JP3030394B2 - 半導体受光素子 - Google Patents

半導体受光素子

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JP3030394B2
JP3030394B2 JP9043355A JP4335597A JP3030394B2 JP 3030394 B2 JP3030394 B2 JP 3030394B2 JP 9043355 A JP9043355 A JP 9043355A JP 4335597 A JP4335597 A JP 4335597A JP 3030394 B2 JP3030394 B2 JP 3030394B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体受光素子
に関し、特に、導波路型の半導体受光素子に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、加入者系の通信手段を、これまで
の電線ケーブルから光通信ケーブルに置き換えることが
検討されている。この場合、小型で信頼性の高い加入者
宅用の送受信装置を低コストで提供することが、最も大
きな技術的課題である。また、これまでに提案されてい
る送受信装置においては、集積回路による電子回路の小
型化と低消費電力化に加えて、図8に示すように、発光
素子801,受光素子802および光導波路803を一
つの基板804上に一体的に形成することが試みられて
いる。そして、光分岐回路805を備えた光導波路80
3が形成された基板804上において、上述した素子を
一体的に形成するためには、発光素子801,受光素子
802ともに導波路構造をとることが重要である。な
お、図8中、806はモニタ用のフォトダイオードであ
る。
【0003】このような導波路構造を有する受光素子と
しては、図9に示される半導体導波路型受光素子が、高
速動作に適しているという観点から検討されている。こ
の半導体導波路型受光素子は、まず、半絶縁性のInP
からなる基板901上に、厚さ0.6μmでバンドギャ
ップ波長1.3μmのn形InGaAsPからなる光ガ
イド層902が形成されている。また、この光ガイド層
902上の所定領域に、厚さ0.6μmの低キャリア濃
度のn形InGaAsからなる光吸収層903が形成さ
れ、この上に、厚さ0.6μmでバンドギャップ波長
1.3μmのp形InGaAsPからなる光ガイド層9
05が形成されている。また、光ガイド層905上に
は、厚さ0.5μmのp形InPからなるクラッド層9
06が形成されている。
【0004】そして、光ガイド層902の光吸収層90
3が形成されていない領域上にはn形オーミック電極9
07が形成され、クラッド層906上には、p形オーミ
ック電極908が形成されている(K.Kato他、
「A.high−efficiency 50 GHz
InGaAs multimode wavegui
de photodetector」IEEE Jou
rnal of Quantum Electroni
cs第28巻第12号2728頁1992年)。
【0005】この図9に示される半導体受光素子の動作
原理は、次の通りである。すなわち、劈開面より入射し
た波長1.55μmの入射光は、基板901,光ガイド
層902,光吸収層903,光ガイド層905,およ
び,クラッド層906で構成される光導波路内を導波す
る。そして、光導波路内を導波していく中で、その入射
光は光吸収層903で吸収され、電子とホールに変換
(光電変換)される。この光電変換で生じた電子および
ホールは、pn接合に印加された逆バイアス電圧によっ
て生じる電界によって、それぞれn形およびp形半導体
層側に走行し、信号電流として素子外部に取り出され
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したよ
うに、小型で信頼性の高い送受信装置を低コストで提供
する上で、受光素子として導波路型受光素子を用いる場
合には、以下に説明するような問題があった。
【0007】まず、加入者系の送受信装置では、電子回
路の小型化と同時に低消費電力化も実現しなければなら
ない。このためには、低電圧駆動の集積回路を用いなけ
ればならないので、発光素子および受光素子の駆動電圧
も低くなる。したがって、受光素子に印加する電圧の大
きさは、低消費電力型の集積回路で使われる2V以下で
なければならなく、好ましくは1Vである。また、当然
このような受光素子にも高い光電変換効率(以下、単に
効率と称する)と、高速性が要求される。
【0008】ここで、図9に示すような半導体導波路型
受光素子は、光導波構造をとるので、この点では、加入
者系の光通信化に必要な送受信装置の一体化に適してい
る。一方で、この半導体導波路型受光素子は、50GH
zに及ぶ超高速性を備えているので、もっぱら交換機間
の大容量で高速な伝送システムへの適用が検討されてき
た。このため、以下に述べるように、駆動電圧が低いと
応答速度が遅くなるため、送受信装置内の電子回路の小
型化および低消費電力化には適していないという問題が
あった。
【0009】まず、次に示す理由により、光吸収層はそ
の厚さが2μm以上なければならない。光ファイバを通
って送られてきた直径約10μmの光信号を、有限の長
さの半導体導波路型受光素子で受信しようとする場合、
光吸収層の厚さが厚いほど高効率に光電変換することが
できる。また、半導体導波路型受光素子では、容量を小
さくし、加えて光ファイバーから出射される光信号(直
径約10μm)が光導波路に効率よく結合するように、
光吸収層を含む光導波路は幅約30μmのメサ構造(も
しくはリッジ構造)に加工されている。また、さらに容
量が所望の小さな値となるようにするためには、光吸収
層を含む光導波路の長さをより短縮しなくてはならな
い。
【0010】以上説明したことにより、光吸収層を薄く
すると、信号光は吸収層で十分に吸収されなくなってし
まう。この光吸収層の厚さの違いによる光電変換の効率
は、例えば素子長が100μmのとき、厚さ3μmの光
吸収層で90%、厚さ2μmの光吸収層では75%の光
電変換が可能である。受光素子として使用するために7
