JP3027183B2 - 可とう性のアッパー材料を有する閉鎖具付きの靴 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、閉鎖具付きの靴、特にスポーツ用、レジャ
ー用、リハビリテーション用の靴、それも閉鎖区域での
引張り応力に対し可とう的なアッパー材料、もしくは、
請求項１の上位概念部分に記載の複数の可とう性アッパ
ー材料を有する靴に関するものである。

スポーツシューズ、特にサッカーシューズでこの種の
閉鎖具を有するものは、DD−PS89796により公知であ
る。この公知のサッカーシューズの場合、甲部材の各側
が、甲区域でアッパー両側部に各１つ備えられた連結片
を介して紐によって締付け可能である。すなわち、靴紐
を甲部材及び側部の連結片の紐穴に通し、サッカーシュ
ーズのかかと部分の後方に紐が掛けられるようにして締
付けるのである。この種の紐かけ形式では、通常、甲の
上方を延びる紐を締めるさい、点圧が低減され、ひいて
は甲区域の血液循環は、それほど著しく妨害されること
はない。しかし、甲部材両側の靴紐を締付けるさい、最
も下の穴から最も上の穴まで紐を一様に締付けることは
できない。これは、靴紐の自由端から最後の紐穴までの
間に、引張力が、高い摩擦力のために急速に減少するか
らである。靴紐を締付けるさい、それぞれの下側部材
と、間に挟み付けられる靴紐とに及ぼされる、甲部材と
側部連結片との閉鎖圧力により、一方では甲部材と連結
片との間に、他方では甲部材と紐穴との間に、特に高い
摩擦接続が生ぜしめられる。

更に、前記公知のサッカーシューズの場合、閉鎖舌片
が直接靴底に、すなわち、靴底と上部材料との間に固定
されている。これによって、甲部材と上部材料との間の
締付けが不可能である。甲部材は、着用者の甲部分の方
向で下方及び後方にのみ引張ることができるに過ぎない
（DD−PS89796、３頁最終節第14行及び第15行参照）。

更に、FR−A2598292から、靴アッパーの側部の、甲部
分に面した端縁に、管としてのそれぞれ１つの案内を設
けかつボールチェーンを介して靴アッパーの両側部の締
付けを行うことが公知であり、前記チェーンの一端は、
舌状片に設けられた固定部材に懸架されている。この場
合、靴アッパーの一方の側部は、シームを介して舌状片
に不動に結合されていてかつ前記チェーンは他端で、舌
状片に固定された案内の領域において偏向可能な案内区
分によって保持されている。これによって、靴アッパー
の自由に可動な側部は、締付け時に長い距離に亘って舌
状片を介して引張られねばならず、この場合、側部と舌
状片との間の高い摩擦接続に基づくたわみ可能な舌状片
の褶曲を回避できない。

したがって、本発明は、次の課題の解決を意図するも
のである。すなわち、前記公知の、甲区域での２重紐締
め形式を改良することにより、甲部材とアッパー側部と
を全閉鎖域にわたって簡単かつ出来るかぎり一様な閉鎖
力ないし締付力をもって相互に締付けうるようにし、こ
れによって、全閉鎖域に沿って、また出来るだけ足の甲
の湾曲区域全体にわたっても、要するに靴の縦方向と直
角の方向にも、出来るだけ一様な圧力配分が保証される
ようにする、という課題である。

この課題は、請求項１に記載の特徴を有する手段によ
り解決された。

本発明により確実に可能になるのは次の点である。す
なわち、甲部材ないし閉じラップ内での締付け部材案内
の相互位置が互いに精密に確定され、最適化され、かつ
また、単数又は複数の締付け部材が、甲部材及び閉じ耳
の閉鎖圧力によって、点状に、かつまた（もしくは）閉
鎖区域の部分区域で狭窄が生じて動かなくなることが無
くなる点である。また、中央の締付けロックにより、締
付け操作を簡単に連続調節することができる。本発明に
よる構成の閉鎖具は、甲部材と閉じ耳との組合せ配置を
利用する場合には、ユニットとしてプレハブ式に製作
し、予め検査し、確実に機能する閉じユニットとして、
相応の靴、特にスポーツシューズ、レジャー用、リハビ
リ用の靴に取付けることができる。

甲部材と閉じ耳とを別々の個別部材として構成する場
合は、特に次の別の利点が得られる。すなわち、甲区域
に、不変の、高い縦方向曲げ剛性がある場合に、中央閉
鎖具の前記部材の良好な適応能が、甲区域の横方向に保
証されるという利点である。このことは、ヒンジ状又は
リング状に構成された、甲部材・閉じ耳間の結合個所又
は結合区域を有する別の実施例にも妥当する。

単数又は複数の締付け部材の配置は、原則として交差
しないように行なうことができる。

しかし、また、靴のアッパーの高さに応じて単数又は
複数の締付け部材の単数又は複数の交差個所を設けるこ
ともできる。本発明のこれらの実施例の場合も、交差す
るみぞを特別の構成にすることによって、単数又は複数
の締付け部材の、摩擦の乏しい、ないしは摩擦の無い交
差が可能となる。なぜなら、締付け部材を、どの個所で
も重ならないように構成できるからである。こうするこ
とによって、閉鎖具の締付けたり弛めたりする操作が容
易になり、加えて、単数又は複数の締付け部材の交差個
所での高い圧力が防止されて、摩耗が完全に生じなくな
る。

閉鎖具に弾性又はばね弾性を有する材料を用いること
により、閉鎖区域の端部の開口のところに比較的安定的
な端縁が生じる。この端縁は、本発明の別の構成によれ
ば、舌状部端を特殊な構成にすることにより、閉鎖具に
対する舌状部の位置を安定ないし固定させるのに役立
ち、加えて、開閉するアッパー上端部の所期の案内を可
能にする。

中央締付けロックを、閉鎖区域に、引張力に対して事
実上たわみ不能のプラスチック製シェル状閉じ耳を有す
るスキー靴用の閉鎖具として用いることは、DE−AS2046
890により公知である。しかし、この種の閉鎖具は、閉
鎖区域で引張力に対し可とう的なアッパー材料を有する
靴には使用できない。なぜなら、この種の閉鎖具の閉鎖
区域は、このアルペンスキー用剛性スキー靴の場合、短
い閉鎖区域部分にしか延びていないからである。

同じことは、DE−AS22 13 720により公知のアルペン
スキー用中央ファスナにも妥当する。このファスナの場
合、紐のループが引張り部材として用いられている。紐
のループを有する別の形式のアルペンスキー靴用中央フ
ァスナは、DE−OS36 26 837により公知である。これら
公知の中央ファスナは、プレハブ式の、予め検査され、
前もって組立てられるユニットとして製造できないの
で、そのつど互いに調整し、適合させねばならない。

更に、実開昭62−188203号明細書から公知の靴閉鎖具
では、甲範囲で相互間隔を置いて位置する側方のアッパ
ー部分の間で甲範囲に沿って可とう性の管部材が蛇行線
状に一方のアッパー部分から他方のアッパー部分に延び
ている。管部材内には可とう性のワイヤ部材が貫挿され
ていて、このワイヤ部材は、足先範囲で管部材から突出
する一端で外側のアッパー部分に固定されている。甲と
くるぶしとの間の範囲で管部材から突出するワイヤ部材
の上部の他端は、この範囲で外側のアッパー部分に設け
られた巻取器に結合されている。ワイヤ部材は、巻取器
の回動により短縮されひいてはアッパー部分端部間の間
隔が減少され、これにより靴が閉じられる。この場合、
巻取器は締付けのために短縮されるワイヤ部材長さ全体
を受容しかつこれに相応して何度も回されるか又は規定
の回転角度だけ調節されねばならない。

これに対して本発明では、甲部材に中央締付けロック
が配置されるため及び中央締付けロックに締付け部材が
両側から挿入されるため、締付けのために各側に位置す
る締付け部材又は締付け部材部分がそれぞれ半分だけ長
さを短縮されればよく、従って、中央締付けロックの巻
取器は、締付けのために従来の半分の回転数もしくは回
転角を必要とするに過ぎない。それ故、締付けは極めて
短時間で行われる。

