JP3052411B2 - 車両用差動制限制御装置 - Google Patents

車両用差動制限制御装置

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JP3052411B2
JP3052411B2 JP8955791A JP8955791A JP3052411B2 JP 3052411 B2 JP3052411 B2 JP 3052411B2 JP 8955791 A JP8955791 A JP 8955791A JP 8955791 A JP8955791 A JP 8955791A JP 3052411 B2 JP3052411 B2 JP 3052411B2
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健一郎 品田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の車輪間、特に左
右輪間の差動制限を制御するのに適した、車両用差動制
限制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の駆動輪における左右輪間には、
旋回時等に生じる差動を許容するための差動機構が設け
られているが、この差動機構では、左右輪のうち一方の
車輪の負荷が溝にはまって路面との摩擦係数が著しく小
さくなると、この一方の車輪のみが回転して他方の車輪
はほとんど回転しなくなって、路面に駆動トルクを伝達
できない状態が生じることがある。
【0003】そこで、このような場合に、その差動を制
限できる差動制限機構(LSD=リミテットスリップデ
フ)が開発されている。
【0004】このような左右輪の差動制限機構には、左
右輪の回転速度差に比例するタイプのものや、入力トル
クに比例するタイプのものがある。左右輪回転速度差比
例タイプには、液体の粘性を利用したVC(ビスカスカ
ップリング)式LSDなどのものがあり、車両の走行安
定性を向上しうる利点がある。
【0005】一方、入力トルク比例タイプのものには、
一般的なLOM(ロックオートマチック)式LSDなど
のフリクションタイプのものや、ウォームギヤの摩擦抵
抗を利用してトルクに感応して制御するTORSEN
(トルセン)式LSDなどのメカニカルタイプのものが
あり、車両の旋回性能の向上やスタック脱出性能の確保
や走破性の向上を実現できる等の利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような各差動制限機構では、その差動制御特性が物性な
どによって定まっており、必ずしもドライバの好みに応
じたものにはなっていなかった。
【0007】また、通常使用する低入力トルク時には、
引き摺りトルクが発生して動力伝達ロスを招くという問
題点もある。
【0008】さらに、アンチブレーキングシステム(A
BS)を装備した場合に、差動制御がABSと干渉する
虞がある。
【0009】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたも
ので、左右輪の差動状態を適切に制御できるようにし
た、車両用差動制限制御装置を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の車両
用差動制限制御装置は、車両の車輪間の差動状態を制限
する差動制限装置において、差動制限機構と、該車両の
車速を検出する車速検出手段と、該差動制限機構へ入力
されるトルクに比例するように差動制限力の大きさを設
定する差動制限力設定手段と、該車速検出手段により検
出された車速によって決まる第1の車速条件下では、該
差動制限力設定手段で上記入力トルクに比例して設定さ
れた大きさの差動制限力が発生するように上記差動制限
機構を制御するとともに、上記第1の車速条件とは異な
る、該車速検出手段により検出された車速によって決ま
る第2の車速条件下では、上記差動制限機構での上記入
力トルクに比例して設定された大きさの差動制限力の発
生を禁止する差動制限機構制御手段とをそなえ、上記差
動制限力設定手段に、上記の入力トルクと差動制限力と
の比例関係を運転者の意志により任意に調整しうる比例
関係調整手段が設けられていることを特徴としている。
【0011】
【作用】上述の本発明の車両用差動制限制御装置では、
差動制限力設定手段において、まず、比例関係調整手段
を通じて入力トルクと差動制限力との比例関係を運転者
の好みに応じて調整すると、差動制限力設定手段によ
り、この設定された比例関係に応じて差動制限力が設定
される。そして、車速検出手段により検出された車速に
よって決まる第1の車速条件下では、差動制限機構制御
手段によって、入力トルクに比例して設定された差動制
限力が発生するように差動制限機構が制御され、この差
動制限機構を通じて、上記の左右輪へ入力されるトルク
の大きさ及び上記回転速度差に応じて車両の左右輪間の
差動状態が制限される。一方、上記第1の車速条件とは
異なる、車速検出手段により検出された車速によって決
まる第2の車速条件下では、差動制限機構制御手段によ
って、上記差動制限機構での上記入力トルクに比例して
設定された大きさの差動制限力の発生が禁止される。
【0012】
【実施例】以下、図面により、本発明の実施例について
説明すると、図1〜図15は本発明の第1実施例として
の左右輪差動制御装置について示すもので、図1はその
全体構成を示すブロック図、図2はその差動制御装置を
そなえた駆動トルク伝達系の全体構成図、図3はその左
右輪差動としてのリヤディファレンシャルを示す断面
図、図4(a),(b)はいずれも図3のA−A矢視断
面、図5はその入力トルク対応制御部の一部を示す構成
図、図6はその車速検出手段の詳細を示す構成図、図7
はその差動対応クラッチトルクTrnを求めるマップ、
