ブロックと、前記着座
用凹部と前記テーパ連結部との着座部位に配設される断
熱用パッキン部材、および／または該着座用凹部と該テ
ーパ連結部との間に形成される断熱用空間を有する断熱
手段と、前記屈折した通路に溶湯を供給するために、前
記溶湯保持炉と前記給湯ブロックとに連結される給湯パ
イプと、前記溶湯を前記溶湯保持炉から前記給湯パイプ
を通過させ、前記屈折した通路と前記給湯口を経て前記
射出スリーブへ給湯するための供給手段と、を備えるこ
とを特徴とする鋳造装置に係わるものである。

【００３０】

【発明の実施の形態】本発明に係る鋳造装置の実施形態
を説明する。

【００３１】なお、図において、すでに説明した構成要
素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳
細な説明を省略する。

【００３２】図１は、ダイ組立体４２の下側面に位置
し、そこに設けられたスリーブ基板４３にしっかりと係
着された垂直上方へ延在する射出スリーブ３４を示す。
プランジャチップ３６とシリンダロッド３５はダイ組立
体４２の上方に溶湯１７を強制的に供給するため、射出
スリーブ３４に配置されている。この射出スリーブ３４
は射出スリーブ３４の底部近くに位置し、図示しない溶
湯保持炉から溶湯１７を導くための給湯口３７を有する
本発明の重要な形態の特徴である。給湯ブロック４４は
給湯口３７に近接して位置する。その給湯ブロック４４
は溶湯１７が給湯口３７を通って射出スリーブ３４に入
る通路である曲管状流体通路（曲折した通路）４５を有
している。

【００３３】給湯ブロック４４は、好適には円錐台形状
からなるテーパ連結部４６を介し給湯口３７と連接され
ている。さらに明確には、給湯口３７の空間にある射出
スリーブ３４は給湯ブロック４４のテーパ連結部４６と
良好に連結されるために、円錐台形状の着座用凹部４７
を有する。凹部４７は断熱手段を構成するパッキン（断
熱用パッキン部材）４９を受け入れるための着座部４８
を有する。このようなパッキン４９は給湯ブロック４４
との間をしっかりと締め、溶湯１７を供給し、そして、
給湯口３７と同様に給湯ブロック４４からの熱の伝達を
阻止する二つの用途に役立っている。給湯口３７の反対
側に位置する曲管状流体通路４５の一端は給湯パイプ５
０に連結され、給湯パイプ５０の図示しない別の一端は
溶湯保持炉と連接されている。溶湯１７を給湯パイプ５
０から供給するには、例えば、図５に示す電磁ポンプ１
８を用いて行う方法等が周知である。給湯パイプ５０は
給湯ブロック４４と着座部４８に別のパッキン５１を介
して連結されている。

【００３４】射出スリーブ３４に近接した給湯ブロック
４４に据え付けられた構造物について、図１および図２
を参照しながら説明する。

【００３５】図示しない固定ダイプレートに据え付けら
れたダイ組立体４２には、スリーブ基板４３の底部に接
合する一組の平行なホルダ５２が、例えば、ボルトを用
いて吊り下げ固定される（図１および図２参照）。ホル
ダ５２は、給湯ブロック４４の両側面を挟んで配設さ
れ、このホルダ５２の互いに対向する下部に設けられた
溝部５２ａにベースプレート５３の下部が移動自在に嵌
め込まれている。ベースプレート５３は、壁５４で上部
が囲繞され且つ上方が開口する箱形状を有し、その内側
に断熱プレート５５を介して給湯ブロック４４が支持さ
れる。

【００３６】ホルダ５２の下部にねじ機構を構成する引
き込みボルト（下部ボルト）５６が支持されており、こ
の引き込みボルト５６がベースプレート５３の下部に形
成されたねじ孔に螺合する。引き込みボルト５６にナッ
ト５６ａが螺着されており、このナット５６ａを回転さ
せることにより、前記引き込みボルト５６がベースプレ
ート５３に推力を働かせ、給湯ブロック４４の下部が引
き寄せられる。すなわち、曲管状流体通路４５の着座部
４８は、溶湯１７が漏れることのないようにパッキン５
１を介して給湯パイプ５０に強く押さえ付けられる。

