JP3043403B2 - ヒトプラスミノーゲン変異体を発現させる方法及びその原料 - Google Patents

ヒトプラスミノーゲン変異体を発現させる方法及びその原料

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、プラスミノーゲン変異体をコードしている
遺伝子を発現させるための方法及びそのための原料に関
し、さらに詳細には、哺乳動物細胞系においてヒトプラ
スミノーゲン変異体を発現させるための方法及びそのた
めの原料ならびにその産物に関する。
関連分野の説明 血餅タンパク質フィブリン又はその前駆体であるフィ
ブリノーゲンがプラスミン酵素(Pm)によってタンパク
質溶解的に分解(フィブリノリシス)されることによ
り、フィブリンが血管に有害に蓄積することが妨げられ
る。種々の障害では、病因論的フィブリン沈着が自発的
に分解されず、その結果、血栓が形成され、血管に血餅
(血栓)が生じる。多くの場合、実行できる処置は血栓
溶解療法、即ちPmによる血餅の溶解しかない。
Pmは、プラスミノーゲン(Pg)と呼ばれる「プロ酵
素」又は「チモーゲン」前駆体が活性化されて循環系に
おいて産生される。血栓溶解療法はプラスミノーゲンア
クチベーターを投与することにより行われる。このよう
なプラスミノーゲンアクチベーターとしては、ストレプ
トキナーゼ(SK)、ウロキナーゼ(UK)、及び組織プラ
スミノーゲンアクチベーター(t−PA)が挙げられる。
ヒトPg(HPg)は、アミノ末端アミノ酸がGluであり、
791個のアミノ酸を含有する1本鎖の糖タンパク質とし
て循環系に存在している(循環HPgは従って、[Glu1
プラスミノーゲンと呼ぶことができる)[Forsgrenらの
FEBS Lett.,213:254−260(1987):MalinowskiらのBioc
hem.23:4243−4250(1984);McLeanらのNature 330:132
−137(1987);Sottrup−JensenらのProg.Chem.Fibrino
lysis Thrombolysis,:191−209(1978);WimanのEur.
J.Biochem.39:1−9(1973);及びWimanのEur.J.Bioch
em.,76:129−137(1977)]。
HPgの炭水化物構造の分析により、それには2つのグ
リコシル化変異体が存在すること、即ち2つのグリコシ
ル化部位(Asn289及びThr346)を有する第1のものと、
1つのグリコシル化部位(Thr346)を有する第2のもの
とが存在し、それらのサブ型は不完全なシアル酸部分を
有していること、が判明している[CastellinoのChem.R
ev.,81:431−446(1981)]。これらの型及びサブ型は
循環プラスミノーゲンが示す翻訳後修飾の例である。
HPgはArg561−Val562ペプチド結合の開裂によって活
性化され、2本鎖のジスルフィド結合セリンプロテアー
ゼ[Lys78]Pmを産する。この分子も活性化の際に生成
されるヒトPm(HPm)による自己分解の結果として、ア
ミノ末端77アミノ酸を欠いている[Violand及びCastell
inoのJ.Biol.Chem.,251:3906−3912(1976)]。この開
裂は、SK、UK及びt−PAの中の1つの種々のアクチベー
ターによって触媒され得る[概説としては、Castellino
のBioscience,33:647−650(1983)を参照のこと]。後
者2つのタンパク質はHPg内の適切なペプチド結合の開
裂を直接触媒してHPmを与える酵素であるが、SKはこの
ような特有の活性を有しておらず、そのプラスミノーゲ
ンアクチベーター活性はHPg及びHPmと複合体を形成する
形成能に依存しており、上記の2つの分子の実際の又は
潜在的なプラスミン活性部位を利用することによりアク
チベーターとして機能するものである[Castellino,前
掲]。
[Glu1]Pgは2つの主要な変異体の型で血漿中に存在
し、それらの変異体はAsn289位のグリコシル化の程度が
それぞれ相違するものである[Hayes及びCastellinoの
J.Biol.Chem.,254:8768−8780(1979);Castellino,前
掲]。[Glu1]Pg内の1−561残基を含む潜在的なプラ
スミン重鎖は、「クリングル」[Sottrup−Jensenら,
前掲]と呼ばれるそれぞれが約80アミノ酸を含有する5
つの高度に相同的な領域を含有している。これらのクリ
ングルは独立したドメインとして存在していると思われ
[CastellinoらのJ.Biol.Chem.,256 4778−4782(198
1)]、HPg及びHPmの機能性にとって重要である。例え
ば、クリングル1ドメイン(アミノ酸残基84−162)は
プラスミン又はプラスミノーゲンと、フィブリン及びフ
ィブリノーゲン[LucasらのJ.Biol.Chem.,258:4249−42
56(1983)]、負の活性化エフェクター(Cl-)[Urano
らのJ.Biol.Chem.,262:15959−15964(1987)]、なら
びに正の活性化エフェクターであるε−アミノカプロン
酸(EACA)[MarkusらのJ.Biol.Chem.,253:727−732(1
978)]との相互作用にとって重要なようである。さら
に、この同じセグメントは、HPmとその主要な血相イン
ヒビターであるα−抗プラスミンとの初期の迅速な結
合に関与している[Moroi及びAokiのJ.Biol.Chem.,251:
5956−5965(1976)]。クリングル4領域(残基358−4
35)は、[Glu1]Pgの非常に大きなリガンド誘発化コン
ホメーション改変[ViolandらのArch.Biochem.Biophy
s.,170:300−305(1975)]、及び正のフェクターEACA
の存在下にチモーゲンの活性化速度が付随して増大する
こと[Claeys及びVermyelinのBiochem.Biophys.Acta,34
2,351−359(1974)]に関与することのできる、[Gl
u1]Pgに存在する弱いEACA結合部位(群)を含有してい
るようである。
血栓溶解療法は有用であるが、その治療力は血栓の部
位におけるプラスミノーゲンの利用性によって抑制され
る。血栓溶解療法は結果としてプラスミノーゲンを消費
させるため、又は血栓に存在するプラスミノーゲン量は
不適切な量でしかないため、又は血栓の年令及び虚血
(血流の減少に由来する局所的な貧血)に関連して局所
プラスミノーゲンが枯渇するために、プラスミノーゲン
濃度は制限されることがある[AnderleらのHaemostasi
s,18:(補1),165−175(1988)]。従って、局所的
に利用されるプラスミノーゲン量を補ってやるのが望ま
しい。
血栓溶解療法に使用するためのプラスミノーゲンを得
るために組換え発現系において大量のプラスミノーゲン
を発現させる方法は簡便な方法であるが、哺乳動物細胞
タイプでは細胞内プラスミノーゲンアクチベーターがほ
ぼ至るところに存在しているため、無傷のHPgをそのよ
うな哺乳動物発現系において発現させることは非常に困
難であった。このようなアクチベーターが存在すると、
産生されるHPmによるプラスミノーゲンの自己消化が起
こりかねず、そのような発現系の条件付けされた細胞培
地中には分解型のHPgが現れることになる[BusbyらのFi
brinolysis,、64(1988)]。
アミノ末端アミノ酸配列分析、SDS/PAGEによる分子量
の測定、セファロース−リジンアフィニティークロマト
グラフィー移動、活性化特性、抗体反応性、及び得られ
たプラスミンの活性に基づいて本質的にヒト血漿[Gl
u1]Pgと適合すると思われる組換えヒトプラスミノーゲ
ンが、昆虫細胞において産生されている(irHPg)[Whi
tefleet−SmithらArch.Biochem.Biophys.,271:390−399
(1989)]。これまで野生型の組換えHPg(wt−rHPg)
の哺乳動物細胞での発現が成功していなかったので、こ
れは意義ある発見である。しかし、ストレプトキナーゼ
と血漿HPg及びirHPgとから形成される等モル複合体の動
力学的性質を比較すると、それぞれの複合体内における
SDS/PAGEゲルの一時的な事象は、HPgのHPmへの変換が迅
速に起こる点で、Bajaj及びCastellinoのJ.Biol.Chem.,
252:492−498(1977)に記載されている結果と同一であ
った。このことは、HPgが複合体の安定な成分でないこ
とを示唆している。
270−280位を包含するヒトt−PAの開裂部位は、特定
の酵素的開裂に耐性又は免疫のあるt−PA変異体が作成
されるように修飾できることが知られている。例えば、
275、276及び277位のタンパク質開裂部位にアミノ酸置
換を有するt−PA変異体が開示されている[欧州特許公
開第199,574号]。275位にアルギニン以外のアミノ酸を
有するt−PA変異体として好ましくは特徴付けられるこ
れらの変異体は、プロテアーゼ耐性の1本鎖t−PA変異
体と呼ばれ、これは1本鎖又は2本鎖のいずれかの型で
存在し得る天然のt−PAとは異なり、275位のプロテア
ーゼ開裂に対して耐性であり、従ってインビボにおいて
は2本鎖型へと代謝的に変換されない。このt−PA型
は、そのフィブリン結合性及びフィブリン刺激性が2本
鎖t−PAと比較して増大し、かつより安定である点か
ら、生物学的及び経済的なある種の有用性を有している
と考えられる。プラスミノーゲンアクチベーターの他の
型はフィブリンと相互作用できる1つのドメイン及びウ
ロキナーゼのプロテアーゼドメインを含有するものであ
り、その1つの例は2本鎖ウロキナーゼを形成しにくい
ように改変されたウロキナーゼである。1988年7月14日
公開のWO 88/05081を参照のこと。
t−PAのプロテアーゼ開裂部位を修飾することに関連
した特許文献としてはさらに、例えばEPO特許番号241,2
09号、1986年11月12日公開の201,153号、1987年8月19
日公開の233,013号、1988年11月23日公開の292,009号、
1988年12月7日公開の293,936号、及び1988年12月7日
公開の293,934号、ならびにWO 88/10119を挙げることが
できる。
本発明の目的は、ストレプトキナーゼなどのフィブリ
ン溶解酵素との複合体内においてその複合体として安定
であり、そのために天然プラスミノーゲン分子よりも活
性の高いプラスミノーゲン分子を提供することにある。
本発明の他の目的は、内生の部位特異的なプラスミノ
ーゲンアクチベーターが実際に欠如していないあらゆる
組換え発現系(昆虫細胞など)において、プラスミノー
ゲン分子を生産することである。
本発明における上記の及び他の目的は当業者に明らか
であろう。
本発明の要約 このように、本発明はその2本鎖型へのタンパク質分
解的開裂に対して耐性であるプラスミノーゲン、好まし
くはヒトプラスミノーゲン、最も好ましくは[Glu1]プ
ラスミノーゲンをコードしている核酸配列を提供するも
のである。
他の態様として、本発明は制御配列と作動可能に結合
された核酸配列を含有する発現ベクター、及びこのベク
ターを含有する宿主細胞、好ましくは真核生物細胞、最
も好ましくは哺乳動物宿主細胞を提供する。
さらに、本発明は上記のベクターを含有する細胞を培
養する工程、及びその細胞培養物又はその分子が分泌さ
れる場合には培養培地からプラスミノーゲンを回収する
工程をも好ましくは包含している、プラスミノーゲンの
生産方法を提供する。
また、本発明は他の態様として、2本鎖型へのタンパ
ク質分解的開裂に対して耐性であるプラスミノーゲンを
提供する。好ましくは、本発明プラスミノーゲンはその
561−562の2本鎖開裂部位が突然変異された1本鎖配列
変異体である。
本発明はさらに、製薬的に許容され得る担体中に製剤
化された上記プラスミノーゲンの有効量を含有する、血
栓溶解のための医薬組成物を提供する。この組成物には
さらに、好ましくはプラスミノーゲンと複合化している
フィブリン溶解酵素も包含される。
本発明はまた、血栓溶解療法を必要としている哺乳動
物に上記医薬組成物の有効量を投与することを特徴とす
る血栓溶解療法のための方法を提供する。
さらなる態様として、本発明は、加水分解により除去
することのできる基によって保護(ブロック)されてい
るフィブリン溶解活性にとって必須の触媒部位を有す
る、フィブリン溶解酵素とプラスミノーゲンとの2元複
合体(binary complex)を調製するための方法であっ
て、式:A−B又はE−F [式中、Aはフィブリン溶解活性にとって必須の触媒部
位に選択的であり、かつ基Bから触媒部位に転移するこ
とのできる加水分解に不安定なブロッキング基であり、 BはAを酵素に結合させることのできる基であり、 Eはブロッキング剤を触媒部位に局在化させる局在化
基であり、 Fはその局在化基から触媒部位に転移することのでき
る加水分解的に不安定なブロッキング基である] で示されるブロッキング剤の過剰量の存在下に、フィブ
リン溶解酵素を本発明の開裂耐性プラスミノーゲンと混
合し、2元複合体を形成させることを特徴とする方法を
提供する。
本明細書に記載の方法に従って調製されるプラスミノ
ーゲン変異体はストレプトキナーゼとの複合体中でプラ
スミンに分解されず、急速(≦30秒)にアミド分解活性
及びプラスミノーゲンアクチベーター活性の両活性を現
す。
図面の簡単な説明 第1図は、ベクターpUC119PN127.6のヌクレオチド配
列を表す。但し、そのベクターの3809ヌクレオチド位は
Tであるが、天然のヒトプラスミノーゲンをコードする
配列を表している第1図に示す配列ではCである。第1
図の配列にはさらに、天然の配列を有するヒトプラスミ
ノーゲンの推定アミノ酸配列も表している。
第2図は、ベクターpSVI−tPAの構築を表している。
第3図は、ベクターpSVI2−tPAの構築を表している。
第4図は、ベクターpSVI3−tPAの構築を表している。
第5図は、ベクターpSVI5−tPAの構築を表している。
第6図は、ベクターpSVI6B−tPAの構築を表してい
る。
第7図は、本発明に従ってHPg変異体を発現させるた
めに使用されるpA475R561SPgの構築を表している。
第8図は、昆虫細胞発現のために使用されるバキュロ
ウイルス転移ベクターpAV6の構築を模式的に表すフロー
チャートを表している。
好ましい態様の詳細な説明 A.定義 本明細書に使用している「プラスミノーゲン」又は
「Pg」は、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネズミ及
びネコプラスミノーゲンなどのあらゆる種由来のプラス
ミノーゲン、ならびに第1図に示すアミノ酸配列を有し
ているヒトプラスミノーゲンを意味する。但し、これ
は、天然Pgの生物活性、即ちプラスミノーゲンアクチベ
ーター(例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、
又は組織プラスミノーゲンアクチベーター)によって開
裂されてプラスミンを産することができるか、又は天然
Pgの少なくとも1つのエピトープに対して惹起された抗
体と免疫学的に交叉反応する免疫エピトープを有してい
るなどの生物活性を有するものである。
プラスミノーゲン変異体は、天然Pgのアミノ酸配列が
主として前もって規定した突然変異によって、少なくと
も1つの修飾がプラスミノーゲンをその2本鎖型にする
タンパク質分解的な開裂に対して耐性になるよう修飾さ
れている分子として定義される。Pgのアミノ酸配列変異
体には例えば、欠失型、又は第1図に示すアミノ酸Pg配
列内の残基の挿入型もしくは置換型がある。最終構築物
が開裂に対する所望の耐性及び生物活性を有している限
り、欠失、挿入及び置換のあらゆる組合わせ型も行え、
それにより最終構築物を得ることができる。変異型Pgを
コードしているDNA内で行った突然変異は読み取り枠を
外れた配列に起こさないことが好ましく、また二次元mR
NA構造物を産しかねない相補領域を作成しないことがさ
らに好ましいのは明白である[例えば、欧州特許公開第
075,444号を参照のこと]。
Pgにおける「2本鎖開裂部位」及び「2本鎖型へのタ
ンパク質分解的開裂」の部位にはHPgの561位にアルギニ
ン残基が少なくとも含有されている。しかし、561位に
近接する、又はその幾つかの残基内のアミノ酸が種々変
動してもそれはプラスミノーゲンをその2本鎖型に変換
する酵素によって認識されるドメインの一部と考えられ
る。
具体的な態様では、「1本鎖プラスミノーゲン変異
体」は、561−562開裂部位における2本鎖型への変換に
対して耐性であるプラスミノーゲンである。この特徴
は、2本鎖活性化部位の単一又は多重アミノ酸置換であ
る。このような活性化部位は修飾されているので、プラ
スミノーゲンを通常はその2本鎖型に変換する酵素によ
っては酵素学的に認識されず、従って加水分解されな
い。
トリプシン及びキモトリプシンとの類似性に基づけ
ば、セリンプロテアーゼの2本鎖型が生成するために重
要なことはHPg内の562位に遊離のα−アミノ基が結果的
に存在することと考えられる。これを比較すれば、562
位のα−アミノ基がプラスミノーゲンのセリン活性部位
の領域内のポリペプチド鎖と相互作用することがArg561
位の開裂の際には自由なのであろう。従って、本発明は
プラスミノーゲン分子の活性全体を減じることなく、こ
のようなα−アミノ基とプロテアーゼ活性部位との相互
作用を妨害するあらゆる突然変異を包含するものであ
る。
「作動可能に結合」という表現は、構成成分の正常な
機能を発揮させることができるような並置を意味する。
従って、制御配列に「作動可能に結合した」暗号配列と
は、その暗号配列がこれら制御配列の制御のもとで発現
することができ、また連結されたDNA配列が連続してい
る配置、さらに、分泌リーダーの場合には連続しており
かつ読み取り枠内にある配置を意味する。例えば、プレ
配列あるいは分泌リーダーのためのDNAは、それがポリ
ペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現さ
れるなら、ポリペプチドのDNAに作動可能に結合してい
る。また、プロモーターあるいはエンハンサーは、それ
が配列の転写に影響を与えるなら、暗号配列に作動可能
に結合している。さらに、リボソーム結合部位は、それ
が暗号配列の翻訳を促進するように設置されているな
ら、その暗号配列に作動可能に結合している。結合は都
合の良い制限部位での連結(ライゲーション)によって
行なう。そのような部位が存在しない場合には、合成オ
リゴヌクレオチドアダプター又はリンカーを常法に従っ
て用いる。
本明細書で用いる「細胞」、「セルライン」及び「細
胞培養物」は相互に交換使用することができ、これらの
発現はすべてその子孫をも包含する。従って、「形質転
換体」あるいは「形質転換細胞」には、最初の被細胞及
びこれから導びかれる培養物(その継代数は問わない)
が含まれる。意図した突然変異あるいは偶然の突然変異
のために、全ての子孫が正確に同一のDNA内容物を含ん
でいないこともある。最初の被細胞においてスクリーニ
ングされる機能と同じ機能を有する突然変異子孫がこれ
らの用語に包含される。別の意味が意図されている場合
は、その文脈から明白であろう。
「制御配列」は、作動可能に結合した暗号配列が特定
の宿主生物中で発現するのに必要なDNA配列を意味す
る。原核生物に適した制御配列としては、例えばプロモ
ーター、場合によってオペレーター配列、リボソーム結
合部位、または、場合によっては未だよく理解されてい
ない他の配列が挙げられる。真核細胞はプロモーター、
ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用するこ
とが知られている。
「発現系」は、作動可能に結合した所望の暗号配列と
制御配列とを含有するDNA配列であって、これらの配列
で形質転換された宿主がそのコードされているタンパク
質を産生することができるようなDNA配列を意味する。
形質転換を行なうため、この発現系をベクターに含有さ
せることができ、それを本明細書では「発現ベクター」
と呼んでいる。しかし、関係しているDNAが後に宿主染
色体に組込まれることもある。
B.本発明を実施するための方法 本発明の目的に沿う変異型プラスミノーゲンは、その
2本鎖型へのタンパク質分解的開裂、一般にはプラスミ
ンに対して耐性であるものである。その変異型配列はヒ
トプラスミノーゲンを基礎とするものが好ましい。この
ような変異体は組換え及び合成又は部分合成の両者など
のあらゆる手段によって調製することができるが、好ま
しい変異体はHPgがHPmに変換する際の重要な開裂部位に
位置する1つのアミノ酸残基、好ましくは561位のアル
ギニンが他のアミノ酸、好ましくはリシン以外のもの、
最も好ましくはジカルボキシ含有アミノ酸又はセリンと
置換されているものである。従って、最も好ましい変異
体は、以下に説明する命名法を用いて示せば、R561S−H
Pg、R561E−HPg、及びR561G−HPgとなる。[HPgについ
て「A475」なる命名は、475位にアラニン残基を有して
いる天然配列HPgを意味しており、これは475位にバリン
を有するpUC119PN127.6中に見いだされる配列とは対照
的である。以下で使用し、請求の範囲で使用しているR5
61S−HPg、R561E−HPg及びR561G−HPgなる命名は、特に
明記しない限り、475位にアラニンを有するHPgを意味す
る。] 本発明の変異体はPgをコードしているDNA内のヌクレ
オチドを部位特異的突然変異し、その変異体をコードし
ているDNAを得、次いでそのDNAを適当な宿主細胞内で発
現させることによって調製することができる。
タンパク質分解に耐性であるPgをコードするDNAはま
た、宿主細胞内で発現させる前に多くの手法により化学
的に合成でき、組み立てることもできる[例えば、Caru
thersの米国特許第4,500,707号;BallandらのBiochimie,
67:725−736(1985);EdgeらのNature 292:756−762(1
982)を参照のこと]。
他の態様では、本発明の変異体はグリコシル化されて
いなくてもよく、これは真核生物宿主内で発現されるプ
ラスミノーゲンをグリコペプチダーゼFのような目的に
適った適当な酵素で処理することにより得ることができ
る。
本明細書に記載するHPg変異体を簡略命名法によって
命名するための数字は、推定の成熟Pgのアミノ酸配列に
沿ったアミノ酸残基/位置を表していることに留意すべ
きである。アミノ酸の特定には以下のようなアミノ酸の
1文字アルファベットを使用している: 本明細書における置換型変異体の命名は、文字、その
後の数字、その後の文字から構成される。最初の文字
(最も左側)は野生型の成熟Pg内のアミノ酸を示す。そ
の後の数字は、そのアミノ酸の置換が行われたアミノ酸
の位置を示し、第2の文字(右側)は野生型アミノ酸を
置換するのに使用したアミノ酸を示している。挿入型変
異体の命名は、文字i、次いで野生型成熟Pg内における
挿入開始前の残基の位置を示す数字、次いで挿入が施さ
れたすべてを示す1つ又はそれ以上の大文字から構成さ
れる。欠失型変異体の命名は、文字d、次いで欠失の開
始位置の数字から欠失の終止位置までの数字(なお、こ
の位置は野生型の成熟Pgに基づく)から構成される。多
重突然変異は、読み易さの点から表記中のカンマによっ
て分離して表す。
この命名法を例示すれば以下のようになる:野生型Pg
の561位のアルギニンがグルタミン酸残基と置き換わっ
ている置換型変異体は、R561Eと命名される。連続した5
61−562の位置のRVがEEと置き換わっている多重置換を
有する置換型変異体はR561E,V562Eと命名される。シス
テイン及びバリンが野生型Pgの560位の後に挿入されて
いる挿入型変異体は、i560CVと命名される。561から562
位のアミノ酸が野生型成熟Pgから欠失している欠失型変
異体は、d561−562と命名される。「HPg」なる表記は各
突然変異の後ろに従う。
殆どの欠失及び挿入ならびに特に置換は、組換えPg分
子の特性に本質的な変化をもたらさないと期待される。
しかし、置換、欠失又は挿入の過剰効果を先立って予測
するのが困難であるなら、例えばPgの活性部位又は免疫
エプトープを修飾する場合は、当業者なら、その効果が
通常のスクリーニング検定によって評価できることは理
解されよう。例えば、変異体は通常、天然Pgをコードす
る核酸の部位特異的突然変異、その変異型核酸の組換え
細胞培養物での発現、及び要すれば例えばウサギポリク
ローナル抗−Pgカラムの免疫アフィニティー吸着による
その細胞培養物からの精製によって調製することができ
る。
次いで、その変異体は所望の特性についての適当なス
クリーニング検定によりスクリーニングすればよい。例
えば、ある種の抗体への親和性などのPgにおける免疫学
的特性の変化は、競合免疫検定によって測定することが
できる。活性化レベルの変化は、適当な検定法により測
定される。酸化還元又は熱安定性、ハイドロフォビシテ
ィー、タンパク質溶解的分解に対する感受性、又は担体
との凝集性もしくは重合体になる傾向などのタンパク質
特性の修飾は、当業者に周知の方法により検定すること
ができる。
本明細書に開示したベクター及び方法は、広範囲の原
核生物及び真核生物にわたる宿主細胞で使用するのに適
しており、比較的好ましいものは真核生物、最も好まし
いものは哺乳動物宿主である。
一般に、目的のベクターの最初のクローニング、増
幅、又は保存には原核生物が好ましい。ベクターDNAは
ある種の原核生物から容易に得ることができる。大腸菌
(E.coli)K12株MM294(ATCC No.31,446)がこの目的に
特に有用である。使用できる他の微生物株には、E.col
B及びE.coli X1776(ATCC No.31,537)のような大腸菌
株が含まれる。勿論、これらの例は例示を意図するもの
であって、限定のためのものではない。
一般に、宿主細胞に適合する種から導かれるレプリコ
ン及び制御配列を含有するプラスミドベクターを、これ
らの原核生物宿主と組合せて使用する。通常、このベク
ターは、複製部位、ならびに形質転換された細胞におけ
る表現型選択を付与できるマーキング配列を保持する。
例えば、大腸菌は大腸菌種由来のプラスミドpBR322[例
えば、Bolivarら,Gene :95(1977)を参照]を用いて
形質転換するのが普通である。pBR322はアンピシリン及
びテトラサイクリン耐性のための遺伝子を含有している
ので、形質転換細胞を同定するための容易な手段を与え
る。また、このpBR322プラスミドあるいは他の微生物プ
ラスミドもしくはファージ、選択マーカー遺伝子の発現
のために、その微生物によって使用され得るプロモータ
ーを含有するか、又は含有するように修飾されなければ
ならない。
原核生物宿主における組換えDNA構築に最も普通に用
いられるプロモーターには、β−ラクタマーゼ(ペニシ
リナーゼ)およびラクトースプロモーター系[Changら,
Nature 375:615(1978);Itakuraら,Science 198:1056
(1977);Goeddelら,Nature 281:544(1979)]、なら
びにトリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel
ら,Nucleic Acids Res.:4057(1980);EPO出願公開N
o.0036,776]が含まれる。これらが最も普通に用いられ
るが、その他の微生物プロモーターも発見され、そして
利用されている。これらのヌクレオチド配列の詳細は公
表されており、当業者はこれらをプラスミドベクターに
機能的に連結することができる[例えば、Siebenlist
ら,Cell 20:269(1980)を参照]。
発現のためには、酵母培養物などの真核微生物を用い
る。Saccharomyces cerevisiae又は通常のパン酵母が最
も普通に用いられる真核微生物であるが、他の多数の菌
株も普通に利用することができる。Saccharomyces中で
発現させるためには、例えばプラスミドYRp7[Stinchco
mbら,Nature 282:39(1979);Kingsmanら,Gene :141
(1979);Tschemperら,Gene 10:157(1980)]が普通に
用いられる。このプラスミドは、トリプトンファン中で
増殖する能力を欠く酵母の突然変異株、例えばATCC No.
44,076又はPEP4−1[Jones,Genetics 85:12(1977)]
のための選択マーカーを与えるtrp1遺伝子を既に含有し
ている。次いで、酵母宿主細胞ゲノムの性質としてtrp1
欠損が存在すると、トリプトファ]の不存在下での増殖
によって形質転換を検出するための有効な環境が得られ
る。
酵母ベクターにおける適切な促進配列(プロモーター
配列)には、3−ホスホグリセレートキナーゼのための
プロモーター[Hitzemanら,J.Biol.Chem.255:2073(198
0)]、又はその他の解糖系酵素、例えばエノラーゼ、
グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナー
ゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルホキシラーゼ、
ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェー
トイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ピ
ルベートキナーゼ、トリオセホスフェートイソメラー
ゼ、オスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナー
ゼなどのプロモーター[Hessら,J.Adv.Enzyme Reg.:1
49(1968)及びHollandら,Biochemistry 174900(197
8)]が含まれる。生育条件によって転写が制御される
という別の利点を有する他のプロモーターは、アルコー
ルデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸性ホスフ
ァターゼ、窒素代謝に関与する分解酵素、及び上記グリ
セルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、
及びマルトース及びガラクトース利用に関与する酵素の
プロモーター領域である。酵母に適合するプロモータ
ー、複製起点及び終止配列を含有するあらゆるプラスミ
ドベクターが適切である。
微生物に加えて、多細胞生物由来の細胞培養物も宿主
として用いることができる。原理的には、脊椎動物の培
養物又は無脊椎動物の培養物の由来を問わず、このよう
な細胞培養物の全てが利用可能である。
無脊椎動物宿主での発現のために、多くのバキュロウ
イルス株及び変異体、ならびにAedes aegypti(蚊)、A
edes albopictus(蚊)、Drosphila melanogaster(ミ
バエ)、及びBombyx mori宿主細胞などの宿主由来の対
応する寛容的な昆虫宿主細胞が同定されている[例え
ば、LuckowらのBio/Technology,:47−55(1988);及
びMaedaらのNature 315:592−594(1985)を参照のこ
と]。このような種々のウイルス株の公に入手可能であ
り、例えばAutographa californica NPVのL−1変異体
及びBombyx mori NPVのBm−5株及び類似のウイルス
は、本発明に従い、特にSpodoptera frugiperda細胞の
トランスフェクトのためにウイルスとして使用すること
ができる。
しかし、脊椎動物細胞が最も重要であり、脊椎動物細
胞の培養(組織培養)での増殖は近年ではルーチン操作
となっている[Tissue Culture.Academic Press,Kruse
及びPatterson編(1973)]。
このような有用な脊椎動物宿主セルラインの例には、
SV40配列で形質転換されたサル腎CVIライン(COS−7;AT
CC CRL 1651);ヒト胚腎ライン[293;Grahamら,J.Gen.
Viol.36:59(1977)];幼ハムスター腎細胞(BHK;ATCC
CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞[Urlaub
及びChasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(198
0)];マウスセルトリ細胞[TM4:Mather,Biol.Reprod.
23:243−251(1980)];サル腎細胞(CVI;ATCC CCL 7
0);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76;ATCC CRL−
1587);ヒト頸癌細胞(HELA;ATCC CCL 2);イヌ腎細
胞(MDCK;ATCC CCL 34);バッファロラット肝細胞(BR
L 3A;ATCC CCL 1422);ヒト肺細胞(W138;ATCC CCL 7
5);ヒト肝細胞(Hep G2;HB 8065);マウス乳腫瘍細
胞(MMT 060562;ATCC CCL 51);ラット肝癌細胞[HTC,
M1.54;Baumannら,J.Cell.Biol.85:1−8(1980)];及
びTRI細胞[Matherら,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68
(1982)]が含まれる。安定な発現のために本発明で最
も好ましい真核生物宿主はチャイニーズハムスター卵巣
セルラインである。
哺乳動物細胞中で使用するためには、発現ベクター上
の制御機能がウイルス原料から提供されることが多い。
例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオー
マ、アデノウイルス2、レトロウイルス、サイトメガウ
イルス、そして最も多くはサルウイルス40(SV40)のゲ
ノムから導かれ。他のプロモーターは、例えばβ−アク
チンプロモーターなどのヘテロローガスな供給源由来の
プロモーターである。SV40ウイルスの初期及び後期のプ
ロモーターは、SV40のウイルス性複製起点をも含有する
断片としてこのウイルスから容易に得られるので特に有
用である[Fiersら,Natute 273:113(1978)]。Hind I
II 部位からBal I部位(ウイルスの複製起点中に位置す
る)に向かって延びる約250bpの配列が含まれているな
ら、比較的小さいか又は比較的大きいSV40断片を用いる
こともできる。ヒトサイトメガロウイルスの即時型プロ
モーターはHind III制限断片として好都合に得られる
[Greenawayら,Gene 18:355−360(1982)]。また、目
的の遺伝子配列に正常には結合しているプロモーター又
は制御配列を用いることも、この制御配列が宿主細胞系
に適合する場合には可能であるし、また、望ましいこと
が多い。
高等真核生物によるPgをコードするDNAの転写は、ベ
クター中にエンハンサー配列を挿入することによって増
大する。エンハンサーは、通常は約10〜300bpのシス作
用性のDNA要素であり、プロモーターの転写開始活性を
増強するように作用する。エンハンサーは、その配向及
び位置には比較的非依存性であり、転写単位の5′[La
iminsら,Proc.Natl.Acad.Sci.78:993(1981)]及び
3′[Luskyら,Mol.Cell Bio.:1108(1983)]に、イ
ントロン内[Banerjiら,Cell 33:729(1983)]に、な
らびに暗号配列それ自体の内部[Osborneら,Mol.Cell B
io.:1293(1984)]に見い出されている。しかし、本
発明のためにはこのエンハンサー要素をプロモーター配
列の上流に設置するのが好ましい。現在では多数のエン
ハンサー配列が哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスター
ゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン及びインスリ
ン)から既知となっている。しかし、真核生物細胞ウイ
ルス由来のエンハンサーを用いるのが普通である。その
例には、SV40の複製起点の後期側のエンハンサー(bp10
0〜270)、サイトメガロウイルスの初期プロモーターエ
ンハンサー、ポリオーマの複製起点の後期側のエンハン
サー、及びアデノウイルスのエンハンサーが含まれる。
本発明で最も好ましいのはSV40のエンハンサー領域であ
る。
哺乳動物宿主細胞で用いる発現ベクターはポリアデニ
ル化部位をも含有しているであろう。ポリアデニル化領
域の例は、例えばSV40(初期及び後期)又はHBVなどの
ウイルスから導かれる領域である。
複製起点は、外性の起点[例えば、SV40又は他のウイ
ルス(ポリオーマ、アデノ、VSV、BPVなど)供給源から
導かれる]を含むようにベクターを構築することによっ
て得るか、又は宿主細胞から得ることができる。ベクタ
ーが宿主細胞の染色体中に組込まれるときには、後者が
充分であることが多い。
発現ベクターは、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝
子を含んでいるのが適切であろう。選択遺伝子は、ベク
ターで形質転換された宿主細胞の生存又は増殖に必要な
タンパク質をモードしている。哺乳動物細胞に適した選
択マーカーの例には、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、
チミジンキナーゼ(TK)又はネオマイシンが含まれる。
このような選択マーカーが哺乳動物宿主細胞中に成功裏
に移転されると、その形質転換された哺乳動物宿主細胞
は選択圧のもとに置かれたときでも生存することができ
る。
広く用いられている2種類の別カテゴリーの選択法が
存在する。第1のカテゴリーは、添加された培地とは無
関係に増殖する能力を欠く突然変異セルラインの使用と
細胞の代謝に基づいている。例を2つ挙げると、CHO DH
FR-細胞及びマウスLTK-細胞である。これらの細胞は、
チミジン又はヒポキサンチンなどの栄養素の添加なしで
増殖する能力を欠いている。これらの細胞は完全なヌク
レオチド合成経路に必要なある種の遺伝子を欠いている
ので、この欠失したヌクレオチドが添加培地に供給され
なければ生存することができない。培地に添加を行うこ
との代替法は、無傷のDHFR又はTK遺伝子をそのそれぞれ
の遺伝子を欠いている細胞中に導入し、それらの増殖要
件を変えることである。DHFR又はTK遺伝子で形質転換さ
れていない個々の細胞は、未添加の培地では生存するこ
とができないであろう。従って、これら細胞を直接選択
するには、添加栄養素の不存在下での細胞増殖が必要で
ある。
第2のカテゴリーは優性選択であり、これは突然変異
セルラインの使用を必要としない選択法である。通常、
この方法は宿主細胞の増殖を抑制する薬物を用いる。新
規に遺伝子を保持するこれら細胞は薬物耐性を与えるタ
ンパク質を発現し、選択に耐えるであろう。この優性選
択に用いる薬物の例には、ネオマイミン[Southern及び
Berg,J.Molec.Appl.Genet.:327(1982)]、ミコフェ
ノール酸[Mulligan及びBerg,Science 209:1422(198
0)]、又はハイグロマイシン[Sugdenら,Mol.Cell.Bio
l.:410−413(1985)]が含まれる。ここに挙げた3
つの例は、真核性の制御下に細菌遺伝子を用いて、適当
な薬物、即ちネオマイシン(G418又はジェネチシン)、
xgpt(ミコフェノール酸)、又はハイグロマイシンのそ
れぞれに対する耐性を与えるものである。
本発明の方法によれば、十分な量のポリペプチドが細
胞培養によって生産されるが、二次暗号配列を用いる改
良によって生産レベルをさらに増大させられる。ある二
次暗号配列は、メトトレキセート(MTX)などの外因的
に制御されるパラメーターの影響を受けるジヒドロ葉酸
還元酵素(DHFR)からなり、従ってメトトレキセート濃
度を制御することによって発現を制御することができ
る。
目的とするタンパク質及びDHFRタンパク質の両者をコ
ードするDNA配列を含有する本発明のベクターによるト
ランスフェクションにとって好ましい宿主細胞を選択す
る際には、使用するDHFRタンパク質の型に従って宿主を
選択するのが適切である。野生型DHFRタンパク質を使用
する場合には、DHFRが欠失している宿主細胞を選択する
のが好ましく、これにより、ヒポキサンチン、グリシン
及びチミジンを欠く選択培地中での成功したトランスフ
ェクションのための標識としてDHFR暗号配列を使用する
ことが可能になる。この場合の適切な宿主細胞は、Urla
ub及びChasin[Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77:4216(1
980)]の記述のように調製し、増殖させた、DHFR活性
を欠失しているチャイニーズハムスター卵巣(CHO)セ
ルラインである。
一方、MTXに対して低い結合親和性を有するDHFRタン
パク質を制御配列として使用する場合には、DHFR欠失細
胞を使用する必要はない。突然変異DHFRはメトトレキセ
ートに対して耐性であるので、宿主細胞自体がメトトレ
キセート感受性である場合には、MTXを含む培地を選択
の手段として使用することができる。MTXを吸収するこ
とができる真核生物細胞のほとんどは、メトトレキセー
ト感受性であると考えられる。このような有用なセルラ
インの1つはCHO株、CHO−K1(ATCC No.CCL61)であ
る。
目的の暗号配列及び制御配列を含有する適切なベクタ
ーの構築には、標準的な連結(ライゲーション)技法を
用いる。単離したプラスミド又はDNA断片を切断し、加
工し、再連結して、必要なプラスミドを所望の形態とし
て調製する。
平滑末端が必要であれば、得られた調製物をポリメラ
ーゼI(クレノー)10単位で15分間15℃で処理し、フェ
ノール−クロロホルム抽出し、次いでエタノール沈澱す
ればよい。
切断した断片のサイズ分離は、Goeddelら[Nucleic A
cids Res.:4057(1980)]に記述されている6%ポリ
アクリルアミドゲルを用いて行うことができる。
構築したプラスミド中の正しい配列を確認するための
分析には、通常、連結混合物を用いてE.coli K12 294株
(ATCC 31,446)あるいは他の適当な大腸菌株を形質転
換し、適当な時点に成功裏の形質転換体をアンピシリン
もしくはテトラサイクリン耐性によって選択する。Mess
ingら[Nucleic Acids Res.:309(1981)]の方法、
もしくはMaxamら[Meth.Enzym.65:499(1980)]の方法
により、形質転換体からプラスミドを調製し、制限マッ
ピング及び/又はDNA配列決定によって分析する。
DNAを哺乳動物細胞宿主に導入し、安定な形質転換体
用の培地中で選択した後、DHFR活性の競合的阻害物質で
あるメトトレキセート約200〜500nM濃度の存在下で宿主
細胞培養物の生育させることによって、DHFRタンパク質
をコードする配列の増幅を行なう。濃度の有効範囲は勿
論そのDHFR遺伝子の性質及び宿主の特徴に大きく依存す
る。明確かつ一般的に定義した上限及び下限を確定する
ことはできない。他の葉酸類似体もしくはDHFRを阻害す
る他の化合物も適切な濃度で使用することができる。し
かし、MTX自体が便利であり、容易に入手でき、また効
果的である。
フィブリン溶解酵素及びプラスミノーゲン間に形成さ
れる複合体はスミス(Smith)らの米国特許第4,808,405
号に記載されているように血栓溶解薬として使用するこ
とができ、それは以下の実施例5で説明している。簡単
に説明すれば、ストレプトキナーゼとプラスミノーゲン
との2元複合体であって、加水分解によって除去し得る
基によりブロックされたフィブリン溶解活性に必須の触
媒部位を有する複合体からなる酵素誘導体を、pH7.4、3
7℃の等張性水性媒質中においてその誘導体の加水分解
の擬一次速度定数が10-6sec-1から10-3sec-1となるよう
に調製すればよい。但し、触媒部位をブロックする基は
p−グアニジノ−ベンゾイル基ではない。このような基
に適するものは、ベンゾイル、置換ベンゾイル、アクリ
ロイル又は置換アクリロイル基などのアシル基などであ
る。
この複合体を調製するための方法は、式:A−B又はE
−F[式中、Aはフィブリン溶解活性にとって必須の触
媒部位に選択的であり、かつ基:Bから触媒部位に転移す
ることのできる基であり、 BはAを酵素に結合させることのできる基であり、 Eはブロッキング剤を触媒部位に局在化させる局在化
基であり、 Fはその局在化基から触媒部位に転移することのでき
る基である]で示されるブロッキング剤の過剰量の存在
下に、ストレプトキナーゼとプラスミノーゲンとを混合
し、次いで要すれば、そのようにして生成させた誘導体
を単離することを特徴とする。好ましくは、加水分解に
よって除去され得る基はアシル基であり、最も好ましく
はベンゾイル、置換ベンゾイル、アクリロイル、又は置
換アクリロイル基であり、例えばハロゲン、C1−C6アル
キル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルカノイルオキシも
しくはC1−C6アルカノイルアミノによって置換されてい
るベンゾイル、又はC1−C6アルキル、フリル、フェニル
もしくはC1−C6アルキルフェニルによって置換されてい
るアクリロイルなどが挙げられる。さらに、ABがp−ニ
トロフェニル−p′−グアニジノベンゾエートであり、
基:Eがp−アミジノフェニル又はp−アセトアミドフェ
ニルであり、基:Fがベンゾイル又はアクリロイル基であ
るのが好ましい。
本発明はさらに、ヒトプラスミノーゲン変異体を含有
する医薬組成物をも包含する。このような組成物は好ま
しくは、等張性の水性緩衝液又は医薬品級の「注射用
水」などの製薬的に許容され得る担体を含有する。さら
に、本発明は製薬的に許容され得る担体と共に、フィブ
リン溶解酵素、好ましくはその酵素とプラスミノーゲン
変異体との複合体、より好ましくはストレプトキシナー
ゼとプラスミノーゲン変異体との2元複合体、最も好ま
しくは内部ペプチド結合の開裂を有さないp−アニソイ
ルストレプトキナーゼ/プラスミノーゲン複合体[Smit
hらの米国特許第4,808,405号、前掲]を含有してなる医
薬製剤をも包含する。さらに本発明の1つの態様では、
フィブリン溶解活性に関与する複合体の活性部位を加水
分解によって除去し得る基によりブロックするに当た
り、pH7.4、37℃の等張性水性媒質中におけるその複合
体の加水分解の擬一次速度定数が10-6sec-1から10-3sec
-1となるようにする。
本発明の組成物はヒトへの非経口的投与に適合する標
準的な手法により製造化される。
通常、静脈内投与用の組成物は、滅菌した等張水性緩
衝液中の滅菌誘導体の溶液である。必要であれば、その
組成物には、複合体のための安定化剤を添加できる。一
般には、その複合体は単位投与剤形の形態、例えばアン
プルなどの密封容器中に入れた乾燥粉末又は水不含の濃
縮物として供給する。注入投与の場合、滅菌した医薬品
級の注射用水を含有する注入用ボトルから複合体を投与
する。注射投与の場合は、滅菌した注射用水のバイアル
から複合体を投与する。注射用又は注入用組成物は、投
与前に各成分を混合することにより調製される。
投与する複合体の有効量は、必要なフィブリン溶解の
量及び必要なその速度、血栓塞栓の程度、ならびに血餅
の位置及び大きさなどの多くの因子によって変わるが、
一般には得ようとしている成績、即ち血餅の溶解性によ
ってその量は定まる。例えば、肺塞栓症の患者又は生命
を脅かす血栓を有する患者には、急速に作用する物質の
ボーラス投与が必要となるであろう。他方、手術後の血
栓の生成を予防したい場合は、ゆっくりと作用する物質
が少量あれば実際上有用であろう。使用する正確な投与
量及び投与方法は医師によって観察される所見に応じて
決定され得るものである。しかし、一般には、中程度の
大きさの血栓を処置すべき患者には注射(8回までの投
与)又は注入のいずれかによって、体重1kg当たり0.10
から1.0mgの投与量で投与する。
実施例及び請求の範囲を簡素にするために、頻繁に使
用する方法のいくつかを簡略化した用語で表現する。
「トランスフェクション」は、いずれかの暗号配列が
実際に発現されるか否かにかかわらず、宿主細胞による
発現ベクターの取込みを意味する。数多くのトランスフ
ェクショ法が当業者に知られている(例えば、CaPO4
び電気穿孔法)。一般に、成功裏のトランスフェクショ
ンは、このベクターの作用の何らかの微候がその宿主細
胞内に生じたときに認められる。
「形質転換」は、DNAが染色体外要素として、又は染
色体構成要素として複製されるように生物内にDNAを導
入することを意味する。使用する宿主細胞に応じて、そ
の細胞に適した標準的技術を用いて形質転換を行う。Co
hen,S.N.[Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)69:2110(197
2)]、Mandelら[J.Mol.Biol.53:154(1970)]、及び
さらに最近になってLiljestromら[Gene 40:241−246
(1985)]が記述しているような塩化カルシウムを用い
るカルシウム処理法は、堅固な細胞壁障壁を有する原核
細胞及び他の細胞に一般的に用いられている。そのよう
な細胞壁を持たない哺乳動物細胞には、リン酸カルシウ
ム沈殿法が好ましい[Graham,F.及びvan der Ed,A.のVi
rology 52:456−457(1978);Kingston,in Current Pro
tocols in Molecular Biology,Ausubels編(John Wiley
& Sons,New York:1987),1.8.1−1.8.3]。哺乳動物
細胞宿主系の形質転換の全般的態様はAxelの米国特許N
o.4,399,216(1983年8月16日発行)に記載されてい
る、酵母の形質転換は、通常、Van Solingen,P.ら[J.B
act.130:946(1977)]及びHsiao,C.L.ら[Proc.Natl.A
cad.Sci.(USA)76:3829(1979)]の方法に従って行
う。しかし、核注入あるいはプロトプラスト融合を用い
るなど、細胞中にDNAを導入するための他の方法も用い
ることができる。
「プラスミド」は、小文字p、これに先行及び/又は
これに続く大文字及び/又は数字によって表示される。
本発明の出発プラスミドは市販されているか、制限され
ていない供給源から誰でも入手可能であるか、又は公表
された方法に従ってそのような入手可能なプラスミドか
ら構築することができる。さらに、他の等価なプラスミ
ドが当分野で知られており、当業者に明白であろう。
本発明において用いる「PCR」の技術は、一般に、ご
