JP3047063U - アンカーパイル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 地中に打ち込まれるアンカーパイルと支持す
べき構造物と間の位置調整を可能とすることにより、各
種構造物の基礎施工を効率よく行う。 【解決手段】 地中に打込可能なアンカーパイル本体
と、アンカーパイル本体の上端部に配設したキャップ部
材とを備えたアンカーパイルであって、キャップ部材を
アンカーパイル本体に螺合接続することによりキャップ
部材の高さ位置を調整可能とした。アンカーパイル本体
の上端部に雌ねじ孔を設け、キャップ部材は、当該雌ね
じ孔に螺合嵌入できる昇降ロッドと、昇降ロッド上端に
設置した水平プレートとを備えることがある。水平プレ
ートに、プレート端縁部から略垂直に起立する位置決め
パネルを設けても良い。プレート上には例えば仮設ハウ
スの土台を載置する。ロッドを回すことによりプレート
の高さ調整を行うことができ、施工地面の凹凸傾斜にか
かわらず水平な基礎面を容易に得ることが出来る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は土木建築用のアンカーパイルに係り、特に仮設建築物の基礎杭に好適 なアンカーパイルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

土木建築現場で使用される仮設ハウス（飯場住宅や現場事務所等）は、工事終 了後には解体し撤去されるものであるから、通常の建物基礎（例えばコンクリー ト布基礎）のような堅牢な基礎を形成することは一般になく、例えば地面にブロ ックを並べただけの簡単な基礎の上に土台を組み、建物を建てることが多い。建 物容積もさほど大きくなく、重量も比較的軽いから、通常のコンクリートブロッ クを敷き並べただけでも建物を支持することが可能であり、工事終了までの限ら れた期間の使用には十分耐え得るからである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、建築物の基礎にブロックを使用する場合、地面が平らであれば所定 の位置にブロックを配置し、その上に直ちに土台を形成することが出来る。

【０００４】 ところが、仮設ハウスを使用する各種の土木建築現場は、傾斜地であったり地 面に凹凸起伏があるために、ブロック同士に高低差ができてしまうことも少なく ない。このためブロックを配置する前に地面を整地したり、ブロックと土台との 間に板を挟んでブロック同士の高さ調整を行うなど、水平な基礎面を得るために 煩雑な作業を必要とすることがある。

【０００５】 また建物の基礎に限らず、様々な構造物を構築する際に、荷重や引張力に抗す るパイルを地面に打ち込んでアンカーとして使用することがあるが、このような アンカーパイルにおいても構造物とアンカーとの間で微妙な位置調整が必要とな ることがある。

【０００６】 そこで本考案の目的は、地中に打ち込まれるアンカーパイルと支持すべき構造 物と間の位置調整を可能とすることにより、各種構造物の基礎施工を効率よく行 うことにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成して課題を解決するため、本考案に係るアンカーパイルは、地 中に打込可能なアンカーパイル本体と、該アンカーパイル本体の上端部に配設し たキャップ部材とを備え、前記キャップ部材をアンカーパイル本体に螺合接続す ることによりキャップ部材の高さ位置を調整可能とした。

【０００８】 また、アンカーパイル本体の上端部に雌ねじ孔を備えるとともに、外表面の適 宜位置に螺旋状の翼板を備え、前記キャップ部材は、当該雌ねじ孔に螺合嵌入で きる昇降ロッドと、該昇降ロッド上端に設置した水平プレートとを備えることが ある。さらに仮設建築物の位置決め固定を確実にするため、前記水平プレートに 、プレート端縁部から略垂直に起立する位置決めパネルを配する場合がある。

【０００９】

【作用】

本考案に係るアンカーパイルは、地中に打込可能なアンカーパイル本体の上端 部にキャップ部材を設けたもので、当該キャップ部材は支持すべき構造物とアン カーパイル本体との間に介在され、構造物からの荷重ないし引張力をアンカーパ イル本体に伝達する。このキャップ部材はアンカーパイル本体に螺合接続してあ り、キャップ部材を回転させることによってその高さ位置を変更可能としてある 。

【００１０】 したがって各種構造物の基礎あるいはアンカー手段として本パイルを使用する 場合、地面に打ち込んだパイルと構造物とを接続するにあたってキャップ部材を 回し、パイル高さを変更することにより、支持対象である構造物とパイルとの間 の距離を自由に調整することが出来る。

