JP3035145U - 電線・ケーブルの束巻及びその巻取り装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本考案は、電線及びケーブルの束巻で、特に
ケーブル引出し性に優れた束巻及び、その巻取り装置に
関し、引出した電線・ケーブルに捻りが加わることが無
く、引出し易い上、外観も通常と同じにできコンパクト
で取扱い性に優れる電線・ケーブルの束巻及び、これを
巻き取る巻取り装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 電線・ケーブルを束巻の一回転分引出す
と、巻きの影響で巻き方向と逆方向に一回捻りが加わろ
うとするが、あらかじめ束の一巻きに付き巻き方向と同
一方向に捻りを加えて巻いてあることにより、捻りが互
いに逆に作用して打消し合い、結果的に電線・ケーブル
はまっすぐ引出すことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、電線及びケーブルの束巻で、特にケーブル引出し性に優れた束巻及 び、その巻取り装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、細い電線及びケーブルは、巻いて束にした状態の束巻として取扱われ ており、作業現場で使用する際には、作業者がこの束巻の内周から巻き始めの端 部を引っ張り出し、必要長さを取出して各種用途に供していた。こうした電線・ ケーブルの束巻の従来の例として図４に示すものがある。この図４は従来の電線 ・ケーブルの束巻の斜視図である。 前記図４において従来の電線・ケーブルの束巻１００は、ケーブル１０１を捻 りを加えずに密に巻取り、略リング状の束に形成される構成である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の電線・ケーブルの束巻は以上のように構成されていたことから、束の巻 き始め（内周部）から束巻されたケーブル１０１を引っ張り出して配線する際、 ケーブル１０１をまっすぐ引出すと、巻きの影響で束の巻き方向と逆方向に束巻 き回数分だけ捻りが加わり、ケーブル１０１がキンク（よじれ）してしまうとい う課題を有した。また、捻りによりケーブル１０１がカールしてしまい、配線の 際のケーブル１０１の計尺が困難になるという課題を有していた。このような不 都合のため、束巻１００をリール等に装着して、束を回転させながら引出すこと で、捻りが生じるのを防いで配線工事上の不具合を解決しなければならず、取扱 いが面倒で作業性が悪かった。

【０００４】 これらの問題を解決するために、従来から、ケーブルを８の字状に巻いて真ん 中の交叉部位で折り重ねる作業を繰返して束にしていく乱れ巻きという巻き方に よって形成される束巻があった。この束巻においては、巻き方の工夫によりケー ブルにあらかじめ加わっている捻りが、ケーブルを引出す際に巻きの影響で束の 巻き方向と逆方向に加わろうとする捻りと打消し合ってケーブルに捻りが残らず 、ケーブルを途中で捻らせることなく引出せるという特長を有している。しかし 、巻き方が難しい上、ケーブルの巻が乱れるために密巻ができず、束巻は形状的 に大きくなり、保管場所をより必要とし、取扱いも不便であるという課題を有し ていた。

【０００５】 本考案は前記課題を解消するためになされたもので、引出した電線・ケーブル に捻りが加わることが無く、引出し易い上、外観も通常と同じにできコンパクト で取扱い性に優れる電線・ケーブルの束巻及び、これを巻き取る巻取り装置を提 供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る電線・ケーブルの束巻は、電線あるいはケーブルを巻き取って略 リング状の束にしてなり、当該電線あるいはケーブルを巻き始めの始端から順次 引出して使用に供する電線・ケーブルの束巻において、前記電線あるいはケーブ ルが、一巻き数あたり一回転の割合で、電線あるいはケーブルの引出し側から見 た束巻き方向と同じ向きに捻りながら束に巻かれるものである。このように本考 案においては、電線・ケーブルを束巻の一回転分引出すと、巻きの影響で巻き方 向と逆方向に一回捻りが加わろうとするが、あらかじめ束の一巻きに付き巻き方 向と同一方向に捻りを加えて巻いてあることにより、捻りが互いに逆に作用して 打消し合い、結果的に電線・ケーブルはまっすぐ引出すことができる。また、電 線・ケーブルは捻りを加えるだけで巻き自体を乱さずに巻取れるため、密巻にす ることができ、形状をコンパクト化でき、取扱い性に優れる。