く微量の特定のDNA片を米国特許No.4,683,195(1987年
7月28日発行)に記述されている複製連鎖反応(PCR)
を用いて増幅することができるという技術を意味する。
通常は、目的の配列の両末端又はそれを越えた部分の配
列情報が利用可能であることを必要とし、これによって
オリゴヌクレオチドプライマーを設計すればよい。これ
らのプライマーは互いに向き合い、増幅しようとする鋳
型の反対側の鎖と同一であるか、もしくは類似している
であろう。この2つのプライマーの5′末端ヌクレオチ
ドは、増幅される原料物質の両末端と一致している。PC
Rを用いれば、全ゲノムDNA、全細胞RNAから転写されたc
DNA、バクテリオファージあるいはプラスミド配列など
から特定のDNA配列を増幅することができる[一般的に
は、H.Erlich編のPCR Technology(Stokton Press,NY,1
989)を参照]。
本発明において用いる「PCR突然変異誘発」の技術
は、次のような技術を意味する[Erlich(上記)のR.Hi
guchiの章(61−70頁)を参照]。少量の鋳型DNAをPCR
の出発物質として使用するときは、鋳型DNA中の対応す
る領域と配列がわずかに異なっているプライマーを用い
れば、プライマーが鋳型と異なっている位置のみが鋳型
配列と異なっている特別のDNA断片を比較的大量に生成
させることができる。プラスミドDNA中に突然変異を導
入するためには、一方のプライマーをその突然変異の位
置に重なるようにし、そして突然変異を含むように設計
する。他方のプライマーの配列はプラスミドの反対側の
鎖の配列の部分と同一でなければならないが、この配列
はプラスミドDNAに沿うどんな場所に位置していてもよ
い。しかし、第2のプライマーの配列は、プライマーに
よって囲まれたDNAの全増幅領域が最終的には容易に配
列決定され得るように、第1の配列から200ヌクレオチ
ド以内に位置しているのが好ましい。ここに記したプラ
イマー対と同様のプライマー対を用いるPCR増幅によ
り、プライマーによって特定した突然変異の位置におい
て異なり、さらにおそらくは他の位置において異なるDN
A断片の集団が得られることになる(鋳型のコピーは若
干間違う傾向にあるので)。
以下に説明する方法においては、製造物質に対する鋳
型の比率は極めて低く、その結果、製造されたDNA断片
の大部分は所望の突然変異を含んでいる。この製造物質
を、通常のDNA技術を使用し、PCR鋳型として用いてプラ
スミド中の対応領域を置換するのに用いる。突然変異の
第2プライマーを用いることによって、又は異なる突然
変異プライマーによる第2のPCRを行なって、得られた
2つのPCR断片を3(又はそれ以上)部分連結で同時に
ベクター断片に連結することによって、別位置の突然変
異を同時に導入することができる。
後記の実施例で用いたPCR突然変異誘発の操作は次の
ようである。増幅しようとする領域の外側のプラスミド
DNA中に唯一の認識部位を有する制限エンドヌクレアー
ゼで消化することによって、鋳型プラスミドDNA(1μ
g)を直線化した。この物質のうち1〜5ngを、0.5mlの
反応バイアル中、最終容量50μlで16.6mM(NH42S
O4、67mMトリス−HCl(pH8.8)、6.7mM MgCl2、6.7μM
EDTA、10mM 2−メルカプトエタノール、それぞれ1mMのd
ATP、dCTP、dGTP及びTTP、170μg/mlウシ血清アルブミ
ン、それぞれ25ピコモルのオリゴヌクレオチドプライマ
ー、ならびに1μlのThermus aquaticus(Taq)DNAポ
リメラーゼ(5単位/μl;Perkin−Elmer Cetus,Norwa
k,CT and Emeryville,CAから購入)を含むPCR混合物に
加えた。この反応混合物に35μlの鉱油を重層し、DNA
Thermal Cycler(Perkin−Elmer Cetusから購入)中に
入れた。このDNA Thermal Cyclerは次のようにプログラ
ムした: 上に示したそれぞれのファイルは次の行のファイルにつ
ながっている。プログラムの終了時に、反応バイアルを
Thermal Cyclerから取り出し、水相を新しいバイアルに
移し、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコー
ル(50:50:1容量比)で抽出し、エタノール沈澱させ、
常法によってDNAを回収した。次いで、この物質を、ベ
クター中に挿入するための適切な処理に付した。
DNAの「消化」は、DNA中の特定のヌクレオチド配列に
だけ作用する酵素によるDNAの触媒的切断を意味する。
このような酵素は制限酵素と呼ばれ、また、それぞれが
特異的に作用する配列は制限部位と呼ばれる。本発明で
使用する種々の制限酵素は市販されており、酵素供給元
によって確立された反応条件、補助因子及び他の必要条
件を用いている。制限酵素は一般に、それぞれの制限酵
素が最初に得られた微生物を表す大文字とそれに続く他
の文字、次いで個々の酵素を指定する数字で構成される
略号で表示される。通常、約1μgのプラスミドあるい
はDNA断片を、約20μlの緩衝液中、約1〜2単位の酵
素と共に使用する。個々の制限酵素に適した緩衝液及び
基質量は製造元によって特定されている。通常は37℃で
約1時間のインキュベーションが用いられるが、供給元
の指示に従って変更することもある。インキュベーショ
ンの後、フェノール及びクロロホルム抽出によってタン
パク質を除去し、エタノール沈澱によって水性分画から
消化した核酸を回収する。それが適切であれば、制限酵
素による消化の後に、末端5′リン酸基に細菌アルカリ
ホスファターゼ媒介の加水分解を行なって、1つのDNA
断片中の2つの末端が「環化する」、もしくは閉じたル
ープを形成する(これはその制限部位に他のDNA断片を
挿入することを阻害するであろう)のを阻害する。特に
述べない限り、プラスミドの消化の後に5′末端脱リン
酸化は行わない。脱リン酸化の方法及び試薬は通常のも
のを用いる[T.Maniatisら:Molecular Cloning:A Labor
atory Manual(New York:Cold Spirng Harbor Laborato
ry,1982)133−134頁(1982)]。
制限消化によって得たあるDNA断片の「回収」あるい
は「単離」とは、消化物をポリアクリルアミドもしくは
アガロースゲル電気泳動によって分離し、その移動度を
既知分子量の標識DNA断片の移動度と比較することによ
って目的の断片を同定し、その目的の断片を含有するゲ
ル部分を切り出し、ゲルとDNAを分離することを意味す
る。この操作は広く知られている。例えば、R.Lawnら
[Nucleic Acids Res.:6103−6114(1981)]、及び
D.Goeddel[Nucleic Acids Res.:4057(1980)]を参
照のこと。
「連結(ライゲーション)」は、2つの二本鎖核酸断
片間にホスホジエステル結合を形成させる過程を意味す
る[T.Maniatisら、146頁(1982);上記]。特に述べ
ない限り、連結は、既知の緩衝液及び条件を用い、ほぼ
等モル量の連結しようとするDNA断片0.5μgあたり10単
位のT4 DNAリガーゼ(“リガーゼ”)を用いて行なう
ことができる。
形質転換体からのDNA「調製」とは、プラスミドDNAを
微生物培養物から単離することを意味する。特に述べな
い限り、Maniatisら[90頁(1982);上記]のアルカリ
/SDS法を使用することができる。
「オリゴヌクレオチド」は、既知の方法、例えば、Fr
oehlerら[Nucl.acids Res.14:5399−5407(1986)]に
記述されているデオキシヌクレオチドH−ホスホネート
中間体経由でも、もしくはEP特許公開No.266,032(1988
年5月4日公開)に記述されているような固相法を用い
るホスホトリエステル、ホスファイト又はホスホルアミ
ダイトの化学で化学的に合成された、短い一本鎖もしく
は二本鎖のポリデオキシヌクレオチドである。次いで、
これをポリアクリルアミドゲルで精製する。
「部位特異的突然変異」は当業界では標準的な手法で
あり、所望と突然変異を示す限定的なミスマッチ以外は
突然変異させようとする1本鎖ファージDNAと相補的で
ある合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用して行
う。簡単に説明すれば、そのファージと相補的である鎖
の合成を指令するプライマーとして合成オリゴヌクレオ
チドを使用し、得られた2本鎖DNAをファージを支持す
る宿主細菌に導入する。このようにして形質転換した細
菌の培養物をトップ寒天にプレートし、ファージを有す
る単一の細胞からプラークを形成させる。理論的には、
新たなプラークの50%が1本鎖としての突然変異体を有
するファージを含有する。50%は元の配列である。得ら
れたプラークをハイブリダイズする際は、ハイブリダイ
ゼーションが正確に適合(マッチ)できるが、元の鎖と
のミスマッチはハイブリダイゼーションが防止されるに
十分である温度において、得られたプラークをキナーゼ
処理した合成プライマーとハイブリダイズする。次い
で、プローブとハイブリダイズするプラークを選択し、
培養し、DNAを回収する。
以下に実施例を挙げて、本発明を実施する上で現在知
られる最良の態様を説明するが、これらは本発明の限定
を意図するものではない。
実施例1 t−PA中間体発現ベクターの構築 正しくイントロンを除去した場合の効能を増大させる
という特定の目的のために、スプライス・ドナー−イン
トロンースプライス・アクセプター単位の特徴の多くを
変えることによって、親ベクターpSVI−tPAから種々の
t−PAベクターを導いた。
a.pSVI−tPA 既に開示されている2種類の哺乳動物発現ベクターpR
K−tPA及びpE348DHFRUCの部分を結合させてpSVI−tPAを
創製した。
哺乳動物発現ベクターpRK−tPAは、pRK5[EP 307,247
(上記)に開示されている;ここで、出発プラスミドpC
IS2.8c28DはEP 278,776(1988年8月17日公開)に開示
されている]とt−PA cDNA[Pennicaら,Nture 301:214
(1983)]から調製した。pRK5に挿入するためのcDNA
を、制限エンドヌクレアーゼHind III(ATG開始コドン
の5′側の49塩基対を切断する)及び制限エンドヌクレ
アーゼBal I(TGA停止コドンの下流の276塩基対を切断
する)による切断によって調製した。このcDNAを、予め
Hind III及びSma Iで切断しておいたpRK5に通常の連結
法(Maniatisら,Molecular Cloning,A Laboratory Manu
al,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー,
ニューヨーク1982)を用いて連結した。この構築物をpR
K−tPAと命名し、図2に示す。
pRK−tPAは、ヒト293線維芽細胞への一時的なトラン
スフェクションによりt−PAを効率的合成させる。この
ベクターは、サイトメガロウイルスの即時型遺伝子のエ
ンハンサー及びプロモーター、CMV−IEスプライス・ド
ナー部位及び関連イントロンの一部、バクテリオファー
ジSP6プロモーター、IgVHイントロンの一部及び関連ス
プライス・アクセプター、t−PAをコードしているcDN
A、SV40の初期ポリアデニル化(“ポリA")領域、なら
びにSV40の複製起点(“ori")をプラスミドpUC118中に
含有している。
ベクターpE348DHFRUC[Vannice及びLevinsonのJ.Viro
logy 62:1305−1313(1988);ここではpEと命名されて
いる(図1)]は、Hind III部位(このウイウスの5171
位)の上流にSV40のエンハンサー及び初期プロモーター
領域を含有し、次いでネズミジヒドロ葉酸還元酵素(DH
FR)をコードしているCDNA、続いて584bpのB型肝炎ウ
イルス(HBV)のポリAシグナルを、プラスミドpML1中
のHBVのBamH IからBgl II部位に含有している。このプ
ラスミドは、SV40配列のすぐ上流にポリリカーを含有し
ている。
ベクターpRK−tPA及びpE348DHFRUCの一部を次のよう
にして単離した(図2)。
(1) ベクターpRK−tPAを制限酵素Sac IIで消化し、
次いで大腸菌DNAポリメラーゼI(“pol I")の大きい
(“クレノウ”)断片(フラグメント)で処理して、Sa
c II切断によって生成した3′突出末端を除去した。こ
れに続いて制限酵素Spe Iによる消化を行なった。CMV転
写配列の一部、スプライス・ドナー−イントロン−スプ
ライス・アクセプター単位(図2中の“イントロ
ン”)、t−PAのcDNA、SV40のポリA及びori領域、な
らびにpUC118を含有する大きい方の断片(CMVの5′末
端に由来する少数のヌクレオチドを含有する)を、断片
の電気泳動分離の後にポリアクリルアミドゲルから単離
した(“ゲル単離”)。
(2) ベクターpE348DHFRUCを酵素Cla Iで消化し、得
られた5′突出末端を4種すべてのデオキシリボヌクレ
オチド(dNTP:dATP、dGTP、dCTP、TTP)の存在下にクレ
ノウpol Iを用いて充填した。次いで、Xba Iで消化した
後、小さい方のXba I−Cla I断片(360ヌクレオチド)
に存在するSV40の転写調節配列(SV40初期転写開始部位
を含むエンハンサー及び初期プロモーター)をゲル単離
した。
単離したpRK−tPA及びpE348DHFRUCの断片を連結して
ベクターpSVI−tPAを作成した。
b.pSVI2−tP ベクターpSVI2−tPAを図3に示すようにして調製し
た。ここで、ベクターpSVI−tPAのスプライス・ドナー
部位は、以下の記載のようにして調製した3つの断面の
連結によって突然変異させた。pSVI−tPAの5′エキソ
ン/イントロンの境界に対してヌクレオチド−3(G)
及び−1(C)をそれぞれC及びGに変えて、このスプ
ライス・ドナー配列がコンセンサス(共通)配列:CAG/G
UAAGUと同一になるようにした。これを次のようにして
行なった。
(1) ベクターpSVI−tPAをHind III及びBgl IIで切
断し、381位と618位の2つのHind III部位の間のスプラ
イス・ドナー−イントロン−スプライス・アクセプター
単位を主として含有する小さい断片、618位と770位のHi
nd III及びBgl II部位の間に位置するt−PA cDNAの
5′部分を含有する別の小さな断片、ならびにpSVI−tP
A DNAの残りの部分を含有する大きな断片を得た。細菌
アルカリホスファターゼ(“BAP")処理の後に、これら
3つの断片をゲル電気泳動によって分離し、最も大きい
断片を回収した。
(2) ベクターpSVI−tPAをRsa I及びBgl IIで別々に
消化し、433位のRsa I部位から770位のBgl IIまで延び
る327ヌクレオチドの断片をゲル単離した。この断片
は、イントロンの3′部分、スプライス・アクセプタ
ー、及びt−PA cDNAの5′部分を含有している。
(3) 2種類のオリゴヌクレオチド(図3〜図7中の
“プライマー”)を合成した。第1のもの(SVI379)は
pSVI−tPAのヌクレオチド379〜400(上側の鎖)に対応
するものであるが、制限エンドヌクレアーゼEsg Iによ
って認識される配列(CGGCCG)が得られるように390位
にGからCへの変化が導入されており、そしてHind III
部位に重なっている。これは、次の配列を有していた
(変化の位置には下線を引いた): 第2のオリゴヌクレオチド(SVI448)は448位と427位の
間のpSVI−tPAの下側の鎖に配列が一致するものである
が、11番目のヌクレオチドにGからCへの変化及びヌク
レオチド−13にCからGへの変化を有している。この配
列は、2カ所の単一ヌクレオチド変化のすぐ5′側にRs
a I部位を含んでいる。このオリゴヌクレオチド配列は
次のようであった(対応するpSVI−tPA配列との相違点
には下線を引いた): これら2種類のオリゴヌクレオチドを用い、PCRによっ
て379位と448位の間のpSVI−tPAの領域(スプライス・
ドナーを含む)を増幅した。PCR生成物をHind III及びR
sa Iで消化し、得られた62ヌクレオチドの断片をゲル単
離した。
3種類の単離した断片を連結し、大腸菌MM294に導入
した。プラスミドDNAをいくつかのアンピシリン耐性コ
ロニーから単離し、所望の順序で連結した3つの断面を
有する1つの単離体(pSVI2−tPA)のヌクレオチド配列
を決定して、2種類のプライマーにより特定したヌクレ
オチド変化の存在及び増幅した断片から得られる領域の
完全性について確認を行った。
c.pSVI3−tPA ベクターpSVI3−tPAを図4に示すようにして調製し
た。pSVI2−tPA配列と同一の1つのオリゴヌクレオチド
及び所望の変化が特定された1つの突然変異オリゴヌク
レオチドをそれぞれの場合に用いて、pSVI2−tPAの2つ
の隣接領域をPCRにより増幅した。これらの断片を用い
てpSVI2−tPA中の対応領域を置換した。単離したこれら
断片は次のようであった。
(1) ベクターpSVI2−tPAをHind IIIで消化し、消化
物をBAPで処理し、2つのHind III断片をゲル電気泳動
によって分離した。大きい方の断片をゲルから回収し
た。これは、スプライス・ドナー−イントロン−スプラ
イス・アクセプター単位を含む237ヌクレオチドのHind
III断片を除いて全pSVI2−tPA配列を含有していた。
(2) 新しいオリゴヌクレオチド(SVI525Bam)を、p
SVI2−tPAイントロン内のATGトリヌクレオチドのPCR突
然変異誘発のために合成した。これは525ヌクレオチド
から497ヌクレオチドまでのpSVI2−tPAの下側の鎖と配
列が一致するもののであるが、516位にTからAへの変
化、519位にAからCへの変化、及び523位にTからGへ
の変化を有している。この第1の変化はATGトリヌクレ
オチドをTTGに変えるために設計した。第2及び第3の
変化は酵素BamH Iの認識配列(GGATCC)を創製するため
のものである。SVI525Bamのヌクレオチド配列は次のよ
うであった(pSVI2−tPA配列との相違点には下線を引い
た): オリゴヌクレオチドSVI379(上記)及びSVI525Bamを用
いて、SVI525Bamによって特定される変化を導入しなが
