JP3048264B2 - ポリエステル系樹脂組成物およびヒートシール性を有するフィルム - Google Patents

ポリエステル系樹脂組成物およびヒートシール性を有するフィルム

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JP3048264B2
JP3048264B2 JP3255686A JP25568691A JP3048264B2 JP 3048264 B2 JP3048264 B2 JP 3048264B2 JP 3255686 A JP3255686 A JP 3255686A JP 25568691 A JP25568691 A JP 25568691A JP 3048264 B2 JP3048264 B2 JP 3048264B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル系樹脂組
成物、および各種包装フィルムとして好適なヒートシー
ル性を有するフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】各種包装
材、すなわちレトルト用パウチ、ピロー包装、チューブ
等の内層材として、ヒートシール性を有するフィルムが
使用されている。これらのヒートシール性を有するフィ
ルムとして、通常、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度
ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオ
ノマーなどのオレフィン系ポリマーが用いられている。
しかしながら、これらのポリマーを用いると、ヒートシ
ールなどの加熱時に生成する低分子量炭化水素に起因し
て、ポリオレフィン臭が発生する。
【0003】また、ポリオレフィン臭が発生せず、しか
もヒートシール性を有するフィルムとして、例えば、ナ
イロン12フィルムなどが知られている。しかしなが
ら、ナイロンなどのポリアミド系樹脂組成物からなるフ
ィルムは、レトルトなどの殺菌処理過程で加水分解によ
り生成したモノマーおよびオリゴマーなどに起因して苦
味が生じ易い。
【0004】一方、ポリオレフィン臭および苦味のない
樹脂として、ポリエチレンテレフタレートフィルムも知
られている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレー
トフィルムは結晶化を促進するため延伸しないと、70
℃程度の温度で軟化する。従って、ポリエチレンテレフ
タレートフィルムは、通常、延伸されているものの、延
伸されたフィルムにおいてはヒートシール性が殆ど発現
しない。ポリエチレンテレフタレートを構成するテレフ
タル酸の一部をイソフタル酸で置換したコポリエステ
ル、エチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールで置換したコポリエステルなども知られ
ている。しかしながら、これらの樹脂は、ヒートシール
性が劣るか、またはレトルトなど殺菌処理過程での耐熱
性が劣る。このように、一般に、耐熱性の高いポリマー
フィルムは、ヒートシール性が劣り、高い耐熱性とヒー
トシール性とを両立できない。例えば、延伸することな
く、高い耐熱性を示すポリマーとして、ポリブチレンテ
レフタレートも知られているものの、このポリマーから
なるフィルムはヒートシール性がない。
【0005】従って、本発明の目的は、ポリエステルで
あるにも拘らず、高い耐熱性及びヒートシール性を示す
フィルムを得る上で有用なポリエステル系樹脂組成物を
提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、ヒートシールや加熱
処理に供しても無味無臭で、ヒートシール性および耐熱
性に優れたフィルムを提供することにある。
【0007】本発明のさらに他の目的は、延伸処理が施
されていなくても、機械的強度、耐熱性及びヒートシー
ル性に優れたフィルムを提供することにある。
【0008】
【発明の構成】本発明者は、上記目的を達成するため、
ポリエステル系樹脂組成物について鋭意検討の結果、変
性ポリアルキレンテレフタレートとポリカーボネートと
を含む樹脂組成物を用いて作製したフィルムが、ヒート
シール性および耐熱性に優れていることを見いだし、本
発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、(a)脂肪族ジオー
ル、脂環族ジオールおよび芳香族ジオールから選択さ
、かつ少なくとも脂肪族C 4-6 ジオールを含む2種以
のジオール成分と、テレフタル酸とから誘導され、融
点が150〜210℃の範囲にあるコポリエステル、お
よび(b)ポリカーボネートを含むポリエステル系樹脂
組成物であって、前記脂肪族C 4-6 ジオールと他のジオ
ールとの割合が、脂肪族C 4-6 ジオール/他のジオール
=50〜90/50〜10(モル比)であり、かつ実質
的にポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)を含まな
いポリエステル系樹脂組成物を提供する。本発明はま
た、(a)脂肪族C 4-6 ジオールと、少なくともテレフ
タル酸を含む二種以上のジカルボン酸とから誘導され、
かつ融点が150〜210℃の範囲にあるコポリエステ
ルおよび(b)ポリカーボネートを含むポリエステル系
樹脂組成物であって、(a)コポリエステル70〜90
重量%、および(b)ポリカーボネート30〜10重量
%を含有し、かつ実質的にポリ(1,4−ブチレンテレ
フタレート)を含まないポリエステル系樹脂組成物を提
供する。脂肪族C 4-6 ジオールは1,4−ブタンジオー
ルであってもよく、前記ジオール成分は、1,4−ブタ
ンジオールおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキ
シフェニル)プロパンであってもよい。
【0010】前記のように、ジカルボン酸成分がテレフ
タル酸であるとき、ジオール成分は、脂肪族 4-6 ジオ
ル単独ではないものとする。
【0011】また、本発明は、ヒートシール性を有する
フィルムとして、前記ポリエステル系樹脂組成物で形成
されたフィルム;前記ポリエステル系樹脂組成物で形成
された層の一方の面に、少なくとも1つの基材層が積層
されているフィルム;前記基材層が、少なくとも耐熱性
樹脂層を含むフィルムを提供する。
【0012】なお、本明細書において、「芳香族ジオー
ル」とは、芳香環にヒドロキシ基が直接結合している化
合物のみならず、芳香環に、アルキレン基やアルキレン
ジオキシ基などを介して、間接的にヒドロキシ基が結合
した化合物をも含む意味に用いる。
【0013】また、特に断りがない限り、「テレフタル
酸」「ジカルボン酸」および「ジカルボン酸成分」と
は、例えば、低級アルキルエステル、酸無水物、酸ハロ
ゲン化物などのように、エステル化反応に慣用されてい
るカルボン酸の誘導体をも含む意味に用いる。
【0014】「フィルム」とは、当業者においてシート
と称されることのある実質的に平な全ての構造物をも含
む意味に用いる。
【0015】「融点」とは、熱示差走査熱量計(DS
C)を用い、JIS K 7121に規定する測定法に
従って、10±1℃/分の昇温速度で測定したときの融
解ピーク温度(Tpm)を意味する。
【0016】前記コポリエステル(a)を構成するジオ
ール成分としては、慣用の脂肪族、脂環族、および芳香
族ジオールが用いられる。
【0017】脂肪族ジオールとしては、例えば、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブ
タンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチル
グリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオールなの脂肪族C 4-6 ジオールが挙げられ
る。また、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリメチレングリコールなどを併用してもよい。
【0018】脂環族ジオールとしては、例えば、1,4
−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシシ
クロヘキシル)プロパンや、水素化ビスフェノールA
と、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどの
アルキレンオキサイドとの付加物などが挙げられる。
【0019】芳香族ジオールとしては、例えば、レゾル
シノール、ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAと、エ
チレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキ
レンオキサイドとの付加物、例えば、2,2−ビス(4
−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシジエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシトリエトキシフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシポリエトキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキプロ
ポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシトリプロポキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシポリプロポキシフェニ
ル)プロパンなどが例示される。
【0020】前記ジオール成分は、同種又は異種のジオ
ールを単独又は二種以上混合して使用できる。
【0021】ジカルボン酸成分は、テレフタル酸;少な
くともテレフタル酸を含む二種以上のジカルボン酸で構
成される。好ましいテレフタル酸の誘導体には、テレフ
