JP3058820B2 - スペクトル拡散通信用復調方法および該方法を用いた復調装置 - Google Patents

スペクトル拡散通信用復調方法および該方法を用いた復調装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーソナル通信シ
ステム(PCS) およびディジタルセルラシステムのような
移動通信等に使われる符号分割多元接続(CDMA:Code Div
ision Multiple Access)通信に関し、特に、CDMA通信に
用いられる復調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】CDMA通信に用いられる無線端末装置(以
下では移動局と呼ぶ)や基地局の受信部は従来、以下の
ように動作していた。送信側において、位相変調または
周波数変調のいずれかの変調と、拡散変調とを行なった
後に送信された信号を送受共用のアンテナで受信する。
受信部のキャリア周波数発振器が出力する、位相変調ま
たは周波数変調に使われた周波数と同じ周波数を有する
信号により、位相復調または周波数復調が行なわれる。
その後、相関検波器を用いて逆拡散が行なわれる。
【0003】受信部のキャリア周波数発振器は、以下の
理由から、高い周波数精度で復調用の信号を出力する必
要がある。
【0004】CDMA通信においては、隣接するセル領域が
同一の周波数帯を利用している。そのために、CDMA通信
のフォワードリンク(基地局から移動局への伝送)にお
いて、一つの移動局(以下、追従局と呼ぶ)が同期を確
立しなければならない基地局がカバーするセル領域に隣
接して、同一の周波数帯を利用する基地局(以下、干渉
局と呼ぶ)がカバーするセル領域がある。
【0005】ここで、同期を確立しなければならない基
地局とは、通常は、追従局から一番近い位置にあって、
その基地局からの受信電力が最大である基地局であり、
以下では、所望局と呼ぶ。
【0006】また、一つのセル領域内には多数の移動局
が存在し、このセル領域をカバーする一つの基地局内に
は、回線容量が許す限りの数の受信機(具体的には相関
検波器)がある。このため、リバースリンク(移動局か
ら基地局への伝送)において、一つの相関検波器を一つ
の局(リバースリンクにおける追従局)と考えたとき
に、この追従局にとって、同期を確立し、通信を行なわ
なければならない移動局(所望局)と、同期を確立する
必要のない移動局(干渉局)とがある。
【0007】以上の環境下において、所望局と干渉局と
は、同一の周波数帯をキャリアとして使用していること
から、追従局が所望局と干渉局とを区別するためには、
高精度のキャリア周波数発振器を用いることと、拡散お
よび逆拡散に用いるPN符号の特性がよいことという、2
つの条件が必要である。
【0008】高精度のキャリア周波数発振器を用いる理
由は以下の通りである。受信信号が、例えば位相変調さ
れているとき、受信部で受信信号を位相復調する際、キ
ャリア周波数発振器の出力する信号が受信信号に乗算さ
れる。キャリア周波数発振器の出力する信号の周波数の
精度が悪いと、この信号の位相と受信信号の位相との差
が大きくなり、乗算して得られる出力の大きさが低下す
る。復調後の信号は相関検波器に入力され、相関検波器
の出力する相関値により所望局と干渉局の識別が行なわ
れるが、復調出力が低下していると相関値も低下する。
従って、相関検波器を用いて得られる、所望局からの信
号についての相関値と、干渉局からの信号についての相
関値との差も小さくなり、所望局と干渉局の識別が困難
になる。
【0009】従来は、これに対する対策として、決めら
れた周波数の信号を高精度に出力することができるキャ
リア周波数発振器を用いて、周波数を受信側と一致させ
ることが行なわれていた。位相復調の場合は位相を一致
させることも必要であるが、位相を一致させる方法とし
ては、位相復調後の信号の強度から位相のずれを検知し
て、キャリア周波数発振器の位相のタイミングを調整す
ることが行なわれていた。
【0010】また、拡散および逆拡散に用いるPN符号の
特性がよいことが必要とされる理由は以下の通りであ
る。所望局と干渉局とはPN符号が異なることにより区別
されるが、拡散および逆拡散に用いるPN符号の特性がよ
いとは、異なるPN符号間の相互相関値ができるだけゼロ
に近いことを意味し、相互相関値がゼロに近いほど、所
望局と干渉局との誤認識を防ぐことができる。特性がよ
くないとは、相互相関値が大きいことを意味する。相互
相関値が大きいと、受信部の相関検波器を用いて得られ
る、所望局からの信号についての相関値と、干渉局から
の信号についての相関値との差が小さくなり、所望局と
干渉局の識別が困難になる。
【0011】このように、上記2つの条件のいずれかが
満たされないときは、受信部の相関検波器を用いて得ら
れる、所望局からの信号についての相関値と、干渉局か
らの信号についての相関値との差が小さくなり、両者の
区別が困難になる。
【0012】また、干渉局が複数個ある場合、個々の干
渉局についての相関値を、所望局についての相関値と比
較したときに、個々の干渉局についての相関値が、所望
局についての相関値より明らかに小さくても(所望局と
1つの干渉局との間では、識別できる程度に相関値に差
があっても)、所望局についての相関値が小さいとき
は、複数の干渉局についての相関値の和と、所望局につ
いての相関値との差が小さくなり、結果的に、所望局が
区別できなくなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来技
術に係る復調装置おいては、高精度のキャリア周波数発
振器が必要であり、高精度のキャリア周波数発振器は構
成が複雑であった。このため、高精度のキャリア周波数
発振器は高価となり、端末および基地局のコストが増え
るという問題もあった。
【0014】本発明はこのような従来技術の欠点を解消
し、高精度なキャリア周波数発振器を必要としない端末
