JP3053071B2 - 自然生態自己復元式法面工法および法面構造 - Google Patents

自然生態自己復元式法面工法および法面構造

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JP3053071B2
JP3053071B2 JP8144902A JP14490296A JP3053071B2 JP 3053071 B2 JP3053071 B2 JP 3053071B2 JP 8144902 A JP8144902 A JP 8144902A JP 14490296 A JP14490296 A JP 14490296A JP 3053071 B2 JP3053071 B2 JP 3053071B2
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将夫 大竹
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ソイルアンドロックエンジニアリング株式会社
株式会社エコ・グリーン
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、地盤の掘削等に
より形成された傾斜面(法面)の保護、補強を行う法面
工法および法面構造、特に、植物の生育可能な緑化基盤
を法面に造成して、掘削等により失われた自然生態を復
元させる自然生態自己復元式法面工法および法面構造に
関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、地盤の掘削や盛り土等により
生じた地盤の傾斜面(法面)は、種々の法面工法によっ
て保護、補強されている。このような法面工法として、
たとえば、法面の形状に沿って間知石などの石材やコン
クリ−トブロック(ブロック)を積んだり、法面に直接
モルタルを吹き付けたり、コンクリ−トを打設して、法
面を保護、補強する工法が従来から広く採用されてい
る。また、金網型枠、鉄筋を一体化した部材を配筋、組
立てた上にモルタルを吹き付けたり、コンクリ−トを打
設する工法も知られている。
【0003】さらに、砂質土に連続長繊維を三次元的に
からませて法面に敷設し、砂質土に疑似粘着力と変形抵
抗性とを持たせることで法面を保護、補強する工法がテ
クソル工法(ジオファイバ−工法)として知られてい
る。
【0004】石材やコンクリ−トブロックを積んだり、
モルタルを吹き付けたり、コンクリ−トを打設する前者
の工法によれば、法面と石材、コンクリ−トブロック、
モルタル、コンクリ−トとが一体となり、法面に十分な
強度が確保できる。また、法面が地盤に対する擁壁とし
て機能し、地盤が安定する。
【0005】しかし、この工法では、石材、コンクリ−
トブロックの設置等に熟練工による特殊技能が要求され
る。これに対し、後者の工法(テクソル工法)において
は、砂質土に連続長繊維を三次元的にからませれば足り
るため、施工の機械化が可能となり、さほど熟練を必要
としないで施工できる。
【0006】ところで、近年の土木事業においては、自
然破壊が大きな問題となっており、緑化による景観の向
上や環境の保全および自然保護が、地盤の掘削、盛り土
等によって生じた法面に要求されている。つまり、法面
に木本植物、草木植物の種子をまいたり、苗等を植えて
法面を緑化し、以前の自然生態を復元することが強く望
まれている。
【0007】しかしながら、前者の工法においては、モ
ルタルを吹き付けてモルタルで法面を覆ったり、石材、
コンクリ−トブロック、コンクリ−トで法面の前面を覆
うため、法面に緑化基盤(生育基盤)を造成することが
難しい。また、後者の工法においては、植物の生育し難
い砂質土を法面に敷設しているため、緑化基盤のための
生育土壌そのものが確保できない。このように、従来の
法面工法においては、緑化基盤が得られず、自然生態の
自己復元が難しい。
【0008】そこで、たとえば、後者の工法(テクソル
工法)における砂質土に代えて、肥料材の混合された粘
性の高い埴壤土を土壌とし、この埴壤土に適当な植物の
種子を混合して連続長繊維とからませて生育土壌を作
り、この生育土壌を法面に敷設するテクソルグリ−ン工
法が提案されており、この法面工法によれば、自然生態
が短期間で復元できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、テクソ
ルグリ−ン工法においては、埴壤土と連続長繊維とを三
次元的にからませて法面に敷設しているにすぎないた
め、表面的な強度しか得られない。つまり、自然生態の
自己復元においては優れているが、強度が不足して擁壁
としての機能が法面に期待できない。
【0010】また、テクソルグリ−ン工法においては、
埴壤土と連続長繊維とを三次元的にからませるとはい
え、法面への吹き付けによって、緑化基盤を法面に沿っ
て造成しているにすぎない。そのため、急勾配の法面に
おいては、緑化基盤の層がさほど厚くできず、緑化に適
した厚さの基盤が確保し難い。
【0011】さらに、テクソルグリ−ン工法では、その
施工の際に、所定の土に肥料材、種子等を混合し団粒化
