JP3020811B2 - 糖鎖構造決定方法 - Google Patents

糖鎖構造決定方法

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    • Y10S435/81Packaged device or kit

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糖鎖構造決定方法、該
方法に用いるためのキット、及び新規オリゴ糖に関し、
更に詳細にはN−アセチルラクトサミン型糖鎖の糖鎖構
造決定方法、糖鎖構造決定用キット、及びN−アセチル
ラクトサミン型糖鎖由来の新規オリゴ糖に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、細胞認識や細胞接着、あるいは癌
の転移に糖鎖そのものが機能しているという証拠が数多
く出されており、糖タンパク質や糖脂質などの複合糖質
中の糖鎖構造の解析は、ますます重要になっている。従
来用いられてきた糖鎖構造解析方法としては、メチル化
分析、過ヨウ素酸酸化、酵素消化などの分析法のほか、
核磁気共鳴法や質量分析器による分析が行われている。
これらの技術に加えて、最近急速に発展してきた高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて糖鎖を分析
することが可能となっている。特に長谷らによって開発
された糖鎖の蛍光標識法であるピリジル(−2−)アミ
ノ化(PA化)法〔ジャーナル オブ バイオケミスト
リー(Journal of Biochemistry)、第95巻、第197
〜203頁(1984)〕と2種類のカラムを用いてH
PLC分析を行う、いわゆる2次元マッピング法を組合
せて、多種類の糖鎖を簡便かつ高感度で分析することが
可能となっている〔アナリティカル バイオケミストリ
ー(Analitical Biochemistry)、第171巻、第73〜
90頁(1988)〕。しかし、この方法では、2種類
のカラムでの溶出位置が同じかあるいは非常に近い複数
の糖鎖を区別することはできない。更に、この方法はマ
ップに記載されていない糖鎖、特にシアル酸を持つ糖鎖
に対しては無効であり、構造が未知の糖鎖の構造決定の
方法としては適当ではない。PA化とHPLCとの組合
せに限らず、他のいかなる標識方法や分離方法でも、ク
ロマトグラフィーのみで糖鎖の構造を決定しようとした
場合、存在する可能性のあるすべての糖鎖が、既に何ら
かの方法で構造決定された標準物質として手元にあり、
それらがクロマトグラフィーにて分離同定できなけれ
ば、ただ1つの構造には決定できないが、糖鎖の多様性
を考慮すると、それはまず不可能である。そこで通常
は、糖鎖が特異的エキソグリコシダーゼで消化されるか
どうかを、クロマトグラフィーにて逐次確認していく方
法を併用することにより糖鎖の構造を決定している〔例
えば、E.ツダ(Tsuda)ら、バイオケミストリー(Bioc
hemistry) 、第27巻、第5646〜5654頁(19
88)〕。以下、特異的エキソグリコシダーゼによる消
化を単に酵素消化と記述する。特異的エキソグリコシダ
ーゼには、糖鎖の非還元末端糖残基の種類とα、βとい
ったアノマー型、及び糖残基が置換している水酸基の位
置を綿密に認識しうるものが多く存在する(以後、アノ
マー型と、糖残基の置換している還元末端側の水酸基の
位置とを合せた、例えばα−2,3結合、β−1,4結
合といったものを結合様式と表現する)。例えば、肺炎
球菌より得られるβ−ガラクトシダーゼは、β−1,4
結合した非還元末端ガラクトース残基のみを認識し加水
分解するし、タチナタマメより得られるβ−ガラクトシ
ダーゼは、β結合した非還元末端ガラクトース残基を認
識し加水分解する。こういったエキソグリコシダーゼの
特異性を利用して、糖鎖の非還元末端の糖残基の種類と
結合様式とを推定することができる。例えば糖鎖サンプ
ルが肺炎球菌のβ−ガラクトシダーゼによって消化され
うるならば、その糖鎖が非還元末端にβ−1,4結合し
たガラクトースを有していることを推定できる。酵素消
化は通常、逐次消化が行われている。例えば、糖鎖サン
プル1が酵素Aで消化されたとすると、消化産物の糖鎖
サンプル2が得られる。糖鎖サンプル2を回収し、続い
て酵素Bで消化すると、糖鎖サンプル3が得られ、これ
を更に酵素Cで消化するという操作を繰返すのである。
しかしながら、酵素消化によって構造決定する方法は、
微細な構造の違いを区別できる反面、酵素反応とクロマ
トグラフィーによる反応生成物の分析と回収を繰返さな
ければばならないため、多大な労力と、時間を費やすと
いう欠点をもっている。こうして欠点を補うため、糖鎖
の酵素消化を体系的に行い、糖鎖の構造を推定する方法
が開発されている〔特開平3−228698号、C.
J.エッジ(Edge) ら、プロシーディングズ オブ ザ
ナショナル アカデミー オブ サンエンシーズ オ
ブ ザ USA(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、
第89巻、第6338〜6342頁(1992)〕。
【0003】前記方法は、実質上、構造決定すべき糖鎖
サンプルを 1、いくつかに等分割し、 2、それぞれを異なる酵素混合物で完全消化し、 3、これらの最終反応生成物を混合したのち、分析クロ
マトグラフィーに供し、 4、その分析スペクトル、すなわち、ピークの溶出位置
とピークの強度をデータベース中の糖鎖の構造から理論
的に導かれるスペクトルと比較し、5、糖鎖サンプルの
スペクトルと統計学的に最も近いスペクトルを与える糖
鎖の構造をデータベースの中から検索し、これをもって
糖鎖サンプルの構造であると推定する、という一連の操
作を行うことを特徴としている。この方法では、分析ク
ロマトグラフィーは1回で済み、また、分析した糖鎖の
回収をする必要が無いので、この方法により、酵素消化
による糖鎖構造解析の簡便化、迅速化が実現されてい
る。しかしながら、この方法は実験スペクトルと理論ス
ペクトルとの近似を行う方法であるため、元々から実験
値と理論値との間に隔たりがある場合、あるいは、理論
スペクトルを全く同じくするか、あるいは酷似した複数
の糖鎖がデータベース上に存在する場合などには、推定
される構造が誤っていたり、あるいは、提示される推定
構造が複数になったりすることがある。例えば、上記エ
ッジらの文献の方法によれば、下記式(化5):
【0004】
【化5】
【0005】に示す簡単な構造のものですら理論的には
2つの構造が全く同じ確からしさで提示され、結局は1
つの構造に決定することができない。この問題点は、よ
り綿密な結合特異性をもつ酵素を酵素混合物に加えるこ
とにより、解決され得ると著者らは述べているが、用い
る酵素の数を増やせば、その分だけ多くの酵素混合物を
用意する必要が生じ実用的ではない。しかも、こういっ
た特異的酵素の種類にも限界があり、データベース中の
すべての理論スペクトルが区別できるような酵素混合物
を構築することは事実上不可能である。更に、この方法
には重大な欠点が存在する。すなわち、多くの糖鎖、特
にアスパラギン結合型糖鎖は、直鎖状ではなく、複雑に
分枝しており、そのため1つの糖鎖が複数の非還元末端
残基を有している。ところがこの方法では、酵素消化に
よって、非還元末端残基の種類と数、そして結合様式が
判明したとしても、その残基が、複数存在する非還元末
端のいずれであるか、すなわちその残基がどの枝の非還
元末端残基なのかということまでは決定できず、ただ1
つの構造に決定できない。また、この方法は、実験スペ
クトルを乱すような要因、例えば用いる酵素の活性の低
下、あるいは意図せざる酵素活性の微量混入、あるいは
異種糖鎖の混入によって、スペクトルは大いに影響を受
ける。ところが、得られたスペクトルが正しいものであ
るかどうかを検定するすべがない。したがって、この方
法は、分析法自体は簡便かつ迅速ではあるが、スペクト
ルの信頼性に欠け、構造解析の手段としては決して満足
できるものではない。
【0006】この方法の上記に挙げたような欠陥の原因
は、個々の反応生成物を同定できないことにある。同定
とは、すなわち、構造未知の物質を、クロマトグラフィ
ー等の手法を用いて、構造が既知の物質と同一であると
いうことを示すことである。したがって、同定には、存
在の可能性のあるすべての標準物質をそろえ、しかもそ
れらすべてが、何らかの方法で区別されることが必須で
ある。しかしながら、この方法で生じる可能性のある生
成物の数は膨大であり、それらすべてを標準物質として
そろえ、それらを分離区別することは不可能である。そ
れ故この方法では、実験スペクトルを理論スペクトルへ
近似することによって同定に替わるものとしているので
ある。しかしながら、本来、物質の構造決定のために
は、近似というあいまいな手法を用いるべきではなく、
近似を行う限り、構造がただ1つに決定されなかった
り、誤った構造が提示されたりする危険を常に伴ってい
た。したがって、より正確でかつ簡便な糖鎖構造決定方
法の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、より
正確でかつ簡便な糖鎖構造決定方法、該方法に用いるた
めのキット、及び標準物質として有用な新規のオリゴ糖
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明はN−アセチルラクトサミン型糖鎖の
糖鎖構造決定方法に関し、N−アセチルラクトサミン型
糖鎖のM3コアのα−マンノース残基(α−Man)に
β結合しているN−アセチルグルコサミン残基(GN)
のうち、選択的に除去すべきGNのα−Manとの結合
の切断を酵素的処理により行ってGNを選択的に除去し
当該M3コアに残存しているGNの結合位置を決
定することによって、M3コアのα−Manにβ結合し
ているGNの非還元末端側の糖鎖残基を決定することを
特徴とする。本発明の第2の発明は、N−アセチルラク
トサミン型糖鎖の糖鎖構造決定方法に関し、下記工程: (1) M3コアのα−Manにβ結合しているGNを
選択的に除去する工程、 (2) 工程(1)の生成物が、M3コアのα−Man
にβ結合しているGNの非還元末端側に糖残基が結合し
ている生成物である場合には、それらの糖残基を除去す
る工程、 (3) 工程(1)又は工程(2)により得られる、M
3コアのα−Manと非還元末端側に糖残基を有しない
GNとがβ結合している生成物を標準物質と比較、同定
する工程、 を含むことを特徴とする。本発明の第3の発明は第1又
は第2の発明の糖鎖構造決定方法に用いるためのキット
に関し、下記一般式(化1):
【0009】
【化1】
【0010】〔式中、Y1 、Y2 、Y3 、Y4 はいずれ
も水素又はβ−N−アセチルグルコサミン残基(β−G
N)を示し、R1 は下記式(化2)又は(化3):
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】(式中、R2 はアルデヒド基、標識化され
たメチレン基、又は標識化されたメチン基を示す)を表
す〕で表されるオリゴ糖の少なくとも1種を含むことを
特徴とする。本発明の第4の発明は、下記一般式(化
4):
【0014】
【化4】
【0015】〔式中、X1 、X2 、X3 、X4 はいずれ
も水素又はβ−GN(ただし、X1 とX3 の両方が水素
の場合、あるいはX2 とX4 の両方がβ−GNの場合を
除く)を示し、R1 は前記式(化2)又は(化3)を表
す〕で表されるオリゴ糖に関する。
【0016】本発明者らは鋭意研究の結果、糖鎖構造の
解析に際し、同定という工程を用いるべく生成する可能
性のある最終生成物の数が限定されるような糖鎖試料の