および基地局を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解
決するために、拡散変調されている受信信号を入力され
て、この受信信号の復調を行なうスペクトル拡散通信用
復調装置において、受信信号を入力されて、受信信号に
同期する位相同期ループ手段と、この位相同期ループ手
段の出力する信号を入力されて、相関検波を行ない、検
波出力を出力する相関検波手段とを有し、位相同期ルー
プ手段のループゲインは、相関検波器の検波出力に依存
することとしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】次に添付図面を参照して、本発明
によるスペクトル拡散通信用復調装置をCDMA通信用の移
動局(携帯電話機)に適用した実施例を詳細に説明す
る。
【0017】図1〜図7により、本発明に係るスペクト
ル拡散通信用復調装置10の一実施例を詳細に説明する。
本装置10は、基地局12からの送信信号を受信して位相復
調および逆拡散を行ない、音声信号等を最終的に得る。
本装置10の電源がオンされたとき、本装置10は最初に、
本装置10から一番近い位置にある基地局12からの送信信
号に同期する必要がある。送信信号には、同期を確立す
るためのパイロット信号も含まれている。本実施例では
パイロット信号を利用して基地局からの送信信号に同期
する。同期が確立された後に、前記の音声信号を得る処
理を行なう。
【0018】図1は、移動局のスペクトル拡散通信用復
調装置10のうち、本発明に係る部分、すなわち、位相復
調および同期確立に係る部分のブロック図を示す。同図
において、本発明の理解に必要のない復調装置の他の部
分および移動局の送信装置は省略してある。
【0019】最初に、図1に示すスペクトル拡散通信用
復調装置の概要を説明する。本装置10は、送信側(基地
局)12から伝搬路14およびアンテナ(図示しない)を介
して、拡散変調および位相変調された信号20を受信す
る。本装置10は、同期確立段階において受信信号20の周
波数および位相にキャリア周波数発振器16の周波数およ
び位相を一致させ、一致した後は、位相復調器(位相弁
別器とも呼ばれる)として機能する位相同期ループ(PL
L)18を有する。PLL 18は、このような機能を有するた
め、周波数の安定度の低いキャリア周波数発振器(電圧
制御発振器(VCO))16を用いて構成することができる。受
信信号20はPLL 18に入力される。キャリア周波数発振器
16の周波数および位相が、受信信号20の周波数および位
相に、正確に同期した後は、精度よく位相復調された信
号22がPLL 18の出力として得られる。
【0020】PLL 18の出力22は、トラフィック信号相関
検波器38とパイロット信号相関検波器)24とに入力され
る。トラフィック信号相関検波器38は、位相復調された
トラフィック信号の逆拡散を行ない、逆拡散の結果であ
る相関値28を出力する。なお、基地局12から音声データ
を含んだトラフィック信号が送られてくるのは、同期が
確立した後であり、相関値28が意味を持つのは同期確立
後である。相関値(デジタルデータ)38は、乗算器36に
よりパイロット信号相関検波器24の出力26と乗算され、
その後、誤り訂正等の処理が行なわれる。これらの処理
の結果、デジタル音声信号またはデジタルデータ(ファ
クシミリデータ等)が得られる。
【0021】乗算器36は、位相復調後のデジタルデータ
38に含まれる位相ずれを修正するためのものであり、デ
ータ38とパイロット信号相関検波器24の出力26との乗算
を行なうことにより位相ずれを修正する。これにより位
相ずれが修正される原理については本発明と直接関係な
いため、説明は省略する。トラフィック信号相関検波器
38および乗算器36は本発明とは直接関係ないため、これ
以上の詳細な説明は省略する。
【0022】図1のパイロット信号相関検波器24は、パ
イロット信号の逆拡散を行ない、逆拡散の結果である相
関値26を出力する。パイロット信号相関検波器24の出力
(相関値)26は、補償器30を介してPLL 18に入力され
る。
【0023】精度よく復調された受信信号22が相関検波
器24に入力された場合、追従局から近い距離にある基地
局(所望局)からの受信信号の方が干渉局からの受信信
号より受信強度が大きいため、相関検波器24から補償器
30を介してPLL 18へ出力される相関値26も追従局に関す
るものの方が大きくなる。相関値26は、乗算器62により
PLL 18に取り込まれるため、相関値26によってPLL 18の
ループゲインが変わる。すなわち、所望局からの信号に
関するPLL 18のループゲインの方が、干渉局からの受信
信号に関するPLL 18のループゲインよりも大きくなる。
【0024】一般的にPLL は、そのループゲインが大き
いほど、入力信号との間で同期を確立するまでに要する
時間が短く、かつ同期が確立した後の入力信号とVCO の
出力信号との位相差(定常位相誤差)が小さくなること
が知られている。
【0025】従ってPLL 18は、ループゲインの大きい受
信信号と小さい受信信号が入力された場合、大きい受信
信号に対して早く追従する。これを利用して、PLL 18の
位相弁別出力28が入力される判定回路32は、一定時間が
経過した時点で、PLL 18の位相弁別出力28が所定値より
も小さい場合には同期が確立したと判断する。
【0026】指示回路40は、移動局の電源が投入された
ときに、判定回路32内のコントローラ42に対してコント
ローラ42内部を初期設定するように指示し、その後VCO
16を起動する。
【0027】次に、復調装置10の各部の詳細について説
明する。各部の詳細な説明に入る前に、図2を用いて、
本実施例の場合送信側12においてどのように変調が行な
われるかについて、本実施例を理解するために必要な範
囲で述べる。図2は、基地局12のうち、送信装置に係る
部分を示すブロック図である。同図において、本実施例