させる混合・攪拌のための装置、埴壤土を吹き付けるた
めの装置、連続長繊維を吹き付けるための装置等の種々
の専用装置が必要となる。そのため、施工が煩雑化しや
すく、かつ、その施工にかなりの設備投資が要求され、
コスト高にならざるを得ない。
【0012】また、現地表土と無関係な埴壤土を生育土
壌としているため、近隣の本来の自然林に近い緑化が難
しく、違和感のある植生態が生じやすい。
【0013】この発明は、法面の強度を保ちながら、近
隣の本来の自然林に近い緑化を可能とする自然生態自己
復元式法面工法およびその法面構造の提供を目的として
いる。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、この発明の自然生態自己復元式法面工法によれば現
地の掘削土から石礫、根系等の不要物を除去し、肥料を
混合して植物の生育土壌を作り、この生育土壌を既存の
擁壁前面に敷設して緑化基盤を造成している。土壌中で
自然分解可能なシ−トが緑化基盤の表面に被せられ、木
本植物、草本植物の種子のうち、少なくとも木本植物の
種子がこのシ−トに付着されている。さらに、植物の幹
の通過可能なネットでシ−トを覆い、シ−トとともにネ
ットは固定されている。
【0015】植物の根の挿通可能な根入り孔が擁壁に貫
通して背面基盤に設けられ、生育土壌の一部が根入り孔
に詰められる。根入り孔にパイプを挿入し、生育土壌を
パイプに詰めてもよい。パイプ外面にモルタルを流せ
ば、パイプを固定できる。
【0016】アタッチメントとして、植生棚を後付けし
てもよい。たとえば、植生棚は断面略L字形とされ、ネ
ットに取付金具で連結し、生育土壌を植生棚に詰めて水
平な植生面が確保される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの発
明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】この発明に係る自然生態自己復元式法面工
法の実施の一形態として、間知石のような石材やコンク
リ−トブロックを積んでなる既存の石積擁壁の前面に緑
化基盤を造成する場合について述べると、まず、擁壁付
近の表土(現地表土)を掘削して生育土壌を採取する。
現地近隣の表土の厚さ、含水率、団粒率、表面硬度、埋
土種子、有用生物等を事前に調査して適切な表土を選
び、掘削する。たとえば、現地近隣の表土のうち、10%
程度の厚さで掘削しても短期間で復元し、影響は少な
い。
【0019】表土の掘削、採取は、たとえば、以下のよ
うにして行われる。まず、表土の厚さの10%程度までレ
−キ状バックホ−アタッチメント等の掘削装置で掘り起
こし、強力バキュ−ムで収集し、バイブレ−タ−スクリ
−ン等の選別機械で掘削土(表土)から所定大以上の石
礫、根系を除去して、現地発生土(表土)を採取する。
たとえば、30mm x 30mm の網目を持つスクリ−ンを通過
したものが、現地発生土として採取される。無論、これ
以外の方法で表土を採取してもよい。
【0020】従来のテクソルグリ−ン工法では、専用の
装置が使用される。これに対して、この発明における現
地発生土の採取では、従来の装置が転用でき、専用装置
を必要としない。
【0021】現地発生土としての表土は、現地の自然界
が何百年、何千年という時間をかけて生育した有用微生
物の宝庫であるとともに、埋土種子を多数含んでおり、
生育土壌として最適であることはいうまでもない。肥
料、たとえば堆肥を混入して表土の植生態をよりよいも
のするとよい。現地発生土を利用することによって、現
地における本来の自然林にできるだけ近い植生態が再現
され、近隣と違和感のない緑化が可能となる。
【0022】表土のpHを中性程度に維持することによっ
て、表土に含有された微生物の生育、繁殖が促進される
ことが知られており、そのための微生物混合材として、
ピ−トモス等の植物繊維系素材や、バイオカ−ボン、モ
クタン、ヤシガラ、人工陶土等の多孔質系素材を、採取
した表土に混入するとよい。
【0023】石積擁壁を対象としたこの発明の実施の一
形態を図1〜図3に示す。ここで、図1は石積擁壁の概
略縦断面図、図2は一部破断の正面図、図3は図1のA
部の拡大図をそれぞれ示す。
【0024】石積擁壁10は、石材12を積み、モルタルで
石材の隙間を埋めて構築され、さらに、基部前面に基礎
コンクリ−ト14が打設され、U字形ブロックからなる排
水溝16が基礎コンクリ−トの前に埋設されている。石材
12、基礎コンクリ−ト14は連結ピン17によって連結され
ている(図3参照)。
【0025】本木植物の根の挿入可能な根入り孔18が擁
壁10を貫通して、背面地盤13に穿設されている。根入り
孔18は、たとえば、その直径を42mm程度とし、平方m 当
たり2本程度とされる。また、垂直方向で整列させず、
上下に少しずらして、たとえば、図2に示すように、互
いに半ピッチずつずらして配置するとよい。
【0026】棚材20が石材12の前面に水平に設けられ、
高分子保水材21が棚材上にのせられている。たとえば、
棚材20は、2本の支持ピン20a の間にネット20b を架設
して形成され(図4参照)、根入り孔18と同様に、たと
