JP3022050B2 - 制御装置 - Google Patents

制御装置

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JP3022050B2
JP3022050B2 JP5116643A JP11664393A JP3022050B2 JP 3022050 B2 JP3022050 B2 JP 3022050B2 JP 5116643 A JP5116643 A JP 5116643A JP 11664393 A JP11664393 A JP 11664393A JP 3022050 B2 JP3022050 B2 JP 3022050B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は少なくとも積分演算を行
なう制御装置に係り、例えば温度、圧力、流量等のプロ
セス量を制御するプロセス制御ループ系や、産業用ロボ
ット等の機械装置を制御するメカニカル制御ループ系、
その他汎用の制御ループ系に用いて好適する制御装置の
改良であり、更に詳しくはその制御装置における積分演
算部分の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の制御装置としては、目標値SV
と制御対象からの入力信号PVとの制御偏差eを比例演
算(P)、積分演算(I)および微分演算(D)して得
た出力信号MVでその制御対象を制御する、いわゆるP
ID制御が主流である。このPID制御では、積分演算
が入力信号PVと目標値SVとの定常的な制御偏差eを
「零」にする機能を有する反面、目標値SVの変更によ
る大きな制御偏差eの発生に対して常に積分演算を実行
すると、図8および図9に示すように、過積分となって
入力信号PVが目標値SVを行過ぎてしまう、いわゆる
リセットワインドアップ現象が発生する。なお、図8は
制御装置をシミュレーション動作させたときの演算値
(P、I)の動きを示しており、図9は図8に対応する
入力信号PVおよび出力信号MVの動きを示している。
【0003】従来、積分演算を含む制御装置では、その
リセットワインドアップ現象を防ぐために、積分演算を
抑制する機能すなわちアンチ・リセットワインドアップ
機能を付加するのが一般的である。図10はその機能を
備えた従来の制御装置の一例を示すブロック図である。
この制御装置では、目標値SV(n)から入力信号PV
(n)を減算部1で減算して得た制御偏差e(n)を比
例演算部3、微分演算部5および積分演算部7に加え、
これら比例演算部3、微分演算部5および積分演算部7
からの演算出力P(n)、D(n)、I(n)を加算部
9で加算して得たPID出力PID(n)を出力リミッ
タ11へ加え、この出力リミッタ11から図示しない制
御対象への出力信号MV(n)を出力する一方、積分制
御部13を設けて制御偏差e(n)が一定範囲を越えた
とき、その積分演算部7の積分演算を停止するとともに
積分出力I(n)をある固定値、例えば「0」又は
「1」に固定して上述したリセットワインドアップ現象
を防ぐ構成となっている。
【0004】ところで、この図10に示す制御装置は離
散型構成となっており、各出力に添字(n)を付すこと
により、各出力が離散型演算を行なった場合の第n時点
目(符号τを演算間隔又はサンプリング周期、符号tを
時間とした場合にt=n・τ)の信号値であることを示
しているが(以下同じ)、本願に係る制御装置の動作原
理は本質的に離散型(デジタル)および連続型(アナロ
グ)の演算方法には無関係であるから、いずれの構成で
も同様の効果を得ることができる。
【0005】次に、図10に示す積分制御部13の動作
を図11および図12を参照して詳細に説明する。な
お、図10中の符号eは制御偏差(e=SV−PV)、
符号1/Kpは比例帯(PB:比例定数Kpの逆数)、
符号Pは比例出力、符号MVは出力信号、符号Iは積分
出力を示している。また、比例帯1/Kpの分子“1”
は、制御装置の入出力範囲を0〜1で正規化した場合の
ものであり、もし、入出力範囲を0〜100%とした場
合には比例帯が100/Kp(%)となる。