処理の方法を開発した。更に、該方法に用いるためのキ
ットを構築した。更に、同定の際の標準物質として有用
な新規オリゴ糖を取得し、本発明を完成した。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。N−アセ
チルラクトサミン型糖鎖には、例えば下記一般式(化
6)で表されるものがある。
【0018】
【化6】
【0019】〔式中、SAはシアル酸残基、Galはガ
ラクトース残基、GNはN−アセチルグルコサミン残
基、Fucはフコース残基、Manはマンノース残基を
表し、各残基の後の括弧中は結合様式を表す。また、l
x 、mx 、m′x 、nx 、n′x、px (x=1、2、
3、4)及びqは変数であり、それぞれ0又は1を表
す。ただし、mx m′x =nx n′x =m′x x
0、かつlx ≧mx ,m′x ≧nx ,n′x 、かつlx
≧px である〕
【0020】N−アセチルラクトサミン型糖鎖はその微
細構造には多様性をもっているが、基本構造において
は、下記式(化7):
【0021】
【化7】
【0022】で表される基本骨格(以後M3コアと称
す)を有しており、通常の構造は上記式(化6)ですべ
て表される。すなわち、N−アセチルラクトサミン型糖
鎖はM3コアから4つのGNによって枝別れした樹状構
造をしており、それぞれの枝(以後、枝分かれしたGN
とその非還元末端側の糖残基とを合せた集団を“枝”と
表す)は、GN、Gal、SA、Fucの糖残基より構
成される。Gal,SAについては、Galβ−1,3
とβ−1,4、SAα−2,3とα−2,6のそれぞれ
2つの結合様式の可能性があり、それらは区別される必
要がある。各枝の構成糖残基の数は多くても1つで、し
かもその配列順序が決まっており、各枝の内容は、一般
的には下記式(化8):
【0023】
【化8】
【0024】〔式中、l、m、m′、n、n′、pは変
数であり、それぞれ0又は1を表す。ただし、mm′=
nn′=m′p=0かつl≧m,m′≧n,n′かつl
≧pである〕で表される。
【0025】各枝の各糖残基の数は0か1かに限定され
ており、しかもその配列順序が既に式(化8)のように
規定されているため、N−アセチルラクトサミン型糖鎖
の構造を決定するためには、枝ごとの各糖残基の有無を
決定するだけでよく、糖残基の配列順序はおのずと決定
される。枝ごとの各糖残基の有無を決定することは、各
糖残基ごとに糖残基が存在する枝を決定することと同義
であるから、各糖残基ごとに、それぞれがどの枝に存在
しているかを決定することで、N−アセチルラクトサミ
ン型糖鎖の構造を決定することができる。
【0026】次に、ある糖残基が存在する枝がどの枝な
のか(枝情報)を決定する方法について述べる。本発明
の方法の代表的な態様においては、存在を決定すべき特
定の糖残基について、該糖残基が存在しない枝を酵素的
あるいは化学的処理によって除去することによって、該
糖残基が存在する枝と存在しない枝を区別する。
【0027】GN、Gal、SA、Fucのそれぞれの
糖残基が存在しない枝の除去は、例えば以下のようにし
てできる。GNの存在しない枝は当然、枝そのものが存
在しないわけであるから、GNの存在しない枝を選択的
に除去する必要はない。
【0028】Galの存在しない枝には、GN、Fuc
が存在する可能性があるので、例えば、β−N−アセチ
ルグルコサミニダーゼ、α−フコシダーゼで糖鎖を処理
すれば枝を除去できる。Galの存在する枝は、GNが
Galによって保護されているため、この処理では除去
されない。
【0029】SAの存在しない枝には、GN、Gal、
Fucが存在する可能性があるので、例えば、β−N−
アセチルグルコサミニダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、
α−フコシダーゼで糖鎖を処理すれば枝を除去できる。
SAの存在する枝はGN、GalがSAによって保護さ
れているため、この処理では除去されない。Fucの存
在しない枝にはGN、Gal、SAが存在する可能性が
あるので、例えば、β−N−アセチルグルコサミニダー
ゼ、β−ガラクトシダーゼ、シアリダーゼで糖鎖を処理
すれば、枝を除去できる。Fucの存在する枝はGNが
Fucで保護されているので、この処理では除去されな
い。
【0030】以上のようにして、GN、Gal、SA、
Fucの各糖残基が存在しない枝を選択的に除去したの
ち、次に残存している枝を判別する必要がある。そのた
めに、残存している枝を酵素的あるいは化学的な方法を
用いて最も簡単な構造、すなわちGN残基のみにする。
そうすることによって、理論的に期待される生成物の数
を大幅に減らすことができ、以降の分析を容易にするこ
とができる。すなわち、M3コアにGNが結合しただけ
のものを挙げると、4つのGNそれぞれに、「有り」、
「なし」、の2つの可能性があるので、M3コアも含め
て、2×2×2×2=16種類になる。これらの構造
は、表1に示した。糖鎖の処理生成物を、これら16種
のいずれかに同定することで、処理生成物の各枝の有無
が判定できる。ただし、これら16種の糖鎖がなんらか
の方法で分離されることが前提である。
【0031】以上のように、各枝のうち目的の糖残基の
存在する枝のGNのみが残るように処理することがで
き、かつ、表1に示した16種の糖鎖を、クロマトグラ
フィーなどの方法によって分離同定することができれ
ば、枝を構成するすべての糖残基について、糖残基が存
在する枝を判別できるはずである。これらを基にして、
式(化6)に示したN−アセチルラクトサミン型糖鎖の
構造はただ1つに決定される。
【0032】以下に、グリコシダーゼによる酵素消化を
糖鎖の処理の手段とした方法を説明する。通常のN−ア
セチルラクトサミン型糖鎖はその(i)GNの結合位
置、(ii)Galの結合位置と結合様式、(iii)SAの
結合位置と結合様式、(iv)Fucの結合位置をそれぞ
れ決定すればその構造を一義的に決定することができ
る。
【0033】GNの結合可能位置は通常の糖鎖ではGN
(β1−6)Man(α1−6)、GN(β1−2)M
an(α1−6)、GN(β1−4)Man(α1−
3)、GN(β1−2)Man(1−3)の4箇所が考
えられる。すなわちそのいずれにGNが結合しているか
を決定するということは式(化6)の4つの変数、
1、l2 、l3 、l4 を決定することである。
【0034】Galの結合可能な糖残基は、上述の4個
のGNであり、Galの結合様式はβ−1,3とβ−
1,4の2種類が考えられる。したがって、Galの結
合位置と結合様式を決定するということは、式(化6)
の8つの変数、m1 、m′1 、m2 、m′2 、m3
m′3 、m4 、m′4 を決定することである。ただし、
1つのGNに複数のGalが結合することはないので、
任意のx(x=1、2、3、4)についてmx m′x
0である。また、Galが結合するのはGNのみである
から、任意のxについてlx =0ならばmx ,m′x
0、すなわちlx ≧mx ,m′x である。
【0035】SAはGalにα−2,3とα−2,6の
2種類の結合様式で結合することが可能である。したが
って、SAの結合位置と結合様式を決定するということ
は、前記式(化6)の8つの変数、n1 、n′1 、n
2 、n′2 、n3 、n′3 、n4 、n′4 を決定するこ
とである。ただし、1つのGalに複数のSAが結合す
ることはないので、任意のx(x=1、2、3、4)に
ついてnx n′x =0である。また、SAが結合するの
はGalのみであるから、任意のxについてmx,m′
x =0ならば、nx ,n′x =0、すなわち、mx
m′x ≧nx ,n′ x である。
【0036】FucはN−アセチルラクトサミン型糖鎖
の還元未満のGNにα−1,6結合で、Manの非還元
末端側の4つのGNにα−1,3で結合することが可能
である。したがって、Fucの結合位置と結合様式を決
定するということは、前記式(化6)の5つの変数、
q、p1 、p2 、p3 、p4 を決定することである。た
だし、GNにGalがβ−1,3で結合している場合、
そのGNにFucがα−1,3で結合することはありえ
ない。すなわち、任意のx(x=1、2、3、4)につ
いてpx m′x =0である。また、Fucが結合しうる
のはGNのみであるからlx =0ならばpx =0、すな
わちpx ≦lx である。
【0037】ある糖鎖の(i)GNの結合位置、(ii)
Galの結合位置と結合様式、(iii)SAの結合位置と
結合様式、及び(iv)Fucの結合位置は、糖鎖を少な
くとも1種のグリコシダーゼによって消化し、その反応
生成物を分析することによって決定することができる。
すなわち、M3コアに結合しているGNのみが残るよう
な酵素反応、Galが結合していたGNのみが残るよう
な反応、SAの還元末端側に存在するGNのみが残るよ
うな反応、Fucが結合していたGNのみが残るような
反応をそれぞれ設定し、それぞれの反応生成物を標準物
質を用いて同定することにより、糖鎖全体の構造を決定
することができる。
【0038】まず本発明における標準物質について述べ
る。M3コアにGNのみが結合している糖鎖としては、
下記式(化9):
【0039】
【化9】
【0040】(式中、Y1 、Y2 、Y3 、Y4 は、いず
れも水素又はβ−GNを示す)で表される16種があ
る。この16種の標準物質と最終反応生成物を比較する
ことにより、該最終反応生成物のM3コアへのGN結合
位置が決定される。16種の糖鎖、すなわちオリゴ糖I
〜XVIとβ−GN結合位置の関係を表1に示す。
【0041】
【表1】 表 1 ──────────────────────────────────── オリゴ糖 Y1234 ──────────────────────────────────── I : H H β−GN H II : H β−GN β−GN H III : H H β−GN β−GN IV : H H H H V : H β−GN H H VI : H H H β−GN VII : H β−GN H β−GN VIII : H β−GN β−GN β−GN IX : β−GN H H β−GN X : β−GN β−GN β−GN H XI : β−GN H β−GN β−GN XII : β−GN H H H XIII : β−GN β−GN H H XIV : β−GN H β−GN H XV : β−GN β−GN H β−GN XVI : β−GN β−GN β−GN β−GN ────────────────────────────────────
【0042】オリゴ糖I〜XVIはN−アセチルラクトサ
ミン型糖鎖を調製し、次いで、グリコシダーゼで逐次分
解することにより調製することができる。例えば、オリ
ゴ糖XVIはヒトのα1 −アシッドグリコプロティン(シ
グマ社)をヒドラジン分解、N−アセチル化することに
よって得られる糖鎖をシアリダーゼ、β−ガラクトシダ
ーゼ、フコシダーゼで完全消化することによって調製す
ることができる。更に、オリゴ糖XVIをウシ腎臓由来の
β−N−アセチルグルコサミニダーゼにより部分消化す
ることにより、オリゴ糖I〜XVIの混合物を調製するこ
とができ、これ
【0043】また、例えばオリゴ糖VIIIはウシフェツイ
ンをヒドラジン分解、N−アセチル化することによって
得られる糖鎖をシアリダーゼ、β−ガラクトシダーゼで
完全消化することによって調製することができる。更
に、オリゴ糖VIIIをウシ腎臓由来のβ−N−アセチルグ
ルコサミニダーゼにより部分消化することによりオリゴ
糖I〜VIIIの混合物を調製することができ、これらはH
PLC等で分取することができる。これらのオリゴ糖