【０００７】 また、本考案に係る電線・ケーブルの巻取り装置は、電線あるいはケーブルを 巻き取る巻取り機構と、前記電線あるいはケーブルに捻りを与える捻り付加機構 とを備え、前記電線あるいはケーブルを、一巻き数あたり一回転の割合で、捻り ながら束に巻き取るものである。このように本考案においては、電線あるいはケ ーブルを束の一巻きに付き一回転捻りを加えて巻取ることにより、捻りが打消し 合って電線・ケーブルをよじれ無くまっすぐ引出せる束巻を製作できる。また、 電線・ケーブルに捻りを加えるだけで巻き自体を乱さずに巻取りを行うため、密 巻にして束巻の形状をコンパクトに巻取れ、巻取り効率に優れる。

【０００８】 また、本考案に係る電線・ケーブルの巻取り装置は、前記捻り付加機構が、巻 取り機構側を回動させて電線あるいはケーブルに捻りを与えるものである。この ように本考案においては、巻取り機構側を電線・ケーブルの供給機構側に対し回 動させて電線・ケーブルを束の一巻きに付き一回転捻りを加えて巻取ることによ り、捻りが打消し合って電線・ケーブルをよじれ無くまっすぐ引出せる束巻を製 作できると共に、巻き自体を乱さずに巻取りを行うため、密巻にして束巻の形状 をコンパクトに巻取れ、巻取り効率に優れる。

【０００９】 また、本考案に係る電線・ケーブルの巻取り装置は、前記捻り付加機構が、電 線あるいはケーブルを巻取り機構へ供給する供給機構側を回動させて電線あるい はケーブルに捻りを与えるものである。このように本考案においては、電線・ケ ーブルの供給機構側を巻取り機構側に対し回動させて電線あるいはケーブルを束 の一巻きに付き一回転捻りを加えて巻取ることにより、捻りが打消し合って電線 ・ケーブルをよじれ無くまっすぐ引出せる束巻を製作できると共に、巻き自体を 乱さずに巻取りを行うため、密巻にして束巻の形状をコンパクトに巻取れ、巻取 り効率に優れる。

【００１０】 また、本考案に係る電線・ケーブルの巻取り装置は、前記捻り付加機構が、電 線あるいはケーブルの全長に亘って均一に捻りを与えるものである。このように 本考案においては、電線あるいはケーブルを束の一巻きに付き一回転の割合で全 長に亘って均一に捻りを加えて巻取ることにより、捻りが偏らず引出し時に均等 に捻りが打消し合って電線・ケーブルをスムーズに引出せる束巻を製作できる。

【００１１】

【考案の実施の形態】 （本考案の一実施の形態） 以下、本考案の一実施の形態を図１及び図２に基づいて説明する。この図１は 本実施の形態に係る電線・ケーブルの束巻の概略構成説明図、図２は本実施の形 態に係る電線・ケーブルの巻取り装置の概略構成説明図である。

【００１２】 前記各図において本実施の形態に係る電線・ケーブルの束巻１は、中心導体に 絶縁層及び保護層を被覆したケーブル２の束で、ケーブル２を巻取り装置１０で 巻き取りながら、束の一巻きにつきケーブル２に束の巻き方向と同一方向に一回 転捻りを加えながら密に巻き取って略リング状に形成される構成である。

【００１３】 一方、本実施の形態に係る電線・ケーブルの巻取り装置１０は、回動してケー ブルを巻き取る巻取り機構としてのドラム１１と、ケーブル２の送出し部１２と 、ドラム１１を回動自在に軸支し、且つドラム１１の回転軸と直交する軸を中心 に回動してケーブル２に捻りを加える捻り付加部１３とを備え、束巻き回転の一 回転につきケーブル２に束の巻き方向と同一方向に一回転捻りを加えながら密に 巻き取って束巻１を形成する構成である。

【００１４】 次に、前記構成に基づく電線・ケーブルの束巻の巻取り動作及び束巻からのケ ーブル引出し状態について説明する。巻取り装置１０において、送出し部１２か らケーブル２をねじれないよう外周を保持しながら送出す。送出されたケーブル ２を、ドラム１１を回転させて巻き取ると共に、ドラム１１を含む捻り付加部１ ３を送り側から見て反時計回りに回転させる。この時、ドラム１１の一回転につ き捻り付加部１３が一回転するように調整し、ケーブル２の一回巻きにつきケー ブル２に時計回りに一回転捻りが加わるようにする。このようにしてケーブル２ をドラム１１に巻取っていき、所定長さ巻取ってケーブル２の巻取りを終え、ド ラム１１から外せば、ケーブル２の束巻１となる。このケーブル２の束巻１にお いては、巻き取りを行うドラム１１の回転の向きが反時計回りに見える側、すな わち、ケーブル２の巻き方向が捻りの向きと同じ時計回りに見える側の端部がケ ーブル２の引出し側となる。

【００１５】 このケーブル２の束巻１をケーブル２の引出し側を上にして作業現場に設置し 、ケーブル２を引出すと、巻きの影響で、ケーブル２には巻き方向と逆方向の反 時計回りに捻りがかかろうとする。ケーブル２には束巻きの際にあらかじめ時計 回りに捻りを加えているので、捻りが互いに打消し合って、ケーブル２は捻りが かかることなくまっすぐに引き出せ、束巻１の最後までよじれやカールすること なく引出して使用できる。

【００１６】 以上のように、本実施の形態に係る電線・ケーブルの束巻では、引出したケー ブル２に捻りが加わることが無く、引出し易い上、密巻とすることで大きさもコ ンパクトにでき、取扱い性に優れ、作業性が大幅に向上する。

【００１７】 なお、前記実施の形態に係る電線・ケーブルの束巻において、ケーブル２には 送り側から見て時計回りに捻りを加える構成としたが、逆に反時計回りに捻りを 加える構成とすることもでき、束巻１におけるケーブル２の引出し側を前記と逆 のケーブル巻き方向が反時計回りに見える側の端部とすれば、前記同様によじれ 等なく引出して使用できる。

【００１８】 また、前記実施の形態に係る電線・ケーブルの巻取り装置においては、ケーブ ル２を巻き取るドラム１１を回転させてケーブル２に捻りを加える構成としてい るが、図３に示すように、ドラム２１は固定とし、捻り付加部２３の捻りアーム ２３ａにケーブル２を通し、捻りアーム２３ａをドラム２１周りに回動させるこ とにより、巻取りと捻りの付加を同時に行う構成とすることもでき、巻取り装置 の構造を単純化してコストダウンが図れ、束巻の製造コストを低減できる。図３ に示す巻取り装置２０では、捻り付加部２３側から見て捻りアーム２３ａを時計 回りに回転させ、ケーブル２の一回巻きにつき一回転の割合で均一にケーブル２ に時計回りに捻りを加える。このようにしてケーブル２をドラム２１に巻取って いき、所定長さ巻取ってケーブル２の巻取りを終え、ドラム２１から外せば、ケ ーブル２の束巻１となる。このケーブル２の束巻１においても、前記同様、ケー ブル２の巻き方向が捻りの向きと同じ時計回りに見える側の端部がケーブル２の 引出し側となり、ここからケーブル２を引出すと、捻りが互いに打消し合って、 ケーブル２は捻りがかかることなくスムーズに引き出せ、束巻１の最後までよじ れやカールすることなく引出して使用できる。

【００１９】

【考案の効果】

以上のように本考案においては、電線・ケーブルを束巻の一回転分引出すと、 巻きの影響で巻き方向と逆方向に一回捻りが加わろうとするが、あらかじめ束の 一巻きに付き巻き方向と同一方向に捻りを加えて巻いてあることにより、捻りが 互いに逆に作用して打消し合い、結果的に電線・ケーブルはまっすぐ引出すこと ができるという効果を奏する。また、電線・ケーブルは捻りを加えるだけで巻き 自体を乱さずに巻取れるため、密巻にすることができ、形状をコンパクト化でき 、取扱い性に優れるという効果を有する。 また、本考案においては、電線あるいはケーブルを束の一巻きに付き一回転捻 りを加えて巻取ることにより、捻りが打消し合って電線・ケーブルをよじれ無く まっすぐ引出せる束巻を製作できるという効果を有する。また、電線・ケーブル に捻りを加えるだけで巻き自体を乱さずに巻取りを行うため、密巻にして束巻の 形状をコンパクトに巻取れ、巻取り効率に優れるという効果を有する。 また、本考案においては、巻取り機構側を電線・ケーブルの供給機構側に対し 回動させて電線・ケーブルを束の一巻きに付き一回転捻りを加えて巻取ることに より、捻りが打消し合って電線・ケーブルをよじれ無くまっすぐ引出せる束巻を 製作できると共に、巻き自体を乱さずに巻取りを行うため、密巻にして束巻の形 状をコンパクトに巻取れ、巻取り効率に優れるという効果を有する。 また、本考案においては、電線・ケーブルの供給機構側を巻取り機構側に対し 回動させて電線あるいはケーブルを束の一巻きに付き一回転捻りを加えて巻取る ことにより、捻りが打消し合って電線・ケーブルをよじれ無くまっすぐ引出せる 束巻を製作できると共に、巻き自体を乱さずに巻取りを行うため、密巻にして束 巻の形状をコンパクトに巻取れ、巻取り効率に優れるという効果を有する。 また、本考案においては、電線あるいはケーブルを束の一巻きに付き一回転の 割合で全長に亘って均一に捻りを加えて巻取ることにより、捻りが偏らず引出し 時に均等に捻りが打消し合って電線・ケーブルをスムーズに引出せる束巻を製作 できるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は本考案の一実施の形態に係る電線・ケ
ーブルの束巻の斜視図である。（Ｂ）は本考案の一実施
の形態に係る電線・ケーブルの束巻の巻取り動作の説明
図である。

【図２】本考案の一実施の形態に係る電線・ケーブルの
巻取り装置の概略構成説明図である。

【図３】本考案の他の実施の形態に係る電線・ケーブル
の巻取り装置の概略構成説明図である。

【図４】従来の電線・ケーブルの束巻の斜視図である。

【符号の説明】

１、１００ 束巻 ２、１０１ ケーブル １０、２０ 巻取り装置 １１、２１ ドラム １２、２２ 送出し部 １３、２３ 捻り付加部 ２３ａ 捻りアーム

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電線あるいはケーブルを巻き取って略リ
   ング状の束にしてなり、当該電線あるいはケーブルを巻
   き始めの始端から順次引出して使用に供する電線・ケー
   ブルの束巻において、 前記電線あるいはケーブルが、一巻き数あたり一回転の
   割合で、電線あるいはケーブルの引出し側から見た束巻
   き方向と同じ向きに捻りながら束に巻かれることを特徴
   とする電線・ケーブルの束巻。
2. 【請求項２】 電線あるいはケーブルを巻き取る巻取り
   機構と、 前記電線あるいはケーブルに捻りを与える捻り付加機構
   とを備え、 前記電線あるいはケーブルを、一巻き数あたり一回転の
   割合で、捻りながら束に巻き取ることを特徴とする電線
   ・ケーブルの巻取り装置。
3. 【請求項３】 前記請求項２に記載の電線・ケーブルの
   巻取り装置において、 前記捻り付加機構が、巻取り機構側を回動させて電線あ
   るいはケーブルに捻りを与えることを特徴とする電線・
   ケーブルの巻取り装置。
4. 【請求項４】 前記請求項２に記載の電線・ケーブルの
   巻取り装置において、 前記捻り付加機構が、電線あるいはケーブルを巻取り機
   構へ供給する供給機構側を回動させて電線あるいはケー
   ブルに捻りを与えることを特徴とする電線・ケーブルの
   巻取り装置。
5. 【請求項５】 前記請求項２ないし４のいずれかに記載
   の電線・ケーブルの巻取り装置において、 前記捻り付加機構が、電線あるいはケーブルの全長に亘
   って均一に捻りを与えることを特徴とする電線・ケーブ
   ルの巻取り装置。