JP3007097B2 - 睡眠薬組成物 - Google Patents

睡眠薬組成物

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は6−イソプロポキシ−9−オキソキサンテン
−2−カルボン酸(6−イソプロポキシキサントン−2
−カルボン酸とも呼ばれる)を活性成分として含有する
睡眠薬組成物に関する。本組成物はプロスタグランジン
E2(以下、PGE2と略す)に拮抗することによって作用す
る新規睡眠薬組成物である。
発明が解決しようとする課題 これまでに睡眠薬として多種の化合物が知られてお
り、その作用機序も種々のものが存在する。
しかし、既知の睡眠薬は何等かの欠点を有しており、
新規機序によって作用する睡眠薬は常に求められてい
る。
課題を解決するための手段 本発明者らは、以前に、PGE2が徐波睡眠および逆説睡
眠の双方を抑制し、覚醒時間を増加させることを見い出
した(参考文献1および2;参考文献は本「発明の詳細な
説明」の欄の最後にまとめて挙げる)。この睡眠・覚醒
に対するPGE2の作用は、正常の日内リズムを示す無拘束
下のラットへの持続注入実験においても証明された(文
献2)。
一方、PGE2が体温上昇作用を有することが知られてお
り(文献4〜7)、また、睡眠・覚醒が体温と密接に関
係していることは広く認められているところである。
従って、本発明者らが見い出したPGE2による覚醒の増
加が、PGE2の一次的かつ特異的な作用による結果である
のか、あるいはPGE2による体温上昇により二次的にもた
らされた結果であるのか不明であった。
本発明者らはこのPGE2の覚醒作用の作用機序を明らか
にすべくさらに検討を進めていたところ、6−イソプロ
ポキシ−9−オキソキサンテン−2−カルボン酸がPGE2
の体温上昇作用に拮抗することなくPGE2の覚醒作用に拮
抗し、徐波睡眠および逆説睡眠の双方を増加させること
を見い出し、かくて覚醒に関するPGE2の作用機序を解明
することができた。本発明は、かかる知見に基づき達成
されたものである。
即ち、本発明は6−イソプロポキシ−9−オキソキサ
ンテン−2−カルボン酸を活性成分として含有する睡眠
薬組成物を提供するものである。
本発明で用いる6−イソプロポキシ−9−オキソキサ
ンテン−2−カルボン酸は、以下の構造: を有する化合物(融点=264〜267℃;以下、化合物Iと
略す)であり、アレルギー症状の治療に有用とされてい
る(米国特許第3,949,084号;***国特許出願公開第2,2
34,251号)。また、化合物Iは、分離平滑筋標本におい
てPGE2に拮抗することが報告されており、PGE2レセプタ
ーのサブタイプの1つであるEP1レセプターのアンタゴ
ニストと分類されている(文献3)。さらに、化合物I
は、ヒト血小板においては、活性は弱いがプロスラグラ
ンジンD2(以下、PGD2と略す)レセプターの特異的な阻
害剤であることも知られている(文献10)。しかし、化
合物Iの睡眠薬活性についてはこれまで全く知られてい
なかった。
化合物Iは、例えば、上に挙げた米国特許第3,949,08
4号に記載の方法あるいはエクシュラインらの方法(文
献19)に従って製造することができる。
本発明の睡眠薬組成物は活性成分化合物Iとともに、
薬学的に許容しうる担体、希釈剤、および/または賦形
剤を含有している。これら担体、希釈剤および賦形剤は
当分野で通常用いられるものから選択すればよく、本組
成物の製造も当分野の常法に従って行えばよい。
本発明の睡眠薬組成物は、経口(経胃、経腸管)、ま
たは非経口的に、例えば坐剤、注射(筋肉、皮下、静
脈)あるいは静脈内持続注入などによって投与すること
ができる。
化合物Iの投与量は、1日あたり約0.001〜約5mg/kg
の範囲内であってよく、好ましくは0.01〜0.1mg/kgの範
囲内である。
以下に参考例および実施例を挙げて本発明をさらに詳
しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
参考例1 化合物Iの合成 金属ナトリウム(2.3g;0.1モル)をイソプロピルアル
コール(100ml)に溶解し、この混合物に6−クロロキ
サントン−2−カルボン酸(5.5g;0.02モル)のDMF(約
40ml)溶液を加えた。この混合物を40〜50時間還流し、
次いで蒸発乾固した。残留分を水に溶解し、活性炭で脱
色し、濾過した。
濾液を酸性化することにより生成した沈澱を集め、水
