JP3036361B2 - Al−Mn系酸化物分散鋼の製造法 - Google Patents

Al−Mn系酸化物分散鋼の製造法

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JP3036361B2
JP3036361B2 JP6141960A JP14196094A JP3036361B2 JP 3036361 B2 JP3036361 B2 JP 3036361B2 JP 6141960 A JP6141960 A JP 6141960A JP 14196094 A JP14196094 A JP 14196094A JP 3036361 B2 JP3036361 B2 JP 3036361B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い溶接熱影響部靱性
が要求される厚板用鋼種である酸化物分散鋼の溶製法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、溶接工程の合理化のため厚鋼板等
の鋼材の大入熱溶接化が指向されているが、一般に大入
熱溶接では鋼材溶接時には母材側熱影響部 (以後、HAZ
部と呼ぶ) の結晶粒が粗大化し、靱性が著しく低下する
ことが知られており、厚鋼板にあっても上述のような大
入熱溶接法を実用化するにはHAZ 部の結晶粒粗大化の問
題の解決を図らなければならない。
【0003】ところで、従来より鋼材中に適当な酸化物
や窒化物などの微細粒子を分散させることにより、組織
が微細化され、HAZ 部靱性が著しく改善されることが知
られている。
【0004】このような微細な分散粒子を利用する方法
として、特公平5-17300 号公報には、鋼中のSi量および
Al量を規定し、Tiを添加することにより凝固過程で微細
なTi系酸化物を析出、分散させる、HAZ 部が高い靱性を
有する鋼の製造法が提案されている。
【0005】このようなTi系酸化物を凝固過程で鋼材内
に微細に析出、分散させる方法としては、その他、特開
平3-267311号公報および特開平4-2713号公報に示されて
いるような、第1脱酸元素にSi、Mnを用い、第2脱酸元
素としてTi、Zr、Caを添加して酸素濃度を、重量割合に
て、50ppm 以下にしてTi、Zrを主成分とするTi系および
/またはZr系酸化物粒子を析出させる方法がある。
【0006】また、特開平4-191314号公報には、凝固時
にTi系酸化物を微細に析出させるために、未脱酸の溶鋼
を真空処理して溶存酸素濃度を、重量割合にて、0.002
〜0.015 %に調製した後、Tiを添加する方法が開示され
ている。
【0007】さらにこのようなTi系酸化物の析出粒子を
微細化するために、特公平3-67467号公報には鋳造後の
冷却速度を制御する方法が、特開平4-6243号公報にはTi
添加後の出鋼までの時間を規定する方法が提案されてい
る。
【0008】また特開平1-150453号公報および特開平3-
177535号公報などでは、さらにZrやYなどを添加するこ
とにより、凝固過程で析出する粒子を微細に分散させる
ために効果的であることが述べられている。
【0009】ところでこれらの方法は、いずれもTi系酸
化物を凝固過程で微細に析出、分散させる方法であり、
酸化物組成がTi系酸化物を有するものについて示されて
いるのみであった。
【0010】また、Ti系酸化物を主体とする粒子を析
出、分散させることによって得られるHAZ 靱性の改善
は、本発明者らの知る限り、実効として十分ではなく、
さらに安定してHAZ 部を高靱化させる分散粒子を含有す
る材料およびそれを安定して容易に製造する方法が望ま
れていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本件出願人
は、このような安定してHAZ 部を高靱性化させる厚板用
鋼として、特願平6−77057 号に、Al−Mn系酸化物相を
有する酸化物が鋼中に分散された酸化物分散鋼を提案し
た。すなわち、直径0.2 〜20μm の分散粒子が鋼材断面
の1mm2 あたり4以上1000個未満分散しており、かつそ
の分散粒子を構成する酸化物相として金属元素の原子割
合で (Al+Mn) が40%以上、Al:Mnの比率が1:1以上
5:1未満という特徴を有するAl−Mn系酸化物相を有す
る酸化物を鋼中に分散させた酸化物分散鋼である。
【0012】しかながら、かかる酸化物分散鋼は安定し
て製造できる方法がまだ確立していないため、工業的に
十分な特性が発揮できず、この製造方法について更なる
改良が求められている。
【0013】したがって、本発明の目的は、溶接熱影響
部に高い靱性が要求される厚板用鋼として高い性能を有
する、Al−Mn系酸化物相を含有する酸化物が鋼中に分散
された酸化物分散鋼のより安定した製造方法を提供する
ことである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、予備脱酸
に際してSi+Mnを添加して、さらに要すればスラグ組成
をMnO −SiO2系にすることによって、介在物が10μm よ
り大きいものは浮上、除去されやすく効果的な予備脱酸
が可能となるばかりでなく、残留した介在物は5μm 以
下の小径介在物となり、溶存酸素とともに次の工程でAl
をAl含有合金の形態で添加すると微小なAl−Mn系介在物
形成のための核となることを知り、本発明を完成した。
【0015】かくして、本発明の要旨とするところは、
分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不可避的に共存す
る酸化物相を含有する酸化物が分散された酸化物分散鋼
を溶製する際に、SiおよびMnを添加して、重量濃度に
て、Si:0.05〜0.6 %およびMn:0.3 〜3.0 %となるよ
うに予備脱酸して全酸素濃度を0.0020〜0.0100%に調整
した後、Al含有合金の添加を行うことにより、Al濃度
を、重量割合にて、0.0001〜0.0030%に制御することを
特徴とするAl- Mn系酸化物分散鋼の製造方法である。
【0016】さらに実際的面からは、本発明は、分散粒
子としてAl−Mn酸化物相および不可避的に共存する酸化
物相を含有する酸化物が分散された酸化物分散鋼を溶製
する際に、転炉もしくは電気炉にて炭素を、重量濃度に
て、0.01〜0.25%に調製した後、出鋼中もしくは取鍋内
で、SiおよびMnを添加して、重量割合にて、Si:0.05〜
0.60%およびMn:0.3 〜3.0 %となるように予備脱酸す
るとともにスラグ改質を行い、例えばRH真空脱ガス装
置、LF加熱装置、あるいはVOD 炉などの取鍋精錬設備に
て全酸素濃度を0.0020〜0.0100%に調整した後、Al含有
合金の添加を取鍋精錬中もしくは精錬後に行うことによ
り、Al濃度を、重量割合にて、0.0001〜0.0030%に制御
することを特徴とするAl−Mn系を特徴とする酸化物分散
鋼の製造方法である。
【0017】本発明の好適態様によれば、前記Al含有合
金の添加と同時またはその後に、Tiを、重量割合にて0.