えば、上下に互いに半ピッチずつずらして配置される
(図3参照)。
【0027】また、長尺のボルト(アンカ−ボルト)22
が石材12に垂直に埋設されて伸び、2つのボルト22a が
アンカ−ボルトの先端に螺着され、ボルト間の座金22b
によってシ−ト24、ネット26が挟持、固定されている。
【0028】シ−ト24は土壌中で自然分解可能な不織布
からなり、たとえば、浸水性、保水性および保温性を持
つ繊維分解素材と耐腐食性の化学繊維とを適当な割合で
混合させて形成される。繊維分解素材として、たとえ
ば、天然繊維(綿、麻等)やジュ−ト繊維等が利用でき
る。そして、木本植物、草本植物の種子がシ−ト24に付
着されている。
【0029】木本植物、草本植物としては、現地の植生
態を壊さないように、現地周辺の植物調査に基づいて選
定された在来種の木本植物、草本植物が選ばれる。そし
て、木本植物、草本植物の種子を折り込みながら不織布
を織ったり、または、織られた不織布に種子を吹き付け
て、種子付のシ−ト24が得られる。
【0030】天然繊維等の繊維分解素材自体はさほど大
きな剛性を持たない。しかし、天然繊維等の繊維分解素
材に耐腐食性の化学繊維を混合させたシ−ト24において
は、剛性の高い強靱な化学繊維が補強材として機能し、
必要な強度が得られる。
【0031】綿、麻等の天然繊維は浸水性、通気性を持
つため、種子の発芽、植物の生育等に適した水分、酸素
等が十分に供給される。従って、不織布のシ−ト24が発
芽、生育の妨げとなることもない。
【0032】このようなシ−ト24においては、シ−トに
付着した植物の根系の伸長する6か月程度で繊維分解素
材を土壌中に分解、消滅させることが好ましい。そし
て、不織布からなるシ−ト24によれば、繊維分解素材に
対する化学繊維の混合量の比率によって、その分解、消
滅する期間が調整できる。
【0033】繊維分解素材の自然分解、消滅するまでの
期間においては、通常、シ−ト24に付着した種子の植物
の根系が伸長し、残された化学繊維や表土にからみ、植
物の根系が表土の補強材として機能する。そして、繊維
分解素材の分解、消滅後においても、表土の強度が維持
され、表土の侵食や滑落が防止される。
【0034】植物の幹の通過可能なネット26で種子付シ
−ト24は覆われている。ネット26として、ジオグリッド
のような硬質樹脂ネットが使用される。たとえば、網目
が50mm x 50mm のジオグリッドがネット26として架設さ
れる。ネット26、種子付シ−ト24は、上記のように、座
金22b、ボルト22a によってアンカ−ボルト22に固定され
ている。また、棚板20の支持ピン20a の先端はフック端
とされ、このフック端がネット26、種子付シ−ト22に係
止されて、ネット、種子付シ−トの膨らみを防止してい
る。
【0035】そして、シ−ト24、ネット26で覆った擁壁
前面の空間(隙間)に、上記のようにして現地で採取さ
れた表土が生育土壌として敷設されて緑化基盤11が造成
されている。
【0036】シ−ト24、ネット26の上または下に架設し
た枠体に、シ−ト24、ネット26を固定してもよい。ここ
で、枠体は石材12にアンカ−ボルトによって固定され
る。
【0037】たとえば、表土(生育土壌)は、擁壁前面
の空間に高圧空気やコンベヤ等を利用して搬送、供給さ
れ、根入り孔18にも表土(生育土壌)が詰められる。必
要なら、シ−ト24、ネット26の配置前に、根入り孔18に
表土(生育土壌)を予め押し込んでおくとよい。
【0038】このようにこの発明では、自然界の有用微
生物の宝庫であるとともに埋土種子を多数含む現地の表
土を生育土壌として緑化基盤11を擁壁前面に造成してい
る。そのため、シ−ト24に付着した種子は生育土壌から
の滋養分を十分に吸収して活発に成長し、ネット26の網
目を越えて外に伸びることから、擁壁前面が緑で覆われ
て、自然生態が早期に復元される。図1に植物がネット
26の外に十分に繁殖して、擁壁10を緑で覆った状態を示
す。
【0039】また、現地近隣で採取した表土を生育土壌
としているため、その土壌に堆積した種子による草本植
物等の生育が期待され、近隣の本来の自然林に近い状態
で緑化される。加えて、現地周辺の植物調査に基づいて
在来種の種子がシ−ト24を介在して播種されるため、現
地の植生態と違和感のない自然生態が再現される。
【0040】なお、肥料木となる木本植物の種子とし
て、たとえば、その地域に適したマメ科の根粒植物を選
定してシ−ト24に付着すれば、マメ科植物の根系は早く
成長して倒れ難いため、引き抜き強度が大きく、緑化基
盤11の安定化に役立つ。
【0041】土壌中での経年変化によって土壌中で自然
分解して消滅するため、シ−ト24は種子の発芽、植物の
生育等の妨げとならず、土壌も汚染しない。また、シ−
ト24の分解、消滅によって緑化基盤の表土が露出するた
め、成長した植物の落葉、落枝が生育土壌に取り込まれ
て新たな肥料源が得られる。
【0042】木本植物、草本植物の根は水分を求めて間
隙(クラック)等に侵入する習性があり、この発明にお
いては、根入り孔18を通じて、植物の根は擁壁背後の地
盤(背面地盤)13にも侵入し、背面地盤に張り巡らされ
