JP3022762B2 - 先細のブリッスルを持ったブラシの製造方法 - Google Patents

先細のブリッスルを持ったブラシの製造方法

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JP3022762B2
JP3022762B2 JP8040562A JP4056296A JP3022762B2 JP 3022762 B2 JP3022762 B2 JP 3022762B2 JP 8040562 A JP8040562 A JP 8040562A JP 4056296 A JP4056296 A JP 4056296A JP 3022762 B2 JP3022762 B2 JP 3022762B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、先細のブリッス
ルを持ったブラシの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】先細のブリッスルを持ったブラシは既に
知られている。先細のブリッスルを持ったブラシは、と
くに歯ブラシとして使用した場合に、歯と歯の間又は歯
と歯茎との境目を清掃し易く、また歯茎へのあたりが柔
らかくて価値があるとされている。
【0003】先細のブリッスルを持った歯ブラシを製造
するには、まずブリッスルの先をテーパー状に加工して
おき、その後に先細のブリッスルを握り柄に植立すると
いう方法が専ら採用されている。例えば、実公昭61−
10495号公報は、先細のテーパー状に加工された熱
可塑性ポリエステル樹脂製のモノフィラメントをまず作
り、これを先まで同じ太さの同じ樹脂製のモノフィラメ
ントと交互に1つの握り柄に植立し、先細のモノフィラ
メントの先を同じ太さのモノフィラメントの先よりも突
出させて、歯ブラシとすることを記載している。
【0004】また、実開平5−15834号公報は、両
端がテーパー状に先細となったモノフィラメントを束ね
てブリッスルとし、ブリッスルの中央部で折り曲げ、折
り曲げ部を握り柄の孔内に固定して歯ブラシとすること
を記載している。実開平6−154号公報も同様に、両
端が先細となったモノフィラメントをまず作り、これを
ブリッスルとして握り柄に植立して歯ブラシとすること
を記載している。
【0005】特開平7−231813号公報は、先端部
が2つ以上に分割された熱可塑性合成樹脂製のモノフィ
ラメントをブリッスルとして握り柄上に固定した構造の
ブラシを記載し、これを高機能ブラシと呼んでいる。こ
の公報は、このようなブラシの製造方法として、まずブ
リッスルを握り柄に固定しておいて、その後にブリッス
ルの先端部をアルカリ水溶液に浸漬して各モノフィラメ
ントの先を2つ以上に分割することを記載している。
【0006】ところが、特開平7−231813号公報
で用いられるモノフィラメントは、極めて特殊な組成の
ものである。すなわち、このモノフィラメントは、熱可
塑性合成樹脂だけで作られているものではなく、熱可塑
性合成樹脂に水溶性高分子物、具体的にはポリオキシア
ルキレン化合物を加えた組成物で構成されている。ここ
では、ポリオキシアルキレン化合物がアルカリ水溶液中
へ溶け出すことを利用して、先端部が分割されることに
なっている。また、こうして先端部が分割されたモノフ
ィラメントは、分割された先端部と分割されないで残っ
ている基部との間にはっきりした段部が形成され、段部
より先は根元から先まで一様な太さの繊維となってお
り、先がテーパー状に加工されたものとは云えない。そ
の上に、モノフィラメントは基部に未溶出の水溶性高分
子物を含んでいるから、これがブラシの使用中に溶け出
すために、ブリッスルの性質が変わるおそれがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、ブリッ
スルが先細とされた歯ブラシは、まずモノフィラメント
の先を細く加工し、その後に先細のモノフィラメントを
束にして握り柄に植立するという方法によって作られて
いる。従って、この方法ではブリッスルの先を揃えるの
