JP3008034B2 - 体内注入可能な高濃度架橋化アテロコラ−ゲン移植用組成物 - Google Patents

体内注入可能な高濃度架橋化アテロコラ−ゲン移植用組成物

Info

Publication number
JP3008034B2
JP3008034B2 JP3113660A JP11366091A JP3008034B2 JP 3008034 B2 JP3008034 B2 JP 3008034B2 JP 3113660 A JP3113660 A JP 3113660A JP 11366091 A JP11366091 A JP 11366091A JP 3008034 B2 JP3008034 B2 JP 3008034B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
atherocollagen
crosslinked
collagen
atelocollagen
polyepoxy compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3113660A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04227265A (ja
Inventor
田 暉 夫 宮
井 忠 智 川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Koken Co Ltd
Original Assignee
Koken Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Koken Co Ltd filed Critical Koken Co Ltd
Priority to JP3113660A priority Critical patent/JP3008034B2/ja
Priority to US07/872,722 priority patent/US5314874A/en
Priority to DE69212203T priority patent/DE69212203T2/de
Priority to EP92303469A priority patent/EP0509833B1/en
Publication of JPH04227265A publication Critical patent/JPH04227265A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3008034B2 publication Critical patent/JP3008034B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、体内に注入して使用す
ることができ、そして軟組織陥凹状欠損部補正修復材と
して用いることができる、ポリエポキシ化合物により架
橋したコラ−ゲン水性懸濁液に関する。
【0002】
【従来の技術】コラ−ゲンは、動物の皮膚、角膜、血
管、腱、骨などに多く分布するタンパク質であり、分子
量約30万で、3本のポリペプチド鎖からなる螺旋構造
を持ち、1分子の長さ約300nm、直径約1.5nm
の棒状の分子である。コラ−ゲンの分子は、ミクロフィ
ブリルと呼ばれる分子5本が束となり、かつ隣の分子に
対し各々67nmだけずれた構造を形成する。このミク
ロフィブリルの太さは約4nmであり、コラ−ゲン線維
の基本単位構造である。ミクロフィブリルは多数束に集
合しフィブリルを形成し、フィブリルはさらに束となり
コラ−ゲン線維を形成する。腱などは、コラ−ゲン線維
が配列した組織であり、皮膚は、コラ−ゲン線維が絡み
合った組織である。
【0003】線維状コラ−ゲンは分子間に架橋を有し、
この分子間架橋はコラ−ゲン分子末端に存在する三重螺
旋を組まないテロペプチドに通常存在している。アテロ
コラ−ゲンは、ペプシン等の酵素処理によりテロペプチ
ド部を消化することにより得られるものである。そし
て、コラ−ゲンの主要な抗原決定基はテロペプタイド部
に存在するため、このテロペプチド部を消化させたアテ
ロコラ−ゲンは抗原性をほとんど有さず、医用材料とし
て優れた材料である。
【0004】このアテロコラ−ゲンは、これを水性液に
して、皮膚などの軟組織陥凹状欠損傷における組織欠損
部に注入することによって、組織欠損部を切開すること
なく該部の修復に用いることができる。この注入の際、