0%以上の効率が必要なので、上述したことから、光吸
収層はその厚さが2μm以上なければならない。一方、
一般に半導体導波路型受光素子では、光吸収層を結晶成
長上可能な限り低濃度の1×1015cm-3程度のn形低キ
ャリア濃度にしている。その理由は、与えられたバイア
ス電圧で光吸収層を可能な限り空乏化し、光電変換で生
じるキャリア(電子およびホール)を高速で走行させる
ためである。
【0011】しかし、発明者らは、以下に示す問題点を
見いだした。例えば1V程度の低いバイアス電圧では、
図10に示すように、1×1015cm-3程度のキャリア濃
度の光吸収層1001を約1.5μm程度しか空乏化し
ない。このため、光吸収層1001の厚さが3μmの素
子では、光吸収層1001の空乏化されずに残った約
1.5μmの厚さのn形の層1002内では、光電変換
されて生じたホール1004が拡散運動によって低速で
移動した後に空乏層1003に入る。このため、この状
態では、10MHz以上の高速の信号には応答できない
という問題がある。
【0012】以上をまとめると、従来の半導体導波路型
受光素子では、光電変換の効率を上げようとすると光吸
収層を例えば3μmと厚くする必要がある。しかし、こ
のように光吸収層を厚くすると高速光信号に応答できな
い。すなわち、従来では、上述したような半導体受光素
子を加入者系の送受信装置の受光素子として用いた場
合、効率と高速性を同時に達成することが困難であっ
た。
【0013】この発明は、以上のような問題点を解消す
るためになされたものであり、1V程度と低電圧で駆動
しても、光電変換効率を低下させることなく、高速光信
号に応答できるようにした半導体受光素子を提供するこ
とを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明の半導体受光素
子は、n形を有する第1の層と、その第1の層上に接し
て形成されてp形を有する第2の層とから構成された光
吸収層を少なくとも備え、第2の層の光の吸収端の波長
は、その厚さ方向に前記第1の層より離れるほど小さく
なり、第1の層と第2の層との間に所定の逆バイアス電
圧を印加したとき、第1の層は総てが空乏化して第2の
層は一部が空乏化する状態となるようにした。また、n
形を有する第1の層と、その第1の層に接して形成され
てp形を有する第2の層とから構成された光吸収層を少
なくとも備え、第2の層の不純物濃度は、その厚さ方向
に第1の層より離れるほど高くなり、第1の層と第2の
層との間に所定の逆バイアス電圧を印加したとき、第1
の層は総てが空乏化し、第2の層は一部が空乏化する状
態となるようにした。 また、n形を有する第1の層と、
その第1の層に接して形成されてp形を有する第2の層
とから構成された光吸収層を少なくとも備え、第1の層
の不純物濃度は、その厚さ方向に第2の層よりも離れる
ほど高くなり、第2の層の不純物濃度は、その厚さ方向
に第1の層よりも離れるほど高くなり、第1の層と第2
の層との間に所定の逆バイアス電圧を印加したとき、第
1の層は総てが空乏化し、第2の層は一部が空乏化する
状態となるようにした。このように、所定の電圧を印加
したときに、第1の層では全域が空乏化しているので、
光励起キャリアである電子およびホールの移動速度が大
きいものとなる。また、第2の層では全域が空乏化され
ていなくても、光電変換に寄与する光励起キャリアは少
数キャリアである電子なので、その格段に大きな拡散速
度によって半導体受光素子の応答速度は速くなる。ま
た、第1の層側に配置して光吸収層よりも光の吸収端の
波長が短く屈折率の小さいn形を有する第1の半導体層
と、第2の側に配置して光吸収層よりも光の吸収端の波
長が短く屈折率の小さいp形を有する第2の半導体層と
を備えるようにした。このように構成した結果、第1の
半導体層と第2の半導体層およびそれらで挾まれた光吸
収層は、導波路を構成する。
【0015】また、この発明の半導体受光素子は、光吸
収層の光の入射端面を除く側面が第2の層と同一の材料
からなるn形の第3の層で覆われ、第2の半導体層の光
の入射端面側を除く側面が第2の半導体層と同一の材料
からなるn形の第4の層で覆われ、加えて、第2の層お
よび第2の半導体層は、光の入射端面より光の導波方向
に向かって漸次広がって形成されているようにした。こ
のように構成したので、その構造をより容易に製造する
ことが可能となる。また、この発明の半導体受光素子で
は、第2の層の光の吸収端の波長が、その厚さ方向に第
1の層より離れるほど小さくなっているようにもしてい
るので第2の層においては、バンドギャップの勾配が形
成されるので、キャリア(電子)の第1の層側への移動
速度を電子の拡散速度以上とすることができる。
【0016】また、この発明の半導体受光素子では、第
2の層の不純物濃度が、その厚さ方向に第1の層より離
れるほど高くなっているようにもしているので第2の層
においては、不純物濃度の勾配により空乏化されていな
い領域でも電界が形成されることになり、キャリア(電
子)の第1の層側への移動速度を電子の拡散速度以上と
することができる。また、この発明の半導体受光素子
は、第1の層の不純物濃度がその厚さ方向に第2の層よ
りも離れるほど高くなり、第2の層の不純物濃度がその
厚さ方向に第1の層よりも離れるほど高くなっているよ
うにもしているので、第1の層および第2の層両方にあ
まり空乏層が広がらなくても、それぞれの層において光
電変換に寄与する光励起キャリアが高速で移動するよう
になる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を図を
参照して説明する。はじめに、この発明の基本的な構成
に関して、図1を用いて説明する。図1(a)に示すよ
うに、まず、Feがドープされた半絶縁性InPからな
るクラッド層としての基板101上に、厚さ2μmのバ
ンドギャップ波長1.2μmのn形のInGaAsPか
らなる光ガイド層102が配置されている。この光ガイ
ド層102には濃度1018cm-3でシリコンがドープさ
れてn形となっている。
【0018】そして、この光ガイド層102上の所定領
域に、厚さ1.5μmでバンドギャップ波長1.4μm
