JP3025973B2 - 液体処理装置 - Google Patents

液体処理装置

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JP3025973B2
JP3025973B2 JP2178937A JP17893790A JP3025973B2 JP 3025973 B2 JP3025973 B2 JP 3025973B2 JP 2178937 A JP2178937 A JP 2178937A JP 17893790 A JP17893790 A JP 17893790A JP 3025973 B2 JP3025973 B2 JP 3025973B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、液体処理装置に関し、より具体的には、開
放系であって、流量によって血液と接触するガス交換膜
の面積が変化する人工肺に関する。
[従来の技術] 一般に、例えば緊急の心肺不全患者に対する生命維持
手段としては、血液を体外に導出して酸素を付加した
後、再び体内に返血する機能を有する人工心肺が開発さ
れ、実用に供されている。
このような人工心肺に使用される人工肺の一例として
は、疎水性の多孔質中空糸膜をガス交換膜として利用し
たものが実用化されており、従来、この種の人工肺にお
いては、人体から取り出された血液が人工肺の血液導入
口より人工肺内に流入し、大気とは連通しない閉鎖系の
血液室において多数の多孔質からなるガス交換膜と接触
してガス交換がなされ、その後、動脈リザーバーを経て
人体へ返血されるよう構成されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、このような閉鎖系の人工肺を使用する
とき、患者が幼児である場合と大人である場合とでは、
体外循環すべき血液量が異なるため、人工肺の性能を変
える必要があり、あらかじめ複数の種類の人工肺を用意
し、患者に応じて適正な人工肺を選ばなければならず、
煩雑であるという問題があった。
また、中空糸膜型人工肺においては、中空糸内部に血
液を流すタイプのものが実用化されてきたが、その圧力
損失が大きいゆえに、拍動流体外循環、分離体外循環、
ブラッドカーディオプレギア等への適応が困難とされて
いる。
そこで、本発明者は、中空糸膜の外側に血液を流し、
内側にガスを流すとともに人工肺内の血液室が一部大気
と連通し、液体を収容したときの残余の空間部分の気圧
が大気圧と等しく、血液の流量によって血液と接触する
ガス交換膜の面積が変化する、いわゆる開放系の人工肺
を開発するに至った。
このように中空糸外側に血液を流し、内側にガスを流
すことにより圧力損失を少なくすることが可能となり、
循環回路中の人工肺の前に送血ポンプを設ける必要がな
く、人体からの脱血の落差のみによって血液を人工肺
に、さらには貯血槽に送ることが可能となる。
したがって、手術中に心臓を保護するために酸素加血
を間欠的に送り込むブラッドカーディオプレギアを上半
身と下半身を別々に体外循環する分離体外循環等に適応
可能となる。
さらに、このような開放系の人工肺であれば、複数の
種類の人工肺を用意する手間が省け、一種類の人工肺で
あっても患者に応じて血液と接触するガス交換膜面積及
びプライミング量を変化させることができ、望ましい。
しかしながら、このような人工肺においては、ガス交
換膜は下方の血液と接触している部分しか使用されず、
上方の使用されない部分においては、ガス交換膜が多孔
質であるため、ガス交換膜の多数の孔部からガスが外部
へ逃げてしまい、十分なガス交換性能が得られないとい
う問題があった。
また、人工肺は通常使用に先立って内部のエアーを血
液流路中から除去するプライミング操作を行うのである
が、ガス交換膜が疎水性であるため、リンゲル液等のプ
ライミング液とのなじみが悪く、プライミング操作にお
いてエアーを完全に除去し難く、特に、ガス交換膜とし
て多孔質の中空糸膜を使用した場合であって中空糸の外
側に血液を流すタイプでは、中空糸膜と中空糸膜との間
にエアーをため込む現象が強く見受けられる。
その結果、各中空糸膜間がエアーによってブロックさ
れ、ガス交換に寄与する有効膜面積が低減し、ガス交換
性能が低下するという現象を示すことがあった。
また、上述の開放系の人工肺においては、血液室内の
血液以外の空間部分は大気圧に等しく、血液流路には十