は、例えばパルス電気化学的検出(PAD)によって高
感度に検出することができる。
【0044】これらのオリゴ糖はそのまま用いてもよい
が、下記式(化10):
【0045】
【化10】
【0046】(式中、Y1 、Y2 、Y3 、Y4 はいずれ
も水素又はβ−GNであり、R2 はアルデヒド基、標識
化したメチレン基、又は標識化したメチン基を示す)で
表されるように修飾化して用いてもよい。
【0047】メチレン基の標識化の例としては、PA化
による方法〔アグリカルチュラルアンド バイオロジカ
ル ケミストリー〔Agricultural and Biological Chem
istry)、第54巻、第2169〜2170頁(199
0)〕、パラアミノ安息香酸エチル(ABEE)による
方法〔アナリティカル バイオケミストリー、第141
巻、第366〜381頁(1984)〕、8−アミノナ
フタレン−1,3,6−トリスルホン酸(ANTS)に
よる方法〔バイオケミカル ジャーナル(Biochemical
Journal)、第270巻、第705〜713頁(199
0)〕が挙げられる。
【0048】また、メチン基の修飾化の例としては、ト
リチウムによる放射性標識〔メソッズ イン エンザイ
モロジー(Methods in Enzymology)、第50巻、第50
頁(1978)〕、1−フェニル−3−メチル−5−ピ
ラゾロン(PMP)による方法〔アナリティカル バイ
オケミストリー、第180巻、第351〜357頁(1
989)〕が挙げられる。
【0049】例えば、PA化オリゴ糖の例としては表1
のオリゴ糖I〜XVIをPA化したものが挙げられる(以
下、オリゴ糖IのPA化物をI−PAと称す。II〜XVI
についても同様とする)。オリゴ糖I−PA〜 VII−P
Aは例えばオリゴ糖VIIIを前記の方法でPA化してVIII
−PAを調製し、次いで、VIII−PAをウシ腎臓由来β
−N−アセチルグルコサミニダーゼで部分消化してHP
LCで分取することにより調製することができる。同様
に、IX−PA〜XV−PAは例えばオリゴ糖XVIをPA化
してXVI−PAを調製し、次いで、XVI−PAをウシ腎
臓由来β−N−アセチルグルコサニダーゼで部分消化し
てHPLCで分取することにより調製することができ
る。I−PA〜XVI−PAはHPLCにより分離するこ
とができる。これらを標準物質として、前記の最終酵素
反応生成物を同定することができる。
【0050】I−PA〜VIII−PAの8種の混合物は、
例えば、パルパックタイプR(PALPAK TYPE R 、宝酒造
社)を用いたHPLC〔溶離液:0.035%1−ブタ
ノールを含む100mM酢酸−トリエチルアミン(pH
4.0)〕にて分離することができる。図1に、I−P
A〜VIII−PAの等モル混合物を分離した例を示す。な
お、図1において、縦軸は相対蛍光強度、横軸は溶出時
間(分)を示す(以下の各図においても同義である)。
【0051】I−PA〜XVI−PAの16種の混合物に
ついてもHPLCにより分離することができる。例え
ば、まず混合物をパルパックタイプN(宝酒造社)を用
いたHPLC〔溶離液:50mM酢酸−トリエチルアミ
ン(pH7.3)、アセトニトリル70%(0分)→5
0%(300分)のリニアグラジェント〕に供し、糖鎖
基の数の違いで分離する。図2にその例を示す。すなわ
ち、図2の13〜17分には、M3コアにGNが全く結
合していないもの、すなわちIV−PAが溶出し、同様
に、18〜23分にGNが1個結合したもの(I−P
A、V−PA、VI−PA、XII−PA)、24〜29分
にGNが2個結合したもの(II−PA、 III−PA、V
II−PA、IX−PA、XIII −PA、XIV−PA)、3
2〜38分にGNが3個結合したもの(VIII−PA、X
−PA、XI−PA、XV−PA)、42〜46分にG
Nが4個結合したものすなわちXVI−PAが溶出する。
【0052】次に、18〜23分のフラクション(フラ
クション2)を更にパルパックタイプRを用いたHPL
C〔溶離液:0.07%1−ブタノールを含む100m
M酢酸−トリエチルアミン(pH4.0)〕に供すると
GNが1個結合した4種、すなわちI−PA、V−P
A、VI−PA、XII−PAが分離される。図3にその例
を示す。同様にして、32〜38分のフラクション(フ
ラクション4)についてもVIII−PA、X−PA、XI
−PA、XV−PAの4種が分離される。図4にその例
を示す。24〜29分のフラクション(フラクション
3)についてパルパックタイプRを用いたHPLC〔溶
離液:0.035%1−ブタノールを含む100mM酢
酸−トリエチルアミン(pH4.0)〕に供すると、II
−PA、III−PA、VII −PA、IX−PA、XIII −
PA、XIV−PAの6種が分離される。図5にその例を
示す。以上のようにして、I−PA〜XVI−PAの16
種のオリゴ糖を分離することができる。
【0053】これら16種のPA化オリゴ糖は、図2〜
図5の各ピークを分取して単離することができる。な
お、XIV−PAに関しては図5のピークをそのまま分取
してもよいが、以下の方法によればより簡単に分取する
ことができる。すなわち、フラクション3の一部をβ−
1,2結合特異的な肺炎球菌由来β−N−アセチルグル
コサミニダーゼで完全消化して図5と同じ条件とHPL
Cに供すると、III −PAとVII−PAのピークが消失
し(加水分解されてそれぞれI−PA、IV−PAが生成
する)、XIV−PAのみが加水分解されずに残るので、
その残ったピークを分取すればよい。図6にその例を示
す。また、IX−PA〜XV−PAはXVI−PA、例えば
市販のPA−シュガーチェイン004(宝酒造社)を原
料にしてシアリルトランスフェラーゼとガラクトースオ
キシダーゼとを用いて効率よく生産することもできる。
【0054】また、これらI−PA〜XVI−PAの混合
物はパルパックNを用いてHPLC〔溶離液:50mM
酢酸−トリエチルアミン(pH7.3)、アセトニトリ
ル70%(0分)→50%(300分)のリニアグラジ
ェント〕及びパルパックRを用いたHPLC〔溶離液:
0.02% 1−ブタノールを含む100mM酢酸−ト
リエチルアミン(pH4.0)〕に供し、それぞれの条
件でのオリゴ糖の溶出パターンと溶出位置を2次元的に
プロットすることにより、更に簡単に分離することがで
きる。図7にその例を示す。I−PA、II−PA、III
−PA、IX−PA、X−PA、XI−PA、XII−P
A、XIII −PA、XIV−PAの物性を以下に示す。更
に、図8及び図9にI−PAの、図10及び図11にII
−PAの、図12及び図13にIII −PAの、図14に
IX−PAの、図15及び図16にX−PAの、図17に
XI−PAの、図18にXII−PAの、図19にXIII
−PAの、図20にXIV−PAのプロトン核磁気共鳴
1H−NMR)スペクトルを示す。なお、 1H−NM
Rでの化学シフト値は、テトラメチルシランを基準とし
たときの37℃、重水中でのアセトンのメチルプロトン
の化学シフト値を2.218ppmとして表した。図
9、図11、図13〜15、図17〜20において2.
218ppmに見られるシグナルは、内部標準に用いた
アセトンのメチルプロトンのシグナルである。
【0055】(I−PAの物性) 分子量 1192.7(質量分析による)1 H−NMR 4.556(H−1、GN−7)、
2.067(NAc、GN−7) 糖組成 Man:GN=3.0:2.5、Ga
lとFucは無し。
【0056】(II−PAの物性) 分子量 1395.4(質量分析による)1 H−NMR 4.541(H−1、GN−5′)、
4.556(H−1、GN−7)、2.040(NA
c、GN−5′)、2.066(NAc、GN−7) 糖組成 Man:GN=3.0:3.5、Ga
lとFucは無し。
【0057】( III−PAの物性) 分子量 1395.5(質量分析による)1 H−NMR 4.527(H−1、GN−5)、
4.515(H−1、GN−7)、2.045(NA
c、GN−5)、2.067(NAc、GN−7) 糖組成 Man:GN=3.0:3.5、Ga
lとFucは無し。
【0058】( IX−PAの物性) 分子量 1395.0(質量分析による)1 H−NMR 4.552(H−1、GN−7′)、
4.535(H−1、GN−5)、2.046(NA
c、GN−7′)、2.046(NAc、GN−5) 糖組成 Man:GN=3.0:3.5、Ga
lとFucは無し。
【0059】(X−PAの物性) 分子量 1599.0(質量分析による)1 H−NMR 4.528(H−1、GN−7′)、
4.549(H−1、GN−5′)、4.557(H−
1、GN−7)、2.028(NAc、GN−7′)、
2.038(NAc、GN−5′)、2.067(NA
c、GN−7) 糖組成 Man:GN=3.0:4.5、Ga
lとFucは無し。
【0060】(XI−PAの物性) 分子量 1598.0(質量分析による)1 H−NMR 4.546(H−1、GN−7′)、
4.515(H−1、GN−7)、4.529(H−
1、GN−5)、2.045(NAc、GN−7′)、
2.065(NAc、GN−7)、2.045(NA
c、GN−5) 糖組成 Man:GN=3.0:4.5、Ga
lとFucは無し。
【0061】(XII−PAの物性) 分子量 1191.5(質量分析による)1 H−NMR 4.542(H−1、GN−7′)、
2.043(NAc、GN−7′) 糖組成 Man:GN=3.0:2.5、Ga
lとFucは無し。
【0062】(XIII −PAの物性) 分子量 1195.0(質量分析による)1 H−NMR 4.530(H−1、GN−7′)、
4.548(H−1、GN−5′)、2.027(NA
c、GN−7′)、2.038(NAc、GN−5′) 糖組成 Man:GN=3.0:3.5、Ga
lとFucは無し。
【0063】(XIV−PAの物性) 分子量 1395.0(質量分析による)1 H−NMR 4.545(H−1、GN−7′)、
4.556(H−1、GN−7)、2.043(NA
c、GN−7′)、2.065(NAc、GN−7) 糖組成 Man:GN=3.0:3.5、Ga
lとFucは無し。
【0064】なお、 1H−NMRにおける糖残基の番号
は下記式(化11)のとおりである。
【0065】
【化11】
【0066】本発明の糖鎖構造決定方法を酵素的処理に
よって行う場合は解析対象の糖鎖に対し、通常は途中に
反応停止操作を含む1段階あるいは多段階のグリコシダ
ーゼによる酵素消化を行った後、反応生成物を前出の標
準物質と比較、分析する。
【0067】解析対象となる糖鎖は前記式(化6)で導
かれるものであればどんなものでもよい。また、前記式
(化6)に合致しないものであっても、酵素的、化学的
処理により前記式(化6)に合致させることができるも
のあれば本発明の方法による解析対象となりえる。例え
ば、Galの非還元末端側に、N−アセチルラクトサミ
ン〔−Gal(β1−4)GN(β1−3)−〕の繰返
し構造をもつ糖鎖が知られているが、これは式(化6)
で表記されないものである。しかし、N−アセチルラク
トサミンの繰返し構造をもつ糖鎖は、β−ガラクトシダ
ーゼ消化とβ−N−アセチルグルコサミニダーゼ消化と
を順番に繰返すことによって、式(化6)に合致させる
ことができる〔T.オオクラ(Ohkura) ら、ジャーナル
オブバイオロジカル ケミストリー(Journal of Bio
logical Chemistry)、第256巻、第8485〜849
0頁、(1981)〕。あるいはまた、例えばエシェリ
ヒア フロインディー(Escherichia freundii) 由来の
