JP3015517U - 家具の転倒防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】地震等の振動や揺れによって、ずれたり外れた
りすることがなく万一の場合でも確実に家具の転倒を防
止する家具転倒防止装置を提供すること。 【構成】管中心軸に平行状の摺動凹溝を周壁一側部に設
け、該摺動凹溝内に適宜間隔毎の係止凹部を設けた小径
管と、係合子を内挿した筒状体を上端部に嵌着した大径
管とを、互に摺動伸縮自在に差合わせ、前記筒状体を両
管短縮の固定手段とし、下方部にジャッキ装置を設けた
突張支柱において、上端部と下端部に滑り止めとスパイ
ク付きの板バネと釘打込み用小孔を設けた押圧体を夫夫
取付けて家具の転倒防止装置とした。 【効果】上下の押圧体にスパイク付き板バネを設けたの
で上下振動により押圧体が接触面から離れてもスパイク
は弾性復元力により離れることがなく、装置本体がずれ
たり外れたりしないので常に家具の転倒を防止すること
ができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】 本考案は、地震等により振動、衝撃を受けた時に室内 のタンス、本棚、食器棚等の家具が転倒するのを防止するための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】 従来の家具の転倒防止装置としては、家具背部の壁面と家具 の天板とを金具により固定する装置や、室の天井板と家具の天板との間でジャッ キアップまたはターンバックル方式で上下に突っ張る装置や、家具の内部や家具 を載置する台座等に振動減衰部材を組み込んだ免震装置などがある。 また本願出願人は、実願平６−１６１８４号にて「突張り伸縮支柱」を考案し 出願している。本考案はそれをさらに改良し、使用目的を限定して家具の転倒防 止装置としたものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】 上記の従来装置で壁面と家具の天板とを金 具により固定するものは、壁面や家具に取付孔として大きな傷を付け、また家具 の移動の時に取り外しが面倒であるため好ましくなく、振動減衰部材を組み込ん だ免震装置は、家具が大型化するうえ、既存の家具の大きさに合わない場合や、 また装置も複雑でそれゆえ高額になるという欠点がある。

【０００４】 そこで本考案においては、構造的にもまた取付方法でも最も簡単で、しかも室 内や家具等に目立つような傷を残さないで天井板と家具の天板を上下に突っ張る 装置でもって、振動や揺れによって支持位置が前後左右にずれたり、外れたりす ることがなく、万一の場合にも確実に作用して家具の転倒防止をする装置を提供 することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 管中心軸に平行状の摺動凹溝を周壁一側部に 設け、該摺動凹溝内に適宜間隔毎の係止凹部を設けた小径管と、係合子を内挿し た筒状体を上端部に嵌着した大径管とを、互に摺動伸縮自在に差合わせ、前記筒 状体を両管短縮の固定手段とし、下方部にジャッキ装置を設けた突張支柱におい て、滑り止めとスパイク付きの板バネと釘打込み用小孔を設けた押圧体を上端部 と下端部に夫夫取付けて家具の転倒防止装置とした。

【０００６】

【作用】 本考案に係る家具の転倒防止装置は、大径管と小径管を内外に差合 わせて相互の摺動伸縮操作により全長を適当に伸縮調整し、大径管の上端に嵌着 した筒状体内の係合子を小径管の係止凹部に係合させることにより両管の短縮を 固定した後、室内の天井と家具の天板の間の取付空間部に立設して上下両端部の 両押圧体を上材と下材とに当接し、下方部のジャッキ装置を操作して大径管に内 挿したボルトを下方へ突出させることにより圧迫力を生じて上下両押圧体を夫夫 天井面と家具の天板面に圧着させて突張り、家具を下方へ押し付けるものであっ て、前記係合子と係合凹部との係合により両管接合部が確実に固定しジャッキ装 置の圧力による上下方向の圧迫力に対しても全長が短縮することがないので、上 下両押圧体の圧着力が持続して突張り効果が低下しない。

【０００７】 さらに地震等で上下に振動して瞬間的に上下の押圧体が相対する各接触面と離 れても、押圧体内の板バネが弾性力で復元するのでバネ先端のスパイクが天井面 や家具から離れることがなく押圧体の位置がずれることがない。また水平方向の 振動の場合でも、上下両押圧体に設けた滑り止めとさらに強力に固定するならば 小孔に細釘を打ち込めば押圧体が前後左右にずれることがないので家具の転倒防 止が確実に行える。