一般的に、水性液のコラ−ゲン濃度が高いほど修復効果
は向上し、皮膚***効果は持続する。また、創傷治癒お
よび美容上の観点から一カ所への大量の注入ではなく数
カ所に微量注入するのが好ましく、このためには27G
または30Gなどの細い注射針を用いる必要があり、し
たがってアテロコラ−ゲンの水性液は低粘度が要求され
る。すなわち、体内注入用のアテロコラ−ゲン水性液
は、高濃度にして、低粘度のものが要求される。
【0005】ところで、このような体内注入用コラ−ゲ
ンとしては、コラ−ゲン中性水溶液(特公昭62−37
020号公報)、コラ−ゲン線維の水性懸濁液(米国特
許第3949073号明細書)、グルタルアルデヒドに
て架橋したアテロコラ−ゲンの水性懸濁液(特公平1−
36840号公報)などが提案されている。
【0006】これらのうち、水溶液タイプのものは、中
性で、低温において粘稠な液体である。これは、生体に
移植されると体温によりコラ−ゲン線維形成を起こし、
生体コラ−ゲンと同様のコラ−ゲン構造を構築する。こ
のため、生体内での分解・吸収は緩慢であり皮膚***効
果は高い。しかし、粘稠であるため注入が、特に高濃度
の場合には困難であるほか、一ヵ所に多量に注入する
と、緻密なコラ−ゲン構造が形成され生体自己組織の細
胞の侵潤が阻害される傾向が認められる。
【0007】また、コラ−ゲン線維の水性懸濁液のもの
は、コラ−ゲン分子分散液を生体と等しい条件にするこ
とにより線維形成させ、水に分散したるものである。こ
のままでは細かい注射針を用いた注入による移植が困難
であるため、線維形成後に再度微細構造にしなければな
らない。これにより、注入は容易となるが、体内に移植
されたコラ−ゲンが注入直後に皮内に拡散し、かつ分解
・吸収も速やかに起こる。このため、皮膚***効果は低
く注入を頻繁に行わなければならなかった。この欠点を
改善する目的でコラ−ゲン濃度を高めたものも開発され
たが、注入するコラ−ゲンの物理的状態は変わらないた
め、体内における拡散、分解・吸収が速く皮膚***効果
の改善はあまり認められなかった。
【0008】更に、これら未架橋のコラ−ゲン注入材の
場合、主要な抗原決定基であるテロペプタイドは除去さ
れているにもかかわらず2〜3%の人に反応が認めら
れ、かつ、反応のない人においても継続的に投与を繰り
返すと2〜3%に新たに反応が認められ、問題となる。
【0009】上述した欠点を改善する試みとして、グル
タルアルデヒドで架橋したアテロコラ−ゲンが使用され
た。これはアテロコラ−ゲンにグルタルアルデヒドを用
いて新たに化学的な架橋を導入したものの水性懸濁液で
あり、体内における分解・吸収については抵抗性が向上
し、かつ抗原性はさらに低下した。しかし、グルタルア
ルデヒドで架橋されたアテロコラ−ゲンは疎水性に変化
し、水性懸濁液とした場合の流動性は未架橋タイプのも
のに比べて劣り、特に高濃度においては流動性が悪くな
り注入が困難となる。さらに移植物の生体内における経
時的変化として、自己組織への同一化が低く、また石灰
化などの器質化がしばしば認められ、特に高濃度におい
ては顕著である。このため、高濃度のものを注入するこ
とは適当ではなく、皮膚***効果は未架橋のものに比
べ、いくぶん改善されたにすぎない。また架橋剤として
用いられているグルタルアルデヒドには細胞毒性があ
り、この点でも問題となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
に鑑み、高濃度にして使用しても、低粘度で流動性が良
く注入が容易であり、かつ抗原性が低く、石灰化を起こ
さず、毒性のない、皮膚***効果の持続性に優れた体内
注入用架橋化アテロコラ−ゲン組成物を提供することを
目的とする。
【0011】
【問題点を解決するための手段】上記の目的を達成する
ため、本発明者らは、体内注入に使用するアテロコラ−
ゲンの架橋剤について種々検討を行なった結果、架橋剤
としてポリエポキシ化合物が極めて適することを知り、
本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明は、緩衝液により生理的な状
態に調整されたアテロコラ−ゲン水性懸濁液からなり、
(a)アテロコラ−ゲン含有量が55〜75mg/ml
であり、(b)アテロコラ−ゲンの20〜100重量%
がポリエポキシ化合物で架橋された架橋アテロコラ−ゲ
ンである移植用組成物に係わる。
【0013】本発明で用いるアテロコラ−ゲンは、種々
の動物の結合組織に、ペプシン等の酵素を作用させ、コ