の理解に必要のない送信装置の他の部分と基地局の復調
装置とは省略してある。
【0028】基地局12において、送信すべき入力データ
64は、トラフィック信号拡散装置44によりPN符号を用い
て拡散変調される。本実施例で用いられるPN符号につい
て、次に説明する。
【0029】CDMA通信においては、TDMA(Time Division
multiple Access) 通信やFDMA(Frequency Division mu
ltiple Access)通信と異なり、隣接するセル間で使用さ
れる周波数は同一である。セルの識別、すなわち、基地
局の識別は、フォワードリンクにおける拡散変調に用い
られるPN符号が基地局ごとに異なることを利用して行な
われる。本実施例では、異なるPN符号は、1つのM系列
(Maximum Length Code) という符号系列を用いて生成さ
れている。具体的には基地局ごとに異なる時間、M系列
をずらしている。時間的にずらされたM系列相互の相関
値はゼロであるという性質を本実施例では利用してい
る。この方式においては、複数の基地局は、同期してPN
符号を送信する必要があり、この方式は同期CDMAと呼ば
れる。
【0030】PN符号はパイロット信号拡散装置46におい
てパイロット信号を拡散変調するためにも使われる。パ
イロット信号は図1の復調装置10が同期を確立するため
に使われる信号であり、常時「1」である。2つの拡散
装置44、46 の出力は加算器48で加算される。その後、加
算器48の出力と、キャリア発振器52の出力するキャリア
信号とは、乗算器50により乗算されて位相変調が行なわ
れる。位相変調後、アンテナ(図示せず)から送信さ
れ、伝搬路14を介して復調装置10に送られる。
【0031】位相変調方式としては、PSK(Phase Shift
Keying),QPSK(Quadrature Phase Shift Keying) 等があ
る。本発明は、いずれの位相変調方式にも適用でき、さ
らに周波数変調方式にも適用できるものであるが、本実
施例の位相変調は、QPSK方式を採用している。QPSK方式
は、送信すべきデジタルデータから同相成分データと直
交成分データとを生成し、同相成分データと直交成分デ
ータのそれぞれについて、位相が互いに90度異なる2つ
のキャリア信号を用いて位相変調を行なうものである。
【0032】図1、2においては、CDMA通信のフォワー
ドリンクに用いられる送信装置および復調装置のうち、
本発明に係る部分、すなわち、パイロット信号および同
相成分データに関係する部分のみを示す。従って図2に
示す入力データ64は、同相成分データである。同相成分
データ64は、図2に示すように、同期確立に用いられる
パイロット信号と加算された後に位相変調される。
【0033】なお、図1に示されていない直交成分デー
タの位相復調方法としては、例えば、図1のVCO 16の出
力54をπ/2移相器に入力して、出力54に対して周波数
が同じで位相が90度進んでいる信号を生成し、生成され
た信号を受信信号20に乗算する方法がある。
【0034】図1に戻って、復調装置10の各部の詳細な
説明を行なう。最初にPLL 18について説明する。PLL 18
は、受信信号20を受け付ける。PLL 18に入力された受信
信号20は、VCO 16の出力54と乗算器74により乗算され
る。乗算器74は、乗算することにより、受信信号20と出
力54との位相差を求める機能を有する。このため、同期
が確立した後においては、乗算器74の出力(ベースバン
ド信号)56は、受信信号20を位相復調した信号となる。
【0035】乗算器74の出力は、低域通過フィルタ60に
送られる。乗算器74による乗算によって、前記位相差成
分以外に高周波成分も同時に生成されるが、ベースバン
ド信号56に含まれる高周波成分は、低域通過フィルタ60
によりカットされる。受信信号20の位相と出力54の位相
との位相差を位相とする信号のみが、低域通過フィルタ
60から出力される。
【0036】高周波成分がカットされた後の信号22は、
ループフィルタ66に送られるとともに、トラフィック信
号相関検波器34と、パイロット信号相関検波器24にも送
られる。
【0037】パイロット信号相関検波器24において、逆
拡散、すなわち図2の拡散変調に用いられたPN符号と同
一のPN符号との乗算が行なわれ、相関値26が得られる。
相関値26は、相関検波器24の周波数依存性を補償するた
めの補償器30を介して乗算器62に入力される。相関検波
器24および補償器30の詳細については後述する。
【0038】補償器30の出力とループフィルタ66の出力
とを乗算器62により乗算するのは、PLL 18のループゲイ
ンの大きさを相関値26の大きさに応じて変えて、相関値
26の大きい局、すなわち、所望局に対して干渉局よりも
早く同期させるためである。ループゲインの大きさと同
期の早さとの関係については後述する。
【0039】補償器30の出力とループフィルタ66の出力
とは乗算された後、増幅器68で直流増幅される。増幅器
68の出力28は判定回路32と乗算器72とに送られる。判定
回路32は、出力28に基づいて同期が確立したかどうかを
判定する回路である。判定回路32は、同期が一定時間内
に確立していないと判断したとき、周波数帯を変えて、
同期の確立を行なうために、インパルス信号を出力信号
70として出力する。判定回路32の詳細については後述す
る。
【0040】出力70は、加算器72により増幅器68の出力
28と加算される。加算後の信号58がVCO 16に入力され
る。VCO 16は、入力される電圧信号58に比例した周波数
を有する信号を出力する回路である。また、その伝達関
数は積分要素 (1/s)で表される積分回路であるため、判
定回路32からインパルス信号を入力されると、出力する
信号の周波数がジャンプする。その結果、ジャンプ後の
新たな周波数帯において、同期を確立するための処理が
行なわれる。
