JP3047622B2 - 過酸化水素含有排水の処理方法及びその装置 - Google Patents

過酸化水素含有排水の処理方法及びその装置

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JP3047622B2
JP3047622B2 JP4135832A JP13583292A JP3047622B2 JP 3047622 B2 JP3047622 B2 JP 3047622B2 JP 4135832 A JP4135832 A JP 4135832A JP 13583292 A JP13583292 A JP 13583292A JP 3047622 B2 JP3047622 B2 JP 3047622B2
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正治 青木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は過酸化水素(H
2 2 )、フッ化水素(HF)、BOD成分および窒素
化合物を含有する排水からこれらの物質を除去するため
の方法および装置に関 し、詳しくは、排水の生物処理工
程に用いる微生物汚泥にとって無害な程度まで、前記排
水中の過酸化水素を微生物汚泥により還元無害化処理し
た後、この無害化処理水を前記生物処理工程で処理する
とともに、この生物処理工程で増殖した微生物汚泥を前
記した過酸化水素処理用の微生物汚泥として有効利用す
るようにした過酸化水素含有排水の処理方法および装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】H2 2 は各産業分野で使用されている
が、最近は特に半導体製造業のウェーハ製造プロセス及
びデバイス形成プロセスにおいて他の無機薬品と組み合
わされ、HF/H2 2 ,NH3 /H2 2 ,HCl/
2 2 というような構成で洗浄プロセスで多量に用い
られている。これらの洗浄プロセスより多量に排出され
るH2 2 は洗浄工程自体では殆ど還元されておらず、
ほぼそのままの量が排水処理場へ流入し、何らかの還元
処理を施し、あるいは影響のないレベルにまで希釈して
放流されている。H2 2 は3%程度で消毒殺菌剤とし
て使用されていることは周知の通りで、もし無処理で放
流すれば下流生物への影響があり、またH2 2 排水に
有機物が混っている場合は生物処理工程で処理すること
が多く、そのようなシステムでは、生物処理工程以前で
無害なレベルまでH2 2 を除去する必要がある。
【0003】H2 2 を分解する方法は理論上各種ある
が、従来の一般的な処理方法は下記の3方法である。 (1)活性炭によるH2 2 の還元法 反応式:2H2 2 +C→CO2 +2H2 O (2)無機系還元薬品によるH2 2 の還元法 反応式:2NaHSO3 +2H2 2 →Na2 SO4
2 SO4 +2H2 ONa2 SO3 +H2 2 →Na2
SO4 +H2 O (3)有機系還元薬品による還元法 H2 2 分解酵素を含有する薬品(水処理薬品メーカー
より販売されている)により処理するものである。 反応式:2H2 2 +C→CO2 +2H2
【0004】
【発明が解決しようとする課題】H2 2 が確実に濃
度、水量共一定で排水処理設備に排出される場合には、
対H2 2 反応当量より少し過剰の還元薬品を定量的に
投入すればよい。またH2 2 排水が高濃度で少水量で
あれば回分的に確実な処理が、従来方法によっても容易
に可能である。しかし、通常どんな排水においても、そ
の水量変動、濃度変動が激しいのが一般的である。それ
らを処理設備以前に均一に調整できるような巨大なバッ
ファタンクをもつようなことは常識的には不可能であ
る。一般的には、一日当たりの平均濃度に対してピーク
値は数十倍になることが多い。上記3方法において最も
一般的な手法ではNaHSO3 (重亜硫酸ソーダ)が使
われる。この場合、流入変動に対応する方法としては、
2 2 の存在を感知する自動モニターというものが未
だ開発されていない為、唯一の手段は酸化還元電位計に
より制御する方法である。
【0005】しかし、酸化還元電位計(以下ORP)は