らpSVI2−tPAの379位と525位間の領域をPCR突然変異誘
発により増幅した。この反応生成物をHind III及びBamH
Iで消化し、得られた137ヌクレオチドの断片をゲル単
離した。
(3) オリゴヌクレオチドSVI539Bamを、pSVI2−tPA
の分枝点領域のPCR突然変異誘発のために合成した。こ
れは539位から573位までのpSVI2−tPA配列(上側の鎖)
と一致するものであるが、次の変化を有していた:即
ち、541位のTの代わりにG;544位のCの代わりにT;545
位のAの代わりにC;553位のAの代わりにC;そして、555
位のAの代わりにG。この最初の3つの変化はBamH I認
識部位を創製するためのものであるが、後の2つは分岐
配列(branchpoint sequence,BPS)コンセンサスに類似
するシグナルを創製するためのものであった。このSVI5
39Bamのヌクレオチド配列は次のようであった(pSVI2−
tPA配列からの変化には下線を引いた): オリゴヌクレオチドSVI625を合成した。これは625位か
ら603位までのpSVI2−tPA配列の下側の鎖と一致するも
のであるが、617位にAからCへの変化を有し、BstB I
認識部位(TTCGAA)が創製されるように設計したもので
ある。このSVI625の配列は次のようであった(変化には
下線を引いた): オリゴヌクレオチドSVI539Bam及びSVI625を用いて、ヌ
クレオチド539及び625間のpSVI2−tPAの領域をPCRによ
って増幅し、同時に所望の変化を導入した。このPCR生
成物をHind III及びBamH Iで消化し、77ヌクレオチドの
断片をゲル精製した。
3つの断片(図4)を連結し、これを大腸菌MM294に
導入した。プラスミドDNAを多数のアンピシリン耐性コ
ロニーから単離し、1つのコピーそれぞれに3つの断片
すべてが存在していることを適当な制限酵素による消化
及びゲル電気泳動によって分析した。これら断片の相対
的な配向もこの分析によって決定した。pSVI2−tPAと同
じ順序で3つの構成断片が並んでいる1つの組換えプラ
スミド(pSVI3−tPA)のヌクレオチド配列を、3つの組
換え部位(2つのHind III部位及びBamH I部位)をまた
ぐ領域において決定した(これら部位の間の全配列を含
む)。
d.pSVI5−tPA ベクターpSVI5−tPAは、pSVI3−tPAから、イントロン
の一部とスプライス・アクセプターをPCR生成させた突
然変異断片で置換することによって構築した(図5に示
すように)。pSVI3−tPAの3′スプライス点に対してヌ
クレオチド−16(G)をヌクレオチドTに変えて、遮断
されていない16ヌクレオチド長のポリピリミジン域をス
プライス・アクセプターの一部として創製した。また、
このベクターを修飾して、このベクター中のスプライス
・ドナー配列(G/GTAAGT)に相補性である配列GACTTATT
内に埋設された3′スプライス点に対して−23の位置に
潜在的な分枝アクセプターヌクレオチドを含ませた。こ
のBPSと重なるのは、“広い"BPSコンセンサスに一致
し、U2 snRNA配列に相補性である別のBPS(TACTGAC)で
ある。このBPS中の分枝アクセプターヌクレオチドは
3′スプライス点に対して−27の位置に存在している。
最後に、このベクターを、pSVI3−tPA中の2つのBPSの
すぐ上流に第3のBPSを挿入することによって修飾す
る。この第3のBPSは保存性の酵母BPS(UACUAAC)と同
一であり、”広い”哺乳動物BPSコンセンサス(PyNCUPu
AC)に一致している。このBPS中の分枝アクセプターは
3′スプライス点に対して−34の位置に存在している。
pSVI5−tPAを創製するための断片は次のようにして調
製した。
(1) ベクターpSVI3−tPAをBamH Iで消化し、得られ
た5′突出末端を4種すべてのdNTPの存在下にT4DNAポ
リメラーゼで充填した。次いで、この物質をBstB Iで消
化し、BAPで処理し、pSVI3−tPAのスプライス・アクセ
プター配列及びイントロンの一部を除くすべてを含有す
る大きい方の断片をゲル単離した。
(2) 中間生成物を単離することなく連続的なPCR増
幅において使用するために2つの新しいオリゴヌクレオ
チドを合成した。多種の突然変異を導入するこの方法を
採用して、標的に対して多数の誤対合(ミスマッチ)を
有する単一の長いオリゴヌクレオチドの使用を避けた
(比較的長い合成オリゴヌクレオチドは正しくない配列
の分子を比較的大きな比率で含有していることが多
い)。さらに、将来においてこの第1のオリゴヌクレオ
チドを単独で用いて、分枝点及びスプライス・アクセプ
ター領域がpSVI3−tPAと異なるベクターを創製すること
ができるであろう。
第1のオリゴヌクレオチドSVI4は、pSVI3−tPA(545
〜557位)と共通する3′末端の13ヌクレオチドを有し
ていた。これらヌクレオチドの前に、523〜544位のpSVI
3−tPA配列に類似するが同一ではない22ヌクレオチドの
配列が存在していた。この相違は次のようであった(下
では下線を引いた):即ち、528位にGからTへの変化;
535位にAからTへの変化;537位にCからAへの変化;53
8位にCからTへの変化;539位にAからTへの変化;そ
して、544位にGからTへの変化を有する。この最後の
変化はスプライス・アクセプターのポリピリミジン域の
延長を引き起こすであろうし、また、最初の変化はpSVI
3−tPA配列GACTGACをBPSコンセンサス配列(U2に対合す
る)に一致するように変えるであろう。残りの4つの単
一ヌクレオチド変化は、スプライス・ドナーに相補性で
ある配列を創製するように設計した。SVI4の配列は次の
ようである: 第2のオリゴヌクレオチド(SVI5)はSVI4の中心部分と
重なる。これはSVI4の5個の5′末端ヌクレオチドが異
なっており、5′方向に延長して酵母のBPS(TACTAAC)
を導入したものである。この配列は次のようである(下
線は対応するpSVI3−tPA配列との相違点を示す): このpSVI3−tPAのBPS/スプライス・アクセプター領域
を、オリゴヌクレオチド対SVI4/SVI625を用いるPCR突然
変異誘発によって増幅し、突然変異させた。このPCR生
成物を希釈し、オリゴヌクレオチド対SVI5/SVI625で再
増幅した。この生成物をT4DNAポリメラーゼ及びT4ポリ
ヌクレオチドキナーゼで処理し、制限酵素BstB Iで切断
し、71ヌクレオチド断片をゲル単離した。
この2種類の単離した断片(図5)を連結し、形質転
換された(アンピシリン耐性)細菌コロニーからプラス
ミドDNAを得、pSVI3−tPAについて上記したようにして
分析した。所望のイントロン変化のすべてを保持する単
離体の1つをpSVI5−tPAと命名した。
配列決定によって、スプライス・ドナー−イントロン
−スプライス・アクセプター単位の外側に予期しない別
の変化が同定された。2個の付加的なヌクレオチド(G
C)がpSVI5−tPA中のpSVI3−tPAのBstB I部位内に存在
し(TTCGAAがTTCGCGAAに変化)、従ってこの部位がpSVI
5−tPAに存在しなくなった。しかし、この2つの付加的
なヌクレオチドは酵素Nru Iの認識部位を創製した(こ
の部位はこのベクター中で1つしかない)。この付加的
なヌクレオチドは、連結に用いた2つの構成断片のBstB
I突出末端の予期しない充填の結果である可能性が最も
高い。
e.pSVI6B−tPA pSVI6B−tPAはpSVI5−tPAについて上記した方法と同
様の方法によって創製した。即ち、部分的に重なる突然
変異オリゴヌクレオチドによる2回の連続増幅を用い
て、pSVI3−tPAのイントロン−スプライス・アクセプタ
ー領域中に所望の変化を創製した(図6に示す)。
第1のオリゴヌクレオチド(SVI6A)は次の配列を有
し(pSVI3−tPA、523〜550位との相違点には下線を引い
た): また、第2のオリゴヌクレオチド(SVI6B)は次の配列
を有していた(pSVI3−tPAの523〜545位と比較して): SVI6Aにおけるヌクレオチド置換は、524位のTからC、
526位のTからG、528位のGからC、及び544位のGか
らTであった。SVI6Bによって特定される変化は、pSVI3
−tPAのヌクレオチド525と526の間のCの挿入、ヌクレ
オチド526と527の間のGの挿入、Cによる528位のGの
置換、及び544位のGからTへの変化であった。これら
の変化は、pSVI3−tPAのBPSを最適化し、それと正に境
界を接する第2のBPSを5′側に導入するために設計し
た。これら2つの分枝点配列は中心のCのとこで重な
り、これをSVI6B配列において[]内に示す。
pSVI5−tPAについて記載したようにして、SVI625の存
在下でオリゴヌクレオチドSVI6A及びSVI6Bによる連続増
幅を行なって、pSVI3−tPAのイントロン−スプライス・
アクセプター単位を修飾した。また、PCR生成物の酵素
処理、ゲル単離、及びpSVI3−tPAの大きいBamH I−BstB
I断片への連結もpSVI5−tPAについて記載したようにし
て行なった。アンピシリン耐性の細菌コロニーの1つか
らのプラスミドDNA(このプラスミド単離体をpSVI6B−t
PAと命名した)のヌクレオチド配列分析により、SVI6B
オリゴヌクレオチドによって特定される修飾に加えてい
くつかの予期しない変化が示された。即ち、545位がpSV
I3−tPAのCではなくTであり、550位もCではなくTで
あり、そしてpSVI5−tPA中にNru I制限部位を創製する
付加的なジヌクレオチドもpSVI6B−tPA配列中に存在し
ていた。この初めの2つの変化はt−PAの発現に悪影響
を及ぼすものとは予想されず、補正しなかった。
2.広目的の親ベクターpSVI6B5の構築 広く利用できる別種ポリペプチドの発現のための親ベ
クターをpSVI6B−tPAから導いた。pSVI6B5と呼ぶことベ
クター(大腸菌株ATCC No.68.151を形質転換)は、pSVI
6B−tPA中のt−PA cDNAの代わりにポリリンカー領域を
担持している。これらのポリリンカー領域は好都合かつ
唯一の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を与え、これら
の部位を用いて所望のポリペプチドをコードしている任
意の配列を導入することができる。
ベクターpSVI6B5は、図7に示し以下に説明するよう
に4工程で創製した。初めの3工程は、pSVI6B−tPAか
らBamH I、Hind III、及びSal I制限部位をそれぞれ除
去することからなる。その結果、最後の工程でt−PA c
DNAをポリリンカーで置換することにより、ポリリンカ
ーのこれらの酵素の部位が、得られた親発現プラスミド
中で唯一のものとなった。
a.第1の中間体プラスミドpSVI6B−tPAd(b)の構築 ベクターpSVI6B−tPAをBamH I(イントロン内だけを
切断する)で消化し、得られた5′突出末端をdNTPの存
在下にT4DNAポリメラーゼで充填し、直線化されたベク
ターをゲル単離し、そしてT4DNAリガーゼで処理して再
環化した。これによりBamH I認識配列が失われ、代わり
に、酵素Cla Iの認識配列が創製された。しかし、プラ
スミドDNAをdam+大腸菌から得るときには、メチル化に
よりCla Iはこの配列を切断することができない。
b.第2の中間体プラスミドpSVI6B−tPAd(bh)の構築 プラスミドpSVI6B−tPAd(b)をHind III(スプライ
ス単位の両側を切断する)で消化し、5′突出末端を4
種すべてのdNTPの存在下にT4DNAポリメラーゼで充填
し、反応混合物の一部をBAPで処理した。この処理及び
未処理の両混合物中に存在する2種類の断片をゲル電気
泳動によって分離し、大きい方の断片は処理した混合物
から、そして小さい方の断片は未処理の混合物から単離
した。これら2つの断片を連結してプラスミドpSVI6B−
tPAd(bh)を創製した。両構成断片のHind III末端の充
填によって、得られるプラスミド中に2つのHind III部
位が存在しなくなり、同時に酵素Nhe Iの2つの新しい
認識部位が創製された。
c.第3の中間体プラスミドpSVI6B−tPAd(bhs)の構築 単一のSal I認識部位を、この酵素による消化、dNTP
の存在下でのT4DNAポリメラーゼ処理、直線プラスミドD
NAのゲル単離、及びT4DNAリガーゼを用いる再環化によ
ってプラスミドpSVI6B−tPAd(bh)から除去した。これ
により、新たにPvu I認識部位が創製される結果になっ
た。
d.プラスミドpSVI6B5及びpSVI6B7の構築 最後の多目的の親プラスミドを創製するために、次の
ようにして2種類の断片を調製した。
(1) プラスミドpSVI6B−tPAd(bhs)をPst I及びCl
a Iで消化した。このプラスミド中にはCla Iの認識部位
が3カ所存在する。1つはt−PA配列の前のイントロン
中に、1つはt−PA cDNAとSV40初期ポリA領域の境界
に、そして1つはポリA領域の末端近くに存在する。こ
れら部位の1つだけ(第2の部位)がメチル化に対して
非感受性である。従って、dam+MM294から調製したプラ
スミドDNAはCla Iによってこの部位でのみ切断された。
Pst I認識部位はスプライス単位とt−PA cDNAの連結点
に位置しており、さらにいくつかがこの位置とメチル化
−非感受性のCla I部位の間のt−PA配列中に存在して
いる。従って、Pst IとCla Iによる切断によって、t−
PAの配列を含有する数個の比較的小さい断片とt−PAの
cDNAを除くpSVI6B−tPAd(bhs)配列のすべてを含有す
る大きい断片が得られた。この大きい方の断片をゲル単
離した。
(2) 2つのオリゴヌクレオチドを合成した。これら
は、第1のオリゴヌクレオチド(5Aと呼ぶ)の全長(47
ヌクレオチド)にわたって相補性であった。第2のオリ
ゴヌクレオチド(5B)は、その5′末端のところが2ヌ
クレオチド延び、その3′末端のところが4ヌクレオチ
ド延びていた(以下の5B配列において下線を引いた)。
従って、これら相補性のオリゴヌクレオチドをアニーリ
ングすると、1つの5′及び1つの3′突出末端(“オ
ーバーハング”)を有するDNA断片が得られた。4ヌク
レオチドの3′突出末端の配列はTGCA−3′であり、こ
れはPst I認識部位のPst I切断によって創製される3′
オーバーハングと相補性である。2ヌクレオチドの5′
突出末端はジヌクレオチド5′−CGからなり、これはCl
a I制限部位のCla I切断によって創製される5′オーバ
ーハングと相補性である。さらに、これら2つのオリゴ
ヌクレオチド配列を、多数の制限エンドヌクレアーゼ認
識部位を与えるように設計した(これらの一部を、以下
に示す各オリゴヌクレオチド配列の下に示す)。オリゴ
ヌクレオチド5Aの配列は次のようである: オリゴヌクレオチド5Bの配列は次のようである: オリゴヌクレオチド5A及び5Bをアニーリングし、単離
したpSVI6B−tPAd(bhs)断片に連結してプラスミドpSV
I6B5−を創製した。Pst Iオーバーハングをアニーリン
グしたオリゴヌクレオチドのTGCA−3′オーバーハング
に連結してもPst I部位は再生されず、Cla I部位が創製
された。このリンカーの他の末端におけるCla Iオーバ
ーハングの5′−CGオーバーハングへの連結はCla I部
位を再生しなかった。
実施例2 HPg及びR561SPg発現ベクターの構築、それによるCHO細
胞の形質転換、及び精製 一般的方法 この実施例及び以後の実施例において、cDNAを突然変
異するために使用するオリゴヌクレオチドは、以下のい
ずれかにより合成した:(1)バイオサーチ(Biosearc
h,サン・ラファエル,CA)サイクロン2−カラムDNA合成
装置に基づくホスホルアミダイト化学を使用し、アプラ
イド・バイオシステムズ(Applied Biosystems,フォス
ター・シティー,CA)オリゴヌクレオチド精製カートリ
ッジにより精製する、又は(2)FroehlerらのNucl.Aci
ds Res.,14:5933−547(1986)に記載されているH−ホ
スホネート化学を使用する。
細胞トランスフェクションは、リン酸カルシウム法に
より行った[KingstonのCurrent Protocols in Molecul
ar Biology,前掲]。
ベックマン(Beckman,パロ・アルト、CA)L5 65調製
用超遠心機を使用する、CsCl/エチジウムブロマイド(E
tBr)グラジエント(勾配)遠心によって、プラスミドD
NAを精製した[MooreのCurrent Protocols in Molecula
r Biology,Ausubelら編(Jhn Wiley & Sons,ニューヨ
ーク,1987),p.1.7.1−1.7;4]。垂直回転(Vti.65.1)
遠心は、15℃、55,000rpmで7時間使用し、DNAバンドを
分離した。遠心管から所望の物質を得た後、プラスミド
DNAをCsClで飽和させたイソプパノール溶液中に抽出
し、そのプラスミドDNAからEtBrを除去した。次いで、
細胞トランスフェクションを行う前に、得られたDNAを1
mMトリス−HCl/0.1mM EDTA,pH7.1の緩衝液に対して透析
した。
R561S発現ベクターpA475R561SPgの構築 pUC119PN127.6と命名されるベクター(その配列は、
ヌクレオチド3809に関する上記のもの以外、第1図に示
されている)を以下のようにして調製した。5検体から
単離した肝mRNAより構築したn−オリゴ(dT)−プライ
ム化cDNAライブラリーから、第1のcDNAを単離した[Ok
yamaらのMol.Cell.Biol.,:161−170(1982)及びGubl
erらのGene,25:263−269(1983)]。サイズ選択したcD
NA(600塩基対よりも大きい)をλgt10バクテリオファ
ージベクター[ストラタジーン(Stratagene),サンジ
エゴ、カリホルニア]内に連結し、増幅することなくス
クリーニングした[DraynaらのNature,327:632−634(1
987)]。得られたcDNAを以下のリンカーを使用してλg
t10ベクターに連結した。
ヒトプラスミノーゲンcDNAの1,306−1,380ヌクレオチ
ドに相当する75塩基オリゴヌクレオチドプローブ(PL.