【００３７】同時に、上部ボルト５７がクランプホルダ
５８のねじ穴に螺合し、壁５４を押さえるように構成さ
れている。ナット５６ａを回すとき、上部ボルト５７は
壁５４を押し付け、その結果、その上部の給湯ブロック
４４は射出スリーブ３４の方向に押される。従って、テ
ーパ連結部４６は、曲管状流体通路４５と給湯口３７と
の間に溶湯１７を漏れることなく供給するためのパッキ
ン４９を介する凹部４７を固く押圧する。

【００３８】図３に本発明に係るテーパ連結部４６と給
湯ブロック部４４の細部を示す。本発明に係る構成要件
の一つは、溶湯１７の材料となる金属の酸化に関する問
題を除去すべく流体通路に溶湯１７を供給することであ
る。従って、本発明は、給湯ブロック４４の内部に位置
する曲折した曲管状流体通路４５を提供する。上方に位
置するキャビテイへの溶湯１７の射出後、曲管状流体通
路４５の内部に残った溶湯１７は、傾斜部分６１に流れ
落ち、そして、図４に示す垂直直立部６０のレベルライ
ンｌに残留する。レベルラインｌで空気に曝される溶湯
１７の表面は、非常に小さく、実質的に曲管状流体通路
４５の垂直直立部６０の半径をｒとした時、πｒ² に等
しい。従って、溶湯１７の表面のごく限られた一部分が
空気に曝されるのみであり、溶湯１７が酸化することを
防ぐことができる。

【００３９】最高品質の最終鋳造品を製造するための、
もう一つの構成要件は、給湯ブロック４４の曲管状流体
通路４５内において、常時、溶湯が固化することを避
け、また、曲管状流体通路４５内に付着することを回避
するような状態に維持することである。それゆえに、給
湯ブロック４４の中に、好ましくはセラミック材料から
なる加熱手段６２が含まれている。セラミックの熱伝導
特性のために、加熱手段６２は給湯ブロック４４の全体
を均一に加熱する。すなわち、曲折した通路４５はすべ
て均一に加熱されることになる。従って、従来技術に係
るクランク状供給パイプを用いた場合に比して、曲管状
流体通路４５の壁部に溶湯１７が凝固する傾向は少な
い。

【００４０】その中へ溶湯１７が簡単に付着することが
ない属性を示し、また、良好な熱伝導性を持つセラミッ
ク材料から溶湯ブロックを作ることが好適である。しか
し、給湯ブロック４４をセラミック以外の材料から作る
必要がある場合がある。例えば、鋳造品が合金からなる
ときは、スチールが用いられ、また、非常に高い溶融温
度のときは、モリブデン鋼が用いられる。注釈を加える
に、給湯ブロック４４は高い温度に保持する必要があ
り、一般に温度範囲は６００℃以上である。しかしなが
ら、一度射出スリーブ３４に供給された溶湯１７の温度
が上昇することは好適ではない。その結果として有効な
断熱材料が給湯ブロック４４と射出スリーブ３４との間
に供給されることが必要である。本発明においては、こ
れはテーパ連結部４６と凹部４７を給湯ブロック４４と
射出スリーブ３４とに夫々結合させる手段によって実行
するものである。

【００４１】図３に示すように、円錐台形状のテーパ連
結部４６を介して射出スリーブ３４に給湯ブロック４４
は連結されている。テーパ連結部４６はテーパ連結部４
６と好適に接合するために円錐台形状の凹部４７を有す
る射出スリーブ３４に連結されている。テーパ連結部４
６並びに凹部４７は、それらの間に空気の空間を残すた
めの空隙（断熱手段）６３と接合している。従って、凹
部４７の壁６４とテーパ連結部４６のテーパ壁との間に
は空隙６３が残っている。現実には、給湯ブロック４４
の表面の一部分が給湯口３７に僅かに接している。さら
には給湯ブロック４４の容積は射出スリーブ３４から僅
かな隔たりだけを残している。実際には、給湯ブロック
４４のごく僅かな部分が射出スリーブ３４とテーパ連結
部４６で境界をなし、給湯ブロック４４の容積は、その
結果、射出スリーブ３４と直接接していないため熱をそ
れ以外の部分に残留させる。従って、給湯ブロック４４
と射出スリーブ３４との間の熱の伝導は、効果的に減少
される。さらには、テーパ連結部４６および凹部４７と
空隙６３は射出スリーブ３４と給湯ブロック４４との間
に特別の効果を有する断熱層を有し、従って、それらの
間の熱の伝達を回避する。