pH中性下でしか正しい電位を指示しない為、確実な中
和設備を必要とする。しかるにNaHSO3 との反応で
は、H2 SO4 を生成する為、確実な中和が通常困難で
あるという欠点を有する。Na2 SO3 ならばH2 SO
4 を生成する欠点がないが、Na2 SO3 が一般的手段
として採用されていない理由は、薬剤コストが高いこと
と、市場において液状品が流通していないので溶解させ
る設備が必要となる為である。これらの無機薬品のかわ
りとして最近使用され始めているのが、H2 2 分解酵
素という液状薬品である。この薬品を用いる方法の長所
は大きな設備を要せず、簡単な注入設備だけあれば良い
ということであるが、逆に短所はH2 2 分解に要する
半減期が30分で、ほぼ完全に反応させるのには2時間
以上の反応時間、即ち反応槽を必要とし流入変動の激し
い場合は反応当量より過剰なコストをしいられることで
ある。活性炭充填槽にH2 2 排水を送水する方法が最
も安全確実な方法である。この方法は、薬剤処理方法と
異なり、対H2 2 反応当量当たり過剰なランニングコ
ストになることはないが、設備費用が巨大となる欠点が
ある。
【0006】以上、現状の代表的なH2 2 処理方法を
紹介したが、いずれの方法も新たな設備投資が必要とな
り、かつランニングコストは流入H2 2 に比例し膨大
なコストとなる。また、確実なH2 2 モニターが存在
しない為、通常過剰な薬剤を投入しがちである。さもな
くば、多少のH2 2 のリークは無視することとなって
しまう。いずれにしても、添加薬剤を多用する方法はコ
ストばかりでなく地球環境的視野に立ってみれば、排水
浄化プロセスとして極めて不合理である。すなわち、処
理という名のもとに、処理用添加薬剤を使用しそれによ
る塩分増加は全く無視するような従来の排水処理手段
は、コスト面だけではなく地球環境面でみても最良では
ない。活性炭は添加薬剤を使わぬ点では良い方法ではあ
るが、再生の為、新炭製造と同程度のエネルギーを消耗
する点で最良とはいえない。
【0007】また従来、H 2 2 ,HF,有機酸(BO
D成分)および窒素化合物を含有する排水からこれらの
水質汚濁物質を総合的に除去する場合、H 2 2 処理工
程と、排水の生物処理機能がH 2 2 の影響を大きく受
けるBOD成分・窒素化合物の生物処理工程とを、どの
ように結合するべきかが大きな課題であった。
【0008】ところで、排水の生物処理に関する文献等
によると、BOD除去だけの好気性菌だとH2 2 のリ
ークは大した影響はないという事例があるようである
が、どの程度だという詳細な事例はない。硝化菌は阻害
が大きいという事例が多い。脱Nに関する事例は少ない
が、H22 のリーク分、脱N効率が低下することは明
白である。また、通常の生物処理では菌は浮遊混合型な
ので影響が少ないとされているが、円転円板方式のよう
な生物膜付着方式では、H2 2 のリークにより生物膜
が剥がれるという事例が多い。上記のように生物処理に
対するH2 2 のリークの事例は少ないが、リークは生
物処理に対しミニマムであった方が良いと言える。
【0009】本発明は、上記諸問題を解決するものであ
り、その目的は簡便な操作により極めて短時間、かつ低
コストで 2 2 ,HF,BOD成分および窒素化合物
を含有する排水から、これらの水質汚濁物質を総合的に
除去することができる過酸化水素含有排水の処理方法お
よび装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る過酸化水素
含有排水の処理方法および装置は、排水の生物処理工程
に用いる生物汚泥(微生物汚泥)に無害な程度まで、前
記排水中の過酸化水素を微生物汚泥により還元無害化処
理した後、この無害化処理水を前記生物処理工程で処理
するとともに、この生物処理工程で増殖する生物汚泥を
前記した過酸化水素処理用の微生物汚泥として有効利用
するように構成したものである。
【0011】本発明に係る過酸化水素含有排水の処理方
法は、過酸化水素と、無機酸として少なくともフッ化水
素と、BOD成分と窒素化合物とを含有する排水を脱フ
ッ素処理工程の第1反応槽に導入し消石灰を添加混合し
てフッ化水素をフッ化カルシウムとなし、次いでこの排
