JP2001169829A

JP2001169829A - 歯ブラシ用毛材

Info

Publication number: JP2001169829A
Application number: JP36065399A
Authority: JP
Inventors: Kunio Yamada; 国夫山田; Makoto Mizuta; 誠水田; Junko Natsui; 順子夏井
Original assignee: Toray Monofilament Co Ltd
Current assignee: Toray Monofilament Co Ltd
Priority date: 1999-12-20
Filing date: 1999-12-20
Publication date: 2001-06-26

Abstract

(57)【要約】【課題】すぐれた強度及び清掃性を保持しながら、歯
との摩擦抵抗を高め、歯肉を痛めることなく、歯と歯の
隙間に付着した異物や歯垢を効果的に除去することがで
きる歯ブラシ用毛材を提供する。【解決手段】本発明の歯ブラシ用毛材は、ポリエステ
ル系モノフィラメントのカットブリッスルからなる歯ブ
ラシ用毛材であって、前記ポリエステル系モノフィラメ
ントが異形断面形状からなると共に、前記カットブリッ
スルの少なくとも一端にテーパー部を形成したことを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、すぐれた強度及び
清掃性を保持しながら、歯との摩擦抵抗を高め、歯肉を
痛めることなく、歯と歯の隙間に付着した異物や歯垢を
効果的に除去することができる歯ブラシ用毛材に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、合成樹脂製歯ブラシ用毛材の形態
としては、ラウンド型、テーパー型、先球型、およびカ
ットのみのままなどの多種多様な形態がとられている
が、なかでも、歯周ポケット中の異物や歯垢をより効果
的に除去する機能を付与するためには、毛先をテーパー
化した毛材が最適であると考えられている。

【０００３】そして、毛先をテーパー化した歯ブラシ用
毛材に対する要求特性としては、合成樹脂製モノフィラ
メントからなるカットブリッスルの先端がテーパー状に
先細りになり、歯と歯との間に入り込み易い形状を確保
可能であることが先ず第１に挙げられるが、従来の毛先
をテーパー化した歯ブラシ用毛材は、そのテーパー化部
分が丸断面からなっていたために、毛先の表面が比較的
滑らかであり、歯に付着した汚れや異物を除去する性
能、つまり歯の清掃性が劣るという問題があった。

【０００４】上記の問題を改良した歯ブラシ用毛材とし
ては、合成樹脂製モノフィラメントからなるカットブリ
ッスルの毛先に、テーパー化部分と、１００μ単位の痘
痕状および／または蛇腹状の凹凸とを同時に形成したも
のが、特開平８−４７４２３号公報により知られている
が、この歯ブラシ用毛材は、その凹凸部分のピッチが１
００μ前後と大きく、これを歯ブラシに適用した際には
凹凸部分の中心直径が２００μ前後となるために、この
凹凸部分に起因して折損を招き易く、強度及び耐久性に
劣るばかりか、必ずしも満足のいく歯垢除去効果が得ら
れないという問題があった。

【０００５】一方、側面に鋭い稜線を有する合成繊維の
一端側を分解または溶解処理することによって得られる
尖鋭化合成繊維が、特開昭５６−４３４７１号公報およ
び特開昭５６−４３４７２号公報により知られている
が、この尖鋭化合成繊維は、毛筆などのいわゆる獣毛調
代替用途を指向するものであって、細く毛腰の弱いもの
であるため、歯ブラシ用毛材には到底適用できないもの
であった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。

【０００７】したがって、本発明の目的は、すぐれた強
度及び清掃性を保持しながら、歯との摩擦抵抗を高め、
歯肉を痛めることなく、歯と歯の隙間に付着した異物や
歯垢を効果的に除去することができる歯ブラシ用毛材を
提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の歯ブラシ用毛材は、ポリエステル系モノ
フィラメントのカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛
材であって、前記ポリエステル系モノフィラメントが異
形断面形状からなると共に、前記カットブリッスルの長
さが２０〜３５ｍｍであり、かつその少なくとも一端に
テーパー部を形成してなることを特徴とする。