【００４２】さらには、既に説明した図１に示すパッキ
ン４９はテーパ連結部４６と凹部４７との間に供給さ
れ、異なる構成による断熱層を供給する。従って、射出
スリーブ３４は給湯ブロック４４の加熱手段６２による
高い温度からの断熱を効果的に行うことができる。

【００４３】図４は給湯ブロック４４と射出スリーブ３
４との間に特別な断熱層を供給する本発明に係る第２の
実施形態の細部を示す。

【００４４】必要に応じて、射出スリーブ３４には射出
スリーブガイド６５を付設することが可能である。そし
て、給湯ブロック４４を射出スリーブ３４に対して効果
的に連接することができる。本実施形態では、射出スリ
ーブガイド６５および／または射出スリーブ３４自体は
給湯ブロック４４のテーパ連結部４６を連結する凹部４
７ａを有している。従って、射出スリーブガイド６５は
給湯ブロック４４と射出スリーブ３４との間に別の断熱
層を供給され、ゆえに、射出スリーブ３４自体は給湯ブ
ロック４４の直接的な熱源の接点の外側に位置すること
ができる。

【００４５】

【発明の効果】本発明に係る作用および効果を説明す
る。

【００４６】溶湯は、溶湯保持炉の中で加熱され、そし
て、所望の温度に維持される。溶湯は、例えば、電磁ポ
ンプを用いた供給手段により、給湯パイプ、給湯ブロッ
クを経て、ダイ組立体に運ばれる。溶湯は、その結果、
給湯パイプを経て、給湯ブロックの曲折した通路を移動
する。このとき、ロッドが退動し、規定の総量の溶湯が
給湯口を経て射出スリーブに供給される。射出スリーブ
に定量の溶湯を満たした後、ロッドはプランジャチップ
を上方へ動かし、ダイ組立体に溶湯を強制的に注入させ
る。給湯ブロックの中に曲折した通路が位置するため
に、給湯細道である前記曲折した通路における溶湯の通
過時間を比較的短くすることができる。従って、溶湯が
給湯用の湯道に至るまで、良好な溶湯状態を保つことが
できる。そしてまた、曲折した通路の容積は小さく、溶
湯表面が曲折した給湯細道内において酸素と接すること
を最小限にすることができる。従って、溶湯の給湯細道
における酸化に関する問題は克服することができる。さ
らに、射出スリーブに供給された溶湯の射出の間、曲折
した通路に残った溶湯はその上部部分から下部へ流出す
る。従って、射出スリーブの底部の端に供給された溶湯
もまた、曲折した通路の空気に溶湯の一部表面のみ接す
ることにより問題を回避することができる。

【００４７】給湯ブロック内の溶湯は加熱手段によって
均一に加熱される。給湯ブロックは、セラミック材料に
より構成されるため、曲折した通路内は均一にかつ所定
の温度に加熱される。このため、曲折した通路内の壁に
溶湯が固化付着するのを防止できる。同時に給湯ブロッ
クと射出スリーブとの間における不必要な熱伝導は、実
際には、給湯ブロックと射出スリーブとの間の断熱層を
効果的に供給する空隙とスリーブ基板と凹部によって回
避することできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係る鋳造装置の一部横断面
説明図である。

【図２】図１に示した本発明の実施形態に係る鋳造装置
の右側面説明図である。

【図３】本発明の実施形態に係る鋳造装置の給湯ブロッ
クおよび曲線状流体通路の細部を表した部分横断面説明
図である。

【図４】本発明の第２の実施形態に係る鋳造装置の射出
スリーブの細部を表す部分横断面説明図である。

【図５】従来技術に係る鋳造装置の部分縦断面説明図で
ある。

【図６】従来技術に係る垂直上方への射出スリーブと射
出スリーブと溶融炉との間に位置する供給通路を有する
鋳造装置の部分的縦断面説明図である。

【図７】垂直上方への射出スリーブと射出スリーブ方
向、すなわち上方を向いた供給通路を有する溶湯通路と
からなる鋳造装置の一部縦断面説明図である。

【符号の説明】

１７…溶湯 ３４…射出スリー
ブ ３６…プランジャチップ ３７…給湯口 ４４…給湯ブロック ４５…曲管状流体
通路 ４６…テーパ連結部 ４７、４７ａ…凹
部 ４８…着座部 ５０…給湯パイプ ５１…パッキン ５２…ホルダ ５５…断熱プレート ５６…引き込みボ
ルト ６０…垂直直立部 ６２…加熱手段 ６３…空隙 ６４…凹部の壁