て水分を吸収するため、植物が大きく成長できる。ま
た、その根系が背面地盤13に張り巡らされることによ
り、生育土壌(緑化基盤11)が十分な強度のもとで擁壁
前面に保全される。
【0043】特に、根系の絡み合いによって根入り孔18
よりも大径の塊体が背面地盤13に成形されて大きな引き
抜き抵抗が得られ、生育土壌(緑化基盤11)を擁壁前面
に強固に保持できる。さらに、根系が背面地盤13の風化
土層の間隙に侵入して、風化土層を保持、強化する機能
もある。
【0044】図示のように、根入り孔18を垂直方向で整
列させず、ずらして配置した構成では、根入り孔が植物
の根に近接して位置するため、根系が根入り孔に短期間
の内に侵入できる。
【0045】無論、固定したネット26で緑化基盤11を押
さえているため、法面に必要な強度が確保されるととも
に、緑化に必要な厚さの緑化基盤が得られる。
【0046】通常、擁壁前面の緑化、自然生態の回復の
ために、木本植物、草本植物双方の種子がシ−ト24に付
着され、木本植物による緑化と草本植物による緑化とが
推進される。しかし、草本植物による場合に比較して、
木本植物による緑化は、その根系の伸長が活発で太く、
早く成長し土壌を強固に保護、維持して、生育土壌(緑
化基盤11)を擁壁10に止め、保全機能に優れる。そのた
め、木本植物の種子のみをシ−ト24に付着し、木本植物
によって緑化を進め、草本植物による緑化は表土の埋土
種子、自然伝播の種子等によるものとしてもよい。
【0047】なお、土壌硬度がある値以上になると根の
伸長が止まることから、根が根入り孔18を圧迫するほど
成長することはなく、根入り孔の存在が擁壁に悪影響を
与えることはない。
【0048】根入り孔18によって、擁壁前面の緑化基盤
11、背面地盤13を連通しているため、根入り孔が水抜き
孔としても機能する。
【0049】さらに、図示しないが、根入り孔18にパイ
プを入れ、パイプの外面にモルタルを流してパイプを擁
壁10、背面地盤13に固定すれば、根入り孔がアンカ−と
しても機能し、強固な法面が得られる。
【0050】従来の法面工法においては、含水率、保水
性の低下について対策が講じられていない。これに対し
て、本願発明では、高分子保水材21をのせた棚板20を擁
壁10の前面で水平に設けている。そのため、高分子保水
材21が水分を吸収、保持して、含水率、保水性の低下が
防止され、植物の成長に必要な水分が確保できる。
【0051】1枚の長い棚板を水平に連続して設けるこ
となく、実施の形態のように、多数の短い棚板20を上下
にずらして、隙間を設けているため、水分が一ケ所に滞
留することなく、上下に満遍なく配分される。1枚の長
い棚板が水平に連続して設けられ、高分子保水材21が隙
間を残して配置された構成でも同様の効果が得られる。
また、棚板20を上下にずらしているため、棚板に邪魔さ
れずに、生育土壌(表土)が擁壁前面の隙間に詰められ
る。
【0052】上記のように、既存の擁壁(石積擁壁)に
おいても、その前面に緑化基盤11を造成して擁壁を緑で
覆う自然生態が容易に復元できる。
【0053】斜めの植生面より水平の植生面の方が植物
の生育に適することはいうまでもない。そのため、階段
状の植生棚をアタッチメントとしてネット26の上から設
置して、水平な植生面を確保するとよい。
【0054】たとえば、図5に示すように、植生棚32が
取付金具34でネット26に連結、固定される。たとえば、
植生棚33は、L字形のネット35の折曲端を上にして垂直
に立てた断面略逆L字形とされ、その背面に土留めシ−
ト36が立て掛けられる。
【0055】図示の形態では、ネット35として50mm x 5
0mm の網目のジオグリットが使用され、ネットの垂直部
分の左右の端は内方に折曲されて閉じられる。そして、
ネット35の下端、内端は、オ−クリップのような取付金
具34でネット26に連結、固定される。図6に模式図を示
すように、連続したネット35から植生棚32を上下に連続
して構築すれば、多数の植生棚が容易に設置できる。
【0056】現地で採取された表土が、必要なら肥料を
加えて、生育土壌としてこの植生棚32に詰められ、ネッ
ト26背後の緑化基盤11に加えて、植生棚32にも緑化基盤
が造成される。
【0057】このように、植生棚32を設けて水平な植生
面を確保すれば、植物は当初から垂直に伸びた自然な生
育状態で成長できる。
【0058】また、植生棚32の略V字形の底に保水シ−
ト38が敷かれて保水ラインを確保しているため、植生棚
で生育される植物に十分な水分が供給される。なお、保
水シ−ト38は保水性のある不織布から成形され、その左
右の端は水の自由な流出を防ぐために閉じられ、その上
面は生育土壌の自由な流入による閉塞を防ぐために閉じ
られる。
【0059】勿論、図示の植生棚32の構成は一例であ
り、種子付シ−ト24を覆うネット26に後付けできる構成
であれば足り、これに限定されない。たとえば、植生棚
32の垂直面、上面を単一のネット(ジオグリット)35か
ら成形しないで、別のネットから植生棚の垂直面、上面
をそれぞれ形成してもよい。また、ネット35に代えて、
必要な強度を確保できるシ−トを用いれば、ネット背面