1)を用いて、λgt10 cDNAクローンを回収した[Forsgr
enらのFEBS Lett.,213:254−260(1987)]。5×SSC
(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン
酸ナトリウム(pH6.7)、5×デンハート(Denhardt'
s)溶液、20%ホルムアミド、10%デキストラン硫酸、
及び20μg/ml煮沸した音波処理済みサケ***DNA中にお
いて、452℃で一晩フィルターをハイブリダイズ、2×S
SC、0.1%SDS中、55℃で1時間洗浄し、X線フィルムに
感光した。λgt10クローン(λgt10:pmgn#127と命名)
をSst Iで切断し、Sst I切断したpUC119に連結して、上
記以外は第1図に示すヌクレオチド及び推定のアミノ酸
配列のpUC119PN127.6を得た。pUC119PN127.6の{Glu1
Pgのヌクレオチド配列は、Alaの代わりにVal475が存在
していることを示している。
このクローン配列決定を完全に行った。pUC119ベクタ
ーにサブクローンした後、2本鎖DNAから直接的に、又
は1本鎖鋳型[ChenらのDNA,165−170(1985)]のい
ずれかに基づいてサブクローンした2本鎖cDNA[Sanger
らのProc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.74:5463−5467(197
7)]の両鎖のジデオキシ鎖終止法により、DNA配列分析
を行った。
561位のセリン以外は正確なヒトPg配列を含有するベ
クターpA475R561SPgを以下のようにして構築し、それを
第7図に示す。
pSVI6BtPAをEcoR Iで消化し、得られたEcoR I部位が
平滑末端となるまで充填し、次いでPst Iで切断し、大
きな断片を単離する。pUC119PN127.6をSph Iで切断し、
得られたSph I部位が平滑末端となるまで充填し、次い
でEcoR Iで切断し、HPg cDNAの3′末端を含有する小さ
な断片を単離する。pUC119PN127.6をPst I及びEcoR Iで
も切断し、HPgをコードするcDNAの完全な5′末端を含
有する小さな断片も単離した。これら2つの小さな断片
とpSVI6BtPAから得た大きな断片とをT4リガーゼを用い
て共に連結し、プラスミドpSVI6BPlgnを調製した。この
プラスミドをPst I及びEcoR Iで開裂し、次いで小さな
断片(248bp)を単離した[断片A]。pSVI6BPlgnをさ
らにHPgのcDNAの部位特異的突然変異にかけるにあた
り、KunkelらのMeth.Enzym.,154:367−382(1987)に記
載された方法により、以下に記載のR561S変化を有する
プライマーを使用して行った: これらの突然変異の結果としてcDNAに挿入された新た
なBamH I制限エンドヌクレアーゼ部位の存在によって、
得られたクローンをスクリーニングした。得らてたプラ
スミドをpSVIR561SPg.C2と命名した。このプラスミドを
Sph Iで切断し、得られたSph I部位が平滑末端になるま
で充填し、次いでEcoR Iで切断し、小さな断片(2.32k
b)を単離した[断片B]。pSVI6BtPAプラスミドをEcoR
Iで開裂させ、得らてたEcoR I部位が平滑末端になるま
で充填し、次いでPst Iで切断し、大きな断片を単離す
ることで、そのpSVI6BtPAプラスミドから第3の断片を
調製した[断片C]。
断片A、B及びCをT4リガーゼで連結し、突然変異し
たプラスミノーゲン及びpSVI6BtPAのベクター要素を含
有するプラスミドpR561SPgを得た。
ベクター供給源としては、pSVI6BtPAの代わりに他の
発現ベクターを利用することもできよう。例えば、pE34
2−t−PA[米国特許第4,766,075号]は、pE342−t−P
Aのt−PAコード化DNAをpUC119PN127.6由来のプラスミ
ノーゲンcDNAと置換することにより、ベクター断片とし
て利用できよう。その際、他の発現ベクター由来の調節
要素を当業者に既知の手法によりHPg cDNAと作動可能に
結合すれば、HPg発現ベクターを調製することができ
る。
最終ベクターpA475R561SPgは以下のようにして調製し
た:pR561SPgをAha II及びEcoR Iで開裂し、得られた小
さな突然変異Pg断片(1003bp)を単離する[断片D]。
さらに、pSVI6BPlgnもSma I及びEcoR Iで開裂し、ベク
ター断片(4.394kb)を単離する[断片E]。最後に、p
SVI6BPlgnをHPgのcDNAの部位特異的突然変異にかけるに
あたり、Kunkelら(前掲)の方法により、以下に記載の
突然変異プライマー(下線を施した塩基が強要した突然
変異を示している)を使用し、V475A突然変異を作成し
た: EcoR I/BstE II制限エンドヌクレアーゼ消化により、
陽性コロニーをスクリーニングした。適切な大きさの断
片を含有するクローンを、アミノ酸455−502位に相当す
る領域にわたり配列決定した。
上記のようにして突然変異したpSVI6BPlgnをSma I及
びAha IIで切断し、小さな切断(1.55kb)を単離した
[断片F]。断片D、E及びを連結し、最終プラスミド
pA475R561SPgを調製した。
プラスミノーゲン発現ベクターpA475Pgの構築 R561S突然変異を伴わないA475突然変異を含有するプ
ラスミド(即ち、天然の配列のプラスミノーゲンを含有
するプラスミド)を以下のようにして調製した:pSVI6BP
lgnをAha II及びEcoR Iで切断し、小さな断片を単離し
た[断片G]。断片E及びF(既述)及びGを連結し、
プラスミドpA475Pgを調製した。
PAI−1発現ベクターpRKPAI−1の構築 ヒトβ−移動性内皮細胞型プラスミノーゲンアクチベ
ーターインヒビター(PAI−I)をコードしている発現
ベクターは以下のようにして調製した:PAI−Iのクロー
ニング及び配列は、NyらのProc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.
83:6776−6780(1986)、GinsbergらのJ.Clin.Invest.,
78:1673−1680(1986)、PannekoekらのEMBO J.,:253
9−2544(1986)に記載されている。ヒトへそ内皮細胞c
DNAライブラリーからPAI−I cDNAをλクローンとして入
手し、それをE.coli(大腸菌)内で複製するpUC18クロ
ーニングベクター内に入れた。このプラスミドをBal II
で切断し、平滑末端化し、EcoR Iで切断した。約1430bp
の得られた小さな断片をゲル精製した。pRK5もSma Iで
切断し、次いでEcoR Iで切断し、4712bpのベクター断片
を単離し、ゲル精製した。これら2つの断片をT4リガー
ゼを用いて共に連結し、ミニ調製の消化を行い、挿入物
の方向を確認した。この最終ベクターをpRKPAI−Iと命
名した。
pA475R561SPg又はpA475Pgによる形質転換 CHOdhfr細胞[Urlaub及びChasin,前掲]を60mm平板中
に5×105細胞/平板で2つ設置した。DNAはリン酸カル
シウムのプロトコールにより以下のプラスミドの組合わ
せを用いてトランスフェクトした: (a)pA475R561SPg(50μ又は5μg/平板)、pRKPAI
−1(4.2μ又は5μg/平板)、及びpFD11[Simonsen
及びLevinsonのProc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.80:2495−2
499(1983)]に記載されているDHFR−コード化プラス
ミド(6μ又は0.5μg/平板); (b)pA475R561SPg(50μ又は5μg/平板)、及びpF
D11(6μ又は0.5μg/平板); (c)pA475Pg(50μ又は5μg/平板)、pRKPAI−1
(4.2μ又は5μg/平板)、及びpFD11(6μ又は0.
5μg/平板); (d)pA475Pg(50μ又は5μg/平板)、及びpFD11
(6μ又は0.5μg/平板)。
透析濾過(diafiltered)したウシ胎仔血清を7%含
有する選択培養培地に細胞を分配し、60mm平板当たりプ
ラスミド0.1、0.1、0.1、0.2、0.2及び0.3μgとした。
12日経過後、4つの形質転換(上記a−d)から各1つ
の平板をリン酸緩衝化食塩水で洗浄し、選択培養培地及
び7%プラスミノーゲン枯渇ウシ胎仔血清を加えた。こ
の工程は細胞から産生されたものでないプラスミノーゲ
ンを除去するものである。プラスミノーゲンを産生して
いるクローンをフィルター上の発現量に基づきスクリー
ニングした。形質転換a−dのの各3つのクローンを綿
棒で取り上げ、12ウエルの平板に入れた。これら12個の
クローンを10cm平板中で発育させ、培地を非選択培養培
地と交換した。
収穫された培地をELISAタンパク質測定法にかけた。p
A475R561SPg及びpRKRAI−1クローン#2は少なくとも1
mg/の活性を与えることが見いだされた。R561S−HPg
物質の5つのローラーボトルを精製のために作成した。
Brockway及びCastellinoのArch.Biochem.Biophys.,151:
194−199(1972)によって改変したDeutsch及びMertzの
Science 170:1095−1096(1970)の方法に従い、セファ
ロース−リシンのアフィニティークロマトグラィーによ
り、R561S−HPg物質をCHO培養上清から精製した。
実施例3 R561EPg発現ベクターの構築、それによる昆虫細胞形質
転換、及び精製 実施例2に記載した一般的方法をこの実施例でも使用
した。
HPg及びR561E−HPgバキュロウイルス発現ベクターの構
築 プラスミドpUC119PN127.6内(BamH I/Nae I断片中)
でHPgをコードしているcDNAを実施例2に記載している
ようにして突然変異させ、実施例2に記載のようにV475
A変化を起こし、天然配列Pgを作成した。突然変異プラ
イマー: を使用し、得られたプラスミドを実施例2に記載してい
るようにして突然変異させ、R561E変化を作成した。
この改変法に伴う新たに生成するSma I制限エンドヌ
クレアーゼ開裂部位の存在について、この突然変異の陽
性コロニーをスクリーニングした。A475HPg cDNA及びA4
75,R561EHPg cDNAが挿入された組換えバキュロウイルス
転移ベクターpAV6を、AcMNPVポリヘドリン(PH)遺伝子
の回りのDNA配列を含有するように構築した。pAV6はPH
遺伝子の5′側に位置するXbo I部位からポリヘドリン
開始コドン(ATG)の−8ヌクレオチドまでの1.8kb内に
ポリヘドリンプロモーターを含有しており、さらにポリ
ヘドリン遺伝子内のKpn I部位からこの同じ遺伝子の
3′側のBamH I部位まで伸長する1.5kb断片をも包含し
ている。Xbo I及びBamH I部位にはこれら断片のクロー
ニングの際に喪失した。
pAV6を以下のようにして構築し、それを第8図に示
す。ポリヘドリン遺伝子及びフランキング配列を含有す
る、pEcoR I−Iと命名されるオートグラファ・カリホ
ルニカ(Autographa californica)DNAの7.2kb EcoR I
断片[SmithらのJ.Virol.,45:215−225(1983);Smith
らのJ.Virol.,46:584−593(1983)]をXho I及びBamH
Iで切断した(Sal I及びXho I消化により適合する末端
が生成される)。得られたXho I/BamH I断片をSal I及
びBamH Iで切断したmp19ベクター[ベセスダ・リサーチ
・ラボラトリーズ(Bethesda Research Laboratorie
s),ガイセルスバーグ,MD]内に連結し、mp10Xho−Bam
と命名される構築物を作成した。得られたmp19Xho−Bam
プラスミドをEcoR V及びKpn Iで切断し、第1の合成オ
リゴヌクレオチド[以下に引用するすべてのオリゴヌク
レオチドと同様にアプライド・バイオシステムズ(フォ
スター・シティー,CA)から市販されている380A型自動D
NA合成装置により構築]を切断mp19Xho−Bam内に連結
し、mp19A1Dと命名されるベクターを作成した。第1の
合成オリゴヌクレオチドは以下の配列を含有し、指定し
た制限部位及び転写開始部位を含有している: この第1の合成オリゴヌクレオチドはEcoR V部位から
推定のCAP部位までmp19Xho−Bam内のXho I/BamH I断片
の5′末端の配列が置き換わっており、BamH I、EcoR
I、Sal I及びKpn I部位を有する多重クローニング部位
を含有している。
次に、pUC12ベクター[Bethesda Research Laborator
ies]をHind III及びSst Iで切断し、mp19A1DをHind II
I及びKpn Iで切断し、ポリヘドリン遺伝子の5′末端を
フランキングしている配列を含有する1.8kb断片を単離
する。プラスミドpEcoR I−IをBamH I及びKpn Iで切断
し、得られた消化産物の中から、ポリヘドリン遺伝子内
のKpn I部位からその3′フランキング領域のBamH I部
位までの1.5kb断片を分離した。これら3つの断片[pUC
12、1.8kb及び1.5kb]を、配列:5′−GATCAGCTを有する
第2の合成オリゴヌクレオチドと共に連結し、pAV1と命
名される構築物を調製した。
pAV1をBamH I及びKpn Iで切断した後、得られた断片
を第3の合成オリゴヌクレオチドと連結し、pAV2と命名
した構築物を得た。この第3の合成オリゴヌクレオチド
は以下のヌクレオチド配列を有している: pBR322[Bethesda Research Laboratoriesから入手し
た4.4kbプラスミド]をHind III及びSal Iで切断し、ク
レノー断片で充填し、連結して、プラスミドpDSを構築
した。従って、プラスミドpDSはHind IIIとSal I間の配
列を欠いており、Sal I部位を喪失しているが、Hind II
I部位は保持している。
プラスミドpAV2をHind III及びBamH Iで切断し、1.5k
b Hind III/BamH I断片(5′フランキング配列を含有
する断片)を単離した。次いで、pAV2をBamH I及びEcoR
Iで切断し、多重クローニング部位内のBamH I部位から