エンド−β−ガラクトシダーゼで消化することによって
も式(化6)に合致させることができる。なお、解析対
象の糖鎖は未標識のものでも標識されているものでもよ
い。糖鎖は混合物でもよいが好ましくは80%以上の純
度であるものがよい。
【0068】各段階で用いるグリコシダーゼは1種でも
よいし2種以上のグリコシダーゼの混合物でもよい。用
いられるグリコシダーゼは好ましくはエキソグリコシダ
ーゼであるがエンドグリコシダーゼを用いてもよい。反
応温度は特に限定はしないが、通常は20℃〜50℃
で、好ましくは37℃が用いられる。反応時間は特に限
定はしないが、通常10分〜20時間で、好ましくは3
〜5時間である。各段階の後に行う反応停止操作は、通
常反応液を80〜120℃にて3分〜10分間処理しグ
リコシダーゼを失活させることにより行う。こうした失
活操作は、場合によっては必要としない。すなわち、次
の段階の反応の至適温度や気圧、pH、有機溶媒の濃度
等が前の段階のものとは著しく異なり、それ故、前の段
階に用いたグリコシダーゼが働き得ないことが明らかな
場合や、あるいは抗体ビーズやイオン交換樹脂等で前の
段階に用いたグリコシダーゼを除去した場合などは上述
の熱による失活操作は必ずしも必要ではない。反応生成
物の分析方法は、薄層クロマトグラフィー、電気泳動、
質量分析、ガスクロマトグラフィーなど特に限定はしな
いが、HPLCによる分析が好ましく用いられる。
【0069】こうした異なる反応系列は一対象につき通
常は1〜6通り行い、各々の反応生成物を分析し、得ら
れた情報が総合して糖鎖構造を決定する。以下に詳しく
説明する。
【0070】(i)GNの結合位置の決定 糖鎖をβ−ガラクトシダーゼ、シアリダーゼ、α−フコ
シダーゼの混合物で消化すると、Gal、SA、Fuc
は糖鎖より除去されるがGNは除去されない。したがっ
て、反応生成物はM3コアにGNのみが結合したものの
いずれかになる。上述の標準物質を用いてこの反応生成
物を同定すれば、元の糖鎖のGN結合位置すなわち式
(化6)における変数l1 、l2 、l3 、l4 が決定で
きる。なお、ここで用いられるグリコシダーゼは基質特
異性の低いものが好ましく、例えば、タチナタマメのβ
−ガラクトシダーゼ(生化学工業社)、連鎖球菌のβ−
ガラクトシダーゼ(生化学工業社)、アルスロバクター
ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafacience)由
来のシアリダーゼ(ナカライテスク社)、ウシ腎臓のα
−フコシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社)等であ
る。
【0071】(ii)Galの結合位置と結合様式の決定 糖鎖をβ−N−アセチルグルコサミニダーゼ、シアリダ
ーゼ、α−フコシダーゼの混合物で消化すると、Gal
の置換を受けていないGNやFucは糖鎖より除去され
るが、Galとその還元末端側のGNだけは除去されず
に残る。酵素を除去、あるいは失活させた後、糖鎖を更
にβ−ガラクトシダーゼにて消化しGalを除去する
と、反応生成物はM3コアにGNが結合したもののいず
れかになる。前述の標準物質を用いてこの反応生成物を
同定すれば、元の糖鎖のGal結合位置が決定できる。
この反応では、Galの結合様式までは決定されない。
すなわち決定されるのは式(化6)の変数mx はm′X
(X=1、2、3、4)のどちらかが1であるかどうか
であり、いいかえれば(mx +m′x )が0か1かが決
定される。なお、ここで用いられるグリコシダーゼは基
質特異性の低いものであり、例えば、ウシ腎臓のβ−N
−アセチルグルコサミニダーゼ(ベーリンガーマンハイ
ム社)、タチナタマメのβ−ガラクトシダーゼ、連鎖球
菌のβ−ガラクトシダーゼ、アルスロバクターのシアリ
ダーゼ、ウシ腎臓のα−フコシダーゼ等である。
【0072】Galの結合様式を決定するには、結合特
異的なβ−ガラクトシダーゼを用いて上述と同様の反応
を行う。すなわち、糖鎖をβ−N−アセチルグルコサミ
ニダーゼ、シアリダーゼ、α−フコシダーゼとβ−1,
4結合、あるいはβ−1,3結合特異的なβ−ガラクト
シダーゼの混合物で消化する。Galの置換を受けてい
ないGNやFuc、及び結合特異的β−ガラクトシダー
ゼによって加水分解されうるGalとその還元末端側の
GNは糖鎖より除去されるが、用いた特異的β−ガラク
トシダーゼで加水分解され得ないGalとその還元末端
側のGNだけは除去されずに残る。酵素を除去、あるい
は失活させた後、糖鎖を更に非特異的なβ−ガラクトシ
ダーゼにて消化しGalを除去すると、反応生成物はM
3コアにGNが結合したものいずれかになる。前述の標
準物質を用いてこの反応生成物を同定すれば、用いた特
異的β−ガラクトシダーゼによって加水分解され得ない
Gal結合位置が決定できる。例えば、β−1,4結合
特異的な肺炎球菌由来のβ−ガラクトシダーゼ(ベーリ
ンガーマンハイム社)を用いた場合、この反応によって
β−1,3結合したGalの結合位置、すなわち式(化
6)における変数m′1 、m′2 、m′3 、m′4 が決
定できる。先の反応で、m1 +m′1 、m2 +m′2
3 +m′3 、m4 +m′4 が決定されているので、こ
れらを考え合せると、β−1,4結合したGalの結合
位置、すなわち式(化6)における変数m1 、m2 、m
3 、m4 を決定できる。
【0073】(iii)SAの結合位置と結合様式の決定 糖鎖をβ−N−アセチルグルコサミニダーゼ、β−ガラ
クトシダーゼ、α−フコシダーゼの混合物で消化する
と、SAとその還元末端側のGal、GNだけは除去さ
れずに残るがその他のGN、Gal、Fucはすべて除
かれる。酵素を除去、あるいは失活させた後、糖鎖を更
にシアリダーゼ、β−ガラクトシダーゼの混合物にて消
化し、SA、Galを除去すると、M3コアにGNが結
合したもののいずかになる。前述の標準物質を用いてこ
の反応生成物を同定すれば、元の糖鎖のSA結合位置が
決定できる。この反応では、SAの結合様式までは決定
されない。すなわち決定されるのは式(化6)の変数n
x とn′x (x=1、2、3、4)のどちらかが1であ
るかどうかであり、いいかえれば(nx +n′x )が0
か1かが決定される。なお、ここで用いられるグリコシ
ダーゼは基質特異性の低いものであり、例えば、ウシ腎
臓のβ−N−アセチルグルコサミニダーゼ、タチナタマ
メのβ−ガラクトシダーゼ、連鎖球菌のβ−ガラクトシ
ダーゼ、アルスロバクターのシアリダーゼ、ウシ腎臓の
α−フコシダーゼ等である。
【0074】SAの結合様式を決定するには、結合特異
的なシアリダーゼを用いて上述と同様の反応を行う。す
なわち、糖鎖をβ−N−アセチルグルコサミニダーゼ、
β−ガラクトシダーゼ、α−フコシダーゼとα−2,3
結合、あるいはα−2,6結合特異的なシアリダーゼの
混合物で消化する。この反応で、用いた特異的シアリダ
ーゼで加水分解され得ないSAとその還元末端側のGa
l、GNだけは除去されずに残る。酵素を除去、あるい
は失活させた後、糖鎖を更に非特異的なシアリダーゼ、
β−ガラクトシダーゼにて消化しSA、Galを除去す
ると、反応生成物はM3コアにGNが置換したもののい
ずれかになる。前述の標準物質を用いてこの反応生成物
を同定すれば、用いた特異的シアリダーゼによって加水
分解され得ないSAの結合位置が決定できる。例えば、
α−2,3結合特異的なサルモネラ菌由来のα−2,3
シアリダーゼ(宝酒造社)を用いた場合、この反応によ
ってα−2,6結合したSAの結合位置、すわなち式
(化6)における変数n1 、n2 、n3 、n4 が決定で
きる。先の反応で、n1 +n′1 、n2 +n′2 、n3
+n′3 、n4 +n′4 が決定されているので、これら
を考え合せると、α−2,3結合したSAの置換位置、
すなわち式(化6)における変数n′1 、n′2 、n′
3 、n′4 を決定できる。
【0075】また、SA以外の構造が既に決定されてい
て、しかもその構造が比較的簡単である場合には、式
(化9)又は(化10)に示されるオリゴ糖標準物質と
しなくても、以下のようにして構造決定が可能である。
例えば、式(化6)において、SA以外の構造がl2
4 =m2 =m4 =1、残りの変数は0である、いわゆ
る2本鎖糖鎖であることが、既に決定されている糖鎖の
SAの結合位置と結合様式、すなわち、変数n2 、n′
2 、n4 、n′4 を決定する場合、まず糖鎖をβ−ガラ
クトシダーゼで消化する。次に酵素を除去あるいは失活
させた後、糖鎖を更にシアリダーゼにて消化する。この
反応で生成しうる糖鎖は(l2 =l4 =1、m2 =m4
=0)、(l2 =l4 =1、m2=0、m4 =1)、
(l2 =l4 =1、m2 =1、m4 =0)、(l2 =l
4 =1、m2 =m4 =1)の4種がある。SAが結合し
ていたGalは除去されずに残るので、これら4種の糖
鎖の標準物質として最終生成物を分離、同定できればS
Aの結合位置を決定できる。更に前述のようにα−2,
3結合特異的なシアリダーゼを用いれば、SAの結合様
式を決定できる。
【0076】(iv)Fucの結合位置の決定 糖鎖をβ−N−アセチルグルコサミニダーゼ、β−ガラ
クトシダーゼ、シアリダーゼの混合物で消化すると、F
ucとFucによって置換されているGNだけは除去さ
れずに残るがその他のGN、Gal、SAは糖鎖より除
去される。酵素を除去、あるいは失活させた後、糖鎖を
更にα−フコシダーゼにて消化しFucを除去すると、
反応生成物はM3コアにGNが結合したもののいずかに
なる。前述の標準物質を用いてこの反応生成物を同定す
れば、元の糖鎖のα−1,3結合したFucの結合位
置、すなわち式(化6)におけるの変数p1 、p2 、p
3 、p4 が決定できる。なお、ここで用いられるグリコ
シダーゼは基質特異性の低いものであり、ウシ腎臓のβ
−N−アセチルグルコサミニダーゼ、タチナタマメのβ
−ガラクトシダーゼ、アルスロバクターのシアリダー
ゼ、ウシ腎臓のα−フコシダーゼ等である。
【0077】糖鎖の還元末端のGNにα−1,6結合し
たFucの有無すなわち式(化6)における変数qはα
−1,3/4結合特異的なα−1,3/4−フコシダー
ゼを用いて決定することができる。糖鎖をβ−N−アセ
チルグルコサニダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、シアリ
ダーセと、例えば放線菌由来のα−1,3/4−フコシ
ダーゼ(宝酒造社)の混合物で消化すると、GN、Ga
l、SA、及びα−1,3結合したFucは除去される
が、α−1,6結合したFucは除去されないので糖鎖
がα−1,6結合したFucをもっていなければ、すな
わちq=0ならば、生成物はM3コアとなるのでこれに
よってα−1,6結合したFucの有無を決定できる。
【0078】また、N−アセチルラクトサミン型糖鎖の
Fucには式(化6)で表される結合様式のほかに、G
alにα−1,2で結合するものもまれに存在する。α
−1,2結合したFucの位置は、α−1,2結合特異
的なフコシダーゼ、例えばアルスロバクター由来のα−
1,2フコシダーゼ(宝酒造社)を用いた同様の反応に
よって決定することができる。
【0079】(v)糖鎖構造の決定 構造解析の対象となる糖鎖が式(化6)に合致する構造
であるならば、上述の(i)〜(iv)の結果よりその構
造を一義的に決めることができる。すなわち、上述
(i)によってGNの結合位置、すなわち式(化6)に
おける変数l1 、l2 、l3 、l4 が決定され、上述
(ii)によってGalの結合位置と結合様式、すなわち
式(化6)におけるm1 、m′1 、m2 、m′2 、m