図8はその入力トルク比例クラッチトルクTrを求める
マップ、図9はそのエンジントルクマップの例を示す
図、図10はそのトランスミッショントルク比マップの
例を示す図、図11は本装置による制御を含んだ車両全
体の制御の流れを示すフローチャート、図12は本装置
による制御の流れを示すフローチャート、図13はその
入力トルク比例クラッチトルクTrを求める制御の流れ
を示すフローチャート、図14はその差動対応クラッチ
トルクTrnを求める制御の流れを示すフローチャー
ト、図15はその車速検出の流れを示すフローチャート
であり、図16,図17は本発明の第2実施例としての
左右輪差動制御装置について示すもので、図16はその
全体構成を示すブロック図、図17はその入力トルク比
例クラッチトルクTrを求める制御の流れを示すフロー
チャートである。
【0013】まず、図2を参照してこの差動調整式前後
輪トルク配分制御装置をそなえる車両の駆動系の全体構
成を説明する。
【0014】図2において、符号2はエンジンであっ
て、このエンジン2の出力はトルクコンバータ4及び自
動変速機6を介して出力軸8に伝達される。出力軸8の
出力は、中間ギア10を介して前輪と後輪とのエンジン
トルクを所要の状態に配分する作動装置としての遊星歯
車式差動装置12に伝達される。
【0015】この遊星歯車式差動装置12の出力は、一
方において減速歯車機構19,前輪用の差動歯車装置1
4を介して車軸17L,17Rから左右の前輪16、1
8に伝達され、他方においてベベルギヤ機構15,プロ
ペラシャフト20及びベベルギヤ機構21,後輪用の差
動歯車装置(リヤディファレンシャル)22を介して車
軸25L,25Rから左右の後輪24,26に伝達され
る。
【0016】遊星歯車式差動装置12は、従来周知のも
のと同様にサンギア121、同サンギア121の外方に
配置されたプラネタリギア122と、同プラネタリギア
122の外方に配置されたリングギア123とを備え、
プラネタリギア122を支持するキャリア125に自動
変速機6の出力軸8の出力が入力され、サンギア121
は前輪用出力軸27及び減速歯車機構19を介して前輪
用差動歯車装置14に連動され、リングギア123は後
輪用出力軸29及びベベルギヤ機構15を介してプロペ
ラシャフト20に連動されている。
【0017】また、遊星歯車式差動装置14には、その
前輪側出力部と後輪側出力部との差動を拘束(又は制
限)することにより前輪と後輪とのエンジンの出力トル
クの配分を変更しうる差動制限手段又は差動調整手段と
しての油圧多板クラッチ28が付設されている。
【0018】すなわち、油圧多板クラッチ28は、サン
ギヤ121(又はリングギア123)とキャリア125
との間に介装されており、自身の油圧室に作用される制
御圧力によって摩擦力が変わり、サンギヤ121(又は
リングギア123)とキャリヤ125との差動を拘束す
るようになっている。
【0019】そして、この遊星歯車式差動装置12で
は、油圧多板クラッチ28を完全フリーの状態からロッ
クさせた状態まで適宜制御することにより、前輪側及び
後輪側へ伝達されるトルクを、前輪:後輪が約32:6
8程度から50:50の間で制御することができるよう
になっている。完全フリー状態での前輪:後輪の値:約
32:68は、遊星歯車の前輪側及び後輪側の入力歯車
の歯数比等の設定により規定でき、ここでは、油圧多板
クラッチ28の油圧室内の圧力がゼロで完全フリーの状
態のときには約32:68となるように設定されてい
る。
【0020】このように、後輪をベースとしたトルク配
分から前後輪均一のトルク配分までの範囲でトルク制御
を行なうのは、車両の操縦性と走行安定性とを兼ね備え
るように考慮したものであり、例えば、旋回初期には気
持ち良く曲がり始めるようにしながら、旋回後半では車
両の挙動を安定させながら旋回を完了できるようにめる
ようにしたい。このためには、通常時は、後輪寄りのト
ルク配分として旋回の応答性を確保しながら、そのまま
では走行安定性が損なわれるような場合に、その度合い
に応じて前輪へのトルク配分を増加させるようにすれば
よい。後輪をベースとしたトルク配分から前後輪均一の
トルク配分までの範囲でトルク制御を行な得るようにし
ているのである。
【0021】なお、この完全フリー状態での比(約3
2:68)は、前輪系と後輪系との負荷バランス等によ
って変化するが通常はこのような値となる。また、油圧
室内の圧力が設定圧(9kg/cm2)とされて油圧多板ク
ラッチ機構28がロック状態にあって、差動制限が実質
的にゼロとなると、前輪と後輪とのトルク配分は、5
0:50となって直結状態となる。
【0022】なお、リヤディファレンシャル22につい
ては、後で詳述する。
【0023】符号30はステアリングホイール32の中
立位置からの回転角度、即ちハンドル角θを検出するハ
ンドル角センサ、34a,34bはそれぞれ車体の前部
及び後部に作用する横方向の加速度Gyf,Gyrを検出す
る横加速度センサであり、この例では、2つの検出デー
タGyf,Gyrを平均して横加速度データとしているが、
車体の重心部付近に横加速度センサ34を1つだけ設け
て、この検出値を横加速度データとしてもよい。36は
車体に作用する前後方向の加速度Gxを検出する前後加
速度センサ、38はエンジン2のスロットル開度θtを
検出するスロットルポジションセンサ、39はエンジン
2のエンジンキースイッチ、40、42、44、46は
それぞれ左前輪16、右前輪18、左後輪26、右後輪
28の回転速度を検出する車輪速センサであり、これら
スイッチ及び各センサの出力はコントローラ48に入力
されている。
【0024】符号50はアンチロックブレーキ装置であ
り、このアンチロックブレーキ装置50はブレーキスイ
ッチ50Aと連動して作動する。つまり、ブレーキペダ
ル51の踏込時にブレーキスイッチ50Aがオンとなる