ラ−ゲン分子間の架橋を切断することにより可溶化、抽
出されるコラ−ゲンである。酵素による可溶化の際、抗
原決定基であるテロペプタイドが除去されるため、アテ
ロコラ−ゲンの供与体と移植される受容体は遺伝学的に
同一種である必要は無い。アテロコラ−ゲンは、通常、
入手の容易さにより牛の真皮をペプシンにより可溶化し
て得ている。
【0014】本発明で架橋に用いるポリエポキシ化合物
としては、親水性ポリエポキシ化合物が好ましく、特に
ポリエ−テルポリオ−ル誘導体が好ましい。たとえば、
グリセロ−ルジグリシジルエ−テル、グリセロ−ルトリ
グリシジルエ−テル、ジグリセロ−ルテトラグリシジル
エ−テル、トリグリセロ−ルペンタグリシジルエ−テ
ル、ポリ(メチレングリコ−ル)ジグリシジルエ−テル
(重合度1〜10)、ポリ(エチレングリコ−ル)ジグ
リシジルエ−テル(重合度1〜10)、ポリ(トリメチ
レングリコ−ル)ジグリシジルエ−テル(重合度1〜
8)、ポリ(プロピレングリコ−ル)ジグリシジルエ−
テル(重合度1〜8)などが挙げられる。これらの架橋
剤を用いる架橋反応は、通常水系にて20℃〜37℃の
温度で、0.5〜72時間行なわれる。ここで言う水系
とは、蒸留水、そのpHを塩酸或は水酸化ナトリウムな
どにより変化させた水、またリン酸緩衝液、ホウ酸緩衝
液、炭酸緩衝液などで緩衝した水などで、特に限定され
るものではない。
【0015】またポリエポキシ化合物はアテロコラ−ゲ
ン1g当り0.1mg〜2gの割合で使用する。反応液
中のアテロコラ−ゲン濃度は0.1重量%〜5重量%の
範囲で行ないえる。所定の時間反応させた後、架橋反応
混合物を回収し、これを、グリシン、エタノ−ルアミン
などのアミノ基を有する試薬と反応させ、架橋反応を停
止させる。次いで洗浄を十分に行なった後、アテロコラ
−ゲン濃度が6重量%〜10重量%になるまで濃縮す
る。
【0016】次いでこれに、リン酸緩衝液を加え、生理
的な状態に調整すると共に、アテロコラ−ゲン濃度を5
5〜75mg/ml(5.5〜7.5重量%)に調整す
る。かくして本発明の目的とする体内注入可能な高濃度
架橋化アテロコラ−ゲン移植用組成物を得ることができ
る。
【0017】通常、上記の如くして架橋反応させると、
アテロコラ−ゲン液中の全てのアテロコラ−ゲン分子が
架橋されて架橋化アテロコラ−ゲンとなる。すなわちア
テロコラ−ゲンの100重量%がポリエポキシ化合物で
架橋されたものが得られる。本発明の移植用組成物にお
いては、このアテロコラ−ゲン分子の全てがポリエポキ
シ化合物で架橋されたものが用いられるが、該組成物中
に存在するアテロコラ−ゲン分子の20重量%以上、好
ましくは40重量%以上がポリエポキシ化合物で架橋さ
れているものも使用できる。このようにするには、例え
ば上記の如く架橋化反応させたアテロコラ−ゲン液に、
架橋化アテロコラ−ゲンの含有量が所定量となるよう
に、アテロコラ−ゲンを添加して調製する。架橋化アテ
ロコラ−ゲンの含有量が20重量%未満では、体内にお
ける分解・吸収を充分に抑制することが出来なく、軟組
織陥凹状欠損部に注入してその***効果を長期に亘り維
持することができない。
【0018】また、本発明における架橋化アテロコラ−
ゲンは、アテロコラ−ゲン分子の側鎖アミノ基の10%
以上がポリエポキシ化合物と反応している。この反応が
アミノ基の10%未満のものは、架橋させた効果が発揮
されない。すなわち、アテロコラ−ゲンの体内における
分解・吸収を充分に抑制することが出来ない。
【0019】本発明のポリエポキシ化合物で架橋化した
アテロコラ−ゲンの水性懸濁液は、他の架橋剤による架
橋化アテロコラ−ゲンの水性懸濁液と異なり、同濃度に
おいて極めて低い粘度を示すと言う特異な挙動を示す。
例えば、グルタルアルデヒドで架橋したアテロコラ−ゲ
ンの3.5%水性懸濁液は、回転粘度計を用い粘弾性を
測定すると、回転数100s-1の剪断応力の場合500
0mPa・sを示すが、ポリエポキシ化合物架橋化コラ
−ゲンの場合は、その3.5%水性懸濁液においては、
回転数100s-1の剪断応力の場合900mPa・sと
いう低い粘度特性を示し、6%水性懸濁液においてさえ
回転数100s-1の剪断応力の場合5000mPa・s
である。
【0020】このように、本発明におけるのポリエポキ
シ化合物架橋化アテロコラ−ゲン水性懸濁液は、高濃度
においても低粘度で流動性が良いため体内への注入をス
ム−スに容易に行い得る利点がある。したがって本発明