の低キャリア濃度のn形InGaAsPからなる下部光
吸収層103が形成され、この上に、厚さ1.5μmで
バンドギャップ波長1.4μmのp形InGaAsPか
らなる上部光吸収層104が形成されている。なお、下
部光吸収層103は、不純物を導入したものではない
が、濃度1015cm-3の微量なシリコンが含まれた状態
となっており、結果としてn形となっている。また、上
部光吸収層104には、不純物としてZnが濃度1018
cm-3ドープされてp形となっている。また、下部光吸
収層103と上部光吸収層104とをあわせると、所定
の量子効率を満たす厚さを備えた状態となっている。
【0019】また、この上部光吸収層104上には、厚
さ2μmでバンドギャップ波長1.2μmの不純物とし
てZnが1018cm-3ドープされたp形InGaAsP
からなる光ガイド層105、および、厚さ0.5μmで
不純物としてZnが1018cm-3ドープされたp形In
Pからなるクラッド層106が形成されている。加え
て、光ガイド層102上の光吸収層が形成されていない
領域にn形オーミック電極107が形成され、クラッド
層106上にp形オーミック電極108が形成されてい
る。なお、この半導体導波路型受光素子では、光ガイド
層102,下部光吸収層103,上部光吸収層104,
光ガイド層105,および,クラッド層106が長さ1
00μm,幅30μmのリッジ構造となっている。そし
て、このリッジ構造において、垂直方向には下部光吸収
層103,上部光吸収層104をコア層とする光導波路
構造となっている。
【0020】ここで、上述した構成において、光ガイド
層102から光ガイド層105までのバンド構造を見る
と、図1(b)のバンドダイヤグラムで示されるように
なっている。この状態で、端面から入射された波長1.
3μmの光は、導波路型受光素子内を導波しながら徐々
に下部光吸収層103,上部光吸収層104で光電変換
され、電子111a,111bとホール112a,11
2bが生成されている。この中で、電子111a,11
1bは光ガイド層102の方へ移動していき、ホール1
12aは上部光吸収層104の方へ移動していくことに
なる。一方、ホール112bは、p形の上部光吸収層1
04に熱的に励起されてわずかに存在する電子と結合し
て消滅する。
【0021】ここで、空乏化している下部光吸収層10
3の領域で、光吸収により生成されたホール112aが
上部光吸収層104に到達し、また電子111aが光ガ
イド層102に到達し、電子が少数キャリアである上部
光吸収層104で光吸収により生成された電子111b
が下部光吸収層103を通過して光ガイド層102に到
達すること、すなわち電子およびホールが空乏化した領
域を通過することで光電変換電流が発生することにな
る。そして、まず、この半導体導波路型受光素子では、
上部光吸収層104から下部光吸収層103に空乏層が
広がる構成となっている。そして、下部光吸収層103
は厚さ1.5μmであるため、1Vの印加電圧でも全体
が空乏化する。したがって、下部光吸収層103で光電
変換されて生じた光電変換電流に寄与するキャリアは、
ドリフト速度で移動するために高速応答できる。
【0022】また上部光吸収層104の領域はp形半導
体であるため、ここで光電変換されて生じた光電変換電
流に寄与する電子111bの応答は、電子の拡散速度に
支配される。ここで、電子111bの拡散速度は、ホー
ルの拡散速度と比べて一桁以上大きく速い。すなわち、
電子111bは高速で移動するため、高速応答ができる
ことになる。したがって以上の2つのことにより、下部
光吸収層103,上部光吸収層104内に発生した、光
電変換電流の発生に寄与するキャリアすべてが高速応答
できるため、この半導体導波路型受光素子は、高い周波
数帯域の光信号を受信できることになる。実際、この半
導体受光素子においては、バイアス電圧1Vで、周波数
帯域10GHzの光信号を光電変換効率80%で受信す
ることが可能となり、この光電変換効率は、1Vで飽和
した。
【0023】ところで、上記においては、光入射端面と
して劈開面を用いた例を示したが、光入射端面としてエ
ッチングで形成した面を用いても同様の効果が期待でき
る。また上記においては、半絶縁性半導体基板を用いた
例を示したが、導電性半導体基板を用いても同様の効果
が期待できる。その場合、一方の電極を半導体基板の裏
面に形成しても同様の効果が期待できる。
【0024】実施の形態図2は、本発明の実施の形態
における半導体受光素子の構成を示す。図2(a)に
示すように、Feがドープされた半絶縁性のInPから
なるクラッド層としての基板201上に、厚さ2μmで
バンドギャップ波長1.2μmでSiが不純物として1
18cm-3ドープされたn形InGaAsPからなる光
ガイド層202が形成されている。また、この光ガイド
層202の所定領域上に、厚さ1.5μmでバンドギャ
ップ波長1.4μmの低キャリア濃度のn形InGaA
sPからなる下部光吸収層203が形成されている。な
お、この下部光吸収層203は、不純物を導入している
わけではないが、濃度1015cm-3の微量なシリコンが
含まれた状態となっており、結果としてn形となってい
る。
【0025】加えて、この下部吸収層203上に、厚さ
1.5μmの不純物として濃度1018cm-3のZnがド
ープされてp形となっているInGaAsPからなる上
部吸収層204が形成されている。そして、この実施の
形態においては、この上部光吸収層204は、下端か
ら上端に向かってバンドギャップ波長が1.4μmから
1.35μmに徐々に変化している。また、その上部光
吸収層204上には、厚さ2μmでバンドギャップ波長
1.2μmの不純物としてZnが1018cm-3ドープさ
れたp形InGaAsPからなる光ガイド層205、お
よび、厚さ0.5μmで不純物としてZnが1018cm
-3ドープされたp形InPからなるクラッド層206が
形成されている。加えて、光ガイド層202の光吸収層
が形成されていない領域にn形オーミック電極207が
形成され、クラッド層206上にp形オーミック電極2
08が形成されている。
【0026】なお、この半導体導波路型受光素子では、
光ガイド層202,下部光吸収層203,上部光吸収層
