JP3040444B2 - 体温計 - Google Patents

体温計

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JP3040444B2
JP3040444B2 JP2263202A JP26320290A JP3040444B2 JP 3040444 B2 JP3040444 B2 JP 3040444B2 JP 2263202 A JP2263202 A JP 2263202A JP 26320290 A JP26320290 A JP 26320290A JP 3040444 B2 JP3040444 B2 JP 3040444B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は生体の検温部位からの赤外線放射を受け検温
部位の温度を推定する体温計に関するものである。
[従来の技術] 非接触で生体の皮膚温度を計測する方法は、既に商品
化され実施されている。しかし、体表面において計測さ
れた温度は、環境温の影響を強く受け、医療及び医学の
分野で用いられる疾病の有無、並びに病状の経過及び婦
人の基礎体温等のスクリーニングを目的としたいわゆる
体温とは性質を異にしており、かかる目的のために皮膚
温度を用いることは不適切である。
そこで、センサーが非接触で体温を測定する試みとし
て、特開昭61−117422に見られるような、米国Intellig
ent Medical Systemsの「First Temp」(登録商標)と
いう体温計が商品化されて、鼓膜を対象とした検温が可
能となつた。
鼓膜温は環境温の影響を受けにくく、生体の温度中枢
である視床下部温を反映している部位として早くから注
目されていたが、センサーが接触式の検温では鼓膜を傷
つける恐れがあるとして、一般的に行なわれることがな
かつた。このような鼓膜損傷の危険性もなく、体温とし
て適切な鼓膜温が測定できるシステムは、放射温度計測
のもう一つの長所である短時間温度計測が可能であると
いう点から、1分ないしそれ以上の検温時間を必要とす
る接触式検温の煩わしさを解消するものである。尚、こ
こで短時間とは、数秒程度ないしそれ以下を指す。
[発明が解決しようとしている課題] しかしながら、上記の体温計は、体温計として求めら
れる精度±0.1〜0.2(℃)を確保するために、センサー
基準温及び対象温度によつて変化するシステムのゲイン
が一定となるように、強制的にセンサーの基準温を対象
温相当に加熱すると同時に、皮膚と同程度の放射率を有
するリファレンス用ターゲツトの温度をも対象温相当に
加熱するよう構成している。そのため、かかる構成をと
るシステムは、計測の度に行なう較正に時間がかかる上
に、加熱のために電力が少なからず消費されることにな
り、電力消費を補うための2次電池への充電、もしくは
頻繁な1次電池の交換が必要となる。従つて、短時間検
温を目的としていた検温自体がこれらの煩雑な作業のた
め、初期の目的を十分に達成できないという問題点があ
る。
また、加熱を目的とした電力消費に対処するため、シ
ステムに大きな電力容量を有する電池を備えなければな
らないので、システムの小型化が妨げられるという欠点
がある。
さらに、センサーの基準温及びリファレンス用ターゲ
ツト温の温度制御を行なうシステムにおいては、制御系
の安定性の面から電源投入直後は正確な計測ができな
い。従つて、正しい検温を行なうためには、常にセンサ
ーの基準温及びリファレンス用ターゲツト温の温度制御
を行なわなければならないが、そのためには電力の絶え
ざる供給が必要となる。上記従来の体温計では、充電ユ
ニツトの上に着脱可能な状態で体温計本体を常時設置し
て電力供給を行なつているが、この方式は2次電池への
過充電の恐れがあり、2次電池の寿命や発熱の点から望
ましくないという問題点がある。
さらにまた、かかるシステムでは、センサーをとりま
く環境温が対象温相当に制御されているセンサー基準温
以上になると、アナログ的にもデジタル的にも出力信号
についてのシステムの細かいゲイン調整を自動的に行な
うことができないので、体温計としては大きな計測誤差
が生じるという問題点がある。
結局、一般的に放射温度計においては、システムのゲ
インがセンサー基準温及び対象温度によつて非線形に変
化するため、異なるセンサー基準温等において十分な精
度を保つことが困難となる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的
とするところは、センサー基準温部に対する加熱及び温
度制御を不要として、充電に関わる問題をなくした装置
を提供し、センサーの基準温等によつて変化するシステ
ムのゲイン、またはそれを容易に導くことのできる較正
法及び対象温度の推定が可能な体温計を提供することで
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上述の課題を解決することを目的として成
されたもので、上述の課題を解決する一手段として以下
の構成を備える。
即ち、生体の検温部位からの赤外線放射を受け検温部
位の温度を推定する体温計において、前記赤外線放射を
受光する受光部と、前記受光部での温度変化(δT)を
検出する第1感温エレメントと、センサー基準温(Ta)
を検出する第2感温エレメントとからなる熱型赤外線セ
ンサーシステムを備え、前記熱型赤外線センサーシステ
ムのゲインを前記第1感温エレメントで検出される温度
変化(δT)と前記第2感温エレメントで検出されるセ
ンサー基準温(Ta)を用いて近似計算する近似計算手段
と、前記近似計算手段の計算により得られる前記熱型赤
外線センサーシステムのゲインと前記第1感温エレメン
トで検出される温度変化と前記第2感温エレメントで検
出されるセンサー基準温からゲイン(Gs)の定義式、 Gs=δT/(Tobj−Ta) に基づき、検温部位の温度(Tobj)を推定する温度推定
手段とを有することを特徴とする。
そして例えば、前記近似計算手段は、ゲインの逆数を
前記温度変化(δT)とセンサー基準温(Ta)の多項式
関数として前記熱型赤外線センサーシステムのゲインを
近似計算することを特徴とする。
また例えば、更に、前記近似計算手段に用いられる関
数の形及び係数を記憶する記憶手段を備える。