本発明のその他の有利な諸点は、請求項２以下に示さ
れている。以下では、それらの諸点を図示の複数実施例
につき詳説する。

図１は本発明による閉鎖具を有するスポーツシューズ
の甲区域部分の平面図。

図２は図１のＩ−Ｉ線断面図。

図３は図１のII−II線断面図。

図４はボーデンワイヤを締付け部材とし、中央締付け
ロックを有するスポーツシューズの斜視図。

図５は閉じ耳と中央締付けロックとを有する甲部材と
を、カバーを除去して示した平面図。

図5Aは図５のIII−III線断面図。

図６は図５の甲部材と閉じ耳の閉じ配置時のカバーを
示した平面図。

図6Aは図６のIV−IV線断面図。

図７は付加的な側部締付けバンドを有するカバーを除
去して示した閉鎖具の平面図。

図８及び図９はそれぞれ異なる構成の側部締付けバン
ドを有するスポーツシューズとレジャー用シューズの半
部の側面図。

図10は図９のＶ−Ｖ線断面図。

図11及び図12はそれぞれ舌状部の縦断面図。

図13は図12のVI−VI線断面図。

図14は閉鎖具の下端が特に可とう的に構成された前記
区域を有する本発明による閉鎖具の別の実施例の平面
図。

図15は甲部材及び耳カバーの別の構成を示した平面
図。

図16は閉じた締付けバンドを有する本発明の閉鎖具の
別の実施例を略示した斜視図。

図17は締付けバンドが閉じ耳から分離された形式の、
本発明による閉鎖具の別の実施例を示した部分平面図。

図18は図17の実施例の左半部を切断し、後方から見た
断面図。

図19は本発明による閉鎖具の一部を、図18に断面で示
した形式の締付けバンドが閉じ耳のスリットに差込まれ
た状態で示した部分斜視図。

図20はウェブによって互いに結合された２つの閉じら
れた締付けバンドを有する本発明による閉鎖具の斜視
図。

図21は閉じ耳と結合されていない締付けバンドを有す
る本発明の閉鎖具の平面図。

図22から図25までは変向部材配置の可能な構成を示し
た図。

図26は本発明による閉鎖具を有するスポーツシューズ
甲区域部分を示す平面図。

図27は図26のVII−VII線断面図。

図27はみぞ内に変向部材が差込まれた閉じ耳の拡大断
面図。

図28は図26のVIII−VIII線断面図。

図29は閉じ耳と中央締付けロックとを有し、締付け部
材が互いに交差する形式の甲部材の平面図。

図30は甲部材と閉じ耳とから成り、これら部材間にカ
バーとしてダイアフラムが備えられている構造ユニット
の平面図。

図30Aは図30の実施例に用いた変向部材の斜視図。

図30Bは図27A同様の部分図。

図31は凹所内に変向部材を有する甲部材の横断面図。

図32は靴先側の閉鎖具下方部分を示した平面図。

図33は図32のIX−IX線断面図。

図34は甲部材から分離された閉じ耳と閉じ耳から分離
配置された締付けバンドとを有する閉鎖具の部分平面
図。

図１には、符号１でスポーツシューズの一部、すなわ
ち甲区域が示してある。甲の上方には甲部材２が設けら
れ、この甲部材が２つの側部閉じ耳3,4と一緒に構造ユ
ニットをなしており、このユニットが、甲部材２の靴先
側端部５のところに付加成形され、その個所から甲部材
２とほぼ平行に延びるか、もしくは甲部材２に対し約５
°から15°の範囲の鋭角をなして延びている。閉じ耳3,
4は、甲部材２の端部５のところにリンク式に、たとえ
ばヒンジまたはばね関節を介して取付けておいてもよ
い。

閉じ耳３は、このスポーツシューズの上側材料、ない
しはアッパー８の一方の側６に、また閉じ耳４は、他方
の側７に、たとえば縫着かつ（又は）接着させておく。

図２には、接着個所９の実施例が示してある。

甲部材２と閉じ耳3,4とは、弾性、ばね弾性、硬弾性
のいずれかを有する材料から成っている。閉鎖具のこれ
らの部分は、締付ない状態では、図１に示したように開
状態を維持している。甲部材２と閉じ耳3,4との材料と
しては、特に熱可塑性プラスチック又はデュロプラスチ
ック、たとえばポリアミド、ポリイミド、ポリウレタ
ン、その他類似の材料を用いる。

靴のアッパー８の上側材料は、皮革、人工皮革、繊維
織物のいずれかから成っているが、たとえば皮革、人工
皮革、その他の材料のいずれかから成るへりを備えるよ
うにすることもできる。図１には、甲部材２の下に、ス
ポーツシューズの重みを軽減する繊維織物8aが示されて
いる。

アッパー８の、これに続く部分6,7は、通常のよう
に、皮革製、有利にはスエード革製である。アッパー８
の上側材料は、内側にライニングを有し、このライニン
グには、また内側クッション層を設けておくことができ
る。

アッパー８の側部6,7の下には、閉鎖区域を完全に被
覆する舌状部10が設けてある。舌状部10にも同様にクッ
ションを設けておくことができる。クッションとして
は、有利には熱可塑性の圧力伝達性クッション材料、た
とえば発泡ポリエチレン、ポリウレタン、エチレンビニ
ルアセテートのいずれかを用いる。

閉じ耳3,4は、紐又はバンド、たとえば鋼線、鋼索、
プラスチック索として構成された締付け部材11により、
甲部材２の方向へ引張ることができる。この目的のた
め、締付け部材11は、甲部材２に備えられた中央締付け
ロック12から出て、交互に甲部材２から閉じ耳３ないし
４へ掛け渡され、再び中央締付けロック12へ戻される。
そのさい締付け部材11は、円弧状の案内通路13の形状の
案内内を延びている。案内通路13は、甲部材２ないし閉
じ耳3,4の平面内を延び、互いにずらして設けられてい
るので、締付け部材11は少なくともほぼＳ字形又は蛇行
形状に延びることになる。これにより、締付け部材11
は、閉じ区域全体SBにわたって締付けを行なうさい。中
間区域MBなどの部分区域で締付けられて動かなくなるよ
うなことにはならない。案内通路13の配置は、甲部材２
に閉じ耳3,4を引寄せるさい、案内通路13のそれぞれ１
つの開口14が、反対側の案内通路13の開口14に向い合う
ように選定されている。

原則として、中央区域では単数又は複数の締付け部材
11の単数又は複数の交差を排除しないが、いずれの実施
例の場合も、この配置は、甲部材２の上部27と下部28で
は単数又は複数の締付け部材11が交差することなく延び
るようにする。

図１の実施例の場合、各閉じ耳3,4は２つの案内通路1
3を有し、甲部材２は各側に１つの案内通路13を有して
いる。特に、アッパーが高くなっているスポーツシュー
ズ、レジャー用、リハビリテーション用シューズの場合
には、閉じ耳3,4にも甲部材２にも、より多くの案内通
路13を設けておくことができる。

案内通路３の半径Ｒは、出来るだけ大きく選んでお
き、靴の寸法に応じて少なくとも約7mmから15mmの範囲
にする。案内通路13の円弧は、約100°から180°の開角
βにわたって拡がっている。

締付け部材11と案内通路13との間の摩擦を出来るだけ
低い値に抑えるために、甲部材２と閉じ耳3,4とを摩擦
係数の低い耐摩耗性材料製とするか、もしくは、案内通
路13を前記材料で被覆するかしておく。案内通路13は、
しかし、摩擦係数の低い材料製の湾曲スリーブを用いて
構成することもできる。その材料としては、たとえば、
ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタ
ン、滑り軸受に用いられるような良好な滑り特性を有す
る金属のいずれかを用いることができる。

中央締付けロック12は、有利には次のように構成して
おく。すなわち、締付け部材11を両側から細かく段階的
に、もしくはほぼ無段階的に、あるいは又完全無段階的
に締付けたり弛めたりできるようにしておくのである。
中央締付けロック12は回転ファスナとして構成され、甲
部材２内に回動可能に支承されている。

