JP3001987B2 - イメージプレゼンテーションのためのレーザー装置 - Google Patents

イメージプレゼンテーションのためのレーザー装置

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エルディティ ゲーエムベーハー ウント シーオー.レーザー―ディスプレー―テクノロギー カーゲー
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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は特定の波長λにおいて一定のコヒーレンス長
のレーザー光を発生し、レーザー光の経路上に、レーザ
ー光の個々の光子を予め決定された分布に従って位相変
位させるための第1の構造物を有するイメージプレゼン
テーションのためのレーザー装置に関する。
従来の技術 今日、イメージプレゼンテーション用のレーザー装置
で最もよく知られ、かつ最も広く使用されているものは
レーザープリンターであり、レーザープリンターでは、
印字される情報はレーザー光線により感光シリンダー上
に書かれ、感光シリンダー上のレーザー光が照射した部
分にトナーが供給され、このトナーが用紙上に転写され
ることで印字される。
例としてドイツ特許出願公告第19501525C1に開示され
た装置のような他の装置では、テレビ画面の画面上の画
素において連続的な照射を行うためにレーザーが用いら
れている。眼の残像効果により個々の光点は平均化さ
れ、観測者は画像情報をビデオ画像として認識する。
いずれの方式の装置においても、レーザーは特に、レ
ーザー光線の優れた平行性を利用して高い点解像力を得
るために使用されている。レーザーを他の光源と比較し
た場合の更なる利点は、上述されたようなビデオシステ
ムにおいて特に有効な高いエネルギー密度にあり、画像
を対角線の長さが1.50mを越えるような大型の投影面、
あるいは映画の画面上に高い光密度、または輝度で写す
ことも可能である。
レーザーのこうした利点は励起された光子の放射とこ
れに伴うレーザー光線の高いコヒーレンスに基づくもの
である。しかし他の面では有用な、高いコヒーレントを
有するという特徴も、イメージプレゼンテーションにお
いては、干渉が起こり、投射された画像上に瞬く点とし
て現れるために不都合になる。こうして現れるスペック
ルは、干渉模様とも呼ばれ、画像の質を低下させ、理想
的なイメージプレゼンテーションにおいて容認されるも
のではない。
イワイ・トシアキ(Iwai Toshiaki)とアサクラ・ト
シミツ(Asakura Toshimitsu)による一般的な調査論文
「コヒーレンス情報処理におけるスペックルの減少」
“Speckle Reduction in Coherent Information Proces
sing"(Proceedings of the IEEE,Vol.84,No.5,May199
6)ではスペックルを減少させる様々な方法について触
れている。この論文で特に興味深いのは1970年から1990
年にかけて関連論文の数が増え続けていることを示すグ
ラフで、これはスペックルを減少させるうえで有効な解
決策が未だ見つかっていないことを示す事実に他ならな
い。
この一般的調査論文ではスペックルの低減の理論的な
計算について触れており、またレーザー光線の空間的及
び時間的コヒーレンスを乱すための様々な方法について
触れている。特にレーザー光線の局所的、あるいは空間
的な変化によりスペックルが不鮮明になり、スペックル
のコントラストが低減することについて述べられてい
る。
コヒーレンスの局所的干渉はまた上述のドイツ特許出
願公告第19501525C1により、位相プレートという方法を
用いて試みられている。この位相プレートはレーザー光
の経路上に置かれ、波長に大体等しく、位相の異なるレ
ーザーの部分光に対して作用する。特に、位相差を生じ
させる位相プレートのそれぞれの範囲はランダムに分布
するため、個々の部分光線の位相は通常の光源からの光
と同様な分布を示すと仮定される。
こうした位相プレートによりスペックルを有効に減少
させることが可能であることが実験により確認されてい
る。しかし、適当な位相変位をもたらす位相プレートの
個々の部分の構造により、新たな回折が生じる。したが
って、回折した光束を全てレンズにより平行化する必要
があるが、レーザー光線により得られる像はこの回折の
ためやや質が低下する。更に位相プレートの縞、あるい
は格子模様が投射された像の上に見られることが確認さ
れており、位相プレートの使用にも関わらず、スペック
ルのコントラストが肉眼で確認されるほど大きくなる可
能性がある。
しかし、弱められた光線の像におけるこうした不都合
な点は、静的散乱により異なる光路長に応じて異なる位
相変位を生じさせる散乱部分を備えたスクリーンを、位
相プレートを別に使用する代りに用いることで解決する
ことが可能である。しかし、レーザー光線の個々の光子
に対応した異なる波長に大体等しい光の光路差を有する
こうしたスクリーンではスペックルの軽減が有効に行わ
れないことが実験により示されている。
したがって、スペックルが生じるレーザー光は、スペ
ックルが観察されたことのない他の光源からの光と他の
物理的性質においても異なっているとの仮定がなされ
る。光源を特徴づけるもう一つの物理的な量はコヒーレ
ンス長である。普通の光はレーザー光と比較してかなり
短いコヒーレンス長を有する。国際特許公報第96/08116
号では、パルス時間が1ps、すなわちコヒーレンス長が
0.8mmであるようなパルス化されたレーザー光によりス
クリーンに像を写した場合では、同じスクリーンにHe−
Neレーザーを照射した場合と比較してスペックルのコン
トラストが大幅に小さくなったことが報告されている。
しかし、この効果がコヒーレンス長が短くなったことに
よるものか、あるいはレーザーの空間的構造によるもの
かを、理論的に知ることはできない。更に、コヒーレン
ス長はパルスによって変化するが、それぞれのパルス
は、適切な光密度を得るためには、連続的な作動の場合
よりも大きな光子の密度を有するので、多数の光子によ
る干渉が更に増大する。スペックルの減少を促進させる
唯一の効果はより大きなスペクトル幅Δλに基づいてい
る。しかし、公知の式Δλ=λ2/Lにより示され、(た
だし、Lはコヒーレンス長)また、干渉模様の強度が最
大の部分の幅は波長λにほぼ比例することを考慮すれば
明らかであるが、スペックル形成の従来の理解に基づけ
ば、パルスによるスペックルの減少をこのスペクトル幅
の拡大では説明できない。
特に、国際特許公報第96/08116号に計測データでは依
然小さなスペックル構造が見られたことが示されてい
る。もし、スペックル構造は選択されたコヒーレンス長
に依存するという解釈が正しければ、同様なコヒーレン
ス長(1psあるいはこれに相当するL=0.3mm)を有す
る、例えば放電灯のような他の光源により同様なスペッ
クルパターンが見られても良いはずである。しかしその
ような例は知られていない。
以上の考察により、スペックルの発生は実際のところ
わずかしか理解されておらず、スペックルの低減を目的
としたあらゆる方法は経験的な知識にのみ頼ったもので
あるといってよい。
このことは、特定の文献によるスペックルの軽減を目
的とした方法が、必ずしも、別の装置(仮にそれが似通
った装置であっても)に応用できないことにより、技術
的な観点から不利である。適切なスペックルの軽減方法
を得るために必要なスペックルの発生に関する一般的な
理解が不足しているために、試作品では効果的だったス
ペックル軽減の方法が、量産体制では重大な支障をきた
すというような事態すら予想される。したがって公知の
いずれの方法も、充分な再現性を有するとは必ずしも仮
定できない。
発明の詳細な説明 本発明の目的は、従来の装置を改良することにより、
効果的で、広範に応用可能で、再現性を有するスペック
ル軽減を可能にすることにある。
この目的はレーザー光の位相変位分布により達成され
る。ここで分布から得られる位相変位の2乗平均とレー
ザーの波数ベクトルk=2π/λの大きさとの比によっ
て与えられる平均経路はコヒーレンス長の より大きい。
この解決策は驚くべきものである。ドイツ特許出願公
告第19501525C1に基づき、平均位相変位はおおよそ波長
に等しくなくてはならないことが予測されたかもしれな
い。この参照例からはコヒーレンス長とのいかなる相関
も見出されない。
既述されたように、国際特許公報第96/08116号に示さ
れたスペックル低減を目的とした発見は、空間的なレー
ザーの様式がスペックルの軽減において重要であるとの
結論に達していたかもしれない。ここでは、上記考察に
より、大きな光子密度と位相同一性のため、同じ時間間
隔においてコヒーレントな光子が常に充分に存在するこ
とは予測され得たはずであり、スペックルの軽減効果に
対して懸念が生じる。
本発明は、位相変位により生じる光路差が一般的に少
なくとも、 であることを特に特徴とし、ここで国際特許公報第96/0
8116号の開示内容は全くこのことに触れていない。
本発明は異なる実験における発見を適切に解釈するた
めに必要な新たな考察に基づいたものである。これにつ
いては実施態様に基づいて後に詳述する。本発明を実現
するうえでは、ドイツ特許出願公告第19501525C1号にお
いて必要とされる、部分光の位相を変化させるための小
構造を使用する必要がないため、小構造により引き起こ
される、既述された不都合な回折とその結果のレーザー
光による像の質の低下が防止される。
本発明は、本発明に関連して行われた全ての実験に基
づいた、スペックル形成に関する一般的な理論的考察を
踏まえたうえで達成されているため、レーザープリンタ
ーやビデオ装置や他のイメージプレゼンテーション用の
装置といった多岐にわたる装置に応用することが可能で
ある。すなわち本発明に基づくスペックルの減少効果の
再現性は可能な限り高められている。
既述されたように、本発明に基づいて必要とされる位
相変位はランダムに分布させることが可能なばかりでな
く、通常の関数形に基づいて分布させることも可能であ
る。特にこのことにより、スペックル構造をランダムに
不鮮明化している他のスペックルの減少のための方法と
本発明との間の相違は明らかである。位相変位はまた、
例として鏡により実施することが可能であり、鏡の配置
によりそれぞれの光子が異なる長さの行程を進むことに
なる。
しかし、本発明の別の更なる好ましい構成により、装
置を非常に簡単に実現することが可能であり、この構成
においては、第1の構造物が、周辺の材質と比較して大
きな屈折率を有する粒子をランダムな分布で含有する透
明な材料で形成され、この屈折率の違いにより位相変位
が生じる。
したがって、この構造は、例として、粒子を保持する
材料内に大きな屈折率の透明な小粒子が存在することで
可能である。特に、例としてスクリーンに第1の構造物
を設ける際に、市販の材料を使用することが可能で、ス
クリーンの長さは、本発明に基づき、位相変位の2乗平
均が上記の よりも大きい光路長となるように選択されなければなら
ない。
したがって、第1の構造物の長さ、すなわち第1の構
