JP3027643B2 - 強誘電性液晶組成物およびこれを利用した液晶表示装置 - Google Patents

強誘電性液晶組成物およびこれを利用した液晶表示装置

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JP3027643B2
JP3027643B2 JP3299502A JP29950291A JP3027643B2 JP 3027643 B2 JP3027643 B2 JP 3027643B2 JP 3299502 A JP3299502 A JP 3299502A JP 29950291 A JP29950291 A JP 29950291A JP 3027643 B2 JP3027643 B2 JP 3027643B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強誘電性液晶組成物に
関し、更に詳細には、メモリー性が高く、高コントラス
ト比が得られ、しかも高速応答性を有し、液晶の電気光
学効果を利用した画像表示装置、プリンターシャッター
アレイ等のスイッチング素子に有利に利用することので
きる強誘電性液晶組成物およびこれを利用した液晶表示
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、薄型軽量で消費電力も
低いため、時計電卓を始めとして種々のディスプレイと
して使用されてきた。 更に、近年ICの発達に伴なっ
て表示サイズも拡大し、従来のブラウン管のかわりにコ
ンピューターの表示装置、液晶テレビ等に利用されてき
ている。
【0003】しかし、従来使用されているネマチック系
液晶は、応答速度が10〜50ミリ秒と遅く、また、画
素数および表示面積の増大に連れコントラスト比の低下
を招くという欠点を持っていた。
【0004】この欠点を補うために、薄膜トランジスタ
(TFT)を各画素に設け、いわゆるアクティブマトリ
ックスとしたり、コントラスト比を上げるために上下基
板間で液晶分子の捻れ角を220〜270度(スーパー
ツイステッドネマチック;STN)としたりして、表示
用ディスプレイとして使用しているのが現状である。
【0005】この前者の方式は、TFTを設けるのに非
常にコストがかかる上、工程上の歩留りも悪く、より一
層コストが高くなっている。 この方式に関して、大規
模な生産ラインによる低コスト化も検討されているが、
本質的に多くの工程を有する以上、低コスト化にも限界
がある。 その上、ハイビジョンテレビの出現に伴な
い、液晶ディスプレイに関しても高密度表示へと要求が
高くなっているが、TFTおよびネマティック液晶の性
質上高密度化することは非常にむずかしいといわれてい
る。
【0006】一方、STNでは、コントラスト比は高く
なるものの応答速度は逆に100から200ミリ秒と低
速なため、用途的に限定されてしまうという問題があ
る。
【0007】そこで、より高密度化でき、より高速に応
答する液晶表示素子が待望されており、このような目的
を達成しうるものとして強誘電性液晶表示素子が期待さ
れている。
【0008】強誘電性液晶は、1980年クラーク・ラ
ガバールらによる表面安定化強誘電性液晶素子(SSF
LCD)の提案( N.A.Clark ら、Appl. Phys. Lett.,
36,899(1980))から、その高速応答性に多くの注目を受
け、広範な研究が行なわれてきているが、未だ実用化に
は至っていない。 これは、応答速度、配向等に未解決
の問題があるためである。
【0009】強誘電性液晶の配向は、クラークらが考え
た配向状態よりも実際は複雑で、層内で液晶分子のダイ
レクターが捻れた状態(スプレイ状態)になり易く、こ
の状態では高いコントラスト比を得ることができない。
更に、配向は上下基板に対し層が垂直に立っている
(ブックシェルフ構造)と考えられていたが、実際には
層が折れ曲がった状態(シェブロン構造)をとってお
り、このためジグザグ欠陥が発生しコントラスト比が低
下している。
【0010】また、強誘電性液晶は当初数マイクロ秒で
応答すると考えられていたが、実際には数十マイクロ秒
までしか到達しておらず、応答速度を高速化させること
が実用化において必要とされている。
【0011】更に、強誘電性液晶では、交番電界を印加
した際の液晶配列が、電界の印加を止めた後すぐに崩れ
るという問題、すなわち、メモリ性が低いという問題が
あり、それに伴なって走査を利用した液晶表示体におい
ては、高コントラスト比が得にくいとか走査線を余り多
くできないといった欠点もあった。
【0012】メモリ性は、強誘電性液晶に交番電界を印
