JP3016195B2 - 密閉保存容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、加熱調理食品等
を保存し、必要に応じそのまま加熱調理して食用に供す
る場合等に使用する食品等の密閉保存容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、例えば特公平４−３０８３０
号公報に示されるような、調理前後の食品を容器内に収
容し、該容器を電子レンジ内に入れ加熱することにより
容器内を減圧状態にして密閉する保存容器が使用されて
いる。

【０００３】上記密閉保存容器は容器本体に閉合される
蓋体のフラットな天板面に軸孔および通気孔を貫設し、
傘形逆止弁の軸およびこの軸下部の突起を、前記軸孔に
無理嵌めして突起を軸孔の内周縁部に係合させて抜け止
めを図ると共に、軸孔および通気孔を覆う傘形逆止弁の
外周縁が、蓋体のフラットな天板上面に気密的に接触す
るように構成したものである。

【０００４】この密閉保存容器にあっては、前記容器本
体内に加熱調理済みの食品を熱間充填して蓋体を被せた
後、掛けがねを用いて仮密閉し、電子レンジ内にこの仮
密閉された容器を入れ加熱する。これによりこの容器内
の水蒸気や空気は熱膨張して内部圧力が上昇し、この内
部圧力によって逆止弁を僅かに浮上させ、前記通気孔を
通じて水蒸気や空気を容器外へ排出し圧力を逃がす構造
である。

【０００５】次に前記電子レンジによる加熱を停止し、
容器および内部食品の温度の低下により、容器内の減圧
状態を形成する。これにより、傘形逆止弁の外周縁をこ
の容器の内外圧力差により蓋体の天板上面に密着し、所
謂密封状態を形成し、この状態を保持する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の密閉保存容器は、容器内の減圧密封状態を傘形逆
止弁の外周縁を蓋体のフラットな天板上面に密接させる
ことによって実現するものであり、その傘形逆止弁の外
周縁は蓋体のフラットな天板上面に対し環状線域におい
て接触する構造であるため、これら環状線域における接
触界面に粒子等の異物が介在し易く、これにより気密瑕
疵を生ずる恐れを有している。

【０００７】さらに、前記傘形逆止弁の傘状部が蓋体の
上面から突出し、突起物を生成するため容器の積み重ね
が困難であり、さらには傘状部に物体が当り外力を受け
て気密瑕疵を生ずる。

【０００８】この発明は前記のような課題を解決するも
のであり、逆止弁の密閉接触面積を十分に確保可能に
し、容器内の減圧密閉状態を確実且つ安定に維持できる
とともに、積み重ねが可能であり、異物が介入しにくく
且つ介入しても気密瑕疵を生じ難い密閉保存容器を提供
することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】密閉保存容器は、容器本
体と容器本体を密閉する蓋体とからなり、前記蓋体の天
板に天板外表面より陥没し容器本体内に向けすり鉢状に
収斂せる内周テーパ面を持った逆止弁嵌合穴を設ける。

【００１０】他方前記逆止弁嵌合穴と同様の外周テーパ
面を持った逆止弁を形成し、この逆止弁を逆止弁嵌合穴
内に嵌合し、逆止弁の外周テーパ面と前記逆止弁嵌合穴
の内周テーパ面とを略同調する傾斜角度に設定し、前記
容器本体の内部圧力の減圧に応じて、前記逆止弁の外周
テーパ面と逆止弁嵌合穴の内周テーパ面との楔作用によ
り密着状態にし、密封を図るようにしたものである。こ
れにより内周テーパ面と外周テーパ面とを楔効果により
確実に密着せしめ、この密着面を充分に確保し密閉効果
を向上し減圧保持を確保する。

【００１１】又、前記逆止弁嵌合穴を有底とし、該底壁
に前記容器本体内に通じる通気孔を設け、この底壁を上
記逆止弁の軸の取付け支持壁とする。

【００１２】又、上記密閉保存容器は、前記逆止弁を蓋
体の天板上面より突出しないように前記逆止弁嵌合穴内
に嵌合し、外力によるずれ並びに気密瑕疵の招来を防止
する。

【００１３】又、前記逆止弁の底面には、前記容器内に
連通する受圧用凹部を設け、容器内圧を効率的且つ均一
に受圧できるようにする。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図１
乃至図５に基いて説明する。図１、図２に示すように、
密閉保存容器は耐熱性、耐冷性およびマイクロ波透過性
の合成樹脂材料からなる容器本体１と、この容器本体１
の上端の開口部を塞ぐようにこれに閉合される容器本体
と同質の材料からなる蓋体２とから構成されている。

【００１５】容器本体１は全体として略長円状をなし、
その開口端の外周に略逆Ｕ字状に屈曲した断面形状をな
す環状のフランジ３が一体に設けられている。そして、
この環状のフランジ３の上面をパッキンに対する加圧面
とする。

【００１６】前記蓋体２は天板部４とこれの周縁から環
状に立ち下げられた内嵌め部５とを有する。該内嵌め部
５の外周には下方へ向け開口するパッキン収容溝６が環
状に連設されており、このパッキン収容溝６内には、リ
ング形パッキン７が交換可能に、しかも容易に脱落しな
いように装着されている。なお、このパッキン７は、蓋
体２が容器本体１に挿入されない状態にあるとき、一部
がその弾性によりパッキン収容溝６の開口部から環状に
突出している。

【００１７】前記蓋体２の天板部４はその周辺部を山形
に膨出して環状の膨出板部４ａを形成し、中央部領域は
略平板部４ｂとする。この平板部４ｂの所定位置に平板
部４ｂから陥没する逆止弁嵌合穴８を設ける。この逆止
弁嵌合穴８は容器本体１内に向け略すり鉢状に収斂した
内周テーパ面８ａを有する。

【００１８】前記逆止弁嵌合穴８の底壁８ｂには、図３
等に示すように、中心孔である一つの弁軸孔９と、この
弁軸孔９周囲に配された複数個の通気孔１０とが貫設さ
れている。この逆止弁嵌合穴８には後述のような逆止弁
１５が嵌合される。

【００１９】図１、図４等に示すように、上記天板部４
の平板部４ｂの極部を容器本体１内へ向けすり鉢形に据
え込んで、このすり鉢形据え込み壁８′の内側に上記す
り鉢形の逆止弁嵌合穴８を画成している。

【００２０】上記逆止弁１５は容器本体内に向けすり鉢
状に収斂せる外周テーパ面１５ａを持っている。この外
周テーパ面１５ａと前記内周テーパ面８ａとは略同調す
る傾斜角度であり、テーパ面全周において密着可能であ
る。

【００２１】又、前記逆止弁１５の中心部には、下方へ
突出する弁軸１８が一体成形により突設されており、こ
の弁軸１８の基端周囲には下方へ向け開口する受圧用凹
部１９が形成されている。この凹部１９は前記通気孔１
０を通じて容器本体１内に連通されている。さらに、前
記弁軸１８は前記弁軸孔９に挿入して先端を容器本体１
内へ突出させ、この先端にＯリングやＣリングなどの弁
軸抜け止め部材２０を取り付け逆止弁嵌合穴８の底壁８
ｂに係止可能にし抜け止めを図っている。

【００２２】前記弁軸抜け止め部材２０と底壁８ｂの係
止面間には若干の遊び２１を形成しテーパ面８ａに対す
る逆止弁１５の僅かの浮上を許容しながら、所定量以上
の浮上および抜けを規制している。

【００２３】さらに、図２および図３に示すように、前
記パッキン収容溝６のうち互いに対向する長辺部分には
所定長に亘って、ロック板１１が容器本体１の外側面に
沿い回動可能に下設されている。このロック板１１と蓋
体２とは一体成形されており、ロック板１１は蓋体２と
の連結部をヒンジとして左右に回動される。