204,光ガイド層205,および,クラッド層206
が、長さ100μm,幅30μmのリッジ構造となって
いる。そして、このリッジ構造において、下部光吸収層
203と上部光吸収層204とを積層させたコア層から
なる光導波路構造となっている。そして、劈開された端
面から入射された光は、導波路型受光素子内を導波しな
がら徐々に光吸収層で光電変換される。
【0027】ここで、光ガイド層202から光ガイド層
205までのバンド構造を見ると、図2(b)のバンド
ダイヤグラムで示されるようになっている。この中で、
この実施の形態の導波路型受光素子においても、下部
光吸収層203の領域は厚さ1.5μmのn形低キャリ
ア濃度であるため、その全体が空乏化することになる。
したがって、下部光吸収層203で光電変換されて生じ
たキャリアは、ドリフト速度で移動するため高速応答で
きる。また、上部光吸収層204の領域は、p形半導体
であるため、光電変換されて生じたキャリアの応答は電
子の拡散速度で支配される。そして、電子の拡散速度は
ホールの拡散速度と比べて一桁以上大きいため、高速応
答ができる。これは、前述した基本的な構成における導
波路型受光素子と同様のことである。
【0028】そして、この実施の形態における導波路
型受光素子においては、そのことに加え、上部光吸収層
204が、下端から上端に向かってバンドギャップ波長
が1.4μmから1.35μmに徐々に変化している構
成とした。このため、上部光吸収層204内にはバンド
ギャップの勾配が生じている。すなわち、上部光吸収層
204においても光ガイド層202に向けて電子がドリ
フトする領域が形成されている状態となる。このため、
この上部光吸収層204においても、少数キャリアであ
る電子が加速されることになる。したがって、この実施
の形態によれば、前述した基本的な構成の半導体受光
素子に比較して、より高速応答ができる状態となってい
る。なお、この実施の形態においても、光入射端面と
して劈開面を用いた例を示したが、これに限るものでは
なく、光入射端面としてエッチングで形成した面を用い
ても同様の効果が期待できる。
【0029】また本実施の形態においては、半絶縁性
半導体基板を用いた例を示したが、導電性半導体基板を
用いても同様の効果が期待できる。その場合、一方の電
極を半導体基板の裏面に形成しても同様の効果が期待で
きる。以上、本実施の形態においては、p形光吸収領
域のバンドギャップ波長を徐々に変えた効果として応答
速度の向上を述べたが、p形光吸収領域のバンドギャッ
プ波長を徐々に変えることによって、熱励起キャリアの
酔歩運動が制限され、暗電流が減少するという作用も合
わせ持っている。
【0030】実施の形態 図3は、本発明の実施の形態における半導体受光素子
の構成を示す。この半導体導波路型受光素子は、図3
(a)に示すように、まず、Feがドープされた半絶縁
性のInPからなるクラッド層としての基板301上
に、バンドギャップ波長1.2μmでSiが不純物とし
て1018cm-3ドープされたn形のInGaAsPから
なる厚さ2μmの光ガイド層302が形成されている。
そして、この光ガイド層302の所定領域に、厚さ1.
5μmでバンドギャップ波長1.4μmの低キャリア濃
度のn形InGaAsPからなる下部光吸収層303が
形成されている。なお、この下部光吸収層303は、不
純物を導入したものではないが、濃度1015cm-3の微
量なシリコンを含んでおり、結果としてn形となってい
る。
【0031】加えて、この下部吸収層303上に、厚さ
1.5μmでバンドギャップ波長1.4μmでp形のI
nGaAsPからなる上部光吸収層304が形成されて
いる。ここで、この実施の形態の半導体導波路型受光
素子では、この上部光吸収層304において、下端から
上端に向かってp形不純物であるZn濃度が、1×10
17cm-3から1×1018cm-3に徐々に変化してドープされ
た状態としている。また、その上部光吸収層304上に
は、バンドギャップ波長1.2μmで不純物としてZn
が1018cm-3ドープされた厚さ2μmのp形InGa
AsPからなる光ガイド層305、および、厚さ0.5
μmで不純物としてZnが1018cm-3ドープされたp
形のInPからなるクラッド層306が形成されてい
る。加えて、光ガイド層302の光吸収層が形成されて
いない領域にn形オーミック電極307が形成され、ク
ラッド層306上にp形オーミック電極308が形成さ
れている。
【0032】なお、この半導体導波路型受光素子でも、
光ガイド層302,下部光吸収層303,上部光吸収層
304,光ガイド層305,および,クラッド層306
が、長さ100μm,幅30μmのリッジ構造となって
いる。そして、このリッジ構造において、下部光吸収層
303と上部光吸収層304とを積層させたコア層から
なる光導波路構造となっている。そして、劈開された端
面から入射された光は、導波路型受光素子内を導波しな
がら徐々に光吸収層で光電変換される。
【0033】ここで、光ガイド層302から光ガイド層
305までのバンド構造を見ると、図3(b)のバンド
ダイヤグラムで示されるようになっている。この中で、
この実施の形態の半導体導波路型光素子においても、
下部キャリア層303の領域は厚さ1.5μmのn形低
キャリア濃度であるため、1ボルトと低電圧で駆動して
も全体が空乏化することになる したがって、下部吸収
層303で光電変換されて生じた、光電変換電流に寄与
するキャリアは、ドリフト速度で移動するため高速応答
できる。また、上部光吸収層304は、p形半導体であ
るため、光電変換されて生じた少数キャリアの応答は電
子の拡散速度で支配される。そして、電子の拡散速度は
ホールの拡散速度と比べて一桁以上大きいため、高速応
答ができる。これは、前述した基本的な構成や実施の形
態1における半導体導波路型光受光素子と同様のことで
ある。
【0034】そして、この実施の形態における半導体
導波型受光素子においては、そのことに加え、上部光吸
収層304内には不純物濃度勾配が形成されている。こ
のことにより、この上部光吸収層304においては、下
方から上方に向かって電界が生じている。すなわち、こ
の上部光吸収層304においても、光ガイド層302に