水を第2反応槽に導入し鉱酸を添加混合して前記フッ化
カルシウムを造粒すると共に、これら第1反応槽、第2
反応槽の少なくとも一方に微生物汚泥を添加混合して過
酸化水素の還元無害化処理を行い、さらに第2反応槽か
らの無害化処理液に高分子凝集剤を添加混合して前記微
生物汚泥及び造粒物を凝集処理したのち、沈澱槽に導入
して沈澱汚泥と上澄水に分離し、この上澄水中のBOD
成分及び窒素化合物は生物学的硝化脱窒素工程で処理
し、この工程の生物沈澱槽で沈澱分離された生物汚泥
前記還元無害化処理用の微生物汚泥として利用すること
を特徴とする。
【0012】本発明に係る過酸化水素含有排水の処理装
置は、フッ化水素を除去する脱フッ素処理装置と、過酸
化水素の還元無害化処理装置と、BOD成分及び窒素化
合物の生物学的硝化脱窒素装置とがこの順に連結配備さ
れた排水の処理装置であって、前記脱フッ素処理装置は
消石灰供給部を有する第1反応槽と、鉱酸供給部を有
る第2反応槽と、凝集反応槽と、沈殿槽とをこの順に連
結して備え、前記生物学的硝化脱窒素装置は、前記沈殿
槽からの上澄水中に残留するBOD成分及び窒素化合物
を処理する生物学的処理槽と、該生物学的処理槽からの
処理水中の生物汚泥を分離する生物沈殿槽とを備え、該
生物沈殿槽の生物汚泥排出部は前記第1反応槽、前記第
2反応槽のいずれか少なくとも一方に連絡されているこ
とを特徴とする。
【0013】
【作用】上記過酸化水素含有排水の処理方法において
は、過酸化水素は脱フッ素処理工程の第1反応槽及び/
又は第2反応槽で微生物汚泥中の微生物と反応して水と
酸素に還元分解され、フッ化水素は第1反応槽で消石灰
と反応して微粒子状のフッ化カルシウムとなり、第2反
応槽では鉱酸によるpH調整でこのフッ化カルシウムの
造粒が進行し、さらに高分子凝集剤の添加により第2反
応槽内の微生物汚泥及び上記造粒物の凝集反応が進行
し、この凝集物は沈澱槽において沈澱汚泥となり脱フッ
素処理ずみの上澄水から分離される。この上澄水中に残
留するBOD成分及び窒素化合物は、次段の生物学的硝
化脱窒素工程で処理され、ここで増殖した微生物は生物
沈殿槽で生物汚泥として沈澱分離され、その少なくとも
一部が第1反応槽及び/又は第2反応槽に供給されて過
酸化水素の還元分解に利用される。
【0014】また、上記過酸化水素含有排水の処理装置
では、生物沈殿槽からの生物汚泥(微生物汚泥)が第1
反応槽及び/又は第2反応槽に供給され、排水中の過酸
化水素は微生物汚泥中の微生物と反応して水と酸素に還
元分解される。また、消石灰が第1反応槽に、鉱酸が第
2反応槽にそれぞれ供給される。そして、排水中のフッ
化水素は消石灰と反応して微粒子状のフッ化カルシウム
となり、第2反応槽では鉱酸によるpH調整でこのフッ
化カルシウムの造粒が進行する。さらに、凝集反応槽で
は高分子凝集剤の添加により、第2反応槽からの処理液
中の微生物汚泥及び上記造粒物の凝集反応が進行し、こ
の凝集物は沈澱槽において沈澱汚泥となり脱フッ素処理
ずみの上澄水から分離される。 この上澄水中に残留する
BOD成分及び窒素化合物は、生物学的硝化脱窒素装置
で処理され、ここで増殖した微生物は生物沈殿槽で生物
汚泥として沈殿分離され、その少なくとも一部が第1反
応槽及び/又は第2反応槽に供給されて過酸化水素の還
元分解に利用される。
【0015】
【実施例】次に本発明を、図面に示す実施例によりさら
に詳細に説明する。実施例1 図1 は過酸化水素、BOD成分として少なくとも酢酸、
窒素酸化物及び無機酸として少なくともフッ化水素を含
有する酸性排水を処理する装置を示している。この装置
は、HF、酢酸(BOD成分)及び硝酸(HNO3 )を
含有する従来排水61を処理する装置に新設ライン46
(図中、太線で示す)を追加することにより、H
2 2 、HF、アンニモア(NH3 )及び塩酸(HC
l)を含有する新規排水62を上記従来排水61と合併
して処理できるように構成したものであり、大別して原
水槽21、脱F工程31及び脱BOD脱N工程41及び
脱水機51から構成されている。
【0016】上記脱F工程31は第1反応槽32、第2
反応槽33、第3反応槽34及び沈澱槽35をこの順に
連絡して構成され、脱BOD脱N工程41は、生物学的
硝化脱窒素工程であって、生物脱N槽42、後曝気槽4