【0006】積分制御部13は、制御偏差eがある範
囲、例えば比例帯1/Kpを超えている場合に、積分演
算部7の積分演算を停止させるとともに、超えている方
向によって積分出力Iを“0”(0%)又は“1”(1
00%)のどちらかに固定する機能を有している。すな
わち、制御偏差eがe>1/Kp、換言すればPV<
[SV−(1/Kp)]の場合には積分出力Iが“0”
に固定され、入力信号PV、目標値SV、比例出力P、
積分出力Iおよび出力信号MVの関係は図11のように
なる。図11では説明の都合上、微分出力Dが省略され
ている(図12も同様)。
【0007】図11において、例えば入力信号PVが
の点では積分出力I=0、比例出力P>1であり、出力
信号MV=1が出力されているので、入力信号PVは増
加しても積分演算は入力信号PVがの点に到達するま
で行なわれず、過積分を防いでいる。他方、比例出力P
は、入力信号PVがの点より増加すると“1”よりも
小さくなり、入力信号PVの増加に対して目標値SVよ
りも比例帯1/Kpだけ手前から出力信号MVが“1”
から減少し始め、入力信号PVの増加を抑えるように動
くため、入力信号PVの目標値SVに対する行過ぎを抑
えることができる。そして、制御偏差eがe<−1/K
p、換言すればPV>[SV+(1/Kp)]の場合に
は、積分出力Iは“1”に固定されるため、入力信号P
V、目標値SV、比例出力P、積分出力Iおよび出力信
号MVの関係は図12のようになる。
【0008】図12において、例えば入力信号PVが
の点では、積分出力I=1、比例出力P<−1で、出力
信号MV=0が出力されているので、入力信号PVは減
少しても積分演算は入力信号PVがの点に到達するま
で行なわれず、過積分を防いでいる。他方、比例出力P
は、入力信号PVがの点より減少すると“−1”より
も大きくなり、入力信号PVの減少に対して目標値SV
よりも比例帯1/Kpだけ手前から出力信号MVが
“0”から増加し始めて、入力信号PVの減少にブレー
キをかけるように働いてリセットワインドアップ現象を
抑え、入力信号PVの目標値SVに対する行過ぎを防ぐ
ことができる。このように、図10に示す制御装置では
比例帯1/Kpより大きい目標値SVの変更が行なわれ
ると、積分演算を停止するとともに積分演算値を「0」
または「1」に固定することにより、入力信号PVの目
標値SVに対する行過ぎを抑えている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図10
に示した制御装置では、入力信号PVの変化速度に比べ
て短時間で目標値SVの上げ下げが繰返されると、図1
4および図15に示すような問題点が発生する。これら
図14および図15は、図10の制御装置において、比
例帯1/Kp=1/3とし、目標値SVを図13に示す
ように“0”と“0.5”の間で短時間で変更したとき
のPI制御動作のシミュレーション結果を示したもので
あり、図14はそれに対する入力信号PVおよび出力信
号MVの応答であり、図15は比例出力Pおよび積分出
力Iの応答を描いたものである。
【0010】まず、図13における時点“0.5”で目
標値SVを”0”から”0.5”に変更した場合、制御
偏差eが比例帯1/Kpより大きい間(e>1/Kp)
は積分演算が行なわれず、積分出力Iが「0」に固定さ
れているため、図14および図15から目標値SVに対
する入力信号PVの行過ぎが抑えられていることが分か
る。次に、入力信号PVが目標値SV(=0.5)に一
致して十分に時間が経過した図13の時点“50”で目
標値SVを”0.5”から”0”に変更すると、制御偏
差eはe<−(1/Kp)となるから積分演算が行なわ
れず、積分出力Iは“1”に固定される。
【0011】そして、入力信号PVが殆ど動かないよう
な短時間の時点“50.5”(図13参照)で再び目標
値SVを”0”から”0.5”に変更すると、今度は制
御偏差eはほぼ「0」であって|e|≦1/Kpなの
で、積分演算が再開されるが初期値“1”から始るた
め、殆ど制御偏差がないにも拘らずしばらく“1”を保