分な圧力がかからないため、ガス交換膜が十分に濡れ
ず、所望のガス交換性能が得られないという問題があっ
た。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであっ
て、開放系の液体処理装置において、上述の問題点を解
決し、十分な液体処理能力を得ることを目的とする。
より具体的には、開放系でありながら、十分なガス交
換性能を得ることができる人工肺を提供することを目的
とする。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成する本発明は、下方から上方へ延びて
設けられ、気体は通すが液体は通さない液体処理膜と、
該液体処理膜の一面側に下方から上方へ延びて設けら
れ、少なくとも上方において大気と連通し、液体を収容
したときの残余の空間部分の気圧が大気圧に等しく、液
体流入口を有する液体室と、前記液体処理膜の他面側に
下方から上方へ延びて設けられた気体室とを備え、前記
気体室の気体流入口は、気体室の下部に設けられている
ことを特徴とする、液体処理装置である。
また、本発明は、下方から上方へ延びて設けられ、気
体は通すが液体は通さない液体処理膜と、該液体処理膜
の一面側に下方から上方へ延びて設けられ、少なくとも
上方において大気と連通し、液体を収容したときの残余
の空間部分の気圧が大気圧に等しく、液体流入口を有す
る液体室と、前記液体処理膜の他面側に下方から上方へ
延びて設けられた気体室とを備え、前記液体処理膜のガ
スフラックスは、10ml/m2・s・mmHg以下である、液体
処理装置から構成される。。
ガスフラックスとは、単位面積の膜に単位圧力をかけ
たときの時間当りの気体の透過量を意味する。
よって、単位は(体積)/[(時間)・(面積)・
(圧力)]である。
例えば、1気圧の気体が面積1m2の膜を1ml/sで透過す
るならば、1ml/s・atm・m2となる。
また、仮に膜面積1m2の人工肺モジュールを用いて下
流側を閉塞して上流側より圧力10mmHgで酸素を流入させ
たときに流量が6l/minであれば100ml/s・(10mmHg)・m
2,すなわち10ml/s・m2・mmHgとなる。
前記液体処理膜の一例としては、多数の孔部を有する
多孔質体と、少なくとも該多孔質体の孔部を塞いで該孔
部の気体透過性を低減させる物質とから構成される。
さらに、本発明は、液体処理膜と、該液体処理膜の一
面側に設けられ、少なくとも上方において大気と連通
し、液体を収容したときの残余の空間部分の気圧が大気
圧に等しい液体室とを備え、前記液体処理膜の少なくと
も表面は、水に対する前進接触角が90度未満であること
を特徴とする、液体処理装置から構成される。
ここで、前進接触角とは、固体表面上の液滴にさらに
余分の液を加えていったときに液面が前進する際に形成
される接触角をいう。
その測定方法は、たとえば、固体表面上に液滴をたら
し、さらに余分の液を加えながら、水平方向かつ液滴の
中心側から固体表面と液面とのなす角度を測定する。
[作用] 本発明に係る液体処理装置を使用するに際しては、ま
ず、流体流入口より血液を液体処理装置内に導入する。
導入された血液は、下方から上方へ延びて設けられ、
気体は通すが液体は通さない液体処理膜の一面側に設け
られた液体室内に流入する。
ここで、液体室は、下方から上方へ延びて設けられて
おり、さらに、少なくとも上方において大気と連通し、
液体を収容したときの残余の空間部分の気圧が大気圧に
等しいため、流入した血液は、流入した量に応じて下方
から上方へ水位が変化することになる。
一方、前記液体処理膜の他面側には、気体室が設けら
れており、酸素含有ガスが流れているため、液体室側に
ある血液は、液体処理膜を間にはさんで気体室を流れる
酸素含有ガスと接触することになる。
そして、液体処理膜は、気体は通すが液体は通さない
ため、液体室側にある血液は、気体室を流れる酸素含有
ガスとの間でガス交換がなされ、酸素が付加される。
ここで、気体室の気体流入口は、気体室の下部に設け
られているため、気体流入口より流入した酸素含有ガス
は、流入直後に液体室下方に貯留している血液と液体処
理膜を介して接触し、効率良くガス交換が行われる。
また、液体処理膜のガスフラックスは10ml/m2・s・m
mHg以下であるので、液体処理膜のうち、血液のガス交
換に関与しない部分において、酸素含有ガスが漏れ出て
ガス交換の効率が低下するようなこともない。