3及び生物沈澱槽44をこの順に連絡して構成されてい
る。そして、上記沈澱槽35の上澄水流出口は生物脱N
槽42に、汚泥排出口は汚泥混合槽52にそれぞれ連絡
され、上記生物沈澱槽44の汚泥排出口は、ポンプ45
を介して汚泥計量函47と上記汚泥混合槽52に分岐連
絡され、この汚泥混合槽52は脱水機51を介して原水
槽21に、原水槽21はポンプ22を介して第1反応槽
32に、さらに上記新設ラインすなわち汚泥供給ライン
46は第1反応槽32及び第2反応槽33に、それぞれ
連絡されている。なお、図中pHCはpH指示調節計で
ある。
【0017】この排水処理装置では従来排水61、新規
排水62及び脱水分離水53が、原水槽21で攪拌混合
されて、例えばH2 2 60〜1000ppm、フッ素
1000ppm、pH1〜3の混合排水となり、第1反
応槽32ではCa(OH)2を添加混合することにより
pH9へのpH調整と並行してHFからのCaF2 微粒
子の生成反応(CaF2 の一次核の生成)が進行する。
このpH調整が終了後、生物沈澱槽44からの返送汚泥
48の一部が第1反応槽32に添加混合されてH2 2
が瞬時ないし5分以内に水に分解される。
【0018】第1反応槽32からの汚泥混合液は、第2
反応槽33においてH2 SO4 の添加混合によりpH7
〜8に調整され約30分間、CaF2 の造粒が行われた
のち、第3反応槽34において高分子凝集剤の添加混合
により約30分間、汚泥及びCaF2 造粒物の凝集反応
が行われ、次いで沈澱槽35に流入して上澄水36と引
抜き汚泥37に分離され、上澄水36は脱BOD脱N工
程41に流入し、引抜き汚泥37は汚泥混合槽52に流
入する。
【0019】脱BOD脱N工程41においては、BOD
成分である酢酸と、窒素化合物であるNH 3 が除去さ
れる。生物沈澱槽44からの生物処理水63は活性炭吸
着装置(図示せず)に導入して残留するフッ素分(Fと
して約5ppm)が除去され、引抜き汚泥64の一部は
返送汚泥48、残部は余剰汚泥49となり、さらに返送
汚泥48の一部は生物脱N槽42に返送され、残部は第
1反応槽32に供給される。余剰汚泥49は汚泥混合槽
52で引抜き汚泥37と混合して脱水機51で処理さ
れ、脱水ケーキ54と脱水分離水53に分離され、この
脱水分離水は原水槽21に返送され、残留する汚濁成分
の処理が行われる。脱水ケーキ54は産排ケーキとして
焼却等により処分される。
【0020】すなわち、上記脱BOD脱N工程41は、
脱F工程31の沈澱槽35からの上澄水36中のBOD
成分(CH 3 COOHなど)を好気性菌により、窒素化
合物(HNO 3 ,NH 3 等)を硝化菌及び脱窒菌により
それぞれ除去すると共に、生物脱N槽42、後曝気槽4
3で増殖した微生物を生物沈澱槽44で微生物汚泥と
て沈澱分離し、その一部を生物脱N槽42への返送汚泥
48とし、残部を余剰汚泥49とするものである。
【0021】なお、生物沈澱槽44からの汚泥は、第1
反応槽32に代えて第2反応槽33に供給してもよく、
第1、第2反応槽の両方に分けて供給してもよい。ま
た、余剰汚泥49を汚泥混合槽52を介することなく直
接第1反応槽32に供給することもできるし、所望によ
り生物脱N槽42もしくは後曝気槽43の汚泥混合液又
は脱水ケーキ54の一部を供給してH2 2 の分解に使
用することも可能である。
【0022】実施例2 図2は、図1 における脱F工程31の代わりに、一次脱
F工程71と二次脱F工程81とを直結して設けたもの
で、他の工程は図1と同様である。上記一次脱F工程7
1は脱F工程31と実質的に同一の工程であって、一次
反応槽72、二次反応槽73、一次凝集槽74及び一次
沈澱槽75により構成され、二次脱F工程81は三次反
応槽82、二次凝集槽83及び二次沈澱槽84により構
成されている。
【0023】この装置では、H2 2 、HF、HNO3
及びCH3 COOHを含有する酸性排水中のH2 2
びHFの殆どは一次脱F工程で除去される。そして、一
次沈澱槽75からの上澄水76は、無機凝集剤PACを
添加されたのち三次反応槽82において返送汚泥48の
一部が添加混合され、次いで二次凝集槽83で高分子凝
集剤と返送汚泥48の一部が添加混合される。これによ