加した際に生じ、光学的に識別される第一の安定状態と
第二の安定状態との間の角度2θ(θ:電界印加時のチ
ルト角)と、電界を切った際に安定化される第三の状態
と第四の状態との間の角度2θ’(θ’:メモリ時のチ
ルト角)とが異なり、メモリ時のチルト角の方がかなり
小さいという現象として観察される(図1)。
【0013】そして、この現象は、前述のスプレイ状態
またはシェブロン構造等をとるためと説明されている
が、不明な点も多い。
【0014】従来、強誘電性液晶を透過する光は、チル
ト角が22.5度の時最大となることが理論的に知られ
ており、それゆえメモリ時のチルト角を22.5度に近
付ける試みが配向膜材料、液晶材料両面からなされてい
る。
【0015】液晶材料面からのアプローチとしては、上
述した強誘電性液晶のチルト角を22.5度以上に広げ
ることにより、メモリ時のチルト角を広げるという観点
からメモリ性改善の検討がなされている。
【0016】一方、チルト角は応答速度にも大きく影響
し、チルト角を広げ過ぎると応答速度が遅くなってしま
い好ましくない。
【0017】強誘電性液晶は、前記したように応答速度
が数十マイクロ秒までしか到達しておらず、チルト角を
広げることにより応答速度を遅くすることは極めて不利
である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】したがって、上記のよ
うな強誘電性液晶およびこれを用いた電気光学素子にお
ける問題点を克服し、メモリ性が高く、高コントラスト
の表示を行なうことができ、かつ高速に応答する強誘電
性液晶組成物の提供が求められていた。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、とくに単
純マトリックス駆動が可能な強誘電性液晶組成物を得る
べく、広範な研究を行なった。そしてその結果、電界印
加時チルト角とメモリ時チルト角が一定の範囲に含まれ
る特定の相の強誘電性液晶体は、メモリ性が高いので、
コントラストが優れ、しかも高速応答性を兼ね備えたも
のであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】したがって本発明は、キラルスメクチック
C相を示す強誘電性液晶組成物であって、電界印加時の
チルト角が12〜13度であり、電界無印加時すなわち
メモリ時のチルト角が9〜11度であることを特徴とす
る強誘電性液晶組成物を提供するものである。
【0021】チルト角は、現在、種々の条件、方法の下
で測定が行なわれており、その測定の条件、方法等によ
り値が変化するが、本明細書におけるチルト角は、透明
電極を有する一対の基板を配向処理し、10μm以下の
距離に組み合わされたセル中に強誘電性液晶組成物を配
置し、基板と分子長軸をほぼ平行に配向させて測定した
値を意味する。 より詳しくは、上記セル中で、十分な
強度の交番電界を印加した際に測定される、光学的に識
別される2つの安定状態の間の角度2θの半分(すなわ
ち、θ)として表される角度が電界印加時チルト角であ
る。
【0022】そして、電界印加時チルト角は、強誘電性
液晶の生ずるらせんを解き、さらに強誘電性液晶の持つ
第一の安定状態と第二の安定状態との間を反転させるの
に十分な強度の交番電界を印加した際に測定されたチル
ト角を意味し、また、メモリ時チルト角とは、上記と同
じ条件で交番電界を切った際に測定された角度で、その
際安定化された第三の状態と第四の状態の角度の半分の
角度を示す。
【0023】なお、このチルト角は、温度依存性を持
ち、スメクチックA相からキラルスメクチックC相へ入
ると出現し、徐々に増加する傾向を持つが、一般に温度
低下と共に飽和する。 そこで、本発明でいうチルト角
は、この飽和したチルト角をいう。
【0024】本発明の強誘電性液晶組成物としては、キ
ラルスメクチックC相を示し、上述のような条件下で電
界印加時チルト角が12〜13度であり、電界無印加時
すなわちメモリ時チルト角が9〜11度である強誘電性
液晶組成物であれば良く、その相系列を問わない。
【0025】本発明の条件を満たすような強誘電性液晶
組成物の例としては、エステル系液晶、ピリミジン系液
晶等を単独または組み合わせて調製したキラルスメクチ
ックC相を示す強誘電性液晶組成物が挙げられるが、何
等これらのみに限定されるものではない。
【0026】本発明で用いられる強誘電性液晶組成物と
しては、(1)等方性液体相から冷却する際にキラルネ
マチック相、スメクチックA相を経由してキラルスメク
チックC相に転移する強誘電性液晶組成物および(2)
等方性液体相から冷却する際にスメクチックA相のみを
