JP3056610B2 - 積層成形品およびその成形方法 - Google Patents

積層成形品およびその成形方法

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JP3056610B2
JP3056610B2 JP5109605A JP10960593A JP3056610B2 JP 3056610 B2 JP3056610 B2 JP 3056610B2 JP 5109605 A JP5109605 A JP 5109605A JP 10960593 A JP10960593 A JP 10960593A JP 3056610 B2 JP3056610 B2 JP 3056610B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化熱可塑性樹脂
多孔質成形品を用いた積層成形品に関するものである。
本発明の積層成形品は、従来から木材が使用されていた
車両部材、建築・土木用資材等に広く使用することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題により、南洋材の伐
採が問題視されている。南洋材は、合板に加工され、車
両部材、建築・土木用資材等に大量に使用されており、
それに代わる素材の開発が望まれている。
【0003】木材代替品として、比較的長い強化繊維と
熱可塑性樹脂から構成されている繊維強化熱可塑性樹脂
成形品は、その特性として比較的軽量かつ、高い強度、
剛性を有していることから注目を集めている。しかし、
繊維強化熱可塑性樹脂成形品の密度は1〜1.3g/cm
3 で、木材合板の0.5〜0.7g/cm3 に比べて軽量
とはいえず、木材合板と同レベルの強度、剛性を発見さ
せるためには、製品の重量増加につながり、製品のコス
ト・アップに結び付くことになる。
【0004】繊維強化熱可塑性樹脂成形品の機械的性質
の向上と、軽量化を図る方法として、抄造法(特公昭5
2−12283号公報、特公昭55−9119号公報)
によるシート状成形素材を用いた多孔質成形品の製造方
法(特開昭60−179234号公報、特開昭62−1
61529号公報)が提案されている。この多孔質成形
品は、シート状成形素材が成形前にマトリックスである
熱可塑性樹脂の軟化点または融点以上に加熱される際に
生じるシート膨張を利用して成形される。
【0005】シート状成形素材は、抄造技術を応用し
て、直径3〜30μm、長さ3〜50mmの強化繊維と熱
可塑性樹脂粉末を均一に分散して不織材料を製造し、こ
の不織材料を原料とし加熱、加圧を行いさらに冷却して
製造される。抄造法で製造される不織材料は、強化繊維
がモノフィラメント(単一の繊維)の状態で分散してい
るため、非常にかさ高いという性質を示す。不織材料の
厚みは、強化繊維の含有量とその形状、抄造条件により
異なるが、シート状成形素材として一般的に用いられる
空隙を除去したシートに比べ10倍程度の厚みを有して
いる。シート状成形素材は、加熱により、熱可塑性樹脂
の強化繊維に対する結合力が弱まるため、強化繊維の残
留応力が解放され、元に戻ろうとするスプリングバック
により膨張する。この膨張したシート状成形素材を、成
形型内に挿入し、膨張したシートの厚み以下で、かつ内
包する空隙を残す範囲にクリアランスを設定し、目的と
する膨張倍率を得る条件で加圧、冷却成形することによ
り、多孔質成形品を製造することができる。
【0006】多孔質成形品は、膨張により面積当りの強
度、弾性率は低下するが、重量一定で成形品の厚肉化を
図ることができ、材料力学的に曲げ強さが成形品板厚の
2乗に、曲げ剛性が成形品板厚の3乗に比例することか
ら、通常の繊維強化熱可塑性樹脂成形品に比べて、機械
的性質の向上と軽量化を図ることが可能となる。
【0007】しかし、上記の方法で成形された多孔質成
形品では、以下に述べるように機械的性質と成形品外観
