JP3323414B2 - 大入熱溶接の熱影響部靭性の優れた鋼材およびその製造方法 - Google Patents
大入熱溶接の熱影響部靭性の優れた鋼材およびその製造方法Info
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Description
物、中高層ビルなどに使用される溶接熱影響部(以下H
AZと称す)の靭性に優れた溶接構造用鋼材およびその
製造方法に関するものである。
どで用いられる大型構造物に使用される溶接用鋼材の材
質特性に対する要望は厳しさを増しており、鋼材自身の
靭性と同様に、HAZの靭性への要求も厳しさを増して
いる。
接の効率化を促進するため、フラックス−銅バッキング
溶接法、エレクトロガスアーク溶接法などに代表される
ような大入熱溶接法の適用が希望されている。
た部分に限られていたため、靭性を向上させる方法は、
例えば、特公平4−14179号公報や特開平4−11
6135号公報に開示されるように成分を規制すること
によって靭性を支配している島状マルテンサイトの生成
状態を制御するだけで充分であった。ところが、近年で
は大入熱溶接の適用が進められており、その場合島状マ
ルテンサイトを制御するだけでは不十分である。
靭性に注目した提案は従来から数多くある。
に開示されるように、微細なTi窒化物を鋼中に確保す
ることによって、HAZのオーステナイト粒を小さく
し、靭性を向上させる方法がある。また、特開平3−2
64614号公報ではTi窒化物とMnSとの複合析出
物をフェライトの変態核として活用し、HAZの靭性を
向上させる方法が提案されている。
ち最高到達温度が1400℃を超える溶接金属との境界
(溶接ボンド部と称する)近傍ではほとんど固溶してし
まうので靭性劣化抑制効果が低下してしまうという問題
があり、近年の厳しい鋼材特性への要求を達成すること
が困難である。
法として、Ti酸化物を含有した鋼が厚板、形鋼などの
様々な分野で使用されている。例えば厚板分野では特開
昭61−79745号公報や特開昭62−103344
号公報に例示されているように、Ti酸化物を含有した
鋼が大入熱溶接部靭性向上に非常に有効であり、高張力
鋼への適用が有望である。この原理は、Ti酸化物およ
びTi窒化物、MnS等の析出物を核として微細フェラ
イトが生成し、その結果靭性に有害な粗大フェライトの
生成が抑制され、靭性の劣化が防止できるというもので
ある。しかしながら、このようなTi酸化物は鋼中へ分
散される個数をあまり多くすることができない。その原
因はTi酸化物の粗大化や凝集合体であり、Ti酸化物
の個数を増加させようとすれば5μm以上の粗大なTi
酸化物、いわゆる介在物が増加してしまう。この5μm
以上の介在物は構造物の破壊の起点となって有害であ
り、靭性の低下を引き起こす。したがって、さらなるH
AZ靭性の向上を達成するためには、粗大化や凝集合体
が起こりにくく、Ti酸化物よりも微細に分散する酸化
物を活用する必要がある。
散方法としては、Al等の強脱酸元素を実質的に含まな
い溶鋼中へのTi添加によるものが多い。しかしなが
ら、単に溶鋼中にTiを添加するだけでは鋼中のTi酸
化物の個数、分散度を制御することは困難であり、さら
には、TiN、MnS等の析出物の個数、分散度を制御
することも困難である。その結果、Ti脱酸のみによっ
てTi酸化物を分散させた鋼においては、例えば、Ti
酸化物の個数が充分でなかったり、厚板の板厚方向の靭
性変動を生じる等の問題点が認められる。
報などの方法では、Ti酸化物を生成しやすくするため
に、Al量の上限を、0.007%という非常に少ない
量で制限している。鋼材中のAl量が少ない場合、Al
N析出物量の不足などの原因により、母材の靭性が低下
する場合がある。また、通常使用されている溶接材料を
用いてAl量の少ない鋼板を溶接した場合、溶接金属の
靭性が低下する場合がある。
るように、Ti添加後タンディッシュや鋳型内にAlを
添加する方法も考案されている。しかしながら、この方
法はAlNを有効に生成させるための方法であり、Ti
酸化物さらにはTiN、MnS等の析出物を鋼中に分散
させるための方法ではない。またAlをタンディッシュ
で添加するなど、TiとAlとの添加間隔が長く、Al
添加後直ちに鋳造することが特徴であり、これはTi酸
化物がAlで還元されることを極力抑えるためである。
したがって、酸化物生成におよぼすAlの効果は得られ
ない。
ても、Ti添加後にAlを添加する方法が考案されてい
るが、この方法はTi添加前のSi量を0.05%以下
にすることを規定している。このようにSi量が少ない
と、溶存酸素濃度の調整が不安定で、溶存酸素濃度が高
くなりすぎ、その結果酸化物の粗大化が生じ、先にも述
べたように、破壊の発生起点となる大型介在物が生成し
やすくなるといった問題点がある。
は、特開平6−293937号公報においてTi添加直
後のAlを添加することで、生成するTi−Al複合酸
化物を活用する技術を考案している。この技術により、
大入熱溶接HAZ靭性を大幅に向上させることが可能で
あるが、直近、造船業界、建設業界においては、200
kJ/cm以上のさらなる溶接入熱の増加が進められて
おり、より一層のHAZ靭性を有する鋼材が必要とされ
ている。この際、とくに溶接融合部近傍の靭性向上が必
要となる。
44号公報など上記の従来手法より一層のHAZ特性を
向上させられるために、Ti酸化物のごとく粗大化せ
ず、したがって破壊の起点にならず、さらにはTi窒化
物、MnS等の析出物の核サイトとなってオーステナイ
ト粒細粒化や微細フェライト生成によって優れたHAZ
靭性を実現可能な酸化物を安定して分散させ、特に溶接
融合部の靭性を一層向上させることを課題とした。
解決するために、重量%で、 C:0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P:≦0.02% S:0.0010〜0.010% Al:0.005〜0.020% Ti:0.005〜0.020% Ca:0.0005〜0.0030% N:0.0020〜0.0060% を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、か
つ粒子径が0.01〜1.0μm、粒子数が5×103
〜1×105個/mm2、Caを含み、さらにTiとAl
のいづれか1種以上を含む複合酸化物を含有することを
特徴とする溶接熱影響部靭性の優れた溶接構造用鋼材を
第1の手段とし、重量%で、 C:0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P:≦0.02% S:0.0010〜0.010% Al:0.005〜0.020% Ti:0.005〜0.020% Ca:0.0005〜0.0030% N:0.0020〜0.0060% を基本成分とし、さらに Cu:≦1.0% Ni:≦1.5% Nb:≦0.030% V:≦0.1% Cr:≦0.6% Mo:≦0.6% B:0.0002〜0.0020% の1種または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可
避不純物からなり、かつ粒子径が0.01〜1.0μ
m、粒子数が5×103〜1×105個/mm2、Caを
含み、さらにTiとAlのいづれか1種以上を含む複合
酸化物を含有することを特徴とする溶接熱影響部靭性の
優れた溶接構造用鋼材を第2の手段とし、さらには、上
記第1、第2の手段の鋼材を製造するにあたり、Si濃
度が0.05〜0.20%で、溶存酸素濃度が20〜8
0ppmになるように調整した溶鋼中に、最終含有量が
0.005〜0.020%となるTiを添加して脱酸し
た後、最終含有量が0.005〜0.020%となるA
lを添加し、さらに最終含有量が0.0005〜0.0
030%となるCaを添加し、その後最終成分に対して
不足する分のSi、および他合金を添加し、成分組成が
重量%で、 C:0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P:≦0.02% S:0.0010〜0.010% Al:0.005〜0.020% Ti:0.005〜0.020% Ca:0.0005〜0.0030% N:0.0020〜0.0060% を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼
を鋳造後圧延することを特徴とする溶接熱影響部靭性の
優れた溶接構造用鋼材の製造方法を第3の手段とし、S
i濃度が0.05〜0.20%で、溶存酸素濃度が20
〜80ppmになるように調整した溶鋼中に、最終含有
量が0.005〜0.020%となるTiを添加して脱
酸した後、最終含有量が0.005〜0.020%とな
るAlを添加し、さらに最終含有量が0.0005〜
0.0030%となるCaを添加し、その後最終成分に
対して不足する分のSi、および他合金を添加し、成分
組成が重量%で、 C:0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P:≦0.02% S:0.0010〜0.010% Al:0.005〜0.020% Ti:0.005〜0.020% Ca:0.0005〜0.0030% N:0.0020〜0.0060% を基本成分とし、さらに Cu:≦1.0% Ni:≦1.5% Nb:≦0.030% V:≦0.1% Cr:≦0.6% Mo:≦0.6% B:0.0002〜0.0020% の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可
避不純物からなる溶鋼を鋳造後圧延することを特徴とす
る溶接熱影響部靭性の優れた溶接構造用鋼材の製造方法
を第4の手段とする。
する。本発明者らはHAZ靭性を向上させる金属組織要
因として、 (1)1400℃未満に加熱される領域のオーステナイ
ト細粒化、 (2)溶接ボンド部近傍で1400℃以上に加熱される
領域の粒内フェライト生成を同時に、酸化物を利用して
達成することを検討した。
細粒化するためには高温でのオーステナイト粒成長を抑
制することが必要である。その手段として、析出物によ
りオーステナイトの粒界をピンニングし、粒界の移動を
止める方法が考えられる。そのような作用をする析出物
の一つとしては、一般にTi窒化物が有効であると考え
られる。また、析出物個数が多いほどオーステナイト結
晶粒径が小さくなることはよく知られている事実であ
る。したがって、オーステナイトを細粒化するために
は、Ti窒化物を多数析出させることが有効である。そ
のような観点で、本発明者らが鋼中に析出しているTi
窒化物を詳細に観察したところ、酸化物を核生成サイト
として析出しているTi窒化物が頻度高く存在すること
を見いだした。そのような酸化物として、Caを含み、
さらにTiとAlとのいずれか1種以上を含む酸化物
(以後Ti−Al−Ca酸化物)があり、その粒子径は
0.01〜0.1μmであることを見いだした。
Ti−Al−Ca酸化物が鋼中に存在することで、それ
ら酸化物が存在しない場合に比較してTi窒化物が析出
するサイトが増加し、Ti窒化物の析出個数が増加す
る。その結果として、多数Ti窒化物によってピンニン
グされたオーステナイト粒の細粒化が可能となる。
ーステナイト粒内で生成する粒内フェライトの組織を観
察し、粒内フェライト中に含まれる粒子を調査した。そ
の結果、粒内フェライトの生成核として、0.1〜1.
0μmの大きさをもつTi−Al−Ca酸化物と、その
上に析出したTi窒化物+MnSとの複合体が有効に作
用することを見いだした。酸化物は高温に加熱したとき
においても安定であり、1400℃以上でも変化するこ
となく安定して鋼中に存在する。また、Ti窒化物+M
nSはその後の冷却過程で、Ti−Al−Ca酸化物を
核生成サイトとして析出するため、溶接ボンド部近傍で
の粒内フェライト生成が可能となる。
効果を有する酸化物の一つにはTi−Al複合酸化物が
あるが、Ti−Al−Ca酸化物はTi−Al酸化物よ
りもフェライト生成能力が高く、同数の酸化物が存在し
たとき、粒内フェライト生成数はTi−Al−Ca酸化
物が存在する方が多くなることを見いだした。
れる領域のオーステナイト粒を細粒化し、さらに溶接ボ
ンド部近傍で1400℃以上に加熱される領域の粒内フ
ェライトを生成させるためには、粒子径が0.01〜
1.0μmのTi−Al−Ca複合酸化物が鋼中に存在
することが必要である。本発明者らの知見によれば、該
粒子径が0.01μm未満ではTi窒化物析出核として
の効果は弱く、また1.0μmを超えると、その酸化物
が破壊の起点となる可能性が高くなり、HAZ靭性の低
下を招く可能性が生じる。
して記す。酸化物個数が少なすぎると溶接時に充分なT
i窒化物および粒内フェライトの生成核が得られないの
で、5×103個/mm2以上の酸化物を存在させること
が必要である。酸化物個数が多くなるにしたがってTi
窒化物および粒内フェライトの個数は増加しHAZ靭性
は向上するが、1×105個/mm2を超える過剰な酸化
物が存在するとHAZ部および母材の靭性低下を招くこ
とになるので、酸化物個数の上限は1×105個/mm2
でなければならない。
の要領で行なう。母材となる鋼板から抽出レプリカを作
製し、それを電子顕微鏡にて10000倍で20視野以
上、観察面積にして1000μm2以上を観察すること
で該酸化物の大きさおよび個数を測定する。このとき鋼
板の表層部から中心部までどの部位から採取した抽出レ
プリカでもよい。
明する。まず、本発明者らはTi−Al−Ca酸化物お
よびTiN、MnS等の析出物を効果的に多数均一微細
分散するため、種々の脱酸元素を用いて、種々の順序に
よる脱酸実験を試みた。その結果、脱酸処理を行なう前
の、Tiよりも脱酸力の弱い元素であるSiの量を調整
して、Si量と平衡する溶存酸素濃度を20〜80pp
mに調整した溶鋼中に、最終含有量が0.005〜0.
020%となるTiを添加して脱酸した後、直ちに最終
含有量が0.005〜0.020%となるAlを添加
し、さらにその後、最終含有量が0.0005〜0.0
030%となるCaを添加する方法が最も多数Ti−A
l−Ca酸化物およびTiN、MnS等の析出物が均一
微細分散し、得られた鋼材を大入熱溶接したとき、HA
Z部の靭性が非常に優れた溶接溶接構造用鋼となる結果
を得た。Ti脱酸直後にAlを添加した場合に比べて、
さらにCaを添加することで酸化物の個数増加効果が増
す。
(4)、(5)に述べる知見を見いだした。
く影響する。酸化物を多数生成させるためには適正な溶
存酸素濃度が存在し、その値は20〜80ppmであ
る。この溶存酸素濃度を調整するためには、Tiよりも
脱酸力の弱いSiの量を調整する。
とTi酸化物個数が増加し、さらにCaを添加すること
で酸化物中にCaが取り込まれ、Ti−Al−Ca酸化
物となる。
らにCaを添加することで、鋼中に存在する酸化物個数
が、Ti脱酸後、Al添加のみの場合より増加する。
結果を述べる。
酸素濃度について調査した結果、溶存酸素濃度が20p
pmよりも少なくなるとHAZ靭性を確保するために必
要な量のTi系酸化物が形成されず、一方、溶存酸素濃
度が80ppmを越えると、生成した酸化物が粗大化
し、HAZ靭性の低下を招く。
平衡反応で調整する必要がある。溶存酸素濃度の調整
は、この他に吹酸等の方法があるが、例えば吹酸によっ
て溶存酸素濃度を調整しても、その直後に溶存酸素濃度
は平衡値に変化してしまい、Ti投入時の溶存酸素濃度
を正確に調整できないことが明らかとなった。したがっ
て、Ti投入時の正確な溶存酸素濃度調整は、溶鋼中で
安定して実現できる平衡反応を利用しなければならな
い。このときSi濃度は0.05%より高くなくてはな
らない。Si濃度が0.05%以下になると、Siと平
衡する溶存酸素濃度は80ppmを越えるため、上記し
た酸化物の粗大化を招くからである。
後に投入するAlおよびCaの効果について検討した結
果、Al投入によってTi酸化物が一部還元され、かつ
微細化していることが明らかとなった。また、Ti−A
l酸化物個数が増加したのは、Al添加によって溶存酸
素濃度が低下したためにTi−Al酸化物の成長が抑制
され微細化し、浮上しにくくなったためだと考えられ
る。さらに最適なAlの範囲を明確にするために実験を
行った結果、Alが0.005%よりも少ないとTi酸
化物の還元および溶存酸素量の低下が充分でなく、Ti
酸化物が粗大化、浮上してしまう。また、0.020%
を超えるとTi酸化物を完全に還元してしまい、Ti酸
化物個数が減少してしまうことが明らかとなった。
るCaをさらに添加することにより、すでに生成してい
た酸化物は一部還元され、Ti−Al−Ca酸化物とな
る。また、溶存酸素濃度はさらに低下し、Ti−Al−
Ca酸化物の成長はより一層抑制され、酸化物は微細な
まま分散することが可能となる。このとき、Caの過剰
な添加はCaSの生成を促進し、後のMnS析出を阻害
するため適切ではない。
宜採取し、酸化物の生成挙動を調査した結果、図1に示
す如く、Ti脱酸後時間の経過とともに生成したTi酸
化物は成長・凝集して粗大化し、浮上してしまうことが
明らかとなった。したがって、Ti投入後、Tiが溶鋼
中に均一に混合してすぐにAlを投入することが酸化物
を多く得るためには有効である。したがって、Alは、
Ti添加を実施するRHなどの二次精錬設備における脱
酸工程で投入添加しなければならない。ただし、Ti脱
酸を二次精錬設備で行なわない場合、例えば転炉出鋼時
などにTi脱酸を行なう場合には、Al添加もその直後
に実施する。また、Ti脱酸後すぐにAlを投入しなく
ても5分以内であればTi酸化物の減少量はさほど多く
ないため、5分以内であることが望ましい。なお、請求
の範囲および発明の詳細な説明の中のTiを添加して脱
酸した後あるいはTi脱酸後とは、投入したTiが溶鋼
中に均一に混合した後のことを意味する。Ca添加につ
いてもAl添加と同様であり、Al添加後短い時間の間
に投入することが望ましい。
る際に生成する。これを一次酸化物と称する。さらには
鋳造、凝固中に溶鋼温度の低下とともにTi−Al−C
a酸化物は生成する。これを二次酸化物と称する。本発
明では、一次酸化物と二次酸化物とのどちらを用いても
構わない。
さを所定の条件に制御するためには製鋼工程における脱
酸方法が重要となる。適当な脱酸方法としては、転炉出
鋼後、脱酸処理を行なう前のSi量を0.05%より多
くした上で、溶存酸素濃度が20〜80ppmになるよ
うに調整した溶鋼中に、RHなどの二次精錬工程で、最
終含有量が所定の成分値になるようTiを添加して脱酸
した後、同じくRHなどの二次工程で最終含有量が所定
の成分値%となるAlを添加し、さらにCaを添加した
後、最終成分に対して不足する分のSiその他の元素を
添加し、最終成分調整をする。
圧延まま、制御圧延、さらにこれと制御冷却と焼もどし
の組合せ、および焼入れ・焼もどしの組合せなどであっ
ても酸化物の効果は影響を受けない。
ついて述べる。
て下限を0.03%とし、また0.18%を越える過剰
の添加は、鋼材の溶接性やHAZ靭性などを著しく低下
させるので、上限を0.18%とした。
要な成分であるが、HAZの硬化により靭性が低下する
のを防止するため上限を0.5%とした。
内フェライトの変態核を生成させる成分として0.4%
以上の添加が必要であるが、溶接部の靭性、割れ性など
の許容できる範囲で上限を2.0%とした。
を工業的に低減させるためには多大なコストがかかるこ
とから、0.020%を上限とした。
1%が必要であるが、溶接部の靭性、割れ性などの許容
できる範囲で上限を0.005%とした。
び溶接金属の靭性低下を抑制するため、下限値を0.0
05%とした。また、Alが多量に存在すると、酸化物
がすべてアルミナとなり、Ti−Al−Ca酸化物が生
成しなくなるため、上限を0.020%とした。
物を形成させるために0.005%以上添加する。しか
し、固溶Ti量が増加するとHAZ靭性が低下するた
め、0.020%を上限とした。
るために0.0005%以上の添加が必要である。しか
しながら、過剰の添加はMnSの析出を阻害し、その結
果粒内フェライト組織を減少させるため、0.0030
%を上限とした。
素であり、0.002%未満ではTi窒化物の析出量が
不足し、フェライト組織の充分な生成量が得られない。
また、固溶Nの増大はHAZ靭性の低下を招くことから
0.006を上限とした。
であるが、1.0%を越えるとHAZ靭性を低下させる
ことから、1.0%を上限とした。
ために有効であるが、Ni量の増加は製造コストを上昇
させるので、1.5%を上限とした。
母材の強度および靭性を向上させるために有効な元素で
あるが、HAZ部においては過剰な添加は靭性を著しく
低下させるため0.03%を上限とした。
果を有することから、それぞれ0.1%、0.6%、
0.6%を上限とした。
フェライトサイドプレートの成長抑制と、BNの析出に
よるHAZの固溶Nの固定から0.0002%以上0.