り上澄水76中に残留する微量のH2 2 は全量還元分
解され、上澄水76中に残留するCaF2 等の汚泥及び
新たに添加した上記微生物汚泥は凝集処理される。この
凝集処理汚泥は二次沈澱槽84で分離され、上澄水85
は脱BOD脱N工程41に流入して生物処理される。な
お、図2において77,86は引抜き汚泥である。
【0024】本発明では、H2 2 の分解に使用する汚
泥量は揮発性生物汚泥乾重量(MLVSS)に換算した
場合、排水中のH2 2 1kgに対し0.1kg以上と
することが好ましく、H2 2 の全量を分解することが
できるが、過剰に使用するのがさらに好ましい。これ
は、過剰使用によりH2 2 リークの可能性を皆無にす
ることができるうえ、脱F工程や脱BOD脱N工程に何
ら特別な不利をもたらすものではなく、沈澱槽35の負
荷がわずかに増大するのみだからである。
【0025】次に、本発明の実験例について説明する。 実験例 微生物汚泥のH2 2 分解能力及びそのメカニズムを知
る為、以下のようなテストを試みた。 使用汚泥: 生物脱N槽の汚泥、MLSS 5g
/l MLVSS 3g/l H2 2 試薬: 濃度30wt% 0.3g/ml試薬 1)6本のビーカーに同一の汚泥を1lずつ投入 2)全て60rpmにて攪拌する 3)各ビーカーにH2 2 の量を変えて投入し、経過時
間毎に残留H2 2 をH2 2 試験紙にて測定したうえ
容量を乗じて、残留H2 2 重量を調査した結果を〔表
1〕に示す。
【0026】
【表1】
【0027】RUN No.1〜4により、H2 2 の全量
を分解するのに必要なMLVSSすなわち有機汚泥重量
は、H2 2 重量の約1/10以上であることがわか
る。同様のテストをし尿系の有機汚泥でもテストしたが
同様に約1/10以上であった。また、RUN No.4〜
6により、過剰H2 2 を投入分に関してはいくら時間
が経過しても、以降分解していない。これは、汚泥を分
解しうる細胞が全く死滅していることを示すものであ
る。H2 2 を分解可能な細胞が残存している内は、H
2 2 を投入しても発泡しているが、細胞すべてが死滅
した後、過剰のH2 2 を投入しても全く発泡現象は見
られなかった。このことによって汚泥がH2 2 を分解
することが証明されたと共に、生物処理工程に誤ってH
2 2 をリークさせたケースの状況メカニズムも推測で
きる。即ち、H2 2 は菌に阻害を与えるかという次元
ではなく、完全に菌を死滅させてしまう。但し生物反応
系の菌の全存在量に対してわずかなH2 2 のリークで
あれば、その分だけ死滅するだけであって、生物処理機
能が致命的な状態に至るものではないと推測できる。次
いで、H2 2 排水は通常他の酸、アルカリと混合され
中性でない場合が多いので、汚泥がH2 2 を分解する
うえでの適正なpHはどうかという調査もした。その結
果、極端な酸、アルカリ雰囲気では汚泥はH2 2 を分
解する以前に、その分解機能を損ずること、及び適正p
Hは6〜10であり、7〜8が最適で、微生物汚泥は酸
に弱く、多少アルカリには強いことがわかった。
【0028】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
係る過酸化水素含有排水の処理方法においては排水中の
過酸化水素を、BOD成分等の生物処理工程に用いる生
物汚泥に無害な程度まで、微生物汚泥により還元無害化
処理した後、この無害化処理水を前記生物処理工程で処
理するとともに、この生物処理工程で増殖する生物汚泥
を前記した過酸化水素処理用の微生物汚泥として有効利
用するようにしたものである。 このように本発明では過
酸化水素の処理工程と、BOD成分等の生物処理工程と
が互いにその機能を補いあって進行するように構成され
ているから、上記排水を極めて合理的に処理することが
できる。
【0029】また、本発明に係る過酸化水素含有排水の
処理装置は、消石灰供給部を有する第1反応槽と、鉱酸
供給部を有する第2反応槽と、凝集反応槽と、沈殿槽と
をこの順に連結して脱フッ素処理装置を構成し、生物沈
殿槽の生物汚泥排出部を第1反応槽、第2反応槽のいず
れか少なくとも一方に連絡したものであるから、構造は
極めて簡単である。
【0030】また、既設の生物学的硝化脱窒素装置の生
物汚泥排出部を、既設の中和処理装置に連絡する汚泥供
給ラインを新設するだけで、この中和処理装置をH 2
2 分解装置として機能させることができるから、本発明
に係る過酸化水素含有排水の処理装置は、既設装置の簡
単な改造により構成することができる。
【0031】以上のように本発明によれば、簡便な操作
により極めて短時間、かつ低コストでH 2 2 ,HF,
BOD成分および窒素化合物を含有する酸性排水から、
これらの水質汚濁物質を総合的に除去することが可能な
過酸化水素含有排水の処理方法および装置を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示すフローチャートであ
る。
【図2】 別の実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
21 原水槽 22 ポンプ 31 脱F工程 32 第1反応槽 33 第2反応槽 34 第3反応槽 35 沈澱槽 36 上澄水 37 引抜き汚泥 41 脱BOD脱N工程 42 生物脱N槽 43 後曝気槽 44 生物沈澱槽 45 ポンプ 46 新設ライン(汚泥供給ライン) 47 計量函 48 返送汚泥 49 余剰汚泥 51 脱水機 52 汚泥混合槽 53 脱水分離水 54 脱水ケーキ 61 従来排水 62 新規排水 63 生物処理水 64 引抜き汚泥 71 一次脱F工程 72 一次反応槽 73 二次反応槽 74 一次凝集槽 75 一次沈澱槽 76 上澄水 77 引抜き汚泥 81 二次脱F工程 82 三次反応槽 83 二次凝集槽 84 二次沈澱槽 85 上澄水 86 引抜き汚泥
フロントページの続き (72)発明者 石井 栄 福島県西白河群西郷村大字小田倉字大平 150番地 信越半導体株式会社 白河工 場内 (56)参考文献 特開 昭63−270595(JP,A) 特公 昭63−32519(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/00 - 3/34 C02F 1/58 C02F 9/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過酸化水素と、無機酸として少なくとも
    フッ化水素と、BOD成分と窒素化合物とを含有する排
    水を脱フッ素処理工程の第1反応槽に導入し消石灰を添
    加混合してフッ化水素をフッ化カルシウムとなし、次い
    でこの排水を第2反応槽に導入し鉱酸を添加混合して前
    記フッ化カルシウムを造粒すると共に、これら第1反応
    槽、第2反応槽の少なくとも一方に微生物汚泥を添加混
    合して過酸化水素の還元無害化処理を行い、さらに第2
    反応槽からの無害化処理液に高分子凝集剤を添加混合し
    て、前記微生物汚泥及び造粒物を凝集処理したのち沈澱
    槽に導入して沈澱汚泥と上澄水に分離し、この上澄水中
    のBOD成分及び窒素化合物は生物学的硝化脱窒素工程
    で処理し、この工程の生物沈澱槽で沈殿分離された生物
    汚泥を前記還元無害化処理用の微生物汚泥として利用す
    ることを特徴とする過酸化水素含有排水の処理方法。
  2. 【請求項2】 フッ化水素を除去する脱フッ素処理装置
    と、過酸化水素の還元無害化処理装置と、BOD成分及
    び窒素化合物の生物学的硝化脱窒素装置とがこの順に連
    結配備された排水の処理装置であって、前記脱フッ素処
    理装置は消石灰供給部を有する第1反応槽と、鉱酸供給
    部を有する第2反応槽と、凝集反応槽と、沈殿槽とをこ
    の順に連結して備え、前記生物学的硝化脱窒素装置は、
    前記沈殿槽からの上澄水中に残留するBOD成分および
    窒素化合物を処理する生物処理槽と、該生物処理槽から
    の処理水中の生物汚泥を分離する生物沈殿槽とを備え、
    該生物沈殿槽の生物汚泥排出部は前記第1反応槽、前記
    第2反応槽のいずれか少なくとも一方に連絡されている
    ことを特徴とする過酸化水素含有排水の処理装置。
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