さらに、前記液体処理膜の少なくとも表面は、水に対
する前進接触角が90度以下であるため、本発明のような
開放系の液体処理装置であっても、液体処理膜表面が濡
れ易く、血液が液体処理膜表面をよく濡らすため、効率
の良いガス交換が行われる。
[実施例] 以下、本発明を図示の実施例に基づき詳細に説明す
る。
第1図は本発明の一実施例に係る液体処理装置として
の人工肺の全体構成を断面により概略的に示したもので
ある。
図中、1が人工肺である。
この人工肺1を構成するハウジング3は、ポリカーボ
ネート、アクリル−スチレン共重合体、硬質ポリ塩化ビ
ニル等の硬質プラスチック材料から成形され、円筒状を
呈しており、そのすぐ内側には、血液貯留用の所定の大
きさの空間部からなる貯血室5が設けられている。
また貯血室5の下端部には血液流出口4が設けられて
いる。
貯血室5よりも、さらに内側には、本発明における液
体処理膜として、ハウジング3の長手方向に下方から上
方へ延びて相互に離間させて全体に広がるように配置さ
れた多数の中空糸膜束からなる血液処理膜7が集束さ
れ、円筒状の血液処理部6を構成し、ハウジング3に対
して同軸状に配置されている。
したがって、前記貯血室5は、ハウジング3の内面と
血液処理部6の外周面から構成されることになり、上方
より見たとき、貯血室5は、ドーナツ状を呈している。
尚、上記血液処理膜7は、上述のような中空糸膜に限
らず、平膜等から形成してもよい。
この血液処理部6のみを便宜上取り出して、斜め上方
より見たときの状態を第2図に示す。
まず、血液処理部6は、第2図に示すように、左右両
方向に、ほぼ鉛直線に対して45°の角度をなして形成さ
れた多数の中空糸膜である血液処理膜7から構成されて
いる。
血液処理膜7は、鉛直方向に並列して配置してもよい
のであるが、このように血液処理膜7を角度をなして交
差させて配置することにより中空糸膜が固く編み込まれ
て、血液処理部6の外側に特別な保持のためのハウジン
グを必要としない。
このように角度をなして交差する血液処理膜7を作成
するには、公知の方法を採用することができる。例え
ば、回転するボビンに前後動する糸ガイドを介して所定
の角度で血液処理膜7を巻き取り、所定の角度で交差す
る螺旋状の多層体を得た後、ボビンを抜き取り、多層体
の両端部を仮止め部材で仮止めし、ハウジング3内の所
定の位置に収納した後、両端部にポリウレタン等からな
る隔壁形成材を遠心注入して、隔壁を形成し、その後、
隔壁の端面を所定の位置においてスライスすることによ
り、多孔質中空糸膜からなる血液処理膜7の端部を開口
させて作成することができる。
なお、前記ボビンは、図示はしないが、格子状の骨材
として使用し、多層体形成後に抜き取らずにそのまま製
品に組み込んで、強度付与体として使用してもよい。
血液処理膜7は、人工肺におけるガス交換膜として機
能するもので、例えば10,000〜60,000本の所定の割合で
捲縮が付けられた疎水性の多孔質中空糸膜からなる。
多孔質中空糸膜としては、一般にポリオレフィンから
形成することができ、例えば、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルホン、ポ
リアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート等の
材料から形成することができる。
特に好ましくはポリプロピレンである。
また、血液処理膜7は、シリコーン膜等から形成する
こともできる。
いずれにしても血液処理膜7は基本的に疎水性であ
り、気体は通すが液体は通さない性質を有しているた
め、血液処理膜7を間にはさんで一面側に血液、他面側
に酸素含有ガスを存在させることにより、分圧の原理に
よって、血液(静脈血)中には酸素が付加されることに
なる。
ここで、血液処理膜7はガスフラックスが10ml/m2
s・mmHg以下となるよう調整されている。
血液処理膜7がシリコーン膜からなるときは、ガスフ
ラックスが10ml/m2・s・mmHg以下であり、特に調整す
る必要がないのであるが、血液処理膜7が多孔質のポリ
オレフィンからなる場合は、そのままではガスフラック
スが10ml/m2・s・mmHgよりも大きいので、10ml/m2・s
・mmHg以下となるよう調整する。
具体的には、多孔質中空糸膜の側壁に多数存在すると
ともに外側から内側へ貫通した微細孔内をシリコーンオ