で洗浄し、エタノールから再結晶して化合物Iを得た
(収率33%;融点264〜267℃)。
実施例1 化合物Iの作用 A.実験方法 スプラーグ−ドウレイ系の雄性ラット(280〜380g)
に対しペントバルビタール麻酔下(50mg/kg体重)にて
手術を行った。第三脳室へ持続注入するためのステンレ
スカニューレ(外径0.35mm)を、正中矢状面に対し20゜
の角度で、ブレグマの外方3.4mmの脳表面より9mm定位的
に挿入した。脳波(EEG)記録用の電極は大脳の前頭頭
頂部表面に置き、不関電極は頭蓋骨前頭部に取り付け
た。一部のラットには、その視床領域に先端が来るよう
にサーミスター・プローブを埋め込んだ。カニューレ、
電極、およびサーミスター・プローブは、歯科用セメン
トで頭蓋骨に固定した。筋電図(EMG)記録用の電極は
頂部の筋肉に取り付けた。これら実験方法の詳細は既に
報告が為されている(文献2、8、および9)。
術後、各ラットを個々のケージで1週間回復させた。
次いで、各ラットの第三脳室への生理食塩水の持続注入
を開始し、この注入は試験溶液の注入期間を除き、実験
の終了時まで継続させた。試験溶液は生理食塩水に試験
物質を溶解させて調製した。生理食塩水あるいは試験溶
液の注入は1時間あたり10μの速度(10μ/hr)で
行った。注入、およびEEG、EMG、脳温の記録はスリップ
・リングを介して行い、ラットの香道を制限しないよう
にした。実験開始前の約5日間、持続注入および他の実
験条件にラットを馴化した。
1つの実験は、基準日、実験日、回復日の3日間の記
録からなる。実験は、温度を25±1℃、相対湿度を60±
6%に調節した、遮音され、電気磁気的にシールドされ
た実験室にて行った。照明は8時から20時までを明期、
20時から8時までを暗期となるように設定した。
試験溶液の注入は、実験日の23時から5時(夜間投
与)、あるいは12時から18時(日中投与)の6時間と
し、常時行われている生理食塩水の注入に替えて下記の
いずれかの注入を行った: 1)化合物I(2.1、6.3、または21pモル/分)の夜間
投与; 2)PEG2(10pモル/分)の夜間投与; 3)化合物I(21pモル/分)とPGE2(10pモル/分)の
同時夜間投与;および 4)化合物I(21pモル/分)の日中投与。
化合物Iの生理食塩水に対する溶解度には限界があ
り、さらに高い用量での投与はできなかった。
EEGおよびEMGの記録を、本多らが示した基準(文献
8)に基づき、徐波睡眠、逆説睡眠、または覚醒と判定
し、それぞれの量を検定した。脳温はサーミスター・プ
ローブ(タカラ工業社製)を用い、3分間隔で測定し
た。各30分の間に記録された数値を平均し、その時間帯
の脳温とした。実験日および回復日の記録は基準日のそ
れと比較し、対応ある(ペアード)t−検定を用いて統
計的検定を行った。
実験に使用したPGE2および化合物Iは、それぞれ小野
薬品工業株式会社(大阪)およびグラクソ・グループ・
リサーチ・リミテッド(Glaxo Group Research Ltd.,He
rtfordshire,英国)から提供されたものを用いた。
B.結果 上記1)〜4)の注入を行ったときの結果を、第1図
〜第3図、第1表、および第2表に示す。
第1図は、化合物Iを2.1、6.3、および21pモル/分
の速度で無拘束ラットに夜間投与したときの、徐波睡眠
(SWS)、逆説睡眠(PS)、および覚醒の量的変化(分
で表す)を示すグラフである。○は基準日の、●は実験
日の、平均の睡眠の量または覚醒の量を表している(標
準誤差を共に示す)。対応あるt−検定により、**は
P<0.01、***はP<0.001である。
第2図は、化合物Iを21pモル/分の速度で無拘束ラ
ットに夜間投与したときの、暗期から明期に至る24時間
の、1時間毎のSWSおよびPS量を示すグラフである。○
は基準日の、●は実験日の、平均の睡眠量を表している
(n=9;標準誤差を共に示す)。対応あるt−検定によ
り、*はP<0.05、**はP<0.01である。
第3図は、化合物I(21pモル/分)単独、化合物I
(21pモル/分)とPGE2(10pモル/分)の双方、または
PGE2(10pモル/分)単独を無拘束ラットに夜間投与し
たときの、暗期から明期に至る24時間の、または暗期12
時間の、1時間毎の覚醒量(上段)および30分毎の脳温
(下段)を示すグラフである。○は基準日の、●は実験
日の、平均の覚醒量(A、n=9;B、n=6;C、n=5;標
準誤差を共に示す)、および脳温(A′、n=5;B′、