【００２４】前記ロック板１１の内側面には、容器本体
１に対する蓋体２の閉合時に、容器本体１のフランジ３
の下面に係合されて、蓋体２を容器本体１にロックし、
閉合を保持する係止爪片１２が突設されている。このロ
ック板１１の先端部には摘持片１１′を連設し、手指に
よる回動操作を容易にする。

【００２５】次に、前記構成の密閉保存容器を使用する
場合には、まず、容器本体１に予め加熱調理された食品
を充填し、図１および図２に示すように容器本体１に蓋
体を嵌め合わせ閉合する。蓋体２を容器本体１に閉合す
る過程で蓋体２を押圧するとロック板１１の係止爪片１
２がフランジ３に当接して弾力に抗し外方へ回動され、
フランジ３を通過したときに弾力により復元しフランジ
３の下面に自動的に係合する。このとき、蓋体２のパッ
キン収容溝６内のパッキン７が容器本体１のフランジ３
上面に加圧され、密閉される。

【００２６】続いて、前記食品を充填した容器を電子レ
ンジ内に入れてマイクロ波加熱すると、食品が内部から
水蒸気を発生し、内部の空気も膨張して、内部圧力が次
第に上昇する。そして、この内部圧力気体が前記通気孔
１０を通じて逆止弁の底面に集中的に作用し、逆止弁１
５に浮上させるような力が付与される。受圧用凹部１９
は上記逆止弁底面に作用する内部圧力を効率的に受圧す
る。これにより逆止弁１５のテーパ面１５ａが、図４に
示すように、弁軸とともに遊び２１の許容する範囲で上
昇しテーパ面８ａから僅かに離れて環状の間隙１７を形
成し、容器内の水蒸気や空気をこれらの間隙１７から外
部に噴出して抜気する。

【００２７】そして、電子レンジによる加熱を終了し放
熱させると、容器内は前記の抜気により減圧状態となっ
ているため、逆止弁１５はテーパ面８ａに直ちに密着す
る位置に復帰し、冷却によりさらに減圧が進み上記逆止
弁１５のテーパ面１５ａと逆止弁嵌合穴８のテーパ面８
ａとの密着力が更に助長される。よって外気の容器内へ
の逆流が阻止される。つまり、容器内は内外の圧力差に
よって自動的に密閉され維持されることとなる。この結
果、食品は常温保存または低温保存が可能となる。

【００２８】なお、前記抜気時に逆止弁１５はテーパ面
８ａから離れて上昇するが、弁軸抜け止め部材２０が弁
軸孔９周辺に当たり、その上昇量の規制と抜け止めがな
される。

【００２９】上記逆止弁１５は径方向に適度の圧縮弾性
を有してテーパ面１５ａがテーパ面８ａに対し高良馴性
を発揮し、前記テーパ面１５ａ，８ａによる楔作用と相
俟って密着性を良好にする。又弁軸１８は軸線方向への
若干の伸縮性を有し、内部圧力による前記逆止弁１５の
上昇を確実にすることができる。この場合抜け止め部材
２０の遊び２１の設置を省略できる。

【００３０】逆止弁１５に径方向への圧縮弾性を有効に
付与する手段として、図４に示すように、逆止弁１５の
上面で開口せる有底孔１６を設け、この有底孔１６を圧
縮圧力に対する逃げ穴とし、有底孔１６周囲のテーパ面
１５ａを持つすり鉢形周壁の径方向への縮小を容易にす
る。

【００３１】又他の手段として図５に示すように、逆止
弁１５内を空洞にしこの空洞を通気孔１０と対向する部
位において開放し、受圧用凹部１９′を形成すると同時
に、空洞を画成するすり鉢形周壁の径方向への縮小を容
易にする。

【００３２】この構造によれば、容器に入れた食品を電
子レンジで加熱する場合に、容器内で発生する水蒸気圧
や空気圧を、通気孔１０を介して速やかに大容量の凹部
１９′内に集中させることができるため、逆止弁１５の
テーパ面８ａからの浮上を高感度に行わせることができ
る。従って、容器内の抜気が速やかに行われる。