タル酸メチルエステルが含まれる。
【0022】前記テレフタル酸と併用可能なジカルボン
酸としては、例えば、マレイン酸、コハク酸、アジピン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;フタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフ
ェニル−4,4′−ジカルボン酸、3−スルホイソフタ
ル酸などの芳香族ジカルボン酸などが例示される。これ
らの他のジカルボン酸は、一種又は二種以上混合して使
用できる。
【0023】前記ジオール成分およびジカルボン酸成分
の少なくとも一方の成分は、変性ポリエステルを形成す
るため、二種以上のジオール及び/又はジカルボン酸で
構成されている。すなわち、(1)ジオール成分が単一の
脂肪族C 4-6 ジオールである場合には、ジカルボン酸成
分として、少なくともテレフタル酸を含む二種以上のジ
カルボン酸が使用される。一方、(2)ジオール成分が
なくとも脂肪族C 4-6 ジオールを含む二種以上のジオー
ルである場合には、ジカルボン酸成分として、テレフタ
ル酸単独使用される。
【0024】前記(1)(2)の態様において、脂肪族ジオー
ルの中で特に好ましいジオール成分は、レトルトなどの
殺菌処理過程での耐熱性の点から、1,4−ブタンジオ
ール単独、または少なくとも1,4−ブタンジオールを
必須成分として含有する二種以上のジオールである。
1,4−ブタンジオールの一部と置換可能なジオールと
しては、例えば、(a) 少なくともジエチレングリコール
を含む脂肪族ジオール、特に(a1)ジエチレングリコー
ル、(a2)エチレングリコールおよびジエチレングリコー
ル、(b) 下記一般式[II]で表される芳香族ジオール
が好ましい。
【0025】
【化2】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は同一又は異なっ
て、水素原子またはメチル基を示し、l及びmは正の整
数を示す)前記一般式[II]で表される芳香族ジオー
ルにおいて、l及びmは1〜10、好ましくは1〜5の
整数である。一般式[II]で表される芳香族ジオール
において、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシジ
エトキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0026】構成モノマーとして1,4−ブタンジオー
ルを含まないコポリエステルは、フィルム製膜時の結晶
化度が小さく、耐熱性が低下し易い。
【0027】前記(1)(2)の態様において、テレフタル酸
の一部と置換可能なジカルボン酸としては、例えば、イ
ソフタル酸が好ましい。
【0028】コポリエステルは、ジオール成分とジカル
ボン酸成分とを実質的に当モル使用し、エステル化反応
に供することにより得られる。前記(1)(2)の態様におい
て、ジオール成分を構成する複数のジオールのモル比、
ジカルボン酸成分を構成する複数のジカルボン酸のモル
比は、ジオール、ジカルボン酸の種類、所望するヒート
シール温度などに応じて選択できる。
【0029】前記(1)の態様において、好ましいコポリ
エステルは、脂肪族 4-6 ジオール50モル%と、テレ
フタル酸/他のジカルボン酸=5〜95/95〜5(モ
ル比)、好ましくは10〜75/90〜25(モル
比)、さらに好ましくは20〜50/80〜50(モル
比)の割合からなるジカルボン酸成分50モル%との共
重合ポリエステルである。より具体的には、コポリエス
テルが、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸/イソ
フタル酸との共重合ポリエステルである場合、テレフタ
ル酸/イソフタル酸=15〜90/85〜10(モル
比)、特に20〜50/80〜50(モル比)程度であ
るのが好ましい。
【0030】また、前記(2)の態様において、好ましい
コポリエステルは、脂肪族 4-6 ジオール/他のジオー
=50〜90/50〜10(モル比)、好ましくは7
0〜90/30〜10(モル比)からなるジオール成分
50モル%と、テレフタル酸50モル%との共重合ポリ
エステルである。より具体的には、コポリエステルが、
テレフタル酸と、1,4−ブタンジオール及び2,2−
ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンとの
共重合ポリエステルである場合、1,4−ブタンジオー
ル/2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)
プロパン=60〜95/40〜5(モル比)、特に70
〜90/30〜10(モル比)程度であるのが好まし
い。
【0031】ヒートシール性に関して、コポリエステル
の融点も重要である。すなわち、ヒートシール温度とヒ
ートシール強度との関係において、ヒートシール強度が
発現する温度は、主にコポリエステルの融点に大きく依
存する。コポリエステルの融点は、150〜210℃の
範囲であるのが好ましい。コポリエステルの融点が15
0℃未満である場合には、レトルトなどの加熱殺菌処理
過程でフィルム同士がブロッキングし易く、210℃を
越える場合には、通常の条件でのヒートシールが困難と
なり、製袋速度が低下する。前記のような融点を有する
コポリエステルを含む樹脂組成物で形成されたフィルム
は、一般的な製袋装置などによりヒートシールが可能で
ある。
【0032】コポリエステルは、成形性や機械的強度な
どを損なわない範囲内で適宜の分子量を有していればよ
い。コポリエステルの重量平均分子量は、通常、500
0〜1000000、好ましくは、10000〜500
000程度である。
【0033】コポリエステルの固有粘度は、温度25±
1℃で溶媒o−クロロフェノールを用いたとき、少なく
とも約0.5dl/g以上、好ましくは0.5〜2.5
dl/g程度である。
【0034】前記コポリエステルの製造方法は、特に限
定されず、慣用の方法、例えば、エステル交換法、直接
エステル化法に従って行なうことができる。
【0035】これらのいずれの方法においても、必要に
応じて、重合反応の後、固相重合法を利用して分子量を
増大させてもよい。特に、製膜時の必要な粘性を確保す
るため固相重合法を用いるのが好ましい。
【0036】ポリカーボネートは下記一般式[III]
で表される反復単位を含む。
【0037】
【化3】 (式中、R5 は、二価の有機基を示し、nは10以上の
整数を示す)R5 がアルキレン基である場合には脂肪族
ポリカーボネート、R5 が芳香環を含む脂肪族基である
場合には芳香族−脂肪族ポリカーボネート、R5 がアリ
ーレン基である場合には芳香族ポリカーボネートとな
る。
【0038】本発明の樹脂組成物は、前記ポリカーボネ
ートのうち、下記一般式[IV]で表される反復単位を
有するポリカーボネートを含むのが好ましい。
【0039】
【化4】 (式中、R6 及びR7 は、ハロゲン原子、アルキル基で
置換されていてもよいフェニレン基又はシクロアルキレ
ン基を示す。XおよびYは、同一又は異なって水素原
子、炭素数12以下の脂肪族炭化水素基を示し、R6 お
よびR7 に隣接する炭素原子とともにシクロアルカン基
を形成してもよい。但し、R6 およびR7 、X、Yにお
ける脂肪族炭化水素基は不飽和結合を含まない)ポリカ
ーボネートには、直鎖状に限らず、前記の反復単位が主
鎖から分岐した分岐ポリカーボネートも包含される。
【0040】好適なポリカーボネートは、下記一般式
[V]で表される反復単位を有するビスフェノール型ポ
リカーボネート、特に下記式[VI]で表される反復単
位を有する、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパンを出発原料とするビスフェノールA型ポリカー
ボネートである。
【0041】
【化5】 (式中、R8 およびR9 は、同一又は異なって、水素原
子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を
示す)
【0042】
【化6】 一般式[V]で表される反復単位における低級アルキル
基としては、炭素数1〜4程度のアルキル基が挙げられ
る。シクロアルキル基には、例えば、シクロペンチル、
シクロヘキシル、シクロオクチル基などが含まれる。ア
リール基には、フェニル、ナフチル基などが含まれる。
【0043】ポリカーボネートの末端基は、OH基であ
ってもよく、t−ブチル基などの置換基で封止されてい
てもよい。
【0044】ポリカーボネートの固有粘度は、温度20
±1℃で塩化メチレンを用いたとき、0.3〜1.0d
l/g程度、特に0.5〜0.7dl/g程度であるの
が好ましい。
【0045】ポリカーボネートの分子量は、コポリエス
テルの分子量に応じて選択できる。すなわち、同一温度
におけるコポリエステルとポリカーボネートとの溶融粘
度が大きく異なる場合には、均一な溶融混合物が得られ
ず、分散不良となる場合がある。従って、コポリエステ
ルとポリカーボネートの溶融粘度を一致または近似させ
るように、ポリカーボネートの分子量を選択するのが好
ましい。
【0046】なお、前記コポリエステルとポリカーボネ
ートとを一旦溶融混合し、均一な組成のマスターバッチ
を作製して押出し成形に付す場合には、同一温度におけ
る両者の溶融粘度(メルトフローレート)の差異が、ポ
リカーボネート/コポリエステル=1/75程度であっ
ても均一なフィルムが得られる。
【0047】前記ポリカーボネートの製造方法は、特に
制限されず、従来慣用の方法、例えば、ホスゲン法(溶
剤法)、エステル交換法(溶融法)が採用できる。
【0048】本発明において、コポリエステル(a)に
ポリカーボネート(b)を添加する第1の目的は、ヒー
トシール温度に対するヒートシール強度の依存性を緩和
することにある。より具体的には、ヒートシール強度の
発現がヒートシール温度に強く依存する変性コポリエス
テル、例えば、テレフタル酸の一部をイソフタル酸で置
換した変性ポリブチレンテレフタレートを例にとって説
明すると次の通りである。