イルで閉塞し、基体透過性を低減させる。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイ
ル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルクロロフ
ェニルシリコーンオイル、分岐状ジメチルシリコーンオ
イル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等があ
り、好ましくは、ジメチルシリコーンオイルおよびメチ
ルフェニルシリコーンオイル、最も好ましくは、ジメチ
ルシリコーンオイルである。
多孔質の側壁の微細孔にシリコーンオイルを充填する
には、シリコーンオイルの溶液中に多孔質膜を1〜10分
間、好ましくは1〜3分間浸漬して充分含浸させた後、
空気、窒素、炭酸ガス等のガスを流通させて多孔質中空
糸膜内部に充満しているシリコーンオイルを除去し、つ
いて溶媒と非溶媒との混合物を内面に流通させることに
より該内面に付着しているシリコーンオイル層を除去し
て、微細孔にのみシリコーンオイルを充填する。
また、シリコーンオイルが多孔質中空糸膜の側壁の微
細孔より外面に流出している場合は、外面も上記と同様
の方法で付着しているシリコーンオイルを除去すること
が好ましい。
前記シリコーンオイルは、通常20〜80重量%、好まし
くは、30〜60重量%の溶液として使用される。
また、その溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、ヘキサン、塩化メチレン・メチルエチルケトン、
メチルエーテル、酢酸エチル、トリフロルトリクロロエ
タン(フレオン)等がある。
多孔質中空糸膜壁面に付着したシリコーンオイルを除
去する液体は、前記溶媒では含浸させたシリコーンオイ
ルが溶出してしまうため、シリコーンオイルが溶解しな
いアルコール系の溶媒と前記溶媒の混合溶媒を用いる。
たとえば、ヘキサンとエタノール、ヘキサンとイソプ
ロピルアルコール、キシレンとエタノール、トルエンと
イソプロピルアルコール、フレオンとエタノール等の混
合液が用いられる。
このようにして微細孔がシリコーンオイルにより閉塞
された多孔質中空糸膜は、ガスフラックスが10ml/m2
s・mmHg以下となる。
しかしながら、充填されたシリコーンオイルは所定の
ガス透過性を有するので、人工肺のガス交換膜としての
機能の点で何ら遜色はない。
さらに、血液処理膜7は、少なくとも外表面が、水に
対する前進接触角が90度未満、望ましくは80度以下とな
るよう処理されている。
前進接触角ならびにその測定方法は、前述の通りであ
る。
また、このように前進接触角を所定の値未満とするこ
とは、血液処理膜7の血液との接触面を所望の程度、親
水化して濡れ易くすることを意味し、本発明の目的であ
るところの液体処理膜の液体処理に寄与する有効膜面積
を低減させることなく、十分な液体処理能力を得るため
に重要な意義を有する。
ここで、水に対する前進接触角が90度以上であると、
人工肺1が開放系であることと、血液処理膜7の血液に
対する濡れ性が悪いことと相まって中空糸膜からなる各
血液処理膜7の間に血液が行き渡らず、十分なガス交換
性能が得られないことになる。
血液処理膜の外表面を親水化処理する方法としては、
種々の方法を将ることができ、血液と接触したときに血
液を損傷させたり、毒性を有するものでなければ適用可
能である。
上記親水化処理の方法には種々あるが、その例を以下
に述べる。
(1)酸処理 用いる酸としては、KMnO4/H2SO4溶液、K2Cr2O7/H2S
O4溶液などがあるが、特に、KMnO4/H2SO4溶液が好適で
ある。
この溶液の各成分の濃度は、KMnO4 0.05〜1wt%,H2S
O490〜100wt%とするのが親水化に好ましい。
また、上記の混酸に限らず、単独の酸、例えばH2SO4
のみを用いてもよい。
(2)アルブミン水溶液処理 アルブミン水溶液は0.5〜8w/v%のものを用いるのが
親水化に好適である。
(3)PHEMA処理 PHEMAすなわちポリヒドロキシエチルメタアクリレー
トを用いて処理を行なうが、その濃度は親水化には0.05
〜4Wt%とするのがよい。
(4)コロナ放電処理 コロナ放電処理とは、いわゆる材質上でコロナ放電を
起こし、表面に親水基を導入する方法であり、その処理
時間は要求される親水化の程度に応じて定められる。
(5)プラズマ処理 プラズマ処理とは、グロー放電によって作られた活性