においては、55〜75mg/mlという高濃度におい
て体内に注入することが出来る。そして、高濃度にして
体内に注入するほど皮膚***効果が発揮される。55m
g/ml未満の濃度では、皮膚***効果、その保持効果
すなわち容量保持効果が未だ充分とは言い難い。また、
75mg/mlを超える濃度になるポリエポキシ化合物
架橋化アテロコラ−ゲン水性懸濁液の粘度が高くなり、
流動性が低下するため注入が困難となる。
【0021】また本発明における架橋化アテロコラ−ゲ
ンは、示差走査熱量計を用いた転移温度の測定で40℃
以上の転移温度(ゼラチンに転移する温度)を示すもの
が好ましく、特に転移温度50〜80℃のものが望まし
い。転移温度が40度未満のものは架橋の程度が充分で
なく、アテロコラ−ゲンの体内における分解・吸収を充
分に抑制することが出来ない。
【0022】本発明のポリエポキシ化合物架橋化アテロ
コラ−ゲン水性懸濁液は、架橋剤としてポリエポキシ化
合物を用いたので、グルタルアルデヒドなどを用いた場
合に比し毒性がなく、かつ抗原性が低く、石灰化を起こ
さないため、組織反応が小さく、線維芽細胞の進入及び
自己組織への同化が早く、皮膚***効果を早期に達成で
きる利点がある。したがって、交通事故、手術、外傷等
により生じた軟組織陥凹状欠損部に注入して使用するの
に好適である。また必要に応じこれに他の添加剤、例え
ば局所麻酔剤などを添加して使用することもできる。
【0023】
【実施例】以下、実施例にもとづき本発明を詳細に説明
する。新鮮な仔牛の背部の皮を切り取り、その周縁部を
切り落した後、この背部の皮を水道水で洗浄して皮の外
部に付着している汚れを落し、さらにパイロジエンフリ
−水で洗浄した。こうして得られた皮を70%エタノ−
ルに浸漬した後、カミソリを用いて毛根部を残さないよ
うに、毛及び皮の上面を削ぎ落した。この時新たに現れ
た真皮の表面に汚れが付着しないように注意する。一
方、皮の裏面もカミソリで削ぎ落し、こうして仔牛皮の
真皮層のみを、汚染されないように取り出した。この真
皮層を70%アルコ−ルに一夜浸漬後、過剰のアルコ−
ルを除去した後、無菌的に粉砕した。次にパイロジエン
フリ−の5%NaCl水で洗浄し、遠心脱水し、さらに
パイロジエンフリ−水で洗浄後、70%アルコ−ルに一
夜浸漬した。遠心脱液により過剰のアルコ−ルを除去
し、粉砕真皮を無菌の溶解槽に入れ、パイロジエンフリ
−水を加え、さらに、パイロジエンフリ−水に溶解し且
つ濾過除菌したペプシンを加えた。この際、ペプシンは
粉砕真皮に対し0.5%(乾燥重量基準で)を加えた。
また、粉砕真皮の濃度を約0.5%〜0.9%、pHを
HClにより3に調整し、温度を20℃に維持した。こ
の溶解槽内の混合物を20℃で3日間緩やかに撹拌処理
し、真皮不溶性コラ−ゲンを完全に溶解して、アテロコ
ラ−ゲン溶液を得た。
【0024】ペプシン可溶化仔牛真皮由来アテロコラ−
ゲン水溶液(pH3)を、滅菌した孔径1μm、0.8
0μm、0.65μm及び0.45μmのフィルタ−を
用いて順次濾過し、0.45μmのフィルタ−について
は2回濾過した。この溶液に無菌0.5N−NaOHを
加えpH7に調整し線維形成を行い、パイロジエンフリ
−、2段蒸留水を用い、2%−アテロコラ−ゲン水溶液
を調整した。これに0.04M−Na2HPO4、0.3
M−NaCl水溶液を加え、pH9とし、35℃にて5
時間保温撹拌した後、エチレングリコ−ルジグリシジル
エ−テルを最終濃度を0.5%となるまで加えた。35
℃にて15時間撹拌しながら反応させ、反応終了後分散
液を遠心分離にて回収した。
【0025】得られた反応生成物を二段蒸留水に分散し
てコラ−ゲン濃度を2%となし、さらに0.04M−N
2HPO4、0.3M−NaCl、0.4M−グリシン
水溶液を加え、コラ−ゲン濃度1%に調整し、35℃に
て15時間撹拌し、未反応のエポキシ基を失活させた。
これを遠心分離にて回収、0.02M−Na2HPO4
0.15M−NaCl水溶液にて十分に洗浄した後、コ
ラ−ゲン濃度6重量%(60mg/ml)のポリエポキ
シ化合物架橋化アテロコラ−ゲン水性懸濁液を得た。こ
の架橋化アテロコラ−ゲンのε−アミノ基修飾率をTN
BS法にて調べたところ、49.2%であり、示差走査
熱量計による分析で転移温度60.1℃を示した。
【0026】粘弾性の測定 東京計器製コ−ンプレ−トタイプE型回転粘度計を用い
測定した。結果を図1、図2および図3に示す。図1は
エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル架橋化アテロ