【0049】このコポリエステル単独では、高い温度で
しかヒートシール強度が発現せず、ヒートシール可能な
温度未満では、ヒートシール強度を殆ど示さない。この
ように、ヒートシール温度に対するヒートシール強度の
依存性が強く、しかもヒートシール可能な温度幅が狭い
ので、実際のヒートシール作業において、シール不良が
生じ易い。
【0050】一方、ポリカーボネートを含有する場合に
は、コポリエステルのヒートシール強度が発現する温度
以下でヒートシールを行っても、ヒートシール強度が発
現する。従って、ヒートシール温度を低温側にシフトさ
せることも可能であり、かつ広い温度範囲で高いヒート
シール強度を発現させることができる。このことは、コ
ポリエステルにポリカーボネートを添加することによ
り、コポリエステルの結晶化度、及び結晶化速度が低下
するためと推測される。
【0051】コポリエステルにポリカーボネートを添加
する第2の目的は、ヒートシール部の白化を防止するこ
とにある。より具体的には、ヒートシール部の白化が顕
著に現れるポリブチレンテレフタレートおよび前記変性
コポリエステルを例にとって説明すると、次の通りであ
る。
【0052】一般にポリブチレンテレフタレートは結晶
化し易いだけでなく、結晶化速度および結晶化度が大き
い。また、前記変性コポリエステルは、共重合により変
性しているため、ポリブチレンテレフタレートよりも、
結晶化速度、結晶化度が小さいものの、未だ大きい。従
って、コポリエステルを単独で用いた場合、ヒートシー
ル後の徐冷過程で結晶化が過度に進行してヒートシール
部が白化するという現象が生じる。そして、この白化現
象により、製袋された商品の商品価値が低下する。
【0053】一方、前記変性コポリエステルにポリカー
ボネートを添加すると、ヒートシール部が白化しない。
前記一般式[V]、特に式[VI]で表される反復単位
を含むビスフェノール型ポリカーボネートは上記の効果
が顕著である。このことは、ポリカーボネートを前記変
性コポリエステルに添加すると、前記のように、結晶化
速度も遅く、かつ結晶化度も小さくなるためと推測され
る。
【0054】コポリエステルとポリカーボネートとの割
合は、コポリエステル及びポリカーボネートの種類に応
じて、前記特性を損わない範囲で選択でき、例えば、コ
ポリエステル/ポリカーボネート=70〜90/0〜
10(重量%)程度である。ポリカーボネートの含有量
多すぎると、ポリカーボネートの種類によっては、ヒ
ートシール性および機械的強度が低下する場合があり、
10重量%未満である場合には、ヒートシール部で白化
が生じ易い。
【0055】本発明の樹脂組成物は、前記特性やヒート
シール性を損なわない範囲内で種々の添加剤を含有して
いてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、熱安定剤、可塑剤、帯電防止剤、粘着性付
与剤、充填剤、ワックス、滑剤、染顔料などが例示され
る。これらの添加剤は一種又は二種以上使用できる。製
膜時の機械適性の点から、滑剤、熱安定剤を添加するの
が好ましい。滑剤としては、平均粒径1〜10μm程度
のシリカ微粉末が特に好ましい。シリカ微粉末の含有量
は、例えば、0.1〜0.5重量%程度である。
【0056】本発明の樹脂組成物は、通常の成形材料、
繊維強化複合材料としても使用できるが、フィルム形成
材料として好適である。
【0057】本発明のヒートシール性を有するフィルム
は、(i) 前記ポリエステル系樹脂組成物で形成された単
層フィルム、(ii)前記ポリエステル系樹脂組成物で形成
された層の一方の面に、少なくとも1つの基材層が積層
されている複合フィルムとに大別される。この複合フィ
ルムの積層形態は、前記ポリエステル系樹脂組成物で形
成された層が、少なくとも一方の面に位置する限り特に
制限されない。
【0058】後者の複合フィルムにおいて、基材層に
は、紙;アルミニウム薄膜などの金属薄膜;ポリマー層
などが含まれる。ポリマー層を構成するポリマーとして
は、例えば、ポリエチレン、エチレン−アクリル酸エチ
ル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、エチレン
−プロピレン共重合体、ポリ−4−メチルペンテン−1
などのオレフィン系ポリマー;エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体;ポリ塩化ビニル;塩化ビニリデン−アク
リル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル
共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体
などの塩化ビニリデン系ポリマー;ポリスチレン、スチ
レン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体、ハインパクトポリスチ
レンなどのスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステ
ル;ナイロン又はポリアミド;ポリアクリロニトリル;
ポリカーボネート;ポリイミド;セロハンなどが挙げら
れる。これらのポリマーのうち、オレフィン系ポリマー
(特にポリプロピレン)、ポリエステル及びナイロンが
好ましい。
【0059】前記金属薄膜は、蒸着などの被膜形成手段
やラミネートなどにより形成されていてもよく、ポリマ
ー層は、コーティングやラミネートにより形成されてい
てもよい。前記ポリマー層には、さらに、前記塩化ビニ
リデン系ポリマーがコーティングされていてもよく、蒸
着などの手段により金属薄膜が形成されていてもよい。
また、ポリマー層は、未延伸であってもよく、一軸又は
二軸延伸処理されていてもよい。さらに、ポリマー層
は、同種又は異種のポリマーによる複数の層で構成され
ていてもよい。
【0060】前記複合フィルム(ii)において、基材層
は、耐熱性、機械的強度、ガスバリア性などをさらに高
めるため、少なくとも耐熱性樹脂層を含んでいるのが好
ましい。耐熱性樹脂としては、例えば、ナイロン−6、
ナイロン−66等のナイロンや、芳香族ポリアミド等の
ポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリ
フェニレンオキシド;ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレートやポリエステル型液晶性高分
子等のポリエステル;ポリフェニレンスルフィド;ポリ
サルホン;ポリアリレート;ポリエーテルサルホン;ポ
リエーテルエーテルケトン;ポリアミドイミド;ポリエ
ーテルイミド;芳香族ポリイミド等が例示される。これ
らの耐熱性樹脂は少なくとも一種使用される。
【0061】これらの耐熱性樹脂のうち、ポリカーボネ
ート、ポリエステル、ポリアリレートなどは、共押出し
成形により、前記ポリエステル系樹脂組成物からなる層
と積層できる。
【0062】さらに、前記耐熱性樹脂のうち、融点が2
00℃以上のポリマー、特にポリエステル、中でもポリ
ブチレンテレフタレートが好ましい。このポリブチレン
テレフタレートは、成形性や機械的強度などを損わない
範囲の分子量を有していればよい。ポリブチレンテレフ
タレートの重量平均分子量は、通常5000〜1000
000、好ましくは10000〜500000程度であ
る。また、ポリブチレンテレフタレートの固有粘度は、
温度25±1℃で溶媒o−クロロフェノールを用いたと
き、少なくとも約0.5dl/g以上、好ましくは0.
5〜2.5dl/g程度である。
【0063】ポリブチレンテレフタレートのフィルム
は、クリスタル状の光沢を呈し、外観が良好であるだけ
でなく、耐熱性及び機械的強度や、酸素ガス、水蒸気に
対するガスバリア性、保香性及び耐油性に優れるので、
前記ポリエステル系樹脂組成物で形成された層と積層し
て包装用フィルムとして利用すると、内容物の保護性に
優れている。
【0064】耐熱性樹脂層の層厚は、適宜設定できる
が、通常10〜1000μm、好ましくは15〜500
μm程度である。
【0065】前記耐熱性樹脂層は、特性を損わない範囲
で、前記樹脂組成物を少量含有していてもよい。すなわ
ち、耐熱性樹脂層と前記樹脂組成物で形成された層とを
共押出し成形法により積層する場合、複合フィルムの端
部を回収し、再度ペレット化して、押出し成形に供する
場合がある。この場合、再生したペレットを耐熱性樹脂
に添加して押出し成形することができる。なお、再生し
たペレットの耐熱性樹脂に対する添加量は、30重量%
以下、好しましくは20重量%以下である。また、再生
したペレットは、耐熱性樹脂層と、前記樹脂組成物で形
成された層との間の中間層用材料として使用してもよ
い。
【0066】前記耐熱性樹脂層は、前記樹脂組成物で形
成された層に直接積層されていてもよく、前記耐熱性樹
脂以外のポリマー層を介して積層されていてもよい。各
層は、必要に応じて接着剤や接着性樹脂層を介して積層
されていてもよい。
【0067】前記複合フィルム(ii)のうち、他の好まし
い複合フィルムは、基材層が、耐熱性樹脂層と、ポリプ
ロピレンなどのオレフィン系ポリマー、ポリエチレンテ
レフタレートなどのポリエステル、およびナイロン6な
どのナイロン系ポリマーから選択されたポリマー層とで
構成されている。この複合フィルムの積層形態は、耐熱
性樹脂層を介して、ポリマー層と、前記樹脂組成物で形
成された層とが積層されていてもよく、ポリマー層を介
して、耐熱性樹脂層と前記樹脂組成物で形成された層と
が積層されていてもよい。好ましい積層形態は前者であ
る。また、これらの積層形態において、通常、耐熱性樹
脂層により高い機械的強度を確保できるので、ポリマー
層は必ずしも延伸処理されている必要はないが、機械的
強度をさらに高めるため、ポリマー層は、一軸延伸、好
ましくは二軸延伸されているのが好ましい。
【0068】前記基材層は、フィルムの用途に応じて適
宜の厚みに形成でき、例えば5μm〜2mm、好ましく
は15μm〜1mm程度である。
【0069】前記基材層は、ポリマーや前記例示の添加
剤を含有していてもよい。ポリマーとしては、例えば、