が十分とはいえない。従来の多孔質成形品の成形方法の
一例を図2に示した。シート状成形素材14は、一般的
には遠赤外線加熱炉15内で熱可塑性樹脂の軟化点また
は融点以上に加熱される。シート状成形素材の膨張は、
最初に加熱されるシートの表面から始まり次第に熱が板
厚中心部におよぶにつれて全体的に膨張する。しかし膨
張によりシート内部には断熱空気層が形成されるため、
熱伝導率が低下する。この熱伝導率の低下は、不均一な
シート膨張の原因となる。シート状成形素材は、表面付
近が大きく膨張する(16)が、遠赤外線による熱がシ
ート内部に十分伝わらない状態で加熱されるために、内
部はほとんど膨張していない層(17)が形成される。
【0008】シート状成形素材は、無負荷の状態で膨張
するため表面部に凹凸18が生じる。表面部の凹凸は、
シート状成形素材中の強化繊維がランダム配向してお
り、スプリングバックがシート内で不均一に発生するた
めに生じる。また、シート表面では、強化繊維がスプリ
ングバックにより露出し(19)、外観が著しく悪化す
る。
【0009】この膨張したシート状成形素材を、冷却プ
レス盤13内に挿入し、クリアランスを膨張したシート
の厚み以下で、かつ内包する空隙を残す範囲を設定し、
目的とする膨張倍率を得る条件で加圧、冷却成形して、
多孔質成形品20を製造する。
【0010】多孔質成形品の膨張状態は、シート状成形
素材と同様に表面付近が大きくなり内部がほとんど膨張
していないため、製品が曲げられる場合に引張り、圧縮
の荷重が加わる表面部が、機械的に弱い構造になり機械
的性質が低下する。さらに、成形品の外観が加熱シート
の外観を受け継ぐために、シート表面の凹凸によるしわ
21の発生、強化繊維の露出19による外観低下が生じ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、木材代替品
等として有用な機械的性質、外観を改良した繊維強化熱
可塑性樹脂の積層成形品とその成形方法を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは次の通りである。 (1)強化繊維と熱可塑性樹脂の抄造法による不織材料
からなる多孔質の繊維強化熱可塑性樹脂層の表面に、ホ
ットメルトタイプ接着性樹脂層を介して金属薄板が積層
されてなることを特徴とする積層成形品。 (2)多孔質の繊維強化熱可塑性樹脂の見かけ密度が、
0.3〜1g/cm3 である上記(1)記載の積層成形
品。
【0013】(3)抄造法による強化繊維と熱可塑性樹
脂からなる不織材料の表面にホットメルトタイプ接着性
樹脂のフィルムを介して金属薄板を重ね合わせ、熱可塑
性樹脂の融点または軟化点以上に加熱して、熱可塑性樹
脂が溶融した状態で加圧し、続いて熱可塑性樹脂が溶融
した状態のままで加圧を除去し、不織材料を強化繊維の
スプリングバックにより膨張させ、しかる後、形成され
た積層体を膨張厚み以下に加圧、冷却成形することを特
徴とする積層成形品の成形方法。
【0014】本発明の積層成形品およびその成形方法の
一例を図1に示した。本発明の積層成形品1は、多孔質
の繊維強化熱可塑性樹脂層2と金属薄板3が、ホットメ
ルトタイプ接着性樹脂層(以下接着性樹脂層と称する)
4により接着されており、繊維強化熱可塑性樹脂層の見
かけ密度としては0.3〜1g/cm3 が好ましい。
【0015】繊維強化熱可塑性樹脂層は、均一な膨張が
なされ、強化繊維5の交差部分が熱可塑性樹脂6で効率
よく接着されているために、優れた機械的性質が得られ
る。さらに、繊維強化熱可塑性樹脂層の表面部は、接着
性樹脂層で強固に接着された金属薄板が積層・強化され
ているために、より優れた機械的性質が発現する。金属
薄板は、用途や希望される特性に応じて、片面または両
面に積層する。
【0016】抄造法により製造された強化繊維5と熱可
塑性樹脂6からなる不織材料7の表面に接着性樹脂のフ
