JP3001610B2 - レトロウィルス・コア構造物の製造方法及びそれによって製造された粒子 - Google Patents

レトロウィルス・コア構造物の製造方法及びそれによって製造された粒子

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はレトロウィルス科に属するウィルスの開裂型
gagタンパク質から成る粒子の製造法、及びその製造法
により製造される粒子、その粒子を有効成分とするワク
チンに関し、さらに詳しくは、レトロウィルス科に属す
るウィルスのenv遺伝子を含まず少なくともgag遺伝子及
びpol遺伝子を組み込みんだウィルスベクターを感染さ
せた、またはレトロウィルス科に属するウィルスのenv
遺伝子を含まず少なくともgag遺伝子を組み込んだウィ
ルス・ベクターとレトロウィルス科に属するウィルスの
env遺伝子を含まず少なくともpol遺伝子を組み込んだウ
ィルスベクターを感染させた動物培養細胞を培養し、発
現させ、gagタンパク質前駆体を開裂させることにより
得られる開裂したgagタンパク質によって構成される粒
子を製造する方法、そのようにして製造される粒子、及
びその粒子を有効成分とするワクチンに関する。
(従来の技術) 最近、後天性免疫不全症候群(エイズ)の発症、蔓延
が世界的に蔓憂慮されており、その予防、治療対策が緊
急課題となっている。
数年前より、エイズや成人T細胞白血病などの原因ウ
ィルスと考えられる種々のレトロウィルスが単離、同定
され、その遺伝子の塩基配列が決定された。その結果、
これらは同類または同一であると報告されるようになっ
た。特にエイズの病原ウィルスとされたHILV−III、LA
V、ARVは同じウィルスであり、HIV(human immunodefic
iency virus)と統一して命名された。
レトロウィルス粒子は、多くのタンパク質で構成され
ており、外皮糖タンパク質(envタンパク質と称し、HIV
−Iの場合、前駆体であるenv−gp160が開裂してgp12
0、及びgp41の2種のenvタンパク質となる)、逆転写酵
素(HIV−Iの場合、p65、及びp51がある)、核タンパ
ク質(gagタンパク質と称し、HIV−Iの場合、前駆体で
あるgag−p55が開裂してp17、p24、及びp15の3種のgag
タンパク質となる。なお、gag−p55のアミノ酸配列で
は、p17相当のアミノ酸配列、p24相当のアミノ酸配列、
p15相当のアミノ酸配列がこの順番で連続している)な
どと命名されている。また、HIVに独特なものと言われ
るtat、vif、rev、nefなどの調節遺伝子産物が知られて
いるが、vif産物以外はHIV粒子中には存在しない。
envタンパク質であるgp120は感染の際にウィルス粒子
を細胞膜に固定化する機能を有し、gp41はウィルス遺伝
子の細胞内への侵入させる機能を有する。gagタンパク
質であるp24はコアタンパク質の主成分であり、p17はマ
トリックスタンパク質であると考えられている。逆転写
酵素はpol遺伝子にコードされている。pol遺伝子は他に
もp10(プロテアーゼタンパク質)、p31(エンドヌクレ
アーゼであり、インテグラーゼ活性を有するとも言われ
る)をコードし、これらpolにコードされているウィル
ス酵素群をpolタンパク質と呼ぶ。vifはp23(ウィルス
粒子の構築に関与していると考えられている)をコード
している。
効果的なエイズワクチンを得ようとする場合には、ウ
ィルスを中和し得る抗体を誘導するのに適当な抗原を含
んでいることが必要である。そのような抗原としてenv
タンパク質、特に感染能力に関係するとされるgp120
(セル(Cell)、53、483、(1988))がその最有力候
補として選ばれ、この抗原タンパク質をコードする遺伝
子を大腸菌に組み換える遺伝子操作技術により産生する