各閉じ耳3,4は、それぞれ少なくとも２つの案内通路1
3を有しており、これら２つの案内通路は、甲部材２に
向い合って設けられた案内通路13の２つの開口14の間隔
をおいて配置されているので、甲部材２の案内通路は、
前記２つの案内通路の間に設けられている。この実施例
の場合、締付け部材は１個だけ用いられている。この締
付け部材は、中央締付けロック12から出て閉じ耳３を経
て甲部材端部５を通り、他方の閉じ耳４を経て中央締付
けロック12に達する。原則として、２個の中央締付けロ
ックを用いることもできる。その場合は、各１個の締付
け部材が、一方では閉じ耳３と甲部材２との間に、他方
では閉じ耳４と甲部材２との間に用いられる。

甲部材２は、有利にはばね弾性ないし硬弾性を有する
プラスチック材料から成り、広い面積の圧力分配プレー
トとしての機能を十分に果たすことができるので、甲部
材２の可とう性を、少なくとも下方区域において、図１
と図４に示したように、たとえば条溝15のような横方向
に延びる材料希薄個所により高めるのが有利である。条
溝15の代りに波形又は蛇行状の断面を有するようにする
こともできる。それによって、必要な可とう性のほかに
十分な伸び余力をも貯えておくことができる。

甲部材２と閉じ耳3,4の下には、開閉隙間16を覆う滑
りフォイル17が、たとえば約0.2mmから0.5mm厚のプラス
チック・シートの形式で配置されている。これらの滑り
フォイル17は、片側が甲部材２か、それぞれ閉じ耳３な
いし４に付加形成されるか、取付けられるかしており、
有利には付加接着されている。滑りフォイル17により、
閉じ耳3,4を甲部材２のほうへ容易に、摩擦なしに引寄
せることができ、かつまた弛めるさいも、同じく摩擦な
しに閉じ耳3,4を離間させることができる。要するに、
滑りフォイル17は、閉じ耳3,4の、甲部材２との間の、
平行又はくさび形の開閉運動を助成するのである。

甲部材２と閉じ耳3,4とを一体に構成する場合は、甲
部材２の下方区域の結合個所に、したがって開閉隙間16
の始点に、円形又は角を丸めた穴18を設けておき、この
結合個所での切欠き効果を低減するようにする。単数又
は複数の締付け部材11としては、鋼線又はワイヤロープ
を用いることができる。場合によっては、これら鋼線又
はワイヤロープに、滑り特性の高いプラスチック被覆を
施しておくことができる。

締付け部材11には、しかし、図４に示したようにボー
デンワイヤ19を用いてもよい。その場合は、ボーデンワ
イヤ19の被覆20は、甲部材２及び閉じ耳3,4との固定的
な結合個所21a,21bの間に、圧縮可能な区域22を有して
いる。被覆20のこの圧縮可能な区域22は、有利には伸縮
可能なベローズとして構成しておく。図４の実施例は、
閉鎖具のその他の部品に関しては、図１から図３の実施
例と合致している。

図１から図４に示した実施例の場合、閉鎖具の部材2,
3,4は、全体として１つの統一的で均質の構造部品から
成るようにするか、もしくは、甲部材２と閉じ耳3,4
は、それぞれ別に１個の構造部品から成るようにする。

製造上の理由、もしくは使用材料の材料応力上の理由
から、以下で図５及び図６に関して説明するように、甲
部材２は、２部分構成にすることもできる。

図５には、また、甲部材２、中央締付けロック12、２
つの閉じ耳3,4から成る中央の閉鎖具が示されている。

閉じ耳3,4は、この実施形式の場合、案内通路13（図
１と図２）の代りに、上方へ突出した変向部材ないし変
向ブロック23を有している。これらの変向部材ないし変
向ブロック23は、少なくとも、単数又は複数の締付け部
材11の案内の区域にそれぞれ１つの突出した上縁24（図
5A）を有しており、これによって案内みぞ25が生ぜしめ
られている。このみぞ内を、単数又は複数の締付け部材
11が滑動でき、変向部材から意図せずして脱落すること
のないようになっている。

変向部材23は、閉じ耳3,4に、それも互いに向い合っ
た位置に設けられている。甲部材２は、この場合、案内
通路13及び（又は）変向部材23を有していない。したが
って、締付け部材11は中央区域MBで一方の閉じ耳３ない
し４から他方の閉じ耳３ないし４へ交互に変向部材23に
巻きかけられ、中央締付けロック12により締付けたり弛
めたりすることができる。これによって、閉鎖具の中央
区域MBには、締付け部材11の交差個所26が生じる。これ
に対し、閉鎖区域SBの上部27と下部28では閉じ耳3,4は
交差することなく結合されている。

締付け部材11は、甲部材２のみぞ29から33内を案内さ
れている。これにより、この区域での締付け部材11の良
好な案内が保証され、加えて、甲部材２への締付け部材
11の締付け圧力が低減され、したがって摩擦が低減され
る。

図５から分かるように、交差個所26ではみぞ31と32と
が交差している。この交差個所26で締付け部材11の材料
が互いに接触するのを完全に、もしくは大幅に防止する
ために、図５の実施例の場合、有利には一方のみぞ、こ
の場合はみぞ31を他方のみぞ32よりも深く構成してお
く。深いほうのみぞ31は、有利には、少なくともほぼ締
付け部材11の太さ分だけ他方のみぞ32より深く設けてお
く。それによって締付け部材11の交差個所での摩擦圧力
が、無視しうる程度に低減されるか、もしくは完全に解
消される。

甲部材２のみぞ29から33を被覆するために、みぞ上に
は甲部材カバー34をかぶせることができる。これによ
り、みぞ29から33は、締付け部材11の摩擦の少ない滑動
用の通路として形成されるか、維持されるかする。この
種の甲部材カバー34は、図６に示されている。このカバ
ー34には、中央締付けロック12が貫通する穴35が設けら
れている。また、このカバー34は、甲部材２に接着さ
れ、かつ（もしくは）縫着される。加えて（もしく
は）、甲部材カバー34及び（又は）甲部材２のところに
設けられた自体公知の係止部材、たとえば係止鉤、係止
突起等を介して甲部材２と係止するようにしてもよい。

同じように、図６に示したように閉じ耳3,4上に各１
つの耳カバー36ないし37を設けておき、たとえば円弧状
に構成した締付け部材11用案内、もしくは図5Aに示した
案内みぞ25を覆うようにすることもできる。後の場合に
は、耳カバー36,37は、相応の個所に穴38を設けて、変
向部材ないし変向ブロック23が突入できるようにする
か、たとえば、突出する上縁24と係止するようにする。

開閉隙間16の閉鎖区域内が汚れることのないように、
甲部材カバー34と、隣接する耳カバー36,37との間に
は、図１と図２のところで説明したような滑りフォイル
17を備えておくことができる。図６と図6Aの実施例の場
合、甲部材カバー34と耳カバー36,37とは、単一の構造
部品、たとえば押抜き、射出成形、鋳造のいずれかの部
品から成っている。この実施例の場合、滑りフォイル17
又は相応に片側が付加形成された細片の代りに、隣接構
造部材とつながったダイヤフラム39が、特に付加成形、
たとえば付加射出成形されている。このダイヤフラム39
は、有利には押し縮め可能もしくは折りたたみ可能に構
成し、有利にはベローズとして構成しておく（図6A）。

本発明の別の有利な構成によれば、各閉じ耳3,4には
中足の区域40（図8,図９）に、それぞれ少なくとも１つ
の締付けバンド41ないし42に取付けておくことができ
る。この締付けバンドは、足の側部を経て靴底区域43
（図10）まで達しており、特に、ないしもっぱら靴底材
料と、たとえば接着、縫合、鋲止めのいずれかにより不
動に結合しておく。この締付けバンド41,42は、図５に
は破線で示してある。その場合、一方の閉じ耳、特に内
側の閉じ耳には１個の締付けバンド41を、外側の閉じ耳
には２個の締付けバンド42を設けておくことができる。

図７の実施例の場合、双方の閉じ耳3,4のところに、
それぞれ２個の締付けバンド41ないし42が設けられ、こ
れらのバンドがそれぞれ互いに平行に、もしくはほぼ平
行に延びている。

一方又は他方の閉じ耳３ないし４に２個の締付けバン
ド41ないし42を用いる場合、これらのバンド41は、互い
にＶ字形に延びるようにすることができる。相応の構成
は図８に示してある。