【0041】次に、パイロット信号相関検波器24につい
て説明する。相関検波器で用いられるPN符号の例を、図
3に示す。PN符号は「+1」または「−1」の値を取
り、送信データと乗算されることにより、拡散変調が行
なわれる。図3において、TはPN符号の1チップの長さ
であり、拡散チップ長と呼ばれる。mTは、送信データの
1ビットの長さであり、ビット区間と呼ばれる。図に示
すように送信データの1ビットの長さは通常、複数チッ
プに相当する。また、相関検波器において相関値を計算
する際のPN符号の長さ(チップ数)を相関器の相関長と
いい、以下ではnで表す。本実施例では、相関検波器24
内のROM に格納されたPN符号の長さは、相関長と同じ長
さnであるとする。なお、PN符号の長さは相関長より長
くてもよい。
【0042】相関検波器24は、例えば、Matched Filter
ing 法に従って、入力された信号22と、相関検波器24内
のROM に格納されたPN符号とのチップ単位の乗算を行な
い、乗算値の相関長にわたる和(相関値)26を求める。
Matched Filtering 法による相関検波器24の一実施例を
図4に示す。この相関検波器24は、相関検波器24に順次
入力される信号22を、シフトレジスタ120 に相関長分記
憶し、チップ長T以下の時間単位ごとに、相関値122 を
求める。
【0043】相関値122 は以下のように求める。シフト
レジスタ120 の出力をタップ124、126 により取り出す。
そのときに、加算器128 に加算するタップ124 と加算器
128から減算するタップ126 とを、相関検波器24内のROM
に格納されたPN符号に従って決定する。図4において
は、相関長(=シフトレジスタの段数)nが10であっ
て、相関検波器24内のROM に格納されたPN符号が「1、-
1、-1、1、1、-1、1、-1、-1、1」の例を示す。この時、加算器1
28 に加算するタップ124 は、図4の右側から、1、4、5、
7、10番目であり、加算器128 から減算するタップ126
は、図4の右側から、2、3、6、8、9 番目である。
【0044】チップ長T以下の時間単位ごとに、この計
算を行なうと、入力信号22のPN符号と相関検波器24の有
するPN符号とのタイミングが一致したときに大きい相関
値122 が得られる。入力信号22のPN符号は、相関検波器
24の有するPN符号に対して、順次シフトレジスタ120 に
より相対的に位置をずらされながら、相関値122 が計算
されるため、1周期中(PN符号の長さnに相当する時
間)に1度はタイミングが一致するからである。なお、
本実施例のような同期CDMA方式では、この一致するタイ
ミングが基地局ごとに異なることになる。
【0045】相関値122 のピークは、ピーク判定回路13
0 により検出され、相関値26として出力される。ピーク
判定回路130 は、上記の1周期の間の相関値122 を対象
としてピーク判定を行ない、1周期の間得られたピーク
値を相関値26として出力する。この結果、相関値122
は、1周期中にその大きさが変動しているが、相関値26
は、1周期に渡って一定した値となる。
【0046】相関値26の大きさは、基地局12との距離が
近いほど大きくなる。さらに、受信信号22とVCO 16の出
力信号との同期が取れているかに依存する。なお、相関
検波器24のシフトレジスタ120 は、CCD(Charge Coupled
Device)やSAW(Surface Acoustic Wave)素子を主たる部
品として構成することができる。
【0047】次に、相関検波器24の周波数依存性を打ち
消す方法について説明する。そのために相関検波器24の
周波数依存性を求める。周波数依存性は伝達関数で表す
ことができるので、相関検波器24が行なっている処理を
表す伝達関数を求める。
【0048】相関検波器24の行なっている相関値を求め
る処理は、信号22と相関検波器24が内蔵するPN符号との
積を、時間区間[t-nT,t](tは任意の時刻)を積分区
間として積分する処理と等しい。
【0049】これより、信号22を伝達関数の入力とし
て、伝達関数の定義に従って伝達関数を求めると、相関
検波器24の伝達関数は(1-EXP(-nTs))/s となる。この式
はsを含み、sを含むということは、相関検波器24は周
波数依存性を有するということを意味する。伝達関数が
周波数依存性を有すると、入力信号の周波数スペクトラ
ムの一部が削られて出力されることになり、相関検波器
24の出力が低下する。また、周波数依存性を有するとい
うことは、CDMA通信の特長である広帯域拡散の特性を劣
化させることになるため、相関検波器24の出力が周波数
依存性を有しない方が望ましい。
【0050】そこで、本実施例では相関検波器24の周波
数依存性をなくすために、補償器30を設けることとし
た。補償器30は、その伝達関数が、相関検波器24の伝達
関数に含まれるsを含む項を打ち消すものであればよ
い。補償器30と相関検波器24との接続方法については、
相関検波器24と並列に補償器30を設けることも、直列に
設けることもできる。本実施例では、補償器30の回路が
並列の場合よりも簡単になるため、直列に補償器30を設
けることとする。相関検波器24の伝達関数が、(1-EXP(-
nTs))/s であることから、直列に設ける場合、補償器30
の伝達関数は、(1-EXP(-nTs))/s の逆数とすればよい。
このような伝達関数を有する補償器30の一実施例を図5
に示す。
【0051】図5において、301、302、303 は加算器であ
り、304、306 は積分器(その伝達関数は1/s)、306 は時
間nTだけ遅延させる遅延回路(その伝達関数はEXP(-n
T))である。
【0052】次に、図1に示す復調装置10を上述の伝達
関数により表現したブロック図を図6に示す。本装置10
は位相復調を行なうため、図6においては各信号の位相
を図示してある。図6の位相比較器76は、図1の乗算器