経由してキラルスメクチックC相に転移する強誘電性液
晶組成物が特に好ましい。
【0027】これは、スメクチックA相やキラルネマチ
ック相の液晶相を高温側に持つことにより、より良好な
配向を得ることができるためである。
【0028】
【作用】強誘電性液晶組成物のチルト角を上述した値に
制御することによりメモリ性が高く、高コントラスト比
の電気光学素子を得ることができる。その理由は、以下
の通りである。
【0029】すなわち、電界印加時チルト角とメモリ時
チルト角とは非常に密接な関係にあり、電界印加時チル
ト角を22.5度より狭めることにより、逆にメモリ時
のチルト角を広げることができること、つまり電界印加
時のチルト角に対するメモリ時のチルト角の割合を大き
くすることにより、メモリ性を高めることができるので
ある。
【0030】よって、メモリ性が大きくなれば当然電界
印加時のチルト角に対するメモリ時チルト角の比(メモ
リ時チルト角/電界印加時チルト角;以下、「メモリ
率」ということがある)も大きくなる。
【0031】図2に電界印加時チルト角とメモリ時チル
ト角との関係を示した。この図2から、従来検討されて
いる電界印加時チルト角が22.5度付近あるいはそれ
以上の組成物はメモリ時チルト角が数度程度であるのに
対し、本発明の電界印加時のチルト角を狭めた組成物
は、逆により大きなメモリ時チルト角を持っていること
がわかる。そのため、本発明の組成物はより高いメモリ
率及び透過光強度が得られ、より高コントラスト比が達
成できることが理解される。
【0032】一方、一般に、同一の組成の下では、電界
印加時チルト角と自発分極は密接な関係にあり、電界印
加時チルト角を極端に小さくすると、自発分極も小さく
なって、結果的に応答速度が低下するため好ましくな
い。 よって、後記第1表からわかるように、電界印加
時チルト角を12度よりも小さくすると、自発分極が小
さくなり過ぎて好ましくない。また、メモリ率が0.4
程度以下となると、コントラストの低下を起こして不利
となるので、電界印加時チルト角を18度よりも大きく
することは好ましくない。
【0033】このように、電界印加時チルト角を12〜
18度、メモリ時チルト角を8〜15度、特に電界印加
時チルト角を12〜13度、メモリ時チルト角を9〜1
1度に制御することは、適切な応答速度及びコントラス
トを得るために極めて重要である。
【0034】さらに、本発明の強誘電性液晶組成物の優
れた応答速度は、本発明の強誘電性液晶組成物は電界印
加時チルト角がせまく、電界を印加した際の液晶の移動
距離が小さいためと解される。 すなわち、強誘電性液
晶の応答速度(τ)は一般に次の式、 で表され、粘度(η)、電界強度(E)、電界印加時チ
ルト角(θ)に依存すると考えられている。
【0035】しかし、IC等の関係から使用できる電界
強度には限界があり、さらに、自発分極(Ps)の大き
な強誘電性液晶組成物は一般に粘度も高いので、単に自
発分極(Ps)を大きくしても応答速度の高速化は困難
である。
【0036】ところが、電界印加時チルト角は粘度等と
は直接関係がないので、粘度、自発分極、電界強度が同
じであれば、チルト角が小さい本発明の強誘電性液晶組
成物はより高速に応答する。
【0037】また、本発明では、強誘電性液晶に分類さ
れる液晶の中で最も粘度の低いキラルスメクチックC相
を示す強誘電性液晶組成物を用いているので、上記式か
らも理解されるように、優れた応答速度を得ることがで
きるのである。 本発明の強誘電性液晶組成物は、上
記したように従来相反すると思われていた高コントラス
トと高速応答性を両立させたものであり、例えば電位走
査により画像を表示する液晶表示装置等にとって極めて
有利である。
【0038】本発明の強誘電性液晶組成物を利用して液
晶表示装置を製造するには、例えば、透明電極を有する
一対の基板に配向処理を施し、例えば10μm以下の距
離に組み合わされたセル中にキラルスメクチックC相を
示す強誘電性液晶組成物を配置し、基板と分子長軸をほ
ぼ平行に配向させればよい。 この液晶表示装置に、強
誘電性液晶の生ずるらせんを解き、さらに強誘電性液晶
の持つ第一の安定状態と第二の安定状態との間を反転さ
せるのに十分な強度の交番電界を印加することにより、
電界が印加された部分が光学的に識別される状態とな
り、画像を形成することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明の強誘電性液晶体は、優れたコン
トラストと高速応答性とを有するので、大きな面積を必
要とし、しかも高密度が必要な液晶表示装置、例えば、
テレビ、ワープロ、パソコン用表示板、ページプリンタ