【０００８】

【実施例】

本考案の一実施例として図示した添付図面各図につき説明する。 図１は、本考案に係る家具の転倒防止装置の全体を示した斜視図であって、大 径管１の内部に小径管２を摺動伸縮自在に差合わして全長を調整できるよう接合 してあり、大径管１の上端部に嵌着した筒状体３の一側部に上端部を内方へ水平 状に曲げ下端を外方へ曲げた係合子４を上下摺動可能に挿嵌してあり、下端部に ボルト５ａ（図面上は見えず）を中心部に下方向に挿通したキャップ５ｂを嵌着 し、大径管１から突出した前記ボルト５ａにノブ５ｃを螺挿してジャッキ装置５ とし、その下端部に下押圧体６を螺着している。

【０００９】 また、小径管２の周壁一側面部には管中心軸に平行状の摺動凹溝２ａが全長に 亘り凹設され、該摺動凹溝の底部を適当間隔毎に複数箇所を切込んだ係止凹部２ ｂ…が形成されてあり、上端部には上押圧体７が嵌着されてある。

【００１０】 図２は、本考案に係る家具の転倒防止装置を分解して示した分解斜視図であり 、ジャッキ装置５のボルト５ａは六角ボルトで、大径管１の下端部に内挿される リブ５ｂ１を有するキャップ５ｂの中央部を挿通し、ノブ５ｃの中央部を螺挿し 、下押圧体６の中央上面の螺孔６ａに螺着される。該下押圧体６の左右端寄りに は釘打込用の小孔６ｂ，６ｂが設けられ、押圧面側には中央に断面コ字形の板バ ネ８がビス１０で螺着され、その左右に滑り止め９、９が取り付けられる。上押 圧体７は下面中央に小径管２の上端部を嵌着する挿入孔７ａを有する他は、下押 圧体６と同構造である。なお前記板バネ８の左右両先端部には小突起を設けてス パイク８ａとしている。

【００１１】 図３は、本考案に係る転倒防止装置で天井板Ｔと家具Ｋを上下に突っ張った状 態を示す縦断面図であり、上下両押圧体の釘打込用の小孔６ｂ、７ｂを通して天 井板Ｔおよび家具Ｋに細釘Ｐを打込んだ状態も示してある。

【００１２】 図４及び図５は、大径管１と小径管２の差合わせ接合部を拡大して示す縦断面 図であって、図４は、小径管２を大径管１から上方へ引上げ摺動している状態で あり、図５は、小径管２を下方へ摺動させて小径管２の係止凹部２ｂへ係合子４ の鉤片４ａが係合し、上下方向から圧迫力が加わっている状態であり、大径管１ の上端部に挿嵌した筒状体３は、図６の（ａ）図にも斜視図で示すように、係合 子４を挿入する摺動溝３ａの上端壁を外方向きに斜切した斜壁３ｂを設けて上方 部に広い空部３ｃを形成し、該空部３ｃ内において係合子４の上部が上下方向と 内外方向とへ可動にしてある。

【００１３】 係合子４は、図６の（ｂ）図にも斜視図で示すように、上端部に水平状の鉤片 ４ａを曲成し、該鉤片の先端部を小径管２の摺動凹溝２ａに摺接する形状に両側 を斜切してあり、鉤片４ａの下側に斜片４ｂと垂片４ｃ及び外向き折曲片４ｄを 連設してあり、該係合子４を図４及び図５に示すように筒状体３の一側部の摺動 溝３ａ内へ挿嵌する。

【００１４】 図７は、壁板Ｗを背にして配置した家具Ｋの天板Ｋ２と天井板Ｔとの間に本考 案の転倒防止装置を設置して上下に突っ張った状態を示す断面図であり、天井板 Ｔと家具の天板Ｋ２は通常は薄板であり、強度は弱いため転倒防止装置の設置は 上下の押圧体が夫夫天井の野縁Ｎ、家具の縁枠材Ｋ１を押圧するよう壁板Ｗに沿 って設置する。地震等で家具Ｋが転倒する場合にはＸ点を中心にして前方へ傾斜 してＫ′に変位しＹ点は前方上向きでＹ′点に変位する。本考案の転倒防止装置 はこのＹ点を下方向に押え付けて前方上方への変位を防止するので家具の転倒を 防止できる。

【００１５】 図８、図９は、大径管１の下端部のジャッキ装置５と下押圧体６を示す縦断面 図であり、図８は、ジャッキ装置５の上下への突張力で押圧体６は家具Ｋに圧接 しており、板バネ８は押圧力でＭ字形断面に変形して弾性復元力で左右両先端の スパイク８ａを家具Ｋに突き当てている。

【００１６】 図９は、図８の状態において地震等により上下振動が発生した場合であり、瞬 間的に下押圧体６と家具Ｋとの間に隙間が生じた状態を示した縦断面図である。 滑り止め９、９は家具Ｋと離れた状態となっているが板バネ８は弾性力で元のコ 字形断面に戻っており、左右両先端のスパイク８ａは家具Ｋから離れることなく 当接した状態を保持している。なお、図示はしていないが、上押圧体と天井板と の接合面でも同様の作用となる。