に困難がある。すなわち、モノフィラメントの束を揃え
て一定のところで折り曲げて握り柄上に固定しないと、
ブリッスルの先が揃わないことになるからである。云い
かえると、先細のモノフィラメントでは、普通の歯ブラ
シのように、ブリッスルを握り柄に植立したのち先を切
って揃える、ということができないからである。そこ
で、この困難を解決する必要があった。
【0008】また、特開平7−231813号公報の記
載する高機能ブラシは、ブリッスルを作るのに特殊な水
溶性高分子物を使用しなければならないので、矢張りブ
リッスルの製造に困難があり、またブリッスルが変質す
るという問題があった。
【0009】この発明は、前述のような困難を解消し
て、先細のブリッスルを持ったブラシを容易に得ること
ができる製造方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明者は、これまで
もブリッスルとして用いられて来たポリブチレンテレフ
タレート製のモノフィラメントを、約30%の苛性ソー
ダの水溶液中に100℃で浸漬して、モノフィラメント
の苛性ソーダにより分解される状態を観察した。その結
果、ポリブチレンテレフタレート製のモノフィラメント
は、表面から徐々に分解されて細くなることを確認し
た。そこで、モノフィラメントの表面が分解され、芯が
まだ残っている状態でモノフィラメントをアルカリ水溶
液から取り出すと、ここに先細のモノフィラメントが得
られることを見出した。また、浸漬中にアルカリ水溶液
を部分的に流動させると、流動した水溶液に接している
モノフィラメント部分は、流動しない水溶液に接してい
るモノフィラメント部分よりも、表面がより激しく分解
されることを見出した。
【0011】また、この発明者は、ポリブチレンテレフ
タレート製のモノフィラメントをブリッスルとして握り
柄に植立した歯ブラシを用い、ブリッスルの先を下に向
けてブリッスルの先端部だけを苛性ソーダの水溶液中に
浸漬して、ブラシとされたモノフィラメントの分解され
る状態を観察した。その結果、意外にもモノフィラメン
トの苛性ソーダ水溶液中に浸された部分がテーパー状に
先細となる傾向を持つことを見出した。その原因は、歯
ブラシでは植立されたモノフィラメントの束が先端に行
くに従って先広がりに開き、各モノフィラメントが隣り
との間の間隔を大きく離す状態になっているので、ブリ
ッスルの先では苛性ソーダ水溶液が循環し易く、ブリッ
スルの基部に近づくに従って苛性ソーダ水溶液が循環し
難くなるために、各ブリッスルが先端程激しく分解され
ることになる、という関係によるものと考えられた。
【0012】さらに、この発明者はブリッスルの浸漬中
に苛性ソーダの水溶液を波立たせないようにして静かに
流動させることを試みた。このとき、苛性ソーダ水溶液
をブリッスルの延びる方向と直角に流動させると、ブリ
ッスル中のモノフィラメントが一層顕著に先細となっ
て、モノフィラメントの先端部がテーパー状となること
を見出した。この発明は、このような知見に基づいて完
成されたものである。
【0013】この発明は、樹脂として芳香族ポリエステ
ル樹脂のみからなるモノフィラメントをブリッスルとし
て握り柄上に植立したブラシを材料とし、ブリッスルの
先端がわをアルカリ水溶液に浸漬し、アルカリ水溶液に
よりブリッスル中の各モノフィラメントを表面から徐々
に分解し、各モノフィラメントの芯部が分解されないで
まだ残っているとき、ブリッスルをアルカリ水溶液から
取り出し、洗浄して各モノフィラメントの先を細くする
ことを特徴とする、先細のブリッスルを持ったブラシの
製造方法を提供するものである。
【0014】また、この発明は、ブリッスルの浸漬中に
アルカリ水溶液をブリッスルに対して相対的に流動さ
せ、これによってブリッスル中の各モノフィラメントを
先端に近づくほど激しく分解させて、先端にテーパー状
の傾斜を持たせることを特徴とする方法をも提供するも
のである。
【0015】さらに、この発明は、ポリアミド樹脂製又
はポリオレフィン樹脂製のモノフィラメントがアルカリ
水溶液によって分解されにくいことを利用し、芳香族ポ