締付けバンド41,42は、有利には靴底45を横断するＵ
字形部材44により互いに結合されるようにすることがで
きる（図７、図10）。甲部材２、閉じ耳3,4、Ｕ字形部
材44を含む締付けバンド41,42は、有利には射出成形、
注型、成形いずれかにより製造される一体の部品であ
る。

締付けバンド41,42は、アッパー材料47の内側46に、
もしくは材料47内部に、たとえばアッパーの外側材料と
ライニングとの間に、あるいはまたアッパーの外部に配
置しておくことができる。アッパー材料の外側に配置す
る場合は、アッパー材料のバンプの下又は上にも配置で
きる。

締付けバンド41,42は、靴の内底48の下で終るように
するか、Ｕ字形部材44が内底の下に延びるようにするの
が有利である。

締付けバンド41,42を閉じ耳3,4と機械式に結合するこ
とにより、ないしは締付けバンド41,42を靴底45を横断
する単一のＵ字形部材44に結合することにより、新規な
幅調整システムが得られる。このシステムによって、ア
ッパーの内のりを精密に足の周寸法に適合させることが
できる。要するに、中央締付けロック12は、本発明のこ
れらの実施形式の場合、多重の機能を果たすことができ
る。このロック12は、一様に調節可能な、甲部材２を介
して一様に分配される閉鎖圧力を発生させるのみでな
く、同時に靴全体の安定性を高め、それによって、敏感
な関節な腱が、特に靴の外方区域へ過剰に伸びる危険が
著しく低減される。

本発明の別の有利な構成によれば、図11から図13に示
したように、閉鎖区域SBの端縁49（図１）から、ないし
は、閉じ耳3,4及び甲部材２ないし耳カバー36,37及び甲
部材カバー34（図１、図５、図６、図９）から突出して
いる舌状部の一部分53が、少なくともこの端縁49,50,5
1,52に続く個所で厚くされ、この端縁のところにストッ
パ壁54が形成されている。これによって、舌状部10は、
閉鎖区域に対し正しい位置に保持され、特に、靴の内部
へ入り込むことが防止される。この効果は、特に、厚く
された舌状部の一部分53のストッパ壁54が、舌状部10
の、厚くされていない部分と、少なくともほぼ直角をな
す場合に、得ることができる。突出している舌状部部分
53は、図12に示したように、その自由上端部へ向って先
細となるようにし、先端55は丸くしておくことが有利で
ある。舌状部10の側縁区域56,57は、−公知のように−
図13に示した通り舌状部縁部へ向って先細にされてい
る。

以上、個々に明らかにした多様な効果にもとづき、既
述の中央閉鎖具を有する、本発明による構成の靴は、普
通の歩行用靴、スポーツシューズ、レジャー用シューズ
にのみでなく、リハビリテーション用の靴にも適してい
る。要するに、既述の効果が、使用時に、また中央閉鎖
システムの強度の上で特に要求される類の靴に適してい
る。

本発明の別の有利な構成によれば、閉じ耳3,4と甲部
材２の端部との結合は、できるだけ動き易いように構成
されている。このような構成は、たとえば既述のヒンジ
又はリンク、特にばねリンクにより可能となる。図14に
示した実施例の場合には、前記部材の結合は、結合区域
58において波形又はひだ付きのダイアフラム39.1を介し
て行なわれている。これらのダイアフラムは、それぞ
れ、甲部材２と閉じ耳3,4との間に設けられたダイアフ
ラム、すなわち図14の閉鎖具の左部分に見られるダイア
フラム39.2の延長部であってよく、甲部材２の端部の端
縁5.1のところまで達している。

図15に示したように、この種の波形もしくはひだ付き
ダイアフラム39.11は、甲部分カバー34及び耳カバー36,
37の前部結合区域にも、相応の形式で設けておくことが
できる。これらの部材に出来るかぎり自由な動きを保証
するために、場合によっては、閉じ耳3,4と甲部材２と
の結合個所を全く無くしてしまうこともできる。

ひだ付きダイアフラム39.1は、実際の、もしくは仮想
の結合個所から図14に示したように、甲部材２と閉じ耳
3,4との間を、甲部材２の端部５の端縁5.1まで延び、ひ
だ付きダイアフラム39.11は、図15に示したように、結
合個所59.1から、甲部材カバー34と耳カバー36,37との
間を甲部材カバー34の端部34.1の端縁5.11まで延びてい
る。

甲部材２及び、場合によっては甲部材カバー34の前記
結合区域58ないし58.1の可とう性を高めるためには、特
にそれらの端部5.1ないし34.1を、適当な措置により、
たとえば材料厚を薄くし、かつ（もしくは）横条溝又は
横波形を15.1を付加（図14、図15参照）し、特に、波形
又はひだ付きダイアフラムの形式にすることによって、
著しく弾性的な可とう性を有するように構成しておく。

こうすることにより、前記端部区域ないし結合区域58
ないし58.1による足の前部への加圧が防止される。横み
ぞ15.1は、その場合、ダイアフラム39.1ないし39.11の
ひだに重ねることができる。

図15には、更に符号35により中央締付けロック12用の
穴が示されている。また、耳カバー36,37には相応の個
所に穴38が設けられ、これらの穴には変向部材ないし変
向ブロック23が突入するか、もしくは、たとえば、突出
している上縁が係止される。符号39は、有利には押し縮
め可能又は折りたたみ可能のダイアフラムを示してい
る。

締付けバンド41,42を使用する場合、これらは、図７
に示したように、製造時に閉じ耳3,4に直接付加成形し
ておくことができる。しかし、また、他の適当な形式
で、たとえば縫着、鋲止め、接着等により取付けてもよ
い。その場合は、変向部材ないし変向ブロック23を閉じ
耳3,4に配置して、図16に示したように、変向部材が締
付けバンドと整列するようにする。こうすることによ
り、締付け部材11の引張力が締付けバンド41,42へ直接
に伝えられる。

本発明の別の実施例によれば、図17に示したように、
締付けバンド41,42が閉じ耳3,4からは分離されており、
変向部材ないし変向ブロック23が、それぞれ、各１個の
締付けバンド41,42の端部41.1ないし42.1のところに設
けられている。既述の変向部材ないし変向ブロック23の
代りに、別の適当な形状及び構造の、特に輪、穴、はと
目、ジリー（Ghilly）−はと目その他の形式の変向部材
ないし変向ブロックを設けておいてもよい。変向部材な
いし変向ブロック23は、締付けバンド41,42に付加成
形、クリップ止め、付加接着、鋲止め、その他のいずれ
かにより固定することができる。

本発明の別の実施例によれば、締付けバンド41,42は
閉じ耳3,4のスリット60内にそう入され、図18と図19に
示したように、そこに不動に配置できるが、有利には移
動可能に配置できる。締付けバンド41,42の端部41.1な
いし42.1は、その場合、下から閉じ耳3,4を掴むように
スリット60に差込まれる。スリット60内へ入らない締付
けバンド部分には、既述のように、別の構成の変向部材
としても構成しておくことのできるそれぞれ１つの変向
部材ないし変向ブロック23が、付加成形、付加接着、鋲
止め、その他のいずれかにより取付けられている。各変
向部材ないし各変向ブロック23は、有利には上端部にス
トッパ縁61を有している。このストッパ縁61は、閉鎖具
の開状態では上側スリット縁62から、たとえば5mmから2
0mmの一定間隔だけ離れた位置にあるようにするのが有
利である。そうすることにより、閉じ過程時、中央締付
けロック12を相応に回動させると、締付け部材11により
先ず締付けバンド41,42の締付けが生じ、それによって
靴内の足がしっかりと掴まれる。更に、締付け部材11を
締付けると、ストッパ縁61が上側スリット縁62にぶつか
り、閉じ耳3,4が閉じ位置へもたらされる。これによっ
て、足に靴がぴったりと合わされる。中央締付けロック
12を弛める場合も、まず閉鎖具が相応に開かれ、次いで
更に締付けバンド41,42が弛められ、靴内の足が弛めら
れる。

圧力分配を一様にするためには、変向部材ないし変向
ブロック23を、ウェブ23aを介して締付けバンド41,42の
ところで互いに結合することができる。この様子は、図
20に破線で略示してある。こうすることにより、共通の
ストッパ縁61（図18、図19も参照）が、それぞれの閉じ
耳３ないし４に、長い縁部を介して当付けられることに
なる。