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】溶湯を貯留するための溶湯保持炉と、 鋳造品を製造するために、前記溶湯保持炉の溶湯が強制
   的に注入されるキャビテイを画成するダイ組立体と、 給湯口を有し、溶湯の進行方向に対し上方向に位置する
   前記キャビテイに前記溶湯を供給するとともに、外周部
   に前記給湯口に位置して円錐台形状の着座用凹部が設け
   られる射出スリーブと、 前記射出スリーブの近傍に配置され、前記給湯口に連通
   する屈折した通路を有し且つ前記着座用凹部に着座する
   円錐台形状のテーパ連結部を有する給湯ブロックと、 前記着座用凹部と前記テーパ連結部との着座部位に配設
   される断熱用パッキン部材、および／または該着座用凹
   部と該テーパ連結部との間に形成される断熱用空間を有
   する断熱手段と、 前記屈折した通路に溶湯を供給するために、前記溶湯保
   持炉と前記給湯ブロックとに連結される給湯パイプと、 前記溶湯を前記溶湯保持炉から前記給湯パイプを通過さ
   せ、前記屈折した通路と前記給湯口を経て前記射出スリ
   ーブへ給湯するための供給手段と、 を備えることを特徴とする鋳造装置。
2. 【請求項２】溶湯を貯留するための溶湯保持炉と、 鋳造品を製造するために、前記溶湯保持炉の溶湯が強制
   的に注入されるキャビテイを画成するダイ組立体と、 給湯口を有し、溶湯の進行方向に対し上方向に位置する
   前記キャビテイに前記溶湯を供給するための射出スリー
   ブと、 前記射出スリーブを囲繞して配置されるとともに、外周
   部に前記給湯口に対応して円錐台形状の着座用凹部が設
   けられるスリーブガイドと、 前記スリーブガイドの近傍に配置され、前記給湯口に連
   通する屈折した通路を有し且つ前記着座用凹部に着座す
   る円錐台形状のテーパ連結部を有する給湯ブロックと、 前記着座用凹部と前記テーパ連結部との着座部位に配設
   される断熱用パッキン部材、および／または該着座用凹
   部と該テーパ連結部との間に形成される断熱用空間を有
   する断熱手段と、 前記屈折した通路に溶湯を供給するために、前記溶湯保
   持炉と前記給湯ブロックとに連結される給湯パイプと、 前記溶湯を前記溶湯保持炉から前記給湯パイプを通過さ
   せ、前記屈折した通路と前記給湯口を経て前記射出スリ
   ーブへ給湯するための供給手段と、 を備えることを特徴とする鋳造装置。
3. 【請求項３】請求項１または２記載の装置において、前
   記給湯ブロックを所定の温度に加熱し且つ保持するため
   に、前記給湯ブロックにセラミック製加熱手段を設ける
   ことを特徴とする鋳造装置。
4. 【請求項４】請求項１または２記載の装置において、一
   対のホルダと、 前記ホルダに設けられた溝部に移動自在に装着されるベ
   ースプレートと、 前記ベースプレートを前記溝部に対して移動させるねじ
   機構と、 前記給湯ブロックを支持して前記ベースプレートに配設
   される断熱プレートと、 を備えることを特徴とする鋳造装置。
5. 【請求項５】請求項４記載の装置において、前記ホルダ
   間の上方に設けられるクランプホルダと、 前記給湯ブロックのテーパ連結部を前記射出スリーブの
   着座用凹部に封止するために、前記クランプホルダに螺
   合して前記ベースプレートを押圧自在な上部ボルトと、 を備えることを特徴とする鋳造装置。
6. 【請求項６】請求項４記載の装置において、前記ねじ機
   構は、前記ベースプレートの下部に形成されたねじ孔
   と、 前記ホルダに支持されるとともに、前記ねじ孔に螺合し
   て前記ベースプレートを進退移動させる下部ボルトと、 を備えることを特徴とする鋳造装置。