リエステル樹脂製のモノフィラメントと、ポリアミド樹
脂製又はポリオレフィン樹脂製のモノフィラメントとを
混合したものをブリッスルとして握り柄に植立してなる
ブラシを材料とし、ブリッスルの先端がわをアルカリ水
溶液に浸漬し、ブリッスル中の芳香族ポリエステル樹脂
製の各モノフィラメントをその表面からアルカリ水溶液
によって徐々に分解し、芳香族ポリエステル樹脂製の各
モノフィラメントの芯部が分解されないでまだ残ってい
るとき、ブリッスルをアルカリ水溶液から取り出し、洗
浄して芳香族ポリエステル樹脂製の各モノフィラメント
の先を細くし、根元から先まで同じ太さのポリアミド樹
脂製又はポリオレフィン樹脂製のモノフィラメント中
に、先の細くなったポリエステル樹脂製のモノフィラメ
ントを混在させたことを特徴とする、先細のブリッスル
を持ったブラシの製造方法をも提供するものである。
【0016】その上に、この発明は、上述の混合ブリッ
スルを持ったブラシを材料として、ブリッスルをアルカ
リ水溶液に浸漬する際に、アルカリ水溶液とブリッスル
とを相対的に移動させ、これによって芳香族ポリエステ
ル樹脂製の各モノフィラメントを先端に近い部分ほど激
しく分解させて、先端にテーパー状の傾斜を持たせるこ
とを特徴とする方法をも提供するものである。
【0017】
【発明実施の形態】この発明では、芳香族ポリエステル
樹脂製のモノフィラメントをブリッスルとして用いる
が、このこと自体は知られており、またこの発明で用い
る芳香族ポリエステル樹脂製のモノフィラメントは、こ
れまで用いられて来たものと変わりがない。芳香族ポリ
エステル樹脂としては、テトラメチレングリコールとテ
レフタール酸とが縮合して得られたポリブチレンテレフ
タレートが好適である。芳香族ポリエステル樹脂製のモ
ノフィラメントとしては、直径が0.01〜0.5mm
の範囲内の一様な直径を持ったものを使用する。
【0018】この発明では、芳香族ポリエステル樹脂製
のモノフィラメントをブリッスルとして握り柄上に植立
したブラシを材料とする。このブラシは、これまで使用
されて来たものと変わりがない。歯ブラシでは握り柄を
通常ポリオレフィン樹脂で作り、ブリッスルを植立する
ための穴として2〜50穴、普通は10〜40穴を設け
ている。モノフィラメントは2〜130本の束として、
普通は10〜50本の束として、その中央部を2つ折り
にして折り曲げ部を上記の穴に挿入し、折り曲げ部の中
へ金属片、普通はアルミニウム片を打ち込んで穴から脱
出しないように固定する。こうして固定されたモノフィ
ラメントは握り柄の表面から5.0〜15.0mmの突
出した状態となってブリッスルとされる。
【0019】この発明では、ブリッスルを処理するのに
アルカリ水溶液を用いる。アルカリ水溶液としては10
〜80%の濃度のものを用いる。そのうちでは、30〜
60%のものを用いるのが好ましい。また、アルカリ水
溶液は、20〜150℃の温度範囲で行うことができる
が、そのうちでは80〜120℃で行うことが好まし
い。
【0020】この発明では、ブリッスルの先端がわをア
ルカリ水溶液に浸漬する。このためには、アルカリ水溶
液の上方にブラシを配置し、ブリッスルを下に向けて握
り柄をアルカリ水溶液の表面と平行に支持し、ブラシを
アルカリ水溶液に近づけ、ブリッスルの先端がわがアル
カリ水溶液に浸漬された時点でそれ以上近づけるのを止
め、その状態に暫く維持して浸漬を行う。
【0021】ブリッスルの先端がわをアルカリ水溶液中
に浸漬すると、ブリッスル中の各モノフィラメントは、
アルカリ水溶液により表面から徐々に分解される。すな
わち、モノフィラメントは芳香族ポリエステル樹脂で作
られているから、アルカリ水溶液に接触すると加水分解
されて芳香族の二塩基酸と二価アルコールとを生成し、
二塩基酸はさらにアルカリ水溶液によってアルカリ塩と
なる。アルカリ塩と二価アルコールとは、何れもアルカ
リ水溶液に溶解するものであるから、各モノフィラメン
トはアルカリ水溶液に接触する限り、表面から分解され
て細くなる。
【0022】このとき、ブラシでは植立されたモノフィ
ラメントの各束が先ほど広がる状態となっている。すな