74と低域通過フィルタ60とからなる回路部分に対応す
る。乗算器74と低域通過フィルタ60とからなる位相比較
器76は、位相比較器76に入出力される信号の位相だけに
着目すると、入力される2つの信号の位相差を求める加
算器78と、得られた位相差の sinを求める回路80とに置
き換えることができる。
【0053】これを説明する。受信信号20を VPM(t) 、
出力54をVC(t) とし、
【0054】
【数1】 VPM(t)=sin(θ(in(t))) VC(t)=sin(θ(out(t))) とする。ここで、θ(in(t)) をVPM(t)の位相とし、θ(o
ut(t))をVC(t) の位相とした。受信信号20と、VCO 16と
が乗算器74により乗算されると、位相和θin(t)+θout
(t)を有する信号と、位相差φ(t)=θin(t) −θout(t)
を有する信号84とが生成される。低域通過フィルタ60に
より、高周波成分である位相和θin(t) +θout(t)を有
する信号はカットされる。こうして位相比較器76は、位
相差φ(t)84を位相とする信号22 (sin(φ(t))) を出力
する。信号22は相関検波器24とループフィルタ66とに送
られる。
【0055】図6の相関検波器24の伝達関数において、
Pは拡散符号による拡散ゲインである。分母のnTは積分
時間であり、通常、伝達関数を正規化するために、積分
時間で伝達関数を割ることが行なわれている。C(s) は
補償器30の伝達関数であり、その一例は図5に示した通
りである。
【0056】ループフィルタ66は低域通過フィルタであ
ればよいが、本実施例では、PLL によく用いられるラグ
リード形ループフィルタを示す。このフィルタの伝達関
数は、(s+a)/(s+b) である。
【0057】増幅器68は、直流増幅を行ない、そのゲイ
ンはKである。増幅器68の出力はVCO 16に入力される。
ところでVCO 16は、伝達要素として見ると積分器である
から、VCO 16の入力は、VCO 16の出力を微分したものと
等しい。そのため、図6においては、VCO 16の入力、す
なわち増幅器68の出力は、VCO 16の出力θout(t)を微分
したものとして表示している。
【0058】相関検波器24と、補償器30と、乗算器62と
は併せて増幅器とみなすことができる。このみなし増幅
器のゲインP'は、相関検波器24の伝達要素と、補償器30
の伝達要素とを乗算することにより得られる。従って、
P'=P/(nT) となる。このゲインについては、所望局につ
いての拡散ゲインPの方が干渉局についての拡散ゲイン
Pより大きくなることから、所望局についてのゲインP'
の方が干渉局についてのゲインP'よりも大きくなる。
【0059】ゲインP'と増幅器68のゲインKとを併せた
PLL 18全体のループゲインは、K・P'となる。ループゲイ
ンK・P'についてもゲインP'と同様に、所望局についての
ループゲインK・P'の方が干渉局についてのループゲイン
K・P'よりも大きくなる。
【0060】図6のPLL 回路に関する部分のみの等価回
路を、ループゲインK・P'を用いて表すと、図7のように
なる。本図からわかるように、本実施例のPLL 回路は、
ループゲインK・P'を有する増幅器82を含むPLL 回路82と
等価である。本実施例のPLL回路は、所望局と干渉局で
異なるループゲインK・P'を有することになる。その結
果、本図の等価PLL 回路は所望局に対して、干渉局より
も早く同期追従する。
【0061】以下、これについて説明する。同期確立開
始から同期確立終了までに要する時間(同期確立時間)
Tsは、図5のようなラグリード形のループフィルタを有
するPLL については「PLL-ICの使い方−エレクトロニク
ス選書」、1991、畑雅恭、古川計介著、秋葉出版におい
て解析がなされている。それによると、図7において、
被追従局(所望局または干渉局)からの受信信号20と追
従局のキャリア周波数発振器16の出力信号54との位相差
φ(t) 84に関する微分方程式をまず求める。これは以下
のようになる。
【0062】
【数2】 φ''= −e・φ'-e・Δω -K・P'・φ'cosφ -K・P'・a・sinφ ここでφ''はφ(t) を時間について2回微分したもの、
φ' はφ(t) を時間について1回微分したものである。
なお、φ' は受信信号20と出力信号54との周波数差に等
しい。Δωは、同期確立開始時の初期周波数差である。
e,a は、既述のループフィルタ66の伝達関数に含まれる
定数である。数2は、前記文献の62頁に、(5.18)式とし
て記載されている。同期確立時間Tsは、この文献によれ
ば数2に基づいて、以下のように求めている。
【0063】
【数3】 数3より、同期確立時間Tsは、ループゲインK・P'が大き
いときに短くなる。従って、所望局に追従を開始したと
きの方が、干渉局に追従を開始したときに比較して同期
確立時間が短くなる。なお、同期が確立したときは、φ
(t) の値が小さくなっているため、位相弁別出力28が小
さくなっているかどうかで判定することができる。
【0064】図1の判定回路32は、これを利用して同期
が確立したかどうかを判定している。すなわち、タイマ
86により時間を計測し、一定時間後の位相弁別出力28の
大きさを調べて、所望局に同期したかどうかを判定する
ものである。次に判定回路32について説明する。
【0065】判定回路32には、同期確立の判定のため
に、位相弁別出力28が入力されるが、位相弁別出力28
は、同期確立のための動作が開始されたことの検知と、
同期確立が完了したかどうかの判定とに使われる。その
ため、判定回路32に入力された位相弁別出力28は、トリ
ガ回路88とコントローラ42とに入力される。
【0066】トリガ回路88は、同期確立のための動作が
開始されたことを検知して、タイマ86に同期確立動作の
開始を知らせる回路である。トリガ回路88は、動作の開
始を検知するために、入力された位相弁別出力28を微分