ィルム8と金属薄板3を重ね合わせ、この両面に平滑面
を有する板状体9を重ね合わせて加熱プレス盤10内に
挿入し、熱可塑性樹脂が溶融するまで加熱する。熱可塑
性樹脂が溶融するまで加熱された後、強化繊維の間に熱
可塑性樹脂を含浸させるため、繊維破損が生じない程度
の圧力で加圧を行う(11)。続いて、熱可塑性樹脂が
溶融している状態のままで加圧を除去し、不織材料を強
化繊維のスプリングバックにより膨張させ(12)、板
状体を重ね合わせた状態のままで、冷却プレス盤13内
に挿入し、クリアランスをこれらの膨張した積層体の厚
み以下で、かつ繊維強化熱可塑性樹脂層に内包する空隙
を残す範囲に設定して、目的とする膨張倍率を得る条件
で加圧、冷却成形し、板状体を取り外すことにより、本
発明の積層成形品1を製造する。
【0017】図1の成形方法では、加熱、加圧工程と加
圧、冷却工程を別々の専用プレス機で実施したが、一台
のプレス機により加熱、加圧、解圧、冷却成形を実施す
ることもできる。また、加熱プレス盤での不織材料の加
熱時間を短縮することを目的として、不織材料を予熱す
ることは成形サイクルの短縮につながり好ましい。不織
材料の予熱には、不織材料の通気性を利用して熱風を通
過させ短時間に加熱する方法やオーブンによる加熱が行
われる。
【0018】不織材料の代わりに、不織材料を加熱、加
圧、冷却成形したシート状成形素材を使用した場合も、
同様に強化繊維のスプリングバックによる膨張が発生
し、本発明の積層成形品を得ることができる。但し、こ
の場合はシート状成形素材の成形工程により、全工程が
長くなるため効率的ではない。この方法で成形された積
層成形品は、周囲の形状が不安定なため、実際には成形
品の周囲をトリミングすることにより製品とすることが
できる。
【0019】不織材料の膨張倍率は、強化繊維のスプリ
ングバックによって生じるため、強化繊維の種類(剛
性)、その含有量によって変化するが最大5倍程度であ
る。そのため繊維強化熱可塑性樹脂層の多孔質の度合
は、見かけ密度を0.3〜1g/cm3 の範囲の中から、
用途によって決定する。
【0020】不織材料の原料となる強化繊維としては、
ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維のほかに無機繊維、有
機繊維、用途によってはこれらの混合物が用いられる。
強化繊維の形状は、直径が取り扱いの容易さと経済的な
観点により3μm以上で、十分な強度を発現させるため
に30μm以下にすることが好ましく、繊維長は強度発
現の観点から3mm以上で、均一な分散が可能な50mm以
下にすることが望ましい。また強化繊維は、水中での良
好な分散を目的として親水性を向上するために水溶性高
分子、湿潤剤で、強度発現を目的として熱可塑性樹脂と
の接着性を向上するためにシランカップリング剤等で、
表面処理を行うことが望ましい。
【0021】熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重
合体、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセター
ル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポ
リフェニレンスルフィド等の樹脂であり、またこれらの
2種類またはそれ以上の混合物をも含み、これらに一般
的に用いられる可塑剤、熱安定剤、光安定剤、充填材、
染顔料、耐衝撃剤、増量材、核剤、加工助剤等を添加す
ることもできる。熱可塑性樹脂の形状は、ペレット、パ
ウダー、フレーク、繊維状のものを適宜選択して使用す
る。
【0022】強化繊維の含有量は、スプリングバックに
よる安定した膨張が生じる10体積%以上で、強化繊維
と熱可塑性樹脂との接着が可能で機械的性質を十分発現
する40体積%以下とすることが望ましい。
【0023】接着性樹脂は取扱い性の面からフィルム状