わち、握り柄の1つの穴に束となって植立されたモノフ
ィラメントの束は先端では隣との間が開いているが、元
では接近した状態となっている。このため、アルカリ水
溶液は各モノフィラメントの先端では流通し易いが、各
モノフィラメントの元では流通し難くなっている。その
結果、各モノフィラメントは、先端では分解がよく進行
するが、元では余り進行しない。こうして分解の結果、
各モノフィラメントは先ほど細くなる傾向を持ち、いわ
ゆるテーパー状となる。
【0023】この発明では、芳香族ポリエステル樹脂の
モノフィラメントが、先端部で表面からアルカリ水溶液
により徐々に分解されるが、モノフィラメントの芯部が
分解されないでまだ残っているときに、ブリッスルをア
ルカリ水溶液から取り出す。芯部が残っている状態は肉
眼でも見ることができるが、浸漬中にどの程度の芯部が
残っているかはポリエステル樹脂の特性、アルカリ水溶
液の濃度及び温度との関係から大よそ見当を付けること
ができる。アルカリ水溶液の濃度が高いほど、またアル
カリ水溶液の温度が高いほど、ポリエステル樹脂は分解
され易いので、浸漬時間を短くする。余りに長時間浸漬
を続けると、モノフィラメントは浸漬部分をすべて分解
されて短いものとなるから注意を要する。浸漬時間は1
〜60分とすることができ、そのうちでは5〜30分と
するようにアルカリ水溶液の濃度と温度とを調節するこ
とが好ましい。
【0024】こうして先細にされたモノフィラメントか
ら成るブリッスルは、アルカリ水溶液から取り出された
のち、直ちに洗浄される。洗浄は、水だけで行うことも
できるが、初め酸、とくに硫酸で洗浄し、次いで水で洗
浄することもできる。ブリッスルを洗浄されたブラシ
は、乾燥してそのまま先細のブリッスルを持ったブラシ
として使用できる。
【0025】この発明では、ブリッスルの先端がわをア
ルカリ水溶液に浸漬している間、アルカリ水溶液とブリ
ッスルとを相対的に移動させることによって、ブリッス
ル中の各モノフィラメントの分解を促進又は助長するこ
とができる。相対的に移動させるというのは、アルカリ
水溶液を固定しておいてブリッスルを移動させてもよ
く、逆にブリッスルを固定しておいてアルカリ水溶液を
流してもよいことを意味している。ブリッスル側を移動
させる場合にはブラシをベルトなどに固定してベルトを
アルカリ水溶液に沿って静かに移動又は回転させ、その
間にブリッスルがアルカリ水溶液中に浸漬されるように
することが好ましい。何れにしても移動の間には、アル
カリ水溶液の表面が波立たないようにすることが望まし
い。
【0026】以上は、ブリッスルとして芳香族ポリエス
テル樹脂製のモノフィラメントだけを用いた場合につい
て説明したが、この発明は芳香族ポリエステル樹脂製の
モノフィラメントと並んで、他の樹脂製のモノフィラメ
ントを使用することにより、特異のブラシを作ることが
できる。他の樹脂としては、例えばポリアミド樹脂又は
ポリオレフィン樹脂を用いる。芳香族ポリエステル樹脂
は、前述のようにアルカリ水溶液で徐々に分解される
が、ポリアミド樹脂又はポリオレフィン樹脂はアルカリ
水溶液によって分解されないので、これらの樹脂で作ら
れたモノフィラメントを混用した場合には、アルカリ水
溶液の浸漬によって、芳香族ポリエステル樹脂製のモノ
フィラメントは先細となり、ポリアミド樹脂製又はポリ
オレフィン樹脂製のモノフィラメントは根元から先まで
同じ大きさのままになっており、従って先細のモノフィ
ラメントとそうでない普通のモノフィラメントとが混在
しているブリッスルを持ったブラシを作ることができ
る。
【0027】異なった樹脂で作られたモノフィラメント
を混在させる場合には2種類のタイプがある。1つのタ
イプは、1つの穴には同じ樹脂で作られたモノフィラメ
ントだけが植立されるが、隣接する穴間では異なった樹
脂で作られたモノフィラメントが植立される場合であ
る。他のタイプは、1つの穴内に異なった樹脂で作られ
た2種以上のモノフィラメントが混合して植立される場
合である。図1及び図2は、前者に相当する場合の歯ブ
ラシを示し、図4は後者に相当する場合の歯ブラシを示