3 、m′3 、m4、m′4 が決定され、上述(iii)によ
ってSAの結合位置と結合様式、すなわち式(化6)に
おける変数n1 、n′1 、n2 、n′2 、n3 、n′
3 、n4 、n′4 が決定され、上述(iv) によってFu
cの結合位置、すなわち式(化6)における変数q、p
1 、p2 、p3 、p4 が決定される。
【0080】また、本発明の方法の別の態様において
は、存在を決定すべき特定の糖残基について、該糖残基
が存在する枝を酵素的あるいは化学的処理によって除去
することにより、該糖残基が存在する枝と存在しない枝
を区別する。例えば、ラクト−N−ビオシダーゼは糖鎖
の非還元末端の2糖Gal(β1−3)GNを切り出す
酵素であるが〔M.サノ(Sano) ら、プロシーディング
ズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエ
ンシーズ オブ ザ USA、第89巻、第8512〜
8516頁(1992)〕、この酵素を用いれば、β−
1,3結合したGalが存在する枝のGNのみを選択的
に除去することができる。すなわち、糖鎖をシアリダー
ゼ、フコシダーゼと、ラクト−N−ビオシダーゼの混合
物で処理すると、Gal(β1−3)GNをもつ枝が選
択的に除去される。続いて、糖鎖をβ−ガラクトシダー
ゼで処理すれば、生成物はM3コアにGNのみが結合し
たもののうちのいずれかになる。先に述べたGNの結合
位置を決定するための反応の生成物には存在していて、
ラクト−N−ビオシダーゼを用いた上記反応の生成物に
は存在しない枝がGal(β1−3)GNを含む枝であ
ると決定できる、いいかえれば、β−1,3結合したG
alが存在する枝を決定できる。なお、本発明の糖鎖構
造決定方法は下記式(化12):
【0081】
【化12】
【0082】(式中、z1 、z2 、z3 、z4 、z5
6 は、いずれも水素又はβ−GNを示す)で表される
オリゴ糖を標準物質とすることにより、更に有用性が拡
大する。これは、天然に存在するN−アセチルラクトサ
ミン型糖鎖はその多くが式(化6)で表されるものであ
るが、その例外として式(化12)にて表される構造を
その骨格に、GalやSA、Fucが結合したものも存
在するからである。特に有用な5種のオリゴ糖を表2に
示す。
【0083】
【表2】 表 2 ──────────────────────────────────── オリゴ糖 z123456 ──────────────────────────────────── XVII : H β−GN H β−GN H β−GN XVIII : H β−GN β−GN β−GN H β−GN XIX : β−GN β−GN H β−GN H β−GN XX : β−GN β−GN β−GN β−GN H β−GN XXI : β−GN β−GN β−GN β−GN β−GN β−GN ────────────────────────────────────
【0084】これらのオリゴ糖もオリゴ糖I〜XIVと同
様に、未標識のままあるいは標識して用いることができ
る。なお、本発明の方法においては、処理後の生成物を
標準物質と比較することにより同定するのが代表的な態
様であるが、他の方法、例えばNMR等によって生成物
の構造を決定することができるならば、それらの方法に
よってもよい。
【0085】本発明の方法に用いる試薬類をまとめてキ
ット化しておくことにより、糖鎖構造の決定を更に簡便
に行うことができる。キットは式(化)で表されるオ
リゴ糖の少なくとも1種を含有しておればよいが、式
(化9)又は式(化10)で表される他のオリゴ糖を含
有してもよい。例えば、I−PA〜VIII−PAを含
有するキットは、N−アセチルラクトサミン型糖鎖のう
ち、式(化6)において、1=1=0、1=1
=1である2本鎖、又は式(化6)において、1
0、1=1=1=1である3本鎖の糖鎖の分析に
特に有用であり、例えばI−PA〜XVI−PAを含有
するキットは広くN−アセチルラクトサミン型糖鎖の分
析に有用である。また、キット中にはオリゴ糖のほかに
グリコシダーゼ、分析用のカラム、緩衝液等を含有して
いてもよい。なお、キットに含まれる試薬類は溶液状で
もよく、凍結乾燥物でもよい。
【0086】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0087】実施例1 市販のオリゴ糖VIII−PA(PA−シュガーチェイン0
13、宝酒造社)200nmolを50mMリン酸−ク
エン酸緩衝液(pH5.0)中では肺炎球菌由来のβ−
N−アセチルグルコサミニダーゼ(ベーリンガー社)2
0mUで37℃にて消化した。反応液の一部をHPLC
にて分析し、未分解物が全体の約25%になった時点で
反応液を100℃で5分処理して反応を停止させた。次
に該反応液をHPLCに供し、I−PA(22.4
分)、II−PA(42.5分)、III−PA(25.2
分)を分取、精製した。なお、HPLCの条件は下記に
よった。
【0088】装置: LC6A型(島津製作所) カラム: パルパックタイプR(4.6mmφ×250
mm)(宝酒造社) 溶離液: 0.035%1−ブタノールを含む100m
M酢酸−トリエチルアミン(pH4.0) 検出: 蛍光検出器RF−535(島津製作所)にて励
起波長320nm、蛍光波長400nmで検出 流速: 1ml/分 カラム温度: 40℃ (以下条件1と称す)
【0089】次に精製した3種のオリゴ糖I−PA、II
−PA、III −PAをAPI−III質量分析器(パーキ
ンエルマー・サイエンス社)を用いた質量分析、400
MHzプロトン核磁気共鳴装置(ブルッカー社)による
NMRスペクトル分析(重水中)、及び酸加水分解によ
る糖組成分析に供した。
【0090】各オリゴ糖の物性を以下に示す。更に、図
8及び図9にI−PAの、図10及び図11にII−PA
の、図12及び図13にIII −PAの 1H−NMRスペ
クトルを示す。なお、 1H−NMRでの化学シフト値
は、テトラメチルシランを基準としたときの37℃、重
水中でのアセトンのメチルプロトンの化学シフト値を
2.218ppmとして表した。図9、図11、図13
において2.218ppmに見られるシグナルは、内部
基準に用いたアセトンのメチルプロトンのシグナルであ
る。
【0091】(I−PAの物性) 分子量 1192.71 H−NMR 4.556(H−1、GN−7)、
2.067(NAc、GN−7) 糖組成 Man:GN=3.0:2.5、Ga
lとFucは無し。
【0092】(II−PAの物性) 分子量 1395.41 H−NMR 4.541(H−1、GN−5′)、
4.556(H−1、GN−7)、2.040(NA
c、GN−5′)、2.066(NAc、GN−7) 糖組成 Man:GN=3.0:3.5、Ga
lとFucは無し。
【0093】( III−PAの物性) 分子量 1395.51 H−NMR 4.527(H−1、GN−5)、
4.515(H−1、GN−7)、2.045(NA
c、GN−5)、2.067(NAc、GN−7) 糖組成 Man:GN=3.0:3.5、Ga
lとFucは無し。
【0094】なお、 1H−NMRにおける糖残基の番号
は下記式(化11)のとおりである。
【0095】
【化11】
【0096】実施例2 (1)I−PA〜 VIII −PAの分離 実施例1で得たI−PA、II−PA、 III−PAと、市
販のIV−PA(PA−シュガーチェイン016、寳酒造
社)、V−PA(PA化標準糖鎖100.1、中埜酢店
社)、VI−PA(PA化標準糖鎖100.2、中埜酢店
社)、VII−PA(PA−シュガーチェイン012、寳
酒造社)、VIII−PA(PA−シュガーチェイン01
3、寳酒造社)を各1pmolを含む混合液を条件1に
てHPLCに供した(図1)。8種のPA化オリゴ糖が
分離された。
【0097】(2)I−PA〜XVI−PAの分離 XVI−PA(PA−シュガーチェイン014、宝酒造
社)1nmolを50mMリン酸−クエン酸緩衝液(p
H5.0)中で、比較的特異性のないウシ腎臓由来β−
N−アセチルグルコサミニダーゼ(ベーリンガー社)1
mUで37℃にて消化した。反応液の一部をパルパック
タイプNを用いたHPLC〔溶離液:50mM酢酸−ト
リエチルアミン(pH7.3)中、アセトニトリル70
%(0分)→50%(300分)のリニアグラジエン
ト、その他は条件1と同じ(以下、条件2と称する)〕
で分析し、未分解物が全体の約20%になったところで
反応液を100℃で5分間処理して反応を停止させ、I
−PA〜XVI−PAの混合物を調製した。該混合物を条
件2によるHPLCに供した。そのチャートを図2に示
す。13〜17分に溶出するフラクション1、18〜2
3分に溶出するフラクション2、24分〜29分に溶出
するフラクション3、32分〜38分に溶出するフラク
ション4、42分〜46分に溶出するフラクション5の
画分に分画した。条件2は糖鎖をその糖残基の数によっ
て分離することができ、市販のIV−PA、V−PA、V
II−PA、VIII−PA、XVI−PAの条件2のHPLC
による溶出位置との比較により、フラクション1の1
5.4分のピークはM3コアにGNが全く結合していな
いもの、すなわちIV−PAと同定された。同様にして、
フラクション2はM3コアにGNが1個結合しているも
の、すなわち、I−PA、V−PA、VI−PA、XII−
PAの4種の混合物と同定され、フラクション3はM3
コアにGNが2個結合したもの、すなわちII−PA、II
I −PA、VII −PA、IX−PA、XIII−PA、XIV−
PAの6種の混合物と同定され、フラクション4はM3
コアにGNが3個結合したもの、すなわちVIII−PA、
X−PA、XI−PA、XV−PAの4種の混合物と同
定され、フラクション5の44.0分のピークはM3コ
アにGNが4個結合したもの、すなわちXVI−PAと同
定された。
【0098】フラクション1の15.4分のピーク(IV
−PA)及びフラクション5の44.0分のピーク(X
VI−PA)は、パルパックタイプRを用いたHPLC
〔溶離液:0.07%1−ブタノールを含む酢酸−トリ
エチルアミン(pH4.0)、その他は条件1と同じ
(以下、条件3と称す)〕に供した場合でもそれぞれ1
2.0分、15.7分の単一ピークを示した。
【0099】フラクション2を、条件3のHPLCに供
すると、VI−PAが11.2分に、XII−PAが12.
8分に、I−PAが15.2分に、V−PAが20.7
分に溶出された。このパターンを図3に示す。フラクシ
ョン3を条件1のHPLCに供すると、XIII−PAが1
5.0分に、IX−PAが16.8分に、 III−PAが2
5.2分に、XIV−PAが25.9分に、VII−PAが
26.7分に、II−PAが42.5分に溶出された。こ
のパターンを図5に示す。フラクション4を、条件3の
HPLCに供すると、XV−PAが10.4分に、X−P
Aが13.3分に、XI−PAが17.6分に、VIII−P
Aが25.9分に溶出された。このパターンを図4に示
す。以上のようにして、I−PA〜XVI−PAの16種
のPA化オリゴ糖を分離することができた。
【0100】なお、各ピークの同定は以下のようにして
行った。まず実施例1で得られたI−PA、II−PA、
III−PA、及び市販のIV−PA、V−PA、VI−P
A、VII−PA、VIII−PA、XVI−PAを標準物質と
し、そのピークの溶出位置を比較することにより、図2
の15.4分のピークをIV−PAと、図2の44.0分
のピークをXVI−PAと、図3の11.2分のピークを
VI−PAと、図3の15.2分のピークをI−PAと、
図3の20.7分のピークをV−PAと、図4の25.