と、これに連動してアンチロックブレーキの作動信号が
出力されて、アンチロックブレーキ装置50が作動す
る。また、アンチロックブレーキの作動信号が出力され
るときには同時にその状態を示す信号がコントローラ4
8に入力されるように構成されている。また、52はコ
ントローラ48の制御信号に基づき点灯する警告灯であ
る。
【0025】なお、コントローラ48は、図示しないが
後述する制御に必要なCPU、ROM、RAM、インタ
フェイス等を備えている。
【0026】そして、符号54は油圧源、56は同油圧
源54と油圧多板クラッチ28の油圧室との間に介装さ
れてコントローラ48からの制御信号により制御される
圧力制御弁系(以下、圧力制御弁と略す)である。 ま
た、この自動車には自動変速機がそなえられており、符
合160は自動変速機のシフトレバー160Aの選択シ
フトレンジを検出するシフトレバー位置センサ(シフト
レンジ検出手段)であり、この検出情報もコントローラ
48に送られる。
【0027】また、エンジン回転数センサ(エンジン回
転速度センサ)170で検出されたエンジン回転数Ne
やトランスミッション回転数センサ(トランスミッショ
ン回転速度センサ)180で検出されたトランスミッシ
ョン回転数Ntもコントローラ48に送られる。
【0028】さらに、この例では、トラクションコント
ロールシステム151もそなえている。つまり、エンジ
ン2は、アクセルペダル162の踏み込み量に応じて開
度が制御される主スロットル弁152をそなえており、
アクセルペダル162及び連結策等とともにアクセルペ
ダル系エンジン出力調整装置を構成している。
【0029】そして、アクセルペダル系エンジン出力調
整装置と独立して制御されるエンジン出力制御手段とし
ての副スロットル弁153が、エンジン2の吸気通路内
において主スロットル弁152と直列的に設けられてい
る。この副スロットル弁153はモータにより駆動さ
れ、このモータは後輪速センサ44,46や前輪速セン
サ40,42やエンジン回転数センサ170やエンジン
負荷センサ172等の検知結果に基づき作動を制御され
る。
【0030】ここで、リヤディファレンシャル(リヤデ
フ)22について説明すると、このリヤデフ22は、プ
ロペラシャフト20の後端にベベルギヤ機構21を介し
て設けられるが、差動制限機構23を付設された構成に
なっている。
【0031】つまり、プロペラシャフト20の後端に
は、ベベルギヤ機構21が設けられるが、ベベルギヤ機
構21は,プロペラシャフト20の後端に結合された入
力軸401に連動するように設けられたドライブピニオ
ンギヤ402と、ドライブピニオンギヤ402に噛合し
たクラウンギヤ403とからなっており、このクラウン
ギヤ403に、ボルト431によって、リヤデフ22の
動力伝達用環状部材404及び第1のハウジング405
が一体に結合されている。なお、入力軸401は、軸受
412を介してケース413の前部内に回転自在に支持
されている。
【0032】リヤデフ22は、遊星歯車機構を用いた遊
星歯車式ディファレンシャルであって、動力伝達用環状
部材404及びこの内部に形成され、環状部材404の
内周面に形成されたリングギヤ407と、左側輪24の
車軸25Lとスプライン結合するサンギヤ408と、右
側輪26の車軸25Rとスプライン結合するキャリヤ4
09と、このキャリヤ409に軸410a,410bを
介して取り付けられたプラネタリギヤ411a,411
bとから構成されている。
【0033】したがって、入力軸401から入った回転
トルクは、ドライブピニオンギヤ402,クラウンギヤ
403を経て、環状部材404のリングギヤ407か
ら、プラネタリギヤ411a,411b及びキャリヤ4
09を介して右側輪26の車軸25Rへ伝達されると共
に、プラネタリギヤ411a,411b及びサンギヤ4
08を介して左側輪24の車軸25Lへ伝達されるよう
になっている。
【0034】また、キャリヤ409の右側には、第2の
ハウジング406が設けられており、この第2のハウジ
ング406はベアリング428を介して環状支持部材4
18に支持されている。
【0035】そして、このリヤデフ22には、差動制限
装置23が設けられており、この差動制限装置23は、
差動制限機構としての多板クラッチ414と、この多板
クラッチを駆動する駆動装置417と、この駆動装置4
17を制御するコントローラ48のリヤデフ制御部48
aとから構成されている。
【0036】つまり、多板クラッチ414は、環状部材
404の内部に設けられており、一方のクラッチディス
ク414aを支持するホルダ部415aは軸410a,
410bを介してキャリヤ409に結合されて、クラッ
チディスク414aがキャリヤ409と一体回転するよ
うになっており、他方のクラッチディスク414bを支
持するホルダ部415bはサンギヤ408の設けられた
中空シャフト416に形成されて、クラッチディスク4
14bがサンギヤ408と一体回転するようになってい
る。
【0037】さらに、駆動装置417は、キャリヤ40
9と第2のハウジング406との間に介設された力方向
変換機構429と、この力方向変換機構429を駆動す
る電磁式クラッチ機構430とからなっている。なお、
このリヤデフ22は電磁式クラッチ機構により差動制限
を行なうので、電磁制御式ディファレンシャル(EMC
D:Electro Magnetic Controlled Differentia
l)という。
【0038】力方向変換機構429は、図3に示すよう
に、キャリヤ409と第2のハウジング406との間に
介装されたボール421と、図4(a)に示すように、
このボール421を収容する菱形(又は矩形)の室42
5とからなり、室425は、キャリヤ409側に形成さ
れた溝422とキャリヤ409と第2のハウジング40
6との間の環状部材423に形成された溝424とによ
って形成されている。そして、環状部材423は、キャ
リヤ409と第2のハウジング406との間に介装され
て、通常時にはこれらの部材に対して回転方向にフリー
であって、ボール421を介してキャリヤ409と一体
回転しているが、第2のハウジング406側(つまり、
クラウンギヤ403や動力伝達用環状部材404側)の
回転トルクを受けると、キャリヤ409に対して差回転
を生じて、この回転トルクによる力が、方向を変更され
て、クラッチ414の押圧力として作用するようになっ
ている。
【0039】環状部材423に第2のハウジング406
側の回転トルクを作用させるのは、電磁式クラッチ機構
430であり、この電磁式クラッチ機構430は、環状
部材423と第2のハウジング406側(クラウンギヤ
403や動力伝達用環状部材404側)の部材426と
の間に介装されたクラッチ427と、磁石419と差動
制限機構制御手段としてのソレノイド(EMCDコイ
ル)420とからなる電磁式クラッチ駆動系とからなっ
ている。
【0040】つまり、クラッチ427が、第2のハウジ
ング406の内側に配設されていて、第2のハウジング
406のさらに内側には磁石419が設置され、この一
方、第2のハウジング406の外側に、磁石419を吸
引しうるソレノイド420が設置されている。これによ
り、ソレノイド420が作動すると、磁石419が第2
のハウジング406側に引き付けられて、第2のハウジ
ング406との間でクラッチ416を押圧するようにな
ることで、クラッチ416が係合するようになってい
る。
【0041】そして、クラッチ416が係合するように
なると、環状部材423が、第2のハウジング406側
の回転トルクを受けて、第2のハウジング406側と一
体的に回転しようとするようになる。この時に、第2の
ハウジング406側(したがって、サンギヤ407側)
とキャリヤ409とが回転速度差(差回転)を生じてい
れば、つまり、左右輪間に回転速度差が生じていれば、
環状部材423は、キャリヤ409に対して差回転を生
じ、このように環状部材423がキャリヤ409に対し
て差回転を生じると、図4(b)に示すように、ボール
421と溝422,424の傾斜面とを介して、差回転
方向の力Δrが、これと直交する方向の力、つまり、リ
ヤデフの軸心方向や車軸方向に並行な力Fに変換され
て、この力Fによりキャリヤ409が軸心方向へ駆動さ
れて、シャフト410a,410b,ホルダ部415a
を通じて、多板クラッチ414が押圧されて係合するよ
うにになっている。
【0042】このような多板クラッチ414の係合力
は、左右輪の回転速度差とソレノイド420で生じる電
磁力の大きさとに対応することになり、ソレノイド42
0への電流を調整することで、多板クラッチ414の係
合力、したがって、差動制限力を制御できるのである。
【0043】このようなソレノイド420への電流調整
による差動制限力の制御のために、コントローラ48に
リヤデフ制御部48aが設けられている。
【0044】ここで、このリヤデフ制御部48aについ
て説明する。
【0045】リヤデフ制御部48aは、図1のブロック
図に示すように、各センサ(車輪速センサ40,42,
44,46,前後加速度センサ36,スロットルポジシ
ョンセンサ38,エンジン回転数センサ170,トラン
スミッション回転数センサ180,シフトポジションセ
ンサ160等)からの検出情報に基づいて、多板クラッ
チ414のクラッチトルクを設定し、目標のクラッチト
ルクを得られるように駆動装置417の電磁式クラッチ
機構430への供給電流を制御するようになっている。
【0046】なお、データのうちABS情報,車輪速,
舵角,変速段,ABSのコントロールユニットとエンジ
ンの制御ユニットとの総合通信(SCI通信:SCI=
Serial Communication Interface)等のデータ
は、デジタル入力され、前後加速度,横加速度,アクセ
ル開度,多板クラッチへの油圧制御,4WDコントロー
ルユニット制御,リヤデフの電磁クラッチへの電流等に
関してはアナログ入力される。
【0047】この装置では、多板クラッチ414のクラ
ッチトルクの設定は、左右輪の差動状態に着目してこ
の差動が大きくなるにしたがって増加するように設定さ
れる差動対応クラッチトルクTrnと、後輪に入力さ
れるトルクに着目してこの後輪入力トルクに比例するよ
うな値に設定される入力トルク比例クラッチトルクTr
との中から1つが選択されるようになっており、これら
の各クラッチトルクTrn,Trの設定部について順に
説明する。
【0048】差動対応クラッチトルクTrnは、駆動輪
のスリップを防止して、路面状態や走行状態に応じて適
切に駆動力配分がなされるように左右輪間の差動状態を
制限するもので、例えば図7に示すようなマップに基づ
いて、左右輪間の差動の量ΔVrから差動対応クラッチ
トルクTrnを求める。
【0049】このマップ(図7参照)は、左右輪間の差
動量ΔVrが大きくなるにしたがって差動対応クラッチ
トルクTrnが増加するような関係に設定されており、
例えばビスカスカップリングユニット(VCU)に近い
差動制限特徴を持たせるには、ΔVrとTrnとの関係
を実線で示すようなものにして、ハイドロリックカップ
リングユニット(HCU)に近い差動制限特徴を持たせ
るには、ΔVrとTrnとの関係を鎖線で示すようなも
のにする。
【0050】入力トルク比例クラッチトルクTrは、後
輪入力トルク(又は後輪分担トルク)Treに比例する
ような値に設定されるが、この装置では、後輪入力トル
クTreとクラッチトルクTrとの関係を任意に調整し
うるようになっている。
【0051】そして、このような入力トルク比例クラッ
チトルクTrを求めるために、図1に示すように、後輪
入力トルク演算部(後輪分担トルク演算部)560と、
比例トルク変換部570と、比例関係調整手段としての
セレクタ600とが設けられている。
【0052】後輪分担トルク演算部560は、図5に示
すように、ある瞬間のエンジントルクTeを検出するエ
ンジントルク検出部264と、その時のトルコントルク
比tを検出するトルコントルク比検出部266と、その
時のトランスミッションの減速比ρmを検出するトラン
スミッションの減速比検出部276と、前後加速度Gx
からセンタデフトルク(センタデフクラッチトルク)T
cを得るセンタデフトルク設定部562とから、それぞ
れの情報が送られて、これらのエンジントルクTeとト
ルコントルク比tとトランスミッションの減速比ρmと
センタデフトルクTcとから後輪分担トルクTreを算
出するように構成されている。
【0053】エンジントルク検出部264では、スロッ
トルポジションセンサ38から送られてフィルタ262
aを通じて外乱等により発生するデータの微振動成分を
取り除かれたスロットル開度データθthと、エンジン
回転数センサ170から送られてフィルタ262bを通
じて外乱等により発生するデータの微振動成分を取り除
かれたエンジン回転数データNeとから、例えば図9に
示すようなエンジントルクマップを通じてその時のエン
ジントルクTeを求めるようになっている。
【0054】トルコントルク比検出部266では、エン
ジン回転数センサ170から送られてフィルタ262b
を通じて外乱成分を取り除かれたエンジン回転数データ
Neと、トランスミッション回転数センサ180から送
られてフィルタ262cを通じて外乱成分を取り除かれ
たトランスミッション回転数データNtとから、例えば
図10に示すようなトランスミッショントルク比マップ
を通じて、その時のトランスミッショントルク比tを求
めるようになっている。
【0055】トランスミッションの減速比検出部276
では、シフトポジションセンサ160からの選択シフト
段情報から、シフト段−減速比対応マップ(図示省略)
を参照してトランスミッションの減速比ρmを求めるよ
うになっている。
【0056】センタデフトルク設定部562では、前後
加速度Gxに基づいて次式からセンタデフトルクTcを
演算する。 Tc=(Z/ Zr)・( Rt/ρrd)[(Wf-Wa・Zs/Z)・Gx-h/l・ Wa・ Gx2]・・・(2.1) ただし、Zsはサンギヤの歯数、Zrはリングギヤの歯
数、Wfは前輪分担荷重、Waは車重、ρrdは終減速
比、ZはZs+Zrである。
【0057】後輪分担トルク演算部560では、上述の
ように設定されたエンジントルクTe,トルコントルク
比t,トランスミッションの減速比ρm,センタデフト
ルクTcに基づいて後輪分担トルクTreを演算する
が、この算出は、次の2式による演算結果Tre1,T
re2のうち大きい方の値を採用する。
【0058】Tre1を算出する演算式は次式であり、
これはクラッチ414が滑る場合を想定したトルクの前
後配分式である。 Tre1=(Te・t・ρ1・ρm−Tc)・ρrd・Zr/(Zr+Zs) ・・・(2.2)
【0059】また、Tre2を算出する演算式は次式で
あり、これはクラッチ414が滑らない場合を想定した
式であり、これにより得られる後輪分担トルクTre2
は静止時後輪分担トルクである。 Tre2=(Wr/W)・Te・t・ρ1・ρm・ρrd ・・・(2.3)
【0060】 そして、Tre=MAX(Tre1,Tre2) ・・・(2.4) より、後輪分担トルクTreを決定する。
【0061】なお、後輪分担トルクTreとして、上述
のように静止時後輪分担トルクTre2を採用するの
は、Tre1の演算式ではTre1の値が負になる場合が
あり、このような場合等のために静止時後輪分担トルク
Tre2を採用しているのである。
【0062】また、セレクタ600は、例えば図8に示
すように予め複数通り設定された後輪入力トルクTre
とクラッチトルクTrとの関係(直線L1 ,L2 ,L3
参照)の中から、任意に1つを選択できるものであり、
車室内に設けられた操作スイッチ(図示省略)を通じて
ドライバが自由に選択を切り換えられるようになってい
る。例えばオンロードでは後輪入力トルクTreに対す
るクラッチトルクTrの大きさを比較的小さいもの(直
線L1 )に設定し、また、オフロードでは後輪入力トル
クTreに対するクラッチトルクTrの大きさを比較的
大きいもの(直線L2 )に設定することが考えられる。
【0063】上述のようにして設定された差動対応クラ
ッチトルクTrnと入力トルク比例クラッチトルクTr
との何れか1つを選択するために、スイッチ574aが
設けられている。このスイッチ574aは、判断手段5
74からの信号により、低車速時(この例では車速Vr
efがVref<20km/h)には差動対応クラッチト
ルクTrnの信号ラインをONとして、入力トルク比例
クラッチトルクTrの信号ラインをOFFとする。逆
に、低車速時以外(この例ではVref≧20km/h)
には差動対応クラッチトルクTrnの信号ラインをOF
Fとして、入力トルク比例クラッチトルクTrの信号ラ
インをONとする。
【0064】なお、車速Vrefは、車輪にスリップが
生じたときに車輪速から車体速を求めた推定車速値(こ
れを運転者要求車体速という)であり、運転者要求車体
速演算部216で演算される。運転者要求車体速演算部
216は、図6に示すように、車輪速センサ40,4
2,44,46により検出された左前輪16,右前輪1
8,左後輪26,右後輪28の回転速度データ信号F
L,FR,RL,RRのうち下から(小さい方から)2
番目の大きさの車輪速データを選択する車輪速選択部2
16aと、この選択した車輪速データ等から運転者要求
車体速を設定する運転者要求車体速算出部216cとか
らなっている。
【0065】特に、運転者要求車体速算出部216cで
は、車輪速選択部216aで選択した車輪速データをフ
ィルタ216bにかけて雑音成分を除去して得られる車
輪速データSVWと、前後加速度センサ36で検出され
た前後加速度をフィルタ216dにかけて雑音成分を除
去して得られる前後加速度データGxとに基づいて、ス
リップ前のある時点における両データSVW,Gxか
ら、スリップ中の車速を推定できるようになっている。
つまり、ある時点の車輪速データSVWをV2,前後加
速度データGxをaとすると、この時点よりも時間tだ
け後の理論上の車体速Vrefは、Vref=V2+a
tで算定できる。
【0066】また、前後加速度データGxに換えて、車
輪速データSVW又は運転者要求車体速Vrefを時間
微分して得られる運転者要求車体加速度V´refを採
用してもよい。
【0067】なお、回転速度データ信号FL,FR,R
L,RRのうち下から2番目の大きさの車輪速データを
採用するのは、各車輪は通常いずれも過回転側にスリッ
プしている場合が多いので本来なら最も低速回転の車輪
速を採用するのが望ましいが、データの信頼性を考慮し
て下から2番目の車輪速を採用しているのである。
【0068】このようにして選択されたクラッチトルク
Tr又はTrnは、トルク−電流変換部586に送られ
て、ここで、設定されたクラッチトルクTr又はTrn
が得られるようなクラッチ供給電流Iに変換されるよう
になっている。
【0069】上述のようにして、クラッチ供給電流Iが
得られたら、電流制限部(リミッタ)588で、クラッ
チ供給電流Iが限界値(例えば、3A)を超えたらIが
限界値にホールドされるようになっている。
【0070】このようにリミッタ588を経たクラッチ
供給電流Iの情報は、ピークホルドフィルタ590に取
り込まれるようになっている。このピークホルドフィル
タ590は、電流の急変により制御にハンチングが起こ
らないように、電流の過度な急変を防止する一種のリミ
ッタであり、電流の立上がりに対しては、ある程度高い
限界速度(例えば10.4A/s)を設定し、電流の立
下がりに対しては、やや低い限界速度(例えば5.2A
/s)を設定している。
【0071】そして、電流変化の速度がこのような限界
を超えるようなクラッチ供給電流Iの情報が送られた
ら、この限界速度に応じた制御電流に留められるように
なっている。
【0072】このようにして変換された制御電流Iは、
スイッチ592aを経て、EMCDコイル420に送ら
れるようになっている。なお、スイッチ592aは、判
断手段592からの信号によって、ABS制御(アンチ
ロックブレーキ制御)が行なわれていれば(ON状態な
らば)OFFとされ、ABS制御が行なわれていなけれ
ばONとされる。つまり、ABS制御が行なわれていな
いことを条件に、制御電流Iの信号が送られるようにな
っている。これは、ABS制御時にはABSを確実に作
用させる必要があり、この時左右輪のトルク配分状態を
制御するのは、ABS制御に干渉したりして好ましくな
いためである。
【0073】コイル420では、このようにして送られ
てきた制御電流Iに応じて、磁力を発生して、クラッチ
23の接続状態を調整する。
【0074】第1実施例の装置は、上述のように構成さ
れているので、以下のようにして、差動調整が行なわれ
る。
【0075】まず、駆動系の全体の動作の流れは、図1
1に示すように、まず、各制御要素をイニシャルセット
して(ステップa1)、舵角中立位置の学習(ステップ
a2)、及びクラッチの予圧学習(ステップa3)を行
ない、続いて、設定されたデューティに応じてクラッチ
28を制御しながら前後輪駆動力配分制御を行ない(ス
テップa4)、さらに、リヤデフの制御を行なう(ステ
ップa5)。
【0076】そして、ステップa7〜a11で、スリッ
プ制御,トレース制御,トルク選択,リタード制御演
算,SCI(Serias Communication Interface)通信制
御といったエンジン出力制御(トラクション制御)を行
なって、トルク配分表示ランプを点灯して(ステップa
12)、ステップa13で故障診断(フェイル・ダイア
グ)を行なう。ステップa14で、所定時間(15mse
c)経過したかどうかを判断して、所定時間(15mse
c)経過したら、ウォッチドッグによる暴走チェックを
行なって(ステップa15)、上述のステップa2へ戻
って、ステップa2〜a13の一連の制御を繰り返す。
【0077】つまり、上述の前後輪駆動力配分制御,リ
ヤデフの制御及びエンジン出力制御が、所定周期(15
msec)で、行なわれるのである。
【0078】このうち、リヤデフの制御(ステップa
6)に関して、図12〜図15のフローチャートを参照
して説明する。
【0079】図12に示すように、まず、入力トルク比
例クラッチトルクTrの算出(ステップb1)及び差動
対応クラッチトルクTrnの算出(ステップb2)を行
なわれて、ステップb3で、スイッチ574aによっ
て、算出された入力トルク比例クラッチトルクTrと差
動対応クラッチトルクTrnとの何れか1つが選択され
る。つまり、低車速時(この例ではVref<20km/
h)には差動対応クラッチトルクTrnが選択され、低
車速時以外(この例ではVref≧20km/h)には入
力トルク比例クラッチトルクTrが選択される。
【0080】そして、選択されたクラッチトルクTr又
はTrnを、トルク−電流変換部586でクラッチ供給
電流Iに変換して(ステップb4)、ステップb5の判
断で、このクラッチ供給電流Iが限界値(例えば、3
A)を越えていたら、電流制限部(リミッタ)588で
限界値(例えば、3A)にホールドして(ステップb
6)、さらに、ピークホルドフィルタ590で、電流の
急変により制御にハンチングが起こらないように、電流
変化の速度を制限する(ステップb7)。
【0081】このように処理された制御電流Iは、判断
手段492によるステップb8の判断で、ABS制御が
行なわれていない時だけ出力され、ABS制御が行なわ
れていたら処理された制御電流Iに代えて制御電流Iの