持し、入力信号PVが大きく目標値SVから外れるとい
う不具合が発生する。このような問題点は、目標値SV
を誤操作したり、複数桁の目標値SVをアップダウンキ
ーで各桁毎にしか変更できないような構成の簡単な調節
計等において発生し易く、特に解決が望まれていた。
【0012】本発明はこのような従来の欠点を解決する
ためになされたもので、通常の目標値変更に対して制御
量の行過ぎを抑えることができるうえ、誤操作等に起因
して目標値を短時間で繰返し変更させても、積分値を適
切に処理して制御の乱れを最小限に抑え、速やかに目標
値に収束させることができる制御装置の提供を目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明は、制御対象からの入力信号を目標値に
一致させるように少なくとも比例演算および積分演算を
行なってその制御対象への出力信号を出力するととも
に、その入力信号と目標値との偏差が特定範囲外にある
ときその積分演算の積分値を固定値にしてその出力信号
を出力する制御装置であり、その入力信号の変化速度に
比べて短時間でその目標値の変化が繰返されて、その偏
差が特定範囲外から当該範囲内に変化したとき、その変
化する直前のその目標値と変化時点のその入力信号との
偏差がその特定範囲外であれば、その積分演算の積分値
を特定積分値に変更する積分値変更部を具備する構成を
有している。
【0014】そして、本発明ではその特定範囲を上記比
例演算における比例帯にすると良い。また、本発明では
上記偏差が上記特定範囲内から特定範囲外に変化したと
きの、その変化直前の積分値を上記特定積分値とするこ
とが可能である。
【0015】
【作用】このような手段を備えた本発明では、入力信号
と目標値との偏差が特定範囲外にあるとき積分値を固定
値に固定して出力信号を出力してリセットワインドアッ
プ現象を抑えることができる。しかも、その偏差が特定
範囲外から当該範囲内に変化したとき、その変化する直
前のその目標値と変化時点のその入力信号との偏差がそ
の特定範囲外であれば、積分変更部がその積分演算の積
分値を特定積分値に変更するから、目標値が短時間内に
大きく変化して偏差がその特定範囲内に戻っても適切な
積分値で出力信号を演算できる。
【0016】そして、上記特定範囲を比例帯に設定する
構成では、リセットワインドアップ現象を抑えるために
設定された上記特定範囲をそのまま流用できる。また、
上記偏差がその特定範囲内から特定範囲外に変化したと
きの、その変化直前の積分値を上記特定積分値とする構
では、特定積分値を簡単に算出できる。
【0017】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。なお、従来例と共通する部分には同一の符号を付
す。図1は本発明に係る制御装置の一実施例を示すブロ
ック図である。図1において、減算部1は目標値SV
(n)から入力信号PV(n)を減算して制御偏差e
(n)を得るもので、比例演算部3、微分演算部5、積
分演算部7および積分値変更部15に接続されている。
この積分値変更部15には目標値SV(n)も加えられ
ており、この積分値変更部15が本発明の主要な機能を
有するものである。詳細は後述する。
【0018】比例演算部3、微分演算部5および積分演
算部7は制御偏差e(n)から各々比例出力P(n)、
微分出力D(n)および積分出力I(n)を演算するも
ので、加算部9に接続されている。加算部9はそれら各
演算出力P(n)、D(n)、I(n)を加算してPI
D出力PID(n)を得るもので、出力リミッタ11に
接続されている。この出力リミッタ11はPID出力P
ID(n)から図示しない制御対象への出力信号MV
(n)を出力するものである。積分制御部13は、制御
偏差e(n)がある特定範囲(x又は−x)例えば比例
帯(1/Kp又は−1/Kp)を越えたとき、その積分
演算部7の積分演算を停止するとともに積分出力I
(n)をある固定値、例えば「0」又は「1」に固定す
るとともに、後述する機能を有している。
【0019】次に、このような本発明の制御装置の基本
的な考え方を説明する。まず、制御偏差e(n)と例え