9分のピークをVIII−PAと、図5の25.2分のピー
クをIII −PAと、図5の26.7分のピークを VII−
PAと、図5の42.5分のピークをII−PAと同定し
た。また、図3の12.8分のピークに関しては、分取
した後にウシ腎臓由来のβ−N−アセチルグルコサミニ
ダーゼで処理するとM3コアになること、出発物質がX
VI−PAであること、及び他の3種が別の位置に溶出す
ることからXII−PAと同定した。
【0101】残り6種のピークに関しては、それぞれを
分取して以下の方法で同定した。なお、図5の25.9
分のピークについては、フラクション3の一部をβ−
1,2結合特異的な肺炎球菌由来β−N−アセチルグル
コサミニダーゼで完全消化して条件1のHPLCに供す
ると25.2分( III−PA)と26.7分(VII−P
A)のピークが消失し(加水分解されてそれぞれI−P
A、IV−PAが生成する。)25.9分のピークのみが
加水分解されずに残るので(図6)、この25.9分の
ピークを分取した。
【0102】分取したそれぞれのピークをウシ腎臓由来
のβ−N−アセチルグルコサミニダーゼで部分消化し、
条件2のHPLCに供し、M3コアにGNが1個結合し
た画分を分取した。次に、分取した画分を条件3のHP
LCに供し分析した。その結果、図4の10.5分のピ
ークからV−PA、VI−PA、及びXII−PAが検出さ
れたので、該ピークをXV−PAと同定した。同様に、
図4の13.3分のピークからI−PA、V−PA、及
びXII−PAが検出されたので、該ピークをX−PAと
同定した。同様に、図4の17.6分のピークからI−
PA、VI−PA、及びXII−PAが検出され、該ピーク
をXI−PAと同定した。同様に、図5の15.0分の
ピークからV−PA及びXII−PAが検出されたので、
該ピークをXIII−PAと同定した。同様に、図5の1
6.8分のピークからVI−PA及びXII−PAが検出さ
れたので、該ピークをIX−PAと同定した。同様に、図
6の25.9分のピークからI−PA及びXII−PAが
検出されたので、該ピークをXIV−PAと同定した。
【0103】実施例3 (1)4本鎖アシアロ糖鎖のPA化物XVI−PA(PA
−シュガーチェイン004、宝酒造社製)850nmo
lに、2.5μmolのCMP−シアル酸(シチジン
5′−モノホスホ−N−アセチルノイラミン酸、CMP
−NANA、シグマ社)を加え、0.5%トリトンCF
−54含有の12.5mMカコジル酸緩衝液(pH6.
8)中で、0.1Uのラット肝臓由来の2,6シアリル
トランスフェラーゼ(ペーリンガーマンハイム社)と3
7℃にて36時間反応させた。途中、16時間、24時
間の時点で、反応液にCMP−NANAを2.5μmo
lずつ添加した。次に、反応液を、セファデックスG−
15カラムにかけて脱塩したのち、糖鎖画分をモノQカ
ラム(ファルマシア社)にかけて、10mMから100
mMの酢酸アンモニウム(pH8.5)のグラジェント
で溶出した。溶出画分のうち、糖鎖1mol当り3mo
lのシアル酸を含む画分を回収した。回収したシアリル
糖鎖は646nmolであった。回収したシアリル糖鎖
500nmolを50mMリン酸緩衝液(pH7)中
で、4.7mUの牛肝臓由来カタラーゼ(シグマ社)の
存在下、100Uのダクチリウム デンドロイデス(Da
ctylium dendoroides)由来のガラクトースオキシダーゼ
(宝酒造社)にて37℃、2時間反応させた。反応液
を、沸騰水浴中で10分間処理し、次いで1Uのシアリ
ダーゼ(アルスロバクター ウレアファシエンス由来、
極東製薬社)を加え、37℃にて2時間消化し、更に2
50Uのβ−ガラクトシダーゼ(麹カビ由来、東洋紡
社)を加え、37℃で5.5時間反応を続けた。次に、
5Nの水酸化ナトリウムにて反応液のpHを約11にし
たのち、20mgの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
4 )を加え、室温で30分間放置した。更に30mgの
水素化ホウ素ナトリウムを加え、室温で30分放置し還
元反応を完了させた。還元反応液をセファデックスG−
15カラムにかけて脱塩をしたのち、パルパックタイプ
Rカラムにかけた。溶出は0.1%ブタノール、0.0
5%トリフルオロ酢酸にて行い、30分に溶出するメイ
ンピークを回収した。得られた糖鎖は、XVI−PAのα
−Manにβ−1,6結合したGNがGalによって保
護されているものであり、回収量は300nmolであ
った。
【0104】得られた保護糖鎖のうち250nmolを
50mMクエン酸緩衝液(pH5)、50mM D−
(+)−ガラクトノ−1,4−ラクトン〔D−(+)−
galactono −1,4−lactone 、ナカライテスク社〕
中、2.5Uの牛腎臓由来N−アセチルグルコサミニダ
ーゼ(ベーリンガー社)で消化した。3.5時間反応さ
せた後、反応液を沸騰水浴中で10分間処理し反応を停
止した。反応液をセファデックスG−15カラムにか
け、脱塩したのち、下記条件HPLCにて、M3コアに
結合しているGNの数によって、画分A(GNが1つ結
合している)、画分B(GNが2つ結合している)、画
分C(GNが3つ結合している)を得た。HPLCのパ
ターンを図21に示す。
【0105】HPLC条件 装置: LC6A型(島津製作所) カラム: アサヒパック(Asahi PAK)NH2P−50
(6mmφ×150mm)(旭化成社) 溶離液A: 75%アセトニトリル含有50mM酢酸−
トリエチルアミン(pH7.3) 溶離液B: 50%アセトニトリル含有50mM酢酸−
トリエチルアミン(pH7.3) 溶出: 100分でB液を10%から25%に上げるグ
ラジェント溶出 検出: 蛍光検出器RF−535(島津製作所)にて励
起波長315nm、蛍光波長380nmで検出 流速: 1ml/分 カラム温度: 40℃
【0106】それぞれの画分を7.5Uの麹カビ由来の
β−ガラクトシダーゼ(東洋紡社)にて37℃で15時
間消化した。沸騰水浴中で10分間処理し、反応を停止
したのち、下記条件HPLCにて、画分Aの反応物から
XII−PA(23.6分)を、画分Bの反応物からXII
I −PA(19.4分)、IX−PA(21.4分)、X
IV−PA(31.3分)を、画分Cの反応物からXV−
PA(18.9分)、X−PA(25.4分)、XI−
PA(33.4分)をそれぞれ分取した。
【0107】
【0108】次に、精製したオリゴ糖のうち、IX−P
A、X−PA、XI−PA、XII−PA、XIII −P
A、XIV−PAをAPI−III 質量分析器(パーキンエ
ルマー・サイエクス社)を用いた質量分析、500MH
zプロトン核磁気共鳴装置(日本電子社)(X−PAの
み前出のブルッカー社)によるNMRスペクトル分析
(重水中)、及び酸加水分解による糖組成分析に供し
た。
【0109】各オリゴ糖の物性を以下に示す。更に、図
14にIX−PAの、図15及び図16にX−PAの、図
17にXI−PAの、図18にXII−PAの、図19に
XIII −PAの、図20にXIV−PAのプロトン核磁気
共鳴( 1H−NMR)のスペクトルを示す。なお、実施
例1と同様に、 1H−NMRでの化学シフト値は、テト
ラメチルシランを基準としたときの37℃、重水中での
アセトンのメチルプロトンの化学シフト値を2.218
ppmとして表した。図14、15、17〜20におい
て2.218ppmに見られるシグナルは、内部基準に
用いたアセトンのメチルプロトンのシグナルである。ま
た、 1H−NMRにおける糖残基の番号は式(化11)
のとおりである。
【0110】(IX−PAの物性) 分子量 1395.0(質量分析による)1 H−NMR 4.552(H−1、GN−7′)、
4.535(H−1、GN−5)、2.046(NA
c、GN−7′)、2.046(NAc、GN−5 ) 糖組成 Man:GN=3.0:3.5、Ga
lとFucは無し。
【0111】(X−PAの物性) 分子量 1599.0(質量分析による)1 H−NMR 4.528(H−1、GN−7′)、
4.549(H−1、GN−5′)、4.557(H−
1、GN−7)、2.028(NAc、GN−7′)、
2.038(NAc、GN−5′)、2.067(NA
c、GN−7) 糖組成 Man:GN=3.0:4.5、Ga
lとFucは無し。
【0112】(XI−PAの物性) 分子量 1598.0(質量分析による)1 H−NMR 4.546(H−1、GN−7′)、
4.515(H−1、GN−7)、4.529(H−
1、GN−5)、2.045(NAc、GN−7′)、
2.065((NAc、GN−7)、2.045(NA
c、GN−5) 糖組成 Man:GN=3.0:4.5、Ga
lとFucは無し。
【0113】(XII−PAの物性) 分子量 1191.5(質量分析による)1 H−NMR 4.542(H−1、GN−7′)、
2.043(NAc、GN−7′) 糖組成 Man:GN=3.0:2.5、Ga
lとFucは無し。
【0114】(XIII −PAの物性) 分子量 1395.0(質量分析による)1 H−NMR 4.530(H−1、GN−7′)、
4.548(H−1、GN−5′)、2.027(NA
c、GN−7′)、2.038(NAc、GN−5′) 糖組成 Man:GN=3.0:3.5、Ga
lとFucは無し。
【0115】(XIV−PAの物性) 分子量 1395.0(質量分析による)1 H−NMR 4.545(H−1、GN−7′)、
4.556(H−1、GN−7)、2.043(NA
c、GN−7′)、2.065(NAc、GN−7) 糖組成 Man:GN=3.0:3.5、Ga
lとFucは無し。
【0116】(2)I−PA〜XVI−PAの2次元マッ
プ I−PA〜XVI−PAの16種のオリゴ糖を各500f
molずつ含むサンプルを条件2及びパルパックタイプ
Rを用いたHPLC〔溶離液:0.02% 1−ブタノ
ールを含む100mM酢酸−トリエチルアミン(pH
4.0)、その他は条件1と同じ(以下、条件4と称
す)〕に供し、それぞれの条件でのオリゴ糖の溶出パタ
ーンとそれぞれの溶出位置を2次元的にプロットした2
次元マップを作成した。図7にその図を示す。図中、縦
軸は条件4によるHPLCのチャートと溶出時間を示
し、横軸は条件2によるHPLCのチャートと溶出時間
を示し、黒丸はそれぞれのオリゴ糖の溶出位置を示す。
【0117】実施例4 N−アセチルラクトサミン型糖鎖の構造決定を行うため
のキット1及びキット2を作製した(表3、表4)。な
お、キットに含有されたオリゴ糖IV−PA、及び VII−
PA、VIII−PA、XVI−PAは前出の寳酒造社製のも
のを用いた。オリゴ糖V−PA及びVI−PAは前出の中
埜酢店製のものを用いた。オリゴ糖IX−PA〜XV−P
Aは実施例3に記載の方法、又はオリゴ糖XVI−PAを
ウシ腎臓由来のN−アセチルグルコサミニダーゼによっ
て部分加水分解したものより実施例2−(2)に記載の
方法でHPLCにて精製した。
【0118】
【表3】 表 3 キット1の内容(100回分) 試 薬 内容量(ml) ──────────────────────────────────── 1液:オリゴ糖I−PA〜VIII−PAの混合溶液 0.1 (各1pmol/μl) 2液:250mM クエン酸緩衝液(pH 5.0 ) 0.4 3液:50U/ml アルスロバクター ウレアファシエンス 0.5 由来シアリダーゼ 4液:15U/ml サルモネラ菌由来α−2,3シアリダーゼ 0.5 5液:5U/ml 肺炎球菌由来β−ガラクトシダーゼ 0.5 6液:5U/ml 直鎖球菌由来β−ガラクトシダーゼ 0.5 7液:100U/ml ウシ腎臓由来β−N−アセチル 0.5 グルコサミニダーゼ 8液:10U/ml ウシ腎臓由来α−フコシダーゼ 0.5 9液:1U/ml 放線菌由来α−1,3/4フコシダーゼ 0.5 10液:0.035% 1−ブタノール含有100mM酢酸−トリエチル 1000 アミン(pH 4.0 ) ────────────────────────────────────