値として0が出力され(ステップb9)、それぞれの場
合、EMCDコイル420に送られる。そして、 コイ
ル420では、このようにして送られてきた制御電流I
に応じて、磁力を発生して、リヤデフのクラッチ23の
接続状態を調整する(ステップb10)。
【0082】また、入力トルク比例クラッチトルクTr
の算出は図13に示すように行なわれる。つまり、前述
の式(2.2)によってTre1を求め(ステップc
1)、前述の式(2.3)によってTre2を求め(ス
テップc2)、これらの値Tre1,Tre2の大きい方
をTreとして選択する(ステップc3)。そして、セ
レクタ600で選択された後輪入力トルクTreとクラ
ッチトルクTrとの比例関係によって、Treを入力ト
ルク比例クラッチトルクTrに変換する(ステップc
4)。
【0083】また、入力トルク比例クラッチトルクTr
の算出は図14に示すように行なわれる。つまり、後輪
の左右輪の車輪速度Vrl,Vrrから左右輪間の差動
の量ΔVrを求め(ステップd1)、この差動の量ΔV
rからマップ(図7参照)によって差動対応クラッチト
ルクTrnを求める(ステップd2)。
【0084】そして、判断手段574による判断は、図
15に示すように、まず、車速Vref(運転者要求車
体速)を運転者要求車体速演算部216で演算して(ス
テップe1)、この値Vrefを低速か否かの閾値(こ
こでは20km/h)と比較して(ステップe2)、低
速時(Vref<20km/h)には差動対応クラッチ
トルクTrnを出力して(ステップe3)、低速時以外
(Vref≧20km/h)には入力トルク比例クラッ
チトルクTrを出力する(ステップe4)。
【0085】このようなドライバの好みを加味した入力
トルク比例クラッチトルクTrの設定により、差動制限
機構が適切に設定され、左右輪の差動が適宜許容されな
がら、旋回時をはじめとして、運転者の意志に沿うよう
に車両を挙動させることができるようになるのである。
【0086】次に、第2実施例について説明すると、こ
の実施例では、図16のブロック図に示すように、リヤ
デフ制御部48aの入力トルク比例クラッチトルクTr
の設定に関する部分が第1実施例のものと異なってお
り、ここでは、セレクタ600Aにより、後輪入力トル
クTreとクラッチトルクTrとの比例係数を自由に設
定できるようになっている。
【0087】つまり、後輪分担トルク演算部560で、
第1実施例と同様に、エンジントルクTe,トルコント
ルク比t,トランスミッションの減速比ρm,センタデ
フトルクTcに基づいて後輪分担トルクTreを演算
し、比例トルク変換部570Aで、一定の比例関係から
後輪入力トルクTreをクラッチトルクTr′に変換す
る。一方、セレクタ600Aにより比例係数kを設定す
ると、補正部602で、クラッチトルクTr′にこの比
例係数kを乗算して入力トルク比例クラッチトルクTr
を得る。なお、セレクタ600は、車室内に設けられた
操作スイッチ(図示省略)を通じてドライバが自由に選
択を切り換えられるようになっている。
【0088】第2実施例の装置は、上述のような構成に
より、入力トルク比例クラッチトルクTrの算出は図1
7に示すように行なわれる。つまり、前述の式(2.
2)によってTre1を求め(ステップc1)、前述の
式(2.3)によってTre2を求め(ステップc
2)、これらの値Tre1,Tre2の大きい方をTre
として選択する(ステップc3)。そして、後輪入力ト
ルクTreとクラッチトルクTr′との一定の比例関係
によって、TreをクラッチトルクTr′に変換して
(ステップc4)、セレクタ600Aで選択された比例
関係kを乗算して、Tr′を入力トルク比例クラッチト
ルクTrに変換する(ステップc5)。
【0089】これにより、第2実施例の装置でも第1実
施例の装置と同様の作用及び効果が得られ、特に、比例
関係kを自由に設定できるため、より運転者の意志に沿
うように制御できる。
【0090】なお、上述の各リヤデフ機構は、4輪駆動
車以外の車両のリヤデフに適用することや、フロントデ
フに適用することもできる。
【0091】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の車両用差
動制限制御装置によれば、車両の車輪間の差動状態を制
限する差動制限装置において、差動制限機構と、該車両
の車速を検出する車速検出手段と、該差動制限機構へ入
力されるトルクに比例するように差動制限力の大きさを
設定する差動制限力設定手段と、該車速検出手段により
検出された車速によって決まる第1の車速条件下では、
差動制限力設定手段で上記入力トルクに比例して設定
された大きさの差動制限力が発生するように上記差動制
限機構を制御するとともに、上記第1の車速条件とは異
なる、該車速検出手段により検出された車速によって決
まる第2の車速条件下では、上記差動制限機構での上記
入力トルクに比例して設定された大きさの差動制限力の
発生を禁止する差動制限機構制御手段とをそなえ、上記
差動制限力設定手段に、上記の入力トルクと差動制限力
との比例関係を運転者の意志により任意に調整しうる比
例関係調整手段が設けられるという構成により、ドライ
バの好みに応じた差動制限制御を行なえるようになり、
例えば発進時や低速からの急加速時などのときに、左右
輪の差動を適切に制限しながら適宜高いトルクを路面に
伝達できるようになって、発進時や急加速時におけるタ
イヤのスリップが防止され、走行安定化や旋回性能の向
上などを同時に達成でき走行性能が向上するとともに、
駆動系の耐久性向上にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての車両用差動制限制
御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施例の差動制御装置をそなえた車両の駆