n=3;C′、n=3;標準誤差はA′、B′およびC′で
それぞれ0.42、0.48および0.81℃以下;図では煩雑にな
るので省略)を表している。対応あるt−検定により、
*はP<0.05、**はP<0.01である。
第1表は、化合物I、PGE2、またはその双方を無拘束
ラットに夜間投与したときの、その期間中に現れたSW
S、PSおよび覚醒の、総量、各エピソードの持続時間お
よび出現頻度を、基準日の同時間帯の生理食塩水注入ラ
ットでの各値と比較して示すものである。表中の各値は
平均値±標準誤差で示している。
第2表は、化合物Iを無拘束ラットに日中投与したと
きの、その期間中に現れたSWS、PSおよび覚醒の、総
量、各エピソードの持続時間および出現頻度を、基準日
の同時間帯の生理食塩水注入ラットでの各値と比較して
示すものである。表中の各値は平均値±標準誤差で示し
ている。
1)化合物Iの夜間投与 化合物Iを単独で夜間投与(23時〜5時)したときに
は、2.1、6.3、および21pモル/分のいずれの注入速度
であっても、SWSおよびPSの量は増加し、覚醒量は減少
した(第1図)。化合物Iを21pモル/分の速度で注入
したときには、SWSおよびPSは基準日の値のそれぞれ122
%および161%に増加し、一方、覚醒は基準日の値の82
%に減少した(第1表)。また、この注入速度では、PS
は化合物Iの注入開始直後から増加し、注入終了の1時
間後まで基準日の値より高い値を維持した。同様に、SW
Sも化合物I注入中に増加を示した。化合物I注入後の
明期の12時以後にはSWSおよびPSは減少する傾向にあっ
たが、これは反跳現象と解釈できる(以上、第2図)。
SWS、PS、および覚醒の1時間毎の量的変化における基
準日記録からの偏りは回復日には消失した。
SWS、PS、および覚醒それぞれのエピソードについて
眺めると、PSエピソードの持続時間が有意に長くなった
こと以外には、エピソードの持続時間および出現頻度に
統計的に優位な変化は生じなかった(第1表)。化合物
IがもたらしたSWSおよびPSの増加は、各エピソードの
持続時間の延長および出現頻度の増加の双方が相乗的に
影響し合ったことによるものであった。覚醒時間の短縮
は主としてエピソード持続時間の短縮によるものであっ
た。
脳温に関しては、化合物Iの注入は基準日の記録と比
較して何等の変化をもたらさなかった(第3図A′)。
ただし、化合物Iの注入後の明期の12時30分以後に軽度
の脳温上昇が観察された。この脳温上昇はSWSおよびPS
の減少(第2図)、および覚醒の増加(第3図)と同時
に現れた。
2)PGE2の夜間投与 PGE2を単独で夜間投与すると、SWSおよびPSは基準日
のそれぞれ82%および39%に減少し、覚醒時間は118%
に増加した。SWSの減少はエピソードの持続時間の短縮
によるものであり、PSの減少はエピソードの持続時間の
短縮およびその出現頻度の減少の双方によるものであ
り、また、覚醒の増加はエピソードの出現頻度の増加に
よるものであった(以下、第1表)。
また、PGE2の注入時には脳温が急激に上昇したが、こ
の現象はSWSおよびPSの減少と覚醒の増加と共に現れた
(第1表、第3図CおよびC′)。
3)化合物IとPGE2の同時夜間投与 化合物IとPGE2を同時に夜間投与したところ、注入時
間中に出現したSWS、PS、および覚醒のそれぞれの総量
は基準日のものとほぼ同じであった(第1表)。また、
覚醒の1時間毎の量的変化は基準日のものと何等異なる
ところはなく、PGE2の注入により生じる覚醒作用は打ち
消されていた(第3図B)。
一方、脳温はPGE2の単独注入による場合と同様の上昇
を示し、全く抑制されなかった(第3図B′)。
4)化合物Iの日中投与 化合物Iを単独で日中投与(12時〜18時)すると、SW
Sが増加し、覚醒が減少した。PSも増加傾向にあった
が、その変化は統計的に有意ではなかった。SWSの増加
はエピソードの持続時間の延長によるものであり、覚醒
の減少はエピソードの持続時間の短縮とその出現頻度の
低下の双方が相乗的に影響したことによるものであっ
た。PSの増加傾向はPSエピソードの出現頻度の見掛け上
の増加が引き起こしたものと思われる(以上、第2
表)。
C.考察 本研究においては、化合物I、PGE2、およびその双方
の混合溶液、並びに生理食塩水の持続注入を1時間あた
り10μ(10μ/hr)という非常に遅い速度で行い、
ラットに負担をかけないようにした。また、スリップ・