コラ−ゲンの3.5重量%(35mg/ml)水性懸濁
液の粘弾測定結果で、回転数100s-1の剪断応力のと
き900mPa・sという低い粘度特性を示し、また図
2にみるように、6重量%(60mg/ml)水性懸濁
液のとき回転数100s-1の剪断応力で5000mPa
・sを示した。図3は従来のグルタルアルデヒドで架橋
したアテロコラ−ゲンの3.5重量%(35mg/m
l)水性懸濁液の粘弾測定結果で、このような低濃度に
おいてさえ、回転数100s-1の剪断応力で5000m
Pa・sを示した。このように、本発明のポリエポキシ
化合物架橋化アテロコラ−ゲン水性懸濁液は、他の架橋
剤による架橋化アテロコラ−ゲン水性懸濁液と異なり極
めて低い粘度を示した。
【0027】in.vitro試験 ヒト線維芽細胞による培養試験によって、ポリエポキシ
化合物架橋化コラ−ゲンの細胞増殖を試験した。培養皿
に、ポリエポキシ化合物架橋化コラ−ゲンを塗布し、風
乾後、培養皿に6.5×104個の細胞を播いて37℃
のCO2インキュベ−タを用い培養した。又比較のため
未架橋のコラ−ゲン及びグルタルアルデヒド架橋化コラ
−ゲンを用いて同様に培養した。結果を第4図に示す。
図4において、黒丸はポリエポキシ化合物架橋化アテロ
コラ−ゲン、白四角は未架橋アテロコラ−ゲン、黒三角
はグルタルアルデヒド架橋化アテロコラ−ゲンについて
のそれぞれの結果である。上記ポリエポキシ化合物架橋
化アテロコラ−ゲンを塗布したものは細胞が良好な増殖
を示し、細胞の形態も正常な形態を有していた。一方、
未架橋アテロコラ−ゲン及びグルタルアルデヒド架橋化
アテロコラ−ゲンを塗布したものは細胞の増殖が見られ
なかった。
【0028】in.vivo試験 4週齢のオスのSD−ラットを用い、背部皮下に上記調
製した6重量%(60mg/ml)ポリエポキシ化合物
架橋化アテロコラ−ゲン水性懸濁液0.3mlを注入し
た。一定期間毎に生検し、組織学的に検討した。結果を
表1に示す。また、比較のため、3.5重量%(35m
g/ml)ポリエポキシ化合物架橋化アテロコラ−ゲン
水性懸濁液0.3mlを注入したときの結果を表2に示
す。なお、各表中(−)は認めない、少ない、(±)は
正常、普通、(+)はやや多い、(++)は多い、大き
い、(+++)激しい、極めて大きい、を示す。ポリエポ
キシ化合物架橋化アテロコラ−ゲン水性懸濁液の濃度が
高いほど容量保持効果が良いことがわかる。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】本発明の体内注入用架橋化アテロコラ−
ゲン組成物は、アテロコラ−ゲンの体内吸収性を制御す
るため架橋化する架橋剤としてポリエポキシ化合物を用
いたので、高濃度で使用しても、低粘度で流動性が良
く、体内注入をスム−スに行なうことができ、したがっ
て***効果を長期に亘り維持できる。しかも本発明の体
内注入用架橋化アテロコラ−ゲン組成物は、毒性が無
く、かつ抗原性が低く、石灰化を起こさないため、組織
反応が小さく、線維芽細胞の進入及び自己組織への同化
が早く、皮膚***効果を早期に達成できると言う顕著な
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリエポキシ化合物架橋化アテロコラ−ゲンの
粘弾性特性図
【図2】ポリエポキシ化合物架橋化アテロコラ−ゲンの
粘弾性特性図
【図3】従来のグルタルアルデヒド架橋アテロコラ−ゲ
ンの粘弾性特性図
【図4】ポリエポキシ化合物架橋化アテロコラ−ゲンに
ついての細胞培養増殖試験の結果を示した図。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】緩衝液により生理的な状態に調整されたア
    テロコラ−ゲン水性懸濁液からなり、(a)アテロコラ
    −ゲン含有量が55〜75mg/mlであり、(b)ア
    テロコラ−ゲンの20〜100重量%がポリエポキシ化
    合物で架橋された架橋アテロコラ−ゲンであることを特
    徴とする移植用組成物。
  2. 【請求項2】架橋アテロコラ−ゲンが、コラ−ゲン分子
    の側鎖アミノ基の10%以上がポリエポキシ化合物と架
    橋反応したものであり、示差走査熱量計による転移温度
    測定において、40℃以上の転移温度を有する請求項1
    記載の移植用組成物。
JP3113660A 1990-04-23 1991-04-19 体内注入可能な高濃度架橋化アテロコラ−ゲン移植用組成物 Expired - Fee Related JP3008034B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3113660A JP3008034B2 (ja) 1990-04-23 1991-04-19 体内注入可能な高濃度架橋化アテロコラ−ゲン移植用組成物
US07/872,722 US5314874A (en) 1991-04-19 1992-04-15 Intracorporeally injectable composition for implanting highly concentrated cross-linked atelocollagen
DE69212203T DE69212203T2 (de) 1991-04-19 1992-04-16 Intrakorporale injizierbare Zusammensetzung zum Implantieren von hochkonzentriertem vernetzten Atelokollagen
EP92303469A EP0509833B1 (en) 1991-04-19 1992-04-16 An intracorporeally injectable composition for implanting highly concentrated cross-linked atelocollagen

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2-105430 1990-04-23
JP10543090 1990-04-23
JP3113660A JP3008034B2 (ja) 1990-04-23 1991-04-19 体内注入可能な高濃度架橋化アテロコラ−ゲン移植用組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04227265A JPH04227265A (ja) 1992-08-17
JP3008034B2 true JP3008034B2 (ja) 2000-02-14

Family

ID=26445715

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3113660A Expired - Fee Related JP3008034B2 (ja) 1990-04-23 1991-04-19 体内注入可能な高濃度架橋化アテロコラ−ゲン移植用組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3008034B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5510418A (en) * 1988-11-21 1996-04-23 Collagen Corporation Glycosaminoglycan-synthetic polymer conjugates
US5162430A (en) * 1988-11-21 1992-11-10 Collagen Corporation Collagen-polymer conjugates
US5306500A (en) * 1988-11-21 1994-04-26 Collagen Corporation Method of augmenting tissue with collagen-polymer conjugates
US5475052A (en) * 1988-11-21 1995-12-12 Collagen Corporation Collagen-synthetic polymer matrices prepared using a multiple step reaction
US5800541A (en) * 1988-11-21 1998-09-01 Collagen Corporation Collagen-synthetic polymer matrices prepared using a multiple step reaction
US5565519A (en) * 1988-11-21 1996-10-15 Collagen Corporation Clear, chemically modified collagen-synthetic polymer conjugates for ophthalmic applications
