JP3056413B2 - 導電性転写ベルト - Google Patents

導電性転写ベルト

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JP3056413B2 JP8041814A JP4181496A JP3056413B2 JP 3056413 B2 JP3056413 B2 JP 3056413B2 JP 8041814 A JP8041814 A JP 8041814A JP 4181496 A JP4181496 A JP 4181496A JP 3056413 B2 JP3056413 B2 JP 3056413B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電式複写機、レ
ーザープリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を用い
た画像形成装置に用いられる導電性転写ベルトに関す
る。
【0002】
【従来の技術】上記画像形成装置の転写装置において
は、感光体表面に形成されたトナー像を転写紙上に転写
する機能と、転写紙を搬送する機能とを併せもった転写
ベルトが知られている。すなわち、この転写ベルトには
電荷(転写バイアス)が与えられているため、転写紙を
静電的に担持して搬送することができるとともに、この
転写バイアスがトナー像の電荷と逆の極性であるため、
転写紙を感光体と接触させた際にトナー像の転写を行う
ことができる。
【0003】上記転写装置においては、形成画像の品質
を向上させるため、トナー像を正確に転写することが要
求されている。そこで従来より、転写ベルトの電気特
性、特に体積抵抗率ρについて種々の検討がなされてい
る。例えば、特開平3−100579号公報には、厚み
方向の体積抵抗率ρが10 10〜1014Ω・cmである抵
抗層を形成するとともに、前記抵抗層が感光体と接触す
る側の表面抵抗を前記抵抗値の1/10〜1/100程
度に設定した転写ベルトが開示されている。
【0004】また、特開平1−172986号公報、特
開平2−110586号公報等には、転写ベルトが感光
体と接触する側に高抵抗の層を設け、感光体と接触しな
い側に低抵抗の層を設けた転写ベルトが開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示された転写ベルトのように、体積抵抗率ρの値
を所定の範囲に設定したときであっても、形成画像にム
ラが発生するといった問題を除去することができない。
これは、上記転写ベルトに用いられるゴムが、一般に、
ゴム中に配合されるカーボンブラックなどの導電性充填
剤によって導電性を発現していることに起因している。
【0006】上記導電性充填剤は、ゴムの混練時などに
おいてせん断応力が作用することにより、一定の方向に
配向する特性を有している。ゴムの導電性は、前記導電
性充填剤などがゴムの内部で接触(もしくは、非常に接
近)したときのトンネル効果によって発現すると考えら
れており、導電性充填剤やゴムの分子の配向に大きく左
右される。従って、同一の組成からなるゴムであって
も、ゴムの加工の履歴によって導電性が大きく異なり、
転写ベルトの移動方向やこれと直交する幅方向において
導電性にばらつきがみられるといった問題が生じてしま
う。
【0007】一方、特開平7−146594号公報に
は、転写バイアスの強度を制御することにより、転写ベ
ルトの移動方向における抵抗率が変化しても転写ベルト
の電荷量を一定に保つことのできる転写装置が開示され
ている。しかしながら、上記公報に記載の転写装置で
は、転写ベルトの幅方向における抵抗値の変化を制御す
ることができず、幅方向での導電性のばらつきに起因し
て形成画像にムラが生じるという問題を除去することが
できない。
【0008】また、前記体積抵抗率ρは、一般に転写ベ
ルトの厚さ方向での抵抗値を示しており、体積抵抗率ρ
を測定する際の電流と実際に転写ベルトを使用したとき
の電流とでは電流の方向等が異なると考えられている。
従って、転写ベルトの幅方向における体積抵抗率ρのば
らつきと、形成画像の評価との間には相関関係が低く、
導電性ベルトの幅方向における体積抵抗率ρのばらつき
が少なくても形成画像のムラを完全に除去することがで
きない。
【0009】そこで本発明の目的は、正確な転写を実現
することができ、良好な画像を形成することのできる導