ば比例帯1/Kpとを比較し、その大小関係によって次
のように積分演算の実行もしくは停止、又は積分値の初
期化を行なうところは従来例と同様である。 (1)制御偏差≧比例帯の場合、積分停止で積分値0%
(出力換算)固定。 (2)制御偏差≦(−)比例帯の場合、積分停止で積分
値100%(出力換算)固定。 (3)(−)比例帯<制御偏差<比例帯の場合、通常の
積分演算を実行。 しかし、本発明の構成では、更に制御偏差e(n)の変
化と目標値SVの関係を、現在の制御偏差e(n)、直
前の目標値SVと現在の入力信号PVとの偏差から求
め、その結果、制御偏差eがそれら(1)又は(2)か
ら目標値SVの変化によって(3)になったと判定され
たときには、従来例のようにすぐに積分演算を実行せず
に、積分値をいったん適当な値に変更してから積分演算
を開始する点に特徴がある。
【0020】このようにすれば、目標値SVの誤操作変
更などに起因して瞬間的に制御偏差e(n)が、上記
(1)や(2)になって積分値が0%や100%に初期
化された後にすぐ(3)の状態になっても、積分値が適
当な値に変更されてから積分演算が開始されるため、制
御の乱れを最小限に抑えて入力信号PVを速やかに目標
値SVに収束させることが可能となる。そして、本発明
では上述した積分値変更部15が、目標値SVの変化に
よって制御偏差e(n)が比例帯1/Kpよりも大きい
値又は小さい値からその比例帯1/Kpに入ったと判定
したとき、積分演算部7における積分値をいったん特定
の積分値に変更制御する機能を有している。
【0021】この特定積分値として、例えば第1には制
御偏差e(n)が比例帯1/Kp内の状態から比例帯1
/Kpよりも大きい値又は小さい値に変化したとき、そ
の変化直前の積分値があるし、第2には制御対象の定常
的な入出力関係と目標値から算出した積分値がある。こ
の点については後述する。このような本発明の制御装置
は、CPUやこのCPUの動作プログラムを格納したR
OM、入出力インターフェイスであるI/Oを主体とし
たマイクロコンピュータによって構成されるのが一般的
である。
【0022】図2は本発明の制御装置をそのマイクロコ
ンピュータを用いて実現した場合の全体のフローチャー
トであり、演算周期毎に実行される。すなわち、処理が
開始されるとステップ201で制御偏差e(n)の演算
が行われ、ステップ202で比例出力P(n)値の演算
が行われ、ステップ203で微分出力D(n)値の演算
が行われる。続くステップ204で積分処理(後述する
図3参照)が行われ、ステップ205でPID出力PI
D(n)の演算が行われ、ステップ206で出力リミッ
タ処理が行われて終了する。
【0023】そして、ステップ204が本発明の特徴と
なる処理ステップであり、図3に詳細なフローチャート
が示されている。まず、積分制御部13の処理に相当す
る部分としてステップ301〜303の処理を行なう。
ステップ301では制御偏差e(n)をある特定範囲x
例えば比例帯1/Kpと比較し、e(n)>x(比例帯
外)のときはステップ302で積分出力I(n)を0%
に固定処理し、e(n)<−x(比例帯外)のときはス
テップ303で積分出力I(n)を100%に固定処理
し、|e(n)|≦xの場合には通常積分を行なわずに
ステップ305へ移る。
【0024】ステップ302、303において積分出力
I(n)を固定したときには、過積分によるリセットワ
インドアップ現象を抑制し、ステップ304で一時点前
の制御偏差e(n−1)および目標値SV(n−1)を
それぞれ現在の制御偏差e(n)および目標値SV
(n)で更新して終了する。これら一時点前の制御偏差
e(n−1)および目標値SV(n−1)は次に説明す
るように積分変更部15で使用される。ステップ301
で制御偏差e(n)と特定範囲xを比較した結果、−x
≦e(n)≦x(比例帯内)のときは、積分変更部15
に相当するステップ304〜ステップ308およびステ
ップ310又は積分演算部7に相当するステップ309
の処理が行なわれる。
【0025】まず、ステップ305で一時点前の制御偏
差e(n−1)と特定範囲xとを比較し、|e(n−
1)|>x(比例帯外)であってステップ305がYE
Sのときにはステップ306を実行し、比例帯内であっ
てステップ305がNOの場合はステップ309で通常
積分の処理を行なう。ステップ306では一時点前の目
標値SV(n−1)と現在の入力信号PV(n)から偏
差e’(n)を計算し、ステップ307でこの偏差e’
(n)と特定範囲xを比較し、|e’(n)|>xであ
ってステップ307がYESのときはステップ308で
積分出力I(n)を特定積分値IMEM に変更し、|e’
(n)|≦xであってステップ307がNOのときはス
テップ309で通常積分の処理を行なう。ここで、特定
積分値IMEM は、目標値SVの変更よりも前の最後の制
御偏差の絶対値が比例帯より小さい時の積分値である。
【0026】ステップ309の通常積分処理を行なった
場合に、特定積分値IMEMはステップ310で積分出力
I(n)によって更新される。ステップ308又はステ
ップ310の後は、ステップ305で偏差e(n−1)
およびSV(n−1)をそれぞれe(n)、SV(n)
で更新して、積分処理を終了する。このステップ305
〜ステップ308、ステップ310までの処理は次のよ
うな意味を持っている。すなわち、ステップ305は一
時点前の制御偏差e(n−1)の絶対値が、特定範囲x
よりも大きいかどうかを判断し、ステップ307はもし
目標値SVが現在値でなく一時点前の値であった場合の
制御偏差e’(n)の絶対値が、特定範囲xよりも大き
いかどうかを判断するものである。
【0027】従って、ステップ308の積分値変更処理
が行なわれるのは、(イ)一時点前の制御偏差e(n−
1)の絶対値が特定範囲xより大きい状態、換言すれば
積分出力I(n−1)が0%又は100%に初期化され
ている状態と、(ロ)入力信号PVではなく目標値SV
の変更によって制御偏差eの絶対値が特定範囲xより小
さくなった場合である。従来の制御装置ではこの部分の
判断および処理がなく、すぐに積分演算を開始するた
め、上述した図14および図15に示したように、積分
開始時の積分初期値の不適切に起因する制御の乱れが発
生していた。しかし、本発明の制御装置によれば、その
ような変更状態を判断して積分値を変更するため、制御
の乱れを最小限度に抑えることが可能となる。
【0028】ところで、上述したフローチャートの中
で、制御偏差e(n)と比較する特定範囲xは、任意に
決めることが可能である。一般的に、制御装置において
リセットワインドアップ現象抑制のための積分制御(図
3中のステップ301〜303)では、比例演算部7の
定数である比例ゲインをKpとした場合、その逆数とし
て定義される比例帯PBを用いる。 PB=1/Kp(又はPB〔%〕=100/Kp) そして、本発明の主要部であるステップ305〜ステッ
プ308およびステップ310においても、同様に特定
範囲xとして比例帯PBを用いることができる。なお、
比例出力P(n)は、 P(n)=Kp・e(n)=e(n)/PB =e(n)〔%〕/PB〔%〕 として演算され、比例帯PBは比例出力P(n)がちょ
うど100〔%〕出力されるときの制御偏差e(n)に
等しい。
【0029】次に、図3のフローチャートに示した特定
積分値IMEM について、制御偏差が特定範囲外に変化す
る直前の積分値を用いる理由を図4を参照して説明す
る。図4において、入力信号PVは時間t1までは目標
値SV1に一致していて通常積分が行なわれ、積分値は
I1で安定している。そして、時間t1にて、制御偏差
e(=SV−PV)が特定範囲xを超える大きな目標値
変更(SV1→SV2)を行なったため、積分値は10
0%固定となって入力信号PVが徐々に下がり始める。
【0030】しかし、入力信号PVが新しい目標値SV
2に達するより手前の時間t2で目標値を再び変更(S
V2→SV3)した結果、制御偏差eが再び特定範囲x
より小さくなっている。この目標値変更のパターンにお
いて、2番目の目標値SV2は、上述したように入力信
号PVが到達するはるか以前の短い時間で、次の目標値
SV3に切換えられており、このような状況は操作者の