造物を透過するレーザー光の光路は本発明を実現するた
めに使用可能な全ての材料に対して適切であるように選
択されなければならない。しかし、例えばスクリーンの
厚さを決定するうえで、屈折率の選択は重要な要素であ
る。実用上、特に市販のレーザーを使用したレーザービ
デオシステムにおいては、本発明の更なる好ましい構成
に基づけば、第1の構造物の厚さは、周辺の材料と粒子
の屈折率の差が0.1よりも大きい場合に、最大で数ミリ
メーターの妥当な範囲において実現することが可能であ
る。
上記の考察に基づけば、ランダムな位相変位を生じさ
せる粒子を大きすぎないように構成し、屈折率の差また
は光路差により適切な位相差が生じるように構成するこ
とも可能であることは明らかである。本発明の更なる有
利な構成に基づけば、光の進行方向にある粒子は0.5mm
よりも小さい、好ましくは0.1mmよりも小さい粒子を含
む。
第1の構造物はレーザー光の進行方向におけるわずか
な延長を有することは既に述べた。この目的のために、
本発明の更なる有利な構成においては、第1の構造物は
レーザー光の波長を大きくすることにより位相変位を大
きくするための鏡を有する。
本発明の別の更なる有利な構成では、イメージプレゼ
ンテーションのためのスクリーンが提供され、第1の構
造物が少なくともスクリーン上の一部分か、あるいはス
クリーンの1つの層内に配置される。
この更なる有利な構成においては、第1の構造物の構
成はレーザービームによって生じる像の保存の必要性に
より制限されない。したがって、第1の構造物を配置す
るうえでより大きな自由度が得られる。つまり、例えば
ビデオシステムにおいて使用されるようなスクリーンに
おいては、観測者が異なる方向からビデオ画像を見るこ
とができるようにスクリーン自体がレーザー光を散乱さ
せるのでスクリーンの領域はそれほど大きな問題ではな
く、スクリーン上でレーザー光による像を弱めることが
必要な場合さえある。
本発明の特徴により、コヒーレンス長自体が非常に小
さければ、第1の構造物は非常に小さくても充分であ
る。したがって本発明の更なる有利な構成に基づけば、
レーザーは10ps以下のパルス幅のパルス時間で作動する
ことが可能なパルスレーザーであれば有利である。コヒ
ーレンス長は通常パルス時間に光速を乗じて計算され
る。したがって、ここに示されたようなレーザーではコ
ヒーレンス長は3mmである。これにより、パルス時間が1
0psよりも小さければ、第1の構造物は数センチメータ
ーかそれ以下で実施されうる。
スペックルを効果的に低減させることを目的としたこ
うした小さいコヒーレンス長を得るためには、増幅帯域
幅が100GHzか、好ましくは300GHzよりも大きいレーザー
装置を使用することが望ましい。
特にビデオシステムにおいては、パルス幅、つまりは
コヒーレンス長を非常に小さく選択することで、大きな
改善が見られる。したがって、本発明の更なる好ましい
構成においては、装置が赤色、青色、及び緑色の少なく
ともいずれか1つのレーザー光を発生させるレーザー装
置を有する場合、少なくともこの内の1色がパルスレー
ザーであり、このパルスレーザーが以下に示すパルス幅
よりも小さいパルス幅で作動する。すなわち、 −レーザーが赤色光を発生する場合4ps、好ましくは2ps
以下。
−レーザーが緑色光を発生する場合3ps、好ましくは1.5
ps以下。
−レーザーが青色光を発生する場合2ps、好ましくは1ps
以下。
したがって、この更なる好ましい構成に見られるよう
に、ほぼ0.3mmの大きさまでのコヒーレンス長が得られ
る。この構成も同様に第1の構造物を非常に小さく構成
することが可能であるという利点を有する。
この構成に関し、特に光線の経路上に光学要素を有す
るビデオシステムにおいて予期されなかった利点が見出
された。こうした光学要素により、異なる位置にある光
子の間に小さな位相差が生じる。すなわちこうした光学
要素が第1の位相変位構造物として適切に配置されてい
れば、本発明に基づく、位相差を生じさせるための別の
構成を省略することが可能である。
このような機能を有すると考えられる光学要素には、
例として、スクリーンの手前の光路上に配置される拡張
光学要素やフレネルレンズがあり、これらは本来は別の
目的、例えばビデオ標準に基づき、走査用のレーザー光
線を大きな角度で回折させるといった目的で使用されて
いる。
本発明を実施するうえではコヒーレンス長を適切に選
択することが重要である。真空中において有限波連にフ
ーリエ変換を行うことで確認されるように、有限波連に
対し式L=λ2/Δλによりコヒーレンス長Lに関連付け
られるスペクトル値Δλが常に定義される。しかし、全
てのスペクトル幅Δλがコヒーレンス長の減少に結びつ
く必要は必ずしもない。また以下に詳しく説明される
が、本発明に基づき、スペクトル幅Δλによって与えら
れるコヒーレンス長が実現されるためには適度に大きい
スペクトル幅が選択されることが充分な条件である。こ
のことは予想されなかったことではあるが、上述のモデ
ルから理解することは可能である。
こうした見方から、本発明の装置は更なる好ましい構
成に基づき第2の構造物を備え、これにより、レーザー
光線の光子の局所的な量子力学的撹乱に基づき、特にレ
ーザーの波長スペクトルのスペクトル幅Δλを大きくす
ることによりコヒーレンス長を小さくすることが可能で
ある。すなわち、式L=λ2/Δλで与えられるコヒーレ
ンス長はスペクトル幅Δλを大きくすることにより小さ
くすることが可能である。
光が、伝播する媒質の分子や原子にエネルギーを与え
ることにより光子スペクトルが拡がることが知られてい
る。これによる効果、例えばラマン効果は通常小さいの
でスペクトル幅を大きくする目的ではこうした効果の応
用は限られたものである。
しかし、更に進んだ研究により、局所的な量子力学的
撹乱を適当に構成された構造物によっても行うことが可
能であることが示されている。しかし、これによる作用
効果を理解するためには、より踏み込んだ理論的な分析
が必要であるので、後に実施態様に基づきながらより詳
しく述べる。
こうした構造物の基本的な原理は、レーザー光線の光
子は一時的に、または偶然に狭い範囲に局在化するた
め、不確定性原理に基づきスペクトル線幅がわずかに拡
がるというものである。量子力学に基づいて予測される
こうした撹乱の回数が適当であることにより、これに対
応したスペクトル幅が得られ、スペクトル線幅が拡がる
ことでコヒーレンス長を効果的に小さくすることが可能
である。
パルス時間に関しては、与えられたスペクトル幅に対
して特定の装置におけるパルス時間の最適値が得られ
る。本発明の更なる好ましい構成によれば、パルス時間
の場合と同様な考察に基づき、レーザー光のコヒーレン
ス長または第2の構造物を用いた短縮により与えられる
波長λに対するスペクトル分布の幅Δλは0.5nmよりも
大きい。
しかし、この更なる好ましい構成によれば、スペクト
ル分布の望ましい幅Δλは第2の構造物のみによって得
られるわけではない。これを望ましいスペクトル幅に対
応したレーザー装置を選択することによって得ることも
可能である。大きなスペクトル線幅を有するファイバー
レーザーがこうしたレーザーとして特に適当である。
第1の構造物及び第2の構造物は両方とも屈折率の差
に基づいて実現されるため、本発明の更なる好ましい構
成に基づけば、第1の構造物及び第2の構造物を一般的
な機構に組み込むことも可能である。このようにしてス
ペックルの低減を目的とした、例えばレーザープリンタ
ーに組み込むことの可能な非常に小型の機構が実現され
る。
本発明の更なる好ましい構成に基づげば、特に第2の
構造物において光路上に複数の位相変位体が配置され、
これによる光の進行方向への光路の延長が波長の20倍、
好ましくは波長の2倍より小さくなることが有利であ
る。量子力学的な局所的撹乱によるスペクトル線幅の拡
大は充分に大きいため、スペクトル幅Δλを調整するた
めには位相変位体は数個有ればよい。
個々の位相変位体による撹乱はほぼ正規分布に従うた
め、複数の位相変位体によりスペクトル線幅は全体で位
相変位体の数の平方根の分だけしか拡大しないが、これ
を避けることが可能である。本発明の更なる好ましい構
成によれば、第2の構造物において、位相変位体が規則
性に則って形成され、かつ量子力学的な局所的撹乱が、
複数の位相変位体による撹乱を特徴づける散乱行列とし
て、同一の位相に合成されるような間隔で位相変位体が
一様に配置されていることにより、スペクトル線幅の拡
大をより効果的に実施することが可能である。
後に実施例に基づいて更に詳しく述べられるが、第2
の構造物により得られるスペクトル線幅は位相変位体の
数に比例し、位相変位体の数の平方根ではない。したが
って、望ましいスペクトル線幅の調整のために必要な位
相変位体の数は少なくなり、第2の構造物の構造がより
単純化されることにより、より経済的な製造が可能にな
る。
スペクトル線幅の最適値の決定も、パルスレーザーに
おけるパルス幅によるコヒーレンス長の決定と同様に行
われる。したがって、本発明の更なる好ましい構成にお
いて、レーザーが赤、緑及び青の少なくともいずれか1
色である場合、それぞれの色のスペクトル線幅Δλは以
下のようになる。すなわち、 − 赤色光に対し、Δλ>1.3nm − 緑色光に対し、Δλ>0.9nm − 青色光に対し、Δλ>0.75nm 第1のの構造物は焼結小粒で形成することも可能であ
る。本発明のさらなる好ましい構成において、構造物は
粒子で形成されており、粒子の大きさは0.5mmよりも小
さいが0.1mmよりも小さいことが好ましい。
第1の構造物と第2の構造物の構成において粒子は異
なる屈折率を有する少なくとも2つの部分からなること
が好ましい。第2の構造物もこうした部分を有すること
により実現可能であり、この場合、第1の構造物の基本
的な機能を粒子自体が担っている。第1の構造物と第2
の構造物は上記のような簡単な構造を共通の構成として
有する。
上記に詳述されたように、本発明の更なる有利な構成
において、粒子から形成された材料内における第2の構
造物の形成は、2つの部分の境界上の少なくとも一箇所
の領域において、レーザー光の進行方向の延長が20波長
分、好ましくは2波長分よりも小さければ適切である。
本発明の更なる有利な構成に基づき、第1の構造物と
第2の構造物に共通の構造に関する上記の必要条件を満
たすうえでテフロンが適切な材料である。テフロンは焼
結が可能な粒子状の形状でも市販されている。標準的な
処理により0.5mm以下の粒子の大きさを実現することが
可能である、更にテフロン粒の非結晶部分には直径1μ
m程度のいわゆる晶子が存在する。1μmのオーダーは
2波長分の長さよりも若干大きく、第2の構造物におい
て好ましい長さである。したがってテフロンは高造物の
必要条件を効果的に満たす材料である。
テフロン材料の性質については以下の文献を参照。シ
ー・ジェー・スペアシュナイダー(C.J.Speerschneide
r)とシー・エイチ・リー(C.H.Li)による「異なる温
度におけるポリテトラフルオロエチレンの機械的性質と
微細構造の相関」(“A Correlation of Mechanical Pr
operties and Microstructure of Polytertafluoroethy