種を用いて高分子表面を処理する方法であり、その処理
時間は要求される親水化の程度に応じて定められる。
(6)オゾン処理 オゾン処理とは、オゾンを表面に当てることにより表
面に親水性の官能基を導入する方法である。
その処理時間は要求される親水化の程度に応じて定め
られる。
このようにして、血液流路膜7を処理した後に、下記
一般式(I) で表わされるポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプ
ロピレン)ブロックポリマーで処理して被覆する。な
お、このブロックポリマーを被覆せしめる手段は特に限
定されない。
これらの併用により濡れ性、気泡付着防止性ともに改
善される。上記式(I)において、a+cは2〜2,00
0、好ましくは2〜500、より好ましくは3〜300、bは1
0〜150、好ましくは10〜100、より好ましくは15〜70の
範囲がよい。これらの範囲をはずれると、このブロック
コポリマー自体の親水性が低下したり、疎水部への緩和
性が低下したりするため、処理後の材料表面の濡れ性が
低下するからである。
一方、血液処理膜7の両端部は、それぞれの開口9が
閉塞されない状態で、ポリウレタン等からなる隔壁11に
より液密に支持され、人工肺1のハウジング3内に固定
されている。
多孔質中空糸膜からなる血液処理膜7は、その外側を
血液流路とし、各中空糸膜の内側空間部を気体室、すな
わち酸素含有ガスの流路としている。
また、このようにして、多数の血液処理膜7の集合体
から構成された血液処理部6も、上方より見たときにド
ーナツ状を呈している。
そして、血液処理膜6の内側空間部分に血液室21が形
成されることになる。
さらに、第1図に示すように、血液処理部6の内側に
は、消泡部材13が配設されている。
消泡部材13は、血液中に存在する気泡を除去し、気泡
の混入のない状態で血液が血液処理膜7に触れるように
するために設けられている。このように消泡部材13を設
けることにより、血液処理膜7に細かい小さな気泡が付
着することを防止することができ、ガス交換に寄与する
有効膜面積が損なわれることがなく、圧力損失の上昇も
防ぐことができる。
消泡部材13は発泡ウレタン、ステンレスリボン、ポリ
ウレタンメッシュ等から形成され、第1図においては、
上方が閉じ、下方が開放し、内部が空洞の円筒状を呈
し、下端においてハウジング3の底部15に溶着あるいは
接着剤等で接着されている。
さらに、人工肺1の軸方向中央部分には、人工肺1内
に血液を導入させる血液導入管17が形成されており、上
方から見たとき十字状の支持部18によりハウジング3に
固定されている。
なお、十字状の支持部18のスポークとスポークとの間
は開口となっているので、血液室21は、この開口を介し
て外気と連通している。したがって血液室21の空間部の
気圧は常に大気圧に等しい。
一方、血液導入管17の下端には、ハウジング3の底部
15に面して血液流入口19が開口形成されている。
また、血液導入管17の上端には、人体から導出された
静脈血を図示しない脱血チューブを介して人工肺1内に
導入するための接続口23が設けられている。
このようにして、人体から導出された静脈血は、図示
しない脱血チューブ、接続口23、血液導入管17内の流路
を経て血液流入口19より血液室21内に流入し、消泡部材
13によって消泡された後、血液処理部6の多孔質中空糸
膜からなる血液処理膜7と接触して、ガス交換がなされ
酸素が付加されることになる。
また、血液処理部6は、前述のように上下両端部にお
いて、ポリウレタン等からなる隔壁11により液密に支持
されるとともにハウジング3の上方及び下方において固
定されているが、血液処理部6を構成する血液処理膜7
の両端部は、第2図に示すように閉塞されずに隔壁11に
より支持され、開口9が形成されている。
血液処理膜7の開口9が形成された隔壁11の端面はリ
ング状を呈しており、ハウジング3内に固定されたとき
は、開口9を閉塞しないように隔壁11のリング状の端面
に沿って、連続したリング状の空間部25がハウジング3
の上側と下側にそれぞれ設けられている。
ここで、前述の隔壁11は、空間部25と血液室21とを隔
離する役目を果たし、結果的に血液処理膜7内の気体室
を通過するガスと血液室21を流れる血液とが混ざり合わ
ないようになっている。ハウジング3の下側の空間部25
を形成する部分には、該空間部25に連通する気体導入口