出来るだけ単一の寸法の締付けバンド41,42で幅の調
整範囲を拡大できるように、締付けバンド41,42は、閉
じ耳3,4に隣接する端区域に公知形式の係止部材41.2な
いし42.2、たとえば穴・ピン結合、ねじ結合その他を設
けておくことができる。これらの係止部材により、変向
部材ないし変向ブロック23、更には別の構成の変向部材
を、締付けバンド41,42の端部区域の異なる個所に取付
けることが可能になる。この形式の係止部材41.2ないし
42.2は図19に略示してある。

更に、図20に示した本発明の構成によれば、２つ又は
それ以上の締付けバンド41,42を用いる場合、有利には
隣接する締付けバンド41,42の間に１つ又はそれ以上の
側部連結ウェブ63を設けておく。締付けバンド41,42
は、また、図20から分かるように、閉鎖具の片側で、も
しくは各側で、それぞれ１つのＵ字形部材44と互いに結
合され、かつ隣接のＵ字形部材44は、別の固定ウェブ64
により互いに結合されている。こうすることにより、締
付けバンド41,42、連結ウェブ63,64、Ｕ字形部材44、甲
部材２から成るこのケージ一式の、ないしは、−甲部材
２が別個の場合は−部分ケージの組付けが、容易にな
る。部分ケージとして構成する場合も、連結ウェブ63と
その他のウェブ44ないし64とにより、完成アッパーへの
締付けバンド41,42の位置決めが容易になる。これは、
前記のケージ一式ないし部分ケージが容易にアッパーに
差しはめられ、材料の弾性のため、所定位置に極めて簡
単に固定できるからである。

本発明の更に別の有利な実施形式の場合、図21に示し
たように、締付けバンド41,42が閉じ耳3,4と結合されて
おらず（図には締付けバンド42のみを示す）、締付けバ
ンド41,42には変向部材ないし変向ブロック23が、また
甲部材２の側部区域には別の変向部材ないし変向ブロッ
ク23が設けられている。これを補完して、閉じ耳3,4に
は、それぞれ別の変向部材ないし変向ブロック23が設け
られている。これらは、締付けバンド41,42と甲部材２
のところに設けられた変向部材ないし変向ブロック23の
間に位置している。こうすることにより、締付けバンド
41,42が閉じ耳3,4と結合されていない場合にも、閉じ耳
3,4は中央締付けロック12を締付けるさいに閉じ方向に
連行される。

図22から図25に部分的に示したように、変向部材ない
し変向ブロック23、もしくは別の構成の変向部材は、甲
部材２と閉じ耳3,4のところに−場合によっては締付け
バンド（図示せず）のところにも−、それも外側（図2
2）又は内側（図23）に取付けておくことができる。変
向部材ないし変向ブロック23又は別構成の変向部材は、
しかし、甲部材２、閉じ耳3,4締付けバンドのずべて又
はいずれかの縁部のところのスリット65内か、もしくは
閉じ耳3,4及び場合によっては締付けバンド（図25）の
ところのスリット65のみに配置しておくことができる。
特に、変向部材ないし変向ブロック23は、それらの場
合、半円形ディスク66又はピン、ボルト、その他類似物
として構成しておくことができる（図24、図25参照）。

図25にも示されているように、この実施例の場合、変
向部材ないし変向ブロック23又は別構成の変向部材は、
甲部材２には、その外側に配置され、隣接する閉じ耳3,
4のところでだけスリット65内に配置されている。

締付けバンド41,42が靴のアッパー材料47の外側を取
囲んで延びるようにする場合、締付けバンド41,42の材
料としては、ガラス状に透明な、もしくは半透明の材料
を用いることができる。透明なカラーを有する材料でも
よい。このような材料を用いることにより、締付けバン
ド41,42の下に挟雑物が入り込んだ場合には、直ちに取
り除くことができる。本発明によるこの構成の場合、そ
の下のアッパー材料47も透視できるので、靴の美観を維
持でき、場合によっては靴の商標も隠されずに済む。

図26に示した本発明の別の構成によれば、案内通路13
は、閉じ耳3,4が甲部材２の側の狭幅側部3.1,4.1のとこ
ろに、それぞれ少なくとも１つの、内方へ延びる細長い
スリット形状のみぞ101を有するようにすることで、形
成される。これらのみぞ101内へは、甲部材２の両側
に、少なくとも各１つの変向部材ないし変向ブロック23
が、締付け部材11の締付け時に生じる引張力を受けるよ
うに差込まれており、みぞ101内に不動に配置されてい
る。締付け部材11は、変向部材ないし変向ブロック23
の、それぞれ１つの円弧状の滑り面に巻掛けられてい
る。

みぞ101の幅101.1は、変向部材ないし変向ブロック23
の厚さと等しいか、もしくはそれよりいくぶん大きくし
ておく。これらのみぞ101内へは、各閉じ耳3,4当り少な
くとも１つの変向部材ないし変向ブロック23がそう入さ
れ、たとえば接着及び（又は）溶接により固定されてい
る。変向部材ないし変向ブロック23の外縁23.1のところ
には、それぞれ１つの、滑り面として役立つ案内みぞ25
（図27A）が設けられている。この案内みぞ内を締付け
部材11が通されるようになっている。変向部材ないし変
向ブロック23は、甲部材２や閉じ耳3,4の材料に比して
硬質で、高い耐摩耗性を有する材料、たとえば、有利に
はショアＡ硬さ75以上の値を有するポリアミド、ポリエ
チレン、ポリウレタン、その他の類似の材料から成って
いる。変向部材ないし変向ブロック23と甲部材２及び閉
じ耳3,4とを別々に製造し、取付けることにより、課題
の最適な解決のために、これら構造部材に相応の、異な
る材料を選定することが、直ちに可能になる。甲部材２
の材料と閉じ耳3,4の材料は、したがって、耐摩耗性の
観点からよりも、むしろ弾性ないしばね弾性の観点から
選定される。

案内通路13は、甲部材２ないし閉じ耳3,4の平面内を
延び、しかも互いにずらされて配置されているので、締
付け部材11は、少なくともほぼＳ字形又は蛇行状に延び
ている。こうすることによって、締付け部材11は、締付
けるさい、全締付け区域にわたって締付け、中間区域MB
などの部分区域内で動かなくなるようなことがなくな
る。案内通路13の配置は、閉じ耳3,4が甲部材２に引寄
せられるさいに、案内通路13の開口14のそれぞれが、向
い合った案内通路13の開口14に丁度向き合うように選ば
れている。

図示の実施例の場合、各閉じ耳3,4は２つの案内通路1
3を有し、甲部材２は、各側に１つの案内通路13を有し
ている。特に、アッパーの高いスポーツシューズ、レジ
ャー用シューズ、リハビリテーション用シューズの場
合、より多くの案内通路13を閉じ耳3,4にも甲部材２に
も配置することができる。

案内通路13の半径Ｒは、出来るだけ大きく選んでお
き、−靴の大きさに応じて−少なくとも約7mmから約15m
mの範囲の値にする。案内通路13の円弧は、約100°から
180°の開角βにわたって延びている。

案内通路13は、しかし、また湾曲したスリーブにより
形成される、摩擦係数の僅かな材料製の変向部材から成
るようにすることもできる。そのための材料として適し
ているのは、滑り軸受に用いられるような良好な滑り特
性を有するポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポ
リウレタン、金属等である。特に、湾曲スリーブは、高
級鋼、チタン、青銅のいずれかで製造することができ
る。

中央締付けロック12は、有利には、締付け部材11を、
双方の側から細かく段階的に、ほとんど無段階的に、あ
るいは又完全無段階的に締付けたり弛めたりできるよう
に構成しておく。有利には、中央締付けロック12は、回
転ファスナとして構成し、甲部材２内に回動可能に支承
しておく。

