JP3054903B2 - インプラント材料 - Google Patents

インプラント材料

Info

Publication number
JP3054903B2
JP3054903B2 JP5156164A JP15616493A JP3054903B2 JP 3054903 B2 JP3054903 B2 JP 3054903B2 JP 5156164 A JP5156164 A JP 5156164A JP 15616493 A JP15616493 A JP 15616493A JP 3054903 B2 JP3054903 B2 JP 3054903B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
low
implant material
density polyethylene
powder
polyethylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP5156164A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06339521A (ja
Inventor
保夫 敷波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takiron Co Ltd
Original Assignee
Takiron Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takiron Co Ltd filed Critical Takiron Co Ltd
Priority to JP5156164A priority Critical patent/JP3054903B2/ja
Publication of JPH06339521A publication Critical patent/JPH06339521A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3054903B2 publication Critical patent/JP3054903B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体の硬組織から軟組
織に至る広い範囲の部位に使用することができるインプ
ラント部材に関する。更に詳しくは、人工靱帯、人工気
管、人工関節軟組織、人工椎間板、人工血管、人工尿
管、人工骨、経皮端子、人工顎骨、人工歯根、人工弁、
人工腱等に使用でき、また、手術用補綴材、修復材、骨
充填材、骨接合材等として使用できる屈曲性、弾力性を
備えた生体適合性および力学的適合性に優れたインプラ
ント材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、実用化に近い段階にあるか又
は実用化されているインプラント材料として、以下のよ
うな金属材料、セラミックス材料、有機材料が知られて
いる。即ち、金属材料としてはチタン及びその合金、ス
テンレス鋼、コバルト−クロム合金等が知られており、
セラミックス材料としてはアルミナ、ジルコニア、マグ
ネシア、サファイヤ、ハイドロキシアパタイト、トリカ
ルシウムフォスフェイト、アパタイト・ウォラストナイ
ト等が知られている。また、有機材料としてはポリエチ
レン、ポリプロピレン、シリコーン、ポリメチルメタク
リレート、ポリフッ化エチレン等の高分子物質が知られ
ている。
【0003】しかし、金属材料は硬組織の生体材料より
弾性率が一桁以上も高く、骨のストレス保護による再折
損などの問題があり、セラミックス材料は静的な強さが
大きいけれども、衝撃に脆く、容易に欠けたり、折損す
るという問題がある。また、ハイドロキシアパタイト、
トリカルシウムフォスフェイト、アパタイト・ウォラス
トナイトなどのバイオアクティブなセラミックス材料は
生体組織との適合性あるいは結合性が良いが、それ以外
のセラミックス材料や金属材料、有機材料は生体組織と
の適合性が欠けていたり、結合性がないという問題があ
る。
【0004】このため、最近では、有機高分子材料の表
面にアパタイト層を形成させるための種々の方法が工夫
され、生体組織との生体結合性を得たり、力学的適合性
を高めるインプラント複合材料の研究が行われている。
即ち、CaOとSiO2 を主成分とするガラス粒子を擬
似体液に浸漬し、その中に有機高分子を浸漬して表面に
骨類似のアパタイト層を形成させる方法である。有機高
分子の中では、ポリエチレンテレフタレートやポリエー
テルサルフォンが特に高い接着強度を示す。しかし、こ
れらの場合は、基材である高分子の生体適合性と耐久性
に問題があり、その強度も十分とは言えない。また、ア
パタイト層は表層のみの薄層であり、長期の使用による
ストレス下で層間剥離による破壊脱離の危惧があり、長
期の実用に耐えうるものでない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記のバ
イオアクティブなインプラントやその表面にアパタイト
層を形成させた複合材料は、生体組織との結合性は良い
が、生体組織との力学的適合性の点で問題がある。ま
た、上記の金属材料、セラミックス材料、有機材料は生
体適合性および力学的適合性の点で問題がある。
【0006】力学的適合性とは、インプラント材料が接
合する相手の生体組織と力学的整合性をもつことを意味
し、強度よりもむしろ力学的挙動、特に変形特性が互い
に一致すること、或は、インプラント材料により生体組
織に伝達され、発生する応力が正常な生理的範囲にある
ことである。
【0007】けれども、従来のインプラント材料と生体
組織のそれらは変形挙動がかなり異なっている。即ち、
生理的な応力レベルでは生体組織は擬弾性的であり、負
荷時と解放時の応力−歪み曲線が一致しない。つまりヒ
ステリシスロスが大きい。また、皮膚などの軟組織は線
形弾性を示さず、低応力レベルでは非常に柔らかいが、
応力が増加するにつれて剛くなるという単一の合成材料
では得られない性質がある。従来のインプラント材料の
使用の失敗は、殆どが生体組織との接合部や界面で材料
あるいは生体組織が壊れることによる。これは両者の結
合の強さの問題よりも変形の不一致によるものである。
従って、歪みの調和、変形特性の適合を図ることが重要
であるが、生体由来の材料は低い弾性係数のわりには高
い強度を示すのに対し、従来の人工のインプラント材料
は強度を上げようとすれば弾性係数も上がるため、根本
的にインプラント材料の形態や構造を改良しない限り、
高強度、低弾性係数(高コンプライアンス)の所謂しな
やかで強い力学的適合性のある材料とはなり得ない。
【0008】この問題を解決するための方策として、最
近では基材となる高分子の中でアパタイト層と表面結合
力が強いポリエチレンテレフタレート(PET)の極細
繊維でできた布地にアパタイト層を形成する研究が試み
られている。その結果、アパタイト層が剥げ落ちること
なく、折り曲げることができたとされている。しかしな
がら、これらの高分子表面とアパタイト層の結合力は、
基本的に化学的結合力よりも高分子の表面を粗くするこ
とで得られるアンカー効果による物理的結合力に大きく
依存するものである。アパタイト層は数μm〜10数μ
mと薄く、長期の耐久性に疑問が残るものであり、極細
繊維の表面を処理した場合、布地本来の物性とは異質の
硬いものに変わるので、力学的適合性が変化するなどの
不都合な問題があった。また、繊維の強度は、不慮の際
の過激な力がかかった場合でも切断されないというほど
の強度を補償できるものではない。
【0009】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、材料の形態ないし構造を
生体の繊維構造に近づけ、それを長期に維持できる構成
形態とし、また極めて大きい破断強度をもたせることに
よって、生体組織との生体適合性と力学的適合性を兼ね
備えており、耐久性があって、長期に安全性の高いイン
プラント材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のインプラント材料は、超高分子量ポリエチ
レン繊維によって造られた織物、編物、網体のいずれか
がその組織内部まで低密度ポリエチレンで被覆された状
態で成形され、該低密度ポリエチレンの被覆層表面には
バイオセラミックスの粉体の少なくとも一部が露出状態
で存在していることを特徴とするものである。
【0011】市販されている超高分子量ポリエチレン繊
維の強度は、比強度が35g/デニール、比弾性率が1
160g/デニールであり、有機繊維の中で防弾服など
に使われており、最も強い繊維であるとされるアラミド
の各々の値28g/デニール、1000g/デニールよ
りも大きい(テクミロン、三井石油化学工業(株)資料
より)。従って、不慮の際の過激な力が加わった場合で
も、本インプラント材料部分の破壊は免れる。
【0012】この超高分子量ポリエチレン繊維によって
造られた織物は、使用する生体の力学的特性に応じて平
織、綾織、朱子織、搦み織等、種々の織り組織の中から
任意に選択すればよく、編物は長さ方向に編み込む経編
でも巾方向に編み込む緯編でもよい。また、網体は平網
でも立体網でもよく、網目の形状も方形、菱形、六角形
等、いろいろな形状の網体の中から選択できる。
【0013】これらの織物、編物、網体(以下、まとめ
て織物等という)の製造に用いる超高分子量ポリエチレ
ン繊維は、超高分子量ポリエチレンを溶剤に溶かしてゲ
ル化したものを紡糸し、溶剤を除去したものである。こ
の超高分子量ポリエチレン繊維には100〜1500デ
ニール(フィラメント数10〜150)のものがある
が、500〜1000デニール程度の太さのものが好適
である。あまり太い繊維によって織物等を造り、低密度
ポリエチレンで被覆すると、全体が剛直となるため、屈
曲性、変形性等が低下するといった不都合を生じる。ま
た、逆にあまり細い繊維を用いると、成形時にフィラメ
ント単位に捌け易いので、織物等の強度が不十分になる
といった不都合を生じる。但し、使用目的によって織り
組織や網目に由来する伸び縮みの融通性の必要なもの
と、あまり必要でないものがあるので、繊維の太さ、織
り組織、低密度ポリエチレンの被覆量などを可変する必
要がある。原料の超高分子量ポリエチレンとしては、分
子量が100万以上、好ましくは300万〜500万程
度のものが使用される。
【0014】一方、上記織物等を被覆する低密度ポリエ
チレンは、およそ0.865〜0.920の密度を有す
るものが使用される。このような低密度ポリエチレンの
分子量は5万〜20万程度であって、前記超高分子量ポ
リエチレンの軟化温度が140℃であるためにそれ以下
の温度で被覆成形できるようなグレードから選ばれる。
殊に、非常に柔らかい所謂超低密度ポリエチレンは低融
点であり、140℃以下で流動性が良いのでバイオセラ
ミックスの粉体を均一に混合しやすく、また被覆性も良
いのでピンホール等のない被膜層を形成することがで
き、好都合である。但し、柔らかくて強度的にはあまり
強くない。より強いものが望ましい場合は比較的メルト
インデックス(MI)の大きい低分子量ポリエチレンを
使用すればよい。被覆後、γ線照射によって低密度ポリ
エチレンのポリマーを架橋し、被膜層の強度を向上させ
ることは望ましい。また、γ線を照射することによっ
て、超高分子量ポリエチレン繊維の表面にもラジカルが
発生するため、低密度ポリエチレン被覆層と超高分子量
ポリエチレン繊維との界面で両者が化学結合して密着す
るので両者の界面で剥離脱落することがない。
【0015】本発明で使用されるバイオセラミックスの
粉体としては、生体組織と反応するアパタイト・ウォラ
ストナイト含有結晶ガラス(以下、AWと記す)、ハイ
ドロキシアパタイト(以下、HAと記す)等の粉体や、
生体組織との反応が材料内部まで及ぶリン酸トリカルシ
ウム(以下、TCPと記す)等の粉体が好適であり、こ
れらは単独で又は二種以上混合して使用される。その
他、アパタイト含有結晶ガラスやアパタイト・金雲母含
有結晶ガラス等の粉末も使用される。これらのバイオセ
ラミックス粉体は、粒度を0.1〜30μm程度に調整
すれば低密度ポリエチレンと良く混ざり合い、均一に含
有させることができる。特に平均粒度が10μm以下の
バイオセラミックスの微粉体は好適である。
【0016】本発明において、超高分子量ポリエチレン
繊維によって造られた織物等に、上記バイオセラミック
スの粉体を混合した低密度ポリエチレンを被覆成形した
のち、その被覆表面のポリエチレン層をわずかに取り除
くことにより、バイオセラミックス粉体を露出状態にす
ることができる。
【0017】また、超高分子量ポリエチレン繊維によっ
て造られた織物、編物、編体のいずれかに、低密度ポリ
エチレンを被覆成形し、その被覆層の表面にバイオセラ
ミックスの粉体を吹き付けるか、あるいは押し込むこと
によってバイオセラミックス粉体を露出状態にすること
ができる。
【0018】このようにして低密度ポリエチレンの被覆
表面層内には、互いに接触するほど密にバイオセラミッ
クスの粉体が存在しており、また表面にハイドロキシア
パタイトの結晶が成長して該ポリエチレンの全面を最終
的には覆ってしまうようになるため被覆層表面において
該粉体が面積比で約5%以上露出することが望ましい。
このような状態で該粉体が含有されていると、被覆層表
面や層内に浸透する体液との反応によって連続したアパ
タイト層が速やかに形成され、生体組織と強く結合する
ことも可能である。
【0019】この場合、織物等の組織内部までバイオセ
ラミックス粉体を含有した低密度ポリエチレンで被覆さ
れた状態で成形されているので、アパタイト層は組織内
部まで入り込み、生体骨もまた織物等の組織内に入り込
むので、生体組織と本インプラント材料は非常によく一
体化する。ハイドロキシアパタイトで覆われ生体と一体
化した状態では、当然ながら、生体との異物反応は生じ
ないが、内部に有するポリエチレンもまた長期に生体に
不活性であることが知られているので、本インプラント
材料は理想に近いものと言えよう。
【0020】このような含有状態とするためには、バイ
オセラミックスの粉体を低密度ポリエチレンに混合する
場合、該粉体の含有率を低密度ポリエチレン容量に対し
て30%以上とする必要があり、これより少なくする
と、連続したアパタイト層の形成が困難になって生体組
織との結合力が低下する。一方、バイオセラミックスの
粉体を低密度ポリエチレンの被覆層表面に吹き付ける
か、あるいは押し込む場合は、表面層の含有率が非常に
高くなるので、低密度ポリエチレン容量に対するバイオ
セラミックスの粉体量は30%以下でもよい。
【0021】バイオセラミックスの粉体の容量は、それ
を低密度ポリエチレンに混合して被覆する場合は、該ポ
リエチレンに対し該粉体が70容量%を越えると、被膜
層の強度低下が著しくなるので、70容量%以下で使用
することが望ましく、より好ましい含有率は40〜60
容量%である。
【0022】本発明のインプラント材料は、埋入部位に
応じて適当な大きさ及び形状に切断して使用されるが、
予め埋入部位に合わせて立体形状に熱成形しておくこと
もできる。また、種々の形状に成形した後、γ線照射に
よって低密度ポリエチレン内での架橋はもとより、低密
度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレン繊維との界面
での密着性を上げることができ、それによって形状保型
性を付与することができる。さらに、γ線照射すること
で滅菌処理の効果もある。
【0023】
【作用】本発明のインプラント材料は、超高分子量ポリ
エチレン繊維からなる織物等を被覆した低密度ポリエチ
レンの表面にバイオセラミックスの粉体が露出状態で存
在しているため、これを体内に埋入すると該被覆層の表
面や層内部に浸透した体液と該粉体が反応して連続した
アパタイト層を形成し、生体組織と強固に結合する。特
に、AW、HA、TCPを単独で又は二種以上混合して
使用したものは、生体組織との結合力が大である。そし
て、低密度ポリエチレンを架橋し、超高分子量ポリエチ
レン繊維との界面で両者を化学結合させたものは、低密
度ポリエチレンの被覆強度が大きく、超高分子量ポリエ
チレン繊維との密着力に優れるため、表層の破損や剥離
を生じにくい。
【0024】また、本インプラント材料が体内でその表
面がハイドロキシアパタイトで覆われた状態では、生体
と物理的にも化学的にも一体化する。また、ポリエチレ
ンの生体不活性の点からしても生体への為害性の要因が
極めて少ないインプラント材料である。
【0025】さらに、本発明のインプラント材料は超高
分子量ポリエチレン繊維による織物等を芯材としている
ため、屈曲性、弾力性等が良好であり、筋肉等の動きに
よって力が作用すると、織り組織や編み組織が伸びて変
形する。そして、芯材の引張り強度が大きいので、破断
するまでに強度的な余裕がある。従って、生体組織と類
似した力学的挙動を示し、生体組織との力学的適合性が
良好であり、超高分子量ポリエチレン繊維の本数や太
さ、或は、織り組織や編組織の疎密度、編目の大きさ等
を調整することによって、生体の軟組織から硬組織まで
適合することができる。
【0026】また、本発明のインプラント材料はポリエ
チレン樹脂を用いた織物等であるから、ハサミ等の切断
具で所望の大きさ及び形状に切ることができ、熱成形に
よって所望の立体形状に賦型できる利便さもある。
【0027】
【実施例】次に本発明の実施例を詳述する。
【0028】[実施例1]1000デニール、フィラメ
ント数100の超高分子量ポリエチレン繊維(テクミロ
ンNA310、三井石油化学工業株式会社製)を使用し
た経糸と緯糸の本数が17/17の平織の布地に、低密
度ポリエチレン(ペトロセン342、東ソ株式会社製)
の1.4mm厚のシートを両面に挟み、125℃の加熱
プレスで両側から圧縮、解放を繰り返し行って脱泡し、
0.7mm厚の布地で強化されたシートを作成した。
【0029】一方、バイオセラミックスとして1〜30
μmの粒径をもつAW(SiO2 −CaO−MgO−P
2 O5 系)の粉末を超低密度ポリエチレン(ニポロン−
LIP197Y,東ソ株式会社製)に対して容量比で3
5%配合し、ロールを用いて加熱混練した後、フレーク
状に粉砕した。
【0030】そして、前記シートを9.5×9.5cm
角に切り、10枚重ねて10×10×0.8cmの大き
さの金型に入れ、そのシートの上下面と側面にAWの混
合された上記ポリエチレンのフレークを充填し、上記と
同じ温度及び加圧条件でプレスして、表面層がAWの含
まれた低密度ポリエチレンで覆われた強化ポリエチレン
のブロック体を得た。このブロックの表面を耐水研磨紙
#1500を用いて表層のポリエチレンを削り落とし、
表面にAW粉が露出するようにして本発明のインプラン
ト材料(資料1)を得た。
【0031】[実施例2]1500デニール、フィラメ
ント数100の超高分子量ポリエチレン繊維を使用した
経糸と緯糸の本数が2/2のバスケット織の布地を用意
し、実施例1と同様にして強化されたシートを作成し、
これを実施例1と同様に角切りして10枚重ねてプレス
し、強化されたポリエチレンのブロック体を得た。
【0032】このブロック体を約100℃に加熱して表
面を軟化させ、この表面に、0.5〜10μmの粒径を
もつHA(Ca10(PO4 )6 (OH)2 )の粉末を吹
き付けた。次いで、表面を水洗してブロック表面に食い
込んでいない粉体を洗い落とした。その結果、粉体の占
有面積率が30%以上のブロック体よりなるインプラン
ト材料(資料2)が得られた。このものは、布地がバス
ケット織であるため、実施例1のブロック体よりも剛性
のあるものであった。
【0033】[実施例3]500デニール、フィラメン
ト数50の超高分子量ポリエチレン繊維に縒をかけた糸
で伸縮性のあるメリヤス編の布地を用意した。一方、実
施例1で用いたAWの粉体と粒径が0.5〜10μmの
TCP(Ca3 (PO4 )2 )の粉体を容量比1:1で
混合し、混合物を超低密度ポリエチレンに容量比で40
%配合して実施例1と同様にフレーク状物を得た。そし
て、実施例1と同様な方法で上記布地に対してこのフレ
ーク状物を用いて0.7mm厚のシートを作成し、これ
を4枚重ねて加熱圧縮して2.5mm厚のシートとし、
実施例1と同様に表面を研磨してシート状のインプラン
ト材料(資料3)を得た。
【0034】このものはメリヤス編の布地を使用し、柔
軟なポリエチレンを用いたため、比較的柔軟なシートで
あった。
【0035】[実施例4]実施例2で得られたブロック
体にγ線を2.5〜7.5Mrad照射してインプラン
ト材料(資料4)を得た。そして、加熱トルエン中でそ
の破片を煮沸したが、ポリエチレンは膨潤し、繊維との
剥離は容易でなく、γ線を未照射の場合との差は明らか
であった。
【0036】[実施例5]実施例1〜4で得られたイン
プラント材料(資料1〜4)を、NaCl,NaHCO
3 ,KCl,K2 HPO4 ,MgCl2 ・2H2 O,C
aCl2 ・2H2O,NaSO4 ,HCl,トリスハイ
ドロキシメチルアミノメタンの組成からなる37℃き擬
似体液に浸漬した。
【0037】その結果、約2日後よりHAの結晶が各々
の表面に形成し始め、1週〜3週後には、いずれの資料
表面も網目状のHAの結晶で完全に覆われた。ただし、
結晶成長の速さと密度は、資料1,資料2,資料4,資
料3の順である傾向が見られた。また、資料3の場合は
TCPの擬似体液への溶出のためか、浸漬後期にHA結
晶はTCPのぬけた孔、あるいはAWの周囲孔にまで浸
入している状態が観察された。
【0038】以上の結果から、本発明のインプラント材
料はHAを介して生体組織に強く結合する生体への組織
適合性を有すると同時に、破断時に高強度を有する超高
分子量ポリエチレン繊維で織・編した布地で強化された
生体への力学的適合性を備えた材料であると言えよう。
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のインプラ
ント材料は生体組織と強固に結合し、生体組織との力学
的適合性があるので、破損したり生体組織を傷めること
なく長期にわたって体内に埋入することができる。ま
た、バイオセラミックスの粉体以外はポリエチレン製で
あるため切断が容易であり、しかも所望の立体形状に熱
成形できる利便さもある。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超高分子量ポリエチレン繊維によって造ら
    れた織物、編物、網体のいずれかがその組織内部まで低
    密度ポリエチレンで被覆された状態で成形され、該低密
    度ポリエチレンの被覆層表面にはバイオセラミックスの
    粉体の少なくとも一部が露出状態で存在して成るインプ
    ラント材料。
  2. 【請求項2】バイオセラミックスの粉体が低密度ポリエ
    チレン中に混合された状態で被覆成形された後、表面の
    ポリエチレン層を取り除きバイオセラミックスの粉体を
    露出状態にした請求項1に記載のインプラント材料。
  3. 【請求項3】被覆成形された低密度ポリエチレンの被覆
    層表面にバイオセラミックスの粉体を吹き付けるか或は
    押し込むことによって、バイオセラミックスの粉体を露
    出状態にした請求項1に記載のインプラント材料。
  4. 【請求項4】バイオセラミックスがアパタイト・ウォラ
    ストナイト含有結晶ガラス、リン酸トリカルシウム、ハ
    イドロキシアパタイトのそれぞれ単独又は二種以上の混
    合物である請求項1又は請求項2に記載のインプラント
    材料。
  5. 【請求項5】低密度ポリエチレンで被覆成形された織
    物、編物、網体のいずれかを任意の立体形状に成形した
    請求項1に記載のインプラント材料。
  6. 【請求項6】低密度ポリエチレンが架橋され、且つ超高
    分子量ポリエチレン繊維との界面で両者が化学結合して
    いる請求項1又は請求項5に記載のインプラント材料。
  7. 【請求項7】低密度ポリエチレンにバイオセラミックス
    の粉末が30〜70容量%含有されている請求項1ない
    し請求項3のいずれかに記載のインプラント材料。
  8. 【請求項8】バイオセラミックスの粉体の平均粒度が1
    0μm以下の微粉体である請求項1ないし請求3のいず
    れかに記載のインプラント材料。
  9. 【請求項9】請求項1のインプラント材料を擬似体液に
    浸漬してその表面をハイドロキシアパタイトの結晶で覆
    ったことを特徴とするインプラント材料。
JP5156164A 1993-06-01 1993-06-01 インプラント材料 Expired - Fee Related JP3054903B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5156164A JP3054903B2 (ja) 1993-06-01 1993-06-01 インプラント材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5156164A JP3054903B2 (ja) 1993-06-01 1993-06-01 インプラント材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06339521A JPH06339521A (ja) 1994-12-13
JP3054903B2 true JP3054903B2 (ja) 2000-06-19