の土留めシ−ト36は省略できる。
【0060】図示しないが、植生棚32のネット35の下に
種子付シ−ト24を配置してもよいし、シ−トを設けない
で、木本植物、草本植物の苗、種子を植生棚の緑化基盤
で直接生育させてもよい。
【0061】この発明は、石材やコンクリ−トブロック
を積んだ石積擁壁以外の既存の擁壁、たとえば、既存の
モルタル吹付け擁壁にも応用できる。モルタル吹付け擁
壁の縦断面図を示す図7、A部の拡大図である図8を参
照しながら、既存のモルタル吹付け擁壁での自然生態自
己復元式法面工法を説明する。上記の形態で使用した部
材に対応する部材については、参照符号に100 を加えて
示す。
【0062】この場合にも、擁壁110 の付近の表土から
所定大以上の石礫、根系を除去して、現地発生土(現地
表土)を採取し、必要なら肥料が混ぜられる。また、根
入り孔118 が擁壁110 を貫通して背面地盤113 に穿設さ
れる。モルタル吹付け擁壁110 においても、前記の石積
擁壁10と同様に、その直径42mm程度の根入り孔118 を平
方m当たり2本程度穿設すればよい。
【0063】上記形態と同様に、アンカ−ボルト122 が
背面地盤113 に埋設され、種子付シ−ト124、ネット126
がナット、座板を利用してアンカ−ボルトの先端に固定
される。そして、シ−ト124、ネット126 とモルタル吹付
け擁壁110 との隙間に、現地発生土(現地表土)が生育
土壌として詰められ、緑化基盤111 が擁壁前面に造成さ
れる。
【0064】なお、背面排水材42を擁壁110 の表面に敷
き、背面排水材の上に生育土壌を敷設するとよい。この
場合には、根入り孔118 に生育土壌を予め詰めてから、
背面排水材42が擁壁110 の表面に敷かれ、それから、生
育土壌がシ−ト124、擁壁110の間に詰められる。
【0065】この構成では、擁壁表面での流水による生
育土壌の流出が防止されるため、大量の降雨時において
も緑化基盤111 が安定して保全される。また、図示しな
いが、モルタル吹き付け擁壁110 には、多数の水抜き孔
が形成されており、背面排水材42を敷くことにより、水
抜き孔への生育土壌の流入が阻止されて水抜き孔の目詰
まりが防止できる。
【0066】このモルタル吹き付け擁壁110 において
も、擁壁の強度を維持しながら擁壁を緑化して自然生態
を復元できる等、石積擁壁10におけると同様の効果が得
られることはいうまでもない。
【0067】石積擁壁10に即して述べたように、このモ
ルタル吹き付け擁壁110 にも植生棚を設置できる。たと
えば、格子形のコンクリ−ト枠工44の予め打設されたモ
ルタル吹付け擁壁110 に、植生棚の取付けられる形態を
図9〜図11に例示する。
【0068】つまり、格子形のコンクリ−ト枠工44を打
設した構成では、その水平枠44H、垂直枠44V では、植物
の生育は期待できない。そのため、たとえば、図10から
わかるように、シ−ト124 は、コンクリ−ト枠工44の水
平枠44H を避けた横長の短冊形状とされ、水平枠に沿っ
た領域は、植物の生育しない空白地域となる。そのた
め、階段状の植生棚132 はこの空白地域を解消するよう
に、コンクリ−ト枠工の水平枠44H に沿って設けられ
る。たとえば、植生棚34は、図11に示すように、コンク
リ−ト枠工の水平枠44H に沿って上下に1段づつ設けら
れる。
【0069】なお、シ−ト124 は短冊形状とされるが、
ネット126 は多数のシ−トを一体的に覆って敷設され
る。アンカ−ボルト122 がコンクリ−ト枠工の水平枠44
H、垂直枠44V に埋設され、その先端のフックで種子付シ
−ト124、ネット126 をコンクリ−ト枠工に固定してい
る。
【0070】たとえば、上下2段の植生棚132 におい
て、上段の植生棚のネット(ジオグリッド)135 の下端
と下段の植生棚のネットの上面内端とを取付金具134、た
とえばオ−クリップでコンクリ−ト枠工の水平枠44H の
アンカ−ボルト122 に連結、固定する。また、上段の植
生棚のネット135 の上面内端、下段の植生棚のネットの
下端を取付金具134 で種子付シ−ト124 上のネット126
にそれぞれ連結する。
【0071】図示の形態では、図11に示すように、木本
植物の苗を植生棚132 の緑化基盤で生育することとして
いるが、木本植物、草本植物の種子を付着したシ−トを
植生棚のネット135 の水平部分の下に敷いてもよい。
【0072】このように、植生棚132 を設ければ、格子
形のコンクリ−ト枠工44の打設されたモルタル吹付け擁
壁110 においても、空白地域を生じることなく、擁壁が
緑で覆われる。
【0073】また、基礎地盤上にコンクリ−トを打設し
たコンクリ−ト擁壁(コンクリ−ト打設擁壁)にもこの
発明が応用でき、コンクリ−ト擁壁の一部破断の平面図
を示す図12、図12の線13−13に沿った断面図である図13
を参照しながら、既存のコンクリ−ト擁壁での自然生態
自己復元式法面工法を説明する。上記石積擁壁またはモ
ルタル吹付け擁壁で使用した部材に対応する部材につい
ては、参照符号に200を加えて示す。
【0074】参照符号210 は基礎地盤213 に打設された