各閉じ耳3,4は少なくとも２つの案内通路13と変向部
材ないし変向ブロック23とを有している。これらは、甲
部材２上に向い合って設けられた案内通路13と変向部材
ないし変向ブロック23との双方の開口14の間隔で配置さ
れているので、甲部材２の案内通路13は、閉じ耳3,4の
案内通路13と変向部材ないし変向ブロック23との中間に
配置されている。この実施例の場合、単一の締付け部材
11が用いられ、この締付け部材11は、中央締付けロック
12から出て閉じ耳３を経て甲部材２に至り、再び閉じ耳
３に戻って、更に甲部材２の端部５を通って他方の閉じ
耳４へ至り、同じ経過を経て中央締付けロック12へ戻る
ようにされている。原則として、２つの中央締付けロッ
クを用いることも可能である。その場合は、一方では、
閉じ耳３と甲部材２との間で、他方では、閉じ耳４と甲
部材２との間で、それぞれ１つの締付け部材が、各ロッ
クと一緒に用いられる。

冒頭に示した２重紐式ファスナなどの公知の紐式ファ
スナに比して、本発明による中央閉鎖具を有する既述の
スポーツシューズ、レジャー用シューズ、リハビリテー
ション用シューズの大きな利点は、閉鎖具が、安全かつ
確実で、製造が簡単で、材料選定が適切な点である。ま
た、中央締付けロックを片手で操作することも可能であ
る。このことは、身体障害者がスポーツを行なう場合に
必要であり、また、リハビリテーション用シューズに閉
鎖具を用いる場合にも必要である。靴紐が垂れ下がるこ
とがないので、事故の危険も明らかに低減した。重要な
点は、全閉鎖区域にわたって、閉鎖圧力を無段階的に、
もしくは少なくともほぼ無段階的に調節できる点であ
る。特に、中央締付けロックにより、閉鎖圧力を高低い
ずれの方向へも迅速かつ簡単に後調節可能である。

図26から図31に示した実施例の場合、閉鎖具の部材2,
3,4が、全体として単一で、均質の構造部品から成るよ
うにするか、もしくは、甲部材２と閉じ耳3,4を、それ
ぞれ別個の単一の構造部品から成るようにして、適当な
手段で互いに機能的に結合するようにする。

図29の実施例では、変向部材ないし変向ブロック23
が、互いに向い合った個所に閉じ耳3,4にだけ設けられ
ている。したがって甲部材２には変向部材ないしブロッ
ク23は設けられていない。締付け部材11は、このため、
中間区域MBで一方の閉じ耳から他方の閉じ耳３ないし４
へ交互に、相応の変向部材ないしブロック23に巻き掛け
られ、中央締付けロック12により締付けられたり弛めら
れたりする。これにより、中間区域MBには交差個所26が
生じ、他方、閉鎖区域SBの上方部分27と下方部分28とで
は、閉じ耳3,4が交差せずに互いに結合せしめられてい
る。

開閉隙間16の閉鎖区域にごみが入るのを防止するた
め、甲部材２と隣接閉じ耳3,4との間に滑りフォイル17
が備えてある。これについては、図１に既に示し、説明
済みである。

図26と図29には、それぞれ右側に滑りフォイル17の代
りに、あるいは又それに付加して、カバーシート17.1が
甲部材２の自由側縁に取付けられている。カバーシート
17.1は、特にそこに直接に付加成形しておくのが有利で
ある。このカバーシート17.1は、１つの共通の、もしく
は複数の個々のポケット状のスリット102に係合し、中
央締付けロック12を介して閉じ装置が締付けられると、
スリット内へ相応に深く突入する。単数又は複数のこの
スリット102内には、相応の個所の変向部材ないしブロ
ック23が、有利にはその前側23.2を引込ませてスリット
102内へそう入され、そこに固定される。こうすること
により、カバーシート17.1は、そのようにして形成され
たみぞ101の自由部分101.2内へ突入できる。但し、これ
は、カバーシート17.1が甲部材２の全長にわたって延び
ている場合に限られる。しかし、原則として、次のこと
も可能である。すなわち、カバーシート17.1の長さを制
限することにより、最上部の変向部材ないしブロック23
の上方区域でだけ（図26）、もしくは上下の変向部材な
いしブロック23の間でだけスリット102内へ突入するよ
うにする。

図30に示したように、変向部材ないしブロック23の形
状と閉じ耳3,4のみぞ101の形状とを互いに適合させるこ
とにより、変向部材ないしブロック23使用時に少なくと
も、面平面23.3（図30A）を中心として旋回することの
ないようにされている。このことは、変向部材ないしブ
ロック23が平面図で長方形の外形を有するようにし、み
ぞ101を相応に長方形に構成することにより達成でき
る。付加的な接着剤なしでの完全な位置固定を、図30及
び図30Aの場合に可能にするには、変向部材ないしブロ
ック23に、それぞれ両側にピン23.4の端片形状の係止具
を付加成形するか、貫通するピンを変向部材ないしブロ
ック23内へ差込んでおくかする。両側に突出するピン端
部片23.4は、みぞ101の側壁103,104の相応の穴105、な
いしは内側凹所又は貫通穴に係止される。そのさい、側
壁103,104は弾性的に拡開され、変向部材ないしブロッ
ク23がはめ込まれ、ボルト端部片23.4が穴に係止され
る。

変向部材ないし変向ブロック23を貫通するピン23.4
と、少なくとも１つの側壁103,104（図30B）内の貫通穴
105とを利用する場合は、まず、変向部材ないし変向ブ
ロック23を、みぞ101にはめ込まれ、次いでピンを差込
んで変向部材ないし変向ブロック23が所定位置に固定さ
れる。変向部材ないし変向ブロック23を固定し、かつ
（もしくは）位置固定するために、別の係止手段及び
（又は）クランプ手段を用いることもできる。加えて、
回動防止のため、２個又はそれ以上のピン23.4をそれぞ
れ変向部材ないしブロック23その他類似物に設けておく
こともできる。

本発明の有利な構成によれば、特に、甲部材２（図3
1）の下側2.1に、又は上側にも、双方の閉じ耳3,4によ
り形成された中間スペース内に、２つの変向部材ないし
変向ブロック23が、甲部材２の縦軸線と直角に並置され
るようにしておく。その場合、変向部材ないしブロック
23は、甲部材２のところに付加成形するか、取付け固定
するかしておくのがよい。この２つの変向部材ないしブ
ロック23の周囲に、閉じ耳3,4からループ11.1が巻掛け
られることにより、締付け部材11は交差個所を形成する
ことがない。図31に甲部材２の横断面で示したように、
これらの変向部材ないしブロック23は、単一の構造ユニ
ット23.5にまとめておくのがよい。この構造ユニット2
3.5は、中間片23.6を有している。この中間片23.6が、
差込み結合及び（又は）係止結合により甲部材２の下側
2.1に固定されている。

甲部材２の下側2.1への変向部材ないしブロック23の
固定は、熱溶着、接着、係止、鋲止めその他で行なう。

甲部材２は、有利には下側2.1に凹所106（図31）を有
するようにし、この凹所に構造ユニット23.5を組付ける
ことにより、足の甲への圧迫が防止される。

本発明の更に別の有利な構成によれば、構造ユニット
23.5、又は少なくとも、有利には凹所内に組付けられた
中間片23.6を端板107で位置固定又は付加的に位置固定
しておく。そのさい、端板107はピン2.2にはめ込み、接
着、係止、鋲止め、熱溶着のすべて、もしくはいずれか
により位置固定される（図31）。

図30の実施例の場合、甲部材２と閉じ耳3,4とは、単
一の構造部品、たとえば押抜き品、射出成形品、鋳造品
のいずれかで造られている。この実施形式の場合、滑り
フォイル17（図26の左側）や、相応に付加成形されたカ
バーシート17.1（図26と図29、右側）の代りに、隣接構
造部品とつながっているダイアフラム39が用いられてい
る。これらのダイアフラム39は、特に付加成形、たとえ
ば付加射出成形されたものである。また、これらのダイ
アフラム39は、有利には押し縮め可能又は折りたたみ可
能であり、特にベローズとして構成されている。更にダ
イアフラム39は、有利には、単数ないし複数の締付け部
材の上に配置されるので、外方へは完全に密閉される。

