JP3013199U - ディスクカートリッジ及びその成形金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ディスクカートリッジにおけるケースの意匠
的外観品位を高め、かつ、シャッタの動作をスムーズに
しケースの削れや損傷を防止すると共に、必要な板厚を
設定できてケース変形を防止する。 【構成】 ケースを不透明樹脂と透明乃至半透明樹脂と
で一体成形したものであって、前記シャッタ摺動領域５
の少なくとも一部分６とそれ以外の部分７とを含み、前
記ディスク状媒体１０に対面するケース部分を透明窓部
１７に形成したことで、ケースが意匠的に単調となるこ
となく特異性を持たせることができ外観品位を高め、し
かも、ケースの不透明部分と透明部分との異樹脂の接合
部分も強度が低下することなく、成形不良もなく外力に
よるケース変形を防止しディスク状媒体に障害が発生す
ることがないと共に、透明樹脂で形成する部分のための
摺動する可動側金型はそれぞれ摺動量の異なるように構
成することにより、透明樹脂で形成する箇所にもケース
に必要な板厚を設定できるので、強度の十分ある信頼性
の高いディスクカートリッジのケースを効率よく生産で
きる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ディスク状媒体、特に光ディスク、光磁気ディスクなどをケース内 に回転可能に収納したディスクカートリッジ、また、ディスクカートリッジのケ ースを成形するための金型に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、情報媒体、例えば磁気ディスク、光ディスク或いは光磁気ディスクな どのディスク媒体は、ケースに収納されたディスクカートリッジとして用いられ る。そして、これまでのディスクカートリッジのケースは、透明または不透明の 樹脂を一種類のみ用いて成形されていた。また、その他の媒体用のカセットケー スとしては、例えばオーディオカセットのケースで外部を構成する不透明の樹脂 と窓部を含む部分に透明樹脂を一体成形すると共に、ケースに設けたヘッド挿入 孔や駆動軸挿入孔などの開口部を開閉するシャッタを備えることが知られている 。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来のディスクカートリッジ用ケースは、単一の樹脂しか用いていないので、 不透明樹脂を用いた場合、意匠が単調となり、製造者が異なっても類似の形態と なり、ユーザーが区別しずらいという問題があり、また、透明樹脂を用いた場合 、透明樹脂の種類が少ないため、用途に最適な樹脂が選択できないという問題や 、全面が透明となるため、内部構造も表から見えてしまうので、外観を重視した 設計になって、製作煩雑でコスト高となってしまうという問題がある。 また、オーディオカセットで不透明の樹脂と透明な樹脂を一体成形したテープ カセット用のケースでは、シャッタがないという点や、板厚が約１．８ｍｍほど あるので、不透明の樹脂と透明の樹脂の境界部は十分な接合部分を設けられるの で、単一の摺動する可動側金型で構成することができるので問題とはならない。 ところが、シャッタが摺動する一段低い摺動部を有するディスクカートリッジ 用ケースを単一の摺動する可動側金型で構成すると、不透明樹脂と透明樹脂の接 合部の厚さは最も厚くできたとしても、摺動する可動側金型の摺動量に等しい。 その摺動量はケースの最も薄い箇所よりも大きくできないので、接合部の厚さは 、一般にシャッター摺動部の厚さとなってしまい、本来もっと厚く構成できる箇 所も非常に薄くなってしまう。 そのために、透明樹脂で形成される部分の強度が低下し、外部よりケースを押 さえると変形してしまい、内部に入っているディスクと接して傷が入り記録再生 に障害が発生するという問題や、全体が薄いため成形不良が発生するという問題 がある。 本考案は、これら従来の欠点を排除しようとするもので、ディスクカートリッ ジの外観品位を大巾に向上し、シャッタの摺動によってケースを削ったりするこ となくスムーズに操作でき、動作不良となることもなく、安全性を高めて信頼性 の向上をはかり、そのために透明樹脂で形成する部分のための摺動可動側金型は それぞれ摺動量の異なるように製作することで製作も容易で安価なカートリッジ 及びその成形金型を提供しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、記録再生用ヘッドなどを挿入しうる開口部を有するケースの内部に 、ディスク状媒体を回転可能に収納すると共に、前記開口部を開閉するシャッタ を前記ケースの外面より一段低いシャッタ摺動領域に摺動自在に備えたカートリ ッジにおいて、前記ケースを不透明樹脂と、透明乃至半透明樹脂とで一体成形し たものであって、前記シャッタ摺動領域の少なくとも一部分を含み、前記ディス ク状媒体に対面するケース部分を透明窓部に形成したカートリッジである。