向けて電子がドリフトする領域が形成されている状態と
なっている。このため、この上部光吸収層304におい
ても、少数キャリアである電子が加速されることにな
り、より高速に応答できる状態となっている。つまり光
吸収層内に発生したキャリアすべてが高速応答できるた
め、この実施の形態の半導体導波路型受光素子は、前
述した基本的な構成に比較して、より高速な光信号を受
信できることになる。なお、この実施の形態において
も、光入射端面として劈開面を用いた例を示したが、こ
れに限るものではなく、光入射端面としてエッチングで
形成した面を用いても同様の効果が期待できる。
【0035】実施の形態 図4は、本発明の実施の形態における半導体受光素子
の構成を示す。同図においては、Feがドープされた半
絶縁性のInPからなるクラッド層としての基板401
上に、厚さ2μmでバンドギャップ波長1.2μmのn
形InGaAsPからなる光ガイド層402が形成され
ている。そして、この光ガイド層402の所定領域上
に、厚さ1.5μmでバンドギャップ波長1.4μmで
あり、下端から上端に向かってn形不純物であるSi濃
度が、1×1018cm-3から1×1017cm-3に徐々に変化
しているInGaAsPからなる下部光吸収層403が
形成されている。
【0036】加えて、この下部光吸収層403上に、厚
さ1.5μmでバンドギャップ波長1.4μmのp形低
キャリア濃度のInGaAsPからなる上部光吸収層4
04が形成されている。この上部光吸収層404は、不
純物を導入したものではないが、その成長法法において
p形を示すようになったものである。また、この上部光
吸収層404上には、厚さ2μmでバンドギャップ波長
1.2μmのp形InGaAsPからなる光ガイド層4
05、および、厚さ0.5μmのp形InPからなるク
ラッド層406が形成されている。加えて、光ガイド層
402の光吸収層が形成されていない領域に、n形オー
ミック電極407が形成され、クラッド層406上にp
形オーミック電極408が形成されている。
【0037】なお、この半導体導波路型受光素子では、
光ガイド層402,下部光吸収層403,上部光吸収層
404,光ガイド層405,および,クラッド層406
が、長さ100μm,幅30μmのリッジ構造となって
いる。そして、このリッジ構造において、下部光吸収層
403と上部光吸収層404とを積層させたコア層から
なる光導波路構造となっている。そして、劈開された端
面から入射された光は、導波路型受光素子内を導波しな
がら徐々に下部光吸収層403および上部光吸収層40
4で光電変換される。
【0038】ここで上部光吸収層404の領域が、低キ
ャリア濃度となっており、またその厚さ1.5μmと薄
いので、1Vのバイアス電圧でも全体が空乏化すること
になる。したがって、上部光吸収層404で光電変換さ
れて生じた、光電変換電流に寄与する少数キャリアは、
ドリフト速度で移動するため高速応答できる。また、下
部光吸収層403の領域には、不純物濃度勾配が形成さ
れているので、価電子帯のバンドにも勾配が形成され、
光電変換電流に寄与する少数キャリアであるホールが、
その拡散速度以上で応答することことになる。つまり、
下部光吸収層403および上部光吸収層404内に発生
した少数キャリアすべてが高速応答できるため、この実
施の形態に係る半導体導波路型受光素子は高速な光信
号を受信できることになる。実際、本実施の形態の半
導体受光素子においては、5GHzの光信号を受信する
ことが可能となった。
【0039】実施の形態 図5は、本発明の実施の形態における半導体受光素子
の構成を示す断面図である。図5に示すように、まず、
Feがドープされた半絶縁性のInGaAsPからなる
クラッド層としての基板501上に、バンドギャップ波
長1.2μmでSiが不純物として1018cm-3ドープ
されたn形のInGaAsPからなる厚さ2μmの光ガ
イド層502が形成されている。そして、この光ガイド
層502の所定領域に、厚さ1.5μmでバンドギャッ
プ波長1.4μmであり、下端から上端に向かってn形
不純物であるSi濃度が、1×1018cm-3から1×10
17cm-3に徐々に変化しているInGaAsPからなる下
部光吸収層503が形成されている。
【0040】加えて、この下部吸収層503上に、厚さ
1.5μmでバンドギャップ波長1.4μmでp形のI
nGaAsPからなる上部光吸収層504が形成されて
いる。ここで、この実施の形態の半導体導波路型受光
素子では、この上部光吸収層504において、下端から
上端に向かってp形不純物であるZn濃度が、1×10
17cm-3から1×1018cm-3に徐々に変化してドープされ
た状態としている。また、その上部光吸収層504上に
は、バンドギャップ波長1.2μmで不純物としてZn
が1018cm-3ドープされた厚さ2μmのp形InGa
AsPからなる光ガイド層505、および、厚さ0.5
μmで不純物としてZnが1018cm-3ドープされたp
形のInPからなるクラッド層506が形成されてい
る。加えて、光ガイド層502の光吸収層が形成されて
いない領域にn形オーミック電極507が形成され、ク
ラッド層506上にp形オーミック電極508が形成さ
れている。
【0041】なお、この半導体導波路型受光素子でも、
光ガイド層502,下部光吸収層503,上部光吸収層
504,光ガイド層505,および,クラッド層506
が、長さ100μm,幅30μmのリッジ構造となって
いる。そして、このリッジ構造において、下部光吸収層
503と上部光吸収層504とを積層させたコア層から
なる光導波路構造となっている。そして、劈開された端
面から入射された光は、導波路型受光素子内を導波しな
がら徐々に光吸収層で光電変換される。ここで、下部光
吸収層503の領域は、n形半導体であるため、光電変
換されて生じた少数キャリアの応答はホールの拡散速度
で支配される。しかし、この下部光吸収層503内に
は、不純物濃度勾配によって実効的にバンドに勾配が形
成され、少数キャリアであるホールが高速に移動するこ
とになる。
【0042】また、上部光吸収層504の領域はp形半
導体であるため、光電変換されて生じた少数キャリアの