誤設定や、目標値の設定を桁毎にしか行なえないような
場合に起こり易い。
【0031】ところが、この2番目の目標値変更によっ
て積分値は100%に固定されるため、従来の調節計で
は次の目標値SV3への変更に対して積分が100%を
初期値として開始されるため、図4aのような望ましく
ない応答になってしまう。また、図4cは積分値を一旦
クリアして0%から始めた場合であるが、この場合の応
答も望ましくない。従って、目標値SV3に変更された
ときの積分初期値は、0%から100%の間のある値と
いうことになるが、目標値SV2への変更が誤設定等に
起因するもので、目標値がSV2である時間が短く、従
って入力信号PVが元の目標値SV1からあまり変化し
ておらず、かつ、そのような入力信号PVに対して目標
値SV3に変更したとき、制御偏差eが特定範囲xより
小さくなっていることから、目標値SV1とSV3が近
い値であると考えて良いため、積分初期値は入力信号P
Vが目標値SV1で安定していたときの積分値I1を採
用するのが妥当である。
【0032】図4bは目標値をSV3に変更したときの
積分初期値としてI1を用いた場合の応答で、明らかに
上述した応答aやcより良好になっている。図3のフロ
ーチャートでは、制御偏差eが特定範囲xより小さく、
かつ通常積分しているときに、特定積分値IMEM はその
積分結果I(n)で更新されるため、図4における時間
t1の直前の積分値(≒I1)がIMEM として保持さ
れ、時間t2の積分初期値として用いられる。さらに、
図5に示すように、制御が安定しているときの目標値S
Vと出力信号MVを2組以上記憶し(図5中のSV1と
MV1、SV2とMV2)、その関係から現在の目標値
SVxに対する出力信号MVxを計算し、その値を特定
積分値IMEM として用いてもよい。なお、計算式は次の
ようになる。 IMEM =MVx =[(SVx−SV1)(MV2−MV1)/(SV2−SV1)]+MV1
【0033】図6および図7は、図3のフローチャート
に従った本発明の制御装置による制御シミュレーション
結果であり、上述した図10に示した従来の制御装置と
同じ条件、すなわち比例ゲインKp=3、比例帯PB=
1/3=0.33、特定範囲x=PB=0.33とし、
更に、図13に示すように目標値SVを“0”と“0.
5”の間で短時間で変更し、入力信号PVが目標値SV
(=0.5)に一致して十分に時間が経過した時点“5
0”で目標値SVを”0.5”から”0”に変更する、
と言った目標値SVの変更シーケンスでの特性図であ
る。
【0034】なお、図6は入力信号PVおよび出力信号
MVの応答を示しており、図7は比例出力Pおよび積分
出力Iの応答を示している。図6および図7によれば、
最初の目標値SVの変更である時点0.5時は通常の目
標値変更であり、その変更量0.5は比例帯0.33よ
り大きいため積分値Iは(0.0)に初期化され、入力
信号PVが[0.5−0.33=0.17]より大きく
なるまで積分演算が停止状態となるため、リセットワイ
ンドアップ現象が抑制され、入力信号PVの目標値SV
に対する行過ぎが抑えられている。図14の従来例と同
様である。
【0035】次に、2回目および3回目の目標値SVの
変更である時点50および50.5時は短時間で目標値
SVが上げ下げされており、誤設定など異常な目標値変
更である。この場合、図10の従来構成では、2回目の
目標値変更によって、制御偏差eの符号が負で絶対値
(|SV−PV|=0.5)が比例帯(0.33)より
大きくなるため、積分停止になるとともに積分値Iは
(1.0)に初期化される。そして、3回目の目標値S
Vの変更によって、制御偏差eの絶対値 (|SV−P
V|)が(0.5)より小さくなって積分演算が再開さ
れるが、先の初期化によって積分値が(1.0)から始
るために、入力信号PVがその後上昇して目標値SVに
収束するのに時間がかかってしまう。
【0036】これに対して、本発明の制御装置では、2
回目の目標値SVの変更で積分値Iが(1.0)に初期
化されるのは従来例と同様であるが、3回目の目標値S
Vの変更が、現在の制御偏差の絶対値は比例帯(0.