【０００５】

【作用】

ケース外面の一段低い領域を摺動するシャッタを有するディスクカートリッジ のケースをケースの主部を形成する不透明樹脂と、透明窓部を形成する透明樹脂 とで一体成形するとともに、該透明窓部は、前記シャッタが摺動する一段低い領 域の少なくとも一部とそれ以外の領域の一部とからなっており、シャッタが摺動 するときには、シャッタの動きもスムーズになると共に、削れ現象の発生もなく て信頼性を著しく高められて用いられるし、意匠的に単調となることなく特異性 を持たせることができ外観品位を高め、しかも、ケースの不透明部分と透明部分 との異樹脂の接合部分も強度が低下することなく、成形不良もなく外力によるケ ース変形を防止しディスク媒体に障害が発生することがないと共に、透明樹脂で 形成する部分のための摺動する可動側金型は、それぞれ摺動量の異なるように構 成することにより、透明樹脂で形成する箇所にもケースに必要な板厚を設定でき るので、強度の十分ある信頼性の高いディスクカートリッジのケースを効率よく 生産できる。

【０００６】

【実施例】

本考案の実施例を図１乃至図１１のディスクカートリッジの例で説明すると、 上ケース１と下ケース２とからなるケースの内部に、情報媒体のディスク状媒体 １０を回転自在に収納し、ヘッド挿入孔などの開口３を形成したケースに、該開 口３を開閉するための断面略コ字状のシャッタ４をケースの外面より一段低いシ ャッタ摺動領域５に摺動自在に備えたカートリッジであって、前記ケースの上ケ ース１を不透明樹脂と透明乃至半透明樹脂とで一体成形したものであって、前記 シャッタ摺動領域５の少なくとも一部分６とそれ以外の部分７とを含み、前記デ ィスク媒体１０に対面するケース部分を透明窓部１７に形成してある。

【０００７】 この場合、前記ケースの透明窓部１７の前記シャッタ４が摺動する一段低い領 域５における、透明樹脂で形成する部分６と低い領域以外の領域での透明樹脂で 形成する部分７は連続していて、さらに、前記透明窓部１７において、前記シャ ッタ４が摺動する一段低い領域の厚さは、低い領域以外の透明窓部の領域厚さよ りも薄く成形し、透明部分の表面が不透明部分の表面より低くするのがよい。

【０００８】 なお、ディスクカートリッジ用ケースを不透明樹脂と透明乃至半透明樹脂とで 一体成形するための固定側金型８と、可動側金型９とからなるディスクカートリ ッジ成形金型において、透明樹脂で形成される透明部分６，７を構成するための 、可動側金型９に対して摺動する摺動コアは、シャッタ４が摺動する領域の部分 ５に対応する第１摺動コア１１と、その他の部分に対応する第２摺動コア１２と から構成したディスクカートリッジ用成形金型を用い、それぞれ摺動量が異なる ようにして透明樹脂で形成する箇所にもケースに必要な板厚を設定できるように してある。

【０００９】 上ケース１は、不透明樹脂で主部、シャッタ摺動エリア５およびメディア中央 部を構成し、透明樹脂でメディアの記録面にほぼ対向する透明部分６，７を構成 し、両方の樹脂を一体成形している。また、ラベル貼着用エリア２５は、他の外 面に比べラベル厚さよりもやや深い量だけ、凹形状としメディア中央部とメディ アの記録面とほぼ対向する部分の一部にまたがって設けてある。 不透明樹脂のゲート２６は、シャッタ摺動エリア５に設けており、透明樹脂の ゲート２７は、メディアの記録面とほぼ対向する透明部分７でラベル貼着用エリ ア２５ではない箇所に設ける。 透明樹脂のゲート２７を含む円弧状の領域の周囲には、不透明樹脂を射出成形 するときに、透明樹脂で形成される部分に樹脂が流れないようにするための金型 の突き当て部２８による段差がある。この段差部に合わせて、ブッシュ１９及び 透明樹脂のゲート２７を含む金型のゲートブッシュ２９の入れ子線３０を配置す るようにする。 また、透明樹脂で形成される透明部分には、シャッタ摺動エリア５の一部を含 まれており、それ以外の部分の透明樹脂で形成される部分とは、連続した形状と してある。連続した形状にすることにより、樹脂を注入するゲートを一箇所にす ることができるなど利点があるからである。

【００１０】 実施例のディスクカートリッジのケースは、主部の板厚は約１ｍｍであり、シ ャッタ摺動エリア５の板厚は約０．６５ｍｍである。また、主部の一部にあるラ ベル貼着部では板厚は約０．８ｍｍである。そこで、透明樹脂で形成する部分の 摺動する可動側金型を２分割し、主部およびラベル貼着用エリア２５を形成する 部分の摺動する可動側金型９と、シャッタ摺動エリア５を形成する摺動コア１１ とする。そして、摺動する可動側金型９は摺動量を約０．８ｍｍとし、摺動コア １１は摺動量を約０．６５ｍｍとする。なお、主面部分では摺動する可動側金型 ９の外周部とラベル貼着用エリア２５を除いて０．２ｍｍ低くして板厚が約１ｍ ｍとなるようにするのが良い。 また、下ケース２にも同様の形状で適用できる。その場合、透明樹脂で形成さ れる部分の形状を上ケース１とほぼ同じ形状にするのが、成形性の向上のために 望ましい。

【００１１】 図中、２０はディスク用クランピングプレート、２１は嵌合孔、２２は消去防 止用プラグ、２３はシャッタロック、２４は媒体収納部、２５はラベルエリアで ある。