WO2004082694A1 (ja) * 2003-03-20 2004-09-30 Cosmotec Co. Ltd. 細胞治療用材料、及び血管内治療方法
CA2581093C (en) 2004-09-17 2014-11-18 Angiotech Biomaterials Corporation Multifunctional compounds for forming crosslinked biomaterials and methods of preparation and use

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04227265A (ja) 1992-08-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5314874A (en) Intracorporeally injectable composition for implanting highly concentrated cross-linked atelocollagen
US4581030A (en) Collagen replacement prothesis for the cornea
US4505855A (en) Transparent non-fibrilized collagen material by ultracentrifugation
JP4137382B2 (ja) 膠原組織組成物
US4969912A (en) Human collagen processing and autoimplant use
US5166187A (en) Biomaterials with a base of mixtures of collagen, chitosan and glycosaminoglycans, process for preparing them and their application in human medicine
DE2631908C2 (ja)
DE2631909C2 (de) Synthetische Haut
US5073378A (en) Processes for the preparation of storage stable collagen products
JPH01265970A (ja) ヒアルロン酸を含有させたコラーゲン水溶液又は水分散液
JP6648056B2 (ja) コラーゲン膜を生成するための方法およびその使用
JPS58121958A (ja) 軟組織強化用コラ−ゲン移植物質及び移植方法
JP2001503299A (ja) ジェニピンによる生物医学的材料の化学改変
JP2001508301A (ja) コラーゲンの調製
JP3008034B2 (ja) 体内注入可能な高濃度架橋化アテロコラ−ゲン移植用組成物
JPH0712375B2 (ja) 移植組成物及びその製造方法
WO2023125686A1 (en) Soft tissue augmentation using injectable, neutral ph soluble collagen-glycosaminoglycan compositions
Strömberg et al. An experimental study of autologous digital tendon transplants in the horse
JPWO2003094985A1 (ja) 人工細胞外マトリックス及びその製造方法
JPH06504546A (ja) 貯蔵製剤
CN114452436B (zh) 一种胶原基可注射自修复水凝胶及其制备方法
US20240189478A1 (en) Collagen hydrogels useful as cell carriers
KR20240005757A (ko) 세포 담체로서 유용한 콜라겐 하이드로겔
JP2000262610A (ja) 表皮再生を目的とした自家抜去毛包移植用の人工真皮
Potter Investigation of Keratin and Keratin-Containing Composite Biomaterials: Applications in Peripheral Nerve Regeneration

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees