JP3023814B2 - 果実酒及びその製造法 - Google Patents

果実酒及びその製造法

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JP3023814B2
JP3023814B2 JP16193292A JP16193292A JP3023814B2 JP 3023814 B2 JP3023814 B2 JP 3023814B2 JP 16193292 A JP16193292 A JP 16193292A JP 16193292 A JP16193292 A JP 16193292A JP 3023814 B2 JP3023814 B2 JP 3023814B2
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公明 長尾
陽子 佐藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、淡麗かつ色沢が安定
で、風味の良好な、亜硫酸無添加の果実酒に関する。
【0002】
【従来技術】果実酒は搬入された原料となる果実類を破
砕、搾汁し、得られた生果汁に酵母を添加しアルコール
発酵させて得られるが、該原料となる果実類を常法によ
り破砕、搾汁してその組織を破壊すると、果汁に含まれ
る酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ、チロシナー
ゼ等)により、同果汁中のポリフェノール特にタンニン
が酵素的に酸化褐変を起こし、酸化臭が強くなり、また
外観、新鮮味が損われ、また原料に付着する性質不明の
野性酵母、乳酸菌が繁殖して風味良好な果実酒が得にく
くなることから、前記果実の破砕、搾汁する工程の前又
はその工程中に亜硫酸が添加使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、健康食品或いは
自然食品への関心が高まりを見せてきており、褐変防止
剤や防腐剤等の食品添加物の入らない食品が人気を呼ん
でいるが、果実酒も例外ではない。また、果実酒の製造
法において、この亜硫酸の添加は上記のような理由から
ばかりでなく、添加濃度に伴い果実酒の風味を阻害し、
またアルコール発酵の際、予め選択育種され、添加され
た優良酵母等の生育、繁殖を阻害することから、出来る
限り制限するか、または廃止することが望ましい。
【0004】しかしながら、この亜硫酸の添加を無造作
に制限又は廃止すれば、果汁に含まれる酸化酵素によ
り、同果汁中の色源体であるポリフェノールが酵素的に
酸化褐変を起こし、香味上及び外観、新鮮味が損われ、
また原料に付着する性質不明の野性酵母、乳酸菌がたち
どころに繁殖して風味良好な果実酒が得にくくなる問題
が発生し、得られる果実酒の商品価値を損うものであ
る。また、原料となる果実の破砕、搾汁からアルコール
発酵、製成まで低温管理したり、不活性ガス(窒素ガ
ス、炭酸ガス)を使用して酸化を防止をする方法も検討
されたが、この方法で得られる果実酒は瓶詰後、経日的
に褐変増色し、風味も悪くなるという欠点を有してい
る。
【0005】この様に新しい独創的な新技術を導入する
ことなく、亜硫酸の添加を廃止することは、品質を犠牲
にして造られる、宗教上の儀式(例えばミサ用)に使用
される特殊な果実酒を除き、通常の果実酒では常識外の
ことであり、現実に業界においては不可能と考えられ、
実施されていないのが現状である。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような現状に対し
て、本発明者らは、果実類を常法により破砕、搾汁して
生果汁を得、これに酸素または酸素含有気体を強制的に
接触反応せしめ、色源体を予め酸化重合させて色度を一
旦100〜250%増大させ、次いでこの酸化重合物質