27が設けられている。したがって、酸素ガスを含有した
ガスは、この気体導入口27より下側の空間部25内に流入
し、リング状に拡散した後、血液処理部6の下側の隔壁
端面に位置する開口9より多孔質中空糸膜からなる血液
処理膜7の内部空間に流入することになる。よって、上
記血液処理膜7の下側の開口9が、本発明における気体
流入口を構成することになる。
血液処理膜7内の気体室を通過したガスは、上側の隔
壁端面に形成された開口9より流出する。
一方、上側の空間部25を形成するハウジング3には、
該空間部25に連通する気体導出口29が設けられている。
よって、上側の開口9より流出したガスは、いったん
上側の空間部25内に流入した後、速やかに前記気体導出
口29より導出され、外気へと放散される。
しかして、上記人工肺1を緊急の肺又は肺不全患者の
生命維持装置として使用する場合には、まず、接続口23
に図示しない脱血チューブを接続し、血液流出口4に図
示しない返血チューブを接続する。
さらに気体導入口27には、図示しない酸素含有ガス導
入チューブを接続する。
次に、プライミング操作を行い、リンゲル液等により
プライミング操作を行い、血液流路の気泡抜きを行う。
そして、外科的手術によるカニュレーションにより血
液循環回路を構成した後、体外循環を開始する。
このようにして、人体より導出された血液が脱血チュ
ーブを介して接続口23から血液導入管17に導入される
と、血液は、さらに血液導入管17の下端に設けられた血
液流入口19より血液室21内に流入する。
血液室21内の血液以外の上方の残余の空間部分は、上
部において外気と連通しているので、この部分の気圧は
大気圧に等しい。
血液流入口19より流入した血液は、消泡部材13により
消泡された後、消泡部材13と血液処理部6との間の空間
に移行する。
そして、血液は、血液処理部6を構成する多孔質中空
糸膜からなる血液処理膜7と接触する。
各血液処理膜7の内部空間には、気体導入口27から導
入された酸素含有ガスが開口9を介して流れており、さ
らに気体導出口29より外気へと放散され続けている。
一方、血液処理膜7は、気体は通すが液体は通さない
多孔質中空糸膜からなるため、血液処理膜7と接触した
血液はガス交換がなされ、酸素が付加されることにな
る。
ここで、血液流入口19より流入した血液は、その量に
応じて血液室21内において、水位が上下することになる
が、本発明においては、血液処理膜7の気体流入口が血
液処理膜7の下端の開口9から構成されているため、酸
素を含有したガスは、血液処理膜7内に流入した直後に
膜壁を介して血液と接触することになり、効率よくガス
交換がなされることになる。
仮に本発明と異なり、気体流入口が血液処理膜7の上
部にある場合は、血液が血液処理膜7内に流入しても、
すぐには血液と接触できず、下方に貯留されている血液
と接触する前に血液処理膜7の側壁の多数の孔部から抜
け出てしまい、ガス交換効率の点で劣ることになる。
さらに、本発明に係る血液処理膜7のガスフラックス
は、10ml/m2・s・mmHg以下であるので、酸素含有ガス
が血液処理膜7の側壁の多数の孔部から外部へ抜け出て
しまってガス交換に寄与しない、というような現象が防
止され、高い効率でガス交換が行なわれる。
一方、本発明に係る血液処理膜7の外表面は、水に対
する前進接触角が90度未満となるよう調整されているた
め、プライミング液や血液に対して濡れやすく、本発明
のように大気開放型の人工肺であって血液室の空間部の
圧力が加圧されずに大気圧と等しい場合においても、血
液処理膜7の表面がプライミング液や血液となじみやす
く、迅速にプライミングが行なわれるとともに高いガス
交換性能を得ることができる。
このようにして、酸素が付加された血液は、血液処理
部6の外側へ移行し、流下して貯血室5に貯留される。
そして、さらに貯血室5の下端の血液流出口4より流
出し、返血チューブを介して人体の動脈側へ返血される
ことになる。
なお、上記説明においては、液体処理装置として人工
肺の場合を例に挙げて説明したが、用途はこれに限ら
ず、液体中のガス交換装置等、工業用としても適用可能
である。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明は、下方から上方へ延び
て設けられ、気体は通すが液体は通さない液体処理膜
と、該液体処理膜の一面側に下方から上方へ延びて設け
られ、少なくとも上方において大気と連通し、液体を収