オレフィン系ポリマー;アクリル系ポリマー;スチレン
系ポリマー;ポリエステル;ポリアセタール;ポリ酢酸
ビニル;ポリ塩化ビニル;塩化ビニリデン系ポリマー;
塩素化ポリオレフィン;セルロース系ポリマー;塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体等が例示される。これらのポ
リマーは一種又は二種以上混合して用いられる。これら
のポリマーは、耐熱性などを損わない範囲で使用され
る。特にオレフィン系ポリマーの種類によっては、種類
の異なるポリマーに多量に含有させると、耐熱性、透明
性などが損われる場合がある。
【0070】本発明のヒートシール性を有する単層フィ
ルムは、慣用の方法、例えば、押出し成形機を用いる通
常のTダイ法、インフレーション法などの押出し成形法
により製造できる。また、複合フィルムは、慣用の方
法、例えば、共押出し成形機によりラミネートする共押
出し成形法;基材層を構成する基材フィルムなどに、溶
融した樹脂組成物を押出してラミネート層を形成する押
出しラミネート法;接着剤層を介して、基材フィルムと
ヒートシール層とをラミネートするドライラミネート法
などにより製造できる。共押出し成形法によると、複合
フィルムの生産性が高い。
【0071】複数のポリマーを用いて複合フィルムを製
造する共押出し成形法においては、種々の方法が採用で
きる。例えば、単一の流路を有するダイの上流側で、各
樹脂層を合流させるフィードブロック方式;ダイ内に異
なる複数の流路を設け、ダイ内で吐出前に合流させて吐
出させるマルチマニホールドダイ方式;マルチマニホー
ルドダイ方式において、流路の形状を変化させることが
できるベインダイ方式;ダイの吐出部に複数のリップを
設けたマルチスロット方式などが挙げられる。基材層
と、前記樹脂組成物により形成されたヒートシール層と
の層間接着強度は、基材層とヒートシール層とが溶融状
態で接触する時間が長い程大きい。従って、フィードブ
ロック方式により複合フィルムを製造するのが好まし
い。なお、マルチマニホールドダイ方式、マルチスロッ
ト方式などの他の方式で複合フィルムを製造する場合、
基材層とヒートシール層との間には、層間接着層を設け
るのが好ましい。
【0072】なお、前記フィルム成形に供される前記樹
脂組成物の調製方法は、特に限定されず、慣用の方法、
例えば、一般にドライブレンド法と称される方法、マス
ターバッチ法と称される方法が採用できる。ドライブレ
ンド法は、コポリエステル(a)とポリカーボネート
(b)とのペレット状を混合する方法である。得られた
混合物は、そのままフィルム成形工程に供される。一
方、マスターバッチ法は、コポリエステル(a)とポリ
カーボネート(b)とのペレットを予め溶融混合し、均
一な組成のペレットを作製する方法である。
【0073】原料樹脂組成物はマスターバッチ法により
調製するのが好ましい。すなわち、本発明者の知見によ
ると、前記マスターバッチ法により原料樹脂組成物を調
製し、13C−NMR及び 1H−NMRにより分析する
と、約40〜60%のポリカーボネート(b)でエステ
ル交換反応が生じているようである。このことから、ポ
リカーボネート(b)はコポリエステル(a)とブロッ
クコポリマーを形成しているものと推定される。また、
前記のように、コポリエステル本来のヒートシール温度
以下でヒートシール強度が発現するのは、このエステル
交換反応が寄与しているものと推定される。
【0074】なお、溶融混練効果が十分に期待される押
出機を使用する場合には、ドライブレンド法を利用して
もよい。このような押出機としては、例えば、2軸押出
機、2台以上の複数台の押出機を連結したダンデム型押
出機などが例示される。また、単軸押出機であっても、
L/D(押出機のバレルの長さLと口径Dの比)が大き
な押出機であれば前記溶融混練効果が得られる。この場
合、使用するスクリューの先端部にはマドックを設ける
のが好ましい。
【0075】本発明のフィルムは、無延伸状態でも大き
な機械的強度を示すので、延伸処理は必ずしも必要では
ないが、必要に応じて、フィルム全体を一軸又は二軸延
伸処理してもよい。
【0076】本発明のフィルムの表面には、コロナ放電
処理、高周波処理、火炎処理、クロム酸処理、溶剤処理
などによる表面処理が施されてもよい。特に、コロナ放
電処理は、本発明のヒートシール性を有するフィルムと
基材フィルムとのドライラミネート強度を向上させるの
で好ましい。
【0077】さらに、フィルムの表面には、ガスバリア
ー層、帯電防止層、滑性層などの用途に応じた被膜層が
形成されていてもよい。
【0078】なお、ヒートシール温度は、コポリエステ
ル(a)の融点とポリカーボネート(b)の含有量に応
じて適宜設定できるが、通常、120℃以上、好ましく
は130〜220℃程度である。ヒートシール温度が2
20℃を越えると、基材層が延伸されている複合フィル
ムにおいて、基材層が熱収縮する場合がある。
【0079】本発明のフィルムは、広い用途、例えば、
レトルト食品などの個装、内装、外装用包装用フィルム
などの各種のフィルムとして使用できる。
【0080】
【発明の効果】本発明のポリエステル系樹脂組成物は、
ポリエステルであるにも拘らず、高い耐熱性及びヒート
シール性を示すフィルムを得る上で有用である。
【0081】また、本発明のヒートシール性を有するフ
ィルムは、無味無臭であり、ヒートシール性および耐熱
性に優れている。
【0082】さらに、ポリエステル系樹脂組成物で形成
された層を含む複合フィルムは、基材層が延伸処理され
ていなくても、機械的強度、耐熱性及びヒートシール性
に優れている。
【0083】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。
【0084】実施例1 テレフタル酸/イソフタル酸=87.5/12.5(モ
ル比)の割合からなるジカルボン酸50モル%と、1,
4−ブタンジオール50モル%とのコポリエステル80
重量部、およびビスフェノールA型ポリカーボネート2
0重量部を予め溶融混合し、均一な組成のマスターバッ
チを得た。このマスターバッチを、通常のTダイ押出成
形機により成形し、厚み40μmの単層フィルムを得
た。
【0085】実施例2 テレフタル酸/イソフタル酸=34.3/65.7(モ
ル比)の割合からなるジカルボン酸50モル%と、1,
4−ブタンジオール50モル%とのコポリエステル80
重量部、およびビスフェノールA型ポリカーボネート2
0重量部のペレットをドライブレンドし、L/D=28
の単軸の押出機により押出し、通常のTダイ押出成形機
により成形し、厚み40μmの単層フィルムを得た。
【0086】実施例3 テレフタル酸/イソフタル酸=30.0/70.0(モ
ル比)の割合からなるジカルボン酸50モル%と、1,
4−ブタンジオール50モル%とのコポリエステル80
重量部、およびビスフェノールA型ポリカーボネート2
0重量部のペレットを混合し、口径32mmの押出機と
口径40mmの押出機を連結して押出し、Tダイ押出成
形機より成形し、厚み40μmの単層フィルムを得た。
【0087】実施例4 テレフタル酸/イソフタル酸=80.0/20.0(モ
ル比)の割合からなるジカルボン酸50モル%と、1,
4−ブタンジオール50モル%とのコポリエステル80
重量部、およびビスフェノールA型ポリカーボネート2
0重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、厚み4
0μmの単層フィルムを得た。
【0088】実施例5 テレフタル酸50モル%と、1,4−ブタンジオール/
2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロ
パン=90/10(モル比)の割合からなるジオール5
0モル%とのコポリエステル80重量部、およびビスフ
ェノールA型ポリカーボネート20重量部を用いる以
外、実施例1と同様にして、厚み40μmの単層フィル
ムを得た。
【0089】実施例6 実施例2のコポリエステル70重量部、およびビスフェ
ノールA型ポリカーボネート30重量部を用いる以外、
実施例1と同様にして、厚み40μmの単層フィルムを
得た。
【0090】実施例7 実施例2のコポリエステル90重量部、およびビスフェ
ノールA型ポリカーボネート10重量部を用いる以外、
実施例1と同様にして、厚み40μmの単層フィルムを
得た。
【0091】実施例8 実施例2のコポリエステル60重量部、およびビスフェ
ノールA型ポリカーボネート40重量部を用いる以外、
実施例1と同様にして、厚み40μmの単層フィルムを
得た。
【0092】比較例1 1,4−ブタンジオール50モル%とテレフタル酸50
モル%とから得られたポリブチレンテレフタレートを予
め溶融混合し、マスターバッチを得た。このマスターバ
ッチにポリカーボネートを添加することなく、実施例1
と同様にして、膜厚40μmの単層フィルムを得た。
【0093】比較例2 実施例1のコポリエステルにポリカーボネートを添加す
ることなく、実施例1と同様にして、膜厚40μmの単
層フィルムを得た。
【0094】比較例3 比較例1のポリブチレンテレフタレート80重量部、実
施例1で用いたポリカーボネート20重量部を用いる以
外、実施例1と同様にして、膜厚40μmの単層フィル
ムを得た。
【0095】比較例4 実施例5で得られたコポリエステルにポリカーボネート
を添加することなく、実施例1と同様にして、膜厚40
μmの単層フィルムを得た。
【0096】比較例5 テレフタル酸50モル%と、ジエチレングリコール/エ
チレングリコール=40/60(モル比)からなるジオ
ール50モル%とのコポリエステルを得た。得られたコ
ポリエステルの融点は177℃であった。コポリエステ
ルを、実施例1と同様にして成形し、膜厚40μmの単
層フィルムを得た。
【0097】比較例6 エチレングリコール50モル%と、テレフタル酸/イソ
フタル酸=55/45(モル比)の割合からなるジカル
ボン酸50モル%とのコポリエステルを得た。得られた
コポリエステルの融点は220℃であった。コポリエス
テルを、実施例1と同様にして成形し、膜厚40μmの