応答速度は電子の拡散速度で支配される。この、電子の
拡散速度はホールの拡散速度に比べて一桁以上大きい。
このため、下部光吸収層503と上部光吸収層504と
のpn接合からはあまり空乏層が広がらないが、上部光
吸収層504においては、もともと速い拡散速度の電子
が少数キャリアなので、高速応答が可能となる。そし
て、そのことに加えて、この上部光吸収層504内には
不純物濃度勾配が形成されているので、実効的にバンド
に勾配が形成され、より高速な応答を可能としている。
【0043】つまり、この実施の形態においては、下
部光吸収層503および上部光吸収層504内に発生し
た、光電変換電流に寄与する少数キャリアすべてが高速
応答できるため、半導体導波路型受光素子が高速な光信
号を受信できることになる。実際、本実施の形態の半
導体受光素子においては、5GHzの光信号を受信する
ことが可能となった。尚、この実施の形態において
は、光入射端面として劈開面を用いた例を示したが、光
入射端面としてエッチングで形成した面を用いても同様
の効果が期待できる。また、上記実施の形態において
は、半絶縁性半導体基板を用いた例を示したが、導電性
半導体基板を用いても同様の効果が期待できる。その場
合、一方の電極を半導体基板の裏面に形成しても同様の
効果が期待できる。
【0044】実施の形態 ところで、上記実施の形態1〜においては、リッジ構
造を形成するようにしているが、これに限るものではな
い。図6は、本発明の実施の形態における半導体受光
素子の構成を示す斜視図である。この実施の形態にお
いては、まず、Feがドープされた半絶縁性InPから
なる基板601上に、厚さ2μmのバンドギャップ波長
1.2μmのn形のInGaAsPからなるクラッド層
602が配置されている。このクラッド602には濃度
1018cm-3でシリコンがドープされてn形となってい
る。
【0045】そして、このクラッド層602上に、厚さ
3μmでバンドギャップ波長1.4μmの低キャリア濃
度のn形InGaAsPからなる半導体層603が形成
され、この上に、厚さ2μmでバンドギャップ波長1.
2μmの低キャリア濃度のn形のInGaAsPからな
るクラッド層604が形成されている。これらの層は、
例えば、MOVPE法により成長形成すればよい。そし
て、この半導体導波路型受光素子においては溝605が
形成されて、素子領域606と電極領域607と固定領
域608とに分離されている。なお、この溝605は形
成しない状態とすることもできる。しかし、溝605を
形成しておいた方が素子の性能を向上することができ
る。
【0046】その素子領域606では、例えばZnなど
のp形不純物を選択的に導入することで、プレーナ導波
路609を形成するようにしている。このプレーナ導波
路609では、p形不純物が半導体層603の中央まで
広がるように導入されている。このプレナー導波路60
9の、半導体層603の部分が光吸収層609aとな
る。そして、このプレーナ導波路609上より電極領域
607にかけて、p形オーミック電極610が形成さ
れ、素子領域606の他の領域にn形オーミック電極6
11が形成されている。なお、光入射面612が劈開に
よってきれいに形成されるように、その光入射面612
側には、溝605が形成されないようにしている。ま
た、固定領域608上にはハンダによる固定のための金
属膜613が形成されている。
【0047】すなわち、この実施の形態においては、
リッジ構造を形成せずに、不純物を選択的に所定領域に
導入することで、光吸収層に対応する領域を形成するよ
うにした。このとき、この実施の形態においては、光
吸収層は半導体層603のp形不純物が導入された領域
とその下の領域となる。すなわち、プレーナ導波路60
9の半導体層603の上半分の領域が上記実施の形態1
における上部光吸収層となり、半導体層603にお
けるその下半分の領域が上記実施の形態1〜における
下部吸収層となる。そして、その光吸収層においては、
上部がp形領域となっており、下部は半導体層603の
ままの低キャリア濃度となっている。
【0048】このため、この実施の形態によれば、リ
ッジ構造を形成することがないので、より容易に製造す
ることができることになる。すなわち、リッジ構造など
を形成する場合、ドライエッチングなどの高度な技術を
要する上、その歩留りと生産性は高いものとはいえな
い。これに対して、この実施の形態によれば、プレーナ
導波路609は、再現性が高く生産性の高い不純物の拡
散技術によって容易に形成できるものである。そして、
この実施の形態においても、前述した基本的な構成
半導体導波路型光素子と同様の効果を有するものとなっ
ており、バイアス電圧1Vで周波数帯域1GHzの光信
号を光電変換効率約80%で受信することが可能となっ
た。
【0049】加えて、この実施の形態においては、平
面的に見て、長さ100μmの光吸収層609aを含む
プレーナ導波路609が、光入射面612より幅20μ
mから50μmへと広がるようにテーパ状に形成されて
いる。これは、ビーム伝搬法で計算したプレーナ導波路
609の導波光の広がりと一致させてある。この結果、
接合容量を例えば0.5pFと低減することが可能とな
る。なお、プレーナ導波路609をテーパ状に形成せず
に、例えば一定幅としても、容量はある程度大きくなる
が、受光可能な光周波数帯域の減小は著しくないので、
要求される仕様によっては用いることが可能となる。な
お、この実施の形態においても、前述した実施の形態
と同様に、半導体層603の光の吸収端の波長が、そ
の厚さ方向に上部に行くほど小さくなっているようにし
てもよい。また、前述した実施の形態と同様に、プレ
ーナ導波路609の半導体層603の部分における不純
物濃度が、膜厚方向下部に行くにしたがって低下してい
くようにしてもよい。
【0050】実施の形態 また上記実施の形態1〜においては、光を水平に入射
する導波路型受光素子を用いた例を示したが、図7の断
面図に示すように、光を垂直に入射する面入射型受光素
子を用いても同様の効果が期待できる。なお、図7にお
いて、この面入射型受光素子では、n形のInPからな
る基板701上に厚さ1.5μmの低キャリア濃度のI
nGaAsPからなる下部光吸収層702と、厚さ1.