その3′フランキング配列に隣接するEcoR I部位まで伸
長する1.5kb EcoR I/BamH I断片を単離した。プラスミ
ドpDSをHind III及びEcoR Iで切断し、pAV2から作成し
た上記2の断片と連結した。得られたプラスミドをpAV3
と命名する。
プラスミドpAV3をBamH I及びSal Iで切断した。pAC37
3ベクター[SmithらのMol.Cell.Biol.,:2156−2167
(1983)](ポリヘドリン遺伝子の5′側約1kbのSal I
部位からの−8位ヌクレオチド(「ATG」開始コドンの
「A」が+1)に挿入されたBamH I部位までにNPVウイ
ルスDNAを含有するベクター)をBamH I及びSal Iで切断
し、BamH I/Sal I切断pAV3に連結し、pAV4と命名するベ
クターを調製した。
このベクターpAV4をEcoR Iで切断し、得られた末端を
クレノー断片で充填し、連結し、pAV6と命名するベクタ
ーを得た[これはpAV4のEcoR I部位を欠いている]。
[pUC119PN127.6由来の天然配列HPgをコードしている
BamH I/Nae I断片をプラスミドpAV6のBamH I及びSma I
部位に挿入することにより作成した転移ベクターpAV6HP
gは、HPgシグナル及び成熟[Glu1]Pgコード化配列に連
結されたAcMNPVポリヘドリン(PH)プロモーターを含有
している。このプラスミドは、MD20852,ロックビル,パ
ークローン・ドライブ12301番に住所を有するアメリカ
ン・タイプ・カルチャー・コレクションへ1989年4月18
日に受託番号67,929の下、宿主E.coli DH5α内として、
寄託されている。] 上記のA475−HPg及びA475,R561E−HPg cDNAをpAV6のB
amH I及びSma I部位に挿入し、それぞれpAVA475Pg及びp
AVA475R561EPgを調製し、それらを使用して、以下に記
載するようにしてスポドプテラ・フルギペルダ(Spodop
tera frugiperda)細胞の培養培地を感染させた。
転移ベクターによる昆虫細胞の形質転換 Whitefleet−Smithら(前掲)に記載されているよう
にして、pAVA475Pg又はpAVA475R561EPg及び野生型ウイ
ルスDNAの構築物を使用し、培養スポドプテラ・フルギ
ペルダ細胞を同時トランスフェクトした。転移ベクター
のホモローガス(同種)なポリヘドリンフランキング領
域とウイルスとの間の交差により、PH遺伝子の代わりに
HPg遺伝子を有する完全長の組換えウイルスが、細胞内
では得られている。
オートグラファ・カリホルニカ(Autographa califor
nica)の核ポリヘドロシスウイルス(AcMNPD)のAcTR温
度−不活化耐性株を組換え構築のための宿主ウイルスと
して使用した。クローンされた(例えば、MD,ロックビ
ル,パークローン・ドライブ12301番に住所を有するア
メリカン・タイプアーカルチャー・コレクションから受
託番号ATCC CRL1711の下に入手可能なSf9細胞)、又は
クローンされていないスポドプテラ・フルギペルダセル
ラインを使用し、すべてのウイルス成育と増殖のための
宿主細胞を得ることができる[VaughnらのIn Vitro,13:
213−217(1977)]。昆虫細胞を培養するための操作
は、Gibco粉末化Grace's Anteraea培地、ヒンクス(Hin
k's)培地[TNM−KH培地の代わり]、及びペニシリン/
ストレプタマイシン/アムホテリシンB抗生物質混合物
を38頁の操作に使用した以外は、SummersらのTexas Agr
icultural Experiment Station Bulletin No.1555,(19
87),10−31頁及び38頁に記載されているものである。
詳細に説明すれば、10%ウシ胎仔血清(FBS)を加え
たHink's培地[Hink,Nature 226:466−467(1970)]
[スミス(Smmith)らのMol.Cell.Biol.,前掲]中、ス
ポドプテラ・フルギペルダ細胞(3×106)を60mm培養
皿に付着させる。2時間後、その培地を取り出し、pAVR
561EPg転移プラスミドDNA(1μg)を加えたAcMNPV由
来の野生型DNA(0.1μg)のNaCl(0.8g/)、KCl(0.
37g/)/Na2H2PO4・2H2O(0.125g/)、デキストロー
ス(1g/)、及びヘペス[Hepes]−NaOH(5g/)[p
H7.2]中の懸濁液0.5ml内で細胞をインキュベートし
た。27℃で一晩インキュベートした後、そのDNA懸濁液
を、10%FBSを加えたHink's培地に移し、その中で5日
間インキュベートした。
スポドプテラ・フルギペルダ細胞はまた、セルグロ
[Cellgro]遅速度磁力撹拌装置[Thermolyne Corp.ア
イオワ,ブブーク]のコーニング(Corning)[ニュー
ヨーク,ニューヨーク]遅速度撹拌用容器を使用するこ
とによっても培養することができる。1000ml容量撹拌用
容器それぞれに不完全Hink's培地(上記のように8.3%F
BS及びペニシリン/ストレプトマイシン/アムホテリシ
ンB混合物を添加)300mlを加える。次いで、その容器
を5×106個細胞と共にインキュベートし、80rpmで撹拌
する。密度が2−3×106細胞/mlになったなら、細胞懸
濁液150−250mlを取り出し、それを新たな培地と置き換
えることで、細胞を継代培養した。懸濁−発育細胞はフ
ラスコに接着しているため、それは単層を必要とする操
作に使用することができる。
細胞はさらに、JR.Scientific[カリホルニア,ウッ
ドランド]から製造されている、規格化低タンパク質培
地EX−CELL400中ででも発育させることができる。この
培地は細胞を単層で培養するため、スピナーフラスコ懸
濁培養に、又はエアリフトバイオリアクター[例えばMa
irorellaらのBiotechnology,:1406−1410(1988)]
に完全Hink's培地の代わりとして使用することができ
る。
発育させた後、組換えタンパク質A475−HPg及びA475,
R561E−HPgを、上記のCHO−発現プラスミノーゲンにつ
いて説明しているアフィニティークロマトグラフィーに
よって精製した。
実施例4 検定及び結果 A.一般的な方法及び検定 1.アミノ酸配列決定 Porton Instruments気相配列決定装置により、実施例
2及び3に従って調製したプラスミノーゲン及びその変
異体ををアミノ末端アミノ酸配列分析する前に、そのタ
ンパク質をペプチド支持ディスクに吸着させた。スペク
トラ・フィジックスHPLCシステムを使用するベックマン
逆相ODSカラム(5μ、4.6mm×250mm)により、PTHアミ
ノ酸を分離した。このシステムは8800型3組HPLCポン
プ、8480型UV/Vis検出器、4270型記録積分器、及びHPLC
カラムへの試料のオンライン注入のためのPI2030インタ
ーフェイスから構成されている。以下の直線グラジエン
ト条件下、55℃で20PTHアミノ酸の光学分割を行った:
出発溶液として88%溶液A(氷酢酸1ml/テトラヒドロフ
ラン20ml/トリエチルアミン0.05ml/水500mlまで、3N Na
OHでpH4.10に調節)/12%溶液B(アセトニトリル中、
1%テトラヒドロフラン)から、60%溶液A/12%溶液B
[限界溶液]までを24.5分かけて、流速1ml/分で行う。
次いで、溶液Bにより同じ流速でさらに5.5分続ける
と、その間に最後の4つのPTH−アミノ酸が溶出され
た。
2.ウエスターンブロット分析 実施例2及び3のタンパク質試料を、非還元条件下の
10%(w/v)ポリアクリルアミドゲルのSDS/PAGE[Laemm
liのNature 227:680−685(1970)]により分離した。
分離したタンパク質バンドを確立された操作[Burnette
のAnal.Biochem.,112:195−203(1981)]に従ってイム
モビロン−P(Immobilon−P)[Millipore,MA,ベッド
フォード]膜に移し、次いでTBS[0.05Mトリス塩酸、0.
15M NaCl、pH7.4、ブロッキング緩衝液]中、1%(w/
v)ゲラチン[Bio−Rad EIA級]で1時間37℃でインキ
ュベートした。この移行の際の正確な条件は、25mMトリ
ス−HCl/200mMグリシン/15%(v/v)メタノール、pH8.3
中、4℃、20、ボルト、12時間であった。この溶液を、
4μg/mlモノクローナルネズミ抗−HPg[Whitefleet−S
mithら,前掲]をブロッキング緩衝液中に含有する別の
溶液と置き換え、次いで室温で2時間混合下にインキュ
ベートした。TBS中、0.05%(v/v)Tween 20を室温で3
回交換することにより、得られたフィルターを15分かけ
て洗浄した。次いで、そのフィルターをウサギ抗−マウ
スIgG−アルカリホスファターゼ会合体[シグマ]と共
に混合しながら、室温でブロッキング緩衝液中、2時間
インキュベートし、次いで上記のように洗浄した。基質
溶液[水1ml中、ニトロブルーテトラゾリウム16.5mg/70
%(v/v)水性DMF0.5ml/リン酸ブロモクロロインドリル
8.5mg。これを01Mトリス−HCl/0.1M NaCl/0.005M MgCl2
(pH9.5)50mlに加える。]と共に室温でインキュベー
トした後、陽性のバンドを室温で視覚化した。
3.SK−HPg及びSK−HPmの化学量論的複合体のアミド分解
検定 100mM Hepes−NaOH/10mM EACA、pH7.4を含有する緩衝
液0.2mlを温度25℃に維持させた分光光度計キューベッ
トに入れた。次いで、所望の濃度の発色基質:H−D−Va
l−L−ロイシン−L−Lys−pNA[S2251、Helena Labor
atories、TX、バーモント]を加え、次いで所要の水を
加える。所望の前形成された化学量論的SK−HPg又はSH
−HPm複合体(終濃度:6−10nM)を加え、この基質を加
水分解した。S2251の加水分解の速度を405nmにおいて2
−5分間連続的に記録した。既述(Uranoら、前掲)の
ようにして吸光度を初期活性化速度に変換し、その速度
データを通常のLineweaver−Burkプロットに従って分析
した。化学量論的量のストレプトキナーゼ(SK)[Cast
ellinoらのMeth.Enzymology,45:244−257(1976)に記
載されている方法に従って調製]、及び実施例2及び3
に記載の望ましいプラスミノーゲンを25℃でインキュベ
ートすることにより、酵素複合体を形成させた。
4.SK−HPg及びSK−HPmの化学量論的複合体のプラスミノ
ーゲンアクチベーター検定 100mM Hepes−NaOH/10mM EACA、pH7.4を含有する緩衝
液0.2mlを温度25℃に維持させた分光光度計キュベット
に入れた。次いでS2251(終濃度:0.5mM)0.08mlを加え
た後、所要の水、種々の濃度のウシプラスミノーゲン
(BPg,組換えPgsを精製するために用いた方法と同じ方
法により新鮮なウシ血漿から精製)、及び最後に、既述
のようにして調製したSK−HPg又はSK−HPmアクチベータ
ー複合体(終濃度:0.2nM)を加えた。生成されるウシプ
ラスミンによるS2251の加水分解によって生じるp−ニ
トロアニリドの放出を記録することにより、BPgの活性
化の速度を連続決定[Uranoら、前掲]によりモニター
した。得られたデータをこのタイプの先の試験に説明し
ているようにLineweaver−Burkプロットによって分析し
た[Uranoら、前掲]。これらの条件下では、BPgはSK単
独では活性化されなかった。
5.HPgの脱グリコシル化 所望のHPg調製物(10mMリン酸ナトリウム(pH7.4)
中)を酸素濃度0.4単位/μg(HPg)のグリコペプチダ
ーゼF[ベーリンガー・マンハイム,IN,インディアナポ
リス]で処理した。この反応を37℃で24時間進行させ
た。調査したすべての試料から、これらの条件がAsn289
連結−炭水化物を除去するのに適当であることが見いだ
された。次いで、この混合物を分子量10,000排除(Cent
ricon 10)微小濃縮チューブ[Amicon,MA,ダンバース]
の遠心にかけ、タンパク質試料から遊離したオリゴサッ
カライドを分離した。
B.結果 野生型A475[Glu1]Pg cDNA(wt−irHPgを与える。Wh
itefleet−Smithら、前掲)及び、タンパク質中にR561E
突然変異を含有する野生型A475HPg(R561E−HPg)のcDN
Aを含有する組換えバキュロウイルスで昆虫細胞を感染
させ、2つの組換えヒトプラスミノーゲンを入手した。
R561S突然変異を含有する野生型(A475配列)を有する
別の組換えタンパク質をCHO細胞で産生させた(R561S−
HPg)。これらの電気泳動の動きにより、これらすべて
の組換えタンパク質は高度に精製されており、ヒト[Gl
u1]Pgに関連する分子量特性を有していることが証明さ
れた。以下の説明では、便宜的にA475突然変異には言及
していないが、以下で引用する組換え的に生産したHPg
タンパク質にはすべてこの突然変異が存在している。
報告したすべてのプラスミノーゲンのアミノ末端アミ
ノ酸配列分析は配列:NH2−Glu−Pro−Leu−Asp−Aspを
示しており、これはすべてのものがシグナルポリペプチ
ドの開裂に際して正しくプロセッシングされることを示
唆し、また精製組換えタンパク質とヒト血漿HPgとの間
の小さな動きの変異は、血漿−、昆虫細胞−及びCHO細
胞−誘導化プラスミノーゲン間のグリコシル化の差異に
由来する若干の分子量変動を反映しているのかもしれな
いことも示唆している。
組換え野生型及び変異型プラスミン(ノーゲン)とSK
との化学量論的複合体の定常状態アミド分解活性を以下
の第1表に示し、SKとヒト血漿誘導化プラスミン(ノー
ゲン)との化学量論的複合体(即ち、組換えPgと同様に
精製した天然ヒト血漿[Glu1]Pgのアフィニティークロ
マトグラフィー1型)のそれとを比較した。複合体それ
ぞれの充分なアミド分解活性は1−5分で展開され、5
分のインキュベート時間を使用し、この試験に使用する
酵素を生成させた。
wt−irHPg及びヒト血漿HPgの場合、5分のインキュベ
ート時間の複合体をSDS/PAGE分析すると、期待されたと
おりこれらはSKと[Lys78]HPmとから構成されているこ
とが明らかに示された[Bajaj及びCastellinoのJ.Biol.