単層フィルムを得た。
【0098】比較例7 エチレングリコールジオール50モル%とテレフタル酸
/イソフタル酸=32/68(モル比)の割合からなる
ジカルボン酸50モル%とのコポリエステルを得た。得
られたコポリエステルの融点は190℃であった。コポ
リエステルを、実施例1と同様にして成形し、膜厚40
μmの単層フィルムを得た。
【0099】比較例8 エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール=41/59(モル比)の割合からなるジオール5
0モル%と、テレフタル酸50モル%とのコポリエステ
ルを得た。得られたコポリエステルの融点は228℃で
あった。
【0100】コポリエステルを、実施例1と同様にして
成形し、膜厚40μmの単層フィルムを得た。
【0101】実施例1〜8、及び比較例1〜8で得られ
た単層フィルム又は複合フィルムのヒートシール性、耐
熱性、破断伸度を以下のようにして測定した。なお、融
点は、コポリエステル(a)について測定した。
【0102】ヒートシール性:実施例1〜8、及び比較
例1〜8で得られたフィルムと、延伸ポリエチレンテレ
フタレートフィルム(膜厚12μm)とをイソシアネー
ト系のドライラミネート剤を使用して貼り合わせ、得ら
れた複合フィルムのうちポリエチレンテレフタレートフ
ィルム側からヒートシールした。
【0103】ヒートシール条件は温度4水準(140
℃、160℃、180℃、200℃)、圧力1kg/c
2 、時間1秒である。ヒートシール強度の測定は、剥
離速度300mm/分、剥離幅15mmの条件で行なっ
た。測定点数は20点(機械方向10点、機械方向に対
して直角方向10点)であり、各測定での破断までの最
大値をヒートシール強度とし、この平均値を算出した。
測定条件はJIS Z1707に準拠した。
【0104】耐熱性:熱風乾燥機内に試料フィルムを入
れ、温度120℃、時間30分の条件で熱処理し、熱処
理前後でのヘイズ値の変化をJIS 7105に準拠し
て測定するとともに、熱処理後の白化度を下記の基準で
目視で判定した。
【0105】優:殆ど変化が認められない 良:僅に変化が認められるが、実用上問題がない 可:白化度が大きく実用上問題がある 不可:著しく白化し、実用上かなり問題がある 破断伸度:JIS Z1707に準拠した。但し、引張
速度は100mm/分で行なった。サンプル形状はJI
S Z1702に準拠した。
【0106】表1及び表2に、各実施例及び比較例のフ
ィルムにおけるヒートシール層の組成を示す。また、表
3及び表4に、実施例1〜8、及び比較例1〜8で用い
たコポリエステルの融点、各フィルムのヒートシール
性、耐熱性および破断伸度の測定結果を示す。
【0107】なお、表1及び表2中、BDは1,4−ブ
タンジオール、HPPは2,2−ビス(4−ヒドロキシ
エトキシフェニル)プロパン、DEGはジエチレングリ
コール、EGはエチレングリコール、CHDMは1,4
−シクロヘキサンジメタノール、TFAはテレフタル
酸、IFAはイソフタル酸を示す。
【0108】また、破断伸度の項において、MDは機械
方向の強度、TDは機械方向に対して直角方向の強度を
示す。
【0109】さらに、実施例1と比較例2におけるヒー
トシール強度のヒートシール温度依存性の相関図を図に
示す。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
【表3】
【0113】
【表4】 表3及び4から明らかなように、実施例以外のフィルム
は、ヒートシール性を有するものは耐熱性に劣り、耐熱
性に優れるものはヒートシール性に劣る。また、比較例
のフィルムは、全体として白化度も大きい。
【0114】実施例9 実施例2と同様の樹脂組成物と、直鎖状低密度ポリエチ
レン(LLDPE)と、接着性樹脂層を構成する、無水
マレイン酸をグラフト共重合したエチレン酢酸ビニル共
重合体を、マルチマニホールドタイプのインフレーショ
ン方式を用いて、3種3層の共押出成形を行った。得ら
れた複合フィルムの層構成は、LLDPE/接着性樹脂
層/ヒートシール層=80μm/10μm/20μmで
あり、総膜厚は100〜110μmであった。
【0115】比較例9 実施例9に対応する比較例として、直鎖状低密度ポリエ
チレン(LLDPE)を通常のTダイ押出機を用いて押
出成形に付し、膜厚100〜110μmの単層フィルム
を得た。
【0116】実施例9で得られた多層フィルムと、比較
例9で得られたLLDPE単層フィルムとを用いて、次
のようにして、ラミネートチューブとして一般に好適な
多層フィルムを作製した。
【0117】実施例9及び比較例9で得られたフィルム
を、それぞれ、エチレン−アクリル酸エチル共重合体
(EEA)を介して、アルミニウム(Al、9μm)と
押出しラミネーションした。
【0118】このフィルムに、薄紙(50g/m2
を、EEAを介して押出しラミネーションした後、さら
にこの外面に実施例9又は比較例9で得られたフィルム
をドライラミネートした。
【0119】得られたフィルムの層構成は、実施例9の
フィルムを用いた複合フィルムでは、(内層側)ヒート
シール層/接着性樹脂層/LLDPE/EEA/Al/
EEA/薄紙/ドライラミネート層/LLDPE/接着
性樹脂層/ヒートシール層(外層側)であり、比較例9
のフィルムを用いた複合フィルムでは、(内層側)LL
DPE/EEA/Al/EEA/薄紙/ドライラミネー
ト層/LLDPE(外層側)である。ラミネートチュー
ブ用多層フィルムの総膜厚は350〜380μmであっ
た。
【0120】得られた多層フィルムを100mm幅にス
リットし、円筒状に丸め、端部を超音波シールした。超
音波シールは、500W、シール時間0.5秒、圧力2
kg/cm2 の条件で行なった。シール部の幅は10m
mである。この円筒形チューブの片方の開放端に口金を
付け、さらに他方の開放端を、前記と同様にして超音波
シールし、長さ200mmのラミネートチューブを得
た。
【0121】このラミネートチューブの中に、l−メン
トール300mlを封入し、40℃、90%RHの環境
下に500時間放置した。その後、内層側のEEA/A
l間に剥離端を作り、ラミネート(押出ラミネート)強
度を測定した。結果を表5に示す。
【0122】
【表5】 実施例10 実施例2と同様の樹脂組成物と、ナイロン6(Ny−
6)と、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVO
H)と、接着性樹脂層としての、無水マレイン酸をグラ
フト共重合したエチレン−酢酸ビニル共重合体とを共押
出成形した。得られた複合フィルムの層構成は、Ny−
6/EVOH/接着性樹脂層/ヒートシール層=60μ
m/20μm/10μm/30μmであり、総膜厚は1
20μmであった。
【0123】比較例10 実施例2の樹脂組成物に代えて、酢酸ビニル含有量5モ
ル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、溶融粘
度2.3g/10分)を用いる以外、実施例10と同様
にして、層構成が、Ny−6/EVOH/接着性樹脂層
/ヒートシール層=60μm/20μm/10μm/3
0μm、総膜厚が120μmのフィルムを作製した。
【0124】そして、実施例10および比較例10で得
られたフィルムを、真空成形機(新醍醐株式会社製)を
用いて、上部ヒーター温度180℃、予備加熱時間0.
5秒、圧空圧力2.5kg/cm2 の条件で真空圧空成
形した。金型は口径100mm、深さ10mmである。
【0125】得られた口径100mm、深さ10mmの
容器に、純水50mlを入れ、蓋材を、以下のようにし
てヒートシールした。実施例10の容器に対しては、蓋
材として、O−Ny(15μm)と、実施例4と同様に
して作製した樹脂組成物からなるフィルム(20μm)
とをラミネートしたフィルムを用い、ヒートシールし
た。また、比較例10の容器に対しては、蓋材として、
O−Ny(15μm)と、比較例10で用いたEVAか
らなるフィルム(20μm)をラミネートしたフィルム
を用い、ヒートシールした。ヒートシールは、温度16
0℃、圧力2kg/cm2 、時間1秒の条件で行った。
【0126】純水を封入した容器を、80℃、30分の
ボイル処理に供し、その直後に開封し、パネラー10人
による官能試験を行ったところ、実施例10のフィルム
を用いた容器では、全員が無臭と判定した。これに対し
て、比較例10のフィルムを用いた容器では、6人がオ
レフィン臭があると判定した。
【0127】実施例11 実施例2と同様の樹脂組成物と、接着性樹脂層(2) を構
成する、無水マレイン酸をグラフト共重合したエチレン
−酢酸ビニル共重合体と、エチレン−酢酸ビニル共重合
体鹸化物(EVOH)と、接着性樹脂層 (1)を構成す
る、無水マレイン酸をグラフト共重合した変性ポリプロ
ピレンと、ポリプロピレン(PP)とを共押出成形し、
容器の成形に供する厚手の複合シートを作製した。
【0128】得られた複合シートの層構成は、PP層/
接着性樹脂層(1) /EVOH/接着性樹脂層(2) /ヒー
トシール層=500μm/22μm/110μm/22
μm/350μmであり、総膜厚は約1mmであった。
【0129】比較例11 実施例2の樹脂組成物に代えて、ポリプロピレン(P
P、融点174℃)を用いる以外、実施例11と同様に
して、層構成が、PP/接着性樹脂層(1) /EVOH/
接着性樹脂層(2) /PP=350μm/22μm/11
0μm/500μm、総膜厚が約1mmのフィルムを作
製した。
【0130】実施例11および比較例11で得られた厚
手の多層シートを、ヒーター移動タイプの真空圧空プラ
グアシスト成形機(センバ鉄工(株)製、VAS−33
P、型絞り圧力10t)を用いて真空圧空プラグアシス
ト成形に付し、成形容器を作製した。金型の寸法は、口
径90mm、底径60mm、深さ67.5mmである。
成形のタイミングチャートは、ヒーターバック時間2
秒、プラグ移動時間3.5秒、成形時間0.5秒であっ
た。成形は、金型温度60℃、プラグ温度80℃、ヒー
ター温度400℃、予備加熱時間20秒、圧空圧力2.
5kg/cm2 +真空で行なった。
【0131】得られた成形品に対して、透明性、偏肉、
表面荒れ、光沢の4項目について評価した。透明性はヘ
イズメーターを使用して評価し、偏肉は胴部分の膜厚を
測定することにより行った。表面荒れは目視で判定し、
光沢はグロスメーターを使用して評価した。結果を表6
に示す。
【0132】
【表6】 表6より明らかなように、実施例11の多層シートは実
用上問題なく成形性できた。
【0133】さらに無臭性の試験を行なうため、各成形
品に純水250mlを封入した。蓋材としては、実施例
11の多層シートを用いた成形品では、前記実施例10
で作製した蓋材を、比較例11の多層シートを用いた成
形品では、比較例10で作製した蓋材を使用した。
【0134】純水を封入した成形品を、温度110℃、
時間20分でレトルト処理し、レトルト処理直後に開封
し、パネラー10人による官能試験を行ったところ、実
施例11の多層シートを用いた容器では全員が無臭と判
定した。これに対して、比較例11の多層シートを用い
た容器では8人がオレフィン臭があると判定した。
【0135】実施例12 実施例2と同様の樹脂組成物を、紙(100g/m2
上に押出してラミネーションした。層構成は、紙/ヒー
トシール層(30μm)である。
【0136】比較例12 延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、3
0μm)を紙(100g/m2 )にドライラミネーショ
ンした。
【0137】比較例13 ポリエチレン(PE)を30μmの膜厚で、紙(100
g/m2 )に押出しラミネートした。
【0138】実施例12、比較例12および13で得ら
れたフィルムを、温度160℃、時間0.5秒、圧力2
kg/cm2 の条件でヒートシール試験に供した。ヒー
トシール強度の測定結果を表7に示す。
【0139】
【表7】 さらに、実施例12と比較例13のフィルムを用いて、
内部にp−ジクロロベンゼン2gを封入した、100m
m角の四方ヒートシール袋を作製した。
【0140】得られたヒートシール袋を、40℃、90
%RHの環境下に500時間放置した。その後、実施例
12と比較例13のフィルムを構成する紙とヒートシー
ルフィルム層の間に剥離開始端を形成し、ラミネート
(押出ラミネート)強度を測定した。結果を前記表5に
示す。
【0141】実施例13 実施例2の樹脂組成物に代えてポリプロピレンを、接着
性樹脂(2) に代えて接着性樹脂(1) を用い、実施例11
と同様にして、PP層/接着性樹脂層(1) /EVOH/
接着性樹脂層(1) /PP層からなる3種5層の共押出し
多層シート(総膜厚約1mm)を得た。この多層シート
に、実施例3で得られた単層フィルムをドライラミネー
ションし、層構成が、PP層/接着性樹脂層(1) /EV
OH/接着性樹脂層(1) /PP層/ヒートシール層の複
合シートを得た。
【0142】比較例14 実施例13で用いた、層構成がPP層/接着性樹脂層
(1) /EVOH/接着性樹脂層(1) /PP層の複合シー
トを用いた。
【0143】実施例13及び比較例14の多層シート
を、実施例11および比較例11に準じて真空圧空プラ
グアシスト成形した。そして、実施例13の多層シート
を用いた成形品には実施例10で作製した蓋材を、比較
例14の多層シートを用いた成形品には比較例10で作
製した蓋材を使用して、純水を封入した成形品を、実施
例10と同様にして作製した。温度80℃、時間40分
でボイルする以外、実施例10と同様にして、無臭性試
験を行ったところ、実施例13の多層シートを用いた容
器では、10人全員が無臭と判定した。これに対して、
比較例14の多層シートを用いた容器では、7人がオレ
フィン臭があると判定した。
【0144】実施例14 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PE
T、12μm)と、軟質アルミニウム(Al、9μm)
と、実施例2で得られた単層フィルムとをドライラミネ
ーションし、層構成が、PET/Al/ヒートシール層
の複合フィルムを得た。
【0145】比較例15 実施例2で得られた単層フィルムに代えて、低密度ポリ
エチレン樹脂(LDPE)を通常のTダイ押出成形に附
して得られたフィルム(40μm)を用いる以外、実施
例14と同様にして、層構成がPET/Al/LDPE
のフィルムを作製した。このフィルム構成体はレトルト
パウチとして使用されることが多い。
【0146】実施例14と比較例15で得られたフィル
ムを用いて、純水を封入した袋を作製し、温度121
℃、時間40分のレトルト処理に供し、レトルト処理直
後に、実施例10と同様にして、無臭性試験を行ったと
ころ、実施例14のフィルムを用いた袋では、10人全
員が無臭と判定した。これに対して、比較例15のフィ
ルムを用いた袋では、6人がオレフィン臭があると判定
した。
【0147】比較例16 実施例2で得られた単層フィルムに代えて、比較例6で
得られたフィルムを用いる以外、実施例14と同様にし
て、層構成がPET/Al/ヒートシール層のフィルム
を作製した。
【0148】実施例14と比較例16で得られたフィル
ムを、温度170℃、時間0.5秒、圧力2kg/cm
2 の条件で上面加熱式のヒートシール試験機によりヒー
トシールした。ヒートシール強度の結果を表7に示す。
【0149】比較例17 実施例2で得られた単層フィルムに代えて、比較例5で
得られたフィルムを用いる以外、実施例14と同様にし
て、層構成がPET/Al/ヒートシール層のフィルム
を得た。
【0150】実施例14と比較例17で得られたフィル
ムを、比較例16と同様にしてヒートシールした。ヒー
トシール強度の結果を表7に示す。
【0151】さらに、実施例14と比較例17の各々の
フィルムを、上記と同様にしてヒートシールし、純水2
50mlが封入された、200mm×150mmの四方
シール袋を作製し、温度121℃、時間40分の条件で
レトルト処理した。
【0152】実施例14の四方シール袋はレトルト処理
によっても何ら変化が認められなかったが、比較例17
の四方シール袋では、レトルト処理により変形し、その
変形が回復しなかった。
【0153】実施例15 二軸延伸ナイロン6フィルム(O−Ny、15μm)に
塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体を、乾燥
後の膜厚2〜3μmにコーティングし、フィルム(KO
N)を得た。このフィルムのO−Ny面に、実施例2で
得られた単層フィルムをドライラミネートし、層構成
が、KON/ヒートシール層の複合フィルムを得た。
【0154】比較例18 実施例2で得られた単層フィルムに代えて、ヒートシー
ル性を有するフィルム(東レ合成(株)製、トレファン
NOT3931、膜厚60μm)を用いる以外、実施例
15と同様にして、層構成KON/ヒートシール層のフ
ィルムを得た。
【0155】実施例15及び比較例18のそれぞれのフ
ィルムを、温度170℃、時間1秒、圧力1kg/cm
2 の条件でヒートシールして、純水200mlを封入し
た、150mm×250mmの四方シール袋を作成し
た。ヒートシール部の幅は10mmであった。得られた
四方ヒートシール袋を温度110℃、時間20分のレト
ルト処理に供し、実施例10および比較例10と同様に
して、無臭性試験を行なったところ、実施例15のフィ
ルムを用いた袋では、10人全員が無臭と判定した。こ
れに対して、比較例18のフィルムを用いた袋では、6
人がオレフィン臭があると判定した。
【0156】また、前記と同様にして、白米(洗ったも
の)50mlに対して純水50mlを封入し、温度12
1℃、時間40分の条件でレトルト処理すると共に、白
米を炊き、パネラー10人による無臭性の官能試験を行
ったところ、実施例15のフィルムを用いた袋では、1
0人全員が無臭と判定した。これに対して、比較例18
のフィルムを用いた袋では、8人がオレフィン臭がある
と判定した。
【0157】実施例16 長繊維パルプ系の紙(300g/m2 )の片側に低密度
ポリエチレン(LDPE)を膜厚20μmに押出しラミ
ネートし、他方の面にエチレン−アクリル酸エチル共重
合体(EEA)を膜厚20μmに押出しラミネートし、
軟質アルミニウム(Al、9μm)と押出しラミネーシ
ョンを行った。これに実施例2で得られた単層フィルム
をドライラミネーションした。層構成は、LDPE/紙
/EEA/Al/ヒートシール層である。
【0158】比較例19 実施例2で得られた単層フィルムに代えて、低密度ポリ
エチレン(LDPE)からなるフィルム(40μm)を
用いる以外、実施例16と同様にして、層構成がLDP
E/紙/EEA/LDPEのフィルムを得た。
【0159】このような層構成のフィルムは紙容器とし
て一般に用いられる。
【0160】実施例16及び比較例19で得られたフィ
ルムを用いて、底面100×100mm、高さ150m
m(屋根部を除く)のゲールトップ型紙容器を作製し
た。端部のヒートシール方法は、一般にヘミング方式と
称されている方法で折り返し、フィルム構成体の断面が
内容物に対して露出しないようにした。ヒートシール条
件は、温度190℃、圧力2kg/cm2 、時間1.5
秒である。なお、実施例16では、ヒートシール面同士
をヒートシールし、比較例19ではLDPE面同士をヒ
ートシールした。
【0161】ゲールトップ型紙容器の中に生オレンジジ
ュース250mlを封入した。封入時の生オレンジジュ
ースの温度は約80℃であった。そして、前記フィルム
のd−リモネンに対する吸着量を調べた。すなわち、生
オレンジジュースを封入したゲールトップ型紙容器を5
0℃の環境下に放置し、2日、7日および28日経過し
た後、フィルムのうち内容物と接する層の単位質量当た
りのd−リモネンの吸着量をガスクロマトグラフで測定
した。結果を表8に示す。
【0162】
【表8】 比較例20 実施例2で得られた単層フィルムに代えて、比較例8で
作製したフィルム(40μm)を用いる以外、実施例1
6と同様にして、層構成がLDPE/紙/EEA/ヒー
トシール層のフィルムを得た。
【0163】フィルムを用いて、比較例19と同様のゲ
ールトップ型紙容器を作製し、比較例19と同様に生オ
レンジジュース250mlを約80℃で封入した。しか
しながら、ヒートシール性が不良のため、生オレンジジ
ュースの封入時に液漏れが生じた。
【0164】実施例17 二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、20μm)
と、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(P
ET、12μm)にアルミニウム(Al)を厚み500
オングストロームに真空蒸着したフィルム(VM−PE
T)とをドライラミネーションした。得られたドライラ
ミネートフィルムに実施例2で得られた単層フィルムを
ドライラミネーションし、層構成が、OPP層/VM−
PET層/ヒートシール層の複合フィルムを得た。
【0165】比較例21 実施例2で得られた単層フィルムに代えて、エチレン−
α−オレフィン共重合体(CPP)からなるヒートシー
ルフィルム(東レ合成(株)製、トレファンT393
1、60μm)を用いる以外、実施例17と同様にし
て、層構成が、OPP/VM−PET/CPPのフィル
ムを得た。
【0166】なお、このよう層構成のフィルムは、透明
な高温高圧殺菌処理用袋として使用される場合が多い。
【0167】実施例17及び比較例21で得られたフィ
ルムを、温度170℃、時間1秒、圧力1kg/cm2
の条件でそれぞれヒートシールし、l−メントール50
mlを封入した、100×150mmの四方ヒートシー
ル袋を作製した。
【0168】得られた四方ヒートシール袋を、実施例9
および比較例9と同様に温度40℃、湿度90%RHの
環境下に250時間放置し、その後、VM−PET層と
ヒートシール層の間で剥離開始端を形成し、ラミネート
強度を測定した。結果を表5に示す。
【0169】実施例18 二軸延伸ナイロン6フィルム(O−Ny、18μm)に
塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体を膜厚2
〜3μmにコーティングし、コーティングフィルム(K
ON)を得た。KONの片面に低密度ポリエチレン(L
DPE)を膜厚40μmに押出しコーティングし、他方
の面に低密度ポリエチレン(LDPE)を100μmに
押出しコーティングした。得られた積層フィルムのLD
PE(100μm)面に、実施例2と同様の樹脂組成物
を用いて予め作製した膜厚60μmの単層フィルムをド
ライラミネーションし、層構成が、LDPE(40μ
m)/KON/LDPE(100μm)/ヒートシール
層の複合フィルムを得た。
【0170】比較例22 実施例18で用いた膜厚60μmの単層フィルムに代え
て、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる
フィルム(60μm)を用いる以外、実施例18と同様
にして、層構成が、LDPE(40μm)/KON/L
DPE(100μm)/EVAのフィルムを得た。
【0171】なお、このような層構成のフィルムは、透
明な高温高圧殺菌処理袋として使用される場合が多い。
【0172】実施例18と比較例22のそれぞれのフィ
ルムを、比較例18と同様の条件で四方ヒートシール袋
を作成し、純水200mlを80℃の充填温度で充填
し、封入した。袋を温度40℃、湿度90RH%の環境
下に250時間放置した後、実施例10および比較例1
0と同様に10人のパネラーによる無臭性の試験を行っ
たところ、実施例18のフィルムを用いた袋では、10
人全員が無臭と判定した。これに対して、比較例22の
フィルムを用いた袋では、7人がオレフィン臭があると
判定した。
【0173】実施例19 実施例2と同様にして作製した膜厚20μmの単層フィ
ルムを、雲流紙(20g/m2 )とドライラミネーショ
ンした。層構成は、雲流紙/ヒートシール層である。
【0174】比較例23 低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム(20μm)
を、雲流紙(20g/m2 )とドライラミネーションし
た。なお、このような層構成のフィルムは、和菓子など
の包装に用いられる。
【0175】実施例19および比較例23で得られたフ
ィルムを温度160℃、時間1秒、圧力1kg/cm2
でヒートシールし、50×50mm角の四方ヒートシー
ル袋を作製した。四方ヒートシール袋の中にはレモン香
料100mgを封入した。この四方ヒートシール袋を温
度40℃、湿度90%RHの環境下に放置し、香りが漏
れるまでの時間を測定した。結果を表9に示す。
【0176】
【表9】 実施例20 塩化ビニリデン系共重合体(PVDC)をコーティング
したセロハン(KT、26μm)と、二軸延伸ナイロン
6フィルム(O−Ny、15μm)と、実施例2で得ら
れた単層フィルム40μmとをドライラミネーション
し、層構成が、KT/O−Ny/ヒートシール層の複合
フィルムを得た。
【0177】比較例24 実施例2で得られた単層フィルムに代えて、低密度ポリ
エチレン(LDPE)からなるフィルム(40μm)を
用いる以外、実施例20と同様にして層構成が、KT/
O−Ny/LDPEのフィルムを得た。
【0178】なお、実施例20および比較例24におい
て、ラミネートする前にKTのPVDC層にスクライブ
を入れて、欠陥を生成させておいた。
【0179】このような層構成のフィルムは、高級味噌
などの包装に用いられる。
【0180】実施例20および比較例24で得られたフ
ィルムを温度160℃、時間1秒、圧力1kg/cm2
でヒートシールし、150×150mm角の四方ヒート
シール袋を作製した。四方ヒートシール袋の中には、い
か塩辛およびl−メントールを封入した。この四方ヒー
トシール袋を温度40℃、湿度90%RHの環境下に放
置し、香りが漏れるまでの時間を測定した。結果を表9
に記す。
【0181】また、実施例20および比較例24のフィ
ルムの酸素透過度をASTM D−1434−58に準
拠して測定した。結果を表10に記す。
【0182】
【表10】 表10から明らかなように、実施例20のフィルムは、
比較例24のフィルムよりも酸素バリアー性が優れてい
る。このことから、高級味噌用途などに対して有効であ
る。また、実施例20のフィルムを使用すると、KTの
PVDC面に傷が付くような場合にも、高いバリア性を
確保できる。
【0183】実施例21 長繊維パルプ系の紙(300g/m2 )の片側にエチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)を膜厚15μ
mに押出しコーティングし、軟質アルミニウム(Al、
9μm)とドライラミネーションを行った。次いで、得
られたラミネートフィルムに、実施例3で得られた単層
フィルムをドライラミネーションし、層構成が、紙/E
EA/Al/ヒートシール層の複合フィルムを得た。
【0184】比較例25 実施例3で得られた単層フィルムに代えて、低密度ポリ
エチレン(LDPE)からなるフィルム(40μm)を
用いる以外、実施例21と同様にして、層構成が、紙/
EEA/Al/ヒートシール層の複合フィルムを得た。
【0185】なお、このような層構成のフィルムは一般
に羊かん等の包装に用いられる。
【0186】実施例21および比較例25で得られたフ
ィルムを幅120mmにスリットし、温度190℃、時
間1秒、圧力1kg/cm2 でヒートシールし、ガゼッ
ト製袋し、チューブを作製した。このチューブに加熱流
動状態の羊かんを充填した。作業は順調に行われ、特に
問題はなかった。
【0187】また、実施例21と比較例25のフィルム
を温度190℃、時間1秒、圧力1kg/cm2 でヒー
トシールし、150×150mm角の四方ヒートシール
袋を作製した。なお、実施例21と比較例25のフィル
ムを構成する軟質アルミニウムには、故意にピンホール
を各150個程度開けておいた。四方ヒートシール袋の
中に抹茶粉末50gを封入し、温度40℃、湿度90%
RHの環境下に放置し、香りが漏れるまでの時間を測定
した。結果を前記表9に示す。
【0188】表9より明らかなように、実施例21のフ
ィルムを用いると、Al薄膜にピンホールが生じていて
も、香りが飛散しない。
【0189】実施例22 二軸延伸ナイロン6フィルム(O−Ny、18μm)に
塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体を膜厚2〜3μm
にコーティングしたフィルム(KON)の片側に、実施
例1で得られた単層フィルムをドライラミネーションす
ると共に、他方の面に実施例2で得られた単層フィルム
をドライラミネーションした。得られた複合フィルムの
層構成は、ヒートシール層(1) /KON/ヒートシール
層(2) である。なお、実施例1で得られた単層フィルム
はヒートシール層(1) を構成し、実施例2で得られた単
層フィルムはヒートシール層(2) を構成する。
【0190】比較例26 実施例1で得られた単層フィルムに代えて、低密度ポリ
エチレン(LDPE)からなるフィルム(40μm)を
用い、実施例2で得られた単層フィルムに代えて、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなるフィルム
(40μm)を用いる以外、実施例22と同様にして、
層構成が、ヒートシール層(1) /KON/ヒートシール
層(2) の複合フィルムを得た。
【0191】なお、このような層構成のフィルムは、透
明な液体のステック包装として使用されることが多い。
ヒートシール方法は、内外面をヒートシールする所謂封
等張りである。
【0192】実施例22と比較例26のフィルムを幅3
0mmにスリットし、チューブ状に丸めて端部をヒート
シールした。その際、いずれのフィルムも、ヒートシー
ル層(2) がチューブの内面に位置するように加工した。
ヒートシールの加熱は外側からのみであり、ヒートシー
ル条件は、温度160℃、時間0.5秒、圧力2kg/
cm2 である。ヒートシール部の幅は5mmであり、ス
テックの寸法は12mm×100mmであった。
【0193】得られたチューブに液体を充填機により充
填したところ、比較例26のフィルムでは充填機により
ラインで蛇行したが、実施例22のフィルムは蛇行する
ことなく、円滑に充填できた。この理由として、実施例
22のフィルムの方が、比較例26のフィルムよりも剛
性が高いためであると推定される。剛性の目安となる、
引張弾性率の値を表11に示す。なお、弾性率は、JI
S Z1707に準じて測定した。
【0194】
【表11】 さらに、内容物として、l−メントール50mlを封入
し、実施例9および比較例9と同様に、温度40℃、湿
度50%RHの下に500時間放置した後、ヒートシー
ル強度を測定したところ、表7に示す結果を得た。
【0195】実施例23 実施例2と同様の樹脂組成物と、耐衝撃性ポリスチレン
(HIPS)と、接着性樹脂層を構成する、無水マレイ
ン酸をグラフト共重合したエチレン酢酸ビニル共重合体
樹脂とを共押出成形した。得られた複合フィルムの層構
成は、HIPS層/接着性樹脂層/ヒートシール層=2
00μm/20μm/180μmであり、総膜厚は40
0μmであった。
【0196】比較例27 実施例2と同様の樹脂組成物に代えて、低密度ポリエチ
レン(LDPE)を用いる以外、実施例23と同様にし
て、層構成が、HIPS層/接着性樹脂層/LDPE層
=200μm/20μm/180μmの複合フィルムを
得た。
【0197】実施例23および比較例27で得られた複
合フィルムを、実施例11及び比較例11と同様にし
て、真空圧空プラグアシスト成形に付し、容器を作製し
た。
【0198】なお、このような容器はコーヒー用フレッ
シュミルク、ゼリーなどに好適に用いられる。