【００１２】 なお、前記シャッタ４は、金属製或いは合成樹脂シャッタであって、ケース側 面より内部に入る方向に突設した摺動用ガイドをケース側に形成した凹部に対応 または嵌合する補強部を備え、シャッタの強度を高め信頼性を向上させることが 考慮されている。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は、記録再生用ヘッドなどを挿入しうる開口部を有するケースの内部に 、ディスク状媒体を回転可能に収納すると共に、前記開口部を開閉するシャッタ を前記ケースの外面より一段低いシャッタ摺動領域に摺動自在に備えたカートリ ッジにおいて、前記ケースを不透明樹脂と、透明乃至半透明樹脂とで一体成形し たものであって、前記シャッタ摺動領域の少なくとも一部分を含み、前記ディス ク媒体に対面するケース部分を透明窓部に形成したことにより、ディスクカート リッジの外観品位を著しく高めると共に、ディスク状媒体の虹模様を透視できて 審美感も良好にし、しかもシャッタ摺動領域内にシャッタがあって、シャッタの 動きがスムーズになって、シャッタ作動不良となることなく安全に開閉操作でき 、しかもシャッタ開閉時のケースに対するこすれ、或いは削れなどケース損傷や 削れ粉の発生現象が少ないので、ドロップアウトなどの記録・再生に支障を来す こともなく信頼性を著しく高めることができるし、ケース外面の一段低い領域を 摺動するシャッタを有するディスクカートリッジのケースをケースの主部を形成 する不透明樹脂と透明窓部を形成する透明樹脂とで一体成形するとともに、該透 明窓部は、前記シャッタが摺動する一段低い領域の少なくとも一部とそれ以外の 領域の一部となっており、品質向上並びに耐久性向上などがはかられ、透明樹脂 で形成する部分のための摺動する可動側金型は、それぞれ摺動量の異なるように 構成することにより、透明樹脂で形成する箇所にもケースに必要な板厚を設定で きるので、強度の十分ある信頼性の高いディスクカートリッジのケースを効率よ く生産できる成形金型で製作も容易・安価であるなどの実用上の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の分離状態の斜視図である。

【図２】図１の例のケースの平面図で、（ａ）は上ケー
ス、（ｂ）は下ケースを示す。

【図３】ケースの成形部分の分離状態の平面図で、
（ａ）は上ケース、（ｂ）は下ケースを示す。

【図４】図２のＡ−Ａ線における拡大縦断面図である。

【図５】図４の例のゲート部分の形成時の縦断面図であ
る。

【図６】図２のＢ−Ｂ線における拡大縦断面図である。

【図７】図６の成形時の縦断面図である。

【図８】図７の例のブッシュ部分の拡大縦断面図で、
（ａ）は金型後退位置、（ｂ）は金型前進位置を示す。

【図９】図２の例のＣ−Ｃ線における拡大縦断面図であ
る。

【図１０】図９の例の成形時の縦断面図で、（ａ）は金
型後退位置、（ｂ）は金型前進位置を示す。

【図１１】図２の例のＤ−Ｄ線における拡大切断斜視図
である。

【符号の説明】

１ 上ケース ２ 下ケース ３ 開口部 ４ シャッタ ５ シャッタ摺動領域 ６ 透明部分 ７ 透明部分 ８ 固定側金型 ９ 可動側金型 １０ ディスク状媒体 １１ 第１摺動コア １２ 第２摺動コア １９ ブッシュ ２０ クランピングプレート ２５ ラベル貼着用エリア ２６ ゲート ２７ ゲート

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 記録再生用ヘッドなどを挿入しうる開口
   部を有するケースの内部に、ディスク状媒体を回転可能
   に収納すると共に、前記開口部を開閉するシャッタを前
   記ケースの外面より一段低いシャッタ摺動領域に摺動自
   在に備えたカートリッジにおいて、前記ケースを不透明
   樹脂と、透明乃至半透明樹脂とで一体成形したものであ
   って、前記シャッタ摺動領域の少なくとも一部分を含
   み、前記ディスク状媒体に対面するケース部分を透明窓
   部に形成したことを特徴とするディスクカートリッジ。
2. 【請求項２】 前記ケースの透明窓部の前記シャッタが
   摺動する一段低い領域における透明樹脂で形成する部分
   と、それ以外の領域での透明樹脂で形成する部分は連続
   していることを特徴とする請求項１のディスクカートリ
   ッジ。
3. 【請求項３】 前記シャッタが、摺動する一段低い領域
   において透明部分の表面が不透明部分の表面より低いこ
   とを特徴とする請求項１または請求項２のディスクカー
   トリッジ。
4. 【請求項４】 ディスクカートリッジ用ケースを不透明
   樹脂と透明乃至半透明樹脂とで一体成形するための固定
   側金型と、可動側金型とからなるディスクカートリッジ
   成形金型において、透明樹脂で形成される部分を構成す
   るための、可動側金型に対して摺動する摺動コアは、シ
   ャッタが摺動する領域の部分に対応する第１の摺動コア
   と、その他の部分に対応する第２の摺動コアとからなる
   ことを特徴とするディスクカートリッジ用成形金型。