容したときの残余の空間部分の気圧が大気圧に等しく、
液体流入口を有する液体室と、前記液体処理膜の他面側
に下方から上方へ延びて設けられた気体室とを備え、前
記気体室の気体流入口は、気体室の下部に設けられてい
ることを特徴とする、液体処理装置から構成される。
したがって、気体室の気体流入口が気体室の下部に設
けられているため、酸素を含有したガスは、気体流入口
から気体室へ流入した直後に液体処理膜を介して液体と
接触することになり、効率よくガス交換等が行なわれ
る。
また、本発明は、下方から上方へ延びて設けられ、気
体は通すが液体は通さない液体処理膜と、該液体処理膜
の一面側に下方から上方へ延びて設けられ、少なくとも
上方において大気と連通し、液体を収容したときの残余
の空間部分の気圧が大気圧に等しく、液体流入口を有す
る液体室と、前記液体処理膜の他面側に下方から上方へ
延びて設けられた気体室とを備え、前記液体処理膜のガ
スフラックスは、10ml/m2・s・mmHg以下である、液体
処理装置から構成される。よって、酸素等を含有したガ
スがガス交換に寄与することなく液体処理膜から逃げて
しまうというようなことがなく、高い効率でガス交換が
行なわれる。
さらに、液体処理膜が、多数の孔部を有する多孔質体
である場合は、少なくとも該多孔質体の孔部を塞いで該
孔部の気体透過性を低減させる物質を備えることによ
り、容易に上記ガスフラックスの条件を満たす液体処理
膜を得ることができる。
また、本発明は、液体処理膜と、該液体処理膜の一面
側に設けられ、少なくとも上方において大気と連通し、
液体を収容したときの残余の空間部分の気圧が大気圧に
等しい液体室とを備え、前記液体処理膜の少なくとも表
面は、水に対する前進接触角が90度未満であることを特
徴とする液体処理装置から構成される。したがって、液
体処理膜は、プライミング液や血液に対して濡れやす
く、迅速にプライミング作業を行なうことができるとと
もに、高い効率でガス交換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る液体処理装置(人工肺)の一実
施例を示す断面図、 第2図は、第1図に示した液体処理装置(人工肺)の液
体処理部のみを取り出して示す斜視図である。 (主要部分の符号の説明) 1……人工肺(液体処理装置) 2……血液処理膜(液体処理膜) 9……開口(気体流入口) 19……血液流入口(液体流入口) 21……血液室(液体室)
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下方から上方へ延びて設けられ、気体は通
    すが液体は通さない液体処理膜と、 該液体処理膜の一面側に下方から上方へ延びて設けら
    れ、少なくとも上方において大気と連通し、液体を収容
    したときの残余の空間部分の気圧が大気圧に等しく、液
    体流入口を有する液体室と、 前記液体処理膜の他面側に下方から上方へ延びて設けら
    れた気体室と、 を備え、 前記気体室の気体流入口は、気体室の下部に設けられて
    いることを特徴とする、液体処理装置。
  2. 【請求項2】下方から上方へ延びて設けられ、気体は通
    すが液体は通さない液体処理膜と、 該液体処理膜の一面側に下方から上方へ延びて設けら
    れ、少なくとも上方において大気と連通し、液体を収容
    したときの残余の空間部分の気圧が大気圧に等しく、液
    体流入口を有する液体室と、 前記液体処理膜の他面側に下方から上方へ延びて設けら
    れた気体室と、 を備え、 前記液体処理膜のガスフラックスは、10ml/m2・s・mmH
    g以下である、液体処理装置。
  3. 【請求項3】前記液体処理膜は、多数の孔部を有する多
    孔質体と、少なくとも該多孔質体の孔部を塞いで該孔部
    の気体透過性を低減させる物質とを備えてなる、請求項
    2記載の液体処理装置。
  4. 【請求項4】液体処理膜と、 該液体処理膜の一面側に設けられ、少なくとも上方にお
    いて大気と連通し、液体を収容したときの残余の空間部
    分の気圧が大気圧に等しい液体室と、 を備え、 前記液体処理膜の少なくとも表面は、水に対する前進接
    触角が90度未満であることを特徴とする、液体処理装
    置。
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