電性転写ベルトを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、導電性転写ベルトの導電層ついての
分子配向角および分子配向度と、形成画像の品質との相
関関係に着目し、鋭意研究を重ねた結果、少なくとも導
電層を有する導電性転写ベルトであって、このベルトの
移動方向と直交するベルトの幅方向に沿った同一線上に
おいて、(i) 前記導電層の、前記ベルトの幅方向に対す
る分子配向角θの平均値が−15°〜+15°の範囲に
あり、かつ(ii)前記導電層の分子配向度MOR−Cの平
均値、最大値および最小値の関係が、式(1) : (最大値−最小値)/平均値<0.4 (1) であるときは、正確な転写を実現することができ、良好
な画像を形成することのできる導電性転写ベルトが得ら
れるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至
った。
【0011】上記分子配向角θおよび分子配向度MOR
−Cは分子配向計を用いて測定される。分子配向計は分
子の配向状態を調べる機器であって、1対の導波管(発
振器および検波器)とその間隙部に設けられた試料保持
部とからなる。導電性転写ベルトの導電層から取り出し
た試料に対してマイクロ波偏波を照射すると、マイクロ
波偏波と試料の双極子モーメントとの間に相互作用が生
じる。この相互作用の角度依存性を求めることによっ
て、導電層の配向状態を調べることができる。
【0012】配向状態の測定にて得られる配向パターン
図の一例を図1に示す。図1中の曲線1は、分子配向計
の検波器で検出されたマイクロ波偏波の強度を、偏波面
の方向に対応させてプロットしたものである。この配向
パターン図において、X軸は転写ベルトの移動方向を、
Y軸は転写ベルトの幅方向をそれぞれ示している。すな
わち、図1中の曲線1とY軸との交点は、前記試料の、
転写ベルトの幅方向に対応する方向とマイクロ波偏波の
偏波面とを一致させたときに検波器で測定されたマイク
ロ波偏波の強度を示している。
【0013】本発明の導電性転写ベルトにおける導電層
の、ベルトの幅方向に対する分子配向角θは、試料を透
過したマイクロ波偏波の強度が最小値を示す方向とY軸
(すなわち、導電性転写ベルトの幅方向)とがなす角度
を示す。なお、分子配向角θの値は、Y軸から時計回り
に正の値、反時計回りに負の値をとる。この分子配向角
θの絶対値が小さいほど、導電層の双極子モーメントの
方向がY軸方向(すなわち、転写ベルトの幅方向)に近
いことを示している。
【0014】本発明の導電性転写ベルトにおける導電層
の分子配向度MOR−Cは、マイクロ波偏波の強度の最
大値(図1中にMAXで示した)を最小値(図1中にM
INで示した)で除して求められる値MORに、試料の
厚みを考慮して厚み補正を施したものである。この分子
配向度MOR−Cの値が大きいほど、導電層の双極子モ
ーメントの異方性が大きいことを示す。なお、前記厚み
補正は、次式(2) に従って行われる。
【0015】
【数1】
【0016】(式中、tc は補正厚み(mm)、ts
試料の厚さ(mm)を示す。) また、上記式(1) は、導電性転写ベルトの幅方向におけ
る分子配向度MOR−Cのばらつきの大きさを示してい
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の導電性転写ベルトにおけ
る導電層は、ゴム中に導電性充填剤、加硫剤などを配合
し、加硫成形したものである。導電層に用いられるゴム
としては、従来公知の種々のゴムが使用可能である。具
体的には、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NB
R)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ク
ロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエンゴム
(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロ
ピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレ
ンゴム(EPM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ア
クリルゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロ
ゲン化ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム
(CSM)、エピクロロヒドリンゴム(CHR)、エピ
クロロヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム(CH
C)、水素化ニトリルゴム(HSM)等があげられ、こ
れらのゴムを単独でまたは2種以上を混合して用いるこ
とができる。
【0018】上記ゴムに配合される導電性充填剤として
は、例えばカーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン
(表面が酸化スズで被覆されたものも含む)等の金属酸
化物、導電性シリカ、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム
等の金属粉、炭素繊維などがあげられる。上記導電性充
填剤のうちカーボンブラックとしては、例えばチャンネ
ルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック
等があげられ、これらのうち平均粒径が18〜120n
m、とりわけ22〜90nmの範囲にあるものが好適に
用いられる。
【0019】導電性充填剤の配合量は、通常、導電層の
体積抵抗率ρに応じて設定される。導電性充填剤として
カーボンブラックを用いる場合には、ゴム100重量部
に対して50〜300重量部、好ましくは5〜50重量
部の範囲で配合するのが適当である。カーボンブラック
の配合量が上記範囲を超えると、転写ベルトの体積抵抗
率ρが低くなりすぎるおそれがある。この場合、ピンホ
ールの発生、トナーの逆帯電による転写不良、リーク、
紙汚れ等が発生するおそれが生じる。さらに、導電性転
写ベルトの硬度が高くなりすぎたり、加工性が悪化した
りするおそれもある。一方、カーボンブラックの配合量
が上記範囲を下回ると、転写ベルトの体積抵抗率ρが高
くなりすぎるおそれがある。この場合、転写効率が悪く
なり、実用に適さなくなるおそれが生じる。
【0020】上記ゴムに配合される加硫剤としては、例
えば硫黄、有機系硫黄化合物、有機過酸化物などの従来
公知の種々の加硫剤を使用することができる。前記有機
系硫黄化合物としては、例えば2,4,6−トリメルカ
プト−S−トリアジン、N,N’−ジチオビスモルホリ
ン等があげられる。また、前記有機過酸化物としては、
例えばベンゾイルペルオキシド等があげられる。
【0021】加硫剤の配合量は、原料ゴム100重量部
に対して0.3〜4重量部、好ましくは0.5〜3重量
部であるのが適当である。導電層に用いられるゴムに
は、上記導電性充填剤および加硫剤のほかに、例えば加
硫促進剤、加硫促進助剤、発泡剤、充填剤(補強剤)、
軟化剤、可塑剤、老化防止剤などの添加剤が必要に応じ
て配合される。
【0022】加硫促進剤としては、例えばテトラメチル
チウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフ
ィド等のチウラム類;ジブチルジチオカルバミン酸亜
鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカル
バミン酸類;2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シ
クロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド
等のチアゾール類;トリメチルチオ尿素などのチオウレ
ア類などの有機促進剤のほか、消石灰、マグネシア(M
gO)、リサージ(PbO)などの無機促進剤があげら
れる。
【0023】加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華など
の金属酸化物、ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸
などの脂肪酸、その他従来公知の種々の加硫促進助剤が
あげられる。発泡剤は、硬度を低下させる目的でゴムを
発泡させる際に用いられるものであって、例えばジアミ
ノベンゼン、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ベ
ンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド、
4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジ
ド)等があげられる。発泡剤の配合量は、所望の発泡倍
率に応じて配合すればよく、通常、原料ゴム100重量
部に対して30重量部以下、好ましくは3〜20重量部
であるのが適当である。
【0024】充填剤(補強剤)としてはカーボンブラッ
クが代表例としてあげられるが、カーボンブラックはゴ
ムに導電性を付与するために用いられることから、その
配合量は前記した範囲内に限定される。カーボンブラッ
ク以外の充填剤(補強剤)としては、例えば炭酸カルシ
ウム、シリカ、クレー、タルク、硫酸バリウム、ケイ藻
土等があげられる。
【0025】軟化剤としては、例えばステアリン酸、ラ
ウリン酸などの脂肪酸、綿実油、トール油、アスファル
ト物質、パラフィンワックス等があげられる。可塑剤と
しては、例えばジメチルフタレート、ジブチルフタレー
ト等のフタル酸系化合物、ジオクチルアジペート等のア
ジピン酸系化合物、ジブチルセバケート等のセバチン酸
系化合物、安息香酸系化合物などがあげられる。
【0026】老化防止剤としては、例えば2−メルカプ
トベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、フェニル−
α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p
−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロ
ピル−p−フェニレンジアミン等のアミン類、ジ−t−
ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノール等のフ
ェノール類などがあげられる。
【0027】導電層の作製方法は次のとおりである。ま
ず、上記例示のゴムに上記各成分を配合し、オープンロ
ール、密閉式混練機などで混練して導電性ゴム組成物を
得る。次いで、この導電性ゴム組成物を押出し成形、射
出成形などの従来公知の成形方法にて所定形状のベルト
に成形し、さらに加硫および必要に応じて二次加硫を行
うことによって、所望の導電層が得られる。
【0028】良好な画像を形成することのできる導電性
転写ベルトを得るには、上記体積抵抗率ρを所定の範囲
に設定し、かつ上記分子配向度MOR−Cおよび分子配
向角θを前述した範囲に設定すればよい。導電層の分子
配向角θや分子配向度MOR−Cは、上記押出し成形、
射出成形などの成形時において、成形条件を変化させる
ことによって調整できる。
【0029】例えば、導電層を押出し成形によって作製
する場合には、導電性ゴム組成物の押出し速度、押出し
成形機のスクリューの回転速度、押出機の口金の温度な
どを調節すればよく、通常、上記押出し速度やスクリュ
ーの回転速度が速いほど、または口金の温度が高いほ
ど、導電層の分子配向角θの絶対値が小さく、かつ分子
配向度MOR−Cが大きくなる傾向がある。
【0030】導電層の分子配向角θおよび分子配向度M
OR−Cを前述の範囲に設定するには、一般に、導電性
ゴム組成物の押出し速度を0.5〜4.5m/分の範囲
に、スクリューの回転速度を5〜25rpmの範囲に、
口金の温度を50〜130℃の範囲にそれぞれ設定すれ
ばよい。本発明の導電性転写ベルトにおける導電層の分
子配向角θは、導電性転写ベルトの幅方向に沿った同一
線上での平均値が−15°〜+15°、好ましくは−5
°〜+5°の範囲にあるのが適当である。前記分子配向
角θの平均値が−15°を下回るとき、または+15°
を超えるときは、導電層の体積抵抗率ρが見掛け上小さ
くなりすぎて、転写ベルトから感光体に流れる電流が大
きくなり、画像ムラが生じやすいといった問題がある。
また、転写ベルトの張力が高くなり、転写装置の回転駆
動系に負担がかかるという問題もある。
【0031】導電層の分子配向度MOR−Cの値は、通
常、1.4〜60、好ましくは2〜40の範囲にあるの
が適当である。前記分子配向度MOR−Cが60を超え
るときは、転写ベルトの応力緩和率が大きくなり、転写
ベルトに塑性変形が生じて形成画像の品質が低下すると
いう問題が生じる。また、転写ベルトの体積抵抗率ρが
見掛け上大きくなりすぎて、画像ムラが発生する。さら
に、転写ベルトの張力が低くなるといった問題も生じ
る。一方、分子配向度MOR−Cが1.4未満のとき
は、転写ベルトの張力が高くなり、転写装置の回転駆動
系に負担がかかるという問題が生じる。また、転写ベル
トの体積抵抗率ρが見掛け上小さくなりすぎて、画像ム
ラが発生する。
【0032】導電性転写ベルトの幅方向に沿った同一線
上おいて、上記分子配向度MOR−Cの最大値と最小値
との差を平均値で除した値、すなわち次式: (最大値−最小値)/平均値 で表される値は、0.4未満、好ましくは0.3未満で
あるのが適当である。上記式の値が0.4以上であると
き、すなわち前記式(1) を満足しないときは、導電性転
写ベルトの幅方向における導電層の配向状態のばらつき
が大きくなり、転写不良が生じるおそれがある。
【0033】本発明の導電性転写ベルトにおいて、導電
層の体積抵抗率ρは、JIS K6911の「抵抗率」
に記載の方法に従って求められる値が、通常、104
1010Ω・cmの範囲、好ましくは105 〜109 Ω・
cmの範囲で設定されるのが適当である。導電層の体積
抵抗率ρが前記範囲を下回るときは、感光体に過大な電
流が流れ、ピンホールが発生するなどして感光体の表面
が損傷を受けるおそれがある。また、トナーが逆帯電し
て転写不良が生じたり、リーク、紙汚れ等の画像上の問
題が発生したりするおそれもある。一方、体積抵抗率ρ
が前記範囲を超えるときは、導電性転写ベルトから感光
体に流れる電流が小さくてトナーが転写紙に引きつけら
れなくなるため、転写効率が悪くなり、実用に適さなく
なる。
【0034】導電層の厚みは0.2〜3mm、好ましく
は0.3〜1.5mmの範囲となるように設定される。
導電層の厚みが前記範囲を下回るときは、導電性転写ベ
ルトの張力が低くなり、駆動ローラと導電性転写ベルト
との間ですべりが発生する。一方、厚みが前記範囲を超
えるときは、導電性転写ベルトの張力が高くなり、回転
駆動系に負担がかかる。
【0035】上記導電層は、そのままの状態で導電性転
写ベルトとして使用できるが、ベルト表面の化学的安定
性を向上し、表面抵抗率を安定させ、かつトナーの付着
等によるベルト表面の汚れを防止することを目的とし
て、その表面にウレタン樹脂、フッ素樹脂などのコーテ
ィング剤からなる表面層を形成してもよい。上記表面層
は、上記コーティング剤を静電塗装機等で導電層の表面
に塗布することによって形成される。表面層の厚さは、
通常、1〜10μm、好ましくは5μm程度となるよう
に調整される。
【0036】本発明の導電性転写ベルトは、上記の構成
のほかにも、例えば支持体層上に導電層と必要に応じて
表面層を形成した構成であってもよい。前記支持体層と
しては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)
などのフィルム、樹脂を含浸させた織布または不織布な
どがあげられる。
【0037】
【実施例】次に、実施例および比較例をあげて本発明の
導電性転写ベルトを説明する。 実施例1〜3、比較例1〜3 ゴム成分、カーボンブラックおよび各種添加剤を下記の
表1に示す配合量にて配合した。各実施例および比較例
で用いた材料は以下のとおりである。なお、配合量の単
位は重量部である。ゴム成分 クロロプレン:昭和電工・デュポン社製、ネオプレンW
RT EPDM:三井石油化学社製、EPT4021カーボンブラック アセチレンブラック:電気化学社製のデンカブラック ダイヤブラック:三菱化学社製のダイヤブラックLIその他の添加剤 可塑剤:出光興産社製、パラフィンオイルPW380 酸化亜鉛:正同化学社製、亜鉛華#1 シリカ:日本シリカ社製、ニプシールER−R 加硫剤:硫黄 加硫促進剤:大内新興化学社製、ノクセラーDT 上記各成分をニーダーで混練し、リボン取りを行った。
さらに、押出し成形機(中田造機社製、φ60VAK)
を用い、表1に示す条件にて押出し成形し、厚さ1m
m、移動方向(ベルトの円周方向)の長さが321m
m、幅方向の長さが360mmであるベルト状の導電層
を成形した。次いで、この導電層を160℃で30分間
加熱して加硫を行った。
【0038】各実施例および比較例における押出し成形
の条件を、上記成分の配合割合とともに表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】次いで、導電層の幅方向の長さを342m
mにカットし、この導電層の表面に静電塗装機でウレタ
ン樹脂を塗布して厚さ5μmの表面層を形成し、導電性
転写ベルトを得た。実機試験 上記各実施例、比較例の導電性転写ベルトを静電式複写
機の転写装置に設置して画像形成を行ない、正確な転写
が行われたかどうかを目視で確認することにより、形成
画像の品質を評価した。導電層の特性評価 上記実施例および比較例で得られた導電性転写ベルトの
表面層を研磨して除去し、ベルト状の導電層を取り出し
た。
【0041】次いで、図2に示すようにして、転写ベル