している。
【0028】詳述すると、図1は歯ブラシをブリッスル
の先端側から見た図であり、図2は図1のII−II線断面
図である。図1では握り柄Aに穴があけられ、そこにブ
リッスルが植立されているが、黒丸の穴には芳香族ポリ
エステル樹脂製のモノフィラメント1だけが植立されて
おり、白丸の穴にはポリアミド樹脂製のモノフィラメン
ト2だけが植立されている。そのうち、芳香族ポリエス
テル樹脂製のモノフィラメント1は、ポリアミド樹脂製
のモノフィラメント2よりも突出して植立されている。
【0029】図1及び図2に示した歯ブラシを作るに
は、初めに図3に示したような歯ブラシを作り、これを
材料としてこの発明方法を実施する。図3に示された歯
ブラシは、芳香族ポリエステル樹脂製のモノフィラメン
ト3がポリアミド樹脂製のモノフィラメント2よりも突
出して植立されている。図3に示したようなブリッスル
の先端がわをアルカリ水溶液中に浸漬すると、ポリエス
テル樹脂製のモノフィラメント3はアルカリ水溶液によ
って分解されるが、ポリアミド樹脂製のモノフィラメン
ト2は分解されないで、そのまま残る。このために、芳
香族ポリエステル樹脂製のモノフィラメント3は先細と
なり、図2に示したようなブラシが得られる。
【0030】なお、図3に示した歯ブラシは、ポリエス
テル樹脂製のモノフィラメント3を植立する工程と、ポ
リアミド樹脂製のモノフィラメント2を植立する工程と
を別々に行い、従来の植立工程を2回行うだけでこれを
製造することができる。従って、材料の製造は容易であ
る。
【0031】図1及び図2に示した歯ブラシは、先細の
モノフィラメント1が先まで同じ太さのモノフィラメン
ト2よりも突出しているので、押し付ける力の強弱によ
り、モノフィラメント2を接触させたり接触させないで
おくことができ、これによって効果を異ならしめること
ができる。すなわち、歯ブラシを軽く押し付けるだけの
ときは、先細のモノフィラメント1が接触することとな
るので、歯茎への当たりが柔らかく、また歯と歯の間又
は歯と歯茎との間の細かい隙間までもブリッスルを侵入
させて、細かい食べ滓までも容易に取り除くことができ
る。また歯ブラシを強く押し付けるときは、先まで同じ
太さのモノフィラメント2が当接することとなり、従っ
て歯に付着した食べ滓を強い力で取り除くことができ
る。図1及び図2に示した歯ブラシはこのような利点を
もたらす。
【0032】図4は、先細のモノフィラメントと先まで
同じ太さのモノフィラメント2とが入り交じって、握り
柄Aの各穴に植立された歯ブラシの断面を示している。
このような歯ブラシを作るには、まず芳香族ポリエステ
ル樹脂製のモノフィラメントとポリプロピレン樹脂製の
モノフィラメントとを混合し、この混合物を従来法によ
って植毛して歯ブラシとし、この歯ブラシを材料として
この発明方法を実施することによって容易に作ることが
できる。この歯ブラシは、先細のモノフィラメントによ
る効果が図2に示した歯ブラシほど顕著ではないが、そ
れでも一部のモノフィラメントが先細となっているの
で、図2に示したものに相当する効果をもたらすことと
なっている。
【0033】
【発明の効果】この発明方法によれば、芳香族ポリエス
テル樹脂製のモノフィラメントをブリッスルとして握り
柄上に植立したブラシを材料とするから、この材料は普
通のブラシの製造方法によって作ることができ、従って
材料の製造が容易である。またこの発明では、この材料
を使用し、ブリッスルの先を下に向けてブリッスルの先
端がわをアルカリ水溶液に浸漬するだけで、各モノフィ
ラメントを徐々に分解させることができ、あとは各モノ
フィラメントの芯部が分解されないでまだ残っている時
期を見定め、この時期にブリッスルをアルカリ水溶液か
ら取り出し、洗浄するだけで各モノフィラメントの先を
細くすることができるから、先細のブリッスルを持った
ブラシの製造が容易である。さらに、浸漬中にアルカリ
水溶液とブリッスルとを相対的に移動させることによ
り、芳香族ポリエステル樹脂製のモノフィラメントの分
解を促進させ、これによってモノフィラメントの先をテ
