JP3005640U - キャスタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハンドルの高さ調整が容易で、トランク等を
安定に搬送し得るようにする。 【構成】 外パイプ８０に中パイプ７０を摺動自在に嵌
挿する。中パイプ７０の上端をハンドル２０に連結す
る。ロック機構６０はロック部材６２の突起部６２３が
外パイプ８０の係止穴８１に挿入係止されることで、中
パイプ７０をロックする。この状態において、ハンドル
２０に配設した操作レバー３１を回動操作すると、軸３
３が押え棒５１の上端を押圧して押し下げる。押え棒５
１が押し下げられると、その下端に設けられた押圧子６
１がロック部材６２を押圧し、ばね６３に抗して後退移
動させる。この結果、突起部６２３が外パイプ８０の係
止穴８１から抜け、中パイプ７０のロック状態が解除さ
れる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、荷物、旅行用トランク等を搬送する際に用いて好適なキャスタに関 する。

【０００２】

【従来の技術】

重たい荷物、旅行用トランク等を手で持って搬送することは重労働で、煩わし く、快適な旅行を著しく不愉快にするものである。このため、トランク等の持ち 運びを手軽に行えるキャスタが従来から種々提案されている。この種のキャスタ としては軽量で、場所を取らず、組立、分解が容易であること、荷物を安定に搬 送することができること、搬送性に優れていること等が要求される。

【０００３】 図５は従来のキャスタのハンドル部の分解斜視図である。このキャスタは、ア ルミニウム合金等の軽金属によって縦長の下向きコ字状に形成されたハンドル３ の上辺部に樹脂等からなる把持部２を一体に形成し、ハンドル３の各脚部を外パ イプ４にキャップ４１を介して嵌挿し、下端に設けた雄螺子部３ａにナット６を 螺合してゴム等からなるパッキン５を圧締めし、ハンドル３を外パイプ４に対し て高さ調整可能に固定したものである。なお、雄螺子部３ａが挿通されるパッキ ン５の中心穴５１は偏心している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記した従来のキャスタのハンドル部の構造においては、ハンドル部の構成が 簡単で、部品点数が少ないという優れた利点を有する反面、以下のような問題が あった。ハンドル３を上下に移動させてその長さを調節する際、面倒である。 すなわち、パッキン５の中心穴５１は偏心して形成されているので、ハンドル３ とパッキン５との間に非常に大きい摩擦力が生じる。これがため、ハンドル３の 長さを調整する時、両手で、しかも非常に大きな力で操作する必要がある。パ ッキン５の耐久性が悪く、使用中に変形、損耗、破損等が生じると、ハンドル３ が上下にがたつくため、安定な搬送が得られず、キャスタが転倒したりするとい った思わぬ事故を引き起こす。

【０００５】 したがって、本考案は上記したような従来の問題点に鑑みてなされたもので、 その目的とするところは、ハンドルの高さ調整が容易で、トランク等を安定に搬 送し得るようにしたキャスを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、請求項１に記載の考案は、左右一対の外パイプと、 各外パイプに伸縮自在に嵌挿された左右一対の中パイプと、これら一対の中パイ プの上端を互いに連結するハンドルと、このハンドルの高さを調整する高さ調整 機構とを備え、この高さ調整機構は、前記ハンドルに回動自在に配設された操作 レバーと、前記中パイプを外パイプに対してロックするロック機構と、ロック解 除時に前記操作レバーに連動して動作し前記ロック機構を動作させる押え棒とを 備えたことを特徴とする。 請求項２に記載の考案は、請求項１に記載の考案において、高さ調整機構は、 操作レバーを回動自在に軸支する軸と、ロック解除時に押え棒を押し下げる押圧 部材と、前記押え棒を上方に付勢するばねとを備えていることを特徴とする。 請求項３に記載の考案は、請求項１または２に記載の考案において、ロック機 構は、外パイプの周面長手方向に形成された複数個の係止穴と、これらの係止穴 のうちのいずれか１つに係合する突起部および押え棒によって押圧される凸部を 有して中パイプ内に進退移動自在に配設されたロック部材と、前記突起部が係止 穴に係合する方向に前記ロック部材を付勢するばねとを備えていることを特徴と する。