lene at Various Temperatures",Journal of Applied P
hysics,Vol.34,No.10,October1963,Pages3004−300
7)。ソロモン・フィッシャー(Solomon Fischer)とノ
ーマン・ブラウン(Norman Brown)による「78Kから298
Kの温度領域におけるポリテトラフルオロエチレンの変
形と環境グレージングの影響」(“Deformation of Pol
ytetrafluoroethylene from78to298K and The Effects
of Environmental Grazing",Journal of Applied Physi
cs,Vol.44,No.10,October1973,Pages4322−4327)。
テフロンは体積散乱能力が高いのでスクリーンの材料
として適当であり、第1の構造物がスクリーンか、スク
リーンの1つの層として構成される本発明の更なる好ま
しい構成において有効に使用される。したがって、スク
リーンがテフロンで製造されている場合、テフロンの体
積散乱により光線像が損傷することはない。
また、特にスクリーンは、観測者がレーザーにより作
られたビデオ画像を異なる方向から見ることができるよ
うに、特定の散乱角度分布を有することが必要である。
スクリーンの構成に関しては、特に数ミリメーターか
それ以下の小さなコヒーレンス長に適用される別の考察
に基づき、更なる構成を以下に示す。
別の更なる一構成においては、画像を写すためにレー
ザー装置から照射されるレーザー光の伝播方向において
決定されるスクリーンあるいはスクリーンの層の厚みd
は、臨界厚さdcritより大きくなることが好ましい。臨
界厚さdcritはレーザーによりスクリーンまたはスクリ
ーンの層上に形成される干渉模様の強度の最大部分、す
なわちスペックルからの平均距離bより次の関係式から
得られる。すなわち、 ここに〈tanθ〉は、構造物におけるレーザー光線の回
折を特徴づける散乱角度分布に対する散乱角θのタンジ
ェントの平均値である。
したがって従来技術と比較して、スクリーンあるいは
スクリーンの層の厚さを適切な大きさに選択するとい
う、非常に簡単な解決策が得られる。
ここに示された式は、スクリーンの深い部分において
発生したスペックルからの光はこの深さに配置された構
造物において散乱されるため、スクリーンの表面上の干
渉模様の強度の最小部分においては、光は同様にスクリ
ーンの表面から出て行くという解釈に基づくものであ
る。したがってスペックルのコントラストは効果的に軽
減される。上記のdcritに関する式は、後に更に詳しく
述べられるこのような簡単な考え方に基づくものであ
る。スクリーンあるいはスクリーン上に配置された層が
dcritよりも大幅に大きな厚さを有する場合、更なる層
がスペックルのコントラストを軽減し、スペックルは完
全に不鮮明化される。
この解決策の構成は非常に単純であり、かつ簡単に実
施されうる。このことは以下に述べられる更なる構成に
よって示される。
スペックルの大きさは光線の径により決定される。干
渉光学に基づいた簡単な観測から計算されるように(エ
ム・アイ・ヨダー(M.I.Yoder)、ディー・ジー・ユー
マンス(D.G.Youmans)による「レーザーレーダー波長
選択とトレードオフ」(“Laser Radar Wavelength Sel
ection and Trade−offs"を参照)、スクリーンから距
離Sにあるレーザー光源から照射され、直径Dを有し、
スペクトルの中心波長がλであるようなレーザー光線に
よるスペックルの大きさはλStanθ/Dで与えられる。し
かし、スペックルの大きさが光線の直径より大きいこと
は有りえないため、この式によるスペックルの大きさの
推定はD2>λSである条件の下でのみ有効である。
このような場合、本発明の更なる好ましい構成の教示
に基づけば、直径Dを有し、スペクトルの中心波長がλ
であるようなレーザー光線を発生するレーザー光源から
距離Sの点においてD2>λSが成り立ち、スクリーンの
厚さはλS/D〈tanθ〉よりも大きい。
このスクリーンの層の厚さをdcritのほぼ2倍に構成
することにより、スペックルの不鮮明化が大幅に促進さ
れ、スペックルのコントラストが低減することが予想さ
れる。
本発明の別の更なる好ましい一構成に基づけば、スク
リーンは厚さdにより特徴づけられる。ここにdの関数
K(d)で表されるコントラスの大きさは厚さdに応じ
て0.20より小さく、好ましくは0.05以下である。この関
数の値はレーザー光が一様に照射した、スクリーン表面
の厚さdの層上で最大光強度Imaxと最小光強度Iminにわ
たる領域において得られる。
この厚さも実験によればdcritと比べて充分に大き
い。しかしここではスペックルが大幅に低減されること
が予想される。しかし、この更なる好ましい構成におい
ては、上記の、厚さに依存したスペックルのコントラス
の物理的な特徴付けに加えて、眼の生理作用が考慮され
ている。これは、すなわち、上記において最大光強度と
最小光強度により定義されたようなコントラストより小
さいコントラストのスペックルは、コントラストの値が
0.2で肉眼により認識することが困難で、コントラスト
の値が0.05では全く認識されない。したがってこの更な
る好ましい構成に基づく(スクリーンの)層の厚さは、
肉眼により認識されないという意味においてスペックル
が適切に消去されるように選択される。
上記の更なる好ましい構成に基づく教示を適用するた
めに様々な材料を特徴づける関数の値を求めることがで
きるが、これに要する労力を最小限に抑えるために、必
要とされる厚さを本発明の別の更なる好ましい一構成に
基づいて推定することも可能である。
この更なる好ましい構成によれば、スクリーンの厚さ
はdcrit・log(f)/logK(dcrit)に等しい。ここにf
は0.20よりも小さい値で、好ましくは0.05以下の値であ
り、K(dcrit)=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)で
表される。ただし、Imaxはレーザー光により均一に照射
された厚さdcritのスクリーン上の領域における最大光
強度、Iminは同領域における最小光強度である。
上述された本発明の更なる好ましい構成の全てはスク
リーンが焼結されたPTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)(商標名テフロン)で形成されていれば容易に実施
することが可能である。
本発明の更なる好ましい構成によれば、スクリーンの
厚さdは0.1mm以上、好ましくは1mm以上、より好ましく
は3mm以上である。スクリーンがこうした厚さであれ
ば、異なるコヒーレンス長の異なるレーザー光において
顕著なスペックルのコントラストが見られることはな
い。驚くべきことに、この厚さは、スペックルのコント
ラストを完全に不鮮明化するうえで、コヒーレンス長に
依存していることが判明した。レーザー光のコヒーレン
ス長がLであり、厚さDが(0.04cmS)1/2±25%以
上であるような本発明の更なる有利な構成に基づいて使
用されるレーザー光のコヒーレンス長に依存して、最適
の厚さが与えられる。特にコヒーレンス長4mmのレーザ
ー光(レーザー装置製造者の仕様に基づく)に対して、
粒子の大きさが20μmから800μmの範囲のパウダー状
の材料から形成される厚さ4mmのテフロン製スクリーン
が用いられた場合にはスペックルは全く見られなかっ
た。
図面の簡単な説明 本発明は実施態様と図面に基づいて以下に更に詳細に
説明する。
図1は、ビデオ装置において仕様された例にて示された
イメージプレゼンテーションのためのレーザー装置の斜
視図。
図2は、スペックルの形成とその防止を説明するための
概略図。
図3は、図1に示された装置におけるスペックルの低減
のための一般的な第1の構造物を示す概略図。
図4は、図1に示された装置におけるスペックルの低減
のための別の一般的な第1の構造物を示す概略図。
図5は、例えば立体画像を見るための、スクリーン内に
配設することが可能な第1の構造物の概略図。
図6は、図1に示された装置のためのテフロン製スクリ
ーン内の構造物の概略図。
図7は、レーザー光線のスペクトル線幅を変えるための
一般的な第2の構造物を示す概略図。
図8は、図7に示された装置の製造過程を示す概略図。
図9は、厚さdの層に生じたスペックルのコントラスト
を説明するための概略図。
図10は、コントラストを干渉模様の最小強度部分の光強
度に対する干渉模様の最大強度部分の光強度の比の関数
として表したグラフ。
図面の詳細な説明 図1では、レーザー装置とスクリーンを備えた画像を
見るための装置が例により示されている。この実施態様
においては、カラーのビデオ画像を見ることが可能であ
る。したがってこの構成は1個ではなく3個のレーザー
装置10,20,30を備え、レーザー装置は適切な3原色の波
長の光線を発生しビデオ画像の画素を形成する。レーザ
ー装置10,20,30で発生するレーザー光線12,22,32には、
この実施態様においてビデオ画像の画素の輝度の調節
や、色調の調節のための調整はこの段階では行われてい
ない。これは本実施態様中では分析のためのビデオ周波
数により直接に制御することのできないガスレーザーが
使用されているためである。ガスレーザー10,20,30の代
りにレーザーダイオードを使用した場合、画素の表示の
ための適当な情報に基づいてレーザー装置を調整するこ
とによりレーザー光線12,22,32の強度は直接変えられ
る。
更に、ファイバーレーザーも、後に再び触れるように
大きなスペクトル線幅を有するため、スペックル軽減を
経済的に行うために有効であることが示されている。
しかし、ここでは調整を行うために、ガスレーザー装
置10,20,30からのレーザー光線12,22,32の光路上に特殊
なモジュレータ14,24,34が配置されている。モジュレー
タはDKDP結晶を有し、これによりレーザー光線12,22,32
の偏光の方向は変化させられ、偏光フィルターにより制
御電圧に応じて強度が調整される。レーザー光線12,22,
32は鏡システム38によって光束40に一体化され、システ
ムの残りの部分を伝播していく。
光束40は、スクリーン43上にビデオ画像の個々の画素
が連続的に照射されるための回転ミラー42と多角形ミラ
ー41からなる偏向装置によりスクリーン43上に向けて二
次元に偏向される。モジュレータ14,24,34によりそれぞ
れの画素に適切な色と輝度が付与される。
レーザーテレビで使用されるラスター走査技術は受像
管を有するテレビにおいて使用されているものと同様の
技術である。しかし、ここで使用されている技術は、電
子線の代りに光束40が用いられ、受像管に一般的に使用
されている電磁偏向の代りに多角形ミラー41と回転ミラ
ー42による機械的ラスター走査が用いられている点でレ
ーザーテレビで一般的に使用されるラスター走査と異な
っている。
しかし、ラスター走査はここに示された機械的な方法
に限らず、例えば超音波光学的に行うことも可能であ
る。
更に図1に示された実施態様では、小さな偏向角で大