33)より小さい、直前の制御偏差の絶対値は比例帯
(0.33)より大きい、直前の目標値(0.0)と
現在の入力PVの差は比例帯より大きい、と言う条件を
全て満たすため、積分値はこの目標値SVの変更よりも
前の最後の制御偏差の絶対値が比例帯より小さい時(2
回目の目標値変更の直前)の特定積分値IMEM に変更さ
れる。従って、積分値がほぼ適当な値から開始されるた
め、入力信号PVの乱れが小さく、目標値SVへの収束
時間も従来例と比較にならない程、速い制御結果が得ら
れる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明の構成では、
入力信号と目標値との偏差が特定範囲外にあるとき積分
値を固定値にして出力信号を出力してリセットワインド
アップ現象を抑える制御装置において、その入力信号の
変化速度に比べて短時間でその目標値の変化が繰返され
その偏差が特定範囲外から当該範囲内に変化したと
き、その変化する直前のその目標値と変化時点のその入
力信号との偏差がその特定範囲外であるときに、その積
分演算による積分値を特定積分値に変更する積分値変更
部を具備したから、通常の目標値変更に対しては、入力
信号の目標値に対する行過ぎ量を抑えることができる
し、誤操作などに起因して短時間に目標値を繰返し上下
に変更しても、積分値を適切な特定積分値に変更するこ
とができるため、制御の乱れを最小限に抑えて、速やか
に入力信号を目標値に収束させることが可能である。そ
して、上記特定範囲を比例帯に設定する構成では、リセ
ットワインドアップ現象を抑えるために設定された上記
特定範囲をそのまま流用できるから、構成の簡素化を維
持できる。また、偏差が上記特定範囲内から特定範囲外
に変化したときの、その変化直前の積分値を上記特定積
分値とする構成では、積分演算再開時の特定積分値を簡
単に算出できるし、一層最適化することが可能であるう
え、構成も複雑化しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制御装置の一実施例を示すブロッ
ク図である。
【図2】図1の制御装置の動作を説明する概略フローチ
ャートである。
【図3】図1の制御装置の主要動作を説明するフローチ
ャートである。
【図4】本発明の制御装置の特定積分値を設定する手順
を説明する図である。
【図5】本発明の制御装置の特定積分値を設定する手順
を説明する図である。
【図6】本発明の制御装置をシミュレーション動作させ
たときの特性図である。
【図7】本発明の制御装置をシミュレーション動作させ
たときの特性図である。
【図8】一般的な制御装置の動作特性図である。
【図9】一般的な制御装置の動作特性図である。
【図10】リセットワインドアップ現象を抑えた従来の
制御装置を示すブロック図である。
【図11】図10の制御装置の動作を説明する図であ
る。
【図12】図10の制御装置の動作を説明する図であ
る。
【図13】図10の制御装置の動作を説明する図であ
る。
【図14】図10の制御装置をシミュレーション動作さ
せたときの特性図である。
【図15】図10の制御装置をシミュレーション動作さ
せたときの特性図である。
【符号の説明】
1 減算部 3 比例演算部 5 微分演算部 7 積分演算部 9 加算部 11 出力リミッタ 13 積分制御部 15 積分値変更部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−86203(JP,A) 特開 平2−254501(JP,A) 特開 平6−168003(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 11/00 - 13/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象からの入力信号を目標値に一致
    させるように少なくとも比例演算および積分演算を行な
    って前記制御対象への出力信号を出力するとともに、前
    記入力信号と目標値との偏差が特定範囲外にあるとき前
    記積分演算の積分値を固定値にして前記出力信号を出力
    する制御装置において、前記入力信号の変化速度に比べて短時間で前記目標値の
    変化が繰返されて、 前記偏差が前記特定範囲外から当該
    特定範囲内に変化したとき、その変化する直前の前記目
    標値と変化時点の前記入力信号との偏差が前記特定範囲
    外であるときに、前記積分演算の積分値を特定積分値に
    変更する積分値変更部を具備することを特徴とする制御
    装置。
  2. 【請求項2】 前記特定範囲は前記比例演算における比
    例帯である請求項1記載の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記特定積分値は、前記偏差が前記特定
    範囲内から特定範囲外に変化したときの、その変化直前
    の積分値である請求項1又は2記載の制御装置
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP3109714A4 (en) * 2014-02-17 2017-10-11 Shimadzu Corporation Feedback control device
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