リングを使用することにより、ラットの行動を拘束しな
いようにした。このような実験条件のもとでは、以前の
詳細な報告(文献2)のように、ラットは正常に行動
し、基準日には明確な日内リズムを示した。
本発明者らは、以前に、PGE2がSWSおよびPSの双方を
減少させることを示した(文献1および2)。また、一
方でPGE2が体温上昇作用を有することが知られている
(文献4〜7)。睡眠および覚醒が脳温あるいは体温と
密接に関連していることは広く認められているところで
あるが、今日までの報告の中でも、しばしば睡眠あるい
は覚醒の反応と体温の反応とが解離している場合が認め
られている(文献15〜17)。本発明者らが以前に行った
脳内へのPGE2注入実験においても、睡眠の抑制および覚
醒の増加作用を発現するPGE2の最小有効用量では体温上
昇を引き起こさなかった(文献1)。
しかし、これらの知見のみによっては、PGE2による覚
醒の増加が、PGE2の一次的かつ特異的な作用であるの
か、またはPGE2による体温上昇により二次的にもたらさ
れた結果であるのかという疑問に明確に答えることがで
きない。そこで、本研究においては、PGE2の拮抗薬とさ
れている化合物Iを用いてさらに詳しくPGE2の作用を調
べるため、上述の実験を行ったものである。
本実験においてはPGE2(10pモル/分)を夜間に投与
したが、それにより睡眠(SWSおよびPS)の減少および
覚醒の増加が観察された。この結果は、前回のPGE2の日
中投与で得た効果と同様であった(文献2)。また、PG
E2は上記の用量においては体温を上昇させたが、この結
果は既に発表されている他のグループの結果とよく一致
していた。
本研究において、化合物I(21pモル/分)を単独で
持続注入したところ、体温に影響することなく覚醒が減
少し、睡眠が増加した。
また、化合物IをPGE2と共に注入すると、PGE2のもた
らす睡眠の減少が阻害されたが、体温上昇は阻害されな
かった。即ち、化合物I(21pモル/分)はPGE2(10pモ
ル/分)の覚醒作用には拮抗したが、PGE2(10pモル/
分)の体温上昇作用には拮抗しなかった。
これらの所見から、PGE2は体温上昇に関連する機序と
は全く異なった機序を介して、覚醒傾向を増強させるこ
とが強く示唆される。
先にも記したように、化合物Iは分離平滑筋標本にお
いてPGE2に拮抗することが報告されており、PGE2レセプ
ターのサブタイプの1つであるEP1レセプターのアンタ
ゴニストと分類されている(文献3)。また、ヒト血小
板においては、活性は弱いがPGD2レセプターの特異的な
阻害剤であることが示されている(文献10)。睡眠・覚
醒に対しPGE2およびPGD2は反対の作用、即ちPGE2は覚醒
を増加させ(文献1、2、および11)、一方、PGD2は睡
眠を促進する(文献11〜14)作用を有している。従っ
て、化合物I単独の第三脳室注入によって得られた本研
究の結果は、脳内において覚醒を促進する方向に機能し
ている内因性PGE2に化合物Iが拮抗したとして説明され
る。この説明は、PGE2により生じた覚醒の増加が、化合
物IとPGE2を同時に投与すると見られなくなった事実に
より支持される。
化合物Iを単独投与すると、SWSおよびPSの双方が増
加し、SWSおよびPSのいずれかに対する特異性は認めら
れなかった。化合物Iの夜間投与によるSWSおよびPSの
増加は、それぞれのエピソードの長さの延長と出現頻度
の増加の相乗に起因しており、他方、覚醒の減少はその
エピソードの長さの短縮によって生じた。即ち、化合物
Iを投与されたラットは長い睡眠を数多くとり、長時間
覚醒し続けることができないようにである。
さらに本実験において、化合物Iを日中に投与した場
合にも、化合物Iの夜間投与の場合とほぼ同様の睡眠・
覚醒に対する効果が得られた(ただし、PSの増加には統
計的有意差が存在しなかった)。従って、PGE2が投与し
ている睡眠・覚醒機序は、日内リズムを伴うかどうかを
明確ではないが、終日機能しているのかもしれない。
化合物Iに起因する睡眠・覚醒の変化は、反跳現象を
伴っていた。本発明者らの以前の研究においても、PGE2
による睡眠抑制あるいは覚醒増強の後に反跳現象が見ら
れた(文献2)。自然な睡眠・覚醒は、恒常性を維持す
る何等かの調節機序により部分的に制御されているとの
見方がある(文献18)。この見地からすれば、PGE2やそ
のアンタゴニストに起因する睡眠・覚醒の変化は、自然
な睡眠・覚醒と類似していると言える。