【０００９】なお、本発明の歯ブラシ用毛材において
は、前記ポリエステルモノフィラメントの断面形状が扁
平または矩形であって、その場合には前記ポリエステル
系モノフィラメントの断面形状において長径／短径で示
される径比が１〜４の範囲にあり、かつ短径が０．１〜
０．３ｍｍ、長径が０．１〜１．２ｍｍの範囲にあるこ
とが好ましい。

【００１０】また、本発明の歯ブラシ用毛材において
は、前記ポリエステル系モノフィラメント断面形状が凹
状部と凸状部を複数有する多葉形であって、その場合に
は前記ポリエステル系モノフィラメントの断面形状にお
いて外接円直径／内接円直径で示される断面変形度が
１．１〜４．０の範囲にあり、凸状部数が３〜８、かつ
外接円直径が０．１２〜０．３０ｍｍφの範囲にあるこ
とが好ましい。

【００１１】さらに、本発明の歯ブラシ用毛材において
は、前記カットブリッスルの両端にテーパー部を形成す
ることが望ましい。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の歯ブラシ用毛材
についてさらに詳細に説明する。

【００１３】本発明の歯ブラシ用毛材の素材としては、
テーパー部を形成する必要性から、アルカリ水溶液によ
り容易に加水分解される性質をもつポリエステル系モノ
フィラメント、具体的にはポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、あるいはこれらを主
体とする共重合ポリエステルから、常法にしたがって製
造されたポリエステル系モノフィラメントが使用され
る。

【００１４】なお、ポリエステル系モノフィラメント
は、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、耐熱剤、
耐候剤、可塑剤および着色剤などの通常の添加剤を任意
に含むことができる。

【００１５】そして、本発明の歯ブラシ用毛材は、上記
ポリエステル系モノフィラメントを所望の長さに切断し
たカットブリッスルの形状で実用に供されるが、上記ポ
リエステル系モノフィラメントが異形断面形状からなる
と共に、上記カットブリッスルの少なくとも一端、好ま
しくは両端にテーパー部を形成したことが重要な要件で
ある。

【００１６】ポリエステル系モノフィラメントの異形断
面形状としては、図１ａおよびｂに示したような扁平お
よび矩形、或いは図１ｃ〜ｆに示したような多葉形が挙
げられる。

【００１７】異形断面形状が扁平または矩形の場合は、
長径／短径で示される径比が１〜４の範囲にあり、かつ
短径が０．１〜０．３ｍｍ、長径が０．１〜１．２ｍｍ
の範囲にあることが好ましく、このように設定すること
によって、繊維の腰が適度に強く、歯茎を痛めることの
ない歯ブラシ用毛材を得ることができる。

【００１８】また、異形断面形状が凹状部と凸状部を複
数有する多葉形の場合は、外接円直径／内接円直径で示
される断面変形度が１．１〜４．０の範囲にあり、凸状
部数が３〜８で、かつ外接円直径が０．１２〜０．３０
ｍｍであることが好ましく、このように設定することに
よって、摩擦抵抗を低下することなく、歯ブラシに植毛
する際の植毛性に優れ、清掃効果を十分に満たした歯ブ
ラシ用毛材を得ることができる。。

【００１９】なお、ポリエステル系モノフィラメントの
断面形状が真円の場合や、凸状部数が９を越える多葉形
の場合には、優れた歯の清掃効果を期待することができ
ない。

【００２０】本発明におけるカットブリッスルの長さ
は、適用する歯ブラシの種類によって適宣選択される
が、通常は２０〜３５ｍｍ、特に２５〜３５ｍｍの範囲
が好適である。

【００２１】本発明の歯ブラシ用毛材においては、異形
断面を有するカットブリッスルの少なくとも一端もしく
は両端をテーパー部を形成したことを特徴としている。

【００２２】すなわち本発明の歯ブラシ用毛材は、多数
のカットブリッスルを束ねて、その一端側または両端側
を水酸化ナトリウム水溶液に代表される溶剤で処理する
ことによって、多数のテーパー化したカットブリッスル
を一挙に得る方法により製造されることが望ましく、こ
の場合には一度で大量のカットブリッスルの先端テーパ
ー化処理を行うことができ、工程的にも優れた効果を得
ることができる。