コンクリ−ト擁壁を示し、コンクリ−ト擁壁210 は、格
子形の小区画を有して形成されている。コンクリ−ト擁
壁210 の上面には、アンカ−ワイヤ−52が、たとえば水
平に架設され、クリップ54をアンカ−ワイヤ−の上から
コンクリ−ト擁壁210 の垂直枠244Vにピン止めしてアン
カ−ワイヤ−を固定している。
【0075】コンクリ−ト擁壁210 の水平枠244Hにアン
カ−ボルト222 が埋設され、水平に並んだ一連のアンカ
−ボルトに棚板220 がのせられ、高分子保水材221 が棚
板の上に置かれている。
【0076】種子付シ−ト224、ネット226 が棚板46の上
端に当接して配設され、アンカ−ボルト222 を利用して
コンクリ−ト擁壁210 に固定されている。つまり、図13
からわかるように、アンカ−ボルト222 の上端に座板22
2bを介してナット222aを螺着することによって、ボル
ト、棚板46間にシ−ト224、ネット226 を挟持、固定して
いる。
【0077】コンクリ−ト擁壁上のアンカ−ワイヤ−25
2、ネット226 に、幅止めワイヤ−58のフック端をそれぞ
れ係止させて、シ−ト224、ネットの膨らみが押さえられ
ている。そして、シ−ト224、コンクリ−ト擁壁の隙間
に、現地発生土(現地表土)が生育土壌として詰められ
て、緑化基盤211 が擁壁前面に造成されている。無論、
根入り孔218 が形成されており、現地発生土の一部は根
入り孔に予め詰められる。
【0078】この実施の形態においても、上記と同様
に、擁壁前面に自然生態を再現できる。特に、図示の形
態では、シ−ト224、ネット226 が棚板220 を介在して固
定されており、図13から明らかなように、擁壁前面での
緑化基盤211 の厚さが棚板の板幅に一致するため、棚板
の板幅に対応して緑化基盤の厚さを調整できる。
【0079】また、棚板220 を水平方向に差し渡して、
緑化基盤211 を上下の小区画に分割し、高分子保水材22
1 を棚板の上に配置しているため、水分がそれぞれの区
画に平均的に滞留し、緑化基盤211 の全面にわたって過
不足なく供給される。
【0080】図示しないが、コンクリ−ト擁壁210 にお
いても、上記の植生棚が取付金具34によって適宜設定で
きることはいうまでもない。
【0081】上述したこの発明の実施の形態は、この発
明を説明するためのものであり、この発明を何等限定す
るものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の
施されたものも全てこの発明に包含されることはいうま
でもない。
【0082】たとえば、木本植物、草本植物の種子をネ
ットに付着しておくとともに、草本植物、木本植物の苗
等を生育土壌に予め植え、種子からの生育と苗からの生
育を併存させてもよい。
【0083】
【発明の効果】上記のように、この発明に係る自然生態
自己復元式法面工法によれば、現地の表土を生育土壌と
した緑化基盤を擁壁前面に造成しているため、シ−トに
付着した種子は生育土壌からの滋養分を吸収して成長
し、ネットの網目を越えて外に伸びることから、擁壁前
面が緑で覆われて、自然生態が早期に復元される。
【0084】現地近隣で採取した表土を生育土壌として
いるため、その土壌に堆積した種子による草本植物等の
生育が期待され、近隣の本来の自然林に近い状態で緑化
される。加えて、現地周辺の植物調査に基づいて在来種
の種子を播種しているため、現地の植生態と違和感のな
い自然生態が再現される。
【0085】根入り孔を通じて、植物の根は擁壁背後の
地盤(背面地盤)にも侵入し、背面地盤に張り巡らされ
て水分を吸収するため、植物が大きく成長できる。ま
た、その根系が背面地盤に張り巡らされ、生育土壌(緑
化基盤)が十分な強度のもとで擁壁前面に保持される。
【0086】根入り孔によって、擁壁前面の緑化基盤、
背面地盤を連通しているため、根入り孔が水抜き孔とし
ても機能する。
【0087】根入り孔にパイプを入れ、パイプの外面に
モルタルを流してパイプを擁壁、背面地盤に固定すれ
ば、根入り孔がアンカ−としても機能し、強固な法面が
確保される。
【0088】土壌中での経年変化によって土壌中で自然
分解して消滅するため、種子付のシ−トは種子の発芽、
植物の生育等の妨げとならず、土壌も汚染しない。ま
た、シ−トの分解、消滅によって緑化基盤の表土が露出
するため、成長した植物の落葉、落枝が生育土壌に取り
込まれて新たな肥料源が得られる。
【0089】固定したネットで緑化基盤を押さえている
ため、法面に必要な強度が確保されるとともに、緑化に
必要な厚さの緑化基盤が得られる。
【0090】根入り孔にパイプを入れ、パイプの外面に
モルタルを流してパイプを擁壁、背面地盤に固定すれ
ば、根入り孔がアンカ−としても機能し、強固な法面が
得られる。
【0091】高分子保水材をのせた棚板を擁壁の前面に
設ければ、高分子保水材が水分を吸収、保持して、含水
率、保水性の低下が防止される。
【0092】棚板を上下にずらして隙間を設ければ、水
分が一ケ所に滞留しないで上下に満遍なく配分されると
ともに、生育土壌が棚板に邪魔されずに擁壁前面の隙間
に詰められる。
【0093】そして、この発明の自然生態自己復元式法