きな画像を得るための拡大光学機構44とフレネルレンズ
45が配置されている。しかし、これらの光学的要素はフ
レネルレンズ45や拡大光学機構44内のレンズにより局所
的に異なる位相変位が生じるように構成することも可能
である。ここで生じる位相変位は後に図3及び図4に基
づいて詳述される位相変位と同様であるよう、レーザー
光のコヒーレンス長に合わせて調整される。
光束40はレーザー光の特徴である高いコヒーレンスに
より、干渉を生じさせるうえで非常に適している。しか
し、干渉光学やホログラフィーにおいては有用なこうし
たレーザー光線の性質も、図1に示されたようなビデオ
投影装置では不都合である。これは光路上の小さな撹乱
がそれぞれ干渉を引き起こし、ビデオ画像の画素の内側
に瞬く点として現れるためであり、この干渉作用はスペ
ックルとも呼ばれる。スペックルは通常、画像の観測者
にとって邪魔なものであるので、高品質のビデオ画像を
得るためには防止、または低減されなくてはならない。
学説によれば、スペックルの形成は通常1個の光子の
干渉として説明され、光学においては光子の状態の単一
の波の伝播であって、単純な波の重なり合いによるもの
として説明されている。しかし、こういった単純化され
た見方は、実験によって示された以下の事実と矛盾す
る。
1) スペックルはスクリーンが散乱面である(表面が
粗い)場合に観測されるが、スクリーンが滑らかな反射
面である場合には観測されない。
2) 1波長分以上の大きさのランダムな位相変位を起
こすことのできる散乱スクリーンにおいてもスペックル
の大きなコントラストが見られる。
3) 通常の作動ではスペックルを生じるファイバーレ
ーザーも、誘導放出のしきい値以下ではスペックルを生
じない。
単光子干渉に基づく、単純な波の重ねあわせによる説
明が矛盾していることを以下に実証する。以下で小文字
x、y、zで始まる量はベクトルである。
1)に関して レーザーの高いコヒーレンスに基づき、点x1から進む
光子と点x2から進む光子は共に波長k=2π/λで放射
され、これらの光子の間に誘導放出に基づく一定の位相
関係があると仮定すると、干渉を表す項、 cos{k|z−x1|−k|z−x2|} はその点での単純な波の重ねあわせによって与えられ、
これはスクリーンが反射面であるか散乱面であるかには
よらないはずである。しかしこうした独立性は見られな
かった。反射スクリーンによりスペックルが生じるとい
うこの解釈は光に関するマクスウェル方程式とも矛盾す
る。
2)に関して 上記の干渉を表す項から理解されるように、波長のオ
ーダーであるランダムな位相差により、この干渉を表す
項は平均化されるはずである。これはスペックルは位相
プレートによって不完全にしか低減されないという観測
事実と矛盾する。
3)に関して レイジングによらない作動とレイジングによる作動の
相違は密度効果にある。レイジングによる作動のほうが
光子密度は大幅に大きい。
3)から得られる結果は、多数の光子による干渉の存
在の可能性を示しており、このことはスペックル現象に
関するいかなる文献にも触れられていない。これはイメ
ージプレゼンテーションにおけるスペックルの問題はこ
れまでのところ充分に解決されていないことを示唆して
いる。
多光子系干渉を最も簡単な2個の光子の干渉を例にと
ったモデルに基づき、ここで考察する。このモデルで
は、基本的な現象の理解に関係のないあまり重要でない
正規化因子は無視する。以下の考察は2光子波動関数Ψ
12に基づき、波動関数Ψ12の絶対値の2乗は、2個の光
子が同一の位置で検知されるか、あるいは異なる位置で
検知されるかの確率を示す。2個の光子の間で干渉が起
きるためには確率が0以外の値であることが重要な前提
条件である。
1)の場合、2個の光子は異なる位置x1、x2から波数
ベクトルk1、k2にて進み、これら2個の光子の干渉によ
り2光子波動関数を求めるための以下の式が得られる。
Ψ12=eik1|z−x1|・eik2|z−x2|+eik2|z−x1|ik1|z−x2| 第2項は量子力学において光子が従うボース統計に基づ
き第1項を対称化することで得られる。
2個の光子を両方とも位置zに見出す確率は次式から
求められる。
Ψ12Ψ′12=2+2cos{(k1−k2)・(|z−x1|−|z−x2|)} この式を単光子干渉のような非現実的な解釈に基づき
上記の波動関数の和と比較すれば、生じる干渉はスペク
トル線幅(k1−k2)に依存し、波数ベクトルkのみに依
存するわけではないことが理解される。つまりコヒーレ
ンスの高いレーザー光において、すなわち(k1−k2)が
充分に小さい場合においては、コサインは1に等しく、
反射面において干渉、すなわちスペックルは生じない。
他方、光路上の散乱構造体では、以下に図2に基づき説
明されるように干渉が生じる。
図2には2つの位置x1、x2と2つの位置y1、y2が示さ
れ、散乱体が配置されている。これは、例えばスクリー
ン43上の2つの位置に相当する。2個の光子が干渉でき
るかどうかが調べられる位置がやはりzで示されてい
る。位置zは例えばスクリーン43上の別の散乱体か、観
測者の眼の網膜に相当する。
原理的には、2光子波動関数を得るためには、レーザ
ー射出面上の位置x1、x2より位置y1、y2を通って位置z
に進む異なる光子からの全ての要素は足し合わされなけ
ればならない。しかし、スペックル形成の理解のため
に、とりあえず必要な項は経路z−y1とz−y2上での光
子の状態が波数ベクトルk1とk2により一義的に説明され
る項である。このような光子の状態を示すために、図2
のそれぞれの経路の長さはそれぞれに対応する波数ベク
トルk1とk2により特定されている。
これに基づく振幅の2乗より2光子波動関数の干渉を
表す項が以下の形で与えられる。
cos{k1|y1−x1|+k2|y2−x2|−k1|y1−x2|−k2|y2−x1|} 1.0 x1=x2である場合、この項は常に1である。すなわち、
位置zにおいて干渉可能な光子はレーザー射出面のほぼ
同一の位置と、1.0項における位相差が2πの整数倍で
あるような間隔をおいた位置から放射される。これはす
なわち、2光子干渉においては、レーザー射出面自体が
これにより干渉が生じる構造物としてみなされることを
意味する。
更なる考察のために1.0項を近似することにより、y1
とy2に対する項1.0の意味についての情報を得ることが
できる。そのために、x1とx2は紙面に対して直交する平
面上にあり、y1とy2はやはり紙面に直交しかつx1とx2を
含む平面に平行な平面上にあるものとし、この2平面の
間の距離をAとする。更に位置ベクトルx1、y1、x2、y2
は紙面に含まれ、量X1、X2、Y1、Y2を上で定義した位置
x1、x2を含む紙面の直交面とy1、y2を含む紙面の直交面
上にこれらの位置ベクトルを投影したベクトル成分であ
るものとする。成分X1、Y1、X2、Y2と比べて距離Aが充
分大きければ成分XとYの任意の組み合わせに対し、以
下の近似を行うことができる。
上記のコサインの値に関する考察において、x1とx2に
よる平均化により、固定された位相とは別に、以下を得
る。
ここに〈X1−X2〉はレーザー射出表面上の位置x1とx2
の平均であり、レーザー光線の直径Dにおおよそ等し
い。
したがって干渉可能な2個の光子は、2πの整数倍の
位相差があ生じるような距離、したがっておおよそAλ
/〈X2−X1〉の距離を隔てたスクリーン上の点から飛来
したものである。したがって平面yから飛来する光子の
対からなる光を、その干渉能力において干渉格子の場合
と比較することができる。しかしこれは散乱体の不均一
な散乱により部分的に打ち消される場合があり、スペッ
クルが生じる。
一方、反射表面において広い間隔を隔てた干渉模様の
最大光強度部分は再合成されて光線を形成する。この観
察によりスペックルが散乱表面においてしか発生しない
理由が説明される。
上記のコサインを使って表された項1.0において位相
差はy1−zとy2−zの光路の差に起因しないことは明ら
かである。このことは光子がスクリーンから出る以前に
段階における、スクリーン上で生じる波長の大きさ程度
の位相差の項1.0に対する寄与は小さいことを示す。し
たがってこうした考察に基づけば多光子干渉によるスペ
ックルは波長の大きさ程度の位相変位によって完全に除
去できない。
更にこの解釈に基づけば、誘導放射の範囲内で作動し
ていないレーザー装置によってスペックルは生じないこ
とが結論される。すなわち、レイジングされることによ
り始めてレーザーの射出表面において位相状態が決定す
るため、平面上のx1とx2に関する上記考察はレイジング
されたレーザーのみにしか適用できない。一方、ファイ
バーレーザーの非レイジング状態においては光子の原点
位置x1とx2はグラスファイバーの方向にお互いに対して
ずれるため、x1とx2はレーザー光線の伝播の方向に大き
く隔てられる。この理由によりx1とx2による積分の結
果、上記のコサインで表された項は平均化されて消え
る。
以上のようなモデルに基づいた考察により、実験的事
実に基づいたスペックル現象の理解が容易になる。これ
によればスペックルの問題における解決策はこれまでの
ところ見付かっていない。
スペックルの低減のために、異なる経路を進む光子に
適当な位相変位を与えることが提案される。図2では位
置領域50が強調されて示されており、これに参照しなが
ら説明する。x1の近傍において光路長がΔAだけ変化し
た場合、x1から進む光子は波数k1やk2を有する状態とは
独立した、より長い光路を進み、1.0項に更に別の位相
が現れる。すなわち、 (k1−k2)ΔA これは、2π/(k1−k2)より大きいある幅のΔAの
分布を伴った波長スペクトルにおいて、干渉を表す1.0
項は平均化され、スペックルが生じないことを意味す
る。
すなわち、スペックルを効果的に低減するためには、
以下の条件が成り立つことが必要である。すなわち、 ΔAが大きいほど、より効果的にスペックルが抑制され
る。式11に示された条件に加えて、望ましい低いしきい
値が特にΔA>10・2π/Δkで与えられる。
しかし、更に詳しく考察すると、スペックルを効果的
に低減するための正確な低いしきい値は、光路長を変え
るうえで効果的なΔAの分布に大きく依存している。こ
のことを以下の例に基づいてより明確に説明する。
スペックルは位置50以外の位置でも低減させることが
可能である。例えば、以下の例において考察されるよう
に、スクリーンはランダムに分布したガウス幅ΔAを含
む光路長を有しうる。この条件の下で、位置y1とy2にお
ける確率的な分布は2回生じる。すなわち、ガウス関数
の幅の平方が足し合わされることにより1.0式より次式
を得る。
更にスペックルの低減が効果的に行われるコヒーレン
ス長に対する別のしきい値が、例えば位置50において位
相を等分配することにより与えられる。等分配では、周
知のように、上記の2乗平均は という因子により全体の幅に等しく、レーザー光の与え
られた範囲Δkに対する最小しきい値を与える全ての分
布によるスペックルの効果的な低減において次式が成り
立つ。
しかし、これらの式の全てにおいて、光路長の必要と
される増加分が常にΔkに反比例していることが必要で
ある。したがって、スペックルの効果的な低減は小さな
光路長ΔAにおいて実施しようとする場合には、レーザ
ー光線のスペクトル線幅はできるだけ大きくなければな
らない。
このために例えば非常に大きなスペクトル線幅を有す
るレーザーを選択することが可能である。特に、ファイ
バーレーザーは非常に大きなスペクトル線幅を有するの
でスペックルの低減に必要な光路差ΔAをミリメーター
かそれ以下の適切な範囲に維持することが可能である。
更に、パルスレーザーによってもパルス時間に応じて
適切な大きなスペクトル線幅が得られる。長さLの有限
波連についてフーリエ変換を行い次式を得る。
Δk=2π/L 1.2. しかしこの幅をガウス幅と混同してはならない。この
有限波連の幅はフーリエ変換のゼロ値から得られたもの
である。
この場合においては、ガウス幅は一般的には与えられ
ない。しかしレーザーは正確にパルス化されていないも
のと仮定しなければならず、したがってフーリエ変換に
より得られた幅は実際のスペクトルに正確には対応して
いないものと仮定しなければならない。しかし1.2.式に
基づいた関係は実用上成り立つ。しかし、最大強度の1/
10以下の寄与でも、図5から図7にかけての例に示され
るように、スペックルの効果的低減に用いられることが
可能であるため、1.2.式に基づいてコヒーレンス長の一
般的な計算を行うには注意を要する。
こうした理由により、スペックルを低減させるためコ
ヒーレンス長に応じた光路長の必要な条件を求めるうえ
でΔAの2乗平均の最低しきい値だけが推定される。す
なわち、効果的なスペックルの低減は一般的に の範囲で行われると考えられる。しかし一般的にはΔA
に選ばれた値が大きいほど、より効果的にスペックルは
抑制されると考えられる。
与えられる光路差が数ミリメーターの大きさである場
合、上式に基づきレーザー装置のパルス作動の間、10ps
以下のパルス時間(3mmの光路長に相当する)が維持さ
れなければならない。
図1の実施態様のレーザー10,20,30のそれぞれのの色
に応じて、特に以下の値が与えられる。
− 赤色レーザーでは4ps好ましくは2ps以下。
− 緑色レーザーでは3ps好ましくは1.5ps以下。
− 青色レーザーでは2ps好ましくは1ps以下。
スペクトル線幅は一般に波数によって決められず、波
長に依存して決定されるため、1.2.式から波数と波長の
間の公知の関係に基づいて導かれる下の関係は特に重要
である。
与えられた光路差においてスペックルを低減させるレ
ーザーのスペクトル線幅は上式を用いて簡単に求めるこ
とも可能である。図1の実施態様において、例えば薄い
スクリーン43の使用が可能であるためには、小さい光路
差に対してのみ以下の最適値が与えられる。すなわち、
赤色光ではΔλ>1.3nm、緑色光ではΔλ>0.9nm、青色
光ではΔλ>0.75nmである。これは約0.3mmのコヒーレ
ンス長に相当し、スライド投影に使用される標準的なビ
ードスクリーンにおいてスペックルが効果的に低減され
ることが予想される。
ファイバーレーザーを用いてもこのようなスペクトル
線幅を簡単に得ることが可能であり、このため図1の実
施態様ではファイバーレーザーが好ましく使用されてい
る。
しかし、将来的には振動方向の異なる偏光により立体
像を投影することも考えられている。こうした立体像
は、特殊な眼鏡を使用し、観測者の眼のそれぞれに異な
る偏光状態の偏光によるイメージが別々に送られること
により見ることが可能である。しかし偏光状態を維持す
るためには上述のビードスクリーンは使用することがで
きない。したがって必要とされる光路長ΔAを別の方法
で実現しなければならない。
図2に基づいて既に説明されたように、スペックルを
低減させるために図2では位置50において光路長を変化
させることも可能である。
このための実施態様が図3に概略図にて示されてい
る。図3に示されたプリズム52は図1においてモジュレ
ータ14、24、34と合成装置38の間に配置される。プリズ
ム52が合成装置38の手前に配置されていることは、合成
装置38がプリズム52の後方に配置された場合に、光束40
内のレーザー光線12、22、32の異なった回折の結果生じ
る、補正を必要とする色誤差が生じないことにより特に
有効である。
図2において光子の位置x1または位置x2に応じてプリ
ズムにより異なる位相差が与えられ、この位相差は、プ
リズム52による位相差が充分大きい場合、1.0式に基づ
いて平均をとることで平均化される。
図3の実施態様において、レーザー光線32の直径D
〈x1−x2〉にわたる範囲での最大位相差は、示されてい
るように、2w(n−1)である。ただしnは材料の屈折
率である。したがってガラス製の直角プリズムを使用
し、レーザー光線の直径が約D=2mmであれば、レーザ
ー光線32が通過する材料の屈折率により約2mmの大きさ
の平均有効光路差が生じる。レーザー光線のコヒーレン
ス長が大きい場合、発生するスペックルは楕円状に変形
するのに対し、コヒーレンスが小さい場合は縞模様が生
じる。
結果的にスペックルは完全に消失せず、縞模様として
現れるが、これはプリズム52による位相差は1方向にの
み有効であることによる。スペックルを完全に消失させ
るためには、少なくとも3個のこうしたプリズム52が配
置されなければならない。
一方、図4に示された実施態様においては、要素54を
1個必要とするだけである。要素54は表面56と内部空間
57を有する回転対称のドーム状形状に形成されている。
外面56と内部空間58の内面58は、要素54の材料内で屈折
する光の光路が赤道面60に対して平行になるように形成
されている。この構成によりレーザー光線32が要素54内
を通過する際にその形は保たれる。しかし、この場合、
図3の例に示されるように、個々の光子は光学要素54へ
の進入位置に応じて異なる光路長の光路を進み、有効な
位相差が生じる。縮尺比率が図4と同様であり、光線の
直径が2mmであれば、光学要素54により数十mmの大きさ
の光路差が生じ、これはスペックルを効果的に低減する
上述のスペクトル線幅を得るうえで充分な値である。
図4の例で使用されている形状は製造が困難であるの
で、光線の拡がりが容認されるか、必要に応じて別の光
学システムにより光線の拡がりが補正される場合には、
この形状の代りに屈折材料で形成された半球状のシェル
を使用してスペックルの低減を簡単に実施することも可
能である。
図3及び図4の例に示されるように、屈折材料により
生じる位相差は、適当な光路長の変化を得るために充分
である。位相におけるこうした変化はフレネルレンズ45
や拡大光学機構44やあるいは場合によっては合成装置38
によっても得ることが可能である。これらの装置は数十
ミリメーター程度の大きさに容易に構成することができ
るため、レーザーのコヒーレンス長が適切に選択されて
いれば、スペックル低減のための第1の構造物を構成す
ることが可能である。
図5はやはりスペックルのない立体画像を投射するう
えで適当なスクリーン43の略示図である。しかし、ここ
では複数の観測者のために立体角を拡大するための散乱
構造は、スペックル低減の原理の説明を簡単にするため
に示されていない。図5によればスクリーン43は半透鏡
62と別の鏡64を備える。光を屈折させる透明な材料66が
鏡64と半透鏡62の間に配置され、スクリーン43を安定化
させ、更に透明材料66の屈折率により位相の変化が好ま
しく増大することで、与えられたコヒーレンス長におい
て鏡を薄く構成することが可能にする機能を担ってい
る。
光束40が半透鏡62に照射すると光束の一部分は反射す
る。光束の反射しなかった部分は鏡64に入射して反射
し、光路差が生じる。特に、レーザー光線の一部は図5
に示されるように反射を何回も繰り返すために光路長の
分布が生じる。したがって出て行く光においてスペック
ルを防止するうえで望ましい光路差が生じる。
例として、薄いシート状のガラスの両面を粗く加工
し、半透鏡62と鏡64を蒸着して望ましいスクリーンを製
造することが可能である。より薄くかつより軽量のスク
リーン43を製造するうえで、反射コーティングされた市
販のマイラーホイルの非反射面に部分的にコーティング
を施して使用することも可能である。光を異なる方向に
散乱させる面の凹凸はマイラーホイルに不均一な熱処理
を局所的に施し、小さな面積の歪みを生じさせることで
形成することが可能である。
スクリーンが散乱体を備えることにより、図5に示さ
れるようなスクリーンの変形例が数多く考えられるが、
散乱により偏光が変化するため立体画像のプレゼンテー
ションはできない。
こうしたスクリーンは、光路長を変化させることで位
相変位を生じる焼結粒などの要素を含むように構成する
ことが可能である。直径δの粒子では、0とδの間を通
る異なる光路が存在するため、粒子と周囲との屈折率の
差をΔnとして最大光路差(Δn−1)δが生じると考
えられる。これは約(Δn−1)δ/121/2の等配分を含
む光路長の変化の2乗平均に相当する。スクリーンの厚
さをdとするとレーザー光線は平均で約d/δ個の粒子を
通過する。光路長について2乗平均の偏差の平方は多数
の粒子について足し合わされ、厚さdのスクリーン43に
対する2乗平均の偏差はおおよそ次のような値になる。
実験により、粒子を焼結して製造したテフロン製スク
リーンがスペックルの除去に適していることが示されて
いる。テフロンの屈折率は1.2から1.4の範囲である。
スペックル低減について行われた上述の実験において
は、δ0.4の大きさのテフロン製スクリーンを使用し
た。
上述の式に基づけば、粒径δ0.4、屈折率1.4の粒子
で構成された厚さ4mmのテフロン製スクリーンによりΔ
A0.15mmの2乗平均に相当する光路差が生じることに
なる。したがって図2に関連した理論的な考察に基づ
き、こうしたスクリーンにより のコヒーレンス長のレーザー光により生じるスペックル
を除去することが可能である。
実際には、こうしたスクリーン上においては、レーザ
ー装置製造業者の仕様による4cmのコヒーレンス長にお
いてもスペックルは眼に見えないことが示されている。
これは予想されなかった結果である。上述の平方光路差
の推定は非常におおまかなものであるが、粒子における
散乱による異なる光路長を考慮した、より正確な計算に
よっても大きさはせいぜい2から3%小さくなる程度で
あることが示されている。このことは、理論的に計算さ
れたスペックルの低減が確認されるコヒーレンス長と、
コヒーレンス長に関するレーザー装置製造業者の仕様の
間に依然として大きな懸隔があることを示している。
したがって、テフロンではスペックルが効果的に除去
されるような別の効果が存在することが予想される。こ
れを説明するためにコヒーレンス長の依存度を分析し
た。波長が約500nmであり、スペクトル線幅が2nmである
ような、すなわちコヒーレンス長が約0.2mmであるよう
なファイバーレーザーを使用した場合、厚さ1mmのテフ
ロン層においてスペックルは既に知覚できないことが示
されている。しかし、同じ厚さにおいて4cmのコヒーレ
ンス長を有するレーザーにより知覚可能なスペックルが
発生した。したがって、スペックルの低減はコヒーレン
ス長に依存し、上に詳述されたモデルに基づいた考え方
は適用することが可能であるはずである。
この理論値とのずれはテフロン材料自体により解消さ
れている。これはテフロンは図6に示されるように非常
に複雑な構造を有するためである。
図6には、上述の1.2から1.4の屈折率を有するテフロ
ン製スクリーンの粒子67が概略的に示されている。導入
文中で引用された文献により既に示されているように、
粒子67も微結晶68を構造物として有する。微結晶68は非
結晶部分69に埋め込まれている。使用されるテフロン材
料には、数マイクロメーターから1μmの非常に小さい
厚さで、約100μmの長さの微結晶68が見られる。空気
(n=1)が微結晶68の間に封入されている。
非結晶材料69が微結晶68の間の空間に存在する。非結
晶材料69の微結晶68に対する屈折率の差は、それぞれ独
立に計測した値に基づいて、0.1程度である。微結晶68
と非結晶材料69から構成されたこの第2の構造物は屈折
率が小さいため、これにより光路長に変化は生じないと
考えられる。
しかし、微結晶68と非結晶材料69から構成された第2
の構造物は以下の考察に基づきコヒーレンス長に影響を
与える。フーリエ変換により示されるように、波が負の
無限大から正の無限大にわたる場合に限り、波に対して
波長が定義される。しかし何らかの乱れが存在する場
合、例えば、波連がパルス放射により制限されるような
場合や、波を伝播する量子が局所的空間において別の状
態をとるような場合においては、これはスペクトル線幅
の拡がりに関連する。
この性質は、物質波の波長がその運動量または力積に
関係づけられるという点で普遍的な適用可能な不確定性
原理により表されている。
したがって、限られた空間的領域、すなわちコヒーレ
ンス長にのみわたった波では以下の計算により示される
ように、常にスペクトル線幅の拡大が見られる。個々の
光子の波連のコヒーレンス長をLとし、コヒーレンス長
Lについて光子数1に正規化された波の波数ベクトルを
k0として、次式を得る。
公知の方法により、演算子を として、フーリエ変換によりk−空間で次式を得る。
したがって1個のスペクトル線が得られ、そのスペク
トル線幅はコヒーレンス長Lにより定まる。このスペク
トル線幅が拡がる効果は、上述されたようにパルスレー
ザーを用いて得ることが可能である。
更なる考察のために次の分布Pを導入する。
P(k,k0)=|〈k|k0〉|2 この式は、公知の方法により、波数ベクトルk0と波数
ベクトルkにて生じた光子を見出す確率を表す。
更に、以下の記述はコヒーレンス長の理解を助けるう
えでの前提文である。
局所的空間においては、干渉が生じるためには2個の
光子の振幅が同じ場所で同じ時間で重ね合わせられるこ
とが必要であるので、コヒーレンス長とは固定的な位相
関係にある2つの光子状態がお互いに干渉しあうことが
可能な距離を意味する。同様な解釈がk−空間について
も成り立つ。2つの波長がほぼ同じ波数を有する場合に
限り固定的位相関係が維持されうる。スペクトル線幅の
拡がりが大きすぎる場合、任意の位相に依存した重ね合
わせは位相関係が急速に時間的に変化することにより平
均化される。
この考察は、非常に短い波連を維持することは、コヒ
ーレンスを乱すことにおいて何の影響も及ぼさず、むし
ろスペクトル線幅がどの程度拡がるかが問題であること
を示している。異なる波数を有する2つの無限に長い波
では位相差が2πの整数倍であるような光路差がある場
合、相対的な位相は平均化され、コヒーレンス長に相当
する大きさの物理量を特定のスペクトル線幅に対して定
義することが可能であり、以下においてこれを有効コヒ
ーレンス長と呼ぶ。
この考察に基づき、全ての分布に対して次式により有
効コヒーレンス長L′が計算される。
〈k−k0コヒーレンス・L′=2π 上式において重要な量は波数ベクトルの差の平均値で
ある。しかし、この平均値は適切に定義されなければな
らない。
無限に向かって充分に速く落ちこむ全ての分布では、
ガウス幅は次式で示される。
ここにk0は分布kの平均値である。しかし、大きな波数
kではsin2(k−k0)L/2の項により被積分関数の寄与
は依然大きいため、このガウス幅に対しては上で計算さ
れた分布は与えられない。
大きな波数が生じる理由は局所的空間での±L/2にお
ける急勾配の側部にある。しかし、計算のために仮定さ
れたこの急な傾斜は物理的に現実的ではない。したがっ
てガウス幅を計算するうえで積分を実行する場合には、
限られた数の振動にまで積分を行えばよい。この結果と
して生じる積分経路についての不確定性は以下の説明に
基づいて解決される。
既に述べられたようにガウス積分の値は側部が昇る、
あるいは落ちる勾配に大きく依存し、このことは限られ
た積分の長さによって考慮に入れることが可能である。
しかし形状に応じたコヒーレンス長の変化を得るために
この幅を考慮に入れることも考えられる。
したがって、大きい周波数における異なる切り捨て値
を説明するための、次式で表される形状因子Fを導入す
る必要がある。
<(k−k0)>コヒーレンス=F<(k−k0)>ガウス 前出の確率分布Pを示す式を用いれば、これにより次
式を得る。
ここで大括弧の中の部分にはいかなる物理量も含まれ
ておらず、したがって、少なくとも無限に大きい積分範
囲に対して、切り捨て値に依存した定数とみなすことが
できる。
大括弧の中の値を計算するうえで、形状因子Fの値が
やはり必要である。しかし、上で仮定された波連のコヒ
ーレンス長L′は実際のコヒーレンス長Lに等しいとい
う有効な仮定に基づけばこの値を容易に導くことができ
る。したがって、示された関数の関係により大括弧の中
の部分はL′=Lが成り立つために(2π)に等しく
なることが分かる。
上記の考察に基づき、以下の計算において発散する積
分を消去することが可能になり、有限の、物理的に意味
のある結果を得ることが可能である。
上の計算により明らかにされたように、有効コヒーレ
ンス長、すなわち1個の光子の2つの異なる経路におい
て干渉が起きなくなる距離、は有限の波連及び有限なス
ペクトル線幅の少なくともいずれか一方により与えられ
る。
これは量子力学に基づいて、不確定性原理により理解
される。スペクトル分布の拡大は光子の検出における局
所的な不確定性に影響を及ぼす力積の拡がりを意味す
る。
一方、不確定性原理により、測定器による力積の測定
は空間的に限られるため、力積は拡がるものと考えられ
る。不確定性原理の基本的な考え方に基づけば、観測方
法の様式は重要ではないので基本的な物理的過程は観測
装置自体によるものではなく、観測によって引き起こさ
れる観測対象の粒子の乱れによるものである。すなわ
ち、観測過程におけるのと同様に、乱れのそれぞれに対
して同様な拡がりが予想される。
以下の計算は量子力学的力積を導入することなく完全
に行うことも可能である。力積の代りに計算を通じて波
数ベクトルkが用いられるが、プランクの法則によりk
は波の力積に比例するため、これらの計算は量子力学的
な解釈に符合する。
波数ベクトルがk0である粒子は振幅 〈k|k0〉 により波数ベクトルkである粒子として観測される。局
所空間からのフーリエ変換により、これは次のように計
算される。
ここに制御行列Sによる次に示される局所的干渉を導
入する。
上式より、散乱行列Sの寄与が0以外の狭い空間的領
域内に限られる場合、振幅〈k|k0〉は有限コヒーレンス
長に対するスペクトルにおいて含まれる積分と同様な積
分を含むことが理解される。したがって数学的にも局所
的干渉による有効コヒーレンス長の変化が予想される。
分子や原子による光子の吸収や放出といった局所的干渉
におけるスペクトル線幅の拡がりは例えばラマン効果の
ような実験的に観測されており、次に更に詳しく考察す
る。
上に示された式により、光子が局所的に放射状態以外
の状態にある場合にも、スペクトル線幅の拡がりが予想
されるが、初期状態において観測可能である。例えば、
光子が局所的に定義された媒質中を通過し、1以外の屈
折率のために異なる波数ベクトルを有する場合にもスペ
クトル線幅の拡がりが予想される。
この考察に基づき、振幅がAでコヒーレンス長Lと波
数ベクトルk0を有し、位相x=bに配置された厚さaと
屈折率nを有する薄い構造体中においては波数ベクトル
nk0を有する光子に対し、有効コヒーレンス長が計算さ
れる。すなわち局所的空間におけるこうした波連の状態
は次式のように示される。
上式の位相の表現により、それぞれの境界面において
式中の量と位相が適当な値をとることで波が一定となる
ことが直接理解される。上式の指数部分を整理して得ら
れる次の表現を用いることにより更なる計算が簡単にな
る。
に対しAAのような微少因子を表す次の表現が与えら
れる。
ただし、Δk=k0−kである。
上式に関し、有効コヒーレンスを決定するうえでの上
記の考察に基づき、a<<Lという近似により有効コヒ
ーレンス長L′を得るための次の簡単な関係が得られ
る。
上式に示されるように、干渉により有効コヒーレンス
長はコヒーレンス長より大幅に短くなっている。しか
し、非常に大きなコヒーレンス長においてはこの効果は
非常に小さい。厚さaの構造体によって生じる空間的干
渉が測定可能な効果を示すためには1μmよりも大幅に
小さい領域で干渉が起きなければならない。
複数の構造体の使用が考えられる場合、異なる結果が
得られる。波数ベクトルk2の量子力学的状態を波数ベク
トルk1の量子力学的状態に変換する個々の構造体に対す
る量子力学的散乱行列をS1,2=|k1〉〈k2|で表すとす
ると、m個の構造体に対して次に示す全体の行列が与え
られる。
この積分は以下の条件の下で簡単に説明することがで
きる。長さLはやはり構造体の厚さaに対して非常に大
きいものと仮定されるため、1.0式のsinΔkLの項をδ関
数により近似することが可能である。更に、計算に関係
するのは散乱行列の絶対値の2乗だけであるため、一定
の位相は全てのS行列より除外される。それぞれが基準
点から距離bjの位置に配置された複数の構造体におい
て、2.0式により積分を実行するための適切な正規化を
行い振幅〈kl+1|k1〉を次式にて表すことができる。
上式において、ディラック関数δは2.0式のsin(kL)
を含む第1の被加数に対応し、関数Tはsin(ka)を含
む項に対応する。
積分を行い、振幅に対して次式が得られる。
δ関数の大きな寄与により、この積分は大幅に簡素化
される。複数の構造体についての総和は、厚さaの構造
体が異なる位置bjに配置されていることによる位相を足
し合わせるだけでよい。
波数ベクトルによりスペクトル線幅を計算するうえ
で、ここでは次の表現を計算するだけでよい。
ここでδ関数の要素の寄与はなく、位相についての和
の2乗のみによっている。この積分を計算するうえで、
位相の和にわたって積分すれば、それぞれの構造体の位
置bがランダムに分布している場合、構造体の数mが与
えられる。一方、光路差bjと波数ベクトルとの積が構造
体の間で2πの整数倍だけ異なるように選択されていれ
ば、m2の値が与えられる。
したがって、m個の構造体のコヒーレンス長に対し、
次式が一般に与えられる。
ここにmeffは構造体の実効数であり、構造体の数の平
方根に等しいが、示された位相の位置に基づく構造体の
選択された距離に応じて、2πの整数倍分ずつ、mの値
にまで増大させることが可能である。
これらの考察に基づけば、微結晶68によりテフロン中
での有効コヒーレンス長は短かくなるはずであり、テフ
ロン中での光の振舞いが理解される。
上記の考察は真空に対する屈折率がnである構造体に
対してあてはまる。しかし、この場合重要なのは、微結
晶68と非結晶材料に対する屈折率の差だけである。した
がって屈折率の差の実測値1.0に対し、n/(n−1)の
値は10でなければならない。光路と厚さに対して微結晶
69の位置が異なるため、根号内のaの値は平均化されな
ければならない。S行列の1/aに対する依存性により、1
/aが平均化のために用いられる。すなわち、平均化にお
いては小さい厚さの寄与が最も大きい。図6に概略的に
示されたテフロンの構造に基づく推定によれば、a2
μmである。
しかし、平均では100μmの微結晶68の長さにおい
て、レーザー光の光路中には微結晶68は約60個程度しか
存在せず、meffの値は約8程度と考えられる。これらの
値により、スクリーン43に照射するレーザー光線40の4c
mのコヒーレンス長に対して、約0.4mmのテフロン中での
有効コヒーレンス長が与えられる。これは上記におい
て、スペックル除去のために用いられた4mmの実験的な
厚さに対して生じると予測された約0.5mmの平均光路長
に好ましく一致している。
示された式の更なる結果を示す。同様な第2の構造物
を有する材料では、平均位相差は厚さの平方根に依存す
る。一方、meffにわたるコヒーレンス長の変化は厚さの
平方根の逆数に依存し、与えられたコヒーレンス長Lの
下で効果的にスペックルを低減させるための条件L<Δ
Aにより、次に示す臨界厚さdcritが与えられる。すな
わち、 これにより効果的なスペックルの低減が可能である。
上式において、一般的にkは、屈折率に対する依存の
度合い、屈折率の差、粒子の大きさなどを含んだ、長さ
の次元を有する材料による定数である。この関係によれ
ば、特定のコヒーレンス長に対して材料定数を求めるこ
とが可能であり、光路長を生じさせるための第1の構造
物とコヒーレンス長を短くするための第2の構造物とを
含んだ材料に対する上述のパラメータを用いて複雑な計
算を行うことなく、他のコヒーレンス長に対して適当な
厚さを推定することが可能になる。
スクリーン43が第2の構造物を含んでいない場合、2
乗平均偏差に対する平方根の依存性が見られ、dcrit〜L
2であると仮定される。
ここに示された、粒子の大きさが0.4mmであるテフロ
ンの材料定数はk=0.4mm±25%と求められた。大きな
誤差は、スペックルが見られなくなったとする厚さの決
定が主観的であることに主による。
更に、上に示された計算より明らかなように、1個の
構造対から別の構造体までの距離が2πの位相差の整数
倍であるように充分に大きくとられているような、一般
的な第2の構造物が用いられている場合、コヒーレンス
長を非常に効果的に短くすることが可能である。
図1に示されたビデオ投影装置において、色誤差を考
慮する必要のないように、モジュレータ14、24、34と合
成装置38の間に有利に配置されたこうした第2の構造物
70が図7に示されている。ここで、図8に基づきながら
特にこうした構造物がどのようにして製造されるかにつ
いてより詳しく説明する。
構造体はシリコン基板72より形成され、シリコン基板
72から複数の構造体74がエッチングにより形成される。
これに続き、シリコンに酸化処理が行われ、構造体74は
透明な酸化珪素で形成されることになる。酸化に要する
時間は、シリコン基板上に二酸化珪素の層76が形成され
るように選択され、層76の厚さは層76が入射レーザー光
線32に対して誘電体鏡として機能するように調整され
る。
更に、構造部70の上には鏡78が配置され、鏡78と誘電
体鏡76の間でレザー光線が反射を繰り返す。開口80と開
口82の2個の開口が鏡78に設けられ、これを通じてレー
ザー光線32が入射し、出ていく。
更に図7には上の計算に関係する距離aとbが示され
ている。
図7の縮尺比率は実際とは異なる。レーザー光線32は
数ミリメーターの直径を有するが、構造体74の厚さは、
上の考察に基づいてコヒーレンス長ができるだけ小さく
なるように、2波長から20波長分程度にできるだけ大き
く保たれる。更に、構造体76の高さは、レーザー光線32
が第2の構造体74を通じてできるだけ一様に通過するよ
うにできるだけ大きくなければならない。
「マクロ細孔を有するシリコン内の光子バンド構造」
(“Photonische Bandstruktur in makro−porosem Sil
izium",Physikalische Blatter52,1996,Nos.7and8,page
s661−664)には厚さ2.3μm、高さが最大約0.1mmの構
造体を製造するための行程が示されている。図8はこの
行程を説明するためのものである。
高濃度にn型にドーピングされたシリコンウェーハ86
の表面に例えばリソグラフィーのような手法により構造
体が形成されている。本実施例においては前出の引用文
献に記載された微少細孔を形成する手法と比較して、コ
ヒーレンス長を変化させるための第2の構造体を形成す
るうえで、縞状のパターンを形成することが必要であ
る。
構造体74が液体酸素90中で電気化学的方法によりエッ
チングを行って形成される。構造体74の大きな高さと小
さな幅は、シリコンの高電子密度の部位に対してのみエ
ッチングを行うことにより実現される。自由電子を生じ
させるために、基板を裏側から紫外線92で照射する。リ
ソグラフィーのような手法により最初に陥入が起こった
部位において最大の電子密度が得られる。陥入の度合い
が大きいほど構造体74を形成するための局所選択的エッ
チングの効果は大きい。
シリコンウェーハ86が電解研磨されることを防止する
うえで、1Vから2Vの電圧で小さい電流が使用される。こ
の電圧はポテンシオスタット94により調整され、測定器
96により監視される。前出の引用文献に効果的な電流の
値と電圧の値とを示す特性曲線が示されている。
更なる考察に基づきスクリーンの構成の可能性を以下
に示す。
干渉光学により知られているように、スペックルの大
きさは主に干渉の原因となる構造の寸法によって決ま
る。干渉像における最小の構造は干渉の発生に寄与する
最大の表面により主として与えられる。図1の実施態様
の投射条件の下ではこの表面は光線の直径Dにより与え
られる。前出の文献より知られるように、λを波長、S
をレーザー装置10、20、30のスクリーン43からの距離、
Dをスクリーンに入射するレーザー光線の直径として、
スペックルの大きさはλS/Dで与えられると考えられ
る。図9では、スペックルが生じている状態がそれぞれ
の場合において3本の矢印にて示されており、異なる位
置のスペックル92において干渉現象が起きている。
散乱体67はスクリーン43の材料にわたって一様に分布
しているため、同様なスペックルが、それぞれの層にお
いて、スクリーン43の表面に法線に対して垂直な部分に
生じるものと考えられる。これは図2において深い部分
にあるスペックル92にて示されている。通常のスクリー
ンの厚さはミリメーターのオーダーであり、スクリーン
からの距離はメーターのオーダーであるので、上式にお
けるSの変化はごくわずかであり、したがって深い部分
において生じたスペックルの直径は表面において生じた
スペックルの直径とほとんど変わらない。しかし観測さ
れる深さが異なればスペックルの位置が異なる場合もあ
る。図9には、スクリーンの正面から見た場合に、深い
部分に生じたスペックルと表面に生じたスペックルが互
いに重なり合っている好ましくない例が示されている。
スペックルを低減させるために、深さdは、スクリー
ン43の深い部分に生じたスペックル92の光が表面上で干
渉模様の強度の最小部分に照射するように充分大きく選
択されており、この結果、コントラストは不鮮明化され
る。このことはスクリーン43の深い部分に生じたスペッ
クルからの光は最大で平均スペックル距離dの約半分に
まで到達することを意味する。
散乱体69において、1に標準化された散乱角分布f
(θ)のそれぞれの散乱角θに対してスクリーンの深い
部分dから表面にまで到達する、全体の強度Iを有する
光の分布は次式に表される。
ここにxは散乱体67から表面までの光路長である。角
度θと、表面に到達する光の更なる散乱を考慮する必要
のない程度に非常に小さい厚さdに対して、xはd/(co
sθ)で表すことができる。
図9において、平均散乱角分布が〈tanθ〉b/2dで
ある場合、表面に生じたスペックル92の間のb/2の位置
にある干渉模様の最小強度部分に更に光が照射されるこ
とにより効果的にスペックルが低減され、次式がおおま
かに成り立つ。
ここにtanθの平均値は次の式に基づいて計算され
る。
で表される積分は、表面の方向に向かった散乱を求める
ための半球にわたった積分である。
したがって、スクリーンの厚さdcritはスペックルの
低減が予想される厚さを起点として定義される。層の厚
さが大きい場合、深い部分の層からの無視できない寄与
により、光の構成要素が干渉模様の最大強度部分と最小
強度部分の間のコントラストを更に低減させるため、ス
ペックルは更に低減される。
D2>λSである場合、有限の光線の直径Dにより生じ
るスペックルは光線の直径Dよりも小さい。したがって
光線の直径がスペックルの大きさを決定するうえで大き
く関与していると予想される。bはスペックルの直径の
ほぼ2倍であるという事実に基づき、bの値が推定され
る。すなわち個々の構造体において干渉は大幅に不鮮明
化され、簡単なサインとコサインの関数を用いてこの過
程を表す関数を近似することができる。干渉模様の最大
強度部分の間の距離は、最大強度部分の幅の2倍にほぼ
等しい。これにより、スペックル現象を効果的に低減す
るためにはdの値は次に示されるように選択されなけれ
ばならない。すなわち、 コントラストという概念についてはここまでに既に何度
も触れてきた。厚さdにおけるスペックルのコントラス
トKは次式で定義される。
ただしImaxはスペックルの光強度であり、Iminは干渉
模様の光強度の最小部分である。この量を図10にImin/I
maxの比の関数としてグラフに示した。このグラフによ
ればIminが増加するとき、すなわち厚さdが増大する場
合、深い部分からの光により干渉現象は更に「ぼや
け」、コントラストは劇的に低減される。
コントラスト関数K(d)の値が0.2よりも小さい場
合、特に0.05以下であるような場合にはスペックルのコ
ントラストは生理学的に認識できないことが示されてい
る。
したがって、スペックルを単に低減させるだけでな
く、生理学的に認識できなくなるまでに完全に除去する
ことが望ましい場合、コントラストの値K(d)をスク
リーン43の厚さに依存して決定することが可能で、スク
リーン43の厚さはK(d)が0.2よりも小さく、好まし
くは0.05よりも小さくなるように選択される。
臨界厚さdcritにおけるコントラスを用いた層の厚さ
の最適値をおおまかに決定する、より経済的な方法をこ
こで示す。コントラストK(dcrit)を決定するうえ
で、この値は、上記の臨界厚さdcritに関する考察を用
い数学的に推定され、ここでこれまで考慮されていなか
った散乱体による光束50の反射と散乱を考慮する必要が
ある。あるいは臨界厚さdcritより単純にコントラスト
の値K(dcrit)を決定する。
コントラストの値Kの近似は積の形で表されるため、
全体のコントラストは次式で示される。
したがって、コントラストが生理学的に認識できなく
なる厚さは、次式に示されるように簡単に与えられる。
ただしfはスクリーン43においてスペックルのコント
ラストが低減される程度を示す数である。したがって上
記の考察に基づけば、スペックルのコントラストが生理
学的な認識のしきい値よりも小さくなるためには、fは
0.2よりも小さい、好ましくは0.05以下の値である。
ここに述べられた例により、本発明の基づきスペック
ルの低減のための多くの可能性が提供されることが示さ
れる。ここで重要なのは、それぞれの光子の経路長がコ
ヒーレンス長に適合されていることである。実用上適当
な、最も有効なコヒーレント長の値を得るうえで、レー
ザー装置10、20、30、あるいはパルス時間、あるいは第
2の構造体を望ましい条件に合わせて適切に構成するこ
とでこの値を実現することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ゲプフェルト、フランク ドイツ連邦共和国 D―07747 イエナ エベレッシェンシュトラーセ 14 /442 (72)発明者 ヴァレンスタイン、リヒャルト ドイツ連邦共和国 D―67269 グリュ ンスタット フロイントヒェンシュトラ ーセ 10 (72)発明者 ディーター、クリストハルト ドイツ連邦共和国 D―07546 ゲラ ブレームシュトラーセ 27 (72)発明者 ビーリッヒ、ヴォルフラム ドイツ連邦共和国 D―07751 イエナ ―コスペダ レルヒェンヴェク 12 (72)発明者 クレネルト、ユルゲン ドイツ連邦共和国 D―07743 イエナ ドルンブルガーシュトラーセ 164 (56)参考文献 米国特許5272473(US,A) 米国特許5485225(US,A) 米国特許3650608(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 27/48 G02B 26/10

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】与えられた波長λにおいて特定のコヒーレ
    ンス長Lを有するレーザー光線(12,22,32)を発生し、
    予め決定された分布に基づいて、レーザー光線(12,22,
    32)の個々の光子の位相を変位させる第1の構造物(4
    4,45,52,43,67)をレーザー光線(12,22,32)の光路上
    に有するイメージプレゼンテーションのためのレーザー
    装置(10,20,30)を備えた装置において、 予め決定された分布に基づいて生じた位相変位の2乗平
    均の、レーザー(10,20,30)の波数ベクトルk=2π/
    λの大きさに対する比によって与えられる平均光路が、
    コヒーレンス長Lの1/(12)1/2倍よりも大きいことを
    特徴とするイメージプレゼンテーションのための装置。
  2. 【請求項2】周囲の材料よりも大きな屈折率を有する、
    ランダムに封入された粒子(67)を有する透明な材料か
    ら第1の構造体(44,45,52,43,67)が形成され、屈折率
    の差により位相変位が生じることを特徴とする請求項1
    に記載の装置。
  3. 【請求項3】周辺の材料と粒子(67)の屈折率の差が0.
    1よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の装
    置。
  4. 【請求項4】光の伝播方向にある粒子(67)が0.5mmよ
    りも小さく、好ましくは粒子(67)の少なくとも一部分
    は0.1mmより小さい粒子(67)であることを特徴とする
    請求項2または3に記載の装置。
  5. 【請求項5】粒材の粒子(67)が、異なる屈折率を有す
    る少なくとも2つ部分(67,62)からなることを特徴と
    する請求項3または4に記載の装置。
  6. 【請求項6】2つの部分の境界上の少なくとも1箇所の
    領域において、レーザー光(12,22,32)の光路の方向へ
    の延長が20波長分、好ましくは2波長分よりも小さいこ
    とを特徴とする請求項5に記載の装置。
  7. 【請求項7】レーザー光(12,22,32)の光路長を延長す
    ることにより位相変位を大きくするための鏡(62,64,7
    8)を第1の構造体(44,45,52,43,67)が有することを
    特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装
    置。
  8. 【請求項8】生成した像を投射するためのスクリーン
    (43)が配置されていることと、第1の構造体(44,45,
    52,43,67)がスクリーン(43)自体として構成されてい
    るか、またはスクリーン(43)の層として構成されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記
    載の装置。
  9. 【請求項9】レーザー装置(10,20,30)の増幅帯域幅が
    100GHz、好ましくは300GHzよりも大きいことを特徴とす
    る請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
  10. 【請求項10】レーザー装置(10,20,30)が10psのパル
    ス幅より小さいパルス時間で作動させることが可能なパ
    ルスレーザーであることを特徴とする請求項1乃至9の
    いずれか1項に記載の装置。
  11. 【請求項11】赤色光、青色光及び緑色光の少なくとも
    いずれか1つを発生するレーザー装置(10,20,30)を備
    えることと、赤色光、青色光、及び緑色光の少なくとも
    1色が、 −レーザー装置(10,20,30)が赤色光を発生する場合、
    4ps、好ましくは2ps −レーザー装置(10,20,30)が緑色光を発生する場合、
    3ps、好ましくは1.5ps −レーザー装置(10,20,30)が青色光を発生する場合、
    2ps、好ましくは2ps より小さいパルス幅で作動させることの可能なパルスレ
    ーザーであることを特徴とする請求項10に記載の装置。
  12. 【請求項12】レーザー光線(12,22,32)の光子の局所
    的な量子力学的撹乱に基づき、特にレーザー装置(10,2
    0,30)の波長スペクトルのスペクトル線幅Δλを大きく
    することにより、コヒーレンス長を短縮するための第2
    の構造体(67,68,69,74)を備えることを特徴とする請
    求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 【請求項13】レーザー装置(10,20,30)が赤色光、緑
    色光及び青色光の少なくとも1つを発生することと、個
    々の色に対するスペクトル線幅Δλが、 −赤色光に対しΔλ>1.3nm −緑色光に対しΔλ>0.9nm −青色光に対しΔλ>0.75nm であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項
    に記載の装置。
  14. 【請求項14】第1の構造体(44,45,52,43,67)の少な
    くとも一部分がPTFE(Teflon)(テフロン)(商標名)
    にて形成されることを特徴とする請求項1から13のいず
    れか1項に記載の装置。
  15. 【請求項15】レーザー装置(10,20,30)と、イメージ
    プレゼンテーションのためのスクリーン(43)を備え、
    スクリーン(43)またはスクリーン(43)の1つの層が
    多数の散乱粒子(50)を有する装置において、 像を投射するためのレーザー装置(10,20,30)にて発生
    するレーザー光線(40)の伝播方向において決定され
    る、スクリーン(43)またはスクリーン(43)の1つの
    層の厚さdが、レーザー光線によりスクリーン(43)ま
    たはスクリーン(43)の1つの層の表面において形成さ
    れ、スペックル(52)として知られる干渉模様の光強度
    の最大部分からの平均距離bより計算され、〈tanθ〉
    が、レーザー光線(40)の粒子(67)における回折を特
    徴づける散乱角分布に対する散乱角θのタンジェントの
    平均値を表すものとして、式 に表されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか
    1項に記載の装置。
  16. 【請求項16】レーザー装置(10,20,30)から距離Sの
    位置にあるスクリーン(43)において、レーザー装置
    (10,20,30)にて発生するレーザー光線の中心波長λ、
    直径Dとして式D2>λSが成り立ち、スクリーン(43)
    またはスクリーン(43)の層の厚さがλS/D〈tanθ〉よ
    りも大きいことを特徴とする請求項15に記載の装置。
  17. 【請求項17】コントラストの大きさを表す厚さdの関
    数K(d)の値が0.20より小さく、好ましくは0.05以下
    であるような厚さdとして、レーザー光により均一に照
    射された層の厚さdを有するスクリーン(43)の表面の
    領域において、レーザー光の最大強度と最小強度にわた
    るコントラストの大きさを表す関数K(d)の値がK
    (d)=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)で表されるこ
    とを特徴とする請求項15または16に記載の装置。
  18. 【請求項18】fを0.20よりも小さい、好ましくは0.05
    以下の数値とし、かつImaxを、レーザー装置(10,20,3
    0)により均一に照射された厚さdcritのスクリーン(4
    3)上の領域内の最大光強度、Iminを同領域内の最小光
    強度としてK(d)=(Imax−Imin)/(Imax+Imin
    として表されるとき、厚さがdcrit・log(f)/logK(d
    crit)に等しいことを特徴とする請求項15乃至17のいず
    れか1項に記載の装置。
  19. 【請求項19】スクリーンがPTFEにて製造され、厚さd
    が0.1mm、好ましくは1mm、より好ましくは3mmより大き
    いことを特徴とする特徴とする請求項15乃至18のいずれ
    か1項に記載の装置。
  20. 【請求項20】レーザー装置(10,20,30)にて発生した
    レーザー光がコヒーレンス長Lを有し、厚さDが (0.04cmL)1/2±25% で示される値以上であることを特徴とする請求項15乃至
    19のいずれか1項に記載の装置。
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