【0119】 ──────────────────────────────────── 付 属 品 内容量 ──────────────────────────────────── カラム1:パルパックタイプR(寳酒造製) 1本 (4.6mmφ×250mm) ────────────────────────────────────
【0120】
【表4】 表 4 キット2の内容(100回分) 試 薬 内容量(ml) ──────────────────────────────────── 1液:オリゴ糖I−PA〜 XVI−PAの混合溶液 0.1 (各1pmol/μl) 2液:250mM クエン酸緩衝液(pH 5.0 ) 0.4 3液:50U/ml アルスロバクター ウレアファシエンス 0.5 由来シアリダーゼ 4液:15U/ml サルモネラ菌由来α−2,3シアリダーゼ 0.5 5液:5U/ml 肺炎球菌由来β−ガラクトシダーゼ 0.5 6液:5U/ml 直鎖球菌由来 β−ガラクトシダーゼ 0.5 7液:100U/ml ウシ腎臓由来β−N−アセチル 0.5 グルコサミニダーゼ 8液:10U/ml ウシ腎臓由来α−フコシダーゼ 0.5 9液:1U/ml 放線菌由来α−1,3/4フコシダーゼ 0.5 10液:0.035% 1−ブタノール含有100mM酢酸−トリエチル 1000 アミン(pH 4.0 ) 11液:0.07% 1−ブタノール含有100mM酢酸−トリエチル 1000 アミン(pH 4.0 ) 12−A液:75% アセトニトリル含有50mM酢酸−トリエチル 1000 アミン(pH 7.3 ) 12−B液:50% アセトニトリル含有50mM酢酸−トリエチル 1000 アミン(pH 7.3 ) ────────────────────────────────────
【0121】 ──────────────────────────────────── 付 属 品 内 容 量 ──────────────────────────────────── カラム1:パルパックタイプR(4.6mmφ×250mm) 1本 カラム2:パルパックタイプN(4.6mmφ×250mm) 1本 ────────────────────────────────────
【0122】実施例5 ウシフェツインは分子量約48000の糖タンパク質で
その重量の約22%が糖鎖で構成されている。フェツイ
ンの糖鎖の構造は従来より詳細に解析されており糖タン
パク質糖鎖の研究には格好の材料である。フェツインの
主要なアスパラギン結合型糖鎖の構造は、表5のXXIIと
XXIII に示されるものにSAが0〜5個結合した構造を
している。SAの結合している数、位置、結合様式によ
り、フェツインの糖鎖は非常に多様な構造を有している
がその多くが式(化6)で表される構造であるため本発
明のキットを用いて解析が可能であった。
【0123】(1)ウシフェツイン糖鎖の調製 ウシフェツイン(寳酒造社)1gをヒドラジン分解、N
−アセチル化し、遊離の糖鎖画分を得た。得られた糖鎖
画分をPA化し、セファデックスG15カラム(ファル
マシア社)にて余剰の試薬等を除去し、PA化糖鎖を得
た。該PA化糖鎖を10mMトリス−塩酸緩衝液(pH
9.0)で平衡化したDEAE−トヨパール650Mカ
ラム(18mmφ×250mm、東ソー社)に供し、N
aClの塩濃度0〜100mMのグラジェントで溶出し
た。これにより、PA化糖鎖は1分子にSaが0〜4個
結合した5つの画分に分離された。このうち、SAが1
個結合した画分を2個結合した画分を分取し、その1/
100量をそれぞれ逆相カラムコスモシル(Cosmosil)
5C18AR(4.6mmφ×250mm、ナカライテス
ク社)を用いたHPLC〔溶離液:0.15%1−ブタ
ノール含有50mM酢酸−トリエチルアミン(pH5.
0)〕に供した。SAが1個結合している画分から40
分のピークを、SAが2個結合した画分から38分、4
8分、72分のピークを分取し、更にアサヒパックNH
2 P50を用いたHPLCによって精製した。SAが2
個で48分の画分の糖鎖をA、SAが2個で38分の画
分の糖鎖をB、SAが1個で40分の画分の糖鎖をC、
SAが2個で72分の画分の糖鎖をDと命名した。各糖
鎖を蒸留水100μlに溶かし、サンプルとした。
【0124】(2)Aの糖鎖構造決定 実施例4のキット1を用いて以下の操作を行った。 (反応1) サンプル5μlに2液4μl、3液4μ
l、5液4μlと蒸留水3μlを加え、37℃にて5時
間反応させた。反応液を100℃で10分処理した後、
2μlを条件1のHPLCにて分析した。 (反応2) サンプル5μlに2液4μl、5液4μ
l、7液4μlと蒸留水3μlを加え、37℃にて5時
間反応させた。反応液を100℃で10分処理した後、
3液を2μl、5液を2μl添加し更に5時間反応させ
た。反応液を100℃で10分処理した後、2μlを同
様にHPLCにて分析した。 (反応3) サンプル5μlに2液4μl、4液4μ
l、5液4μl、7液4μlを加え、37℃にて5時間
反応させた。反応液を100℃で10分処理した後、3
液を2μl、5液を2μl添加し更に5時間反応させ
た。反応液を100℃で10分処理した後、2μlを同
様にHPLCにて分析した。
【0125】結果:反応1の反応液を分析すると、生成
物はその溶出時間よりVIII−PAであった。糖鎖AのG
alはβ−1,4結合特異的なβ−ガラクトシダーゼす
なわち反応1で用いた5液によってすべて除去されたこ
とになる。つまり糖鎖AのGalの結合はすべてβ−
1,4であった。したがって糖鎖Aは式(化6)におい
てl1 =m1 =m′1 =m′2 =m′3 =m′4 =q=
1 =p2 =p3 =p4=0、l2 =l3 =l4 =m2
=m3 =m4 =1と決定された。次に、反応2の反応液
を分析したところ、生成物はその溶出時間より III−P
Aであった。したがって、糖鎖Aは表5のXXIIのPA化
物(XXII−PA)のα−1,3結合で分岐したManの
側の2つのGalにSAを有している。すなわち式(化
6)において、n1 =n2 =n′1 =n′2 =0、n3
+n′3 =n4 +n′4 =1と決定された。次に、反応
3の反応液を分析したところ、生成物はその溶出時間よ
りVI−PAが約80%で III−PAが約20%であっ
た。したがって、糖鎖AはXXII−PAのα−1,3結合
で分岐しているManの側の2個のGalの両方にα−
2,6結合したSAを有しているもの、すなわちn3
1、n4 =1であるものが約20%でGN(β1−2)
Man(α1−3)のGNに結合しているGalにα−
2,6結合したSAを有しているもの、すなわちn3
0、n4 =1であるものが約80%であると決定され
た。これらを結合すると、Aは表5のXXIVに示す構造の
もののPA化物と、 XXVで表される構造のもののPA化
物とが約4対1の比である混合物と決定された。
【0126】(3)Bの糖鎖構造決定 実施例4のキット1を用いて以下の操作を行った。 (反応1) サンプル5μlに2液4μl、3液4μ
l、5液4μlと蒸留水3μlを加え、37℃にて5時
間反応させた。反応液を100℃で10分処理した後、
2μlを(2)と同様にHPLCにて分析した。 (反応2) サンプル5μlに2液4μl、5液4μ
l、7液4μlと蒸留水3μlを加え、37℃にて5時
間反応させた。反応液を100℃で10分処理した後、
3液を2μl、5液を2μl添加し更に5時間反応させ
た。反応液を100℃で10分処理した後、2μlを同
様にHPLCにて分析した。 (反応3) サンプル5μlに2液4μl、4液4μ
l、5液4μl、7液4μlを加え、37℃にて5時間
反応させた。反応液を100℃で10分処理した後、3
液を2μl、5液を2μl添加し更に5時間反応させ
た。反応液を100℃で10分処理した後、2μlを同
様にHPLCにて分析した。
【0127】結果:反応1の反応液を分析すると、生成
物はその溶出時間よりVII−PAであった。したがって
糖鎖Bは式(化6)においてl1 =l3 =m1 =m3
m′1 =m′3 =q=p1 =p2 =p3 =p4 =0、l
2 =l4 =m2 =m4 =1であると決定された。次に、
反応2の反応液を分析したところ、生成物はその溶出時
間よりVII−PAであった。したがって、糖鎖Bは表5
のXXIII のPA化物(XXIII −PA)の両方のGalに
SAを有している。すなわち式(化6)においてn2
n′2 =n4 +n′4 =1であると決定された。次に、
反応3の反応液を分析したところ、生成物はその溶出時
間よりVI−PAであった。したがって、糖鎖BはXXIII
−PAの2個のGalのうちα−1,3結合で分岐して
いるManの側のGalにα−2,6結合したSAを有
している、すなわちn2 =0、n4 =1と決定された。
これらを結合すると、Bは表5のXXVIに示す構造の糖鎖
のPA化物であると決定された。
【0128】(4)Cの糖鎖構造決定 実施例4のキット1を用いて以下の操作を行った。 (反応1) サンプル5μlに2液4μl、3液4μ
l、5液4μlと蒸留水3μlを加え、37℃にて5時
間反応させた。反応液を100℃で10分処理した後、
2μlを(2)と同様にHPLCにて分析した。 (反応2) サンプル5μlに2液4μl、5液4μ
l、7液4μlと蒸留水3μlを加え、37℃にて5時
間反応させた。反応液を100℃で10分処理した後、
3液を2μl、5液を2μl添加し更に5時間反応させ
た。反応液を100℃で10分処理した後、2μlを同
様にHPLCにて分析した。 (反応3) サンプル5μlに2液4μl、4液4μ
l、5液4μl、7液4μlを加え、37℃にて5時間
反応させた。反応液を100℃で10分処理した後、3
液を2μl、5液を2μl添加し更に5時間反応させ
た。反応液を100℃で10分処理した後、2μlを同
様にHPLCにて分析した。
【0129】結果:反応1の反応液を分析すると、生成
物はその溶出時間よりVIII−PAであった。したがって
糖鎖Cは式(化6)においてl1 =m1 =m′1 =m′
2 =m′3 =m′4 =q=p1 =p2 =p3 =p4
0、l2 =l3 =l4 =m2 =m3 =m4 =1と決定さ
れた。次に、反応2の反応液を分析したところ、生成物
はその溶出時間よりI−PA約50%とV−PAが約5
0%であった。したがって、糖鎖CはXXII−PAのGN
(β1−4)Man(α1−3)のGNに結合している
GalにSAが置換したもの、すなわち式(化6)にお
いてn2 =n4 =n′2 =n′4 =0、n3 +n′3
1であるものと、GN(β1−2)Man(α1−6)
のGNに結合しているGalにSAが結合しているも
の、すなわち式(化6)においてn3 =n4 =n′3
n′4 =0、n2 +n′2 =1であるものとのほぼ1対
1の混合物であると決定された。次に、反応3の反応液
を分析したところ、生成物はその溶出時間よりIV−PA
であった。したがって、糖鎖Cは2,6結合したSAを
有しておらず、したがって、糖鎖CのSAはすべてα−
2,3結合で置換している、すなわち式(化6)におい
て、n′2 =1あるいはn′3 =1であると決定され
た。これらを総合すると、精製糖鎖Cは表5のXXVII に
示す構造のもののPA化物と、XXVIIIで表される構造の
もののPA化物とのほぼ1対1の混合物であると決定で
きた。
【0130】(5)Dの糖鎖構造決定 実施例4のキット1を用いて以下の操作を行った。 (反応1) サンプル5μlに2液4μl、3液4μ
l、5液4μlと蒸留水3μlを加え、37℃にて5時
間反応させた。反応液を100℃で10分処理した後、
2μlを(2)と同様にHPLCにて分析した。 (反応2) サンプル5μlに2液4μl、5液4μ
l、7液4μlと蒸留水3μlを加え、37℃にて5時
間反応させた。反応液を100℃で10分処理した後、