【００１７】

【考案の効果】 係合子を係止凹部へ係合させて支柱を突張らす場合に、係合子の上端鉤片が 大径管の上端と小径管の切込み下端部とに挟持された上で、ジャッキ装置の
圧 迫力で前記挟持部の鉤片が上下から圧迫されその挟持力が増大するので両管
の 接合固定が強固で全長に短縮が起こらないから圧迫力が低下することがな
く、 支柱の突張り力が持続するため、長期的な使用により万一の場合に役に立た
な いということがない。

【００１８】 地震により上下方向の振動を受けた場合は、室内の天井や床が上下振動をす るため天井と家具との距離が瞬間的に長くなったり短くなったりする。そう
す ると転倒防止装置の押圧体が接触面と離れるため、振動が続くと支持位置が
徐 々にずれて最悪の場合は転倒防止装置が外れて落ちてしまうことも考えられ
る 。

【００１９】 こうしたことを防止するために上下の押圧体にスパイク付きの板バネを螺着 し、ジャッキ装置で上下に突っ張ることにより板バネは押し付けられるので
弾 性力に抗して弯曲し、先端部のスパイクは弾性復元力により接触面に突き当
て られた状態となる（図８を参照）。そのため押圧体が離れると同時に板バネ
は 弾性力で元の形状に復元するのでスパイクの先端は接触面を捉えたままで離
れ ることがなく（図９を参照）、そのため転倒防止装置は支持位置がずれるこ
と なく元の位置に保持され、常に家具の転倒を防止できる。

【００２０】 さらに地震により水平方向の振動を受けた場合は、上下押圧体の圧迫力によ って発生する摩擦力を、両端部に設けた滑り止めによってさらに増大し、そ
れ でもまだ不十分と思われるなら押圧体の左右部に設けた小孔を通して、天井
裏 の野縁や、家具の枠縁材に細釘を打ち込めば尚一層、水平方向の力に対する
抵 抗力が高まり、転倒防止装置の支持位置がずれることがないので常に家具の
転 倒を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の全体を示す斜視図

【図２】本考案の一実施例を分解して示した斜視図

【図３】中間部を省略して示した縦断面図

【図４】大径管と小径管の接合部を拡大して示す縦断面
図

【図５】短縮を固定した状態の大径管と小径管の接合部
を拡大して示す縦断面図

【図６】筒状体と係合子とを分離拡大して一部を断面で
示す斜視図

【図７】本考案の一実施例の使用状態を示す縦断面図

【図８】本考案の一実施例の下方部と家具の当接部を示
す断面図

【図９】図８において下押圧体が家具と離間した状態を
示す断面図

【符号の説明】

１…大径管 ２…小径管 ２ａ…摺動凹溝 ２ｂ…係止凹部 ３…筒状体 ３ａ…摺動溝 ３ｂ…斜壁 ３ｃ…空部 ４…係合子 ４ａ…鉤片 ４ｂ…斜片 ４ｃ…垂片 ４ｄ…折曲片 ５…ジャッキ装置 ５ａ…ボルト ５ｂ…キャップ ５ｂ１…リブ ５ｃ…ノブ ６…下押圧体 ６ａ…螺孔 ６ｂ…小孔 ７…上押圧体 ７ａ…挿入孔 ７ｂ…小孔 ８…板バネ ８ａ…スパイク ９…滑り止め １０…ビス Ｔ…天井板 Ｋ…家具 Ｋ１…枠縁材 Ｋ２…天板 Ｐ…細釘 Ｎ…野縁 Ｗ…壁板

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 大小異径の両管を互に摺動伸縮自在に差
   合わせ、小径管の上端部には滑り止めを有する上押圧体
   を嵌着し、大径管の上端部には両管の固定手段を設け、
   下端部にはボルトを挿通したジャッキ装置を介して、滑
   り止めを有する下押圧体を嵌着した家具の転倒防止装
   置。
2. 【請求項２】 小径管周壁の一側部に管中心軸に平行状
   の摺動凹溝を形成し、該摺動凹溝内で係合子を摺動自在
   とすることで大小両管が伸縮可能となり、また摺動凹溝
   内に適宜間隔毎で切り込み形成した係止凹部に前記係合
   子を係合させて、さらに大径管の上端部に嵌着した筒状
   体の摺動溝内に挿嵌固定することで両管の短縮を固定す
   る突張り伸縮支柱において、上下両押圧体に小突起のス
   パイクを有する板バネを設けた請求項１記載の家具の転
   倒防止装置。
3. 【請求項３】 上下両押圧体に釘打込み用小孔を設けた
   請求項１または２記載の家具の転倒防止装置。