【００２３】溶剤処理によるカットブリッスルのテーパ
ー加工の程度は、例えばテーパー部の根元部直径を１０
０％としたときに、テーパーの先端から１ｍｍ位置での
直径が３５±１５％、同じく３ｍｍ位置で７０±２０
％、同じく５ｍｍ位置で８５±１０％となるような範囲
であることが好ましい。

【００２４】このようにして溶剤による先端テーパー化
を行うことにより、矩形、扁平断面形状のカットブリッ
スルの場合には、テーパー部先端が線状となり、また凹
状部と凸状部を複数有する多葉断面形状のカットブリッ
スルの場合は、テーパー部先端が点状になるが、いずれ
の場合にもテーパー部先端を除いたストレート部分やテ
ーパー部分は、異形断面形状をそのまま維持したものと
なる。

【００２５】したがって、本発明の歯ブラシ用毛材を用
いて製造した歯ブラシを使用する場合には、強度及び清
掃性を保持しながら、毛材と歯との摩擦抵抗が高めら
れ、しかも細部への挿入性および到達性が一層改良され
るため、歯肉を痛めることなく、歯と歯の隙間に付着し
た異物や歯垢を効果的に除去することができる。

【００２６】なお、本発明の歯ブラシ用毛材を用いて歯
ブラシを製造する方法には特に制限はなく、例えばカッ
トブリッスルの長手方向中央部を折り曲げてこれを歯ブ
ラシ基台の植毛穴へ植毛する方法などの通常の方法によ
り製造することができる。

【００２７】

【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明の構成および
効果についてさらに詳細に説明する。

【００２８】なお、実施例における各性能の評価は次の
方法に従って行った。［歯肉のマッサージ効果］１０人
パネラーに実際に歯ブラシを使用依頼した場合のマッサ
ージ効果の官能評価結果を、次の判定１〜５としてとり
まとめた。

【００２９】判定：１・・・すこぶる良好２・・・良好３・・・普通４・・・効果小５・・・全く効果なし。［歯間挿入性］１０人パネラーに実際に歯ブラシを使用
依頼した場合の歯間挿入性の官能評価結果を、次の判定
１〜５としてとりまとめた。

【００３０】判定：１・・・毛先が歯と歯の隙間の奥ま
で到達して清掃性極めて良好２・・・清掃性良好３・・・普通４・・・毛先が歯と歯の隙間に少ししか挿入できない５・・・毛先が歯と歯の隙間に挿入できない。［ソフト感］１０人パネラーに実際に歯ブラシを使用依
頼した場合のソフト感の官能評価結果を、次の判定１〜
５としてとりまとめた。

【００３１】判定：１・・・毛先の歯や歯肉への当たり
がソフトで使用感良好２・・・使用感やや良好３・・・普通４・・・毛先の歯や歯肉への当たりがやや硬い５・・・毛先の歯や歯肉への当たりが硬く使用感不良。［清掃率］２枚のアクリル板の間に隙間を設けることに
より、擬似歯のモデルを作製し、溝部の隙間を０．０
５、０．１００および０．２００ｍｍと３種類設定（深
さ２ｍｍ）した。

【００３２】この擬似歯のモデルの溝部にあらかじめ歯
科咬合チェック用スプレー（ＯＣＣＵＬＵＤＥ）で見か
けの汚れを付着させ、各ブラシ用毛材から製造した歯ブ
ラシを用いて、負荷３００ｇ、３分間の条件でブラッシ
ングを行った。

【００３３】ブラッシング後に清掃できた面積を、見か
け汚れ付着面積に対する百分率で表示した。［実施例１〜６、比較例１〜３］極限粘度１．００のポ
リブチレンテレフタレートを原料に用い、これを常法に
したがって溶融紡糸、延伸（延伸倍率×４．５）するこ
とにより、図１に示すａ形状の短辺０．１３ｍｍ×長辺
０．３００ｍｍの楕円断面、図１ｂに示す形状の短辺、
長辺とも０．２０ｍｍの矩形断面、および図１に示す
ｃ、ｄ、ｅ、ｆ形状の外形０．２ｍｍの多葉断面の各ポ
リエステルモノフィラメントを得た。