面構造によれば、近隣の本来の自然林に近い状態で緑化
され、現地の植生態と違和感のない自然生態が早期に再
現される。
【0094】植物の根が根入り孔を通じて擁壁背後の地
盤(背面地盤)にも侵入し、植物が大きく成長するとと
もに、生育土壌(緑化基盤)が十分な強度のもとで保全
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る自然生態自己復元式法面工法に
よって緑化基盤をその前面に造成した石積擁壁の概略縦
断面図である。
【図2】図1に示す石積擁壁の正面図である。
【図3】図1に示す石積擁壁のA部の拡大図である。
【図4】棚板の斜視図である。
【図5】棚板を後付けした図3に対応した石積擁壁の拡
大図である。
【図6】一体的なネットを使用した棚板の斜視図であ
る。
【図7】この発明に係る自然生態自己復元式法面工法に
よって緑化基盤をその前面に造成したモルタル吹付け擁
壁の概略縦断面図である。
【図8】図7に示すモルタル吹付け擁壁のA部の拡大図
である。
【図9】コンクリ−ト枠工を打設したモルタル吹付け擁
壁の概略縦断面図である。
【図10】図9に示すモルタル吹付け擁壁の正面図であ
る。
【図11】図9に示すモルタル吹付け擁壁のA部の拡大
図である。
【図12】この発明に係る自然生態自己復元式法面工法
によって緑化基盤をその前面に造成したコンクリ−ト擁
壁の一部破断の平面図である。
【図13】図12に示すコンクリ−ト擁壁の線13−13に
沿った概略縦断面図である。
【符号の説明】
10、110、210 擁壁 11、111、211 緑化基盤 12 石材 13、113、213 背面地盤 18、118、218 根入り孔 20、220 棚板 21、121、221 高分子保水材 22、122、222 アンカ−ボルト 24、124、224 シ−ト(不織布) 26、126、226 ネット(硬質樹脂ネット) 32、132 植生棚 34、134 取付金具 35、135 ネット 36、136 土留めシ−ト 38、138 保水シ−ト 42 背面排水材 44、244 コンクリ−ト枠工 58 幅止めワイヤ−
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−90851(JP,A) 特開 昭50−78102(JP,A) 実公 昭46−25074(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 17/20 102 E02D 17/20 104

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物の根の挿通可能な根入り孔を擁壁を
    貫通して背面地盤に設ける工程と、 現地近隣の地盤の掘削により生じた掘削土から石礫、根
    系等を除去した現地発生土からなる植物の生育土壌の一
    部を根入り孔に詰める工程と、 木本植物の種子、草本植物の種子のうち、少なくとも木
    本植物の種子の付着され、土壌中で自然分解可能なシ−
    トを、擁壁から離して擁壁前面に配置する工程と、 植物の幹の通過可能なネットで上記種子付シ−トを覆
    い、シ−トとともにネットを固定する工程と、 上記生育土壌をシ−ト、擁壁前面の隙間に敷設して緑化
    基盤とする工程と、 を備えた自然生態自己復元式法面工法。
  2. 【請求項2】 植物の根の挿通可能な根入り孔を擁壁を
    貫通して背面地盤に設ける工程と、 現地近隣の地盤の掘削により生じた掘削土から石礫、根
    系等を除去した現地発生土からなる植物の生育土壌の一
    部を根入り孔に詰める工程と、 木本植物の種子、草本植物の種子のうち、少なくとも木
    本植物の種子の付着され、土壌中で自然分解可能なシ−
    トを、擁壁から離して擁壁前面に配置する工程と、 植物の幹の通過可能なネットで上記種子付シ−トを覆
    い、シ−トとともにネットを固定する工程と、 棚板を上下でずらして擁壁に取付け、ネット、擁壁前面
    の間で棚板上に高分子保水材をのせる工程と、 上記生育土壌をシ−ト、擁壁前面の隙間に敷設して緑化
    基盤とする工程と、 を備えた自然生態自己復元式法面工法。
  3. 【請求項3】 植物の根の挿通可能な根入り孔を擁壁を
    貫通して背面地盤に設け、根入り孔にパイプを挿入し、
    パイプ外面にモルタルを流して固定する工程と、 現地近隣の地盤の掘削により生じた掘削土から石礫、根
    系等を除去した現地発生土に肥料を混合して植物の生育
    土壌を作る工程と、 生育土壌の一部を根入り孔に詰める工程と、 木本植物の種子、草本植物の種子のうち、少なくとも木
    本植物の種子の付着され、土壌中で自然分解可能なシ−
    トを、擁壁から離して擁壁前面に配置する工程と、 植物の幹の通過可能なネットで上記種子付シ−トを覆
    い、シ−トとともにネットを固定する工程と、 上記生育土壌をシ−ト、擁壁前面の隙間に敷設して緑化
    基盤とする工程と、 を備えた自然生態自己復元式法面工法。
  4. 【請求項4】 シ−トが不織布であり、 擁壁または背後地盤に埋め込んだアンカ−ボルトにシ−