更に例えば、前記近似計算手段で用いられる関数の係
数は、あらかじめ、複数の較正条件により得られた前記
温度変化(δT)とセンサー基準温(Ta)と黒体炉温
(Tb)を用いて算出されて前記記憶手段に記憶されてい
ることを特徴とする。あるいは、前記算出される関数の
係数は、最小2乗近似を用いて算出されることを特徴と
する。
また例えば、生体の検温部位からの赤外線放射を受け
検温部位の温度信号を出力する体温計であって、前記赤
外線放射を受光する受光部と、前記受光部での温度変化
信号(δT)を出力する第1感温手段と、センサー基準
温信号(Ta)を出力する第2感温手段とからなる熱型赤
外線センサーシステムを備え、前記熱型赤外線センサー
システムのゲインを前記第1感温手段から出力される前
記温度変化信号(δT)と前記第2感温手段手段から出
力されるセンサー基準温信号(Ta)を用いて近似計算す
る近似計算手段と、前記近似計算手段の計算により得ら
れる前記熱型赤外線センサーシステムのゲインと前記温
度変化信号と前記センサー基準温信号からゲイン(Gs)
の定義式、 Gs=δT/(Tobj−Ta) に基づき、検温部位の温度信号(Tobj)を出力する出力
手段とを有することを特徴とする。
そして例えば、前記近似計算手段は、ゲインの逆数を
前記温度変化信号(δT)とセンサー基準温信号(Ta)
の多項式関数として近似することを特徴とする。
本発明においては、好ましくは、これら処理された出
力信号を用いて、あらかじめ定義された関数から基準温
等によつて変化するシステムのゲインを求め、これを用
いて温度変換を行なつて、推定対象温度を表示する。
かかる関数は、例えば、(1)式の形をとる。
κ=a1・Ta+b1.δT+c …(1) 但し、Ta:センサー基準温(環境温) δT:赤外線による受光部の温度上昇分 ai,bj,c:較正時に求められる係数(i,jは整
数) κ:システムゲインの逆数で、対象温度をT
objとすると、 の関係がある。
また、システムのゲインGsは、 また、かかる関数は、例えば(2)式の形をとる。
κ=a1・Ta+a2.Ta 2+b1.δT+c …(2) かかる関数は、例えば、さらに(3)式,(4)式の
形をとる。
κ=a1・Ta+b1.δT+b2.δT2+c …(3) κ=a1・Ta+a2.Ta 2+b1.δT+b2.δT2+c…(4) かかる関数が、センサー基準温Ta及び赤外線による受
光部の温度上昇分δTに関するκを求めるための陽関数
であるとき、(1)式ないし(4)式は一般的に下記
(5)式の形をとる。
かかる関数をさらに一般的に表わせば、下記の(6)
式の形をとる。
但し、dij:較正時に求められる係数 つまり、di0,d0j,d00は、それぞれai,bj,cを表わして
いる 本発明において、かかる関数の各係数は、装置製作時
に前もつて標準黒体炉により較正される。この較正は、
かかる関数の未知係数の個数以上の較正点において行な
われなければならない。
例えば、(1)式においては、少なくとも3点以上の
較正点(条件)での較正を必要とする。また、好ましく
は、4種類の条件における較正を行い、最小2乗近似に
よつて各係数を求める。さらに好ましくは、異なる2種
類のセンサー基準温における、それぞれ異なる2種類の
黒体炉温、即ち、4点較正を行ない最小2乗近似によつ
て各係数を求める。
かかる較正条件を用いたときの(1)式における各係
数a1,b1,cは、次の(7)式で表わされる行列を満足す
る。
但し、κijはセンサー基準温がTai,黒体炉温がTbj
ときのシステムゲインの逆数 即ち、 ここで、較正を行なう条件は(Ta1,Tb1),(Ta2,
Tb2),(Ta3,Tb3),(Ta4,Tb4)の4点であるから、
N=4である。この較正点として、(Ta1,Tb1),
(Ta1,Tb2),(Ta2,Tb1),(Ta2,Tb2)を選べば、N
=2×2=4となる。ここでのTa1,Ta2は、装置仕様に
おける使用環境温の上限と下限の±10(℃)の範囲内か
ら選び、Tb1,Tb2は、装置仕様における測定対象温度の
上限と下限の±5(℃)の範囲内から選ぶのが望まし
い。
また、最小2乗近似によつて(1)式の各係数を求め
る場合、以下の(8)式から導かれた(9)式に依るこ
ともできる。
Tb=Ta+κ・δT …(8) 但し、κは前記(1)式で表わされる。
但し、dTij=Tbj−Tai ここでの4点の較正点は、(7)式における条件と同
等のものが好ましい。
また、好ましくは、(1)式の各係数を求めるための
(7)式及び(9)式における較正条件は、異なる3種
類のセンサー基準温における、それぞれ異なる2種類の
対象温度、即ち6種類の較正点を用いる。このとき、6
点の較正点(Ta1,Tb1),(Ta1,Tb2),(Ta2,Tb1),
(Ta2,Tb2),(Ta3,Tb1),(Ta3,Tb2)において、装
置仕様の環境温範囲をTa2で2分して、6点の較正点の
内、前者4点、即ち(Ta1,Tb1),(Ta1,Tb2),(Ta2,
Tb1),(Ta2,Tb2)について、(7)式または(9)式
から1組の各係数を求め、後者4点、即ち(Ta2,
Tb1),(Ta2,Tb2),(Ta3,Tb1),(Ta3,Tb2)につい
て、(7)式または(9)式からもう1組の各係数を求
める。
また、好ましくは、(1)式の各係数を求めるための
(7)式及び(9)式における較正条件は、異なる2種
類のセンサー基準温における、それぞれ異なる3種類の
対象温度、即ち6種類の較正点を用いる。このとき、6
点の較正点(Ta1,Tb1),(Ta1,Tb2),(Ta1,Tb3),
(Ta2,Tb1),(Ta2,Tb2),(Ta2,Tb3)において、装
置仕様の測定対象温度範囲をTb2で2分して、6点の較
正点のうち(Ta1,Tb1),(Ta1,Tb2),(Ta2,Tb1),
(Ta2,Tb2)の4点について(7)式または(9)式か
ら1組の各係数を求め、(Ta1,Tb2),(Ta1,Tb3),
(Ta2,Tb2),(Ta2,Tb3)の4点について(7)式また
は(9)式からもう1組の係数を求める。
この(1)式を用いたκに関する近似は、Ta,δT,κ
という3次元空間、即ちxyz座標における平面近似であ
る。これは、XY座標で考えた際に曲線を直線で近似する
のに相当する。このとき、定義域が広ければ広いほど誤