3液を2μl、5液を2μl添加し更に5時間反応させ
た。反応液を100℃で10分処理した後、2μlを同
様にHPLCにて分析した。
【0131】結果:反応1の反応液を分析すると、生成
物はその溶出時間よりVIII−PAであった。したがって
糖鎖Dは式(化6)においてl1 =m1 =m′1 =m′
2 =m′3 =m′4 =q=p1 =p2 =p3 =p4
0、l2 =l3 =l4 =m2 =m3 =m4 =1と決定さ
れた。次に、反応2の反応液を分析したところ、生成物
はその溶出時間よりII−PAであった。したがって、D
はXXII−PAのα−1,3結合で分岐したManにβ−
1,2置換したGNに結合しているGalと、α−1,
6結合で分岐したManにβ−1,2置換しているGN
に結合しているGalはにSAを有している、すなわち
式(化6)においてn2 +n′2 =n3 +n′3 =1で
あると決定された。したがってDは表5のXXIXの構造の
糖鎖のPA化物であると決定された。なお、オリゴ糖XX
II〜XXIXは式(化6)において変数lx 、mx
m′x 、nx 、n′x 、q、pX (x=1、2、3、
4)について下表の条件を満たすものである。
【0132】
【表5】
【0133】(1)は2つの変数のうちどちらか一方が
1でもう一方が0であることを示す。
【0134】実施例6 α1 −アシッドグリコプロテインの糖鎖構造決定 α1 −アシッドグリコプロテイン(シグマ社)1mgを
ヒドラジン分解、N−アセチル化し、遊離の糖鎖画分を
得た。得られた糖鎖画分を、0.1N塩酸で1時間処理
し、SAを除去した。処理した糖鎖画分を、バイオゲル
P−4(バイオラッド社)カラム(25mmφ×90c
m×2本)にインジェクトし、水にて溶出した。重合度
が21のイソマルトオリゴ糖とほぼ同じ時間に溶出する
ピークを分取し、凍結乾燥後PA化した。更に、PA化
したオリゴ糖をパルパックタイプRを用いたHPLCに
て精製し、糖鎖Eを得た。糖鎖Eの50pmolを5m
Uのエシェリヒア フロインディー由来のエンド−β−
ガラクトシダーゼ(生化学工業社)で37℃にて2時間
処理した。生成物の一部を、アナリティカル バイオケ
ミストリー、第171巻、第73〜90頁(1988)
に記載のアミドシリカ(東ソー社)を用いたHPLCに
て分析したところ、糖鎖Eよりも約2.5グルコースユ
ニット相当早く溶出した。該生成物を糖鎖Fと命名し
た。この結果より、糖鎖Eは式(化6)において、m1
=m2 =m3 =m4 =l1=12 =l3 =l4 =1、残
りの変数は0のいわゆる4本鎖糖鎖の枝のいずれかに、
N−アセチルラクトサミン〔−Gal(β1−4)GN
(β1−3)−〕が付加したものであり、エンド−β−
ガラクトシダーゼによって3糖Gal(β1−4)GN
(β1−3)Galが遊離し、糖鎖Fになったものと推
定された。
【0135】続いて、N−アセチルラクトサミンの付加
した枝を実施例4のキット2を用いて決定した。 (反応1) 糖鎖F、5μl(10pmol)に、2液
4μl、5液2μlと蒸留水9μlを加え、37℃にて
2時間反応させた。反応液を100℃で10分間処理し
た後、2μlずつを、条件2と条件4によるHPLCに
て分析した。 (反応2) 糖鎖F、5μl(10pmol)に、2液
4μl、7液4μlと蒸留水7μlを加え、37℃にて
2時間反応させた。反応液を100℃で10分間処理し
た後、5液を2μl添加し、更に2時間反応させた。反
応液を100℃で10分間処理した後、2μlずつを条
件2と条件4によるHPLCにて分析した。
【0136】(結果) 反応1の生成物は、2次元マッ
プにより標準物質I−PA〜XVI−PAと比較、同定し
たところ、XVI−PAと同定された。したがって、糖鎖
Fは、式(化6)において、l1 =l2 =l3 =l4
1であると決定された。同様にして、反応2の生成物
は、2次元マップによりXI−PAと同定された。したが
って、糖鎖Fは、式(化6)において、m1 =m3 =m
4 =1、m2 =0であると決定された。以上より、糖鎖
Fは、式(化6)において、l1 =l2 =l3 =l4
1 =m3 =m4 =1、他の変数はすべて0であると決
定された。また、この結果より、糖鎖Fでは、N−アセ
チルラクトサミンは、α−1,6で結合したManにβ
−1,2結合したGNへβ1−4で結合しているGal
に付加したものと決定された。
【0137】
【発明の効果】本発明により、より正確で簡便なN−ア
セチルラクトサミン型糖鎖の糖鎖構造決定方法、該方法
に用いるためのキット、及び標準物質として有用な新規
オリゴ糖が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】8種のオリゴ糖I−PA〜VIII−PAの混合物
を条件1のHPLCに供したときのチャートを示す図で
ある。
【図2】16種のオリゴ糖I−PA〜 XVI−PAの混合
物を条件2のHPLCに供したときのチャートを示す図
である。
【図3】図2のフラクション2を条件3のHPLCに供
したときのチャートを示す図である。
【図4】図2のフラクション4を条件3のHPLCに供
したときのチャートを示す図である。
【図5】図2のフラクション3を条件1のHPLCに供
したときのチャートを示す図である。
【図6】図2のフラクションを肺炎球菌由来のβ−N−
アセチルグルコサミニダーゼにて完全消化したものを条
件1のHPLCに供したときのチャートを示す図であ
る。
【図7】16種のオリゴ糖I−PA〜XVI−PAの混合
物を条件2と条件4のHPLCに供したときのチャー
ト、及び16種のオリゴ糖の2次元マップを示す図であ
る。
【図8】I−PAの 1H−NMRスペクトルのうち、化
学シフト値が3.00ppmから5.50ppmの範囲
のスペクトルを表す図である。
【図9】I−PAの 1H−NMRスペクトルのうち、化
学シフト値が1.85ppmから2.50ppmの範囲
のスペクトルを表す図である。
【図10】II−PAの 1H−NMRスペクトルのうち、
化学シフト値が3.00ppmから5.50ppmの範
囲のスペクトルを表す図である。
【図11】II−PAの 1H−NMRスペクトルのうち、
化学シフト値が1.85ppmから2.50ppmの範
囲のスペクトルを表す図である。
【図12】III −PAの 1H−NMRスペクトルのう
ち、化学シフト値が3.00ppmから5.50ppm
の範囲のスペクトルを表す図である。
【図13】III −PAの 1H−NMRスペクトルのう
ち、化学シフト値が1.85ppmから2.50ppm
の範囲のスペクトルを表す図である。
【図14】IX−PAの 1H−NMRスペクトルのう
ち、化学シフト値が1.60ppmから5.50ppm
の範囲のスペクトルを表す図である。
【図15】X−PAの 1H−NMRスペクトルのうち、
化学シフト値が1.85ppmから2.50ppmの範
囲のスペクトルを表す図である。
【図16】X−PAの 1H−NMRスペクトルのうち、
化学シフト値が3.00ppmから5.50ppmの範
囲のスペクトルを表す図である。
【図17】XI−PAの 1H−NMRスペクトルのうち、
化学シフト値が1.60ppmから5.50ppmの範
囲のスペクトルを表す図である。
【図18】XII−PAの 1H−NMRスペクトルのう
ち、化学シフト値が1.60ppmから5.50ppm
の範囲のスペクトルを表す図である。
【図19】XIII −PAの 1H−NMRスペクトルのう
ち、化学シフト値が1.60ppmから5.50ppm
の範囲のスペクトルを表す図である。
【図20】XIV−PAの 1H−NMRスペクトルのう
ち、化学シフト値が1.60ppmから5.50ppm
の範囲のスペクトルを表す図である。
【図21】α−Manにβ−1,6結合しているGNを
保護した糖鎖を、ウシ腎臓由来のβ−N−アセチルグル
コサミニダーゼで部分消化したものをHPLCに供した
ときのチャートを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (56)参考文献 Biochemical Chrom atography,Vol.6 (1992)p.77/83 社団法人日本生化学会編「新生化学実 験講座3 糖質▲I▼ 糖タンパク質 (上)」(1990−5−21)株式会社東京 化学同人 p.184−187,316−317 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 5/04 C07H 15/00 - 15/26 C12Q 1/34 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−アセチルラクトサミン型糖鎖の糖鎖
    構造決定方法において、下記の構造式(1): で表されるN−アセチルラクトサミン型糖鎖のM3コア
    のα−マンノース残基(α−Man)にβ結合している
    N−アセチルグルコサミン残基(GN)のうち、選択的
    に除去すべきGNのα−Manとの結合の切断を酸素的
    処理により行ってGNを選択的に除去した後、当該M3
    コアに残存しているGNの結合位置を決定することによ
    って、M3コアのα−Manにβ結合しているGNの非
    還元末端側の糖鎖残基を決定することを特徴とするN−
    アセチルラクトサミン型糖鎖の糖鎖構造決定方法。
  2. 【請求項2】 N−アセチルラクトサミン型糖鎖の糖鎖
    構造決定方法において、下記工程:(1)下記の構造式
    (1): で表されるM3コアのα−Manにβ結合しているGN
    を選択的に除去する工程、(2)工程(1)の生成物
    が、M3コアのα−Manにβ結合しているGNの非還
    元末端側に糖残基が結合している生成物である場合に
    は、それらの糖残基を除去する工程、 (3)工程(1)又は工程(2)により得られる、M3
    コアのα−Manと非還元末端側に糖残基を有しないG
    Nとがβ結合している生成物を標準物質と比較、同定す
    る工程、 を含むことを特徴とする請求項1に記載の糖鎖構造決定
    方法。
  3. 【請求項3】 工程(1)が、M3コアのα−Manに
    β結合しているGNのうち、存在を決定すべき特定の糖
    残基を非還元末端側に有しないGNを除去する工程であ
    る請求項2に記載の糖鎖構造決定方法。
  4. 【請求項4】 工程(1)が、M3コアのα−Manに
    β結合しているGNのうち、存在を決定すべき特定の糖
    残基を非還元末端側に有するGNを除去する工程である
    請求項2に記載の糖鎖構造決定方法。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3、又は4に記載の糖鎖
    構造決定方法に用いるためのキットであって、下記一般
    式(化1): 【化1】 〔式中、Y1 、Y2 、Y3 、Y4 はいずれも水素又はβ
    −N−アセチルグルコサミン残基(β−GN)を示し、
    1 は下記式(化2)又は(化3): 【化2】 【化3】 (式中、R2 はアルデヒド基、標識化されたメチレン
    基、又は標識化されたメチン基を示す)を表す〕で表さ
    れるオリゴ糖の少なくとも1種を含むことを特徴とする
    N−アセチルラクトサミン型糖鎖の糖鎖構造決定用キッ
    ト。
  6. 【請求項6】 下記一般式(化4): 【化4】 〔式中、X1 、X2 、X3 、X4 はいずれも水素又はβ
    −GN(ただし、X1 とX3 の両方が水素の場合、ある
    いはX2 とX4 の両方がβ−GNの場合を除く)を示
    し、R1 は下記式(化2)又は(化3): 【化2】 【化3】 (式中、R2 はアルデヒド基、標識化されたメチレン
    基、又は標識化されたメチン基を示す)を表す〕で表さ
    れるオリゴ糖。
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