【００３４】また、比較のため、図１に示すｇ形状の外
形０．２ｍｍの真円断面のポリエステルモノフィラメン
ト、および図１に示すｈ形状の外形０．２ｍｍの多葉断
面（凸状部数：１０）のポリエステルモノフィラメント
を得た。

【００３５】得られた各ポリエステルモノフィラメント
を、それぞれ束径４８ｍｍに紙巻きした束を３０ｍｍに
切断したカットブリッスル束（繊維束）を、ステンレス
製のカゴ内に、その底辺に対し繊維軸方向が垂直になる
ように収納し、このカゴを１１０℃に調整した水酸化ナ
トリウムの４０重量％水溶液内に、上記繊維束の一端部
分が浸漬するように配置して８０分間処理した後、上記
繊維束を逆方向にし、この繊維束の他端部分が浸漬する
ように配置して同様に８０分間アルカリ処理した。次い
で、十分水洗し、脱水、乾燥することにより、各両端テ
ーパー化ブリッスルを得た。

【００３６】次いで、上記で得られた各両端テーパー化
ブリッスルを歯ブラシ基台に植毛し、この歯ブラシの使
用感官能評価ならびに清掃性を評価した結果を表１に示
す。

【００３７】なお、比較のため、図１に示すｃ形状の外
形０．２ｍｍの多葉断面のポリエステルモノフィラメン
トについては、テーパー化しないブリッスルをそのまま
歯ブラシ基台に植毛した場合についても評価した（比較
例３）。

【００３８】

【表１】表１の結果から明らかなように、本発明の歯ブラシ用毛
材（実施例１〜６）によれば、本発明の条件を満たさな
いの歯ブラシ用毛材（比較例１〜３）に比較して、歯肉
のマッサージ効果、歯間挿入性、ソフト感および清掃性
が均衡して優れている。

【００３９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の歯ブラシ
用毛材によれば、すぐれた強度及び清掃性を保持しなが
ら、歯との摩擦抵抗を高め、歯肉を痛めることなく、歯
と歯の隙間に付着した異物や歯垢を効果的に除去するこ
とができるため、歯の清掃性に優れ、かつ歯肉へのマッ
サージ効果に優れた歯ブラシを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１ａ〜ｅは本発明の歯ブラシ用毛材の断面図
であり、図１ｇおよびｈは本発明の条件を満たさない歯
ブラシ用毛材の断面図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者夏井順子愛知県岡崎市昭和町字河原１番地東レ・モノフィラメント株式会社内Ｆターム(参考） 3B202 AA06 AB02 AB30 EA01 EB13 EB14 4L035 BB31 BB91 CC20 DD02 DD14 FF01 FF04

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ポリエステル系モノフィラメントのカッ
トブリッスルからなる歯ブラシ用毛材であって、前記ポ
リエステル系モノフィラメントが異形断面形状からなる
と共に、前記カットブリッスルの長さが２０〜３５ｍｍ
であり、かつその少なくとも一端にテーパー部を形成し
てなることを特徴とする歯ブラシ用毛材。
【請求項２】前記ポリエステル系モノフィラメントの
断面形状が扁平または矩形であることを特徴とする請求
項１に記載の歯ブラシ用毛材。
【請求項３】前記ポリエステル系モノフィラメントの
断面形状において、長径／短径で示される径比が１〜４
の範囲にあり、かつ短径が０．１〜０．３ｍｍ、長径が
０．１〜１．２ｍｍの範囲にあることを特徴とする請求
項１または２に記載の歯ブラシ用毛材。
【請求項４】前記ポリエステル系モノフィラメント断
面形状が凹状部と凸状部を複数有する多葉形であること
を特徴とする請求項１に記載の歯ブラシ用毛材。
【請求項５】前記ポリエステル系モノフィラメントの
断面形状において、外接円直径／内接円直径で示される
断面変形度が１．１〜４．０の範囲にあり、凸状部数が
３〜８、かつ外接円直径が０．１２〜０．３０ｍｍφの
範囲にあることを特徴とする請求項１または４に記載の
歯ブラシ用毛材。
【請求項６】前記カットブリッスルの両端にテーパー
部を形成してなることを特徴とする請求項１〜５に記載
の歯ブラシ用毛材。