ーパー状に顕著に先細とすることができるので、一層有
利である。
【0034】また、この発明方法によれば、芳香族ポリ
エステル樹脂製のモノフィラメントと、ポリアミド樹脂
製又はポリオレフィン樹脂製のモノフィラメントとの混
合物をブリッスルとして握り柄上に植立してなるブラシ
を材料とするから、この材料は普通のブラシの製造法に
よって作ることができ、従って材料の製造が容易であ
る。また、この発明方法によれば、この材料を使用し、
あとは芳香族ポリエステル樹脂製のモノフィラメントだ
けを植立したブラシの場合と全く同様に、アルカリ水溶
液に浸漬し、芳香族ポリエステル樹脂製のモノフィラメ
ントの芯部が分解されないでまだ残っている時期を見定
め、ブリッスルをアルカリ水溶液から取り出し、洗浄す
るだけで、先細のモノフィラメントと先まで同じ太さの
モノフィラメントとが混在したブラシを得ることがで
き、こうして先細のブリッスルを持ったブラシを容易に
得ることができる。さらに、浸漬中にアルカリ水溶液と
ブリッスルとを相対的に移動させて、先細の程度を顕著
にすることができるので便利である。この発明は、この
ような利益を与えるものである。
【0035】
【実施例】以下に実施の一例を挙げて、この発明方法を
さらに具体的に説明する。
【0036】この実施例では、芳香族ポリエステル樹脂
製のモノフィラメントとして、ポリブチレンテレフタレ
ート製の太さ0.2mm、長さ24mmのモノフィラメ
ントを用い、ポリアミド樹脂製のモノフィラメントとし
てナイロン6−10、6−12製の太さ0.2mm、長
さ20mmのモノフィラメントを用いた。
【0037】握り柄としては、図1及び図2に示したよ
うな歯ブラシ柄を用意した。上記ポリブチレンテレフタ
レート製のモノフィラメントを22本±2本集めて1つ
の束にし、その中間点で束を2つ折りにして、この束を
図1の黒丸で示した各穴に植立した。そのあとで、同様
にポリアミド樹脂製のモノフィラメントを22本±2本
集めて1つの束にし、その中間点で束を2つ折りにし
て、この束を図1の白丸で示した各穴に植立した。その
結果、図3に示したような突出程度に差のある歯ブラシ
を得た。この歯ブラシを材料としてこの発明方法の処理
を行った。
【0038】アルカリ水溶液としては30%の苛性ソー
ダ水溶液を100℃に加熱して用いた。上で得た歯ブラ
シをこの苛性ソーダ水溶液の上方に位置させ、ブリッス
ルの先を下に向けて握り柄を水溶液の表面と平行に延ば
して固定し、この状態で歯ブラシを下方に移動させて、
ブリッスルの先端がわを苛性ソーダ水溶液に浸漬した。
浸漬は、握り柄の植立面が苛性ソーダ水溶液の表面から
ほぼ4mmの高さのところに位置するようにした。この
状態で15分間浸漬しその間苛性ソーダ水溶液を表面が
波立たないように攪拌し続けた。浸漬後ブリッスルを苛
性ソーダ水溶液から取り出し、水洗し乾燥して先細のブ
リッスルを持ったブラシを得た。
【0039】得られたブラシは、図2に示したように、
ポリブチレンテレフタレート製のモノフィラメントがテ
ーパー状に先細となったが、ポリアミド樹脂製のモノフ
ィラメントは先まで同じ太さのままとなっていた。この
ブラシは、歯ブラシとして使用すると、軽く押し付けた
場合には柔らかな感じがして細かい歯の隙間までよく綺
麗にすることができ、強く押し付けた場合には固くこび
りついたものを剥がすことができ、またマッサージ効果
も大きくて歯ブラシとして有用なものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明方法によって作られた歯ブラシの平面
図である。
【図2】図1に示した歯ブラシのII−II線断面図であ
る。
【図3】図1及び図2に示した歯ブラシを作るための材
料の図2と同様な断面図である。
【図4】この発明方法によって作られた歯ブラシの図2
と同様な断面図である。
【符号の説明】
1、3 芳香族ポリエステル樹脂製のモノフィ
ラメント 2 ポリアミド樹脂製のモノフィラメント A 握り柄
