JP3036443B2 - 炭化水素検出センサの製造方法 - Google Patents

炭化水素検出センサの製造方法

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JP3036443B2
JP3036443B2 JP8315936A JP31593696A JP3036443B2 JP 3036443 B2 JP3036443 B2 JP 3036443B2 JP 8315936 A JP8315936 A JP 8315936A JP 31593696 A JP31593696 A JP 31593696A JP 3036443 B2 JP3036443 B2 JP 3036443B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雰囲気中の炭化水
素濃度を測定するための炭化水素検出センサの製造方法
に関し、その構成を簡素化して生産性を高め、さらに小
型化、加熱電力の低減をはかったものである。
【0002】
【従来の技術】従来この種の炭化水素検出センサは、特
開昭59−109856号公報に記載されているものが
一般的である。このセンサは、図6に示すように筒体1
2の内部空間部に、白金電極膜10a、10bを両面に
形成した酸素イオン導電性固体電解質9を配置し、白金
電極膜10bの左側空間部分に酸化触媒11の粒子群を
充填したものである。そして、通気性の有る蓋13a、
13bで筒体12を両側から挟みこみ、酸化触媒11の
粒子群および酸素イオン導電性固体電解質9がこぼれな
いようにしている。また、筒体12の周囲には加熱体1
4を配置し、酸素イオン導電性固体電解質9および酸化
触媒11の加熱に用いている。
【0003】一方、酸素イオン導電性固体電解質9に白
金電極膜10a、10bを形成する同種ガスセンサに着
目すると、特開平5−99894号公報に記載されてい
るものがある。このガスセンサは、図7に示すように、
3価以下の金属またはその酸化物を0.05〜10.0
重量%含有する酸素イオン導電性の固体電解質体15
に、3価以下の金属またはその酸化物を0.05〜1
0.0重量%含有する電極層16a、16bを積層し、
得られた積層体を酸化性雰囲気中において焼成し、固体
電解質体15と電極層16a、16bとを接合した構成
である。そして3価以下の金属として、銅、ビスマス、
亜鉛、カドミニウムから選択された少なくとも一種を使
用することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の炭
化水素検出センサは、図6に示すように筒体12の内部
空間部に酸化触媒11の粒子群を充填した構成であるた
め、酸化触媒11の粒子群の取り扱いが煩雑でその充填
に多くの工数を要し、生産性が向上しない課題があっ
た。また筒体12の内部空間部に酸素イオン導電性固体
電解質9および酸化触媒11の粒子群を配置し、加熱体
14を筒体12の周囲に配置した構成であるため、セン
サの大型化する課題があった。しかも加熱体14の熱
が、効果的に酸素イオン導電性固体電解質9や酸化触媒
11に伝達されにくく、加熱電力が大きい課題もあっ
た。
【0005】一方、図7に示すような酸素イオン導電性
の固体電解質体15に電極層16a、16bを形成する
同種ガスセンサは、この技術を安定化ジルコニアの固体
電解質体に応用すると、安定化ジルコニアとの熱膨張係
数の一致や酸素イオン導電性が考慮された材料組成・製
法の電極膜になっていないため、安定化ジルコニアが割
れる、密着性がない、特性が得られないなどの課題があ
る。以下、詳細にその内容を説明する。酸化ビスマス
は、酸素イオン導電性に優れるが熱膨張係数が14×1
ー6(degー1)もあり、白金の9×10ー6(de
ー1)、安定化ジルコニアの10×10ー6(degー1
と比べてその値が約1.4倍大きい。また、酸化ビスマ
スは820℃で溶融し酸素イオン導電性に優れた結合材
となるが、焼成温度が低いと溶融せず結合材の役割をな
さないし、焼成温度が高いと変質して酸素イオン導電性
の低下と結合力の低下が起こる性質がある。一方、酸化
銅や酸化カドミニウムは、熱膨張係数が約11〜12×
10ー6(degー1)であり白金や安定化ジルコニアより
1.1〜1.2倍大きいが、酸素イオン導電性がほとん
どない欠点がある。このように、銅、ビスマス、亜鉛、
カドミニウムの金属酸化物さらに金属を電極層に含有さ
せた白金電極膜を安定化ジルコニアに形成するために
は、安定化ジルコニアとの熱膨張係数の一致や酸素イオ
ン導電性を考慮した最適な結合材組成と製造方法が必要
であり、これらが最適でないとジルコニアが割れる、密
着性がない、特性が得られないの課題が発生する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、安定化ジルコニア焼結板の表面に、白金に
酸化ビスマスを1.5〜5wt%混合した白金電極膜を2
個厚膜印刷した後に、酸化触媒粉末を含有とした酸化触
媒膜を前記白金電極膜の片側上部に厚膜印刷して積層
し、前記白金電極膜と前記酸化触媒膜を700〜100
0℃で同時に焼成した。また酸化触媒は、融点1100
℃以上の高活性材料である白金、酸化銅、酸化鉄、酸化
ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化ガリウ
ム、酸化クロム、酸化チタンの群から選択した少なくと
も1種であるとしたものである。
【0007】上記発明によれば、酸化触媒膜は厚膜印刷
という簡単な製法で白金電極膜に固定化されるため、取
り扱いが簡単になり生産性が向上する。しかも白金電極
膜は、安定化ジルコニアとの熱膨張係数の一致や酸素イ
オン導電性を考慮した結合材組成と製造方法であるた
め、高活性なセンサがジルコニア割れなどの不良品を製
造することなく高い部留まりで得られる。
【0008】また本発明は上記課題を解決するために、
酸化触媒膜および白金電極膜付き安定化ジルコニア焼結
板と、ヒータ膜付きフォルステライト基板とを、熱膨張
係数が安定化ジルコニアおよびフォルステライト基板と
概略同じである硝子膜を介して接合固定したものであ
る。そのため、ヒータ膜が効果的に安定化ジルコニア焼
結板や酸化触媒膜に伝達され、センサの小型化および加
熱電力の低減ができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、酸化イットリウム8モ
ル%とジルコニア92モル%からなる安定化ジルコニア
焼結板の表面に、白金に酸化ビスマスを1.5〜5wt%
混合した白金電極膜を2個厚膜印刷した後に、酸化触媒
粉末を含有とした酸化触媒膜を前記白金電極膜の片側上
部に厚膜印刷して積層し、前記白金電極膜と前記酸化触
媒膜を700〜1000℃で同時に焼成した構成と製法
であり、前記酸化触媒が白金、酸化銅、酸化鉄、酸化ニ
ッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化ガリウム、
酸化クロム、酸化チタンの群から選択した少なくとも1
種であるとしたものである。
【0010】そして酸化触媒は膜化して白金電極膜に積
層化し同時焼成するため、簡単な製法で酸化触媒が固定
でき、取り扱いが簡素化されて生産性が向上する。ま
た、白金電極膜は安定化ジルコニアとの熱膨張係数の一
致や酸素イオン導電性を考慮した結合材組成と製造方法
であるため、ジルコニア割れなどの不良品を製造するこ
となく高い部留まりで高活性なセンサが得られる。また
酸化触媒は、融点1100℃以上の高活性な酸化触媒で
あるため、検出感度の高いセンサが得られる。
【0011】さらに、白金電極膜は、酸化ビスマス量を
B、酸化カドミニウム量をC、その混合比をC/Bとす
ると、0.1≦C/B≦1なる条件で両材料を混合した
ものである。
【0012】そして、白金電極膜に融点820℃の酸化
ビスマスとともに融点700℃の酸化カドミニウムをさ
らに小量混合することでこれら結合材の融解性が向上
し、白金電極膜と安定化ジルコニア焼結板との密着性が
良くなって白金電極膜から安定化ジルコニア焼結板への
酸素伝達特性が向上する。そのため、検出感度の高いセ
ンサが得られる。
【0013】また酸化触媒が、白金または酸化銅である
としたものである。白金および酸化銅は、炭化水素の酸
化能力が高い。しかも熱膨張係数が、白金は9×10ー6
(degー1)、酸化銅は11×10ー6(degー1)であ
り、安定化ジルコニア焼結板の10×10ー6(de
ー1)と概略同じある。従って、酸化触媒が白金電極膜
に良好に固定化され、検出感度の高いセンサが得られ
る。
【0014】さらに、ジルコニア焼結板と、前記ジルコ
ニア焼結板の片側表面に形成した2個の白金電極膜と、
前記白金電極膜の片側上部に積層固定されており酸化触
媒を主成分とした酸化触媒膜と、前記ジルコニア焼結板
の他面側に形成されており熱膨張係数が9〜11×10
ー6(degー1)の硝子膜と、前記硝子膜に積層固定した
フォルステライト基板と、前記フォルステライト基板の
他面側に形成したヒータ膜から構成としたものである。
【0015】そして、硝子膜は熱膨張係数がジルコニア
焼結板およびフォルステライト基板と概略同じであるた
め、白金電極膜付きジルコニア焼結板とヒータ膜付きフ
ォルステライト基板とが簡単に固定できる。また酸化触
媒は膜であるため簡単に白金電極膜に固定できる。従っ
て、ヒータ膜が効果的にジルコニア焼結板や酸化触媒膜
に伝達され、センサの小型化および加熱電力の低減がで
きる。
【0016】また、硝子膜が酸化アルミナが3〜7%、
酸化ホウソが3〜7%、酸化カルシウムが1〜2%、酸
化ストロンチウムが4〜6%、酸化バリウムが0.2〜
1.5%、酸化ナトリウムが10〜13%、酸化カリウ
ムが4〜8%、酸化チタンが6〜9%、残部が酸化珪素
であるとしたものである。
【0017】そして、これら材料組成の硝子は、熱膨張
係数が9〜11×10ー6(degー1)でありジルコニア
焼結板とフォルステライト基板とを良好に接合固定でき
る。しかも、700〜1000℃の焼成で接合固定でき
るため、白金電極膜や酸化触媒膜への影響が少なく検出
感度の高いセンサが得られる。
【0018】また、酸化触媒膜が、酸化触媒の粒子群を
耐熱繊維束に内部に充填した構成のマットであるとした
ものである。
【0019】そして、マットとすることで、酸化触媒膜
は簡単に白金電極膜に固定でき、取り扱いが簡素化され
て生産性が向上する。
【0020】(実施例)以下、本発明の実施例を添付図
面に基づいて説明する。
【0021】図1は、本発明の実施例である炭化水素検
出センサの断面図である。炭化水素検出センサは、酸化
イットリウム8モル%とジルコニア92モル%からなる
安定化ジルコニア焼結板1と、安定化ジルコニア焼結板
1の表面に形成した2個の白金電極膜2a、2bと、片
側の白金電極膜2bの上部に積層した酸化触媒膜3とか
ら構成される。白金電極膜2a、2bは、高粘性有機溶
剤に小量の酸化ビスマス粉末3と多量の白金粉末2を混
合したペーストの厚膜印刷膜である。酸化触媒膜3は、
高粘性有機溶剤に多量の白金、酸化銅、酸化鉄、酸化ニ
ッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化ガリウム、
酸化クロム、酸化チタンの群から選択した少なくとも1
種の酸化触媒粉末5を混合したペーストの厚膜印刷膜で
ある。白金電極膜2a、2bと酸化触媒膜3は700〜
1000℃で同時に焼成する。
【0022】安定化ジルコニア焼結板1は、その片側表
面に2個の白金電極膜2a、2bを形成しており、その
他面側には熱膨張係数が9〜11×10ー6(degー1
の硝子膜6を介してヒータ膜8付きフォルステライト基
板7を固定している。
【0023】白金電極膜2a、2bおよびヒータ膜8に
は、白金と硝子1〜5wt%との混合物であるリ−ド線固
定材(記載せず)を介して白金リード線(記載せず)が
固定されている。
【0024】材料について記す。白金電極膜2a、2b
は、白金に混合された酸化ビスマス量をBとすると1.
5wt%≦B≦5wt%であり、必要に応じて酸化カドミニ
ウムの量をCとしその混合比をC/Bとすると0.1≦
C/B≦1なる条件でさらに混合したものである。な
お、これら値は焼成後の値である。硝子膜6は、酸化ア
ルミナが3〜7%、酸化ホウソが3〜7%、酸化カルシ
ウムが1〜2%、酸化ストロンチウムが4〜6%、酸化
バリウムが0.2〜1.5%、酸化ナトリウムが10〜
13%、酸化カリウムが4〜8%、酸化チタンが6〜9
%、残部が酸化珪素である。この材料組成の硝子は、熱
膨張係数が9〜11×10ー6(degー1)であるため、
安定化ジルコニア焼結板とフォルステライト基板とを良
好に接合固定できる。しかも、700〜1000℃の焼
成で良好に接合固定できるため、白金電極膜や酸化触媒
膜への熱影響が少ない。ヒータ膜8は、白金である。
【0025】動作について説明する。図1において、ヒ
ータ膜8が直流電圧(記載せず)の印加により発熱し4
50℃に加熱されると、ジルコニア焼結板1および酸化
触媒膜3はフォルステライト基板7および硝子膜6を介
して450℃に加熱される。次に、炭化水素(例えば一
酸化炭素)と酸素を含むガスがセンサに接触すると、酸
化触媒膜3が配置された白金電極膜2b側では、炭化水
素と酸素が酸化触媒膜3によって反応して炭化水素が消
滅するとともに酸素濃度が減少する。一方、他方の白金
電極膜2a側は、酸素がそのまま存在する。従って、白
金電極膜2b側と白金電極膜2a側とで酸素濃度の差が
生じて酸素が移動し、炭化水素濃度に対応したセンサ出
力が生じる。
【0026】本発明の効果を、酸化触媒として白金を用
いた炭化水素検出センサで確認した。
【0027】ジルコニア焼結板として、安定化ジルコニ
ア(ZrO2の92モル%とY23の8モル%の固溶
体)の粉末に有機溶剤を混合してシート状に成型した乾
燥品を1400℃で4時間焼成し10mm角に切断した板
を準備した。
【0028】白金電極膜用ペーストとして、白金の粉末
97wt%と酸化ビスマス粉末3wt%と高粘性有機溶剤1
9wt%の混合物を準備した。そしてジルコニア焼結板の
片面にこの白金電極膜用ペーストを厚膜印刷し、乾燥さ
せた。
【0029】酸化触媒膜用ペーストとして、酸化触媒粉
末である白金100wt%と高粘性有機溶剤19wt%の混
合物を準備した。そして前述の乾燥済みの白金電極膜の
片側に積層して、この酸化触媒膜用ペーストを厚膜印刷
し乾燥させた。
【0030】また、フォルステライト製基板を準備し白
金製ヒータ膜を片側に形成した。さらに硝子膜用ペース
トとして、酸化アルミナが3〜7%、酸化ホウソが3〜
7%、酸化カルシウムが1〜2%、酸化ストロンチウム
が4〜6%、酸化バリウムが0.2〜1.5%、酸化ナ
トリウムが10〜13%、酸化カリウムが4〜8%、酸
化チタンが6〜9%、残部が酸化珪素である硝子粉末6
0wt%と高粘性の有機溶剤40wt%の混合物を準備し
た。そして、この硝子膜用ペーストをフォルステライト
製基板の他面側に厚膜印刷し、乾燥させた。その後、乾
燥硝子膜を介してフォルステライト製基板とジルコニア
焼結板とを積層した。
【0031】最後にこれら白金電極膜と酸化触媒膜から
なる積層膜を、920℃で10分同時焼成した。白金電
極膜は、この焼成により有機溶剤が除去されて白金97
wt%と酸化ビスマス3wt%の混合膜となるとともに、酸
化ビスマスの溶融により白金粉末がジルコニア焼結板に
密着固定され、溶融時の酸化ビスマスの体積膨張により
多孔質な膜となる。一方、酸化触媒膜は、この焼成によ
り有機溶剤が除去されて酸化銅の酸化触媒100wt%と
なるのだが、白金電極膜に混合されている酸化ビスマス
が微量混入し、白金電極膜に強固に固定される。また硝
子膜は、この焼成により有機溶剤が除去されて硝子とな
り、フォルステライト製基板とジルコニア焼結板とを接
合固定した。最後にリード線を付け完成である。
【0032】450℃において一酸化炭素濃度とセンサ
出力の関係を測定した結果を図2に示す。酸化触媒とし
て白金を用いた本発明品は、一酸化炭素濃度に対応した
センサ出力が生じていることがわかる。
【0033】本発明の効果を、白金電極膜に混合される
酸化ビスマスの量を変化させた炭化水素検出センサで確
認した。なお酸化触媒は白金を用いている。
【0034】実験は、白金電極膜用ペーストとして、白
金粉末と酸化ビスマス粉末からなる固定分100wt%に
高粘性有機溶剤19wt%を混合するに際し酸化ビスマス
の量を変化させた混合物を使用した以外は、前述と同じ
構成、材料、製造方法である。
【0035】一酸化炭素濃度1000ppmの450℃に
おいて、酸化ビスマス量とセンサ出力の関係を測定した
結果を図3に示す。
【0036】白金電極膜に混合される酸化ビスマスが
1.5〜5wt%のセンサは、大きな値のセンサ出力が得
られた。一方、1.5wt%未満にすると、結合材である
酸化ビスマスが不足しているため、白金粉末とジルコニ
ア焼結板との密着不良が発生してセンサ出力が極端に低
下した。また、5wt%を越えると熱膨張係数の大きい酸
化ビスマスの影響でセンサ割れが起こり不良品が多発し
た。以上のことより、酸化ビスマスは結合材としての役
割をはたすための混合量とそれにともなう熱膨張係数の
増大を考慮すると、1.5〜5wt%が密着性が良好なセ
ンサが得られる点で適切であり、特に2〜5wt%は密着
性が優れる点で最適である。
【0037】本発明の効果を、白金電極膜と酸化触媒膜
からなる積層膜の焼成温度を変化させた炭化水素検出セ
ンサで確認した。なお酸化触媒は白金を用いている。
【0038】実験は、白金電極膜と酸化触媒膜の積層膜
を同時焼成する温度を変化させた以外は、前述と同じ構
成、材料、製造方法である。
【0039】一酸化炭素濃度1000ppmの450℃に
おいて、焼成温度とセンサ出力の関係を測定した結果を
図4に示す。
【0040】焼成温度が700〜1000℃のセンサ
は、密着性が良好であるため大きな値のセンサ出力が得
られた。一方、700℃未満では白金電極膜の焼成不充
分のため白金粉末とジルコニア焼結板との接触状態が悪
くなって密着不良が発生しセンサ出力が極端に低下し
た。また1000℃を越えると白金電極膜に混合される
酸化ビスマスが変質を起こしてその酸素イオン導電性低
下と密着不良が発生しセンサ出力が極端に低下した。
【0041】以上のことより、積層膜の焼成温度は、結
合材として使用する酸化ビスマスの焼成温度の変化にと
もなう結合力の変化を考慮すると、700〜1000℃
が密着性が良好なセンサが得られる点で適切であり、特
に750〜950℃が密着性が優れる点で最適である。
【0042】またこのことより、ジルコニア焼結板とフ
ォルステライト基板とを接合固定する硝子は、白金電極
膜焼成と同温度である700〜1000℃で焼成する
と、白金電極膜や酸化触媒膜への影響が少ないことがわ
かる。
【0043】本発明の効果を、白金電極膜に酸化カドミ
ニウムをさらに混合しその混合割合を変化させた炭化水
素検出センサで確認した。なお酸化触媒は白金を用いて
いる。
【0044】実験は、白金電極膜用ペーストとして、白
金粉末と酸化ビスマス粉末と酸化カドミニウム粉末から
なる固定分100wt%に高粘性有機溶剤19wt%を混合
するに際し、酸化ビスマスと酸化カドミニウムの混合比
の量を変化させた混合物を使用した以外は、前述と同じ
構成、材料、製造方法である。酸化カドミニウムは、融
点700℃、熱膨張係数12×10ー6(degー1)で、
酸化ビスマスより低融点、低熱膨張係数である。
【0045】一酸化炭素濃度1000ppmの450℃に
おいて、酸化ビスマスと酸化カドミニウムの混合比とセ
ンサ出力の関係を、酸化ビスマスの混合量を変化させて
測定した結果を図5に示す。
【0046】酸化ビスマス量(B)と酸化カドミニウム
量(C)の混合比(C/B)が0.1〜1のセンサは、
酸化ビスマス単独の場合と比較して大きな値のセンサ出
力が得られた。これは、低融点、低熱膨張係数の酸化カ
ドミニウムをさらに混合することで両者の相乗効果が発
揮され、白金電極膜とジルコニア焼結板との接触状態が
良くなって密着性が一層向上し、白金粉末からジルコニ
ア焼結板への酸素伝達特性が向上するためである。一
方、混合比(C/B)が1.0倍を越えると、酸化ビス
マスのもつ優れた酸素イオン導電性特性が酸素イオン導
電性のない酸化カドミニウムにより低下して、白金粉末
からジルコニア焼結板への酸素伝達が悪くなり必要な電
極特性が得られない。また、混合比(C/B)が0.1
未満は両者の相乗効果が生じないため、センサ出力は増
大しないし密着性も向上しない。
【0047】以上のことより、酸化ビスマス量(B)と
酸化カドミニウム量(C)の混合比(C/B)は0.1
〜1が、両者の相乗効果で密着性が向上する、酸素伝達
特性が向上する点で適切である。
【0048】本発明の効果を、酸化触媒として各種金属
酸化物を用いた炭化水素検出センサで確認した。検討し
た金属酸化物は、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバル
ト、酸化マンガン、酸化ガリウム、酸化クロム、酸化チ
タンである。実験は、酸化触媒膜用ペーストとして、金
属酸化物粉末100wt%と高粘性の有機溶剤19wt%の
混合物を使用した以外は、前述と同じ構成・材料・製造
方法である。白金電極膜と酸化触媒膜からなる積層膜
は、これら金属酸化物がいずれも融点1000℃以上で
あることを考慮して、920℃で10分同時焼成してい
る。
【0049】一酸化炭素濃度1000ppmの450℃に
おいて、得られるセンサ出力を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】また発明の効果を、白金を酸化触媒として
用い白金粒子群を耐熱繊維束に内wt%に充填した構成の
マット状酸化触媒膜で確認した。このマット状酸化触媒
膜の本発明品は、一酸化炭素濃度1000ppmの450
℃において、30mvの高センサ出力を得ることができ
た。
【0052】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
炭化水素検出センサによれば、次の効果が得られる。
【0053】(1)酸化触媒は膜化して白金電極膜に積
層化し同時焼成するため、簡単な製法で酸化触媒が固定
でき、取り扱いが簡素化されて生産性が向上する。また
白金電極膜は、安定化ジルコニアとの熱膨張係数の一致
や酸素イオン導電性を考慮した結合材組成、製造方法で
あるため、ジルコニア割れなどの不良品を製造すること
なく高い部留まりで、高活性なセンサが得られる。さら
に酸化触媒は、融点1100℃以上の高活性な酸化触媒
であるため、検出感度の高いセンサが得られる。
【0054】(2)白金電極膜に酸化カドミニウムをさ
らに小量混合することで酸化ビスマスの融解性が向上
し、白金電極膜と安定化ジルコニア焼結板との密着性が
良くなる。そのため、白金電極膜から安定化ジルコニア
焼結板への酸素伝達特性が向上し、検出感度の高いセン
サが得られる。
【0055】(3)炭化水素の酸化能力が高く熱膨張係
数が概略同じの白金または酸化銅を、酸化触媒として使
用したため、酸化触媒が白金電極膜に良好に固定化さ
れ、検出感度の高いセンサを得ることができる。
【0056】(4)安定化ジルコニアおよびフォルステ
ライトと熱膨張係数が概略同じの硝子膜を使用したた
め、白金電極膜付き安定化ジルコニア焼結板とヒータ膜
付きフォルステライト基板とが簡単に固定できる。また
酸化触媒は膜であるため簡単に白金電極膜に固定でき
る。従って、ヒータ膜が効果的に安定化ジルコニア焼結
板や酸化触媒膜に伝達され、センサの小型化および加熱
電力の低減ができる。
【0057】(5)熱膨張係数が9〜11×10ー6(d
egー1) であり700〜1000℃の焼成で接合固定
できる硝子膜を使用したため、白金電極膜や酸化触媒膜
への影響が少なく検出感度の高いセンサが得ることがで
きる。
【0058】(6)マット状の酸化触媒膜にしたため、
白金電極膜に簡単に固定でき、取り扱いが簡素化されて
生産性を向上することができる。また、酸化触媒膜の活
性が高まり、センサ出力の高い高感度センサを得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の炭化水素検出センサの断面図
【図2】同炭化水素検出センサの効果特性図
【図3】同炭化水素検出センサの効果特性図
【図4】同炭化水素検出センサの効果特性図
【図5】同炭化水素検出センサの効果特性図
【図6】従来の炭化水素検出センサの断面図
【図7】従来の炭化水素検出センサの断面図
【符号の説明】
1 安定化ジルコニア焼結板 2 白金 2a、2b 白金電極膜 3 酸化ビスマス 4 酸化触媒膜 5 酸化触媒 6 硝子膜 7 フォルステライト基板 8 白金ヒータ膜
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/409 G01N 27/416 JICSTファイル(JOIS)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化イットリウム8モル%とジルコニア9
    2モル%からなる安定化ジルコニア焼結板の表面に、白
    金に酸化ビスマスを1.5〜5wt%混合した白金電極膜
    を2個厚膜印刷した後に、酸化触媒粉末を含有した酸化
    触媒膜を前記白金電極膜の片側上部に厚膜印刷して積層
    し、前記白金電極膜と前記酸化触媒膜を700〜100
    0℃で同時に焼成し、前記酸化触媒が白金、酸化銅、酸
    化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、酸
    化ガリウム、酸化クロム、酸化チタンの群から選択した
    1種である炭化水素検出センサの製造方法。
  2. 【請求項2】酸化ビスマス量をBとし、酸化カドミニウ
    ム量をCとし、その混合比をC/Bとすると、0.1≦
    C/B≦1なる条件で混合した白金電極膜を有する請求
    項1記載の炭化水素検出センサの製造方法。
  3. 【請求項3】酸化触媒が、白金または酸化銅である請求
    項1記載の炭化水素検出センサの製造方法。
  4. 【請求項4】安定化ジルコニア焼結板と、前記安定化ジ
    ルコニア焼結板の片側表面に形成した2個の白金電極膜
    と、前記白金電極膜の片側上部に積層固定されており酸
    化触媒を主成分とした酸化触媒膜と、前記安定化ジルコ
    ニア焼結板の他面側に形成されており熱膨張係数が9〜
    11×10ー6(degー1)の硝子膜と、前記硝子膜に積
    層固定したフォルステライト基板と、前記フォルステラ
    イト基板の他面側に形成したヒータ膜を備えた請求項1
    ないし3のいずれか1項記載の炭化水素検出センサの製
    造方法。
  5. 【請求項5】硝子膜が、酸化アルミナが3〜7%、酸化
    ホウソが3〜7%、酸化カルシウムが1〜2%、酸化ス
    トロンチウムが4〜6%、酸化バリウムが0.2〜1.
    5%、酸化ナトリウムが10〜13%、酸化カリウムが
    4〜8%、酸化チタンが6〜9%、残部が酸化珪素であ
    る請求項4記載の炭化水素検出センサの製造方法。
  6. 【請求項6】酸化触媒膜が、酸化触媒の粒子群を耐熱繊
    維束の内部に充填した構成のマットである請求項4記載
    の炭化水素検出センサの製造方法。
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