ー等に広く利用することができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を更
に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例になんら制
約されるものではない。
【0041】なお、以下に実施例および比較例において
は、透明電極を設けた一対のガラス基板にポリイミド前
駆体をコーティングし、焼成してポリイミドとした後、
ラビングを行ない、ラビング方向が平行になるように組
み合わせたものをセルとして用いた。 また、強誘電性
液晶組成物のチルト角は、±10V/μmの矩形波を印
加し、直交ニコル下での消光位より求めた。 更に応答
速度は、同条件下で透過光強度の0〜90%および10
0〜10%の変化速度の平均として測定した。また、自
発分極は±5V/μmの三角波印加時の分極反転電流よ
り求めた。 メモリ率に関しては、電界無印加時のチル
ト角と電界印加時(矩形波印加時)のチルト角との比か
ら求めた。
【0042】本実施例および比較例で使用する略号は以
下の通りである。 Cr: 結 晶 相 SC*: キラルスメクチックC相 SA : スメクチックA相 N* : キラルネマチック相 I : 等方性液体相
【0043】実 施 例 1 下記に示す組成により、電界印加時チルト角12度、メ
モリ時のチルト角11度(いずれも25℃)の強誘電性
液晶組成物を調製した(メモリ率は0.92)。 この
ものの相転移点及び物性は下に示す通りである。
【0044】(組成)
【表1】
【表2】
【0045】( 相転移点 ) ( 物 性 )自発分極は7.0nC/cm2(2
5℃)であり、応答速度は±10V/μmの矩形波印加
時において27μsecと高速であった。
【0046】実 施 例 2 下記に示す組成により、電界印加時チルト角13度、メ
モリ時のチルト角9.0度(いずれも21.5℃)の強誘
電性液晶組成物を調製した(メモリ率は0.69)。
このものの相転移点及び物性は下に示す通りである。
【0047】(組成物)
【表3】
【表4】
【0048】( 相転移点 )この強誘電性液晶組成物
の相転移点は次の通りである。 ( 物 性 )発分極は8.5nC/cm2(2
1.5℃)であり、応答速度は±10V/μmの矩形波
印加時において27.2μsecと高速であった。
【0049】実 施 例 3 下記に示す組成により、電界印加時チルト角15.4
度、メモリ時のチルト角8.5度(いずれも25℃)の
強誘電性液晶組成物を調製した(メモリ率は0.5
5)。 このものの相転移点及び物性は下に示す通りで
ある。
【0050】(組成)
【表5】
【表6】
【0051】(相転移点)この強誘電性液晶組成物の相
転移点は次の通りである。 ( 物 性 )自発分極は11.1nC/cm
2(25℃)であり、応答速度は±10V/μmの矩形
波印加時において51.6μsecと高速であった。
【0052】実 施 例 4 下記に示す組成により、電界印加時のチルト角18度、
メモリ時のチルト角8.6度(いずれも25℃)の強誘
電性液晶組成物を調製した(メモリ率は0.48)。得
られた強誘電性液晶組成物の相転移点および物性は次の
通りである。
【0053】(組成)
【表7】
【表8】
【0054】(相転移点) ( 物 性 )自発分極は8.3nC/cm2(2
5℃)であり、応答速度は±10V/μmの矩形波印加
時において71μsecと高速であった。
【0055】比 較 例 1 下記に示す組成により、電界印加時のチルト角22.5
度、メモリ時のチルト角6.3度(いずれも25℃)の
強誘電性液晶組成物を調製した(メモリ率は0.2
8)。 得られた強誘電性液晶組成物の相転移点および
物性は次の通りである。
【0056】(組成)
【表9】
【0057】(相転移点)この強誘電性液晶組成物の相
転移点は次の通りである。
【0058】( 物 性 )自発分極は5.9nC/
cm2(25℃)であり、応答速度は±10V/μmの
矩形波印加時において95μsecと遅かった。
【0059】比較例1で得られた強誘電性液晶組成物
は、見かけ上最適のチルト角を有しているが、実施例の
液晶組成物と比べメモリ率が大きく低下している。すな
わち、チルト角を12〜18度に制御した実施例の方が
この比較例と比べ高いメモリ率を有している。
【0060】一方、相系列が同じである実施例4と比較
すると、実施例4ではより粘度が高いと考えられる三環
性化合物を使用しているにもかかわらず二環性化合物で
組立た比較例1よりも高速に応答し、チルト角を制御し
た効果が大きく現われている。
【0061】比 較 例 2 下記に示す組成により、電界印加時のチルト角が23.