050 %以下添加するようにしてもよい。
【0018】さらに別の好適態様によれば、前述のよう
に全酸素濃度を0.0020〜0.0100%に調整する際に、イオ
ウ濃度を0.002 %以下に調整するようにしてもよい。
【0019】かくして、本発明によれば、Al−Mn系酸化
物相および不可避的に共存する酸化物相を有する酸化物
であって、より詳細には、直径が0.2 〜20μm の大きさ
で、金属元素のモル分率として (Al+Mn) が40%以上で
あり、かつAl:Mnの比率が1.0 以上5.0 未満という特徴
を備えるAl−Mn系酸化物相を含む酸化物が分散した酸化
物分散鋼が安定して製造される。
【0020】
【作用】次に、本発明の作用についてさらに具体的に説
明する。
【0021】本発明において使用する溶鋼としては目的
とする最終鋼組成を実現できる所要組成をもって溶製さ
れた溶鋼であれば、いずれであってもよく、例えば適宜
溶解炉で単に溶製されただけのものであっても、あるい
は転炉、電気炉で脱炭精錬されたものでもよい。
【0022】好ましくは、炭素含有量0.05〜0.08%、酸
素量0.04〜0.07%に予め調整されたものである。特に転
炉、電気炉によって溶鋼を準備する場合にはC:0.01〜
0.25%に調整したものが好ましい。
【0023】予備脱酸:まず、鋼中に分散粒子としてAl
−Mn系酸化物相および不可避的に共存する酸化物相を有
する酸化物分散鋼を溶製するためには、上述のように準
備された溶鋼の溶製初期においては、溶鋼中で酸素と親
和力を有するSiおよびMnにて予備脱酸を行い、全酸素濃
度を所定範囲内に調製する。
【0024】SiおよびMnは通常の脱酸のようにFe−Si、
Fe−Mn等の形態でSiおよびMnを投入すればよい。
【0025】ここで、予備脱酸に際して、重量濃度に
て、Si:0.05〜0.60%およびMn:0.3〜3.0 %となるよ
うに脱酸を行うが、その理由は、予備脱酸で形成される
一次脱酸生成物が凝集しやすく、効果的な脱酸が可能な
MnO−SiO2系にし、かつこの予備脱酸によって全酸素濃
度を0.0020〜0.0100%にして分散酸化物の核を溶鋼内で
形成するためである。
【0026】すなわち、Si濃度が0.60%より大きくなる
とMn濃度が3.0 %以下であっても介在物はSiO2系が多く
なるとともに、全酸素濃度が20ppm 未満となってしまう
ためである。一方、Si濃度が0.05%未満ではMn濃度が0.
3 %以上であっても介在物はFeO −SiO2−MnO 系となり
全酸素濃度は100 ppm を超えてしまう。一方、Mn濃度0.
3 %未満ではSi脱酸領域となり介在物はSiO2系となり、
Mn濃度が3.0 %を超えるとSi濃度が0.60%以下でも酸素
濃度が20ppm 未満となり、分散酸化物の核となるような
MnO −SiO2系介在物を充分に残留させることができなく
なってしまう。
【0027】ところで、一般に鋼中Si濃度を増加させる
と、Si脱酸が有力となり、後工程で行うAl添加前の全酸
素濃度低下が大きく、結果としてAl添加前に鋼中に微小
な MnO−SiO2系介在物の残留量が低下してしまうので、
低Siであることが望ましい。さらに鋼中Si濃度の増加は
低温靱性の劣化を招くことが知られているので、鋼質的
にもSi:0.2 %以下がさらに望ましい。
【0028】これらの点を考慮にいれると、本発明の好
適態様では、Si濃度0.05〜0.2 %、Mn濃度0.8 〜2.0 %
に制御することである。この濃度域でより安定して介在
物をMnO −SiO2系にし、かつ全酸素濃度を0.0020%以上
0.0100%以下とすることができる。
【0029】ところで、介在物を MnO−SiO2系にする理
由は、この介在物が10μm より大きいものは浮上、除去
されやすく効果的な予備脱酸が可能となるばかりでな
く、残留した介在物は5μm 以下の小径介在物となり、
溶存酸素とともに次の工程での微小なAl−Mn系介在物形
成のための核となるからである。
【0030】なお、全酸素濃度を0.0020〜0.0100%に制
限するのは、0.0020%未満では分散酸化物を充分に形成
できず、0.0100%を越えると鋼の清浄度が充分でなく、
また後工程のAl制御が困難となるためである。
【0031】Al脱酸:このようにして、SiおよびMnを制
御して予備脱酸を行い全酸素濃度を制御した後、本発明
にあっては微量Al濃度の制御を金属Alを使用せずに、Al
含有合金、例えばAl含有合金鉄中に含有されるAlを用い
て行う。
【0032】ここで、Al含有合金鉄とは、Fe−Siのほか
厚板用の成分として利用されるFe−Nb、Fe−V 、Fe−M
o、Fe−B 、Fe−Si−Mn等である。
【0033】本発明において、金属Alを使用しない理由
は、金属Alは添加時にAl2O3 系介在物を生成し、一旦生
成したAl2O3 は容易にMn−Al系酸化物に変化しないこ
と、および微量濃度の調整となり金属Al添加量では困難
なことがあげられる。
【0034】一方、Al添加物に合金鉄を用いる理由は、
本鋼種が厚板用であるので前述したSi、Nb、V 、Moを添
加する機会があるのみならず、これら合金鉄に含まれる
Al量は重量割合にして高々1〜5%程度でありAl2O3
介在物を生成する可能性が低減されること、この結果、
添加されたAlは溶存成分となり緩やかに MnO−SiO2系介
在物や溶存酸素と反応してAl−Mn系酸化物の分散形成が
可能になること、および鋼種の必要成分量にもよるが、
添加量が多くなり微量のAl成分調整が可能となることが
あげられる。
【0035】換言すれば、上述のような条件が満たされ
る限り、合金鉄でなくても、例えばNi−Al、Cu−Al、Si
−AlのようなAl含有合金を用いることもできる。
【0036】ここで、溶存Al量を規定する理由は以下の
ようである。
【0037】本発明では、一時脱酸過程で MnO−SiO2
介在物を核として溶存酸素を消費しながら、Al−Mn系酸
化物を溶鋼内に分散形成しようとするのである。
【0038】例えば、1527℃から1727℃の製鋼温度域で
Al−Mn系酸化物の酸素ポテンシャルはおおよそ図1の斜
線部分のようになる。また、図にはあわせて溶存酸素濃
度 [%O]=0.002 %以上0.01%以下での酸素ポテンシャ
ル領域および [%Al] =0.001 %添加時のAl2O3 酸化物
(活量a(Al2O3) =0.1)の時の酸素ポテンシャルも示し
ている。
【0039】Al−Mn系酸化物の上限は、 [%Mn] =0.3
%、 [%Al] =0.0001%の時、また下限は [%Mn] =3
%、 [%Al] =0.003 %の時で、この間で示されるAl−
Mn系酸化物生成領域は、おおよそ溶存酸素濃度0.002 %
以上0.01%以下の酸素ポテンシャル領域と重なる。した
がって [%Mn] =0.3 、 [%Al] =0.0001%未満では、
酸素濃度が高くなりすぎて脱酸不足となり、 [%Mn] =
3%、 [%Al] =0.0030%を超えるとAl2O3 系酸化物が
生成する可能性が急速に高まることがわかる。
【0040】転炉または電気炉を用いる精錬プロセスに
ついて:次に、上記作用に基づいてAl−Mn酸化物が分散
した酸化物分散鋼を製造する転炉または電気炉を用いた
製造プロセスについて述べる。
【0041】転炉もしくは電気炉にて炭素濃度を0.01〜
0.25%に調整する。この理由は、本発明で対象としてい
る鋼種が厚板材として利用されているために、炭素濃度
に上限があり、0.25%以下である必要があるからであ
る。一方、炭素を0.01%以上に制御することにより溶鋼
およびスラグが過酸化状態にならず、後工程であるSiお
よびMnによる予備脱酸工程およびスラグ改質工程が容易
に行えるからである。
【0042】予備脱酸:次に、SiおよびMnが出鋼中もし
くは取鍋内にて添加調整される。このときの組成範囲の
理由については前述したが、ここで実際のプロセスで
は、転炉もしくは電気炉からの出鋼時に不可避的に持ち
来されるスラグにより予備脱酸の制御が困難になる。そ
こで、スラグ流出を極力抑制するとともに、望ましくは
スラグ改質によりスラグの低酸素ポテンシャル化を実現
する。
【0043】スラグ改質:このときのスラグ改質方法お
よびスラグ改質剤については、特に制限されないが、例
えばAl− CaCO3剤、Al灰、Si系改質剤等を使用すること
ができる。このスラグ改質によって、予備脱酸を容易に
するため、スラグ中 (T.Fe+%MnO)濃度を重量割合にし
て2%以下にすることが望ましい。
【0044】さらに、実際のプロセスでは溶鋼量が多く
予備脱酸による酸素濃度の調整に時間を要するので、RH
真空脱ガス装置による環流によって脱酸生成物の浮上を
促進したり、取鍋精錬炉(LF)加熱装置により加熱しなが
ら脱酸生成物の浮上時間を十分に与えたり、もしくはVO
D 炉によりガス攪拌で脱酸生成物の浮上を制御すること
が有効となる。
【0045】これらいわゆる二次精錬設備は、スラグ改
質を含めて予備脱酸を促進し全酸素濃度を制御すること
に有効であるばかりでなく、脱ガスや熱付与の効果もあ
り、トータルとしてのプロセスの最適化に役立つ。
【0046】Al添加:前述のようにしてAl含有合金の添
加を行う。これは上述のような取鍋精錬設備を用いる場
合には、全酸素系濃度を調整後に行う。
【0047】すなわち、全酸素濃度を [%O]:0.002 〜
0.010 %に調整した後、前述したような作用で合金鉄中
に含有されるAlによりAl濃度を重量割合にして [%Al]
:0.0001〜0.0030%に調整し、Al−Mn系酸化物を鋼中
に分散させる。
【0048】Ti添加:ここで、Al濃度調整後に、必要に
応じTiを重量割合にして0.05%以下になるように添加す
ると、耐火物あるいは雰囲気からの影響によりAl−Mn系
酸化物が吸収、消滅したり、他の介在物組成に変化する
ことを抑制できる効果がある。これによりAl−Mn系酸化
物は、微小な介在物としてより分散しやすくなり、Al−
Mn系酸化物の微細分散により効果的となる。Tiが分散酸
化物の微細化に寄与するために、望ましくは0.005 %以
上添加し、また脱酸に影響を及ぼさないためには、0.02
%以下であることが良い。また、Tiを0.050 %を越えて
添加するとTiによる脱酸が優勢となり、Al−Mn系酸化物
の生成、分散を阻害してしまう。
【0049】ところでTiを添加することにより、Al−Mn
系介在物の一部は不可避的にTi酸化物およびTi− Mn 系
酸化物と複合することもあるが、本発明では鋼中にAl−
Mn系酸化物を含有する酸化物を分散させることが主たる
目的であり、それが分散して存在する限り、問題ない。
【0050】このようなTiはスポンジTi (金属Ti) 、フ
ェロチタンの形態で添加するのが好ましい。
【0051】脱 硫:本発明によれば適切なスラグ改
質、予備脱酸およびAl添加を行う過程で本鋼種のような
弱脱酸鋼であってもスラグに生石灰などの脱硫剤をスラ
グ改質剤とともに投入することによりイオウを除去する
ことができる。そこでイオウを重量割合にして0.002 %
以下にすると、Al−Mn系酸化物はより安定に存在するこ
とができる。その理由は、Mnを多量に含有してもイオウ
を20ppm 以下に抑制した鋼種ではMnS 系介在物が生成し
難いためである。さらに、このMnS は鋼質的には応力腐
食割れを起こしたりすることがよく知られており、した
がって本発明によりイオウを20ppm 以下に制限すること
で付随的に鋼質改善も期待できる。
【0052】かくして本発明によれば、好ましくは、直
径が0.2 〜20μm の大きさで、金属元素のモル分率とし
て (Al+Mn) が40%以上であり、かつAl:Mnの比率が1.
0 以上5.0 未満という特徴を備えるAl−Mn系酸化物相を
含む酸化物が分散した酸化物分散鋼が安定して製造され
る。
【0053】本発明が対象とする鋼種は特に制限されな
いが、一例として例示すれば大約次のような組成を有す
るものである。
【0054】C:0.05〜0.10%、Si:0.05〜0.20%、M
n:1.2 〜1.8 %、P:≦0.03%、S:≦0.002 %、C
u:0.1 〜0.5 %、Ni:0.1 〜0.4 %、Nb:0.01〜0.05
%、V:0.02〜0.06%、B:0〜0.0020%、Ti:0〜0.
05%、ただし、Cu、Nb、V、B、Tiについては少なくと
も1種含有されればよい。
【0055】
【実施例】次に、本発明を実施例によってさらに具体的
にその作用を説明する。
【0056】(実施例1)本発明の効果を確認するために
15kg高周波真空精錬炉を用いて本発明の実施例および比
較例を示す試験を行った。
【0057】炭素濃度:0.05〜0.08%、初期酸素濃度:
0.04〜0.07%の溶鋼を1550℃から1650℃でMgO 緻密質坩
堝中で溶解した。この溶鋼を用いてSi、Mnを金属Siおよ
びMnの形態で添加して予備脱酸を行い、全酸素濃度を確
認した後、AlをFe−Nb (Al純分4.2 %) 、Fe−V (Al純
分4.7 %) 、Fe−B (Al純分5.7 %) もしくは金属Al
の形態で添加して所定のAl濃度にした後、その時の分
散酸化物の個数と組成を光学顕微鏡とエネルギー分散型
X線マイクロアナライザーで調べた。
【0058】なお、この溶鋼には、その上記成分以外に
Cu:0.2 〜0.5 %、Ni:0.2 〜0.8%、Nb:0.02〜0.8
%、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.0016%が
含まれている。また、イオウ濃度0.0002〜0.004 %、お
よびTi濃度は0.005 %〜0.05%であった。
【0059】このときの実施例および比較例の条件およ
び介在物の形態観察結果の一覧を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】表1には、本実施例の条件と介在物形態の
調査結果を示した。
【0062】介在物の形態は、直径0.2 μm以上20μm
以下のAl−Mn酸化物主体の介在物で、溶鋼もしくは鋼塊
内での10個/mm2以上1000個/mm2未満あるものを◎、4個
/mm以上10個/mm2未満あるものを○とした。△、
×はそれぞれ2個/mm2 以上4個/mm2 未満、2個/mm
2 未満であって、◎、○を合格とした。
【0063】表1に示した結果のうち、[%Si] および[%
Mn] 量に関する結果を図2にまとめる。図より、[%Si]
および[%Mn] 濃度は、それぞれ、0.05%以上0.60%以
下、および0.3 %以上3.0 %以下が目的とする直径0.2
μm以上20μm以下のAl−Mnの酸化物主体のAl−Mn系酸
化物 (以下、同じ) の鋼塊中への分散に必要であること
がわかる。また、Al−Mn系酸化物の鋼塊中への分散が10
個/mm2以上であるために、さらに望ましくは[%Si] およ
び[%Mn] 濃度が、それぞれ0.05%以上0.2 %以下、およ
び0.8 %以上2.0 %以下であることがわかる。
【0064】次に、表1に示した結果のうち、T.[%O]お
よび[%Al] 量に関する結果を図3にまとめる。図より、
T.[%O]および[%Al] 濃度は、それぞれ、0.0020%以上0.
010%以下、および0.0001%以上0.003 %以下がAl−Mn
系酸化物の鋼塊中への分散に必要であることがわかる。
一部の結果は、本発明のT.[%O]および[%Al] の範囲内で
も不良な結果を示しているものがある。これはT.[%O]濃
度は前に述べたSi−Mnによる予備脱酸と大きく係わって
おり、不良な結果を示したものの多くは[%Si]および[%M
n] 量が本発明範囲外のもので、これらは括弧をつけて
示した。また、Al−Mn系酸化物の鋼塊中への分散が10個
/mm2であるためには、さらに望ましくは[%Al] 濃度が、
0.0001%以上0.0010%以下であることがわかる。
【0065】一方、溶鋼中のAl濃度の制御にAl含有合金
鉄を用いると制御が容易になるばかりでなく、結果とし
て本発明の効果を充分に発揮していることがわかる。ま
たこれは、合金鉄に種類には特に依存しない。
【0066】その他の比較例としてAl含有合金鉄の代わ
りに金属Alを添加した実験を行った。金属Alを使用した
場合、微量のAl濃度制御が難しくなるばかりでなく、Al
2O3系酸化物が分散し、結果としてAl−Mn系酸化物の分
散が困難となった。
【0067】(実施例2)次に 250t転炉およびRH真空脱
ガス装置あるいはLF (取鍋精錬炉) 加熱装置を用いて本
発明を実施した。
【0068】予備処理により重量割合にしてP≦0.03%
にした溶銑を用いて転炉で脱炭を行った。転炉により炭
素濃度を0.01%以上0.25%以下にした後、転炉スラグ流
出を抑制するとともに、取鍋に出鋼した。
【0069】次に出鋼時に流出したスラグへAl−CaCO3
剤、Al灰あるいはSi系改質剤等を添加してスラグ改質を
行うとともに、予備脱酸を主たる目的としてSiおよびMn
をFe−SiおよびFe−Mnの形態で添加して所定の濃度に調
整した。その後、RH真空脱ガス装置により全酸素濃度を
調整する場合には、RH真空脱ガス装置により真空度1〜
5torr程度を維持しながら20分ないし40分の還流処理を
行った。この際、処理途中に試料採取を行い全酸素濃度
を調べるとともに、真空槽内においてFe−Si、Fe−Nb、
Fe−VおよびFe−B等の合金鉄によりAl濃度の調整を行
った。また、Tiを添加する場合には、真空槽内にて合金
鉄とともに添加を行った。
【0070】一方、LF加熱装置により全酸素濃度を調整
する場合には、処理時間は40分ないし60分であり、処理
開始20分で加熱を一旦やめてガス攪拌を行った。また、
処理開始後20分ないし40分で全酸素濃度を調べるために
試料採取を行うとともに、処理開始後30分ないし50分に
上記合金鉄によりAl濃度の調整を行った。この場合、Ti
を添加するときには、取鍋内に合金鉄とともに添加を行
った。
【0071】また、一部の溶製例についてはLF加熱装置
で30分間加熱処理を行った後、RH脱ガス処理を行った。
このときのRH脱ガス処理手順は、前述した方法と同様で
ある。
【0072】精錬終了後、取鍋内で試料を採取し、分散
酸化物の個数と組成を光学顕微鏡とエネルギー分散型X
線マイクロアナライザーで調べた。
【0073】また連続鋳造によりスラブ形状に鋳造後、
鋳片試料中に分散した酸化物についても個数と組成を同
様の手法で調査した。
【0074】なお、このときの溶鋼組成は、上記成分以
外は、Cu:0.2 〜0.4 %、Ni:0.2〜0.7 %、Nb:0.02
〜0.5 %、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.00
16%であった。
【0075】実施例および比較例の条件および介在物の
形態観察結果をまとめて表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】表2には、本実施例の条件と介在物形態の
調査結果を示した。介在物の形態の分類は、表1と同様
である。分散酸化物については、溶製末期の溶鋼中およ
び連続鋳造後のスラブ中での状態を調査した。
【0078】溶製末期試料と連続鋳造スラブ内では、分
散酸化物の組成形態および個数、直径分布に多少の差は
あるものの、本発明に影響を与える本質的な差は認めら
れなかった。
【0079】また、処理プロセスについては、転炉−RH
真空脱ガス装置、転炉−LF加熱装置あるいは転炉−LF加
熱装置−RH真空脱ガス装置のいずれのプロセスを採用し
ても、本発明が実施可能であることがわかった。
【0080】表2に示した結果のうち、[%Si] および[%
Mn] 量に関する結果を図4にまとめる。図より、[%Si]
および[%Mn] 濃度は、それぞれ0.05%以上0.6 %以下、
および0.3 %以上3.0 %以下が目的とするAl−Mn系酸化
物の鋼塊中への分散に必要であることがわかる。また、
Al−Mn系酸化物の鋼塊中への分散が10個/mm2以上である
ために、さらに望ましくは[%Si] および[%Mn] 濃度が、
それぞれ0.05%以上0.2 %以下、および0.8 %以上2.0
%以下であることがわかる。
【0081】次に、表2に示した結果のうち、T.[%O]お
よび[%Al] 量に関する結果を図5にまとめる。図より、
T.[%O]および[%Al] 濃度はそれぞれ、0.002 %以上0.01
%以下、および0.0001%以上0.003 %以下がAl−Mn系酸
化物の鋼塊中への分散に必要であることがわかる。
【0082】一部の結果は、T.[%O]および[%Al] が本発
明の範囲内で不良な結果を示しているものがある。これ
はT.[%O]濃度は前に述べたSi−Mnによる予備脱酸と大き
く係わっており、不良な結果を示したものの多くは[%S
i] および[%Mn] 量が本発明範囲外のものであって、こ
れらは括弧をつけて示した。
【0083】また、Al−Mn系酸化物の鋼塊中への分散が
10個/mm2以上であるためには、さらに望ましくは[%Al]
濃度が、0.0001%以上0.001 %以下であることがわか
る。
【0084】一方、その他の比較例として、Al含有合金
鉄の代わりに金属Alを添加した実験を行った。実施例1
でも述べたように金属Alを使用した場合、微量のAl濃度
制御が難しくなるばかりでなく、Al2O3 系酸化物が分散
し、結果としてAl−Mn系酸化物の分散が困難となった。
【0085】スラグ改質については、比較例の中で示し
ているように未実施のchでは、脱酸の制御が困難である
ことがわかった。
【0086】Ti添加については、重量分率で0.05%を越
えて添加した場合、Tiによる脱酸の影響が強くなり、本
発明の効果が得られないことがわかった。
【0087】(実施例3)次に30t電気炉およびVOD 炉の
プロセスを用いて本発明を実施した。
【0088】電気炉により炭素濃度を0.01%以上0.25%
以下に調整した後、電気炉スラグ流出を抑制するととも
に、出鋼時に流出したスラグへAl−CaCO3 系スラグ改質
剤を添加してスラグ改質を行った。この出鋼時に予備脱
酸を主たる目的としてSiおよびMnをFe−SiおよびFe−Mn
の形態で添加して所定の濃度に調整した。その後、VOD
炉により減圧下でArガス攪拌を行いながら全酸素濃度を
調整した。この場合には、真空度1〜50torr程度を維持
しながら10分ないし40分の処理を行った。
【0089】この際、処理途中に試料採取を行い全酸素
濃度を調べるとともに、真空槽内においてFe−Si、Fe−
Nb、Fe−VおよびFe−B等の合金鉄を添加することによ
りAl濃度の調整を行った。また、Tiを添加する場合に
は、スポンジTiの形態で合金鉄とともに添加を行った。
【0090】精錬終了後、取鍋内でボンブサンプルを採
取し、分散酸化物の個数と組成を光学顕微鏡とエネルギ
ー分散型X線マイクロアナライザーで調べた。また連続
鋳造によりスラブ形状に鋳造後、鋳片試料中に分散した
酸化物についても個数と組成を同様の手法で調査した。
【0091】なお、このときの溶鋼組成は、上記成分以
外は、Cu:0.2 〜0.4 %、Ni:0.2〜0.7 %、Nb:0.02
〜0.5 %、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.00
16%であった。
【0092】
【表3】
【0093】表3には、本実施例の条件と介在物形態の
調査結果を示した。介在物の形態の分類は、表1および
2と同様である。分散酸化物については、溶製末期の溶
鋼中および連続鋳造後のスラブ中での状態を調査した。
【0094】溶製末期試料と連続鋳造スラブ内では、分
散酸化物の組成形態および個数、直径分布に多少の差は
あるものの、本発明に影響を与える本質的な差は認めら
れなかった。また、処理プロセスについては、電気炉−
VOD 炉プロセスを採用しても、本発明が実施可能である
ことがわかった。
【0095】表3に示した結果の内、[%Si] および[%M
n] 量に関する結果を図6にまとめる。
【0096】図より、[%Si] および [%Mn]濃度は、それ
ぞれ、0.05%以上0.6 %以下、および0.3 %以上3.0 %
以下が目的とするAl−Mn系酸化物の鋼塊中への分散に必
要であることがわかる。
【0097】また、Al−Mn系酸化物の鋼塊中への分散が
10個/ mm2 以上であるために、さらに望ましくは [%Si]
および [%Mn]濃度が、0.05%以上0.2 %以下、および0.
8 %以上2.0 %以下であることがわかる。
【0098】次に、表3に示した結果の内、T. [%O] お
よび [%Al]量に関する結果を図7にまとめる。
【0099】図より、 T.[%O] および [%Al]濃度は、そ
れぞれ、0.002 %以上0.01%以下、および0.0001%以上
0.03%以下が目的とするAl−Mn系酸化物の鋼塊中への分
散に必要であることがわかる。
【0100】一部の結果は、上記範囲内で不良な結果を
示しているものがある。これはT.[%O]濃度は前に述べた
Si−Mnによる予備脱酸と大きく係わっており、不良な結
果を示したものの多くは[%Si] および[%Mn] 量が本発明
の範囲外のもので、これらは括弧をつけて示した。ま
た、Al−Mn系酸化物の鋼塊中への分散が10個/mm2以上で
あるためには、さらに望ましくは[%Al] 濃度が、0.0001
%以上0.001 %以下であることがわかる。
【0101】一方、その他の比較例として、Al含有合金
鉄の代わりに金属Alを添加した実験を行った。実施例
1、2でも述べたように金属Alを使用した場合、微量の
Al濃度制御が難しくなるばかりでなく、Al2O3 系酸化物
が分散し、結果としてAl−Mn系酸化物の分散が困難とな
った。
【0102】スラグ改質については、比較例の中で示し
ているように未実施の場合は、脱酸の制御が困難である
ことがわかった。
【0103】(実施例4)次に 250t転炉、LF加熱装置お
よびRH真空脱ガス装置を用いて本発明を実施した。
【0104】予備処理により重量割合にしてP≦0.03%
にした溶銑を用いて脱炭を行った。転炉により炭素濃度
を0.01%以上0.25%以下にした後、転炉スラグ流出を抑
制するとともに、出鋼時に流出したスラグへAl−CaCO3
剤を添加してスラグ改質を行った。
【0105】次に予備脱酸を主たる目的としてSiおよび
Mnを添加して本発明のより望ましい範囲である0.05%≦
[%Si] ≦0.20%および0.8 %≦ [%Mn] ≦2.0 %に調
整した。
【0106】次にLF加熱装置で20から30分間の加熱処理
を行った。その後、RH真空脱ガス装置により溶鋼を脱ガ
ス、還流を行い、全酸素濃度を調整した。この場合に
は、RH真空脱ガス装置により真空度1〜5torr程度を維
持しながら20分ないし40分の処理を行った。この処理途
中に、真空槽内においてFe−Si、Fe−Nb、Fe−Vおよび
Fe−B等の合金鉄によりAl濃度の調整を行った。さら
に、真空槽内にて合金鉄とともに、溶鋼中Ti濃度が所定
の濃度になるようにTiを添加した。
【0107】精錬終了後、連続鋳造法にてスラブ形状に
鋳造、スラブ中分散酸化物の個数と組成を光学顕微鏡と
エネルギー分散型X線マイクロアナライザーで調べた。
【0108】なお、このときの溶製組成は、上記成分以
外は、Cu:0.2 〜0.4 %、Ni:0.2〜0.7 %、Nb:0.02
〜0.5 %、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.00
16%であった。
【0109】この時のスラブ中に分散酸化物の個数に対
して添加したTi濃度の関係を図8に示す。図が示すよう
に、Tiを0.05%以下添加すると介在物個数の増加が観察
され本発明の効果が確認できた。特にTi濃度が0.005 %
以上0.02%以下の領域では、分散した酸化物個数はほぼ
2倍となり、Ti添加量としてはより望ましいことがわか
る。一方、重量分率で0.05%を越えて添加した場合、Ti
による脱酸の影響が強くなり、Al−Mn系酸化物の分散個
数本発明の効果が得られないことがわかった。
【0110】(実施例5)次に 250t転炉、LF加熱装置お
よびRH真空脱ガス装置を用いて本発明を実施した。予備
処理により重量割合にしてP≦0.03%にした溶銑を用い
て脱炭を行った。転炉により炭素濃度を0.01%以上0.25
%以下にした後、転炉スラグ流出を抑制するとともに、
出鋼時に流出したスラグへAl−CaCO3 剤を添加してスラ
グ改質を行った。
【0111】次に予備脱酸を主たる目的としてSiおよび
Mnを添加して本発明のより望ましい範囲である0.05%≦
[%Si]≦0.20%および0.8 %≦ [%Mn]≦2.0 %に調整し
た。次に脱硫を目的として生石灰およびホタル石をそれ
ぞれ900 kgおよび300 kg投入後、LF加熱装置で20から30
分間の加熱処理を行った。その後実施例4と同様、RH脱
ガス装置により溶鋼を脱ガス、還流を行い、全酸素濃度
を調整した。この場合には、RH真空脱ガス装置により真
空度1〜5Torr程度を維持しながら20分ないし40分の処
理を行った。この処理途中に、真空槽内においてFe−S
i、Fe−Nb、Fe−VおよびFe−B等の合金鉄によりAl濃
度の調整を行った。また、真空槽内にて合金鉄ととも
に、溶鋼中Ti濃度が重量分率にて0.005 %以上0.02%以
下になるようにTiを添加した。
【0112】精錬終了後、連続鋳造法にてスラブ形状に
鋳造、スラブ中分散酸化物の個数と組成を光学顕微鏡と
エネルギー分散型X線マイクロアナライザーで調べた。
【0113】なお、このときの溶製組成は、上記成分以
外は、Cu:0.2 〜0.4 %、Ni:0.2〜0.7 %、Nb:0.02
〜0.5 %、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.00
16%であった。
【0114】図9にこのときの重量割合での分散酸化物
中平均イオウ濃度と溶鋼中イオウ濃度の関係を示す。分
散介在物中イオウはMnS もしくはMnを含有するオキシサ
ルファイドを形成しているため、図に示したように溶鋼
中イオウ濃度を減少させて分散酸化物中平均イオウ濃度
が少なくしたものほど、Al−Mn系酸化物の割合が多いと
考えられる。
【0115】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、高い溶接熱影響部靱性が要求される厚板用鋼として
Al−Mn酸化物相を有する酸化物が鋼中に微細に分散され
た酸化物分散鋼を溶製する際において、該鋼種において
Al−Mn酸化物相を含む酸化物が鋼中に微細に分散した高
い溶接熱影響部靱性を有する酸化物分散鋼を安定して溶
製できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製鋼温度における溶鋼中にAl−Mn系酸化物が生
成される酸素ポテンシャル、溶鋼中酸素濃度で生じる酸
素ポテンシャル、およびAl2O3 系酸化物が生成する酸素
ポテンシャルを比較したグラフである。
【図2】溶鋼中 [%Si]および [%Mn]濃度が、Al−Mn系酸
化物の分散に及ぼす影響を示したグラフである。
【図3】溶鋼中T. [%O] および [%Al]濃度がAl−Mn系酸
化物の分散に及ぼす影響を示したグラフである。
【図4】転炉−RH真空脱ガス装置、転炉−LF 加熱装置
および転炉−LF 加熱装置−RH真空脱ガス装置の各プ
ロセスにおいて、溶鋼中 [%Si]および [%Mn]濃度が、Al
−Mn系酸化物の分散に及ぼす影響を示したグラフであ
る。
【図5】転炉−RH真空脱ガス装置、転炉−LF 加熱装置
および転炉−LF 加熱装置−RH真空脱ガス装置の各プ
ロセスにおいて、溶鋼中T. [%O] および [%Al]濃度が、
Al−Mn系酸化物の分散に及ぼす影響を示したグラフであ
る。
【図6】電気炉−VOD 炉のプロセスにおいて、溶鋼中
[%Si]および [%Mn]濃度が、Al−Mn系酸化物の分散に及
ぼす影響を示したグラフである。
【図7】電気炉−VOD 炉のプロセスにおいて、溶鋼中T.
[%O] および [%Al]濃度が、Al−Mn系酸化物の分散に及
ぼす影響を示したグラフである。
【図8】添加 [%Ti]濃度がAl−Mn系酸化物分散個数に及
ぼす影響を示すグラフである。
【図9】溶鋼中イオウ濃度が分散酸化物中イオウ濃度に
及ぼす影響を示すグラフである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不
    可避的に共存する酸化物相を含有する酸化物が分散され
    た酸化物分散鋼を溶製する際に、SiおよびMnを添加し
    て、重量濃度にて、Si:0.05〜0.60%およびMn:0.3 〜
    3.0 %となるように予備脱酸して全酸素濃度を0.0020〜
    0.0100%に調整した後、Al含有合金の添加を行うことに
    より、Al濃度を、重量割合にて、0.0001〜0.0030%に制
    御することを特徴とするAl- Mn系酸化物分散鋼の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不
    可避的に共存する酸化物相を含有する酸化物が分散され
    た酸化物分散鋼を溶製する際に、転炉もしくは電気炉に
    て炭素を、重量濃度にて、0.01〜0.25%に調製した後、
    出鋼中もしくは取鍋内で、SiおよびMnを添加して、重量
    割合にて、Si:0.05〜0.6 %およびMn:0.3 〜3.0 %と
    なるように予備脱酸するとともにスラグ改質を行い、取
    鍋精錬設備にて全酸素濃度を0.0020〜0.0100%に調整し
    た後、Al含有合金の添加を取鍋精錬中もしくは精錬後に
    行うことにより、Al濃度を、重量割合にて、0.0001〜0.
    0030%に制御することを特徴とするAl−Mn系を特徴とす
    る酸化物分散鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記Al含有合金の添加と同時またはその
    後に、Tiを、重量割合にて、0.050 %以下添加すること
    をさらに特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 全酸素濃度を0.0020〜0.0100%に調整す
    る際に、イオウ濃度を0.002 %以下に調整することをさ
    らに特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方
    法。
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