【００３３】上記のように有底孔１６や凹部１９′が設
けられることによって、テーパ面８ａと接触する部位
で、逆止弁１５の肉厚が広範囲に亘って薄くなり、柔軟
性が増すことにより、テーパ面８ａに対する逆上弁１５
のテーパ面１５ａの密着性能が大幅に向上する。

【００３４】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、容器本
体と容器本体を密閉する蓋体とからなる密閉保存容器に
おいて、前記蓋体の天板に設けた逆止弁嵌合穴の内周テ
ーパ面と逆止弁の外周テーパ面とが楔作用を発揮し強度
の密着力を確保する。又逆止弁と逆止弁嵌合穴との密着
面積を十分に確保し、上記楔作用と相俟って密着性を一
層向上する。又テーパ面により粒子状異物の付着を防止
し異物介在による気密瑕疵を有効に防止する。よって容
器内の減圧操作および減圧保持を確実且つ安定的に実現
できる。

【００３５】さらに、前記逆止弁を逆止弁嵌合穴内に嵌
合することにより、殊に嵌合度を深めて蓋体の天板上面
より突出しないように逆止弁嵌合穴内に嵌合させること
により、天板上面に無用な突起物を生成せず、積み重ね
が可能となるともに、物体に当って逆止弁がずれを来
し、気密瑕疵を招来する問題を解消できる。

【００３６】又、逆止弁の底面に受圧用凹部を設けるこ
とで、容器本体内の高圧力をこれに集中させて逆止弁の
浮上およびこれによる抜気を速やかに行わせることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施形態を示す密閉保存容器を示す
正面断面図である。

【図２】上記密閉保存容器を示す側面断面図である。

【図３】図１における蓋体を示す下面図である。

【図４】この発明における逆止弁の他の形態例を示す拡
大断面図である。

【図５】この発明における逆止弁のさらに他の形態例を
示す拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 容器本体 ２ 蓋体 ４ 天板 ８ 逆止弁嵌合穴 ８ａ 内周テーパ面 ８ｂ 底壁 ８′ すり鉢形据え込み壁 ９ 弁軸孔 １０ 通気孔 １１ ロック板 １１′ 摘持片 １２ 係止爪片 １５ 逆止弁 １５ａ 外周テーパ面 １６ 有底孔 １７ 環状間隙 １８ 弁軸 １９ 受圧用凹部 ２０ 抜け止め部材 ２１ 遊び

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B65D 81/34 A23L 3/00 101 A47J 47/02

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】容器本体と容器本体を密閉する蓋体とから
   なる密閉保存容器において、前記蓋体の天板に容器本体
   内へ向けすり鉢状に収斂せる内周テーパ面を持った逆止
   弁嵌合穴を容器本体内と連通して設け、該逆止弁嵌合穴
   内に容器本体内へ向けすり鉢状に収斂せる外周テーパ面
   を持った逆止弁を嵌合し、該逆止弁の外周テーパ面と前
   記逆止弁嵌合穴の内周テーパ面とを略同調する傾斜角度
   に設定し、前記容器本体の内部圧力の減圧に応じて、前
   記逆止弁の外周テーパ面と逆止弁嵌合穴の内周テーパ面
   との楔作用により密着状態を形成し上記減圧状態を保持
   する構成としたことを特徴とする密閉保存容器。
2. 【請求項２】前記逆止弁の底面に前記容器本体内に連通
   する受圧用凹部を設けたことを特徴とする請求項１記載
   の密閉保存容器。
3. 【請求項３】前記逆止弁嵌合穴を有底とし、その底部に
   前記容器本体内に連通する通気孔を設けたことを特徴と
   する請求項１又は２記載の密閉保存容器。
4. 【請求項４】前記逆止弁が、蓋体の天板上面より突出し
   ないように前記逆止弁嵌合穴内に嵌合されていることを
   特徴とする請求項１又は２又は３記載の密閉保存容器。