【０００７】

【作用】

ハンドルに回動自在に配設された操作レバーは、押え棒を押し下げ、押え棒は ロック機構を動作させる。ロック機構は、使用時において中パイプを外パイプに ロックし、ハンドルを所要高さに設定保持しており、押え棒によって押圧される と、動作してロック状態を解除する。 ロック機構のばねは、ロック部材をその突起部が外パイプの係止穴に係合する 方向に付勢することで、ロック状態が不測に解除されるのを防止する。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。 図１は本考案に係るキャスタの一実施例を示す外観斜視図、図２は同キャスタ のハンドル部の分解斜視図、図３は同ハンドル部のロック状態を示す断面図、図 ４はロック解除状態を示す断面図である。 これらの図において、キャスタ１０は、左右一対の外パイプ８０と、各外パイ プ８０の上方側に一部を上方に突出させて摺動自在に嵌挿された一対の中パイプ ７０と、中パイプ７０の上端を互いに連結するハンドル２０と、前記一対の外パ イプ８０の上端間に配設された上プレート９０と、同じく一対の外パイプ８０の 下端間に配設された荷台プレート１００と、各外パイプ８０の下端にそれぞれ取 り付けられた一対の車輪１１０と、ハンドル２０の高さ調整機構１２０等で概ね 構成されている。

【０００９】 前記外パイプ８０の周面の一側には内外を連通させる複数個の係止穴８１が高 さ方向に所要の間隔をおいて形成されている。

【００１０】 前記中パイプ７０は、上端が前記ハンドル２０に挿入連結され、下端に固定筒 ６５の上端部が嵌合固定されている。中パイプ７０には、前記操作レバー３１、 一対の軸３３，３４等と共に高さ調整機構１２０を構成する押え棒５１が上下動 自在に挿通されて、上端が中パイプ７０の上方に突出し、下端が前記固定筒６５ の下面側に設けられた凹部６７内に挿入されている。

【００１１】 前記ハンドル２０は、下面側が開放する断面コ字状で、左右方向に細長い箱型 に形成され、両端部が中央部より幾分幅が大きく、かつ両端部外周面が半円形に 湾曲形成され、後面、すなわち使用者側とは反対側の面の中央部には前記操作レ バー３１が配設されている。また、ハンドル２０の両端部下面には前記中パイプ ７０の上端部が固定リング５３を介して嵌合固定される嵌合穴２１が設けられて いる。前記押え棒５１の上端部は前記固定リング５３を貫通して前記嵌合穴２１ 内に位置し、スプリング５２が装着されている。このスプリング５２は、前記中 パイプ７０の上端に設けられたキャップ５１１の下面と前記固定リング５３の上 面間に弾装されることにより、前記押え棒５１を上方に付勢している。なお、押 え部材５１は不図示の適宜手段により回転を防止されている。

【００１２】 前記ハンドル２０の下面中央部には下蓋４０が嵌合され、かつ複数個の止めね じ４４によって固定されている。このため、下蓋４０には上下面に貫通し前記止 めねじ４４が挿通されるねじ取付穴４３が形成されている。また、下蓋４０の長 手方向両端面には平面視Ｅ字形の嵌合部４２が一体に設けられており、この嵌合 部４２は前記ハンドル２０の内部に設けられた嵌合溝部２３に嵌合されている。 下蓋４０の上面両端部には左右一対のブラケット３２が載置固定される凹部４１ がそれぞれ形成されている。ブラケット３２は、左右に対向する一対の側板と、 これら側板の下端を連結する底板とで構成されることにより、上方に開放する正 面視コ字状とされ、これら両ブラケット間に前記操作レバー３１を回動自在に支 持する前記一対の軸３３，３４が横架されている。これらの軸３３，３４は長さ が異なり、長さが短い方の軸３４は、その軸端が前記ブラケット３２に形成され た小孔３２３にそれぞれ回転自在に挿通軸支されている。一方、長さが長い軸３ ３の軸端は、前記小孔３２３を中心としてブラケット３２に円弧状に形成された 長孔３２４に挿通され、その先端部下面に前記押え棒５１のキャップ５１１が前 記スプリング５２のばね力によって圧接されている。また、この長い軸３３は、 短い軸３４の軸端に装着された捩りコイルばね３５によって上方に付勢されてい る。