    ト、ネットを固定させた請求項1ないし3のいずれか記
    載の自然生態自己復元式法面工法。
  5. 【請求項5】 断面略L字形の植生棚を取付金具でネッ
    トに連結し、前記生育土壌を植生棚に詰めて水平な植生
    面を確保している請求項1ないし4のいずれか記載の自
    然生態自己復元式法面工法。
  6. 【請求項6】 断面略L字形の植生棚を取付金具でネッ
    トに連結し、前記生育土壌を植生棚に詰めて水平な植生
    面を確保するとともに、植生棚の略V字形の底に保水シ
    −トを配置して保水ラインを確保している請求項1ない
    し4のいずれか記載の自然生態自己復元式法面工法。
  7. 【請求項7】 背面排水材を擁壁上に設け、この背面排
    水材を介して生育土壌を敷設している請求項1〜6のい
    ずれか記載の自然生態自己復元式法面工法。
  8. 【請求項8】 植物の根の挿通可能な根入り孔を背面の
    基礎地盤に設ける工程と、 現地近隣の地盤の掘削により生じた掘削土から石礫、根
    系等を除去した現地発生土からなる植物の生育土壌の一
    部を根入り孔に詰める工程と、 格子状のコンクリ−ト枠工を基礎地盤上に築く工程と、 コンクリ−ト枠工の水平枠に一連のアンカ−ボルトを埋
    設する工程と、 アンカ−ボルトに棚板を立て掛けて、コンクリ−ト枠工
    を上下方向に区切る工程と、 木本植物の種子、草本植物の種子のうち、少なくとも木
    本植物の種子の付着され、土壌中で自然分解可能のシ−
    トを、棚板を隔てて基礎地盤前面に被せる工程と、 植物の幹の通過可能な大きさの網目のネットで種子付シ
    −トを覆う工程と、 アンカ−ボルトの上端をねじ止めして、種子付シ−ト、
    ネットを棚板に挟持、固定する工程と、 上記生育土壌をシ−ト、擁壁前面の隙間に敷設して緑化
    基盤とする工程と、 を備えた 自然生態自己復元式法面工法。
  9. 【請求項9】 棚板上に高分子保水材を配置し、 一連のアンカ−ワイヤ−をコンクリ−ト枠上に張り巡ら
    し、 ネットを硬質樹脂ネットとし、両端フックの幅止めワイ
    ヤ−で硬質樹脂ネット、アンカ−ワイヤ−を連結してか
    ら生育土壌を敷設した請求項8記載の自然生態自己復元
    式法面工法。
  10. 【請求項10】 現地近隣の掘削土から石礫、根系等を
    除去した土壌を植物の生育土壌として、既存の擁壁前面
    に敷設して緑化基盤とし、 擁壁を貫通して背面地盤に設けられ、植物の根の挿通可
    能な根入り孔に上記の生育土壌が詰められ、 木本植物の種子、草本植物の種子のうち、少なくとも木
    本植物の種子の付着され、土壌中で自然分解可能のシ−
    トで緑化基盤の表面が覆われ、 植物の幹の通過可能な固定したネットがシ−トに被せら
    れている自然生態自己復元式法面構造。
  11. 【請求項11】 現地近隣の掘削土から石礫、根系等を
    除去し肥料を混合した土壌を植物の生育土壌として、既
    存の擁壁前面に敷設して緑化基盤とし、 擁壁を貫通して背面地盤に設けられ、植物の根の挿通可
    能な根入り孔に上記の生育土壌が詰められ、 木本植物の種子、草本植物の種子のうち、少なくとも木
    本植物の種子の付着され、土壌中で自然分解可能のシ−
    トで緑化基盤の表面が覆われ、 植物の幹の通過可能な固定したネットがシ−トに被せら
    れている自然生態自己復元式法面構造。
  12. 【請求項12】 現地近隣の掘削土から石礫、根系等を
    除去した土壌を植物の生育土壌として、既存の擁壁前面
    に敷設して緑化基盤とし、 擁壁を貫通して背面地盤に設けられた植物の根の挿通可
    能な根入り孔にパイプを挿入し、パイプ外面にモルタル
    を流してパイプが擁壁、背面地盤に固定されるともに、
    パイプに上記の生育土壌の一部が詰められ、 現地周辺の植物調査に基づいて選定された在来種の木本
    植物の種子、草本植物の種子のうちの、少なくとも木本
    種子の付着され、土壌中で自然分解可能な不織布からな
    るシ−トで緑化基盤の表面が覆われ、 植物の幹の通過可能な固定したネットでシ−トが覆われ
    た自然生態自己復元式法面構造。
  13. 【請求項13】 現地近隣の掘削土から石礫、根系等を
    除去した土壌を植物の生育土壌として、既存の擁壁前面
    に敷設して緑化基盤とし、 擁壁を貫通して背面地盤に設けられ、植物の根の挿通可
    能な根入り孔に上記の生育土壌が詰められ、 木本植物の種子、草本植物の種子のうち、少なくとも木
    本植物の種子の付着され、土壌中で自然分解可能のシ−
    トで緑化基盤の表面が覆われ、 植物の幹の通過可能な固定したネットがシ−トに被せら
    高分子保水材をのせた断面略逆L字形の植生棚が取付
    金具によってネットに連結され、上記の生育土壌が植生
    棚に詰められて水平な植生面を確保している自然生態自
    己復元式法面構造。
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