を除去して清澄果汁を得、次いでこれに常法により酵母
を接種してアルコール発酵を行うときは、亜硫酸を全く
添加使用することなく従来の果実酒と全く遜色がない、
即ち淡麗かつ色沢が安定で、風味も良好な果実酒が得ら
れることを知り、この知見に基いて本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は総タンニンが150ppm
以下、且つ総亜硫酸が20ppm以下である果実酒であ
り、また本発明は果実類を常法により破砕、搾汁して生
果汁を得、これに酸素または酸素含有気体を強制的に接
触反応せしめ、色源体を予め酸化重合させて色度を一旦
100〜250%増大させ、次いでこの酸化重合物質を
除去し、得られた果汁を常法によりアルコール発酵させ
ることを特徴とする果実酒の製造法であり、また本発明
は果実類を常法により破砕、搾汁して生果汁を得、これ
に酸素または酸素含有気体を強制的に接触反応せしめ、
色源体を予め酸化重合させて色度を一旦100〜250
%増大させ、次いでこの酸化重合物質を除去して、66
0nmにおける10mmセルの吸光度が0.2以下であ
る清澄果汁を得、次いでこれを常法によりアルコール発
酵させることを特徴とする果実酒の製造法である。
【0008】以下本発明を詳細に説明する。本発明に用
いられる原料は、ブドウ、リンゴ、ナシ、モモ、ウメ、
プラム、アンズ、キウイフルーツ、パイナップル、イチ
ゴ、柑橘類等の果実類であり、これらの1種または2種
以上を常法により選果の後洗浄し、そのまま、または必
要により茎、芯、種、皮等の除去処理等の前処理を行な
った後これを破砕、搾汁して得られた生果汁が好適に用
いられる。
【0009】破砕、搾汁の処理はミキサー、ジューサ
ー、カッター、フィニッシャー等により破砕した後、該
破砕物を濾袋に充填し圧搾して搾汁する濾布プレス法、
スクリュープレス法、デイスクプレス法等の通常の装置
を用いて、実施することができる。従来、この破砕、搾
汁の処理中又は処理直後に亜硫酸等の褐変防止剤が添加
されていたが、この発明において添加する必要はない。
なお、果汁の清澄促進と果汁歩合を向上させるために、
必要によりペクチン分解酵素を10〜40ppm添加使
用することが好ましい。
【0010】本発明ではこうして得られた生果汁に酸素
または酸素含有気体(空気或いはこれに純酸素を混和し
た高濃度酸素含有ガス等)を吹込むかまたは、両者を激
しく攪拌するなどして、強制的に接触反応せしめ、色源
体を予め酸化重合させて色度を一旦100〜250%増
大させる。ここでいう「色度」とは、光電比色計を用い
た430nmにおける10mmセルの吸光度(OD)を
意味し、「100〜250%増大させた」とは、次の式
により求めた値を意味する。 (B−A)×100÷A 但しB=反応後の色度(OD)、A=初発の色度(O
D)
【0011】この値は、果実の種類、熟度によっても多
少異なるが、例えばブドウの場合は、生果汁を35〜4
5℃で、60〜90分反応させることにより得られる。
反応は開放系で行なってもよいが、密閉系において行な
うことが好ましい。また、接触させる気体はいずれでも
よいが、空気に比べ高濃度酸素含有ガス、とくに純酸素
ガスは短時間に反応を終了することができ、接触による
風味の劣化が少ないので好ましい。
【0012】次いで得られる反応液は、室温以下、例え
ば10〜15℃に冷却した後、ケイソウ土、セルロース
パウダー、ダイカライト(商品名、三井金属工業社製
造)等の濾過助剤を加え、或いは加えることなく通常の
濾過処理、または遠心分離を行い、反応液中において不
溶性となった褐色の着色物質(酸化重合物質)を除去す
る。
【0013】このように酸化重合物質を果汁より分離除
去すると、原料由来の新鮮な香りを有する果汁が得ら
れ、またこれをアルコール発酵させると淡麗でかつ色沢
の安定な、香味の非常に優れた果実酒が得られる。そし
て、除去に際し、特に660nmにおける10mmセル
の吸光度が0.2以下、特に0.1以下である清澄果汁
を得るときは、その効果が著しいので好ましい。
【0014】次いで、このようにして得られた処理果汁
を常法により酒用酵母を添加した後、5〜35℃で7〜
60日間アルコール発酵させる。用いられる酒用酵母と
しては通常の果実酒製造に用いられる酵母、例えばワイ
ン酵母、清酒酵母等が好適な例として挙げられ、この最
も代表的なものとしては例えば、サッカロミセス・セレ
ビシエ、サッカロミセス・バリエタス(Var.)・エ
リプソイデウス等が挙げられる。
【0015】尚、アルコール発酵の前の処理果汁或い
は、アルコール発酵の途中の醪に糖類、例えば砂糖、グ
ルコース、フラクトース等を添加すれば、製品のアルコ
ール分、エキス分が増加して香味がより改善される。
【0016】アルコール発酵を終了した醪は、常法によ
りオリ引きした後、例えばケイソウ土、セルロースパウ
ダー等を用いての濾過、遠心分離等による清澄濾過を行
なって酵母菌体等を除き、そのまま又は必要により容器
に貯蔵して嫌気的に保ち例えば3〜12ヵ月間、蛋白安
定化、酒石安定化などの製成処理を行ない瓶詰し、製品
とする。
【0017】このようにして得られる本発明の果実酒
は、殆ど無色で透明度が優れていて、淡麗であり、また
新鮮感のある芳香の高い、優れた香味を有し、しかもこ
れらの安定性が極めて良好なものである。
【0018】
【本発明の効果】果実類を常法により破砕、圧搾して生
果汁を得、これに酸素または酸素含有気体を強制的に接
触反応せしめ、色源体を予め酸化重合し色度を一旦10
0〜250%増大させ、次いでこの酸化重合物質を除去
して清澄果汁を得、次いでこれに常法により酵母を接種
してアルコール発酵を行うものであるから、総タンニン
が150ppm以下で且つ総亜硫酸が20ppm以下の
従来全く知られていない果実酒が得られ、また原料果実
に残留する農薬由来の硫黄化合物が、微生物の発酵の過
程で亜硫酸に変化し生成することが時々認められるがこ
れは殆ど無視できるくらい少量(通常は20ppm以
下)であり、本発明では製造工程前或いはその途中にお
いて亜硫酸の添加が全く行なわれないので、亜硫酸によ
る果実酒の風味の変化が防止され、また予め選択育種さ
れた優良酵母等が亜硫酸によって生育、繁殖を阻害され
ることがないので、アルコール発酵が頗る旺盛に行なわ
れるために、風味が非常に良好で、また果実酒における
色源体である総タンニンが150ppm以下にまで除去
されているために、褐変防止剤を添加しなくとも製造後
の製品の淡麗な色沢が安定に保たれる。
【0019】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。
【実施例1】「 生果汁への通気条件と処理果汁の着色度、果実酒製品
の特徴」 原料として、甲州種ぶどうを搾汁し得られる生果汁を使
用した。上記生果汁を38〜40℃に加温し、その温度
において下記表1記載の通気条件で空気を強制的に吹込
み(接触反応処理し)、処理後の色沢を日立光電光度計
を用いて10mmセルの430nmにおける吸光度(OD)
を求めた。また、得られた反応処理果汁をケイソウ土濾
過し、該処理果汁中の酸化重合物質を除去し、得られた
果汁に、ワイン酵母OC−2(日本醸造協会酵母サッカ
ロミセス・セレビシエ、同協会販売)を2%(容量)相
当加え、半密閉容器にて常法により15〜20℃で2週
間発酵を行なった。発酵終了後、常法によりケイソウ土
による清澄濾過を行ないワインを得た。この製造直後の
色沢(10mmセルの660nmにおける吸光度OD)
と風味の官能検査を行ない、またこれを35℃下で1ヵ
月経過した後、次式によりその増色度を測定した。 (B−A)×100÷A、但しB=1ヵ月経過後の色
沢、A=初発の色沢 それらの結果をまとめて、表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1の結果から、果実類を常法により破
砕、圧搾して生果汁を得、これに酸素または酸素含有気
体を強制的に接触反応せしめ、色源体を予め酸化重合し
色度を一旦100〜250%増大させ、次いでこの酸化
重合物質を除去し、次いで得られた果汁を常法によりア
ルコール発酵を行うことにより、色調、透明度が優れ
て、新鮮感のある芳香の高い、優れた香味を有し、しか
もこれら色調の透明度の安定性が極めて良好な果実酒が
得られることが判る。
【0022】
【実施例2】 「酸化重合物質を除去後の生果汁の濁度と製品果実酒の
風味」原料として、甲州種ぶどうを搾汁し得られる生果
汁を使用した。上記生果汁を38〜40℃に加温し、そ
の温度において空気を強制的に90分間、吹込み(接触
反応処理し)、得られた反応処理果汁を9区分に分け、
第1区分は一晩静置した後、上澄液を採取し、第2〜7
区分は遠心分離(但し、遠心分離の条件を適宜変えて調
製)し、得られる各種濁度を有する上澄液を採取し、そ
して第8区分は上記第2区分で得られる上澄液をケイソ
ウ土を詰めたカラムに通液濾過して濁度の非常に少ない
澄明な液を採取し、区分1〜8のそれぞれ濁度の異なる
処理液を得た。上記で得られた果汁に、ワイン酵母OC
−2(日本醸造協会酵母サッカロミセス・セレビシエ、
同協会販売)を2%(容量)相当ずつ加え、半密閉容器
にて常法により15〜20℃で2週間発酵を行なった。
発酵終了後、常法によりケイソウ土による清澄濾過を行
ないワインを得た。また、比較のため、甲州種ぶどうを
搾汁し得られる生果汁に亜硫酸を40ppm加え、更に
清澄のためペクチナーゼ25ppm加え、一晩静置した
後上澄液を採取し、得られた果汁に、ワイン酵母OC−
2(日本醸造協会酵母サッカロミセス・セレビシエ、同
協会販売)を2%(容量)相当加え、半密閉容器にて常
法により15〜20℃で2週間発酵を行なった。発酵終
了後、常法によりケイソウ土による清澄濾過を行ないワ
インを得た。これに褐変防止のため亜硫酸80ppmを
添加し、対照のワインとした。このようにして得られた
各種ワインの色沢と風味の官能検査を行なった。それら
の結果をまとめて、表2に示す。なお、表中の亜硫酸の
濃度は、1990年6月30日、日本食品衛生協会発
行、「食品衛生検査指針(食品中の食品添加物分析
法)」、第84〜88頁記載の方法「二酸化硫黄及び亜
硫酸塩類試験法(比色法)」により測定した。
【0023】
【表2】
【0024】表2の結果から、果実類を常法により破
砕、圧搾して生果汁を得、これに酸素または酸素含有気
体を強制的に接触反応せしめ、色源体を予め酸化重合さ
せて色度を一旦100〜250%増大させ、次いでこの
酸化重合物質を除去するに際して、660nmにおける
10mmセルの吸光度が0.2以下、特に0.1以下と
なるように調製して得た清澄果汁を用いて、これに常法
により酵母を接種してアルコール発酵を行うときは、色
調、透明度が優れていて、新鮮感のある芳香の高い、優
れた香味を有し、しかもこれら色調、透明度の安定性が
極めて良好な果実酒が得られることが判る。従来、生果
実では、破砕、搾汁によりその組織の破壊を行うと酸化
酵素がポリフェノール類に作用して酵素的酸化褐変を生
じる。この褐変により、香味上及び外観、新鮮味が損わ
れる。従って、いろいろな果実酒製造法においては、組
織が破壊される破砕、搾汁工程前又は工程中に亜硫酸等
の褐変防止剤が添加され、また、更に発酵終了直後の果
実酒に対して再び酸化褐変を防止するために亜硫酸を添
加しなければならないが、これに対して、本発明によれ
ば、この様な亜硫酸を全く添加することなく、上述した
ような高品質の果実酒が得られる。近年健康志向の関心
が高まりをみせているが、ワイン業界においてもその例
外ではなく、このような添加物のない果実酒が得られる
本発明の意義は大きい。
【0025】
【実施例3】 「酸素含有気体との接触反応の温度と、その温度により
繁殖する野生微生物が及ぼす製品の品質への影響」原料
として、甲州種ぶどうを搾汁し得られる生果汁を使用し
た。上記生果汁に対して、腐造ワインから分離した野生
酵母及び乳酸菌をそれぞれ103個/mlとなるように
添加し、これを表3に記載の如き温度に加温し、その温
度において色度が150%となるまで空気を強制的に吹
込み(接触反応処理し)、得られた反応処理果汁を遠心
分離(3,000r.p.m.で10分処理)し、得ら
れる上澄液をケイソウ土を詰めたカラムに通液濾過して
濁度の非常に少ない澄明な液を採取し、これに、ワイン
酵母OC−2(日本醸造協会酵母サッカロミセス・セレ
ビシエ、同協会販売)を2%(容量)相当ずつ加え、半
密閉容器にて常法により15〜20℃で2週間発酵を行
なった。発酵終了後、常法によりケイソウ土による清澄
濾過を行ないワインを得た。このようにして、酸素含有
気体との接触反応の温度と、その温度により繁殖する野
生酵母及び乳酸菌が及ぼす製品の品質への影響について
調べた。その結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】表3の結果から、酸素または酸素含有気体
との接触反応が、35℃よりも低い温度で反応するとき
は、反応時間が長くなり、また野性の好ましくない酵母
や乳酸菌が生存または増殖し、果実酒の発酵に悪影響を
及ぼすため高品質の果実酒を得ることができない。反対
に、45℃を越えるときは、野性の微生物による影響は
なくなるが、生果汁中に含まれる酸化酵素(ポリフェノ
ールオキシダーゼ、チロシナーゼ)が高温のため活性が
阻害されるため、反応時間が長くなる。また、高温度で
の酸化反応により果汁の好ましいフレーバーが逸散し
て、最終製品が芳醇な風味に乏しいものとなる。これに
対して反応温度を35〜45℃で行うと、例え圧搾生果
汁に野性酵母や野性乳酸菌が混入してもこの温度におい
ては死滅または増殖が阻害されるために、殆ど影響を受
けることなく安全に果実酒を得ることができる、また生
果汁中に含まれる酸化酵素が頗る良く働くため、非常に
短時間に反応が終了し、果汁中の好ましいフレーバーの
逸散が防止され、最終製品にまで移行し、芳醇な風味を
有する果実酒を得ることができる。
【0028】
【実施例4】「 ブドウを原料とする果実酒の製造」 原料として、甲州種ブドウを常法により破砕、搾汁し得
られる生果汁を使用した。上記ブドウ生果汁にペクチン
分解酵素スクラーゼ(三共株式会社製)を25ppm添
加溶解し、38〜40℃に加温し、その温度において酸
素を強制的に60分吹込み(接触反応処理し)、処理後
の色度を日立光電光度計を用いて10mmセルの430nm
における吸光度(OD)を測定し、色度を150%増大
させた反応処理果汁を得た。次いで、反応処理果汁を遠
心分離(3,000rpmで10分処理)後、ケイソウ
土濾過し、該処理果汁中の酸化重合物質を除去し、得ら
れた果汁に、ワイン酵母OC−2(日本醸造協会酵母サ
ッカロミセス・セレビシエ、同協会販売)を2%(容
量)相当加え、半密閉容器にて常法により15〜20℃
で2週間発酵を行なった。発酵終了後、常法によりケイ
ソウ土による清澄濾過を行ないワインを得た。なお、比
較の為上記破砕、搾汁し得られるブドウの生果汁に酸化
褐変防止と、野性の微生物の繁殖を防止する目的で亜硫
酸を40ppm添加し、また清澄促進の目的のためスク
ラーゼを25ppmとなるように添加溶解し、常法によ
り処理した後遠心分離(3,000rpmで10分処
理)して、清澄な果汁を得、以下上記と全く同様にワイ
ン酵母を加え、発酵を行なった後、ケイソウ土による清
澄濾過を行ない、次いで酸化褐変防止を目的として亜硫
酸をさらに80ppm添加溶解して対照区のワインを得
た。また、比較の為上記破砕、搾汁し得られるブドウの
生果汁にスクラーゼを25ppm添加溶解し、酸素を吹
込むことなくそのまま、上記と同様に遠心分離して、清
澄な果汁を得、ワイン酵母を加え、発酵を行なった後、
ケイソウ土による清澄濾過を行ない比較例のワインを得
た。次に上記で得られる生果汁と3種類の製品ワイン中
の総タンニンを測定し、また3種類の製品ワインを35
℃の温度で1ヵ月保存した後の色沢を測定し、また官能
検査を実施した。その結果を表4に示す。尚、表中の総
タンニンは、フォリン−デニス(Folin−Deni
s)法;O.Folin&W.Denis,J.Bio
l.Chem.,Vol12,239(1912)によ
り測定して求めた。
【0029】
【表4】
【0030】
【実施例5】「 リンゴを原料とする果実酒の製造」 原料として、ふじ種リンゴを常法により破砕、搾汁し得
られる生果汁を使用した。上記リンゴ生果汁にペクチン
分解酵素スクラーゼ(三共株式会社製)を25ppm添
加溶解し、38〜40℃に加温し、その温度において酸
素を強制的に60分吹込み(接触反応処理し)、処理後
の色度を日立光電光度計を用いて10mmセルの430nm
における吸光度(OD)を測定し、色度を168%増大
させた反応処理果汁を得た。次いで、反応処理果汁を遠
心分離(3,000rpmで10分処理)後、ケイソウ
土濾過し、該処理果汁中の酸化重合物質を除去し、得ら
れた果汁に、ワイン酵母OC−2(日本醸造協会酵母サ
ッカロミセス・セレビシエ、同協会販売)を2%(容
量)相当加え、半密閉容器にて常法により15〜20℃
で2週間発酵を行なった。発酵終了後、常法によりケイ
ソウ土による清澄濾過を行ないリンゴ果実酒を得た。な
お、比較の為上記破砕、搾汁し得られるリンゴの生果汁
に酸化褐変防止と、野性の微生物の繁殖を防止する目的
で亜硫酸を40ppm添加し、また清澄促進の目的のた
めスクラーゼを25ppmとなるように添加溶解し、常
法により処理した後遠心分離(3,000rpmで10
分処理)して、清澄な果汁を得、以下上記と全く同様に
ワイン酵母を加え、発酵を行なった後、ケイソウ土によ
る清澄濾過を行ない、ついで酸化褐変防止のため亜硫酸
を80ppm添加溶解し、対照区のリンゴ果実酒を得
た。また、比較の為上記破砕、搾汁し得られるリンゴの
生果汁にスクラーゼを25ppm添加溶解し、酸素を吹
込むことなくそのまま、上記と同様に遠心分離して、清
澄な果汁を得、ワイン酵母を加え、発酵を行なった後、
ケイソウ土による清澄濾過を行ない比較例のリンゴ果実
酒を得た。次に上記て得られる生果汁と3種類の製品リ
ンゴ果実酒中の総タンニンを測定し、また3種類の製品
ワインを35℃の温度で1ヵ月保存した後の色沢を測定
し、また官能検査を実施した。その結果を表5に示す。
【0031】
【表5】
【0032】
【実施例6】「 モモを原料とする果実酒の製造」 原料として、白鳳種モモを常法により破砕、搾汁し得ら
れる生果汁を使用した。上記モモ生果汁にペクチン分解
酵素スクラーゼ(三共株式会社製)を25ppm添加溶
解し、38〜40℃に加温し、その温度において酸素を
強制的に60分吹込み(接触反応処理し)、処理後の色
度を日立光電光度計を用いて10mmセルの430nmにお
ける吸光度(OD)を測定し、色度を240%増大させ
た反応処理果汁を得た。次いで、反応処理果汁を遠心分
離(3,000rpmで10分処理)後、ケイソウ土濾
過し、該処理果汁中の酸化重合物質を除去し、得られた
果汁に、ワイン酵母OC−2(日本醸造協会酵母サッカ
ロミセス・セレビシエ、同協会販売)を2%(容量)相
当加え、半密閉容器にて常法により15〜20℃で2週
間発酵を行なった。発酵終了後、常法によりケイソウ土
による清澄濾過を行ないモモ果実酒を得た。なお、比較
の為上記破砕、搾汁し得られるモモの生果汁に酸化褐変