研究(例えば、サイエンス(Science)、228、93−96、
(1985))などが既に行われている。
しかし、種々の患者や感染者から分離されたHIVのゲ
ノム塩基配列の解析結果より、HIVのenv遺伝子は極めて
変異が激しいことが明かとなり(サイエンティフィック
・アメリカン(Scientific American)、253、84−93、
(1985))、この部位を利用する手法では全てのHIVに
対応できない可能性がある。
これに対し、ウィルス粒子の骨組みとなるgagタンパ
ク質をコードする遺伝子や逆転写酵素等をコードしてい
るpol遺伝子は変異の起こる確率が低い可能性があり、
それらの遺伝子産物を抗原とするワクチンは有利である
と考えられ、逆転写酵素を大腸菌に組み換える遺伝子操
作によって産生する研究(例えば、サイエンス(Scienc
e)、236、305−308、(1987))、gag−p55やp24など
を組み換え多核体ウィルスの系で産生する研究(例え
ば、ヴィロロジー(Virology)、158、248−250、(198
7))、p17の抗原決定部位に特異的に結合する抗体と結
合するポリペプチドを合成する研究(特開昭63−27498
号)、p17の単クローン抗体がエイズの中和活性を有す
るという報告(ジャーナル・オブ・ヴィロロジー(J.Vi
rol.)、63、267−272、(1989))なども行われてい
る。また、発明者らも、1987年12月、エイズ研究会学術
集会でgag遺伝子及びpol遺伝子を組み込んだワクチニア
ウィルスについて発表した。
しかし、レトロウィルスのgag遺伝子全体の組み換え
によって、gag−p55等の非開裂型gagタンパク質の発現
は確認されていたが、その場合、pol遺伝子の組み換え
の有無によらず、開裂型gagタンパク質の発現は確認さ
れていなかった。
また、gp160及びgp120を含まないHIVを含まない非感
染性レトロウィルス粒子が知られていた(WO88/09670)
が、それはレトロウィルスを処理して得るものであっ
て、遺伝子組み換えを利用してレトロウィルスを形成さ
せず、envタンパク質を含まないレトロウィルス・コア
構造物が製造できることは知られていなかった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らは、鋭意研究の結果、ウィルス・ベクター
を感染させた細胞中で、レトロウィルスのenvタンパク
質を発現させずに、gagタンパク質、及びpolタンパク質
を発現させることによって、開裂型のgagタンパク質が
発現し、その開列型gagタンパク質により構成される。
感染性を持たない、レトロウィルス粒子の構造の一部と
同一の抗原性を有するレトロウィルスのコア構造物粒子
が得られることを見いだし、本発明を完成するに到っ
た。
(課題を解決するための手段) 本発明においてウィルス・ベクターに組み込まれる遺
伝子はレトロウィルス属に属するウィルス由来のもので
ある。レトロウィルス属に属するウィルスは特に限定さ
れないが、具体的にはオンコウィルス亜科に属するウィ
ルス、レンチウィルス亜科に属するウィルスなどが挙げ
られ、さらに具体的にはオンコウィルス亜科に属するHT
LV−I、HTLV−IIなど、レンチウィルス亜科に属するHI
V−I、HIV−IIなどが挙げられる。
本発明においてenvタンパク質とは、レトロウィルス
の感染、病原性を司るenvタンパク質及びその変異物や
改変物をいい、感染への影響力、病原性を失ったenvタ
ンパク質の改変物等を意味しない。本発明においてenv
遺伝子を含まないとは、envタンパク質をコードしてい
る遺伝子を発現し得る形で含まないことを意味し、レト
ロウィルスの感染、病原性に関係のないenv遺伝子由来
の遺伝子(env遺伝子の一部やenv遺伝子の改変物等)を
含んでいても構わない。WO88/09670で開示されたgp160