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−231813(JP,A) 特開 平7−197320(JP,A) 特公 昭49−6159(JP,B1) 特表 平7−506142(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A46D 1/05 A46B 9/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂として芳香族ポリエステル樹脂のみ
    からなるモノフィラメントをブリッスルとして握り柄上
    に植立したブラシを材料とし、ブリッスルの先端がわを
    アルカリ水溶液に浸漬し、アルカリ水溶液によりブリッ
    スル中の各モノフィラメントを表面から徐々に分解し、
    各モノフィラメントの芯部が分解されないでまだ残って
    いるとき、ブリッスルをアルカリ水溶液から取り出し、
    洗浄して各モノフィラメントの先を細くすることを特徴
    とする、先細のブリッスルを持ったブラシの製造方法。
  2. 【請求項2】 樹脂として芳香族ポリエステル樹脂のみ
    からなるモノフィラメントをブリッスルとして握り柄上
    に植立したブラシを材料とし、ブリッスルの先端がわを
    アルカリ水溶液に浸漬し、アルカリ水溶液によりブリッ
    スル中の各モノフィラメントを表面から徐々に分解し、
    アルカリ水溶液とブリッスルとを相対的に移動させて分
    解を促進し、各モノフィラメントの芯部が分解されない
    でまだ残っているとき、ブリッスルをアルカリ水溶液か
    ら取り出し、洗浄して各モノフィラメントの先を細くす
    ることを特徴とする、先細のブリッスルを持ったブラシ
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 芳香族ポリエステル樹脂製のモノフィラ
    メントと、ポリアミド樹脂製又はポリオレフィン樹脂製
    のモノフィラメントの混合物をブリッスルとして握り柄
    上に植立してなるブラシを材料とし、ブリッスルの先端
    がわをアルカリ水溶液に浸漬し、ブリッスル中の芳香族
    ポリエステル樹脂製の各モノフィラメントをその表面か
    らアルカリ水溶液によって徐々に分解し、芳香族ポリエ
    ステル樹脂製の各モノフィラメントの芯部が分解されな
    いでまだ残っているとき、ブリッスルをアルカリ水溶液
    から取り出し、洗浄して芳香族ポリエステル樹脂製の各
    モノフィラメントの先を細くし、根元から先まで同じ太
    さのポリアミド樹脂製又はポリオレフィン樹脂製のモノ
    フィラメントと、先の細くなったポリエステル樹脂製の
    モノフィラメントを混在させたことを特徴とする、先細
    のブリッスルを持ったブラシの製造方法。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリエステル樹脂製のモノフィラ
    メントと、ポリアミド樹脂製又はポリオレフィン樹脂製
    のモノフィラメントとの混合物をブリッスルとして握り
    柄上に植立してなるブラシを材料とし、ブリッスルの先
    端がわをアルカリ水溶液に浸漬し、ブリッスル中の芳香
    族ポリエステル樹脂製の各モノフィラメントを表面から
    アルカリ水溶液によって徐々に分解し、アルカリ水溶液
    とブリッスルとを相対的に移動させて分解を促進し、芳
    香族ポリエステル樹脂製の各モノフィラメントの芯部が
    分解されないでまだ残っているとき、ブリッスルをアル
    カリ水溶液から取り出し、洗浄して芳香族ポリエステル
    樹脂製の各モノフィラメントの先を細くし、根元から先
    まで同じ太さのポリアミド樹脂製又はポリオレフィン樹
    脂製のモノフィラメントと、先の細くなったポリエステ
    ル樹脂製のモノフィラメントとを混在させたことを特徴
    とする、先細のブリッスルを持ったブラシの製造方法。
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