本発明の更に別の有利な構成によれば、この構成の場
合にも、各閉じ耳3,4のところには中足の区域にそれぞ
れ少なくとも１つの締付けバンド41ないし42が取付けら
れ、これが足の側部を回って靴の底区域内まで達し、靴
の底材料と、たとえば接着、鋲止め、縫着のいずれかに
より固定的に結合されている。これらの締付けバンド4
1,42を単数又は複数のＵ字形部材で互いに結合すること
も可能である。また、これらの締付けバンド41,42は、
図29に破線で示してあるが、一方の閉じ耳、有利には内
側の閉じ耳３のところには１つの締付けバンド41が、他
方の閉じ耳、有利には外側の閉じ耳４のところには２つ
の締付けバンド42が設けられるようにすることができ
る。

一方又は他方の閉じ耳３ないし４のところに２つの締
付けバンド41,42を用いる場合、これらのバンドは互い
にＶ字形をなすように配置することができる。

更に、本発明の別の構成によれば、甲部材２が、閉じ
耳3,4のところか、又は甲部材２の靴先端側端部５のと
ころで閉じ耳を結合しているウェブのところに、有利に
はスナップ結合により解離可能に取付けられるようにす
るのが有利である。

この形式は、図32と図33に示してある。この場合、ウ
ェブ５の下側には、そのために設けられた凹所67内に下
方へ突出するピン68が付加成形されている。これらのピ
ン68は、甲部材２の、薄手にされた舌状延長部70の、相
応に適合せしめられた穴69に係合し、たとえば係止され
ている。加えて、互いに結合される部材の接着及び（又
は）熱溶着を行なうことができる。

加えて、図32と図33には、閉じ耳3,4の外縁71のとこ
ろに、横断面が薄手にされ端部72へ向って先細になって
いる付加成形された取付けフランジ73が示されている。
閉鎖具は、これらの取付けフランジ73と、相応の靴の上
側材料の上又は下で、もしくは少なくとも２つの層から
成る上側材料の間へ、接着及び（又は）縫着することが
できる。甲部材２の舌状延長部70のところにも取付けフ
ランジ50を設けておくことができる。図29には、閉じ耳
３とウェブ５のすべての外縁71のところに設けられた取
付フランジ73が、破線75により閉じ耳３のところに示し
てある。相応の取付けフランジは、閉じ耳４やそれに続
くウェブ５のところにも設けておくことができる。

図34に示した別の実施例では、甲部材２が、平面図で
見て、その前端５ないし端縁5.1へ向って先細になり、
特に円錐形又はくさび形をなしている。この構成は、特
に狭幅の靴の場合に有利である。加えて、甲部材５の端
部５のところに薄手の材料を用いる場合、及び（又は）
波形やみぞを設ける場合には、この区域の構成は特に可
とう的となる。

図34に示した実施例の場合、加えて、冒頭に述べたよ
うに、甲部材２が閉じ耳3,4から完全に分離され、これ
らの部分が、すべての個別材料として構成されている。
甲部材２は、この場合、端部５のところで舌状部の形式
に応じて靴上側材料と、たとえば縫着、接着、鋲止め、
その他の適当な形式のいずれかで、もしくはこれらすべ
てを利用して結合される。閉じ耳3,4は、開閉区域に位
置するアッパー材料の縁部面のところに、縫着、接着、
鋲止め、その他の類似の形式のいずれか、又はすべてを
利用して取付けられる。そのさい、変向部材ないしブロ
ック23が、閉じ耳3,4と甲部材２のところに設けてあ
る。これについては、既に図１から図４に、更には図1
4、図22から図26に例示し、説明済みである。変向部材
ないしブロック23は、しかし、また図34に示したよう
に、分離式の締付けバンド41,42を用いる場合は、その
端部区域41.1,42.1に取付けておくことができる。図1
8、図19のところで既に述べたように、その場合には、
閉じ耳3,4内に締付けバンド41,42の端区域41.1,42.1を
差込むためのスリット60を設けておくのがよい。変向部
材ないしブロック23は、その場合も、各１つのストッパ
縁61を有するようにするのが有利であり、このストッパ
縁61が、閉じ過程にはスリット縁、たとえばスリット60
の上方スリット縁62と作用接続される。甲部材２の変向
部材ないしブロック23は、既述のように、甲部材２の上
側か下側に配置しておくことができる。

甲部材２、閉じ耳3,4、締付けバンド41,42を別個の単
一部材として構成する場合も、閉じ耳3,4の靴先側端部
と、甲部材２の端部５には、靴の縦軸線と直角方向に延
びる材料の柔軟な個所、波形、条溝15.1のいずれか又は
すべてを設けておき、これら区域に高い可とう性が得ら
れるようにする。

たとえば図34に示したように、前方へ向って先細にな
った甲部材２を有する本発明の構成の場合、閉じ耳3,4
の縁部3.1,4.1は、甲部材２の隣接縁部と平行となるよ
うにするのが有利である。

甲部材２と閉じ耳3,4とを別個の個別部材として構成
することにより、これら部材の縦方向曲げ剛性が大であ
る場合（端部区域、たとえば甲部材２の端部５の区域を
除く）、甲部材２と閉じ耳3,4との間に横方向の良好な
可とう性が得られる。それによって、足の甲の湾曲部全
体にわたって、閉鎖具及び靴が特に柔軟に足に密接する
ことになる。同時に、一様で、無段階的な閉鎖形式は維
持され、事実上、閉鎖時には閉じ耳の平行移動が可能に
なり、それにより一様な圧力配分が閉鎖時に可能にな
る。

図１から図33までに実施例を示した本発明の閉鎖具の
場合、甲部材２と閉じ耳3,4とが一体の構造部品をなし
ているか、もしくは個別部品が組合されて統一的な構造
部品が形成されているかぎりにおいて、部材2,3,4は、
ショアＡ硬さ75から90の範囲の硬度を有するばね弾性プ
ラスチック製とするのが有利である。これらのプラスチ
ック部材は、したがって、“硬質プラスチック”部材に
属している。

図34に示した、別個の構成部品2,3,4から成る本発明
の閉鎖具の場合、これらの構造部品は、有利にはショア
Ａ硬さ60から70の硬度範囲の、より硬度の低い弾性プラ
スチック部材を用いることができる。この実施例の場
合、変向部材ないしブロック23は、極めて硬質の、有利
にはショアＡ硬さ75から90の硬度範囲のプラスチック材
料から成っている。

更に指摘せねばならない点は、図34に示した実施例の
場合のほかに、原則として図16、図17、図20、図21に示
した実施例の場合も、甲部材２と閉じ耳3,4は、それぞ
れ別個の構造部品から成るようにすることもできる点で
ある。

あるいはまた、これらの実施例の場合も、中央閉鎖具
の部材2,3,4をヒンジ又はリンクにより互いに結合する
こともできる。その場合、リンクは折りたたみ可能に、
もしくは高弾性的に構成されたダイアフラムとして構成
しておくこともできる。これらの実施例の場合も、既述
の場合同様に、甲部材２の下端部５や、この部分とアッ
パーとの結合部は、波形又は折りたたみ可能のダイアフ
ラムを介して高弾性的に構成しておくことができる。こ
のことは図14と図15について既に説明した通りである。

フロントページの続き (31)優先権主張番号 Ｇ９００１６４５．９Ｕ (32)優先日 平成２年２月13日(1990．2．13) (33)優先権主張国 ドイツ（ＤＥ） (31)優先権主張番号 Ｇ９００５４９６．２Ｕ (32)優先日 平成２年５月15日(1990．5．15) (33)優先権主張国 ドイツ（ＤＥ） (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A43B 23/02