トの移動方向Xに第1列Aから第5列Eまで等間隔の列
を定め、さらに前記各列について、転写ベルトの幅方向
Yに等間隔に5ヶ所づつ計25ヶ所の測定位置を決め
た。上記25ヶ所の測定位置について、JIS K 6
911「抵抗率」に記載の方法に従って体積抵抗率ρを
測定した。なお、導電性転写ベルトの幅方向における体
積抵抗率ρのばらつきを評価するため、図2に示す第1
列Aから第5列Eまでの各列毎に最大値と最小値を求
め、さらにその対数値の差を求めた。この結果をΔlo
g ρとして下記の表2に示す。
【0042】次いで、各測定位置の導電層を縦30mm
×横30mm×厚さ0.5mmに切取り、分子配向角θ
および分子配向度MOR−Cを前述の方法に従って測定
した。なお、分子配向度の厚み補正を行う際、前記式
(2) の補正厚みtC は1.08mm、試料の厚さtS
0.5mmとした。上記測定は、新王子製紙社製の分子
配向計(型番MOA−3012A)を使用して、マイク
ロ波(偏波)の周波数を12GHzに設定して行った。
なお、試料の回転速度は12秒間で1回転する速さに設
定し、試料が1°回転する毎にマイクロ波偏波の強度を
検出し、計360個のデータから分子配向角θおよび分
子配向度MOR−Cを算出した。
【0043】分子配向角θおよび分子配向度MOR−C
の測定結果は、第1列Aから第5列Eまでの各列毎の平
均値(すなわち、導電性ベルトの幅方向における平均
値)である。また、各列での分子配向度MOR−Cのば
らつきを評価するため、上記各列毎に分子配向度MOR
−Cの最大値と最小値との差を求め、さらにその差を前
記式(1) に示すように、平均値で除した。この結果をΔ
MOR−Cとして表2に示す。
【0044】上記分子配向角θ、分子配向度MOR−
C、ΔMOR−CおよびΔlog ρの結果を表2に示
す。
【0045】
【表2】
【0046】実施例1〜3の導電性転写ベルトは、導電
層の分子配向角θおよびΔMOR−Cの値が本発明の範
囲内に設定されており、いずれも正確な転写が可能であ
って、形成画像にムラがみられなかった。一方、比較例
1〜3の導電性転写ベルトは、導電層の分子配向角θお
よびΔMOR−Cのいずれかが本発明の範囲から外れて
おり、正確な転写を実現することができず、形成画像に
ムラが生じていた。
【0047】なお、実施例および比較例の双方ともΔl
og ρの値は小さかったものの、導電層の分子配向角
θおよびΔMOR−Cのいずれかが本発明の範囲から外
れている比較例においては、形成画像にムラが生じた。
すなわち、転写ベルトの幅方向における体積抵抗率ρの
ばらつきと、形成画像の品質との間の相関関係が低いこ
とを示している。
【0048】
【発明の効果】上述したように、本発明の導電性転写ベ
ルトによれば、形成画像にムラが生じず、正確な転写を
実現することができ、良好な画質を得ることができる。
従って、本発明の導電性転写ベルトは、静電式複写機な
どの画像形成装置の好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】導電層の配向パターン図である。
【図2】導電性転写ベルトの測定試料の採取位置を示す
模式図である。
【符号の説明】
X 移動方向 Y 幅方向

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも導電層を有する導電性転写ベル
    トであって、このベルトの移動方向と直交するベルトの
    幅方向に沿った同一線上において、(i) 前記導電層の、
    前記ベルトの幅方向に対する分子配向角θの平均値が−
    15°〜+15°の範囲にあり、かつ(ii)前記導電層の
    分子配向度MOR−Cの平均値、最大値および最小値の
    関係が、式(1) : (最大値−最小値)/平均値<0.4 (1) であることを特徴とする導電性転写ベルト。
  2. 【請求項2】上記導電性転写ベルトの移動方向と直交す
    るベルトの幅方向に沿った同一線上において、導電層の
    分子配向度MOR−Cの平均値が1.4〜60の範囲に
    ある請求項1記載の導電性転写ベルト。
  3. 【請求項3】上記導電層の体積抵抗率ρが104 〜10
    10Ω・cmである請求項1記載の導電性転写ベルト。
  4. 【請求項4】上記導電層の厚みが0.2〜3mmである
    請求項1記載の導電性転写ベルト。
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