本研究において得られた結果は、脳に内因性に存在す
るPGE2が睡眠・覚醒の生理的調節機序の中で根本的な役
割を果たしているという推測を支持するものであり、化
合物IがこのPGE2の作用に拮抗することによって作用す
る睡眠薬となることを支持するものである。
実施例2 化合物Iの経口投与 ウィスター系の雄性ラット(230〜270g)につき実施
例1と同様の手術を行い、EEGおよびEMG記録用の電極を
慢性的に埋め込んだ。5〜7日の回復期間の後、以下の
実験を行った。照明は6時から18時までの明期に、18時
から6時までを暗期になるように設定した。
実験は基準日と実験日からなる。基準日には溶媒を、
実験日には化合物Iを、いずれも暗期の直前の17時20分
から17時40分の間に胃ゾンデを用いて経口的に各ラット
に投与した。溶媒としては5%アラビアゴム水溶液を用
い、化合物Iは同溶媒に懸濁させ、3mg/kg体重を投与し
た。投与量は0.3mlとした。EEGおよびEMGの記録は溶媒
あるいは化合物Iの投与後の18時より行った。
徐波睡眠および逆説睡眠の双方を含む睡眠の出現量
は、化合物Iの投与により記録開始時から9時間の間増
加を示し[243.5±19.1分(実験日)vs202.4±4.0分
(基準日)(n=6),p<0.05]、化合物Iが中枢投与
のみならず末梢投与にても睡眠誘発効果のあることが示
された。
実施例3 製造例 以下の成分を用いて錠剤を製造した: 量(mg/錠) 化合物I 2 微結晶セルロース 46.5 デンプン 50 ステアリン酸マグネシウム 0.5 タルク 1 合 計 100.0 各成分を混合し、打錠してそれぞれが100.0mgの錠剤
を得た。
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iol.133,71−87。
19.Eckstein,M.,Marona,H.& Mazur,J(1983)Pol.J.Ph
armacol.Pharm.35,159−167。
【図面の簡単な説明】
第1図は、化合物Iを2.1、6.3、および21pモル/分の
速度で無拘束ラットに夜間投与したときの徐波睡眠(SW
S)、逆説睡眠(PS)、および覚醒の量的変化を示すグ
ラフである。 第2図は、化合物Iを21pモル/分の速度で無拘束ラッ
トに夜間投与したときの、暗期から明期に至る24時間
の、1時間毎のSWSおよびPS量を示すグラフである。 第3図は、化合物I(21pモル/分)単独、化合物I(2
1pモル/分)とPGE2(10pモル/分)の双方、またはPGE
2(10pモル/分)単独を無拘束ラットに夜間投与したと
きの、暗期から明期に至る24時間の、または暗期12時間
の、1時間毎の覚醒量および30分毎の脳温を示すグラフ
である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−103577(JP,A) 特公 昭48−717(JP,B1) Brain Res.,444(1988) p.265−272 Brain Res.,481(1989) p.242−249 Br.J.Pharmacol.,P roc.Suppl.,85(1985)p. 273 Proc.Matl.Acad.Sc i.U.S.A.,86[14](1989) p.5666−5669 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/00 - 31/80 C07D 311/00 - 311/96 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】6−イソプロポキシ−9−オキソキサンテ
    ン−2−カルボン酸を活性成分として含有することを特
    徴とする睡眠薬組成物。
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Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Br.J.Pharmacol.,Proc.Suppl.,85(1985)p.273
Brain Res.,444(1988)p.265−272
Brain Res.,481(1989)p.242−249
Proc.Matl.Acad.Sci.U.S.A.,86[14](1989)p.5666−5669

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