Claims (17)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】閉鎖具を有する靴、特にスポーツシュー
   ズ、レジャー用シューズ、リハビリテーション用シュー
   ズであって、閉鎖区域での引張力に対してたわみ可能な
   単数もしくは複数のアッパー材料、たとえば皮革、人工
   皮革、繊維織物を備え、場合によっては皮革製又は人工
   皮革製のバンプを備えており、かつまた、甲部分を被覆
   する甲部材（２）を備え、この甲部材が、両側で甲部材
   に対してほぼ平行に間隔をおいて延びる、靴側部に取り
   付けられたそれぞれ１つの閉じ耳（3,4）と共に、甲部
   材及び閉じ耳（3,4）内の案内（13,25）を介して案内さ
   れた引張り負荷可能な締付け部材（11）を介して締付け
   可能である形式のものにおいて、閉じ耳（3,4）が、弾
   性的、ばね弾性的又は硬弾性的な材料から形成されてお
   り、閉じ耳（3,4）が、上部材料もしくは靴アッパー
   （８）の両側部（6,7）の、甲部分（２）に隣接する端
   部に設けられており、単数又は複数の締付け部材（11）
   を変向するための閉じ耳（3,4）及び甲部材（２）の案
   内（13,25）が、甲部材（２）の平面内及び／又は閉じ
   耳（3,4）の平面内で延びるように配置されており、甲
   部材（２）に中央締付けロック（12）が配置されてい
   て、この中央締付けロック内に上部材料もしくは靴アッ
   パー（８）の各側部（6,7）から単数又は複数の締付け
   部材（11）が挿入されており、単数又は複数の締付け部
   材（11）が、中央締付けロック（12）によって引張り負
   荷可能もしくは弛緩可能であり、これにより、閉じ耳
   （3,4）及びこれに不動に結合された上部材料もしくは
   靴アッパー（８）の両側部（6,7）が、甲部材（２）に
   対して閉鎖方向もしくは開放方向に運動可能であり、単
   数又は複数の締付け部材（11）が、閉じ耳（3,4）及び
   甲部材（２）を甲部材（２）の少なくとも上部（27）と
   下部（28）のところでは交差することなしに接続してお
   り、閉じ耳（3,4）及び甲部材（２）が、靴先端に面し
   た端部（５）で直接又はリンク又はヒンジを介して互い
   に可動に結合されているか、又は、閉じ耳（3,4）が、
   別個の個別部材として甲部材（２）に対して間隔をおい
   て平行に延びるように又は小さな鋭角（α）を成して延
   びるように配置していることを特徴とする、閉鎖具を有
   する靴。
2. 【請求項２】単数又は複数の締付け部材（11）が、全閉
   鎖区域（SB）にわたって交差することなしに閉じ耳（3,
   4）を甲部材（２）と接続することを特徴とする、請求
   項１記載の靴（図１及び図４）。
3. 【請求項３】アッパーが低い靴形式（短靴）の場合、甲
   部材（２）の中間区域（MB）に単数又は複数の締付け部
   材（11）が１つだけの交差個所（26）を有することを特
   徴とする、請求項１記載の靴（図５）。
4. 【請求項４】アッパーの高い靴形式（長靴）の場合、甲
   部材（２）の中間区域（MB）に、単数又は複数の締付け
   部材（11）の交差個所（26）が２個所以上設けられてい
   ることを特徴とする、請求項１記載の靴。
5. 【請求項５】甲部材（２）が、１つ又はそれ以上の交差
   個所（26）の区域に単数又は複数の締付け部材（11）の
   方向に延びる互いに交差するみぞ（31,32）を有してお
   り、これらのみぞの横断面が少なくともほぼ、単数又は
   複数の締付け部材（11）の横断面に合致することを特徴
   とする、請求項１又は３又は４記載の靴（図５）。
6. 【請求項６】甲部材（２）が、双方の閉じ耳（3,4）と
   共にプラスチック製の一体の射出成形部品から成ってお
   り、かつまた、この射出成形品を弛めた状態では、閉じ
   耳（3,4）が、甲部材（２）に対して自動的に開位置を
   とることを特徴とする、請求項１から５までのいずれか
   １項記載の靴（図１、図５）。
7. 【請求項７】閉じ耳（3,4）のところに、少なくとも１
   つの締付け部材（11）用の案内（25）を有する変向ブロ
   ック（23）が備えられ、これらの変向ブロック（23）を
   介して単数又は複数の締付け部材（11）が交互に一方の
   閉じ耳（3,4）から他方の閉じ耳（3,4）に巻掛けられる
   ことを特徴とする、請求項１から６までのいずれか１項
   記載の靴（図５）。
8. 【請求項８】閉じ耳（3,4）と甲部材（２）のところに
   締付け部材（11）用の案内通路（13）を有する変向ブロ
   ック（23）が、互いにずらされて配置され、互いに向い
   合った変向ブロック（23）に単数又は複数の締付け部材
   （11）が巻掛けられることを特徴とする、請求項２又は
   ７記載の靴（図１）。
9. 【請求項９】閉じ耳（3,4）と甲部材（２）とが、互い
   に向い合った側に、互いにずらされて設けられた半円形
   の案内通路（13）の開口（14）を有しており、これらの
   開口（14）は、単数又は複数のロープ状又はバンド状の
   締付け部材（11）が少なくともほぼＳ字形に延びるよう
   に、互いに向い合って配置されていることを特徴とす
   る、請求項８記載の靴（図１、図３）。
10. 【請求項１０】各閉じ耳（3,4）のところには、少なく
    とも２つの案内通路（13）が設けられ、甲部材（２）に
    は各側に少なくとも１つの案内通路（13）が設けられて
    いることを特徴とする、請求項９記載の靴（図１、図
    ２）。
11. 【請求項１１】単数又は複数の締付け部材（11）が、中
    央締付けロック（12）から出て、一方の閉じ耳（３）を
    経て甲部材（２）へ至り、更に前記閉じ耳（３）へ戻
    り、続いて別の閉じ耳（４）へ移り、そこから再び甲部
    材（２）を経て、閉じ耳（４）へ戻り、最後に再び中央
    締付けロック（12）へ案内されることを特徴とする、請
    求項８から10までのいずれか１項記載の靴（図１）。
12. 【請求項１２】甲部材カバー（34）及び耳カバー（36,3
    7）を用いる場合、甲部材（２）と閉じ耳（3,4）との間
    に結合部が設けられず、これら部材（2;3,4）が別個の
    個別部材から成ることを特徴とする、請求項１記載の
    靴。
13. 【請求項１３】１個、２個又はそれ以上の締付けバンド
    （41,42）が備えられており、それらが、閉じ耳（3,4）
    の１つと結合されておらず、また、締付け部材（11）用
    の変向部材（23）が、締付けバンド（41,42）の端区域
    （41.1,42.1）に設けられていることを特徴とする、請
    求項１から12までのいずれか１項記載の靴（図17）。
14. 【請求項１４】閉じ耳（3,4）のところに締付けバンド
    （41,42）の変向部材（23）に対してずらされて、変向
    部材（23）が配置され、かつまた、−靴縦方向で見て−
    締付けバンド（41,42）と配属の閉じ耳（3,4）との変向
    部材（23）の間にそれぞれ１個の変向部材（23）が甲部
    材（２）の隣接側に設けられていることを特徴とする、
    請求項13記載の靴（図21）。
15. 【請求項１５】閉じ耳（3,4）が、甲部材（２）側の狭
    幅側部（3.1,4.1）のところに、それぞれ少なくとも１
    つの内方へ延びる長スリット状のみぞ（101）を有して
    おり、甲部材（２）の両側のこれらみぞ（101）内へ
    は、締付け部材（11）を締付けるさいに発生する引張力
    を受けるために少なくとも各１個の変向部材（23）がそ
    う入され、みぞ（101）内に不動に配置されており、か
    つまた、締付け部材（（11）が、それぞれ変向部材（2
    3）の円弧状滑り面に巻掛けられていることを特徴とす
    る、請求項１記載の靴（図26から図30）。
16. 【請求項１６】少なくとも、甲部材（２）の下部（28）
    の区域に設けられた変向部材（23）が、閉じ耳（3,4）
    の狭幅側部（3.1,4.1）より奥へ引込んだところに配置
    されており、これによって生じた閉じ耳（3,4）のみぞ
    （101）の自由な部分（101.2）内へ甲部材（２）のカバ
    ーシート（17.1）の配属部分が係合することを特徴とす
    る、請求項15記載の靴（図29）。
17. 【請求項１７】甲部材（２）、閉じ耳（3,4）、締付け
    バンド（41,42）が別個の個別部材から成り、締付けバ
    ンド（41,42）の端部（41.1,42.1）に変向部材（23）を
    設けておき、端部（41.1,42.1）が締付けバンド（41,4
    2）の各１つのスリット（60）内へ差込み可能であり、
    締付けバンド（41,42）のところに設けられたストッパ
    縁（61）が、締付け時には、それぞれ配属されているス
    リット（60）のスリット縁（62）と作用接続可能である
    ことを特徴とする、請求項１記載の靴（図19及び図3
    4）。