【００１３】 前記操作レバー３１は角棒状のレバー本体の両端部に側面視「へ」の字形の腕 部がそれぞれ一体に延設されることにより、横長門形（コ字状）を呈し、各腕部 が前記ハンドル２０に形成されたレバー取付孔２２に挿通されている。また、各 腕部の先端寄りには前記軸３３，３４がそれぞれ挿通される挿通孔３１２，３１ ３が形成されている。操作レバー３１の上面中央部には中パイプ７０のロック状 態において前記ハンドル２０の上方に突出する操作部３１１が一体に突設されて いる。

【００１４】 ハンドル２０の高さ調整機構１２０はさらに前記固定筒６５内に配置されたロ ック機構６０を備えている。ロック機構６０は、中パイプ７０を所要高さ位置に ロックするもので、前記固定筒６５の下面側に形成され蓋体６６によって閉鎖さ れた収納部６７内に配置されたロック部材６２を備えている。ロック部材６２は 、円板状に形成されて前記蓋体６６上にガスケット６４を介して固定筒６５の軸 線と直交する方向に進退移動自在に配設され、周面の一部に突設された突起部６ ２３が前記固定筒６５の周面に設けられた小孔６５１から固定筒６５の外部に突 出し、前記外パイプ８０の係止穴８１に挿入係止されるようになっている。また 、ロック部材６２の上面後端部には三角形の凸部６２１が前記押え棒５１の下端 に設けられた押圧子６１に対応して一体に突設されている。そして、ロック部材 ６２の前記突起部６２３とは反対側周面にはばね収納凹部６２２が形成されてお り、この凹部６２２内にロック部材６２を前方、すなわち小孔６５１から突出す る方向に付勢するばね６３の一端部が挿入されている。ばね６３のロック部材６ ２とは反対側端は前記固定筒６５の内周面に圧接されている。

【００１５】 前記押圧子６１は、前記押え棒５１の下端に設けられた雄螺子部５１２に螺合 接続されており、下面に前記ロック部材６２の凸部６２１の斜面にこれと略同一 角度で摺接する斜面が設けられている。凸部６２１の斜面は、ロック部材６２の 前方側（図３右下がり）に傾斜している。

【００１６】 上記構成からなるキャスタにおいて、図３は中パイプ７０をロック機構６０に よってロックした状態で、ロック部材６２の突起部６２３が固定筒６５の小孔６ ５１から突出して外パイプ８０に設けられた複数個の係止穴８１のうちのいずれ か１つに挿入係止されている。この状態において、荷物、旅行用トランク等を搬 送する際には荷台１００上に載置し、また必要に応じて紐等で外パイプ８０に縛 り、両手でハンドル２０を把持して引っ張るか、もしくは押して搬送する。荷台 １００上に載置されるトランク等の大きさは、上プレート９０によって規制され 、またこの上プレート９０はトランク等の上動を規制防止し、荷台１００からの 落下を防止する機能を有している。

【００１７】 搬送者の身長、好み等に併せてハンドル２０の高さを調整する場合は、操作レ バー３１を操作して、外パイプ８０の上方に突出している中パイプ７０の長さを 調整すればよい。すなわち、図３に示す状態において、操作レバー３１を矢印方 向に押圧すると、操作レバー３１は軸３４を回動中心として図３反時計方向に回 動される。操作レバー３１が一定角度以上回動すると、長孔３２４の上側穴壁が 軸３３の軸端を押し下げ、これにより軸３３がキャップ５１１を押圧し、押え棒 ５１を押し下げる。押え棒５１が下降すると、押圧子６１もこれと一体に下降す るため、その斜面がロック部材６２の凸部６２１の斜面を押圧し、ロック部材６ ２をばね６３に抗して後退移動させる。この結果、ロック部材６２の突起部６２ ３は外パイプ８０の係止穴８１から抜け、中パイプ７０のロック状態が解除され る。図４はこの状態を示す。ロック状態が解除されると、中パイプ７０は外パイ プ８０に対してフリーになるため、中パイプ７０を伸縮させてハンドル２０を最 適高さに調整し、しかる後この高さに対応する位置の係止穴８１にロック部材６ ２の突起部６２３を挿入係止すればよい。この突起部６２３の係止穴８１への挿 入係止は、ロック部材６２がばね５２により前方に付勢されているので、突起部 ６２３が係止穴８１に一致すると、自動的に行われ、ロック状態となる。この場 合、凸部６２１の斜面の傾斜角度を大きくしておくと、ロック部材６２を押圧子 ６１で押圧したとき、水平方向の分力の発生が大きく、小さな操作力にてロック 状態を解除することができる。

【００１８】 かくしてこのような構成からなるキャスタにおいては、操作レバー３１の回動 操作によって押え棒５１を押し下げ、ロック機構６０のロック状態を解除すると 、中パイプ７０が外パイプ８０に対して摺動自在となるため、ハンドル２０の高 さを随意にしかも簡単に調整することができる。また、ロック部材６２はばね５ ２によってロック方向に付勢されているので、使用中にロック状態が外れたりす ることがなく、荷物を安定に搬送することができる。

【００１９】 なお、本実施例においては２本の軸３３，３４を設け、長い方の軸３３を押え 棒５１の押圧部材として用いたが、本考案はこれに何等特定されるものではなく 、例えば操作レバー３１の側面に押圧部材を一体的に設けておき、これによって 押え棒を押し下げるようにしてもよい。

【００２０】

【考案の効果】

以上説明したように本考案に係るキャスタは、左右一対の外パイプと、各外パ イプに伸縮自在に嵌挿された左右一対の中パイプと、これら一対の中パイプの上 端を互いに連結するハンドルと、このハンドルの高さを調整する高さ調整機構と を備え、この高さ調整機構は、前記ハンドルに回動自在に配設された操作レバー と、前記中パイプを外パイプに対してロックするロック機構と、ロック解除時に 前記操作レバーに連動して動作し前記ロック機構を動作させる押え棒とを備えて いるので、ハンドルの高さを随意にしかも簡単に調整することができ、また、ロ ック部材はばねによってロック方向に付勢されているので、使用中に振動等によ りロック状態が外れたりする虞れが少なく、トランク等の荷物を安定に搬送する ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係るキャスタの一実施例を示す外観
斜視図である。

【図２】 同キャスタのハンドル部の分解斜視図であ
る。

【図３】 同ハンドル部のロック状態を示す断面図であ
る。

【図４】 ロック解除状態を示す断面図である。

【図５】 従来のキャスタのハンドル部の分解斜視図で
ある。

【符号の説明】

２０…ハンドル、３１…操作レバー、３３，３４…軸、
５１…押え棒、６０…ロック機構、６１…押圧子、６２
…ロック部材、６３…ばね、６５…固定筒、７０…中パ
イプ、８０…外パイプ、８１…係止穴、１２０…高さ調
整機構、６２３…突起部。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右一対の外パイプと、各外パイプに伸
   縮自在に嵌挿された左右一対の中パイプと、これら一対
   の中パイプの上端を互いに連結するハンドルと、このハ
   ンドルの高さを調整する高さ調整機構とを備え、この高
   さ調整機構は、前記ハンドルに回動自在に配設された操
   作レバーと、前記中パイプを外パイプに対してロックす
   るロック機構と、ロック解除時に前記操作レバーに連動
   して動作し前記ロック機構を動作させる押え棒とを備え
   たことを特徴とするキャスタ。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のキャスタにおいて、高
   さ調整機構は、操作レバーを回動自在に軸支する軸と、
   ロック解除時に押え棒を押し下げる押圧部材と、前記押
   え棒を上方に付勢するばねとを備えていることを特徴と
   するキャスタ。
3. 【請求項３】 請求項１または２に記載のキャスタにお
   いて、ロック機構は、外パイプの周面長手方向に形成さ
   れた複数個の係止穴と、これらの係止穴のうちのいずれ
   か１つに選択的に係合する突起部および押え棒によって
   押圧される凸部を有して中パイプ内に進退移動自在に配
   設されたロック部材と、前記突起部が係止穴に係合する
   方向に前記ロック部材を付勢するばねとを備えているこ
   とを特徴とするキャスタ。