差が大きくなる。(1)式は、このような場合によく用
いられる折れ線近似と同様な多面近似であると考えるこ
とができる。従つて、曲線の折れ線近似に、節点数が多
ければ多いほど正確な近似ができるのと同様に、多面近
似においても、面分割が多ければ多いほど正確な近似が
可能となる。その際、あまり較正点が多くなりすぎる
と、製造工程における工数が増える結果となるので、好
ましくは、4点ないし9点較正を行なうことを一態様と
する。これは、曲面を2面ないし4面近似することを意
味する。
また、(1)式の代わりに(4)式を用いてκに関す
る近似を行なう場合、未知係数が5個あるので、5個以
上の較正点(条件)での較正を必要とする。このとき、
最小2乗近似によつて各係数を求めれば、(10)式の関
係が成り立つ。
但し、(10)式の左辺における5×5の行列は対称行
列である。
(10)式における較正条件は、好ましくは、6ないし
12種類の較正点を用いる。例えば、異なる3種類のセン
サー基準温における、それぞれ異なる3種類の対象温
度、即ち9種類の較正点を用いる。この9種類の較正点
は、i=1,2,3 j=1,2,3として(Tai,Tbj)である
が、Ta1<Ta2<Ta3とTb1<Tb2<Tb3の関係があるものと
すると、Ta1は装置仕様における使用環境温の下限±10
(℃)、Ta3は使用環境温の上限±10(℃)、Ta2は両者
の平均±10(℃)の範囲内から選び、また、Tb1は装置
仕様における測定対象温度の下限±5(℃)、Tb3は測
定対象温度の上限±5(℃)、Tb2は両者の平均±2
(℃)、望ましくは平常体温と考えられる37±0.5
(℃)の範囲内から選ぶ。
以上のようにして、κの近似式に含まれる未知係数の
個数に応じて、適当な種類の較正条件における較正を行
なうことによつて、簡単で、より正確なκの近似を実現
させることができる。
求められたκの関数並びに各係数は、好ましくは、製
造過程においてそのままROM等の不揮発性メモリに書き
込んでおき、計測時に、そのとき測定したTaとδTの値
からROMに記憶されているκの関数とその各係数を用い
てκを推定し、得られたκ及びTaとδTの測定値により
対象温度Tobjを推定し、表示することを一態様とする。
また、好ましくは、製造過程においてκの関数並びに
各係数から推定されるκについて、TaとδTをパラメー
タとしたテーブルを作成してそれをROMに書き込んでお
き、計測時に、そのとき測定したTaとδTの値からROM
に記憶されているκを推定して、得られたκ及びTaとδ
Tの測定値より対象温度Tobjを推定し、表示することを
一態様とする。
また、好ましくは、製造過程において、κの関数並び
に各係数から推定されるκからさらに推定される対象温
度Tobjについて、TaとδTをパラメータとしたテーブル
を作成してROMに書き込んでおき、計測時にそのとき測
定したTaとδTの値から、ROMに記憶されている対象温
度Tobjを推定して表示することを一態様とする。
[作用] 以上の構成において、Gs=δT/(Tobj−Ta)で表され
るゲインの概念に注目し、ゲインの逆数が赤外線放射に
よる受光部での温度変化(δT)とセンサー基準温(T
a)の多項式で表現可能なことを利用して、面倒な周知
のステファン−ボルツマン法則より導かれるTの4乗式
を解くことなく、結果的に正確な近似式を作ることがで
き、該近似式を用いて簡単な計算で容易に較正を行な
い、正確に対象温度を測定することができる。
[実施例] 以下、添付図面を参照して本発明に係る好適な実施例
を詳細に説明する。
第1図は、本発明の一実施例である体温計の外観図で
ある。同図において、体温計の本体1とプローブ2とは
ケーブル3により互いに電気的に接続され、計測時は測
定者がプローブ2のみを手に持つて操作できるようにな
つている。また、本体1側には電源スイツチ50、計測ス
イツチ51、そして表示部(以下、LCDという)15が備え
られており、不図示の信号処理部が内蔵されている。
第2図(a)は、本実施例の一つである体温計のプロ
ーブ2の使用状態を示す断面図である。同図において、
計測部位は外耳道31を含む鼓膜30であり、プローブ2は
内部に赤外線センサー20を備え、外耳道31等の体内に挿
入可能なライトガイド21によつて対象物(ここでは鼓膜
30)からの赤外線が導かれる構造になつている。ライト
ガイド21は、それが外耳道31等の体の一部に直接触れな
いように外耳挿入管22により保護される二重または三重
構造になつていて、内面は赤外線反射率が高く酸化によ
る赤外線反射率の経時変化が小さいAu(金)等がメツキ
されている。
第2図(b)は、本実施例に係る体温計のプローブ2
の使用状態の変形例を示す断面図である。同図における
計測部位も、第2図(a)と同様、外耳道31を含む鼓膜
30であるが、ブローブ2の内部にはライトガイドはな
く、代わりにプローブ2の先端付近に小型の赤外線セン
サー20を設けている。
センサー20の内部にはセンサーの基準温を検知する感
温エレメント(不図示)と赤外線によるセンサー基準温
からの温度上昇分を検知する感温エレメント(不図示)
を備えている。後者の感温エレメントが熱起電力を生ず
る多対熱電対であるとき、一般にこれをサーモパイルと
呼び、2つの感温エレメントが温度によつて抵抗変化を
示す測温抵抗体であるとき、一般にこれをボロメータと
呼ぶ。
以下、本実施例における赤外線センサー20はボロメー
タであるとして説明する。
ボロメータは、温度による抵抗変化を検知することを
基本とする。従つて、センサー基準温は少なくとも1個
の測温抵抗体によつて測定され、赤外線による温度上昇
分は、赤外線の受光エレメントである少なくとも1個の
測温抵抗体によつて測定される。赤外線による温度上昇
分の測定方法としては、アナログ電気回路の構成上、測
温抵抗体からの出力を独立にセンサー基準温と受光部温
度としてA/D変換部へ入力し、デジタル処理を施すこと
で赤外線による温度上昇分として変換する方法か、また
は、センサー基準温測定用と受光部温度測定用の測温抵
抗体をブリツジ等のように差動回路を構成して温度上昇
分として直接A/D変換部へ入力する方法がある。
第3図は、本実施例の温度計の動作全体を示すフロー
チヤートである。
第3図のステツプS1において、第1図に示した温度計
本体1の側面部に設けられた電源スイツチ50にて電源を
投入すると、後述する温度計のCPU121が立ち上がり、続
くステツプS2において初期チエツクアルゴリズムが働
く。このアルゴリズムにより信号処理部(不図示)及び
表示部であるLCD15、及び内蔵された電池(不図示)の
電圧がチエツクされる。ここで電池電圧の低下等の異常
が発見されたときは、LCD15にエラー表示として、例え
ば電池マーク150が表示される(第1図参照)。
電源スイツチ50の投入後、アナログ回路系のウオーム
アツプのため一定時間、例えば30秒程度、LCD15にウエ
イト表示として、例えば88.8のような数値のみ全燈表示
して温度計は計測不可モードになる。この間、CPU121
は、消費電力の低減のために待機状態になる。
上記のウオームアツプ時間経過後は、LCD15のウエイ
ト表示が消え、ステツプS3の計測待機アルゴリズムが動
作して計測可能モードになる。この計測可能モードで
は、計測スイツチ51が押されないままの状態が一定時
間、例えば10分継続したときは、電源スイツチ50によつ
て電源を切らなくてもパワーオフ(以下、オートパワー
オフという)となる。尚、計測可能モードでは、電源ス
イツチ50によつても、任意の時刻に電源を切ることがで
きる。
計測可能モードにおいても、温度計測が計測スイツチ
51による計測開始を待つている状態では、CPU121は消費
電力を低減させるための待機状態になる。また、このと
きLCD15には、オートパワーオフ状態と区別するため
に、計測可能モードを表す計測マーク151が表示される
(第1図参照)。
計測可能モードになつた後は、赤外線ライトガイド21
の内面等が耳垢等によつて汚染されないようにするため
に、プローブ2に別添のプローブカバーを取り付ける。
そして、温度計本体1の上面部に備えられている計測ス
イツチ51を押すことで、ステツプS4の計測アルゴリズム
の動作に入り、計測を開始することができる。尚、測定
者が電源スイツチ50と計測スイツチ51とを混同しないよ
うに、それらを温度計の本体1の異なつた面、即ち、本
体側面部と上面部とに別けて設けられている。
計測開始後、ステツプS5で電源スイツチ50がオフ状態
となれば温度計の動作は終了する。
次に、本実施例に係る温度計の回路構成を説明する。
第7図は本実施例の温度計のアナログ回路系、及びデ
ジタル回路系の一構成を示す。同図において、ボロメー
タセンサー20aの内部には感温素子として、赤外線受光
部温検知素子200と補償用センサー基準温検知素子201が
各々1個づつ備えられている。
アナログ回路系11において、ボロメータセンサー20a
内部の赤外線受光部温検知素子200と補償用センサー基
準温検知素子201に対して、それぞれ基準抵抗110,111が
センサー外部において直列に接続され、それらに定電圧
電源114によつて定電圧E0が印加されている。定電圧電
源114は、さらに直列基準抵抗112,113も駆動しており、
両基準抵抗間に基準電位として電位E1が発生する。
オペアンプ115は、上記基準電位E1を基準に赤外線受
光部温検知素子200と基準抵抗110の間の電位E2を受けて
電圧(E2−E1)を出力する。また、オペアンプ116は基
準抵抗間電位E1を基準として、補償用センサー基準温検
知素子201と基準抵抗111の間の電位E3を受けて電圧(E3
−E1)を出力する。
本実施例では、上述の如く信号源インピーダンスが高
く信号電流が小さいので、オペアンプ115,116には高入
力インピーダンス,低バイアス電流特性が要求され、同
時にそれらは低オフセツト電圧,低オフセツト電圧ドリ
フトのオペアンプであることが要求される。さらに、オ
ペアンプ115,116は、特に温度ドリフト等の面で、互い
に同じ特性を持つていることが重要になつてくる。ま
た、基準抵抗110〜113は温度測定回路に使用されるもの
であるため、その抵抗温度係数は感温素子の抵抗変化率
に比べて、無視できるほど小さいものでなければならな
い。
オペアンプ115からの出力は、抵抗体200,110,112,113
を4辺とするブリツジ回路の出力であり、それは赤外線
受光部温を表わしている。同様に、オペアンプ116から
の出力は、抵抗体201,111,112,113を4辺とするブリツ
ジ回路の出力で、補償用センサー基準温を表わしてい
る。これらオペアンプ115,116からの出力は、デジタル
回路系12のA/Dコンバータ120に入力され、そこで2チヤ
ンネルのデジタル信号に変換される。尚、デジタル回路
系12での信号処理については、後述する。
第8図は、本実施例の温度計のアナログ回路系、及び
デジタル回路系の変形例の構成を示し、ここではボロメ
ータセンサー23の内部に、感温素子として2個の赤外線
受光部温検知素子230,231と補償用センサー基準温検知
素子232,233,234,235の4個が備わつている。
アナログ回路系13内の定電圧電源130は、ボロメータ
センサー23内にて互いに隣合うようにブリツジ回路を構
成している赤外線受光部温検知素子230,231、及び補償
用センサー基準温検知素子232,233の回路網に定電圧E0
を印加している。このブリツジ回路からの出力はオペア
ンプ131によつて受けられ、その出力E4は、センサーが
赤外線を受光していないときには、センサーの基準温度
に依らずほぼ一定であるが、赤外線を受光して赤外線受
光部検知温素子230,231に温度上昇が見られるとき、そ
の温度上昇分に応じた電圧値を出力する。
また、補償用センサー基準温検知素子234,235には、
それぞれ基準抵抗132,133がセンサー外部、つまりアナ
ログ回路系13内において直列に接続され、定電圧電源13
0によつてそれぞれに定電圧E0が印加されている。補償
用センサー基準温検知素子234と基準抵抗132の間の電位
E5と補償用センサー基準温検知素子235と基準抵抗133の
間の電位E6は、それぞれオペアンプ134,135によつて受
けられる。
アナログ回路系13のオペアンプ131,134,135からの出
力は、デジタル回路系12のA/Dコンバータ120に入力さ
れ、そこで3チヤンネルのデジタル信号に変換される。
オペアンプ131からの出力は、赤外線受光部の温度上昇
分を表わすが、オペアンプ134,135からの出力は、補償
用センサー基準温を表わすのと同時に、センサーの置か
れている環境のモニタリング、例えば、前述のプローブ
2を手で握つた直後におけるセンサーの熱的な定常−非
定常状態の判別に用いることができる。このときのセン
サーの熱的状態の判別は、2つの補償用センサー基準温
検知素子234,235が一定温度差、例えば、0.01(℃)以
下になり、その状態が一定時間、例えば、0.5秒間継続
したこと等を条件として行なうことが可能である。
センサー基準温は、オペアンプ134,135からの2チヤ
ンネルの出力の温度換算値を平均値を求める処理等をし
て得ることができる。このように、アナログ回路系13か
らの電圧をA/Dコンバータ120によつて変換して得られた
3チヤンネルのデジタル信号は、デジタル回路系12のCP
U121においては、最終的に2チヤンネルの信号として取
り扱われる。
次に、デジタル回路系12の動作について説明する。
尚、以下、ボロメータセンサー20aの内部には、感温素
子として赤外線受光部温検知素子200と補償用センサー
基準温検知素子201の2個が備えられているものとして
説明する。
デジタル回路系12のA/Dコンバータ120は、本実施例に
おいて±0.1〜0.2(℃)の精度が要求される体温を測定
対象としているので、十分な分解能(16bits程度)と直
線性(±1/2LSB程度)が必要であり、対象温推定の後処
理のフイルタリングのために、数十(msec)(例えば、
20(msec))程度のサンプリングを行なう。A/Dコンバ
ータ120によつて生成された2チヤンネルのデジタル信
号は、CPU121において処理され、対象物の温度を推定す
るのに用いられる。尚、推定手順の詳細については、後
述する。
推定された対象温度は、CPU121によるフイルタリング
等の処理が行なわれ、その結果をLCDドライバ122によつ
てLCD15に表示する。このときの温度表示値は、見やす
いように一定時間、例えば1/2秒おきに更新されるが、
ピーク値はホールドされる。計測中、LCD15は計測マー
ク151を例えば、1秒おきに点滅しているが、対象温推
定値の安定に従つて計測マーク151は点滅から点灯に変
わる。この対象温推定値が安定したことの検知は、対象
温推定値の差分値、及び2階差分値をある閾値として、
例えば、対象温推定値の差分値が0.08/0.5(℃/sec)以
下で、かつ2階差分値が0.01/0.5(℃/sec2)以下であ
ることを閾値として論理判断を行なう。
対象温推定値が安定して、CPU121によつてこの論理判
断が行なわれた場合、LCD15は推定温度と計測マーク151
を表示したままとなり、CPU121は上述の計測アルゴリズ
ムを終了して、次の計測のための計測可能モードへ戻
る。しかし、計測スイツチ51を押したにもかかわらず、
プローブを外耳道に挿入しなかつた場合等は、対象温度
推定値が安定しないので、計測スイツチ51が押されてか
ら一定時間、例えば10秒程度経過してから計測可能モー
ドへ戻る。このときLCD15の温度表示は消され、計測可
能モードであることを示す計測マーク151が表示され
る。
次に、第4図,第5図、及び第6図に示したフローチ
ヤートを参照して、第3図のフローチヤートにて示され
た本実施例の温度計の動作の詳細を説明する。
第4図は、本実施例における初期チエツクアルゴリズ
ムの詳細フローチヤートである。同図において、温度計
本体1への電源投入によりCPU121が立ち上がると、ステ
ツプS10で内蔵バツテリの電圧チエツク(バツテリーチ
エツク)が行なわれる。チエツクの結果、バツテリ電圧
に異常があればステツプS11でLCD15にエラー表示を行な
う。異常がなければステツプS12にて、信号処理に関係
する回路系の動作チエツクをし、続くステツプS13でLCD
15の表示機能をチエツクする。
ステツプS14では、アナログ回路系のウオームアツプ
のために、30秒間LCD15にウエイト表示をして、前述の
計測不可のモードに入る。
第5図は、計測待機アルゴリズムの詳細フローチヤー
トである。同図のステツプS20で、CPU121はLCD15上に計
測可能モードを示す計測マーク151を表示(点灯)し、
続くステツプS21で計測スイツチ51が押されたか否かの
判定をする。ここで計測スイツチ51が押下されればリタ
ーンとなり、計測アルゴリズムの実行に入る。しかし、
スイツチが押されなければステツプS22に進んでバツテ
リーをチエツクし、次のステツプS23で計測スイツチ51
が押されないままの状態が10分経過したかどうかの判定
を行なう。
ステツプS23での判定の結果、タイマーの計測値が10
分を過ぎていなければステツプS21に戻り、再び計測ス
イツチ51の監視に入る。しかし、計測スイツチ51が押さ
れないままの状態が10分以上継続した場合には、ステツ
プS24に進んで、電源スイツチ50によつて電源を切らな
くてもオートパワーオフとして消費電力を低減させる。
第6図は、計測アルゴリズムの詳細フローチヤートで
ある。同図のステツプS30で、A/Dコンバータ120はオペ
アンプからの電圧データをサンプリングし、2チヤンネ
ルのデジタル信号に変換する。ステツプS31で対象温度T
objを推定し、続くステツプS32で、得られた対象温度T
objの時系列信号をスムージングしてobjを算出する。
ステツプS33では、LCD15にobjのピークホールド値
を、1/2秒毎に更新しながら表示し、次のステツプS34で
同じくLCD15上に、2秒毎に計測マーク151を点滅させ
る。ステツプS35で、objの値が安定したかの判定を行
ない、安定したと判断できた場合には、ステツプS36に
進んで計測マーク151を点灯させ、計測終了の旨表示す
る。
しかし、ステツプS35でobjが安定していないと判断
された場合には、ステツプS37でタイマーによる計時を
行ない、それが10秒経過したか否かを判定する。10秒経
過していなければステツプS30に戻つて、オペアンプか
らの電圧データをサンプリングするが、10秒経過してい
ればステツプS38でLCD15上の計測値を消滅し、続くステ
ツプS39で計測マーク151を点灯してリターンする。
次に、本実施例におけるセンサーシステムゲインの較
正方法について説明する。
前述の如く、本実施例で用いる赤外線センサー20はボ
ロメータであるので、センサー内部に備えられた2種類
の感温素子200,201の特性を調べるために、赤外線セン
サー20をプローブに取り付ける前の状態でセンサー較正
装置(不図示)に取り付ける。このセンサー較正装置
は、センサー全体が熱伝導性の良い、例えば、アルミニ
ウムのブロツクで包まれるような構造体の温度を外部か
ら制御するようになつており、センサー内の温度分布が
極めて小さくなるように、センサーハウジングとアルミ
ニウムブロツクが良好な熱的接触をしている。
また、赤外線センサー20の赤外線窓部は、赤外線受光
部温検知素子200が迷光によつて補償用センサー基準温
検知素子201に対して温度分布が生じないように完全に
アルミニウムカバーによつて遮光されていて、この部分
もアルミニウムブロツクと同じ温度になるようになつて
いる。
かかるセンサー較正装置を用いて、感温素子200,201
の抵抗値R1i,R2iを測定する。尚、ここでR1iは、温度Ti
のときの赤外線受光部温検知素子200の抵抗値であり、R
2iは、同温度のときの補償用センサー基準温検知素子20
1の抵抗値を表す。
サーミスタ感温素子の特性は、下記の(11)式で与え
られる。
R=R0・expB(1/T−1/T0) …(11) 但し、R0は温度T0のときの素子の抵抗値で、T0は測定
したい温度域で選ばれる。
センサー較正装置によつて求められた温度Tiにおける
抵抗値R1i,R2iを用いて、(11)式から各々の素子のR0
とBを求める。そして、求められたこれらの素子の特性
値は、ROM123に格納される。このようにして、赤外線受
光部温検知素子200の特性値R01,B1と補償用センサー基
準温検知素子201の特性値R02,B2を算出した後、赤外線
センサーシステムゲインの較正を行なう。
センサーシステムゲインは、個々のセンサーによつて
異なる赤外線受光部の温度上昇率であるが、これはま
た、センサー基準温及び対象温によつても変化する。か
かる赤外線センサーシステム感度較正は、このように微
妙に異なるセンサー間の熱特性のばらつきを最適化して
求めようというものである。
赤外線センサーシステムゲインの較正は、黒体炉と呼
ばれる較正器を用いて行なうが、黒体炉自身も温度制御
の可能な部屋内に設置される。このように較正装置を構
成することで、環境温(センサー基準温)、及び黒体炉
温(対象温)両者について、自由に較正条件を設定する
ことができる。
そこで、較正の一例として、前述のシステムゲインに
関する式である(1)式を用いて、κ(システムゲイン
の逆数)を2面近似する場合を挙げる。尚、κの近似に
用いるのは(7)式であるが、(9)式を用いても良
い。
本実施例における非接触式体温計が、例えば、使用環
境温範囲10.0〜40.0(℃)、測定対象温範囲32.0〜42.0
(℃)であるものとして較正条件を設定する。
第9図は、センサーシステム感度の較正条件を示す。
同図において、環境温をTa、黒体炉温をTbとし、各較正
点(較正条件)を(Ta,Tb)としたとき、較正条件
(I)は(10.0,32.0),(10.0,42.0)(25.0,32.
0),(25.0,42.0)から成り、この4点における赤外線
受光部の温度上昇分δTを(7)式に適用することで、
較正条件(I)の計測条件範囲内でのκの平面近似に必
要な係数a,b,cの算出を行なう。
同様に、較正条件(II)の各較正点におけるδTを
(7)式に適用することで、較正条件(II)の計測条件
範囲でのκの平面近似に必要なa,b,cの算出を行なう。
このとき、環境温Taと黒体炉温Tbに関して(7)式に
適用する値は、設定した較正条件の値ではなく、環境温
は較正時の赤外線センサー20の補償用センサー基準温検
知素子201によつて得られる値、並びに黒体炉温は、黒
体炉に取り付けられた温度センサー、例えば、高精度の
白金測温抵抗体によつて得られる値である。
このようにして求められた各係数の値の一例を表1に
示す。
かかる手順で得られた較正データは、較正条件、及
び、例えば(1)式のようなκの推定式とともに、ROM1
23へ格納される。また、得られた較正データをもとに、
センサー基準温Taと赤外線受光部温度上昇分δTをパラ
メータとしたシステムゲインの逆数の推定値κ、あるい
は対象推定温度Tobjに関するテーブルを作成して、それ
をROM123に格納してもよい。
尚、ROM123へ格納されるデータは、これらに限定され
ず、例えば、感温素子特性の温度依存性による補正デー
タも含まれる。また、かかる較正は機器製造時に行なわ
れる。
次に、第10図に示したフローチヤートに従い、本実施
例の温度計での温度計測時における対象温度の推定手順
を説明する。尚、ここでは、前述の(1)式における各
係数と較正条件等がROM123に格納されている場合の対象
温の推定手順を示す。
第10図のステツプS50において、前述の赤外線受光部
温検知素子200と補償用センサー基準温検知素子201等を
経て、A/Dコンバータ120にて生成された2チヤンネルの
デジタル信号は、CPU121によつて赤外線受光部温Trとセ
ンサー基準温Taの2種類の温度データに換算される。こ
のとき、感温素子特性の温度依存性もROM123に格納され
ている補正データを用いて補正される。
CPU121は、ステツプS51でセンサー基準温Taが較正条
件(I)(II)(但し、ここでは計測条件と言い換え
る)のいずれに含まれるか判断して、次にステツプS52
で、該当する条件における各係数をROM123より読み込
む。そして、ステツプS53で、CPU121は各温度測定値、
及び各係数を用いて(1)式よりκを求める演算を行な
い、最終的にステツプS54で、対象温度Tobjを推定す
る。
以下、具体的な数値例を用いて、対象温度の推定につ
いて説明する。
換算された温度データとして、例えば、赤外線受光部
温Tr=27.732(℃),センサー基準温Ta=25.083(℃)
であつたとすると、このときの赤外線による温度上昇分
δTは2.649(℃)である。
上記のセンサー基準温Taは25.0(℃)以上であるか
ら、ROM123からは計測条件(II)に該当する各係数、即
ち、a=−0.0450,b=−0.1445,c=7.1468が読み出され
る。これらの値と計測値を用いて(1)式からκ=5.63
5、また、(1−1)式から対象温度の推定値Tobj=40.
010(℃)を得る。
上述の温度推定の手順中では、計測条件(I)(II)
の判別をセンサー基準温Taのみをパラメータとして行な
つたが、かかる計測条件の判別方法では2つの平面が独
立に定義されているため、κがセンサー基準温Taに関し
て連続とならない。従つて、センサー基準温Taが計測条
件の判別温度境界付近のときには、推定温度に誤差が多
めに含まれる可能性がある。そこで、κがセンサー基準
温Taや赤外線受光部温度上昇分δTに関して連続である
ように、2つの平面が交差するTa−δT直線を境界とし
て、計測条件の判別を行なつてもよい。
このときの計測条件判別式としては、計測条件(I)
と(II)の各係数にそれぞれ添え字1,2を付けて、(1
2)式のように表わされる。
D=Ta+{(b1−b2)δT+c1−c2}/(a1−a2) …(12) 計測条件(I),(II)の判別は、(12)式によつて
計算されたDの値の正負により行なう。
また、計測条件の判別のため、較正点、及びそのとき
得られる赤外線受光部温度上昇分をパラメータとした、 α=2(Ta1−Ta3)/{(δT11−δT31) +(δT12−δT32)} と、各々の較正条件において求められる各係数をパラメ
ータとした、 β=−(b1−b2)/(a1−a2) を条件決定変数とする。
α=βの場合は、較正時の標準黒体炉温TbjをTb1<T
b2としたとき、計測条件(I),(II)の各係数によつ
て計算されるκ(1)とκ(2)、及び較正時に得られるκ
(2)をパラメータとして条件決定変数とする。
ここでκ(1)とκ(2)は、較正時の環境温(センサー基
準温)Ta2、黒体炉温Tb1、及び、それぞれ較正条件
(I),(II)で得られた各係数から、(1)式を用い
て求められる。即ち、 κ(1)=a1・Ta2+b1・δT21+c1 κ(2)=a2・Ta2+b2・δT21+c2 また、κ21は、(7−1)式より、 α=βの場合、以上のパラメータを用いて、 |κ(1)−κ21|≧|κ(2)−κ21|の場合、 D≧0のとき、計測条件(I) D<0のとき、計測条件(II) |κ(1)−κ21|<|κ(2)−κ21|の場合 D≧0のとき、計測条件(II) D<0のとき、計測条件(I) また、a1=a2かつb1=b2の場合は、計測条件(I),
(II)の係数によつて表わされる2平面が互いに平行で
あることを示しているから、計測条件の判別は、較正条
件の分割と同様にセンサー基準温Taのみをパラメータと
して行なえばよい。即ち、 Ta≦Ta2のとき、計測条件(I) Ta>Ta2のとき、計測条件(II) そこで、上述の計測条件の判別について、前記数値例
を用いて説明する。
まず、仮にα=−5.95であるとすれば、表1の各係数
を用いて求めたβの値は、−11.4であることから、上記
「α>βの場合」に該当することになる。さらに、赤外
線受光部温Tr=27.732(℃),センサー基準温Ta=25.0
83(℃),δT=2.649(℃)の温度換算値を(12)式
により適用することによつて、D(=5.00)>0が得ら
れ、ここでの数値例における計測条件は(I)であるこ
とが判別する。
前述の如く、センサー基準値Taのみによる計測条件の
判別では、この数値例は計測条件(II)の範囲であるこ
とになるが、かかるTa−δT直線を境界として計測条件
の判別を行なうと、該数値例は計測条件(I)の範囲と
なる。
従つて、この場合は計測条件(I)に該当する係数で
ある、a=−0.0461,b=−0.1570,c=7.2020をROM123か
ら読み出す。そして、これらの値と計測値を用いて
(1)式からκ=5.630、(1−1)式から対象温度の
推定値Tobj=39.996(℃)を算出する。
以上説明したように、本実施例によれば、温度計のセ
ンサーとして高感度の熱型赤外線センサーを備えること
で、対象温度推定の際の補正量を減ずることができ、検
温部位として鼓膜、あるいは口腔に接触するとなく、そ
の検温部位の正確な体温を簡単に測定できるという効果
がある。
また、検温部位として体表面を選べば、末梢血管の循
環動態等を簡便に知ることができるという効果がある。
さらに、環境温(センサー基準温)、及び対象温度に
よつて影響を受けるシステムゲインを的確に補正するこ
とが可能な関数を定義して、2点以上の異なる環境温に
おける、それぞれ2点以上の較正用黒体炉温、即ち、4
点以上の較正点において、かかる関数の係数を求めるた
めの較正を行なつて、各センサー基準温並びに各対象温
度におけるシステムゲインを求めることによつて、セン
サー基準温等の温度制御を行なわずに、正確な対象温度
を推定して所定の精度を保つた検温ができるという効果
がある。
尚、本実施例においては、較正から計測まで、機器製
造時に較正条件等のデータをROM123に格納しておき、計
測時にかかるデータと測定値をCPU121が処理して対象温
の推定を行なうものであつたが、本発明は上述の実施例
にのみ限定されるものではなく、例えば、機器製造時に
センサー基準温Taと赤外線受光部温度上昇分δTをパラ
メータとして、センサーシステムゲインの逆数である
κ、または、推定対象温Tobjに関するテーブルを前述の
κ、及びTobjの推定方法によつて作成してROM123に格納
しておき、計測時にCPU121が測定値をもとにして、かか
るテーブルより対象温Tobjを推定する方法を採つてもよ
い。
この場合、ROM123に格納されているテーブルがκに関
するものであるときは、CPU121が計測時にTa,δTの測
定値をもとにして、該当するκを読み込み、対象温Tobj
を推定する。
また、ROM123に格納されているテーブルが対象温Tobj
に関するものであるときは、CPU121はTa,δTの測定値
をもとにして、Tobjを読み込むだけでよい。
[発明の効果] 以上説明したように本発明によれば、Gs=δT/(Tobj
−Ta)で表されるゲインの概念に注目し、ゲインの逆数
が赤外線放射による受光部での温度変化(δT)とセン
サー基準温(Ta)の多項式で表現可能なことを利用し
て、面倒な周知のステファン−ボルツマン法則より導か
れるTの4乗式を解くことなく、結果的に正確な近似式
を作ることができ、該近似式を用いて簡単な計算で容易
に較正を行ない、正確に対象温度を測定することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例に係る体温計の外観図、 第2図(a),(b)は、実施例に係る体温計のプロー
ブ2の使用状態を示す断面図、 第3図は、本実施例の温度計の動作全体を示すフローチ
ヤート、 第4図は、本実施例における初期チエツクアルゴリズム
の詳細フローチヤート 第5図は、計測待機アルゴリズムの詳細フローチヤー
ト、 第6図は、計測アルゴリズムの詳細フローチヤート 第7図、及び第8図は本実施例の温度計のアナログ回路
系、及びデジタル回路系の構成を示す図、 第9図は、センサーシステム感度の較正条件を示す図、 第10図は、本実施例の温度計での温度計測時における対
象温度の推定手順を説明するフローチヤートである。 図中、1……体温計本体、2……プローブ、3……ケー
ブル、15……表示部、20a,23……ボロメータセンサー、
20……赤外線センサー、21……ライトガイド、22……外
耳挿入管、30……鼓膜、31……外耳道、50……電源スイ
ツチ50、51……計測スイツチ、110〜113……基準抵抗、
200,230,231……赤外線受光部温検知素子、201,232〜23
5……補償用センサー基準温検知素子である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/00 G01J 5/10

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体の検温部位からの赤外線放射を受け検
    温部位の温度を推定する体温計において、 前記赤外線放射を受光する受光部と、前記受光部での温
    度変化(δT)を検出する第1感温エレメントと、セン
    サー基準温(Ta)を検出する第2感温エレメントとから
    なる熱型赤外線センサーシステムを備え、 前記熱型赤外線センサーシステムのゲインを前記第1感
    温エレメントで検出される温度変化(δT)と前記第2
    感温エレメントで検出されるセンサー基準温(Ta)を用
    いて近似計算する近似計算手段と、 前記近似計算手段の計算により得られる前記熱型赤外線
    センサーシステムのゲインと前記第1感温エレメントで
    検出される温度変化と前記第2感温エレメントで検出さ
    れるセンサー基準温からゲイン(Gs)の定義式、 Gs=δT/(Tobj−Ta) に基づき、検温部位の温度(Tobj)を推定する温度推定
    手段とを有することを特徴とする体温計。
  2. 【請求項2】前記近似計算手段は、ゲインの逆数を前記
    温度変化(δT)とセンサー基準温(Ta)の多項式関数
    として前記熱型赤外線センサーシステムのゲインを近似
    計算することを特徴とする請求項1記載の体温計。
  3. 【請求項3】更に、前記近似計算手段に用いられる関数
    の形及び係数を記憶する記憶手段を備えることを特徴と
    する請求項1または請求項2記載の体温計。
  4. 【請求項4】前記近似計算手段で用いられる関数の係数
    は、あらかじめ、複数の較正条件により得られた前記温
    度変化(δT)とセンサー基準温(Ta)と黒体炉温(T
    b)を用いて算出されて前記記憶手段に記憶されている
    ことを特徴とする請求項3記載の体温計。
  5. 【請求項5】前記算出される関数の係数は、最小2乗近
    似を用いて算出されることを特徴とする請求項4記載の
    体温計。
  6. 【請求項6】生体の検温部位からの赤外線放射を受け検
    温部位の温度信号を出力する体温計であって、 前記赤外線放射を受光する受光部と、前記受光部での温
    度変化信号(δT)を出力する第1感温手段と、センサ
    ー基準温信号(Ta)を出力する第2感温手段とからなる
    熱型赤外線センサーシステムを備え、前記熱型赤外線セ
    ンサーシステムのゲインを前記第1感温手段から出力さ
    れる前記温度変化信号(δT)と前記第2感温手段手段
    から出力されるセンサー基準温信号(Ta)を用いて近似
    計算する近似計算手段と、前記近似計算手段の計算によ
    り得られる前記熱型赤外線センサーシステムのゲインと
    前記温度変化信号と前記センサー基準温信号からゲイン
    (Gs)の定義式、 Gs=δT/(Tobj−Ta) に基づき、検温部位の温度信号(Tobj)を出力する出力
    手段とを有することを特徴とする体温計。
  7. 【請求項7】前記近似計算手段は、ゲインの逆数を前記
    温度変化信号(δT)とセンサー基準温信号(Ta)の多
    項式関数として近似することを特徴とする請求項6記載
    の体温計。
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