【００１１】 アンカーパイル本体は、地面への打込みを容易にすると共に、荷重ないし引張 力に対する支持力を高めるため例えば周面に螺旋状の翼板を備えるものであって も良いし、周面に凹凸のない単純な直線状の杭体形状を呈するものであっても構 わない。

【００１２】 請求項２のパイルでは、アンカーパイル本体の外表面に螺旋状の翼板を設けた ので、回転打ち込みが可能となり、また翼板によって摩擦面積が拡大するので基 礎杭（パイル）としての耐加重性、アンカーとしての耐引張の機能が格段に向上 する。またアンカーパイル本体上部の雌ねじ孔に螺合嵌入できるキャップ部材に 水平プレートを設けたので、当該水平プレートには例えば建物の土台を載置する ことが可能となり、各種建築物の基礎として本パイルを使用することが出来る。

【００１３】 施工にあたってはパイルを地面の所定位置に打ち込み、その上に土台を設置す るが、その際、パイル上端のキャップ部材（昇降ロッドまたは水平プレート）を 回し、雌ねじ孔に沿って昇降ロッドを上下動させることにより、水平プレートの 高さを自由に変えることが出来る。したがって打ち込んだパイル間で水平プレー ト同士の高さを調整し、地面の凹凸や傾斜にかかわらず水平な基礎面を容易に得 ることが出来る。

【００１４】 さらに請求項３では、プレート端縁部から略垂直に起立する位置決めパネルを 水平プレートに配した。かかるパネルを設けることにより土台の位置決めが容易 になる。すなわちパイル打設後、当該パネルに当接させつつ土台部材を水平プレ ート上に設置することにより、基礎形成（パイル打込）以降の施工を効率よく行 うことが出来る。

【００１５】

【実施例】

以下、添付図面に基づいて本考案の実施例を説明する。 図１は本考案に係るアンカーパイルの一例を示すものである。このパイルは例 えば仮設ハウス等の建物の基礎杭として使用できるもので、図に示すようにパイ ル１１は、鋼管により形成したアンカーパイル本体１２の上端に、雌ねじ孔１４ を備えた短寸ヘッド１３を溶接固定し、雌ねじ孔１４に螺合する昇降ロッド１８ （雄ねじ）を備えたキャップ１７を設けてなる。キャップ１７は、ロッド１８の 上端に固定した水平プレート１９を備えており、このプレート１９上に建物の土 台を載置することが可能である。プレート１９には土台を固定するためのボルト 孔２０を設けてある。

【００１６】 アンカーパイル本体１２には、鋼管パイプ側部に螺旋状の翼板１６を配設して ある。地面への打込み作業を容易にするとともに、地盤内でのパイル１１の支持 力を高めるためである。パイル１１を打ち込むときには、パイル先端の螺旋状翼 板１６が回転しながら地盤に進入するから、人力によりあるいは小型の油圧装置 で容易にパイルを打ち込むことが可能である。尚、符号１５はかかる打込作業に おいてパイルを回転させるハンドルである。

【００１７】 翼板１６はアンカーパイル本体１２の全長に亙って形成することも可能である が、製造コストの点からはこの実施例のようにパイルの一部にのみ設けることが 望ましい。螺旋状翼板の形成は特殊な技術を必要とし、鋼製スパイラルの強度確 保の必要からも成形コストが極めて高いからである。但し翼板１６は必ずしも本 考案に必須のものでなく、周面に翼板を一切設けない構造とすることも可能であ る。

【００１８】 パイル各部の寸法例は次の通りである。パイプ本体１２の長さおよび外径（翼 板外径）をそれぞれＨ，Ｗ、ヘッド１３、昇降ロッド１８および水平プレート１ ９の長さをそれぞれＨ₁，Ｈ₂，Ｗ₁とした場合、例えばＨ＝６００ｍｍ、Ｗ＝７ ５ｍｍ、Ｈ₁＝５１ｍｍ、Ｈ₂＝１５０ｍｍ、Ｗ₁＝２５５ｍｍである。尚、これ らの寸法はパイルの使用目的や地盤などの諸条件に応じて適宜設計変更すること があり、パイル各部の寸法はこれらの値に限定されるものではない。