Family

ID=15621754

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5156164A Expired - Fee Related JP3054903B2 (ja) 1993-06-01 1993-06-01 インプラント材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3054903B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024097114A1 (en) * 2022-10-31 2024-05-10 Riverpoint Medical, Llc Methods of characterizing a bioactive coated product

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001137329A (ja) * 1999-11-15 2001-05-22 Natl Inst For Res In Inorg Mater 腱又は靱帯用生体組織及びその製造法
ES2268465T3 (es) * 2002-12-11 2007-03-16 Dsm Ip Assets B.V. Malla quirugica de tejido blando.
CN111526896B (zh) 2017-10-06 2022-05-10 帝斯曼知识产权资产管理有限公司 制备骨引导性聚合物制品的方法和由此制备的骨引导性聚合物制品
US12016977B2 (en) 2017-10-06 2024-06-25 Dsm Ip Assets B.V. Method of making an osteoconductive fibrous article and a medical implant comprising such osteoconductive fibrous article
CN111867642A (zh) * 2018-03-06 2020-10-30 帝斯曼知识产权资产管理有限公司 骨传导纤维、包括这种骨传导纤维的医疗植入物以及制作方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024097114A1 (en) * 2022-10-31 2024-05-10 Riverpoint Medical, Llc Methods of characterizing a bioactive coated product

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06339521A (ja) 1994-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2149900C (en) Implant material
US6398814B1 (en) Bioabsorbable two-dimensional multi-layer composite device and a method of manufacturing same
KR101738908B1 (ko) 복합물과 이를 사용하는 방법
Törmälä et al. Ultra‐high‐strength absorbable self‐reinforced polyglycolide (SR‐PGA) composite rods for internal fixation of bone fractures: In vitro and in vivo study
US8323722B2 (en) Processing of biocompatible coating on polymeric implants
Lakes Composite biomaterials
Shikinami et al. Potential application of a triaxial three-dimensional fabric (3-DF) as an implant
EP2506801A1 (en) Biocompatible tantalum fiber scaffolding for bone and soft tissue prosthesis
KR20180028993A (ko) 정형외과 임플란트
JP3054903B2 (ja) インプラント材料
Adams et al. The response of bone to carbon-carbon composites
JP3094263B2 (ja) インプラント材料
Chłopek et al. Non-metallic composite materials for bone surgery
Kennedy et al. Behaviour of photopolymerized silicate glass fibre-reinforced dimethacrylate composites subjected to hydrothermal ageing Part II Hydrolytic stability of mechanical properties
KR20160062120A (ko) 코팅 방법과 코팅면, 코팅물 및 상기 코팅물을 포함하는 임플란트
Nath et al. Application of bioactive composite green polymer for the development of artificial organs
Chłopek et al. Carbon and Polymer Composites in Bone Surgery
Biobaku-Mutingwende Introduction to Biomaterials
Huang et al. Composites in biomedical applications
JP2004121302A (ja) インプラント複合体
Rajput et al. Applications of composite materials in the field of medical implants: a review
Deepaa et al. Biocomposites for prosthesis 15
Chung et al. Composite materials for biomedical applications
Bronzino et al. Composite Biomaterials
HUANG S. RAMAKRISHNA

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000215

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090414

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090414

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090414

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100414

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100414

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110414

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110414

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees