JP3030605U - 浮世絵保存額縁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】一つの額縁に高い保存性と鑑賞性とを持ち合わ
せしめた額縁の提供。 【解決手段】浮世絵の原本を収納する第１の額縁と、こ
の第１の額縁を収納する収納箱と、第１の額縁の上に重
ね合わせその浮世絵のコピーを収納する第２の額縁を第
１の額縁の収納箱に対し開閉可能に設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、浮世絵の保存と鑑賞とを一つの保存手段によって達成しようとす る額縁に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

日本における古代芸術の浮世絵は世界的にも芸術的価値が高く、貴重な文化財 産として保護しなければならない一方で、その高い芸術性を人々の鑑賞の対象に 供しようとする。

【０００３】 しかしながら、浮世絵は紫外線等にさらされると顔料の劣化が進み退色するよ うになってしまうとともに、空気に触れることで紙が酸化するなど、経時変化に よりその高い芸術的価値が次第に減少してしまう。

【０００４】 そこで、保護と鑑賞の両目的を達成するために、原本は別途保存し、その複製 を鑑賞の対象に供するという方法が採られることがある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、そのように複製とわかって鑑賞する場合には、心理的に原本が 有する芸術的価値をなかなか感受し難いというおそれがある。そのようなおそれ を払拭するためには、例えば原本がその複製の後側に存するということとなれば 、単に複製を鑑賞するに止まらず、原本の高い芸術性をイメージできるというも のである。

【０００６】 そこで、出願人は、一つの額縁に高い保存性と鑑賞性とを持ち合わせしめるこ とによりその両立が可能であるとの認識から、この考案の浮世絵保存額縁を起案 するに至った。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

すなわちこの浮世絵保存額縁は、浮世絵の原本を収納する第１の額縁と、この 第１の額縁を収納する収納箱と、第１の額縁の上に重ね合わせその浮世絵のコピ ーを収納する第２の額縁を第１の額縁の収納箱に対し開閉可能に設けたことを特 徴とするものである。

【０００８】

【考案の実施の形態】

以下、図面に基づきこの考案にかかる浮世絵保存額縁の実施の形態について説 明する。

【０００９】 図１乃至図３はこの考案の浮世絵保存額縁１を示す全体斜視図である。図中２ は浮世絵原本１１を収納する第１の額縁、３はそのコピー２０を収納する第２の 額縁である。これらの額縁は基本的には通常の額縁同様、枠体４と、透明ガラス 板５、台紙６、及び裏板７とで構成されており、透明ガラス板５と台紙６と裏板 ７とで収納物（書画等）８をサンドイッチする構造となっている。透明ガラス板 ５は透明アクリル板等の樹脂板を使用してもよいことはもちろんである。

【００１０】 第１の額縁２は収納箱９に収納される。第２の額縁３はその裏板７に収納箱９ に適合するサイズの枠体１０が設けられており、この枠体１０がこの収納箱９に 対して開閉金具１２及び蝶番１３とで上の辺を支点にして開閉可能に取付けられ ている。開閉金具１２は第２の額縁３を上方に開放した際に開放したままとなる ようなロック機能を有するものが好適である。図中１４は収納されている浮世絵 の説明書きである。

【００１１】 １５は盗難防止用の施錠金具である。

【００１２】 図３はこの浮世絵保存額縁本体１を背面から見た斜視図である。収納箱９と第 ２の額縁３の当接部には不用意に第２の額縁３が開放しないようにするための繋 止手段１６を有している。この繋止手段１６としては、いわゆる「パッチン錠」 が好適である。この繋止手段１６に施錠機能を持たせて上記施錠手段１５を省略 することもできる。

【００１３】 図４は図１のＡ−Ａ断面である。

【００１４】 第１の額縁２は収納箱９内に設けた木枠１７に嵌め込まれ、その上から飾り縁 １８により固定される。飾り縁１８は単に第１の額縁２の周囲を押えつけるもの であり、長方形の中央部は第１の額縁２に収納してある浮世絵の原本１１が確認 できるように開口となっている。飾り縁１８はその背面と、上記木枠１７の適合 位置に繋止手段１９が設けられており、ワンタッチで脱着できるようになってい る。この繋止手段１９としては、いわゆる「ローラーキャッチ」が好適であるが 、その他、マグネットキャッチ等一定の力で飾り縁を木枠に繋止せしめるもので あれば良い。

【００１５】 図６は木枠１７に第１の額縁２を収納した状態を示している。

【００１６】 このように第１の額縁全体２を別の収納箱に収納することにより、空気の出入 りは抑制され、原本のより高い保存性を確保することができると考えられる。な お、そのためには収納箱を密閉式としても良いものと考えられる。

【００１７】 本実施例では、収納箱９を開閉せずに第２の額縁３を分解することができるよ うな構成にしたが、これは鑑賞に供するコピー２０が経時変化を生じた際に原本 １１をそのままの状態でコピー２０のみを交換することができるようにしたもの である。

【００１８】 また、額縁の素材としては質感及び防虫効果の高い桐が望ましいが、桐は加工 性が悪いため、必ずしも最適な素材とは言えず、その他の加工容易な木材または 樹脂が好適に用いられる。

【００１９】 このように構成した浮世絵保存額縁１の使用の際には、まず浮世絵の原本１１ を第１の額縁２に常法により収納する。次に第２の額縁３にこの浮世絵のコピー ２０及びその浮世絵の説明文１４を添えて収納する。図中２１は裏板押えである 。

【００２０】 そして、第１の額縁２に収納されている本物の額縁１１の浮世絵をイメージさ せながら第２の額縁３に収納したこの浮世絵のコピー２０を鑑賞することとなる 。

【００２１】

【考案の効果】

この考案は、以上のように構成したので、たとえ複製であってもそれを鑑賞す ることにより、単に複製のみを鑑賞する場合よりも、原本の高い芸術性をイメー ジすることができ、なおかつ高い保存性により浮世絵の原本を長期間良好な状態 で保存することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の浮世絵保存額縁を示す斜視図であ
る。

【図２】第２の額縁を開けた状態を示す斜視図である。

【図３】背面斜視図である。

【図４】要部横断面図である。

【図５】収納箱の正面図である。

【図６】収納箱に第１の額縁を嵌め込んだ状態を示す正
面図である。

【符号の説明】

１ 浮世絵保存額縁本体 ２ 第１の額縁 ３ 第２の額縁 ４ 枠体 ５ 透明ガラス板 ６ 台紙 ７ 裏板 ８ 収納物 ９ 収納箱 １０ 枠体 １１ 浮世絵原本 １２ 開閉金具 １３ 蝶番 １４ 説明書き １５ 施錠手段 １６ 繋止手段 １７ 枠体 １８ 飾り縁 １９ 繋止手段 ２０ 浮世絵コピー ２１ 裏板押え

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 浮世絵の原本を収納する第１の額縁と、
   この第１の額縁を収納する収納箱と、第１の額縁の上に
   重ね合わせその浮世絵のコピーを収納する第２の額縁を
   第１の額縁の収納箱に対し開閉可能に設けたことを特徴
   とする浮世絵保存額縁。