【００１９】 キャップ１７の形状は、図１に示したもののほか、例えば図２に示すような形 状とすることが出来る。これらのキャップ２５〜２８は、水平プレート３１〜３ ４に載置する土台４５の位置決めを容易にするために、プレート端縁から略垂直 に立ち上がるパネル３５〜４１を設けたもので、図２（ａ）の例では方形のプレ ート３１の一端縁部に、図２（ｂ）の例では土台の両側面を支持できるようにプ レート３２の両側縁部に、さらに図２（ｃ）および（ｄ）の例ではプレート３３ ，３４の隣接する端縁部にそれぞれパネル３５〜４１を形成した。キャップ（パ イル）２５，２６は図３に示すように建物隅角部において、キャップ（パイル） ２７，２８は周縁部において、それぞれ土台４５を支持するのに適する。

【００２０】 施工にあたっては、例えば水準器で土台の水平／傾斜を確認しつつキャップを 回し、打ち込んだ各パイル間で水平パネル同士の高さ調整を行う。水平プレート の方向性（例えば位置決めパネルの配設形状によってプレートの向きが指定され る場合）にもよるが、少なくともロッド１８ないし雌ねじ孔１４の１ピッチ分（ 昇降ロッドの１回転）毎の細かさで基礎面（プレート上面）の高さ調整が可能で あり、施工地面の凸凹傾斜にかかわらず高精度の正確な水平面を得ることが可能 である。

【００２１】 前記実施例のパイルは、建設現場で使用する仮設ハウスの基礎のほか、例えば 組立家屋や物置、トイレ、電話ボックス、いわゆる海の家やスキー場ロッジのよ うな特定シーズンに使用する仮設ハウスなど、各種の建築物の基礎に使用するこ とが出来る。また、建物の基礎杭としてだけでなく、本考案のパイルは引張力に 抗するアンカーとして使用することも可能である。この場合、例えば構造物から のワイヤをパイルに接続するため前記水平プレートに代え、フックやリング等の 金具をキャップに設けても構わない。

【００２２】 また前記実施例では、アンカーパイル本体１２に直接雌ねじ孔１４を設けるこ となく、ヘッド１３に雌ねじ孔１４を設けてアンカーパイル本体１２に固定した が、これは、アンカーパイル本体の長さＨや翼板１６の有無／大きさ／面積等、 アンカーパイル本体の構造を様々に変更する場合に、雌ねじ孔１４を含むヘッド １３を共通部材として使用可能として、パイルの製造コストを低減するためであ る。コスト的な問題を除けば、ヘッド部材（１３）を使用することなくアンカー パイル本体に直接雌ねじ孔（１４）を穿設して勿論構わない。

【００２３】

【考案の効果】

以上説明したように本考案に係るアンカーパイルによれば、地中に打ち込まれ るアンカーパイルと支持すべき構造物間の位置調整が可能となり、各種構造物の 基礎施工を効率よく行うことが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るアンカーパイルの一例を示す全体
図（ａ）およびキャップの平面図（ｂ）である。

【図２】（ａ）〜（ｄ）はそれぞれキャップ部材を例示
する斜視図である。

【図３】本考案に係るアンカーパイルの施工例を示す平
面図である。

【符号の説明】

１１ アンカーパイル １２ アンカーパイル本体 １３ 短寸ヘッド １４ 雌ねじ孔 １５ ハンドル １６ 螺旋状翼板 １７，２５，２６，２７，２８ キャップ １８ 昇降ロッド（雄ねじ） １９，３１，３２，３３，３４ 水平プレート ２０ ボルト孔 ４５ 土台

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】地中に打込可能なアンカーパイル本体と、
   該アンカーパイル本体の上端部に配設したキャップ部材
   とを備えたアンカーパイルであって、 前記キャップ部材をアンカーパイル本体に螺合接続する
   ことによりキャップ部材の上下方向位置を調整可能とし
   たことを特徴とするアンカーパイル。
2. 【請求項２】前記アンカーパイル本体は、その上端部に
   雌ねじ孔を備えるとともに、外表面の適宜位置に螺旋状
   の翼板を備え、 前記キャップ部材は、当該雌ねじ孔に螺合嵌入できる昇
   降ロッドと、該昇降ロッド上端に設置した水平プレート
   とを備えることを特徴とする請求項１記載のアンカーパ
   イル。
3. 【請求項３】前記水平プレートは、プレート端縁部から
   略垂直に起立する、仮設建築物土台の位置決めパネルを
   備えることを特徴とする請求項２記載のアンカーパイ
   ル。