防止と、野性の微生物の繁殖を防止する目的で亜硫酸を
40ppm添加し、常法により処理した後遠心分離
(3,000rpmで10分処理)して、清澄な果汁を
得、以下上記と全く同様にワイン酵母を加え、発酵を行
なった後、ケイソウ土による清澄濾過を行ない、次いで
酸化褐変防止のために亜硫酸を80ppm添加溶解し、
対照区のモモ果実酒を得た。また、比較の為上記破砕、
搾汁し得られるモモの生果汁にスクラーゼを25ppm
添加溶解し、酸素を吹込むことなくそのまま、上記と同
様に遠心分離して、清澄な果汁を得、ワイン酵母を加
え、発酵を行なった後、ケイソウ土による清澄濾過を行
ない比較例のモモ果実酒を得た。次に上記て得られる生
果汁と3種類の製品モモ果実酒中の総タンニンを測定
し、また3種類の製品ワインを35℃の温度で1ヵ月保
存した後の色沢を測定し、また官能検査を実施した。そ
の結果を表6に示す。
【0033】
【表6】
【0034】上記実施例4、5及び6の結果から、いず
れの場合も対照の区分は破砕、搾汁し得られる発酵前の
生果汁に褐変防止と、野性の微生物の繁殖を防止する目
的で亜硫酸を高濃度に添加し、また得られた果実酒に
も、褐変防止のためにさらに亜硫酸を高濃度に添加溶解
しなければならない大きな問題点を有しており、また亜
硫酸の添加を無造作に廃止した比較例の区分は、果汁に
含まれる酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ、チロ
シナーゼ等)により、同果汁中の色源体であるポリフェ
ノールが酵素的に酸化褐変を起こし、香味上及び外観、
新鮮味が損われ、また、原料に付着する性質不明の野性
酵母、乳酸菌がたちどころに繁殖して風味良好な果実酒
が得にくくなる問題が発生し、得られる果実酒は、淡褐
色を呈し、酸化臭と雑味を有し商品価値を損う欠点を有
しているが、これに対して、本発明の区分はいずれも、
発酵前の生果汁或いは得られた製品果実酒に対して亜硫
酸の添加が全く行なわれないので、亜硫酸による果実酒
の風味の変化が防止され、また予め選択育種された優良
酵母等が亜硫酸によって生育、繁殖を阻害されることが
ないので、アルコール発酵が頗る旺盛に行なわれるため
に、風味が非常に良好で、また果実酒における色源体で
ある総タンニンが150ppm以下にまで除去されてい
るために、亜硫酸を添加しなくとも、製品の褐変が防止
され、淡麗な色沢が長期間安定に保たれることが判る。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 総タンニンが150ppm以下、且つ総
    亜硫酸が20ppm以下である果実酒。
  2. 【請求項2】 果実類を常法により破砕、搾汁して生果
    汁を得、これに酸素または酸素含有気体を強制的に接触
    反応せしめ、色源体を予め酸化重合させて色度を一旦1
    00〜250%増大させ、次いでこの酸化重合物質を除
    去し、得られた果汁を常法によりアルコール発酵させる
    ことを特徴とする果実酒の製造法 。
  3. 【請求項3】 果実類を常法により破砕、搾汁して生果
    汁を得、これに酸素または酸素含有気体を強制的に接触
    反応せしめ、色源体を予め酸化重合させて色度を一旦1
    00〜250%増大させ、次いでこの酸化重合物質を除
    去して、660nmにおける10mmセルの吸光度が
    0.2以下である清澄果汁を得、次いでこれを常法によ
    りアルコール発酵させることを特徴とする果実酒の製造
    法。
  4. 【請求項4】 酸素または酸素含有気体との接触反応
    が、35〜45℃で行なわれる請求項2または3に記載
    の果実酒の製造法。
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