する。位相弁別出力28は、復調装置10がオンされてVCO
16が起動したときと、同期確立の対象とする周波数帯を
変えるためにコントローラ42によりVCO 16の出力の周波
数帯が大きく変えられたときに、大きく変化する。従っ
て、微分回路であるトリガ回路88は、これらのときに動
作開始を検知することができ、開始を知らせる信号90を
タイマ86に出力する。
【0067】タイマ90は、信号90を受けて、時間計測を
開始し、所定の時間が経過して、同期判定を行なうこと
ができるようになったときに、そのことを示すタイマ終
了信号92をコントローラ42に出力する回路である。この
所定の時間は、所望局への同期確立時間以上であって、
干渉局への同期確立時間以下の時間である。この値はタ
イマ90内部のメモリ(図示しない)に格納されている。
【0068】メモリに格納されている時間は、通常、固
定されているが、通信状態を考慮して、移動局が自ら再
設定してもよい。また基地局から送られてくる、この時
間を指定する送信データに基づいて再設定することとし
てもよい。
【0069】タイマ90からの信号92を受けるコントロー
ラ42は、同期が確立したかどうかを判定して、同期が確
立していないときは、VCO 16の出力信号54の周波数をジ
ャンプさせ、周波数をジャンプさせることを一定回数行
なっても同期が確立しないときには、所定の表示を行な
う。
【0070】コントローラ42は、同期が確立したかどう
かを判定するために、信号92を受けると、その時の位相
弁別出力28と、コントローラ42が内蔵するしきい値とを
比較する。弁別出力28がしきい値よりも小さいときは同
期が確立したとみなす。
【0071】逆に弁別出力28がしきい値よりも大きいと
きは、周波数をジャンプさせた回数を記録してある、コ
ントローラ42に内蔵されたカウンタ(図示せず)の値を
調べる。カウンタの値が、コントローラ42内のメモリ
(図示せず)に格納されている、ジャンプ許容回数(最
大回数)以上であるときは、周波数帯を所定回数だけ変
えても同期確立ができなかったと判断する。
【0072】この時は、移動局の表示部(図示せず)に
所望局が見つけられなかったことを表示する。具体的に
は「通信サービス可能エリア外です」等の表示を移動局
のディスプレイ等に表示する。
【0073】ここでメモリに格納されている最大回数と
は、例えば10程度の値である。カウンタの値が最大回数
未満であるとき、コントローラ42は、カウンタを1だけ
増やす。増やした後に、コントローラ42は、インパルス
信号を出力信号70として出力する。
【0074】位相弁別出力28と、インパルス信号である
出力信号70とが加算されてVCO 16に加えられる。これに
よって、VCO 16の出力54の周波数が大きく変化し、位相
弁別出力28が急激に変化する。その結果、トリガ回路88
が再度、信号90を出力する。
【0075】次に、指示回路40について説明する。指示
回路40は、移動局の電源が投入されたときに、電源の投
入を検知してコントローラ42に対して、開始信号96を送
り、初期設定をするように指示する。コントローラ42は
この指示を受けて、コントローラ42内部のカウンタをリ
セットする。指示回路40は、初期設定の指示を出力後、
コントローラ42がその初期設定に要する時間が経過した
後に、VCO 16に電源電圧を印加してVCO 16を起動する。
【0076】次に、本装置10の動作を、図8のフローチ
ャートを用いて説明する。移動局の電源がオンされたと
き、指示回路40はこれを検知する。検知した指示回路40
は開始信号94をコントローラ42に送る(ステップ101)。
開始信号94を受けたコントローラ42は、カウンタの初期
化を行なう。指示回路40はその後、VCO 16に電源電圧を
印加する。VCO 16は出力を開始する(ステップ101)。VC
O 16が作動したために、位相弁別出力28が急激に変化す
る(ステップ102)。この変化に応じてトリガ回路88が作
動し、位相弁別出力28の微分値である信号90をタイマ86
に出力する(ステップ103)。タイマ86は時間計測を開始
する(ステップ104)。所定の時間が経過したときに、タ
イマ86はコントローラ42にタイマ終了信号92を送る(ス
テップ105)。
【0077】コントローラ42はタイマ終了信号92を受け
取ると、位相弁別出力28としきい値との比較を行なう。
(ステップ106)。弁別出力28がしきい値より小さいとき
は同期が確立したとみなす(ステップ107)。弁別出力28
がしきい値より大きいときはカウンタの値と最大回数と
の比較を行なう(ステップ108)。カウンタの値が最大回
数以上であるならば、同期確立に失敗したとみなし、移
動局の表示部に所望局が見つけられなかったことを示す
表示を行なう(ステップ109)。
【0078】カウンタの値が最大回数未満であるときは
カウンタの値を1だけ増やす(ステップ110)。コントロ
ーラ42は次に、信号70としてインパルス信号を出力す
る。このインパルス信号は加算器72により位相弁別出力
28と加算される(ステップ111)。インパルス信号が加わ
った弁別出力がVCO 16に入力されることにより、VCO 16
の出力信号54の周波数が大きく変化する(ステップ11
2)。
【0079】これに伴い位相弁別出力28が大きく変化す
る(ステップ102)。この変化に応じて、微分回路である
トリガ回路88が再度作動する(ステップ103)。
【0080】以上述べたように、本実施例に係る復調装
置によれば、精度の悪いキャリア周波数発振器をPLL に
組み込んでいるため、精度よく受信信号に同期させるこ
とができる。
【0081】また、復調装置の同期に係る回路内のPLL
のループゲインを相関検波器の出力の関数としているた
め、所望局に正しく同期させることができる。相関検波
器を用いずに、PLL のみで位相復調を行なった場合、所
望局と干渉局との区別ができないため、干渉局に同期し
てしまうことが考えられる。相関検波器をPLL に組み込
むことにより、所望局にのみ同期することができる。
【0082】また、相関検波器をPLL と組み合わせて用
いることにより、相関検波器のゲインが実効的に大きく
なり、特性のよくないPN符号を用いた場合であっても、
所望局と干渉局を区別することができる。
【0083】本実施例では、同期が確立されたかどうか
の判定方法として、一定時間経過後の位相弁別出力の大
きさを評価する方法を採用しているが、本発明はこれに
限られるものではなく、一定時間の経過を待たなくても
判定することができる。例えば、判定回路において、一
定時間区間について位相弁別出力を積分することを繰り
返し、積分値が一定値より小さくなったときに同期が確
立したと判定することとしてもよい。
【0084】一定時間区間について積分を行なうと、以
下のメリットがある。すなわち、PLL の回路パラメータ
によっては位相弁別出力が振動し、その振動が、位相弁
別出力の瞬時値のみで判定すると同期確立の判定を誤る
ほど大きい場合があるが、そのような場合でも積分によ
り、同期確立を正しく判定することができる。
【0085】また、上記の実施例においては、PN符号と
してM系列を用いた場合を説明したが、本発明はこれに
限られるものではなく、PN符号としては、従来からCDMA
通信に用いられているものであれば、どのようなもので
も用いることができる。
【0086】さらに、拡散変調に用いられる符号列は、
PN符号に限られるものではなく、直交関係を有する符号
であれば、どのような符号であっても本発明に用いるこ
とができる。このような符号としては、例えば、ウォル
シュ(Walsh) 符号がある。
【0087】また、上記の実施例においては、PLL によ
り、受信信号の周波数と位相に復調装置内のキャリア周
波数発振器の周波数と位相とを一致させることとした
が、本装置は、パイロット信号を用いて位相ずれを修正
することができるように構成されているため、位相の一
致度は悪くてもよい。
【0088】ここで、パイロット信号を用いて位相ずれ
を修正する方法について説明する。図9に送信側におい
てパイロット信号、トラフィック信号および制御信号が
どのように変調されるかを示す。パイロット信号132
(常にその値は「1」 である)はPN符号PNで拡散変調され
る。トラフィック信号のうち同相成分Xiは、PN符号PNで
拡散変調された後ウォルシュ符号W1でさらに変調され、
拡散変調されたパイロット信号と加算される。加算後の
信号をIとする。トラフィック信号のうち直交成分Xq
は、PN符号PNで拡散変調された後ウォルシュ符号W1でさ
らに変調される。制御信号Xsは、PN符号PNで拡散変調さ
れた後ウォルシュ符号W2でさらに変調される。これらの
変調後、トラフィック信号の直交成分と制御信号とは加
算される。加算後の信号をQとする。
【0089】信号Iと信号Qとは変調部134 で位相変調
(QPSK)された後、伝搬路14を介して受信側10に送られ
る。受信された受信信号20は通常、伝搬路の状態により
位相にずれが生じるとともに、受信側10のキャリア周波
数発振器の出力信号の位相ともずれが生じている。受信
された信号は、受信側のキャリア周波数発振器の出力す
る信号と乗算されて、同相成分信号Riと直交成分信号Rq
とが得られる。
【0090】同相成分信号Riと直交成分信号Rqとは、通
常、伝搬路による位相ずれを含むとともに、受信側10の
キャリア周波数発振器の出力信号の位相ともずれが生じ
ている。送信側での拡散変調と、位相ずれとを考慮する
と、同相成分信号Riと直交成分信号Rqとは、以下のよう
になる。
【0091】
【数4】 Ri=PN・(1+Xi・W1)・β・cosθ-PN・(Xq・W1+Xs・W2)・β・sinθ Rq=PN・(1+Xi・W1)・β・sinθ+PN・(Xq・W1+Xs・W2)・β・cosθ ここで、PNは、PN符号(±1 )、W1,W2 は、ウォルシュ
符号(±1 )、Xiは、トラフィック信号の同相成分(±
1 )、Xqは、トラフィック信号の直交成分(±1)、Xs
は、制御信号(±1 )、βは、伝送路等により変化した
後の振幅、θは位相ずれを示す。
【0092】信号Ri、信号Rqより、逆拡散によりパイロ
ット信号は、図10に示すように復調される。信号Ri、信
号Rqは、PN符号を乗積されて、信号Ri'、信号Rq' が得ら
れる。信号Ri'、信号Rq' は、以下のように表される。
【0093】
【数5】 Ri'=(1+Xi・W1)・β・cosθ-(Xq・W1+Xs・W2)・ β・sinθ Rq'=(1+Xi・W1)・β・sinθ+(Xq・W1+Xs・W2)・ β・cosθ つぎに図10に示すように、これらの信号の和をNシンボ
ルについて取ると、ウォルシュ符号の和はゼロになると
いう性質を有するため、ウォルシュ符号を含む項は消え
て、以下のようにパイロット信号を逆拡散した信号CHi,
CHq が得られる。
【0094】
【数6】 CHi=β・cosθ CHq=β・sinθ この信号を用いて、トラフィック信号の復調および位相
ずれの修正が図11のように行なわれる。すなわち、信号
Ri、信号Rqは、PN符号とウォルシュ関数との積と乗算さ
れて、信号Ri1 、信号Rq1 が以下のように得られる。
【0095】
【数7】 Ri1=(W1+Xi)・β・cosθ-(Xq+Xs・W1・W2)・ β・sinθ Rq1=(W1+Xi)・β・sinθ+(Xq+Xs・W1・W2)・ β・cosθ 次に図11に示すように、1シンボルについてこれらの信
号の和を取ると、W1・W2の和、およびW1の和がゼロにな
るという性質より、信号Ri2 、信号Rq2 が以下のように
得られる。
【0096】
【数8】 Ri2=Xi・ β・cosθ-Xq・β・sinθ Rq2=Xi・ β・sinθ+Xq・β・cosθ この信号Ri2 、信号Rq2 に対して、すでに求められてい
る、パイロット信号を逆拡散した信号CHi,CHq を図11に
示すように乗算すると、以下のように、位相ずれを含ま