5μmのp型InGaAsPからなる上部光吸収層70
3が形成された状態となっている。そして、基板701
裏面にはn形オーミック電極704が形成され、上部光
吸収層703上にはp形オーミック電極705が形成さ
れている。
【0051】ここで、この実施の形態において、上部
光吸収層の光の吸収端の波長が、下部光吸収層より離れ
るにしたがって小さくなっていくように構成しても良
い。また、上部光吸収層の不純物濃度が、下部光吸収層
より離れるにしたがって高くなっていくように構成して
も良い。それらのように構成することで、上部光吸収層
における少数キャリアである電子の移動がより高速にな
り、より高速に応答できるようになる。
【0052】なお、上述では光吸収層の厚さを1.5+
1.5=3μmとしたが、これに限るものではなく、光
吸収層の総厚を2μm以上とすればよい。光吸収層の総
厚が2μmより小さいと、必要とする光電変換効率75
%を安定して得られなくなる。また、導電形がn形とな
っている下部光吸収層は、逆バイアス電圧2Vを印加し
たときにその全域が空乏化する膜厚以下としたほうがよ
い。これは、それ以上の膜厚とすると、動作させるため
に2Vを越えた電圧が必要となり、消費電力の増加を招
いてしまうからである。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の半導体
受光素子では、n形を有する第1の層およびこの第1の
層上に接して形成されてp形を有する第2の層から構成
された光吸収層とを備え、第1の層と第2の層との間に
所定の逆バイアス電圧を印加したとき、第1の層は総て
が空乏化して第2の層は一部が空乏化する状態となるよ
うにした。このように構成した結果、この半導体受光素
子においては、所定の電圧を印加したときに、第1の層
では全域が空乏化しているので、光励起キャリアである
ホールの移動速度が大きいものとなる。また、第2の層
では全域が空乏化されていなくても、光電変換に寄与す
る光励起キャリアは少数キャリアである電子なので、そ
の格段に大きな拡散速度によって半導体受光素子の応答
速度は速くなる。そして、1V程度と低電圧で駆動して
も、光電変換効率を低下させることなく、高速光信号に
応答できるという効果を有する。
【0054】また、この半導体受光素子は、第2の層の
光の入射端面を除く側面がその第2の層と同一の材料か
らなるn形の第3の層で覆われ、第2の半導体層の光の
入射端面側を除く側面がn形で第2の半導体層と同一の
材料からなるn形の第4の層で覆われ、加えて、第2の
層および第2の半導体層は、光の入射端面より光の導波
方向に向かって漸次広がって形成されているようにし
た。このように構成したので、その構造をより容易に製
造することが可能となり、加えて、導波路を導波方向に
広がるようにしたので、接合容量を低減することが可能
となる。そして、1V程度と低電圧で駆動しても、光電
変換効率を低下させることなく、高速光信号に応答でき
るという効果を有する。
【0055】また、この半導体受光素子は、第2の層の
光の吸収端の波長が、その厚さ方向に第1の層より離れ
るほど小さくなっているようにした。このように構成し
た結果、第2の層においては、バンドギャップの勾配が
形成されるので、キャリア(電子)の第1の層側への移
動速度を電子の拡散速度以上とすることができる。そし
て、1V程度と低電圧で駆動しても、光電変換効率を低
下させることなく、高速光信号に応答できるという効果
を有する。また、この半導体受光素子では、第2の層の
不純物濃度が、その厚さ方向に第1の層より離れるほど
高くなっているようにした。このように構成した結果、
第2の層においては、不純物濃度の勾配により、空乏化
されていない領域でも電界が形成されることになり、キ
ャリア(電子)の第1の層側への移動速度を電子の拡散
速度以上とすることができる。そして、1V程度と低電
圧で駆動しても、光電変換効率を低下させることなく、
高速光信号に応答できるという効果を有する。
【0056】そして、この発明の半導体受光素子は、第
1の層の不純物濃度がその厚さ方向に第2の層よりも離
れるほど高くなり、第2の層の不純物濃度がその厚さ方
向に第1の層よりも離れるほど高くなっているようにし
た。このように構成したので、第1の層および第2の層
両方にあまり空乏層が広がらなくても、それぞれの層に
おいて光電変換に寄与する光励起キャリアが高速で移動
するようになる。そして、1V程度と低電圧で駆動して
も、光電変換効率を低下させることなく、高速光信号に
応答できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における半導体受光素
子の構成を示す断面図およびバンドダイヤグラムであ
る。
【図2】 本発明の実施の形態2における半導体受光素
子の構成を示す断面図およびバンドダイヤグラムであ
る。
【図3】 本発明の実施の形態3における半導体受光素
子の構成を示す断面図およびバンドダイヤグラムであ
る。
【図4】 本発明の実施の形態4における半導体受光素
子の構成を示す断面図である。
【図5】 本発明の実施の形態5における半導体受光素
子の構成を示す断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態6における半導体受光素
子の構成を示す斜視図である。
【図7】 本発明の実施の形態7における半導体受光素
子の構成を示す断面図である。
【図8】 光通信において用いられる集積化された送受
信装置の構成を示す斜視図である。
【図9】 従来よりある導波路型の半導体導受光素子の
構成を示す断面図である。
【図10】 従来よりある導波路型の半導体導受光素子