で用い、不織材料の加熱時に溶融し、冷却成形により繊
維強化熱可塑性樹脂層と金属薄板を固着する。接着性樹
脂としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体(酸無
水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等)でグラフ
ト変性したポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、エ
チレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチ
レン−アクリル酸共重合体等のエチレン系樹脂、ポリプ
ロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等のプロピレ
ン系樹脂、およびこれらに炭化水素エラストマー(ブチ
ルゴム等)を添加したものを挙げることができる。接着
性樹脂のフィルムは、これらの中から繊維強化熱可塑性
樹脂に用いた熱可塑性樹脂の相溶性、融点を考慮して適
宜選択する。
【0024】金属薄板としては、鋼板、ステンレス鋼
板、アルミニウム板、銅板、真ちゅう板等を用いること
ができ、その厚みは特に限定する必要はないが好ましい
範囲は0.01〜10mmで用途に応じて適宜選択する。
また、これらの金属薄板の表面に化粧模様等の凹凸加工
を施したものを使用することもできる。
【0025】板状体としては、シート状成形素材の製造
工程と同様のものを使用する。シート状成形素材は、不
織材料の両面に平滑面を有する板状体を重ね合わせ、熱
可塑性樹脂の融点または軟化点以上に加熱した後、加圧
することにより強化繊維の間に熱可塑性樹脂を含浸さ
せ、さらに冷却して製造される。板状体の材質は、加熱
温度に耐え得るものであればよく金属、無機物、樹脂製
のものが挙げられる。これらの板状体は、熱可塑性樹脂
が溶融状態では密着するが、非溶融状態では接着しない
性質を有する必要があり、シート状成形素材の離型性を
考慮してテフロン樹脂等のコーティングを施したり、シ
リコン等の離型剤処理が行われる場合もある。
【0026】不織材料の加熱は、熱可塑性樹脂が固化し
ている状態でも強化繊維が破損しない非常に小さな加圧
下で、温度調節された加熱プレス盤の接触加熱で行われ
る。不織材料の熱可塑性樹脂は外側から徐々に溶融する
が、それに従って板状体間の距離(不織材料の厚み)は
低下し、均一加熱が実施される。続いて、不織材料の熱
可塑性樹脂が溶融した状態で、強化繊維の間に熱可塑性
樹脂を含浸するため、繊維破損が生じない圧力で加圧を
行う。さらに、熱可塑性樹脂が溶融している状態で、加
圧を除去する。不織材料は、強化繊維がモノフィラメン
ト(単一の繊維)の状態で分散しているため、スプリン
グバックにより大きく膨張する。また、不織材料は均一
加熱されているため、均一な膨張が得られる。この膨張
した積層体に板状体が重ね合わされた状態のままで冷却
プレス盤内に挿入し、目的とする膨張倍率を得るクリア
ランス設定を行い、加圧、冷却成形し、繊維強化熱可塑
性樹脂層の膨張状態を凍結した後、板状体を取り外すこ
とによって本発明の積層成形品を成形する。
【0027】不織材料の加圧含浸により、強化繊維と熱
可塑性樹脂の濡れ性が向上するため、繊維強化熱可塑性
樹脂層の均一な膨張において、強化繊維の交差部分が熱
可塑性樹脂で効率よく接着され、繊維強化熱可塑性樹脂
層の機械的性質が改善される。
【0028】不織材料の金属薄板および接着性樹脂のフ
ィルムが積層された側では、加圧時に不織材料中の熱可
塑性樹脂が金属薄板との界面に浸み出し、接着性樹脂と
相まって安定した樹脂リッチ層を形成し、両者を強固に
密着する。同様に、金属薄板および接着性樹脂のフィル
ムが積層されていない側においても、加圧時に熱可塑性
樹脂が板状体との界面に浸み出し、樹脂リッチ層を形成
し両者を強固に密着する。このため、不織材料は金属薄
板および板状体の表面に拘束された状態で膨張し、金属
薄板とは良好な接着強度が得られ、金属薄板が積層され
ていない成形品表面においても、板状体が取り外された
後に板状体表面が転写され、良好な樹脂リッチ平滑表面
が得られる。
【0029】図1の成形方法では、積層体の両面に板状
体を重ね合わせているが、金属薄板が積層される表面で
は、金属薄板が板状体の役割を果たすためハンドリング
性等の工程上の問題がなければ、板状体を重ね合わせる
必要はない。また、前述したように一台のプレス機によ
り加熱、加圧、解圧、冷却成形を実施する場合には、
状体の役割をプレス盤が果たすため、金属薄板が積層さ
れていない積層体表面においても板状体の使用を省略す
ることもできる。
【0030】本発明の積層成形品は、良好な機械的性質
と外観を有しているため、従来から木材が使用されてい
る産業用資材に、優れた木材代替品として広く適用する
ことができる。
【0031】
【実施例】以下実施例を挙げて、本発明を詳細に説明す
る。 実施例1 強化繊維として直径10μm、長さ13mmのガラス繊維
と、熱可塑性樹脂として、直径3mmの球状ペレットを機
械粉砕し、その粉砕品をふるい分けにより70mesh(開
口径0.212mm)から10mesh(開口径1.7mm)ま
でに分級したポリプロピレン樹脂粉末を用いて、抄造法
によりガラス繊維含有量45重量%(22.3体積%)
とポリプロピレン樹脂55重量%(77.7体積%)の
組成で、坪量(面積当りの重量)が1200g/m2
不織材料を製造した。
【0032】不織材料を600×600mmに切断して5
枚積層し、その片面に接着性樹脂のフィルムとして無水
マレイン酸をグラフトさせた変性ポリプロピレン樹脂フ
ィルム(厚み35μm)1枚と鋼板(厚み0.2mm)1
枚を積層した。さらに、この積層体の両面に板状体とし
て平滑表面を有するステンレス鋼製鏡板を重ね合わせ
て、本発明の積層成形品を成形した。積層体を、210
℃に温度設定された加熱プレス盤内に挿入し、圧力2kg
f/cm2 の加圧下で不織材料の中心部温度が190℃以上
に昇温するまで、約7分間予熱した。この温度で、ポリ
プロピレン樹脂は十分溶融していた。続いて、圧力5kg
f/cm2 で、1分間加圧し、さらに積層体を冷却プレス盤
に挿入し、プレス盤のクリアランスをスペーサーにより
設定して、圧力5kgf/cm2 で約5分間、加圧、冷却成形
し、成形後鏡板を取り外して、板厚10mm、繊維強化熱
可塑性樹脂層の見かけ密度が0.62g/cm3 の積層成
形品を得た。
【0033】加熱加圧後の積層体は、加熱盤から冷却盤
に移動される短時間で、強化繊維のスプリングバックに
より直ちに膨張した。また、加熱加圧後の不織材料と鋼
板および鏡板は非常に強固に密着しており、不織材料の
表面が両者の表面に拘束された状態で膨張していること
が確認された。
【0034】積層成形品の鋼板は、膨張した繊維強化熱
可塑性樹脂層と強固に接着されていた。また、接着性樹
脂フィルムと鋼板が積層されていない表面は、安定した
樹脂リッチ層が形成され、ガラス繊維の露出がなく、鏡
板の平滑面が転写された良好な外観を呈していた。
【0035】光学顕微鏡、走査電子顕微鏡観察により、
繊維強化熱可塑性樹脂層中のガラス繊維の交差部分がポ
リプロピレン樹脂で効率よく接着され、均一な膨張が実
施されていることが確認された。この積層成形品から幅
70mm、長さ200mmの試験片を採取し、スパン150
mmの3点曲げ試験を行った。結果を表1に示した。
【0036】実施例2 実施例1の不織材料を600×600mmに切断して5枚
積層し、その両面に実施例1で用いた接着性樹脂のフィ
ルムおよび鋼板を各1枚積層して、実施例1と同様に本
発明の積層成形品(繊維強化熱可塑性樹脂層の見かけ密
度が0.66g/cm3 )を成形した。
【0037】実施例3 実施例1の不織材料を600×600mmに切断して4枚
積層し、その両面に実施例1で用いた接着性樹脂のフィ
ルムおよび鋼板を各1枚積層して、実施例1と同様に本
発明の積層成形品(繊維強化熱可塑性樹脂層の見かけ密
度が0.51g/cm3 )を成形した。
【0038】実施例4 実施例1の不織材料を600×600mmに切断して3枚
積層し、その両面に実施例1で用いた接着性樹脂のフィ
ルムおよび鋼板を各1枚積層して、実施例1と同様に本
発明の積層成形品(繊維強化熱可塑性樹脂層の見かけ密
度が0.39g/cm3 )を成形した。
【0039】実施例5 実施例1の不織材料を600×600mmに切断して5枚
積層し、その両面に実施例1で用いた接着性樹脂のフィ
ルムおよびアルミニウム板(厚み0.2mm)を各1枚積
層して、実施例1と同様に本発明の積層成形品(繊維強
化熱可塑性樹脂層の見かけ密度が0.66g/cm3 )を
成形した。
【0040】実施例2,3,4,5の積層成形品は、鋼
板およびアルミニウム板が膨張した繊維強化熱可塑性樹
脂層と強固に接着し、繊維強化熱可塑性樹脂層中のガラ
ス繊維の交差部分がポリプロピレン樹脂で効率よく接着
され、均一な膨張が実施されていることが確認された。
これらの積層成形品から幅70mm、長さ200mmの試験
片を採取し、スパン150mmの3点曲げ試験を行った。
結果を表1に示した。
【0041】比較例1 実施例1の不織材料を600×600mmに切断して7枚
積層し、その両面に板状体としてステンレス鋼製鏡板を
重ね合わせて、空隙を除去した板状成形品を成形した。
積層体を、210℃に温度設定された加熱プレス盤内に
挿入し、圧力2kgf/cm2 の加圧下で不織材料の中心部温
度が190℃以上に昇温するまで、約7分間予熱した。
続いて、圧力5kgf/cm2 で、1分間加圧し、さらにこの
積層体を冷却プレス盤に挿入し、圧力5kgf/cm2 で約5
分間、加圧、冷却することにより板状成形品を成形し
た。この場合は、プレス盤のクリアランス設定は行わ
ず、加熱加圧と同様に、不織材料が直接加圧された状態
で冷却成形した。冷却後、鏡板を取り外し板厚6.8mm
の板状成形品を得た。
【0042】板状成形品は、表面が樹脂リッチでガラス
繊維の露出がなく、良好な外観を呈していた。また、成
形品内部の強化繊維が均一に分散しており、その間には
熱可塑性樹脂が十分含浸していることが確認された。こ
の成形品から幅70mm、長さ200mmの試験片を採取
し、スパン150mmの3点曲げ試験を行った。結果を、
表1に示した。
【0043】比較例2 比較例1で成形された板状成形品を成形素材として、従
来の方法により膨張成形品を成形した。成形素材を、遠
赤外線加熱炉により表面温度が210℃に昇温するまで
約7分間加熱した。この際、成形素材は表面付近が大き
く膨張し、内部は十分加熱されていない状態であった。
また、表面部には凹凸が発生し、ガラス繊維がスプリン
グバックにより露出していることが確認された。加熱さ
れた成形素材を冷却プレス盤に挿入し、プレス盤のクリ
アランスをスペーサーにより設定して、圧力5kgf/cm2
で約5分間、加圧、冷却成形し、板厚10mmの膨張成形
品を得た。
【0044】この膨張成形品の外観は、加熱された成形
素材の外観を受け継ぐため、表面凹凸によるしわ、強化
繊維の露出による外観低下が生じていた。また、膨張成
形品内部の膨張状態は表面付近が非常に大きく膨張し、
中心部はもとの成形素材同様ほとんど膨張していないこ
とが確認された。この中心層は、成形素材の初期厚みの
約50%で、3.3mmの厚みを有していた。この膨張成
形品から幅70mm、長さ200mmの試験片を採取し、ス
パン150mmの3点曲げ試験を行った。結果を、表1に
示した。
【0045】
【表1】
【0046】実施例の積層成形品では、ガラス繊維がポ
リプロピレン樹脂で効率よく接着されている繊維強化熱
可塑性樹脂層の均一な膨張と、さらに表面部が金属薄板
により積層・強化されているために、優れた機械的性質
が得られた。面積当りでの強度、弾性率は比較例1の膨
張していない成形品に比べて低下しているが、製品とし
ての曲げ強さ(曲げ荷重)、曲げ剛性(弾性勾配)は改
善されている。曲げ勾配とは、3点曲げ試験において、
試験片のたわみ量が1mmの時の荷重であり、成形品の剛
性の指標となる。この結果は、曲げ強さが成形品板厚の
2乗、曲げ剛性が板厚の3乗に比例することによるもの
で、特に剛性の向上が著しいことが確認された。
【0047】比較例2の膨張成形品は、表面付近の膨張
が非常に大きく、中心部はほとんど膨張していない構造
を示していた。そのため、製品が曲げられる場合に引張
り、圧縮の荷重が加わる表面部が、機械的に弱い構造に
なり十分な機械的性質が得られなかった。実施例3、比
較例1,2の成形品の坪量はほぼ同じであるが、本発明
の積層成形品は従来の成形品に比べて、曲げ強さ・剛性
が非常に優れている。
【0048】
【発明の効果】本発明の積層成形品では、強化繊維が熱
可塑性樹脂で効率よく接着されている繊維強化熱可塑性
樹脂層の均一な膨張と、表面部が金属薄板により積層・
強化されているために、良好な機械的性質が発現する。
また、不織材料が板状体との樹脂リッチ界面で拘束され
て膨張するために、板状体表面が転写された樹脂リッチ
の良好な成形品外観が得られる。本発明の積層成形品
は、軽量性を損なうことなく優れた木材代替品となり、
産業用資材に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層成形品およびその成形方法を示す
概略図。
【図2】従来の膨張成形品の成形方法の一例を示す概略
図。
【符号の説明】
1 本発明の積層成形品 2 多孔質の繊維強化熱可塑性樹脂層 3 金属薄板 4 ホットメルトタイプ接着性樹脂層 5 強化繊維 6 熱可塑性樹脂 7 不織材料 8 ホットメルトタイプ接着性樹脂フィルム 9 板状体 10 加熱プレス盤 11 熱可塑性樹脂が溶融した状態で加圧された不織材
料 12 強化繊維のスプリングバックにより均一に膨張し
た不織材料 13 冷却プレス盤 14 シート状成形素材 15 遠赤外線加熱炉 16 膨張した層 17 ほとんど膨張していない層 18 シート表面部の凹凸 19 強化繊維のスプリングバックによる露出 20 多孔質成形品 21 成形品表面のしわ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−221634(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08 105

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化繊維と熱可塑性樹脂の抄造法による
    不織材料からなる多孔質の繊維強化熱可塑性樹脂層の表
    面に、ホットメルトタイプ接着性樹脂層を介して金属薄
    板が積層されてなることを特徴とする積層成形品。
  2. 【請求項2】 多孔質の繊維強化熱可塑性樹脂の見かけ
    密度が、0.3〜1g/cm3 である請求項1記載の積層
    成形品。
  3. 【請求項3】 抄造法による強化繊維と熱可塑性樹脂か
    らなる不織材料の表面にホットメルトタイプ接着性樹脂
    のフィルムを介して金属薄板を重ね合わせ、熱可塑性樹
    脂の融点または軟化点以上に加熱して、熱可塑性樹脂が
    溶融した状態で加圧し、続いて熱可塑性樹脂が溶融した
    状態のままで加圧を除去し、不織材料を強化繊維のスプ
    リングバックにより膨張させ、しかる後、形成された積
    層体を膨張厚み以下に加圧、冷却成形することを特徴と
    する積層成形品の成形方法。
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