Chem.,252:492−498(1977)]。活性−開裂部位−変異
型プラスミノーゲンについては、突然変異の性質から複
合体内でのHPgからHPmへの変換が排除されるので、SK及
び相当するHPgから構成される複合体も期待された。
第1表のデータは、ヒト血漿HPm又はwt−irHPmのいず
れかを含有するSK−HPm複合体はS2251に対して実際上同
一の定常状態動力学定数(kinetic constants)を有し
ていることを示している。同様に、SKと2つの変異型HP
g調製物、即ちR561E−HPg及びR561S−HPgとの化学量論
的複合体にはアミド分解活性が存在している。これら2
つのSK−HPg複合体の動力学定数の値と前者のSK−HPm複
合体のそれとを比較すると、種々のSK−HPg及びSK−HPm
複合体のアミド分解定常状態特性には若干の相違しかな
いことが判明した。
ヒト血漿HPm又は昆虫発現HPmのいずれかとの等モルSK
複合体は殆ど同一であり、このことは昆虫細胞がヒト血
漿のものと同等のタンパク質を産生することを示してい
る。開裂部位耐性の変異型irHPgとのSK複合体のKmは、
いずれかのプラスミンとのその同じ複合体の値よりも若
干低く、これはSK−HPm複合体と比較してSK−HPg複合体
に動力学的な相違があり得ることを示している。
HPgのAsn289−連結炭水化物が定常状態のアミド分解
動力学定数に認められる小さな差異に役割を果している
か否かを決定するため、R561S−HPg(CHO細胞由来)を
グリコペプチダーゼFで脱グリコシル化した。SKとこの
型のHPgとの化学量論的複合体はそのグリコシル化体よ
りも若干高いKm値しか示さず、このことはAsn289の炭水
化物の存在は少なくともCHO細胞発現物質に存在する型
については、SK−R561S−HPg複合体のこの動力学的性質
に大きな役割を果すものでないことを示唆している。
以下の第2表は、種々のプレ形成化学量論的SK−HPg
及びSK−HPg複合体がプラスミノーゲンのアクチベータ
ーとして機能する個々の能力を触媒レベルで表す定常状
態動力学的パラメーターを示すものである。BPgはSK単
独による活性化に対して感受性でないため、それをプラ
スミノーゲンの供給源として選択した。
SK−[Lys78]Pm(血漿HPgを用いて生成)複合体(3
分のプレインキュベート時間、第2表)の動力学的性質
を比較すると、昆虫発現HPmを含有する複合体は、主と
して活性化のkcatの相違により、ヒト血漿HPmを含有す
るものよりも相当に活性が高いことが示された。さら
に、SK−R561E−HPg複合体についてのプラスミノーゲン
活性化のための二次元特異性定数は、Kmが減少しかつkc
at値が増大していることから、SK−wt−irHPmのその値
よりも約30倍高かった。
SK−irHPm複合体(3分のプレインキュベート時間)
及びSK−R561E−HPg複合体を用いて得られた上記のデー
タの比較及びこれらのデータから、HPgを含有する複合
体はHPmを含有する同じ複合体よりもプラスミノーゲン
アクチベーターとして相当に有効であるように思われ
る。さらに、得られた複合体におけるBPgの活性化能に
対する、化学量論レベルのSKと血漿[Glu1]Pg及びwt−
irHPgとの各プレインキュベート時間の効果を分析する
ことにより、上記のことを示す証拠が得られる。
プレインキュベートの初期には(≦30秒)、SDS/PAGE
は、複合体が各プラスミノーゲンについて約80%のHP
g、及び20%のHPmを依然として含有していることを示し
た。1分後及びそれ以後では、複合体中のすべてのHPg
がHPmに変換していた。BPg活性化の活性レベルは、>1
分プレインキュベートした試料におけるよりも、30秒の
試料中におけるほうが相当に高く、このことはSK−HPg
複合体のほうがSK−HPm複合体よりもBPgの活性化に有用
であることを強く支持している。
ヒト血漿HPg及びwt−irHPgから短いプレインキュベー
ト時間(30秒)で調製したSK複合体によるBPgの活性
化、についての動力学定数を上記の第2表に示してい
る。第2表のデータから分かるように、Km値は、複合体
内のすべてのHPgがHPmに変換された相当する試料から得
られる値よりも劇的に減少している(第2表における30
秒及3分のプレインキュベート時間についてのデータを
比較)。同様の実験をR561E−HPg及びR561S−HPgを用い
て行った場合、このような初期の活性ピークは認められ
なかった。複合体の一時的な一定のアクチベーター活性
が認められたに過ぎない。
最後に、哺乳動物細胞から発現させた変異型HPg(R56
1S−HPg)はSKとの化学量論的複合体として、昆虫発現
タンパク質(R561E−HPg)に類似しているが同一でな
い、BPg活性化に対する定常状態動力学的値を有してい
た。後者のタンパク質を含有する酵素複合体のkcatは、
前者のHPgから形成される複合体のそれよりも約2倍高
かった。変異型組換えHPg調製物のグリコシル化の差異
は、これらの同じプラスミノーゲンを含有するSK複合体
のプラスミノーゲンアクチベーター活性に一役割を果し
得ることが、第2表のデータから読み取ることができ
る。従って、SK−R561E−HPg複合体によるBPgの活性化
のkcatは、グリコペプチダーゼF−脱グリコシル化R561
S−HPgから調製した同じ複合体の相当する値よりも2.4
倍低く、またKm値は約2倍高い。これらの相違は同じ複
合体のアミド分解活性の分析では明らかにされなかった
(第1表)。従って、CHO発現した変異型HPgの脱グリコ
シル化体はSKとの等モル複合体として、形成される複合
体をより効果的なBPgのアクチベーターにすることがで
きる。
すべての動力学的検定には緩衝液成分としてEACAを含
有させていることに留意すべきである。この物質を存在
させることで、最大の活性化速度を得、さらに本明細書
で試験するいずれかのプラスミノーゲンとの検定混合物
中における[Glu1]Pg及び[Lys78]Pgの量の相違に起
因して活性化速度に差異が生じ得るおそれを排除した。
結論として、HPgのSK複合体内での安定化により、そ
の複合体のプラスミノーゲン活性化能が極めて増大され
ることが示された。さらに、プラスミノーゲンの安定型
が哺乳動物細胞において発現されたので、それによりス
トレプトキナーゼと複合体化した時に安定であるプラス
ミノーゲンを効率的に調製することができる。また、こ
のような発現では、HIV、HTLV−I、非A、非B型肝炎
ウイルスなどの肝炎ウイルスのような有害なヒトウイル
スを含有するおそれのあるヒト血漿をプラスミノーゲン
の供給源として使用する必要がない。
実施例5 フィブリン溶解酵素とプラスミノーゲンとから形成さ
れる複合体は、血栓溶解薬として使用することができ
る。フィブリン溶解酵素の触媒部位は、特定の条件下で
の加水分解により除去し得る基によってブロックするこ
とができる。スミス[Smith]らの米国特許第4,808,405
号(前掲)及びSmithらのNature 290:505−508(198
1)。従って、本発明のR561E−HPg又はR561S−HPgは単
独で、又はフィブリン溶解酵素との複合体として、アシ
ル化フィブリン溶解酵素との複合体として、アシル化プ
ロ酵素として、又はフィブリン溶解酵素もしくはアシル
化フィブリン溶解酵素との複合体中のアシル化プロ酵素
として、血栓溶解薬に生することができる。本発明のア
シル化ストレプトキナーゼ/アシル化プラスミノーゲン
複合体は以下のようにして調製することができる: ストレプトキナーゼ(約451mg、スウェーデン、スト
ックホルムのAB Kabiから入手)をリジン/マンニトー
ル緩衝液(約110ml)pH7.0及び滅菌グリセリン(約60m
l)と混合し、4℃で5分間撹拌すればよい。滅菌濾過
したp−アミジノ−フェニル−p′−アニセートのDMSO
溶液(約15ml、約20mM)を2分かけて加え、得られた混
合物を4℃で5分間撹拌すればよい。本発明のR561E−H
Pg又はR561S−HPg(約809mg)を2分かけて加え、得ら
れた混合物を4℃で60分間撹拌する。
本発明の医薬組成物は次のようにして調製することが
できる: ヒト血清アルブミン(臨床用級)(18.9ml 20%w/v)
を上記の混合物に加え、4℃で2分間撹拌する。リジン
/マンニトール緩衝液を加え、その容量を約400mlとす
る。次いで、その液体を18℃で約2.5時間透析濾過(dia
filter)し、透析濾過液約240mlを採取する。次に、液
体を0.22μの滅菌フィルターで濾過し、滅菌貯蔵器に移
し、その一部を滅菌した凍結乾燥用バイアル中に分散さ
せ、次いで凍結乾燥すればよい。
材料の寄託 以下の株はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレク
ション[アメリカ合衆国MD,ロックビル,パークローン
・ドライブ12301番](ATCC)に寄託されている: ATCC受託番号 寄託日 294/pSVI6B5 68,151 1989年10月25日 この寄託物は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承
認に関するブダペスト条約の規定(ブダペスト条約)の
もとに為されている、これによると、寄託の日から30年
間にわたり生存培養物の維持が保証される。これら微生
物は、ブダペスト条約の条項のもとで、及びジェネンテ
ク,インコーポレイテッドとATCCとの間の契約の条件の
もとでATCCから入手可能となるであろう。即ち、関連の
米国特許が発行されたとき、又は米国もしくは外国特許
出願のいずれかが公開されたときのどちらか早いときに
公衆への培養物子孫の永久的かつ非制限の入手可能性が
保証されており、また、35 USC §122及びそれに則る長
官の規則(886 CG 638への具体的な言及を有する37 CFR
§1.14を含む)に従って米国特許商標局長官によって
決定された者への該子孫の入手可能性が保証されてい
る。
本出願の譲受人は、寄託微生物が適当な条件下で培養
したときに死ぬか、失われるか、又は破壊されたときに
は、通知後速やかに同培養物の生存試料と交換すること
に同意している。寄託された微生物の入手可能性は、特
許法に従っていずれかの政府機関の権限のもとに認可さ
れた権利に反して本発明を実施するライセンスであると
解すべきではない。
上に記述した明細書は、当業者が本発明を実施するこ
とを可能ならしめるに十分であると考えられる。本発明
は寄託された培養物によってその範囲が限定されるもの
ではない。これは、寄託された具体例が本発明のある種
の態様の具体的な例示を意図するものであるためであ
り、また、機能的に等価なあらゆる培養物が本発明の範
囲内にあるためである。本発明における原料の寄託は、
本明細書に含まれる記述が本発明のあらゆる態様(最良
を態様を含む)の実施を可能ならしめるに不十分である
ということを認めるものではなく、また、それによって
示される特定の例に特許請求の範囲を限定するものでも
ない。実際には、本明細書に示し、かつ記述したものに
加えて本発明の各種の修飾が上の記述から当業者には明
らかとなり、そしてそれらは添付した請求の範囲内に含
まれるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12N 9/68 A61K 37/54 (72)発明者 ヒギンス,デボラ・エル アメリカ合衆国カリフォルニア94070、 サン・カルロス、クレストビュー・コー ト115番 (56)参考文献 特開 昭62−24(JP,A) 特開 昭62−253380(JP,A) 特開 昭62−236481(JP,A) 特開 昭62−26234(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) CA(STN) Registry(STN)

Claims (26)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスミノーゲンの2本鎖開裂部位に変異
    を有する、その2本鎖型へのタンパク質分解的開裂に対
    して耐性であるプラスミノーゲンアミノ酸配列変異体を
    コードする核酸配列分子であって、該変異体が野生型プ
    ラスミノーゲンにおける561位のアルギニン残基がグル
    タミン酸残基に置換されているR561E−HPg又は野生型プ
    ラスミノーゲンにおける561位のアルギニン残基がセリ
    ン残基に置換されているR561S−HPgである核酸配列分
    子。
  2. 【請求項2】プラスミノーゲンがヒトプラスミノーゲン
    である請求項1に記載の配列分子。
  3. 【請求項3】プラスミノーゲン暗号配列と作動可能に結
    合したプロモーターを含有する請求項1に記載の配列分
    子。
  4. 【請求項4】プラスミノーゲン暗号配列と作動可能に結
    合したシグナル配列をさらに含有する請求項3に記載の
    配列分子。
  5. 【請求項5】シグナル配列が哺乳動物宿主細胞に認識さ
    れるものである請求項4に記載の配列分子。
  6. 【請求項6】プラスミノーゲンアミノ酸配列変異体がグ
    リコシル化されていない請求項1に記載の配列分子。
  7. 【請求項7】制御配列と作動可能に結合している請求項
    1に記載の核酸配列分子を含有する発現ベクター。
  8. 【請求項8】R561E−HPgをコードする請求項7に記載の
    ベクター。
  9. 【請求項9】請求項7に記載のベクターを含有する宿主
    細胞。
  10. 【請求項10】真核生物細胞である請求項9に記載の宿
    主細胞。
  11. 【請求項11】哺乳動物細胞である請求項10に記載の宿
    主細胞。
  12. 【請求項12】原核生物細胞である請求項9に記載の宿
    主細胞。
  13. 【請求項13】プラスミノーゲンの2本鎖開裂部位に変
    異を有する1本鎖プラスミノーゲンアミノ酸配列変異体
    であって、野生型プラスミノーゲンにおける561位のア
    ルギニン残基がグルタミン酸残基に置換されているR561
    E−HPg又は野生型プラスミノーゲンにおける561位のア
    ルギニン残基がセリン残基に置換されているR561S−HPg
    であるプラスミノーゲンアミノ酸配列変異体。
  14. 【請求項14】請求項13に記載のプラスミノーゲンアミ
    ノ酸配列変異体の有効量及び製薬的に許容され得る担体
    を含有してなる、血栓溶解剤医薬組成物。
  15. 【請求項15】ストレプトキナーゼをさらに含有する請
    求項14に記載の組成物。
  16. 【請求項16】ストレプトキナーゼの活性部位がアシル
    化されている請求項15に記載の組成物。
  17. 【請求項17】ストレプトキナーゼがプラスミノーゲン
    アミノ酸配列変異体と複合体化している請求項15に記載
    の組成物。
  18. 【請求項18】複合体がp−アニソイルストレプトキナ
    ーゼ/プラスミノーゲンアミド酸配列変異体複合体であ
    って、内部ペプチド結合開裂を伴わないものである請求
    項17に記載の組成物。
  19. 【請求項19】等張性である請求項14に記載の組成物。
  20. 【請求項20】滅菌濾過している請求項14に記載の組成
    物。
  21. 【請求項21】加水分解により除去し得る基によってブ
    ロックされているフィブリン溶解活性に必須の触媒部位
    を有する、ストレプトキナーゼ及びプラスミノーゲンア
    ミド酸配列変異体からなる2元複合体の調製方法であっ
    て、 式:A−B又はE−F で示される過剰量のブロッキング剤 [式中、Aはフィブリン溶解活性にとって必須の触媒部
    位に選択的であり、かつ基:Bからその触媒部位に転移す
    ることのできる加水分解に不安定なブロッキング基であ
    り、 BはAをストレプトキナーゼに結合させることのできる
    基であり、 Eはブロッキング剤を触媒部位に局在化させる局在化基
    であり、 Fはその局在化基から触媒部位に転移することのできる
    加水分解的に不安定なブロッキング基である] の存在下に、ストレプトキナーゼを、プラスミノーゲン
    の2本鎖開裂部位に変異を有する、その2本鎖型へのタ
    ンパク質分解的開裂に対して耐性であるプラスミノーゲ
    ンアミノ酸配列変異体と混合することにより二元複合体
    を形成させることを特徴とする方法であって、該変異体
    が野生型プラスミノーゲンにおける561位のアルギニン
    残基がグルタミン酸残基に置換されているR561E−HPg又
    は野生型プラスミノーゲンにおける561位のアルギニン
    残基がセリン残基に置換されているR5613−HPgである方
    法。
  22. 【請求項22】加水分解に不安定なブロッキング基がア
    シル基である請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】アシル基がベンジル、置換ベンゾイル、
    アクリロイル、又は置換アクリロイル基である請求項22
    に記載の方法。
  24. 【請求項24】A−Bがp−ニトロフェニル−p′−グ
    アニジノベンゾエートである請求項22に記載の方法。
  25. 【請求項25】Eがp−アミジノフェニル又はp−アセ
    トアミドフェニル基である請求項22に記載の方法。
  26. 【請求項26】Fがベンゾイル又はアクリロイル基であ
    る請求項22に記載の方法。
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