のバンドダイヤグラムである。
【符号の説明】
101…基板、102…光ガイド層、103…下部光吸
収層、104…上部光吸収層、105…光ガイド層、1
06…クラッド層、107…n形オーミック電極、10
8…p形オーミック電極。
フロントページの続き 特許法第30条第1項適用申請有り 電子情報通信学会 1996年エレクトロニクスソサイエティ大会講演論文集1 (1996年8月30日発行)、C−336頁において発表 特許法第30条第1項適用申請有り ELECTRONI CS LETTERS,Vol.32,No.22,(1996 年10月24日発行)、p.2078−2079において発表 (72)発明者 村本 好史 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 中島 長明 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−30141(JP,A) 特開 平6−140658(JP,A) 特開 昭61−26827(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/10 - 31/119

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n形を有する第1の層と、 前記第1の層に接して形成されてp形を有する第2の層
    と から構成された光吸収層を少なくとも備え、前記第2の層の光の吸収端の波長は、その厚さ方向に前
    記第1の層より離れるほど小さくなり、 前記第1の層と第2の層との間に所定の逆バイアス電圧
    を印加したとき、前記第1の層は総てが空乏化し、前記
    第2の層は一部が空乏化することを特徴とする半導体受
    光素子。
  2. 【請求項2】 n形を有する第1の層と、 前記第1の層に接して形成されてp形を有する第2の層
    から構成された光吸収層を少なくとも備え、 前記第2の層の不純物濃度は、その厚さ方向に前記第1
    の層より離れるほど高くなり、 前記第1の層と第2の層との間に所定の逆バイアス電圧
    を印加したとき、前記第1の層は総てが空乏化し、前記
    第2の層は一部が空乏化する ことを特徴とする半導体受
    光素子。
  3. 【請求項3】 n形を有する第1の層と、 前記第1の層に接して形成されてp形を有する第2の層
    から構成された光吸収層を少なくとも備え、 前記第1の層の不純物濃度は、その厚さ方向に前記第2
    の層よりも離れるほど高くなり、 前記第2の層の不純物濃度は、その厚さ方向に前記第1
    の層よりも離れるほど高くなり、 前記第1の層と第2の層との間に所定の逆バイアス電圧
    を印加したとき、前記第1の層は総てが空乏化し、前記
    第2の層は一部が空乏化する ことを特徴とする半導体受
    光素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の半
    導体受光素子において、前記第1の層側に配置して前記光吸収層よりも光の吸収
    端の波長が短く屈折率の小さいn形を有する第1の半導
    体層と、 前記第2の側に配置して前記光吸収層よりも光の吸収端
    の波長が短く屈折率の小さいp形を有する第2の半導体
    層と を備えた ことを特徴とする半導体受光素子。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の半導体受光素子におい
    て、前記第2の層の光の入射端面を除く側面が前記第2の層
    と同一の材料からなるn形の第3の層で覆われ、 前記第2の半導体層の前記光の入射端面側を除く側面が
    前記第2の半導体層と同一の材料からなるn形の第4の
    層で覆われている ことを特徴とする半導体受光素子。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の半導体受光素子におい
    て、前記第2の層および前記第2の半導体層は、前記光の入
    射端面より光の導波方向に向かって暫時広がって形成さ
    れている ことを特徴とする半導体受光素子。
  7. 【請求項7】 p形を有する第1の層と、 前記第1の層に接して形成されてn形を有する第2の層
    から構成された光吸収層を少なくとも備え、 前記第1の層と第2の層との間に所定の逆バイアス電圧
    を印加したとき、前記第1の層は総てが空乏化し、前記
    第2の層は一部が空乏化し、前記第2の層は前記第1の
    層より離れるほど不純物濃度が 高くなっていることを特
    徴とする半導体受光素子。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の半導体受光素子におい
    て、 前記第1の層側に配置して前記光吸収層よりも光の吸収
    端の波長が短く屈折率の小さいp形を有する第1の半導
    体層と、 前記第2の側に配置して前記光吸収層よりも光の吸収端
    の波長が短く屈折率の小さいn形を有する第2の半導体
    層と を備えた ことを特徴とする半導体受光素子。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8いずれか1項記載の半導体
    受光素子において、前記光吸収層は厚さが2μm以上で
    あり、前記所定の逆バイアス電圧は2V以 下であること
    を特徴とする半導体受光素子。
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