ないトラフィック信号の同相成分Yiと、直交成分Yqとが
最終的に得られる。
【0097】
【数9】Yi=Xi・β2・cos2θ-Xq・β2・cos θ・sinθ+Xi・β
2・sin2θ+Xq・β2・cos θ・sinθ=Xi・β2 Yq=Xi・β2・cos θ・sinθ+Xq・β2・cos2θ-Xi・β2・cos θ
・sinθ+Xq・β2・sin2θ=Xq・β2 ところで、本実施例の復調装置はアナログ回路で構成さ
れているとしたが、図1に示す本発明に係る復調装置を
構成する回路をすべてデジタル回路で構成することも可
能である。その時は、図1に示す受信信号20を、A/D 変
換器を用いてデジタル信号に変換し、変換後のデジタル
信号をデジタル回路で処理することとすればよい。
【0098】また、本発明はCDMA通信に使用される復調
装置について述べているが、CDMA通信に限られるもので
はなく、位相復調等の通常の復調と相関器とを用いてい
る通信システムであれば、どのような通信システムにも
用いることができる。
【0099】
【発明の効果】このように本発明によれば、高精度なキ
ャリア周波数発振器を必要としない端末および基地局を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスペクトル拡散通信用復調装置の
一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すスペクトル拡散通信用復調装置に対
応したCDMA通信用基地局の送信装置の一例を示すブロッ
ク図である。
【図3】図1に示す実施例で使用されているPN符号の時
間波形を示す図である。
【図4】図1に示す実施例に用いられる相関検波器の一
実施例を示すブロック図である。
【図5】図1に示す復調装置に用いられる補償器の一実
施例を示すブロック図である。
【図6】図1に示す復調装置を伝達関数を用いて表現し
たブロック図である。
【図7】図1に示す復調装置に含まれる回路の等価PLL
回路を示すブロック図である。
【図8】図1に示す復調装置の行なう同期確立動作のフ
ローチャートである。
【図9】パイロット信号を用いた位相ずれの修正方法の
説明図である。
【図10】パイロット信号を用いた位相ずれの修正方法
の説明図である。
【図11】パイロット信号を用いた位相ずれの修正方法
の説明図である。
【符号の説明】
10 復調装置 16 電圧制御発振器 18 PLL 24 パイロット信号相関検波器 30 補償器 32 判定回路 42 コントローラ 86 タイマ 88 トリガ回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−193557(JP,A) 特開 平5−227123(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 1/69 - 1/713 H04J 13/00 - 13/06 H04L 27/00 - 27/38

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 拡散変調されている受信信号を入力され
    て、該受信信号の復調を行なうスペクトル拡散通信用復
    調装置において、該装置は、 前記受信信号を入力されて、該受信信号に同期する位相
    同期ループ手段と、 該位相同期ループ手段の出力する信号を入力されて、相
    関検波を行ない、検波出力を出力する相関検波手段とを
    有し、 前記位相同期ループ手段のループゲインは、前記相関検
    波器の検波出力に依存することを特徴とするスペクトル
    拡散通信用復調装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のスペクトル拡散通信用
    復調装置において、該装置は、所定の時間が経過したと
    きに、前記位相同期ループ手段の出力に基づいて、前記
    位相同期ループ手段が前記受信信号に同期したかどうか
    を判定する判定手段を有することを特徴とするスペクト
    ル拡散通信用復調装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のスペクトル拡散通信用
    復調装置において、該装置は、前記位相同期ループ手段
    が前記受信信号に同期していないと前記判定手段によっ
    て判定されたときに、前記位相同期ループ手段の出力す
    る信号の周波数を変更する変更手段を有することを特徴
    とするスペクトル拡散通信用復調装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から3までのいずれかに記載の
    スペクトル拡散通信用復調装置において、該装置は、前
    記相関検波手段の出力が周波数に依存しないようにする
    補償回路を有することを特徴とするスペクトル拡散通信
    用復調装置。
  5. 【請求項5】 拡散変調されている受信信号を入力され
    て、該受信信号の復調を行なうスペクトル拡散通信用復
    調方法において、該方法は、 位相同期ループにより、前記受信信号に同期し、 前記位相同期ループが出力する信号について、相関検波
    を行ない、検波出力を出力し、 前記位相同期ループのループゲインは、前記相関検波の
    検波出力に依存することを特徴とするスペクトル拡散通
    信用復調方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のスペクトル拡散通信用
    復調方法において、所定の時間が経過したときに、前記
    位相同期ループの出力に基づいて、前記位相同期ループ
    が前記受信信号に同期したかどうかを判定することを特
    徴とするスペクトル拡散通信用復調方法。
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