【0199】得られた真空圧空プラグアシスト成形品の
偏肉を、実施例11及び比較例11と同様にして評価し
たところ、250〜260μmであった。実施例23の
フィルムを使用しても実施例11のフィルムと比べて成
形性は変化しなかった。
【0200】さらに、実施例10および比較例10で作
製した蓋材を用い、実施例10および比較例10と同様
にして、真空圧空プラグアシスト成形品にl−メントー
ル50mlを封入し、温度40℃、湿度50%RHの環
境下で放置し、l−メントールが洩れるまでの時間を測
定した。結果を表9に示す。
【0201】実施例24 実施例1と同様の樹脂組成物をヒートシール層、ポリブ
チレンテレフタレート(PBT)を基材層(耐熱性樹脂
層)とする複合フィルムを次のようにして作製した。す
なわち、平均粒径5〜10μmのシリカ微粉末を0.3
重量%含む実施例1と同様の樹脂組成物と、PBTとを
各々別の押出機を用いてマルチマニホールドダイによ
り、2種2層の共押出し複合フィルムを作製した。得ら
れた複合フィルムの層構成は、PBT層/ヒートシール
層=約30μm/約40μmであり、総膜厚は80〜7
0μmであった。
【0202】なお、この例では、PBT層とヒートシー
ル層とを接着する接着性樹脂を、特に必要としなかっ
た。
【0203】実施例25〜30 実施例24で用いた樹脂組成物に代えて、平均粒径5〜
10μmのシリカ微粉末を0.3重量%含む下記の樹脂
組成物を用いる以外、実施例24と同様にして、複合フ
ィルムを作製した。
【0204】実施例25:実施例2の樹脂組成物 実施例26:実施例3の樹脂組成物 実施例27:実施例4の樹脂組成物 実施例28:実施例5の樹脂組成物 実施例29:実施例6の樹脂組成物 実施例30:実施例7の樹脂組成物 これらの複合フィルムは、いずれも層構成が、PBT層
/ヒートシール層=約30μm/約40μmであり、総
膜厚は80〜70μmである。なお、これらの例でも、
PBT層とヒートシール層とを接着する接着性樹脂は、
特に必要でなかった。
【0205】実施例24〜30で得られた複合フィルム
のヒートシール面同士を、実施例1〜7と同様のヒート
シール条件でヒートシールし、ヒートシール強度を測定
すると共に、破断伸度を測定した。結果を表12に示
す。
【0206】
【表12】 表12から明らかなように、実施例24〜30の複合フ
ィルムは、ヒートシール強度が大きいだけでなく、延伸
処理されていなくても、破断伸度が大きい。また、表3
および4との対比から明らかなように、実施例1〜7の
単層フィルムよりも破断伸度が大きい。
【0207】実施例31〜37 実施例25で得られた複合フィルムのうちPBT層の面
に、下記のフィルムをそれぞれ、ドライラミネーション
し、複合フィルムを得た。
【0208】実施例31:一軸延伸ポリプロピレンフィ
ルム(OPP、20μm) 実施例32:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OP
P、20μm) 実施例33:二軸延伸OPPフィルムに塩化ビニリデン
系共重合体を乾燥後の膜厚2〜3μmにコーティングし
たフィルム(KOP) 実施例34:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(PET、12μm) 実施例35:二軸延伸PETフィルムに塩化ビニリデン
系共重合体を乾燥後の膜厚2〜3μmにコーティングし
たフィルム(K−PET) 実施例36:二軸延伸ナイロン6フィルム(O−Ny、
15μm) 実施例37:二軸延伸O−Nyフィルムに塩化ビニリデ
ン系共重合体を乾燥後の膜厚2〜3μmにコーティング
したフィルム(KON) 実施例31〜37で得られた複合フィルムのヒートシー
ル面同士を、前記と同様にして、ヒートシール強度と破
断伸度を測定した。結果を表13に示す。
【0209】
【表13】 表13から明らかなように、実施例31〜37の複合フ
ィルムは、ヒートシール強度および破断伸度が大きい。
【0210】実施例38〜40 実施例2で用いた樹脂組成物と、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT)と、接着性樹脂層を構成する、無水マ
レイン酸をグラフト共重合したエチレン−酢酸ビニル共
重合体と、下記のポリマーを共押出し成形に供し、層構
成が、ポリマー層/接着樹脂層/PBT層/ヒートシー
ル層=40/10/20/20の複合フィルムを得た。
【0211】実施例38:ポリプロピレン(PP) 実施例39:ポリエチレンテレフタレート(PET) 実施例40:ナイロン6(Ny−6) 実施例38〜40で得られた複合フィルムのヒートシー
ル面同士を、前記と同様にして、ヒートシール強度と破
断伸度を測定した。結果を表14に示す。
【0212】
【表14】 表14から明らかなように、実施例38〜40の複合フ
ィルムは、ヒートシール強度が大きいだけでなく、延伸
処理されていなくても破断伸度が大きい。
【0213】実施例41〜43 実施例2で用いたポリカーボネートに代えて、分子量の
異なるポリカーボネート[三菱瓦斯化学(株)製、S−
1000;分子量10000](実施例41)、ポリカ
ーボネート[三菱瓦斯化学(株)製、E−2000;分
子量20000](実施例42)、ポリカーボネート
[三菱瓦斯化学(株)製、S−3000;分子量300
00](実施例43)を用いる以外、実施例2と同様の
塑性割合の混合物を調製し、実施例2と同様にして、厚
み40μmの単層フィルムを得た。
【0214】得られた各フィルムは、実施例2で得た単
層フィルムと同様のヒートシール強度、白化度、破断伸
度を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1と比較例2におけるヒートシール温度
とヒートシール強度との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 69/00 C08L 69/00 // B29K 67:00 B29L 7:00 C08L 67:00 69:00 (56)参考文献 特開 昭61−136549(JP,A) 特開 昭62−252419(JP,A) 特開 昭63−63718(JP,A) 特開 昭63−210124(JP,A) 特開 昭53−94537(JP,A) 特開 昭57−39928(JP,A) 特開 昭49−29377(JP,A) 特開 昭60−101028(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 CFD C08L 67/02 C08L 69/00 B32B 27/10

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)脂肪族ジオール、脂環族ジオール
    および芳香族ジオールから選択され、かつ少なくとも脂
    肪族C 4-6 ジオールを含む2種以上のジオール成分と、
    テレフタル酸とから誘導され、かつ融点が150〜21
    0℃の範囲にあるコポリエステル、および(b)ポリカ
    ーボネートを含むポリエステル系樹脂組成物であって、
    前記脂肪族C 4-6 ジオールと他のジオールとの割合が、
    脂肪族C 4-6 ジオール/他のジオール=50〜90/5
    0〜10(モル比)であり、かつ実質的にポリ(1,4
    −ブチレンテレフタレート)を含まないポリエステル系
    樹脂組成物
  2. 【請求項2】 (a)脂肪族C 4-6 ジオールと、少なく
    ともテレフタル酸を含む二種以上のジカルボン酸とから
    誘導され、かつ融点が150〜210℃の範囲にあるコ
    ポリエステルおよび(b)ポリカーボネートを含むポリ
    エステル系樹脂組成物であって、(a)コポリエステル
    又は70〜90重量%、および(b)ポリカーボネート
    又は30〜10重量%を含有し、かつ実質的にポリ
    (1,4−ブチレンテレフタレート)を含まないポリエ
    ステル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 脂肪族 4-6 ジオールが1,4−ブタン
    ジオールである請求項1又は2記載のポリエステル系樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 ジオール成分が、1,4−ブタンジオー
    ルおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニ
    ル)プロパンである請求項記載のポリエステル系樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 コポリエステルが、ジオール成分50モ
    ル%と、テレフタル酸50モル%との共重合ポリエステ
    ルである請求項記載のポリエステル系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 コポリエステルが、1,4−ブタンジオ
    ール50モル%と、テレフタル酸/他のジカルボン酸=
    5〜95/95〜5(モル比)の割合からなるジカルボ
    ン酸成分50モル%との共重合ポリエステルである請求
    記載のポリエステル系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 ポリカーボネートが、下記一般式[V] 【化1】 (式中、R8およびR9は、同一又は異なって、水素原
    子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を
    示す)で表される反復単位を有する請求項1又は2記載
    のポリエステル系樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1又は2記載のポリエステル系樹
    脂組成物で形成されたヒートシール性を有するフィル
    ム。
  9. 【請求項9】 請求項1又は2記載のポリエステル系樹
    脂組成物で形成された層の一方の面に、少なくとも1つ
    の基材層が積層されている請求項記載のヒートシール
    性を有するフィルム。
  10. 【請求項10】 基材層が、少なくとも耐熱性樹脂層を
    含む請求項記載のヒートシール性を有するフィルム。
  11. 【請求項11】 基材層が、耐熱性樹脂層と、オレフィ
    ン系ポリマー、ポリエステル、およびナイロン系ポリマ
    ーから選択されたポリマーとで構成されている請求項
    記載のヒートシール性を有するフィルム。
  12. 【請求項12】 耐熱性樹脂層が、ポリブチレンテレフ
    レート層である請求項10又は11記載のヒートシール
    性を有するフィルム。
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