動トルク伝達系の全体構成図である。
【図3】第1実施例の左右輪差動機構としてのリヤディ
ファレンシャルを示す断面図である。
【図4】(a),(b)はいずれも図3のA−A矢視断
面図である。
【図5】入力トルク対応制御部の一部を示す構成図であ
る。
【図6】車速検出手段の詳細を示す構成図である。
【図7】差動対応クラッチトルクTrnを求めるマップ
である。
【図8】入力トルク比例クラッチトルクTrを求めるマ
ップである。
【図9】エンジントルクマップの例を示す図である。
【図10】トランスミッショントルク比マップの例を示
す図である。
【図11】第1実施例の装置による制御を含んだ車両全
体の制御の流れを示すフローチャートである。
【図12】第1実施例の装置による制御の流れを示すフ
ローチャートである。
【図13】第1実施例の装置による入力トルク比例クラ
ッチトルクTrを求める制御の流れを示すフローチャー
トである。
【図14】第1実施例の装置による差動対応クラッチト
ルクTrnを求める制御の流れを示すフローチャートで
ある。
【図15】第1実施例の装置による車速検出の流れを示
すフローチャートである。
【図16】本発明の第2実施例としての車両用差動制限
制御装置の回転数差対応制御部を示す構成図である。
【図17】第2実施例の装置による入力トルク比例クラ
ッチトルクTrを求める制御の流れを示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
2 エンジン 4 トルクコンバータ 6 自動変速機 8 出力軸 10 中間ギヤ(トランスファーアイドラギヤ) 12 センタディファレンシャル(センタデフ) 14 前輪用の差動歯車装置 15 ベベルギヤ機構 15A ベベルギヤ軸 15a ベベルギヤ 16,18 前輪 17L,17R 前輪側車軸 19 減速歯車機構 19a 出力歯車 20 プロペラシャフト 21 ベベルギヤ機構 22 後輪用の差動歯車装置としてのリヤディファレン
シャル(EMCD) 23 差動制限装置 24 左側後輪 26 右側後輪 25L,25R 後輪用車軸 27 前輪用出力軸 27a 中空軸部材 28 差動制限機構 29 後輪用出力軸 30,30a,30b,30c ハンドル角センサ 32 ステアリングホイール 34,34a,34b 横加速度センサ 36 前後加速度センサ 38 スロットルセンサ 39 エンジンキースイッチ 40,42,44,46 車輪速センサ 48 コントローラ 48a リヤデフ制御部 50 アンチロックブレーキ装置 50A ブレーキスイッチ 121 サンギヤ 122 プラネタリピニオン(プラネタリギヤ) 123 リングギヤ 125 プラネットキャリア 160 シフトレバー位置センサ(シフトレンジ検出手
段) 160A 自動変速機のシフトレバー 170 エンジン回転数センサ 180 トランスミッション回転数センサ 216 車体速データ検出手段としての運転者要求車体
速演算部(擬似車体速演算部) 216a 車輪速選択部 216c 運転者要求車体速算出部 216d フィルタ 262a,262b,262c フィルタ 264 エンジントルク検出部 266 トルコントルク比検出部 276 トランスミッションの減速比検出部 401 入力軸 402 ドライブピニオンギヤ 403 クラウンギヤ 404 動力伝達用環状部材 405 第1のハウジング 406 第2のハウジング 407 リングギヤ 408 サンギヤ 409 キャリヤ 410a,410b 軸 411a,411b プラネタリギヤ 412 軸受 413 ケース 414 差動制限機構としての多板クラッチ 414a,414b クラッチディスク 415a,145b ホルダ部 416 中空シャフト 417 駆動装置 418 環状支持部材 419 磁石 420 差動制限機構制御手段としてのソレノイド(E
MCDコイル) 421 ボール 423 環状部材 424 溝 425 室 426 第2のハウジング側の部材 427 クラッチ 428 ベアリング 429 力方向変換機構 430 電磁式クラッチ機構(EMCD) 431 ボルト 520 差動対応クラッチトルク設定部(差動制限力設
定手段) 560 後輪分担トルク演算部 570 比例トルク演算部(差動制限力設定手段の一
部) 574 判断部 574a,574b スイッチ 586 トルク−電流変換部 588 電流制限部(リミッタ) 590 ピークホルドフィルタ 592 判断手段 592a スイッチ 600 比例関係調整手段としてのセレクタ 602 補正部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の車輪間の差動状態を制限する差動
    制限装置において、 差動制限機構と、該車両の車速を検出する車速検出手段と、 該差動制限機構へ入力されるトルクに比例するように差
    動制限力の大きさを設定する差動制限力設定手段と、該車速検出手段により検出された車速によって決まる第
    1の車速条件下では、該 差動制限力設定手段で上記入力
    トルクに比例して設定された大きさの差動制限力が発生
    するように上記差動制限機構を制御するとともに、上記
    第1の車速条件とは異なる、該車速検出手段により検出
    された車速によって決まる第2の車速条件下では、上記
    差動制限機構での上記入力トルクに比例して設定された
    大きさの差動制限力の発生を禁止する差動制限機構制御
    手段とをそなえ、 上記差動制限力設定手段に、上記の入力トルクと差動制
    限力との比例関係を運転者の意志により任意に調整しう
    る比例関係調整手段が設けられていることを特徴とす
    る、車両用差動制限制御装置。
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