3度、メモリ時のチルト角が5.6度(いずれも25
℃)の強誘電性液晶組成物を調製した。 得られた強誘
電性液晶組成物の相転移点および物性は次の通りであ
る。
【0062】(組成)
【表10】
【0063】(相転移点)この強誘電性液晶組成物の相
転移点は次の通りである。 ( 物 性 )自発分極は2.6nC/cm2(2
5℃)であり、応答速度は±10V/μmの矩形波印加
時において126μsecと遅かった。
【0064】比較例2で得られた液晶組成物は、自発分
極が小さいこともあって低速であり、特にメモリ率は
0.24と低かった。このように、22.5度よりさらに
チルト角を広げてもメモリ時のチルト角は狭くなりメモ
リ率は低くなるのみで実施例に示した強誘電性液晶組成
物のメモリ率が極めて高いことがわかる。
【0065】実施例1〜比較例2のデータをまとめた結
果は次の通りである。
【表11】
【0066】表11より、電界印加時のチルト角が小さ
くなると、メモリ時のチルト角が大きくなり、さらにメ
モリ性が高くなれば当然大きくなるメモリ率の値も大き
くなることがわかる。
【0067】応答速度に関しては、電界印加時のチルト
角が小さくなると速くなり、電界印加時のチルト角が1
8度よりも大きくなると遅くなって、またそれとともに
メモリ率の値も小さくなって好ましくない。また、電界
印加時のチルト角が12度よりも小さくなると、前述し
たように自発分極が小さくなり過ぎて応答速度に影響を
及ぼし好ましくない。
【0068】
【図面の簡単な説明】
【図1】 強誘電性液晶に交番電界を印加した時のチル
ト角と電圧を切った際に生じるメモリ時のチルト角の関
係を模式的に示した図面。
【図2】 強誘電性液晶組成物の交番電界を印加した時
のチルト角とメモリ時チルト角の関係を示す図面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小沼 裕子 東京都大田区蒲田5−36−31 株式会社 高砂リサーチ・インスティテュート内 (72)発明者 萩原 利光 東京都大田区蒲田5−36−31 株式会社 高砂リサーチ・インスティテュート内 (56)参考文献 特開 平3−12491(JP,A) 特開 平2−275868(JP,A) 特開 平3−93735(JP,A) 特開 平2−51584(JP,A) 特開 昭63−308090(JP,A) 国際公開89/11451(WO,A1) Ferroelectrics,Vo l.58,(1984)P.55−70 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 19/02 C09K 19/42 - 19/46

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キラルスメクチックC相を示す強誘電性
    液晶組成物であって、25℃における電界印加時のチル
    ト角が12〜13度であり、メモリ時(電界無印加時)
    のチルト角が9〜11度であることを特徴とする強誘電
    性液晶組成物。
  2. 【請求項2】 等方性液体相から冷却する際に、キラル
    ネマチック相、スメクチックA相を経由してキラルスメ
    クチックC相に転移する請求項第1項記載の強誘電性液
    晶組成物。
  3. 【請求項3】 等方性液体相から冷却する際に、スメク
    チックA相のみを経由してキラルスメクチックC相に転
    移する請求項第1項記載の強誘電性液晶組成物。
  4. 【請求項4】 単純マトリックス駆動が可能である請求
    項第1項記載の強誘電性液晶組成物。
  5. 【請求項5】 25℃における電界印加時のチルト角が
    12〜13度であり、メモリ時(電界無印加時)のチル
    ト角が9〜11度であるキラルスメクチックC相を示す
    強誘電性液晶組成物を透明電極を有する1対の基板を1
    0μm以下の距離に組み合わせたセルに挟持せしめたこ
    とを特徴とする液晶表示装置。
JP3299502A 1990-10-22 1991-10-21 強誘電性液晶組成物およびこれを利用した液晶表示装置 Expired - Lifetime JP3027643B2 (ja)

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Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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Ferroelectrics,Vol.58,(1984)P.55−70

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