及びgp120を含まないレトロウィルス粒子はgp120がない
ため内包する遺伝子が細胞内に取り込まれる可能性が少
ないが、万が一、粒子が内包する遺伝子が細胞内に取り
込まれた場合、レトロウィルスの全遺伝子を有している
ため、レトロウィルスを構築してしまう危険性がある
が、本発明の粒子はenv遺伝子を含んでいないので、そ
のような危険性はない。しかし、本発明においても、en
v遺伝子の改変物を含んでいる場合、変異などにより病
原性を回復する可能性があることから、env遺伝子の改
変物も含んでいないことが好ましい。
本発明において、ウィルス・ベクターに組み込まれる
レトロウィルスのcDNAは、ウィルス・ベクターを感染さ
せる動物培養細胞において、gagタンパク質、及び/ま
たはpolタンパク質が発現でき、env遺伝子を含まないも
のであれば、特に限定されない。例えば、HIV−Iのgag
遺伝子及びpol遺伝子をコードし、env遺伝子を含まない
cDNAは、pNL43(ジャーナル・オブ・ヴィロロジー(J.V
irol.)、59、2、284、(1986))などのように、エイ
ズ患者の染色体にプロウィルスの形で組み込まれたHIV
−Iを一旦λファージなどを用いてクローニングし、そ
れを用いてHIV−Iの全cDNAを含むプラスミドを構築す
るか、あるいは、患者より分離したHIV−IのRNAゲノム
を逆転写してcDNAに変換し、その後プラスミドに移して
HIV−Iの全cDNAを含むプラスミドを構築し、得られた
プラスミドを適当な制限酵素で切断し、gagタンパク
質、pol遺伝子の両方のコード領域を含むDNA断片を調製
することによって得られる。
本発明に用いるウィルス・ベクターも動物細胞に感染
し、gag遺伝子、及びpol遺伝子を発現できるものであれ
ば、特に限定されない。例えば、ワクチニア・ウィル
ス、アビポックス・ウィルス、バキュロ・ウィルスなど
があげられる。
本発明に用いるgag遺伝子、及び/またはpol遺伝子を
組み込んだウィルス・ベクターの構築方法も、特に限定
されない。例えば、ウィルス・ベクターとしてワクチニ
ア・ウィルスを用いる場合、組み込む遺伝子を日本脳炎
ウィルスの表面抗原蛋白質をコードする遺伝子からレト
ロウィルスのgag遺伝子、及び/またはpol遺伝子に代え
ること、用いるワクチニア・ウィルスが必ずしも好まし
い条件を満たす必要の無いこと以外は特開平1−74982
号に記載された方法により構築することができる。
次いで、構築されたgag遺伝子及びpol遺伝子をコード
するcDNA断片が組み込まれたウィルス・ベクターを、ま
たはgag遺伝子をコードするcDNA断片が組み込まれたウ
ィルス・ベクターとpol遺伝子をコードするcDNA断片が
組み込まれたウィルス・ベクターを、動物培養細胞に感
染させ、その培養上清中に開裂型のgagタンパク質、及
びpolタンパク質を発現させる。
本発明で用いる動物培養細胞はウィルス・ベクターが
増殖可能なものであればよく、その具体例として、ウィ
ルス・ベクターがワクチニア・ウィルスである場合は、
例えばTK-143(ヒト骨肉腫由来)、FL(ヒト羊膜由
来)、Hela(ヒト子宮頚部癌由来)、KB(ヒト鼻咽喉癌
由来)、RK13(ウサギ腎由来)、CV−1(サル腎由
来)、BSC−1(サル腎由来)、L929(マウス結合組織
由来)、CE(ニワトリ胚)細胞、DEF(ニワトリ胎児繊
維芽細胞)、SW480(ヒト結腸ガン由来)などが例示さ
れる。ウィルス・ベクターがアビポックス・ウィルスで
ある場合は、本発明で用いる動物培養細胞としては鶏胚
用繊維芽細胞などの鶏由来細胞などが例示されるが、発
育鶏卵漿尿膜なども含む。
しかし、一般的な培養条件においては、用いる細胞に
よっては開裂型gagタンパク質の発現量が低く、例えばC
V−1にHIV−Iの遺伝子を組み込んだワクチニア・ウィ
ルスを感染させた場合には、開裂型gagタンパク質はほ
とんど発現が認められない。開裂型gagタンパク質の発
現量が多いウィルス・ベクターと動物培養細胞の組み合
せが好ましく、そのような例としてはHIV−Iの遺伝子
を組み込んだワクチニアウィルスをSW480に感染させる
場合がある。
ここで発現されるgagタンパク質の開裂はp10などプロ
テアーゼ活性を有するpolタンパク質によるものと考え
られる。
培養上清からの開裂型gagタンパク質の精製は特に限
定されない。例えば、常法(サイエンス(Science)、2
24、497−500、(1984))に従って、上清をショ糖、あ
るいは酒石酸カリウム密度勾配遠心を行い、さらにセシ
ウムクロライド沈降平衡遠心を行えばよい。開裂性gag
タンパク質は粒子を形成して、回収される。
本発明の開裂型gagタンパク質により構成される粒子
は、例えば、レトロウィルスがHIV−Iで、比重により
分画した場合、比重がHIV−I粒子と同じ約1.15のフラ
クションに認められる。
精製の各段階においてどのフラクション中に粒子が存
在するかの確認の方法は特に限定されない。例えば、ga
gタンパク質に対する抗体を使う方法や逆転写酵素活性
を測定する方法がある。本発明の開裂型gagタンパク質
により構成される粒子は逆転写酵素を内包していても内
包していなくてもかまわないが、通常、少なくとも一部
は逆転写酵素を内包する。従って、逆転写酵素活性を測
定すれば、本発明の粒子を含むフラクションは判別でき
る。
逆転写酵素活性の測定は常法に従えばよい。例えば、
微生物学実習提要(東京大学医科学研究所学友会編)の
記述に準じて組み換えウィルス感染細胞上清をpoly−A
を鋳型、oligo−dTをプライマーとして、32P−dTTPの酸
不溶性画分への取り込みを測定すればよい。
本発明の粒子は、ウィルス・ベクターを感染させた動
物培養細胞の生体膜由来の脂質二重膜と考えられるエン
ベロープ様のものを伴っている。この粒子は、脂質二重
膜を有したままでも抗原として機能するが、脂質二重膜
があることが好ましくない場合は、タンパク質が失活し
ない条件下でのエーテル等の有機溶媒処理や、凍結融解
処理により破砕し、除去することができる。
この粒子は細胞への感染を司るenvタンパク質及びそ
の遺伝子も含まないので、病原性を示さない。その他の
遺伝子は含んでいても含んでいなくても構わない。同様
に、開裂型gagタンパク質によりその構造が形成されて
いれば、envタンパク質以外のタンパク質を含んでいて
も含んでいなくても構わない。また、エンベロープ様の
脂質二重膜の有無を問わない。この粒子は抗原性を有
し、さらにその抗原性はenvタンパク質に比べて変異が
少ないと考えられるgagタンパク質、または内包されて
いる場合にはpolタンパク質およびgagタンパク質に由来
するものである。さらに、自然界のウィルス粒子の一部
と同一または類似の構造を有していることから、gagタ
ンパク質、polタンパク質、あるいはその単なる混合物
以上の抗原性も期待できる。
レトロウィルスはエイズ、成人T細胞白血病、癌、リ
ューマチ等の多くの難病の病原ウィルスであると確認、
または推定されており、レトロウィルスが原因で起こる
病気の多くは効果のあるワクチンは知られていなかった
が、本発明のレトロウィルスのコアと同一または類似の
構造を有している粒子は優れた効果が期待できる。
(発明の効果) かくして本発明によれば、レトロウィルス由来のgag
タンパク質をコードするcDNA及びpolタンパク質をコー
ドするcDNAをウィルスの増殖に非必須なゲノム領域に組
み込んだウィルス・ベクターを感染させた細胞を培養
し、開裂型のgagタンパク質により構成され、envタンパ
ク質及びenv遺伝子を含まないレトロウィルスのコア構
造物が得られる。この構造物は、レトロウィルス粒子の
構造の一部と同一の構造を持つが感染性を持たないこと
から、これを有効成分とすることにより、有効なレトロ
ウィルス・ワクチンが得られることが期待できる。
(実施例) 以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例1 (1)組み換えベクターpUHKの作製(第1図参照) pUC9(ファルマシア社製)をEcoR I、及びPst Iで消
化後、ポリメラーゼで処理し、切断端を平滑末端とし、
連結し、EcoR I部位の欠損したpUC9を作製した。EcoR I
部位欠損pUC9をHind IIIで切断後、ワクチニアウィルス
TK遺伝子を含むワクチニアウィルスWR株のHind III J断
片に連結し、組み換えベクターpUHKを得た。
(2)組み換えベクターpNZ68K2の作製(第2図参照) ワクチニアウィルスWR株の7.5Kプロモーター(モスら
(Moss et.al)、セル(Cell)、125、805−813、(198
1))をpUC19(ファルマシア社製)のHinc II部位に挿
入した後、Hind IIIとEcoR Iで順次切断して、7.5Kプロ
モーターの前後にポリリンカー部位を有するDNA断片
(約350bp)を得た。
このDNA断片のS1ヌクレアーゼ処理したもの、及び
(1)で得たプラスミドpUHKのEcoR I消化物をポリメラ
ーゼ処理したものを連結し、得られた組み換えプラスミ
ドをpNZ68K2と命名した。
(3)組み換えプラスミドW−gagの作製(第3図参
照) HIV−Iの全cDNAを含むpNL43をBgl IIとEcoR Iで消化
後、低融点アガロース電気泳動で約5.1kbpの断片を分離
し、フェノール抽出によりその断片を回収した。
この断片中には、第3図に示すように、gag遺伝子、
及びpol遺伝子領域が含まれている。
次に、(2)で得たpNZ68K2をBamH IとEcoR Iで消化
し、先に調製したgag遺伝子、及びpol遺伝子を含むDNA
断片とライゲーションして組み換えプラスミドW−gag
を得た。
(4)組み換えワクチニアウィルスの作出(第3図参
照) 25cm2のカルチャーボトルに培養されたCV−1細胞に
ワクチニアウィルスWR株を0.1p.f.u./細胞接種し、45分
後前記組み換えプラスミドW−gagを2.2mlの滅菌水で溶
かし、樋高ら(蛋白質・核酸・酵素、27、340、(198
5))の方法によって、DNA−リン酸カルシウム共沈物を
つくり、その0.5mlを感染CV−1細胞上に滴下した。30
分間、37℃、5%CO2インキュベーターに静置し、5%
牛胎児血清を含むEagle MEM培地4.5mlを加えた。その3
時間後培養液を交換し、48時間後、培養細胞ごと3度凍
結融解し、30秒間超音波処理した。
組み換え体のgag遺伝子、及びpol遺伝子の揮入を確認
するため、6cmのペトリ皿に培養されたTK陰性(TK-)14
3細胞に上記プラーク形成ウィルスを接種し、45分後、
1%寒天・12%牛胎児血清・25μg/ml BUdtR加Eagle ME
M培地を積層し、3日間培養後、感染細胞を0.01%ニュ
ートラル・レッドで染色した。形成されたプラークをパ
スツールピペットで単離し、Eagle MEM培地中に希釈す
る。単離したプラークにつき、再度同様の操作を繰り返
し、プラークを純化した。純化したプラークより得られ
たウィルスを増殖させ、増殖ウィルスよりDNAを調製
し、gag遺伝子、及びpol遺伝子をコードするcDNAをプロ
ーブとするドッドブロットハイブリダイゼーションによ
り、得られた組み換えワクチニアウィルスがHIV−I由
来のgag遺伝子、及びpol遺伝子をコードするDNAをゲノ
ム内に持つ組み換えウィルスであることを確認し、V−
20−1−8と命名した。
(6)組み換え体の細胞上清での発現 組織培養用9cmディッシュに培養したSW480細胞にm.o.
i.10〜20のV−20−1−8を接種し、37℃、1時間感染
後、ウィルス液を抜取り、細胞をEgale MEMで洗浄し、
5%牛胎児血清加Eagle MEMを加えた。16時間後、細胞
上清を回収し、10mMトリス・塩酸(pH7.4)−0.1MNaCl
−1mMEDTA溶液で作製した20〜60%の酒石酸カリウムの
密度勾配上に重層し、ローターSW47(ベックマン製)で
35,000rpm、16時間遠心した。遠心後、各フラクション
に分けた。
50mM Tris−HCl(pH8.0)、10mMジチオスレイトー
ル、75mM KCl、5mM MgCl2、10μg/ml poly−A、5μg/
ml oligo−dT、0.05%NP40を含む反応液5mlに[α−
32P]−dTTP(400Ci/mmol、10mCi/ml)を5〜10μ加
えた。この反応液を、96穴U字型プレートにフラクショ
ンと対称の数だけ分注しておき、そこへ各フラクション
あるいは対照用10mMトリス・塩酸(pH7.4)−0.1MNaCl
−1mMDTA溶液10ml加え、37℃で1時間反応させた。反応
中に、ニトロセルロースフィルターに鉛筆で2cm間隔の
碁盤の目を書いておき、反応終了後、各フラクション及
び対照の反応液10μをニトロセルロースフイルター上
の各区画にスポットした。このフィルターを風乾により
完全に乾燥させた後、5%トリクロロ酢酸−5%ピロリ
ン酸ナトリウム液中で15分間振盪しながら洗浄し、未反
応の放射性前駆体を除去した。続いて5%トリクロロ酢
酸中で5分、そして50%エタノール中で5分洗浄した。
乾燥後、基盤の目にそって各区画を切り放し、シンチレ
ーションバイアルに入れて、トルエンシンチレーター中
で液体シンチレーションカウンターにより取り込みを測
定した。対照の3倍以上の取り込みを陽性とし、逆転写
酵素活性があると判断した。
次いで、逆転写酵素活性が認められたフラクションを
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分画し、ニト
ロセルロースフィルターにブロッティングする(アナリ
ディカル・バイオケミストリイ(Anal.Biochem.)、11
2、195−203、1981))。検出法として125Iラベルプロ
ティンA、抗p24モノクローナル抗体(Japanese Journa
l of Cancer Reserch、78、235−241、(1987))を利
用するいわゆるウエスタンブロッティング法によって、
開裂型gagタンパク質の発現が確認され、V−20−1−
8感染SW480細胞はその上清に分子量24,000ダルトンの
開裂型gagタンパク質p24を産生していることが判明し
た。gag−p55の構造から考えて、gag−p55の中央部分の
アミノ酸配列に相当するp24が産生されていることか
ら、gag−p55の両端のアミノ酸配列に相当するp17、p15
も産生されていると考えられる。
逆転写酵素活性の検出される比重約1.15の分画を、さ
らにセシウムクロライド沈降平衡遠心により精製し、逆
転写酵素活性の検出される比重約1.15の分画にp24が確
認された。
いわゆるネガティブ染色法により、上記のp24が確認
された分画を電子顕微鏡により観察するとワクチニアウ
ィルスとは異なる直径約110〜150nmの球形の粒子が認め
られた。
【図面の簡単な説明】
第1図はプラスミドpUHK、第2図はプラスミドpNZ68K
2、第3図はプラスミドW−gagの構築手順を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−124091(JP,A) Journal of Virolo gy,Vol.63,No.3,P.1451 −1454(MAR1989)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともレトロウィルスに属するウィル
    スのenv遺伝子を含まずレトロウィルスに属するウィル
    スのgag遺伝子及びpol遺伝子を組み込んだワクチニア・
    ウィルスを感染させた動物細胞を培養し、その培養上清
    より単離することを特徴とする (1)比重1.15の、 (2)envタンパク質を含まない、 (3)逆転写酵素活性のある レトロウィルス・コア構造物粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】レトロウィルスに属するウィルスがHIV−
    I、HIV−II、HTLV−I、またはHTLV−IIである請求項
    1記載のレトロウィルス・コア構造物粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のレトロウィルス・
    コア構造物粒子の製造方法により製造されたレトロウィ
    ルス・コア構造物粒子。
JP2-138474A 1989-05-30 1990-05-30 レトロウィルス・コア構造物の製造方法及びそれによって製造された粒子 Expired - Lifetime JP3001610B2 (ja)

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JP13686289 1989-05-30
JP1-136862 1989-05-30

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JPH0372874A JPH0372874A (ja) 1991-03-28
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Journal of Virology,Vol.63,No.3,P.1451−1454(MAR1989)

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