002%以下とした。
した。1〜10が本発明鋼、11〜22が比較鋼であ
る。試作鋼は転炉溶製し、RHにて真空脱ガス処理時に
脱酸を行っている。Ti投入前に溶鋼の溶存酸素をSi
で調整し、その後Ti、Alを順に添加し脱酸を行な
い、連続鋳造により280mm厚鋳片に鋳造した後、加
熱圧延を経て、板厚45mmの鋼板として製造した。得
られた鋼板を1パスのSEGARC溶接した。入熱は約
200kJ/cm2である。
子数を示す。表3には、鋼板の圧延条件、母材特性、お
よびHAZの靭性を示す。HAZ靭性評価のためのシャ
ルピー値は、フュージョンラインからHAZ1mmの部
位で9本の試験を行ない、その平均値である。
明鋼は比較鋼と比べて優れたHAZ靭性を有することが
判る。すなわち、粒子径が0.01〜1.0μmで、T
i−、Al−Ca酸化物の粒子数が5×103〜1×1
05個/mm2の範囲にあり、−20℃のHAZ靭性が極
めて優れている。
ャルピー試験−20℃で40J未満の低い靭性しか示さ
なかった。これらの原因は11、12、13はSiによ
り調整した溶存酸素量が本発明の所定の量に達していな
かったため、14はSiにより調整した溶存酸素量が所
定の量を超えたため、15はAl量が所定量を下回った
ため、16はAl量が所定量を上回ったためである。ま
た、17、18はTiとAlとの添加順序が本発明とは
逆であったため、19、20はTiとAlとの添加間隔
が本発明で規定した所定時間より長かったためである。
21はCa量が所定量を上回ったため、22はCa量が
所定量を下回ったためである。
ルなどの破壊に対する厳しい靭性要求を満足する鋼板を
供給するものであり、この種の産業分野にもたらす効果
は極めて大きく、さらに構造物の安全性の意味から社会
に対する貢献も非常に大きい。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P:≦0.02% S:0.0010〜0.010% Al:0.005〜0.020% Ti:0.005〜0.020% Ca:0.0005〜0.0030% N:0.0020〜0.0060% を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、か
つ粒子径が0.01〜1.0μm、粒子数が5×103
〜1×105個/mm2、Caを含み、さらにTiとAl
のいづれか1種以上を含む複合酸化物を含有することを
特徴とする溶接熱影響部靭性の優れた溶接構造用鋼材。 - 【請求項2】 重量%で、 C:0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P:≦0.02% S:0.0010〜0.010% Al:0.005〜0.020% Ti:0.005〜0.020% Ca:0.0005〜0.0030% N:0.0020〜0.0060% を基本成分とし、さらに Cu:≦1.0% Ni:≦1.5% Nb:≦0.030% V:≦0.1% Cr:≦0.6% Mo:≦0.6% B:0.0002〜0.0020% の1種または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可
避不純物からなり、かつ粒子径が0.01〜1.0μ
m、粒子数が5×103〜1×105個/mm2、Caを
含み、さらにTiとAlのいづれか1種以上を含む複合
酸化物を含有することを特徴とする溶接熱影響部靭性の
優れた溶接構造用鋼材。 - 【請求項3】 Si濃度が0.05〜0.20%、溶存
酸素濃度が20〜80ppmになるように調整した溶鋼
中に、最終含有量が0.005〜0.020%となるT
iを添加して脱酸した後、最終含有量が0.005〜
0.020%となるAlを添加し、さらに最終含有量が
0.0005〜0.0030%となるCaを添加し、そ
の後最終成分に対して不足する分のSi、および他合金
を添加し、成分組成が重量%で、 C:0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P:≦0.02% S:0.0010〜0.010% Al:0.005〜0.020% Ti:0.005〜0.020% Ca:0.0005〜0.0030% N:0.0020〜0.0060% を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼
を鋳造後圧延することを特徴とする溶接熱影響部靭性の
優れた溶接構造用鋼材の製造方法。 - 【請求項4】 Si濃度が0.05〜0.20%、溶存
酸素濃度が20〜80ppmになるように調整した溶鋼
中に、最終含有量が0.005〜0.020%となるT
iを添加して脱酸した後、最終含有量が0.005〜
0.020%となるAlを添加し、さらに最終含有量が
0.0005〜0.0030%となるCaを添加し、そ
の後最終成分に対して不足する分のSi、および他合金
を添加し、成分組成が重量%で、 C:0.03〜0.18% Si:≦0.50% Mn:0.40〜2.0% P:≦0.02% S:0.0010〜0.010% Al:0.005〜0.020% Ti:0.005〜0.020% Ca:0.0005〜0.0030% N:0.0020〜0.0060% を基本成分とし、さらに Cu:≦1.0% Ni:≦1.5% Nb:≦0.030% V:≦0.1% Cr:≦0.6% Mo:≦0.6% B:0.0002〜0.0020% の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可
避不純物からなる溶鋼を鋳造後圧延することを特徴とす
る溶接熱影響部靭性の優れた溶接構造用鋼材の製造方
法。
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