JP3001541B1 - プレアロイ粉末及びそれを用いた焼結Ti合金の製造方法 - Google Patents

プレアロイ粉末及びそれを用いた焼結Ti合金の製造方法

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JP3001541B1 JP10308469A JP30846998A JP3001541B1 JP 3001541 B1 JP3001541 B1 JP 3001541B1 JP 10308469 A JP10308469 A JP 10308469A JP 30846998 A JP30846998 A JP 30846998A JP 3001541 B1 JP3001541 B1 JP 3001541B1
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Abstract

【要約】 【課題】 焼結Ti合金のプレアロイ粉末として使用し
た場合に、高性能の焼結体を安定的に製造することに寄
与し、また、酸化に対する安定性にも優れたプレアロイ
粉末と、それを用いた焼結Ti合金の製造方法とを提供
する。 【解決手段】 Ti粉末12に対し、Alを主体とする
プレアロイ粉末13を所定の比率にて配合することによ
り原料粉末15を調整し、その原料粉末15を所期の形
状に成形後これを焼結する。プレアロイ粉末13中の酸
素含有量を1.2重量%以下とすることで、緻密で高強
度の焼結Ti合金を得ることができる。また、プレアロ
イ粉末13に、金属セッケン及び/又は有機酸のLi塩
を主体とするセッケン成分を、炭素当量にて0.1〜1
重量%含有させることにより、プレアロイ粉末13の酸
化に対する安定性を飛躍的に向上させることができ、ひ
いてはプレアロイ粉末13の酸素量増加が抑制されて高
性能の焼結Ti合金をさらに安定的に製造することが可
能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプレアロイ粉末、特
にTi系焼結体を製造する際の、その合金成分源として
使用されるプレアロイ粉末と、それを用いた焼結Ti合
金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Ti部品は軽量かつ高強度で耐食性に優
れる特性を活かし、機械・構造用部品をはじめとして、
さまざまな分野で広く使用されている。しかしながら、
純Tiは強度がそれほど高くないため、合金元素を配合
して機械的性質を改善したTi合金の形で使用されるこ
とが多い。そのような合金元素の代表的なものにAlが
ある。AlはTiに対して大きな固溶度を有して固溶強
化能が高く、しかも合金の高温強度及び耐クリープ性を
向上させるので、Ti系実用合金のほとんどのものに添
加されている。代表的なものには、例えばTi−6Al
−4V合金等がある。
【0003】一方、Tiは常温での加工性が悪く、切削
加工による部品製造は材料歩留まりが低い欠点がある。
そこで、より歩留まりの高い方法として、Ti金属粉末
を所定の形状に成形後これを焼結することによりTi部
品を得る、いわゆる粉末冶金法の適用が図られている。
ここで、Ti合金の焼結体を製造する場合、原料粉末と
して合金粉末を用いることは、合金溶解工程と粉砕工程
とが新たに必要になるため不経済である。そのため、T
i粉末に対し合金成分元素の粉末を配合して、焼結の段
階で合金化する手法が多く採用されている。
【0004】ここで、Alを合金元素として配合する場
合、Alの単体粉末の形で配合すると、Tiの融点がA
lよりもかなり高いので、焼結時にAlが先に溶解して
しまい、均質な合金を得ることができなくなる。そのた
め、Alは、他の合金元素と予め合金化した、いわゆる
プレアロイ粉末の形で配合されることが多い。例えば、
Ti−6Al−4V合金部品を焼結により製造する場合
は、Al−40重量%V合金粉末がプレアロイ粉末とし
て使用される。
【0005】ところで、焼結Ti合金部品は材料歩留ま
りが高い半面、原料粉末中の不純物濃度レベルにより機
械的性質がばらつきやすい欠点がある。特に、粉末中の
酸素含有量が高くなると、焼結体の緻密化が妨げられて
強度が大幅に低下する問題がある。この場合、原料粉末
中の酸素量が増加しないようにするには、粉末が大気に
長時間さらされることがないよう、工程管理を徹底する
ことの他に、粉末自体の酸化に対する安定性を改善する
ことも重要なポイントである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、原料粉
末中の酸素濃度を単に制御しても、得られる焼結Ti合
金の機械的性質が必ずしも安定しない場合がある。例え
ば、同じ酸素濃度であっても、ある場合には比較的強度
の高い焼結体が得られる一方、別の場合には強度が全く
不足してしまうといったことが実際に起こりうるのであ
る。そして、本発明者らの検討によれば、この傾向は、
Ti粉末にプレアロイ粉末を配合して焼結を行ったもの
の場合に特に顕著であることがわかった。
【0007】また、Ti粉末とAlを主体とするプレア
ロイ粉末とを使用する場合、その酸化安定性を改善する
具体的な方法として、例えば特開平1−198401号
公報に、Ti粉末粒子とプレアロイ粉末粒子(異種金属
粒子)とを有機バインダーでコーティングし、表面酸化
を防止する方法が開示されている。ここでは、有機バイ
ンダーとして、例えば、パラフィン系、芳香族炭化水素
系、アルコール系、カルボン酸系の低分子化合物や、各
種ワックス類が使用されているのであるが、プレアロイ
粉末の酸化安定性改善効果は必ずしも十分ではない。
【0008】本発明の課題は、焼結Ti合金のプレアロ
イ粉末として使用した場合に、高性能の焼結体を安定的
に製造することに寄与し、また、酸化に対する安定性に
も優れたプレアロイ粉末と、それを用いた焼結Ti合金
の製造方法とを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するために、本発明のプレアロイ粉末の第一の構
成は、Al及びMgの少なくともいずれかを主成分とす
る合金にて構成され、金属セッケン及び/又は有機酸の
Li塩を主体とするセッケン成分を炭素当量にて0.1
〜1.2重量%含有し、その酸素含有量が1.2重量%
以下であることを特徴とする。
【0010】また、第二の構成は、Al及びMgの少な
くともいずれかを主成分とする合金にて構成され、金属
セッケン及び/又は有機酸のLi塩を主体とするセッケ
ン成分を炭素当量にて0.1〜1.2重量%含有し、か
つ500℃にて1時間加熱したときに、主にセッケン成
分の蒸発に由来する重量減少が0.3〜1.2重量%と
なることを特徴とする。
【0011】なお、「Al及びMgの少なくともいずれ
かを主成分とする」とは、AlとMgとの一方、又は両
方の合計が、重量含有量の最も高い合金構成成分となっ
ていることを意味する。また、合金は、AlとMgとの
一方のみを含有する合金であってもよい。
【0012】さらに、本発明のプレアロイ粉末の第三の
構成は、焼結Ti合金の合金添加元素成分源として、焼
結Ti合金の原料粉末中に添加して使用される焼結Ti
合金用プレアロイ粉末であって、金属セッケン及び/又
は有機酸のLi塩を主体とするセッケン成分を、炭素当
量にて0.1〜1.2重量%含有することを特徴とす
る。なお、この第三の構成においては、プレアロイ粉末
の主体はAlとMgとの少なくとも一方となっていても
よいし、耐酸化性が問題となる他の金属成分であっても
よい。
【0013】また、本発明の焼結Ti合金の製造方法
は、上記本発明のプレアロイ粉末をTi粉末に所定量配
合して、これを所期の形状に成形後焼結することを特徴
とする。
【0014】上記本発明のプレアロイ粉末の各構成に共
通する特徴は、金属セッケン及び/又は有機酸のLi塩
を主体とするセッケン成分を、炭素当量にて0.1〜
1.2重量%含有させた点にある。なお、本発明におい
て金属セッケンは、アルカリ金属塩を除く有機酸の金属
塩を総称するものとして定義する。このようなセッケン
成分を表記範囲にて含有させることで、プレアロイ粉末
の酸化に対する安定性を飛躍的に向上させることがで
き、ひいてはプレアロイ粉末の酸素量増加が抑制されて
高性能の焼結Ti合金をさらに安定的に製造することが
可能となる。また、このようなプレアロイ粉末を使用す
る本発明焼結Ti合金の製造方法により、緻密で高強度
の焼結Ti合金を得ることができる。
【0015】特開平1−198401号公報には、前述
の通り、Ti粉末粒子とプレアロイ粉末粒子(異種金属
粒子)とを各種有機バインダーでコーティングする方法
が開示されている。しかしながら、そこで使用されてい
る有機バインダーはパラフィン系、芳香族炭化水素系、
アルコール系、カルボン酸系の低分子化合物や、各種ワ
ックス類であり、金属粉末粒子表面との間に顕著な吸着
作用を示す基を有さない分子からなるものばかりであ
る。従って、形成されるコーティング被膜は付着力が弱
く均一性に欠け、酸素の遮断能力も必ずしも十分なもの
にならないと考えられる。この場合、被膜厚さを大きく
して酸化安定性を改善することも考えられるが、有機バ
インダーの総添加量、ひいては焼結体への炭素分の残留
量が増大して、強度等の低下を招きやすくなる。
【0016】しかしながら、上記本発明で使用するセッ
ケン成分は、図2に示すように、金属イオンからなる親
水基20と有機酸分子を主体とする疎水基21とを有す
る界面活性剤成分であり、親水基20が金属粒子Pの表
面に吸着して、薄く均一で、しかも付着力に優れたコー
ティング被膜を形成することができる。その結果、少量
の添加でも酸素遮断能力に優れたコーティング被膜が実
現され、粉末の酸化安定性が改善されるものと推測され
る。なお、このコーティング被膜は、表面に疎水基が配
列していることから水素結合等による付着力を生じにく
く、成形時の離型性を改善する効果も有している。
【0017】本発明にて使用可能な金属セッケン成分
は、例えば有機酸成分が、ナフテン酸(ナフテート)、
ラウリン酸(ラウレート)、ステアリン酸(ステアレー
ト)、オレイン酸(オレエート)、2−エチルヘキサニ
ック酸(オクテート)、あまに油あるいは大豆油脂肪酸
(リノレート)、トール油(トーレート)、ロジン(レ
ジネート)等からなるものを例示できる。また、金属の
種類は下記のようなものを例示できる。 ・ナフテート系(Al、Ca、Co、Cu、Fe、P
b、Mn、Zn等) ・レジネート系(Al、Ca、Co、Cu、Fe、P
b、Mn、Zn等) ・リノレート系(Co、Fe、Pb、Mn等) ・ステアレート系(Ca、Zn等) ・オクテート系(Ca、Co、Fe、Pb、Mn、Zn
等) ・トーレート系(Ca、Co、Fe、Pb、Mn、Zn
等) また、有機酸のLi塩としてはステアリン酸Li等を例
示することができる。これらのうち、ステアリン酸Z
n、ステアリン酸Li及びステアリン酸Caを、前記し
た効果を有効に引き出す上で特に好適に使用することが
できる。
【0018】なお、セッケン成分は1種類のものを単独
で使用してもよいし、2種以上のものを組み合わせて用
いてもよい。また、プレアロイ粉末へのセッケン成分の
配合方法は、例えば粉砕後のプレアロイ粉末に添加し
て、各種公知の混合装置を用いて混合する方法と、プレ
アロイ粉末の粉砕時に添加して合金粉砕とセッケンの混
合とを同時に行う方法とがある。後者の場合は、セッケ
ンの混合工程を省略できる利点があるが、セッケンの炭
素成分と合金粉末との反応が過度に生じないよう、混合
条件等を適宜調整する必要がある。
【0019】なお、上記セッケン成分の配合量が炭素当
量にて0.1重量%未満になると、該セッケン成分配合
による粉末の酸化安定性改善効果が十分に期待できなく
なる。他方、1.2重量%を超えると、焼結体への炭素
分の残留量が増大して、強度等の低下を招きやすくな
る。なお、酸化が進行した場合と同様に、炭素分がプレ
アロイ粉末粒子の表面に濃化して焼結時の拡散を妨げ、
密度低下を招くといったようなことも考えられる。な
お、望ましくはセッケン成分の配合量は、炭素当量にて
0.1〜1.0重量%、さらに望ましくは0.5〜0.
8重量%とするのがよい。なお、原料中の不可避不純物
のように、セッケ成分に由来しない炭素成分が含有され
るとき、セッケン成分に由来するものも含めて、プレア
ロイ粉末中の炭素含有量は1.2重量%以下となってい
ることが、同様の理由により望ましいと言える。
【0020】なお、プレアロイ粉末中にセッケン成分を
含有させる場合、500℃にて1時間加熱したときに、
主にセッケン成分の蒸発に由来する重量減少が0.3〜
1.5重量%となるようにするのがよい。上記重量減少
が0.3重量%未満になると、該セッケン成分配合によ
る粉末の酸化安定性改善効果が十分に期待できなくな
る。他方、1.5重量%を超えると、焼結体への炭素分
の残留量が増大して、強度等の低下を招きやすくなる。
上記重量減少は、望ましくは0.3〜1.3重量%、よ
り望ましくは0.3〜0.7重量%とするのがよい。な
お、加熱時の重量減少が、主にセッケン成分の蒸発に由
来するか否かは、蒸発により発生するガス組成を分析し
たときに、前記した各種セッケン成分、あるいはセッケ
ンの疎水基となりうる前記した各種有機酸分子が主体と
なっているか否かを調べることにより特定することがで
きる。
【0021】なお、主成分元素をAl及び/又はMgと
する場合、プレアロイ粉末中の合金元素成分としては、
具体的にはV、Cr、Zr、Nb、Mo、W、Si及び
Snから選ばれる1種又は2種以上(以下、これらを総
称して従属添加元素成分という)とすることができ、そ
の含有量は、例えば0.2〜40重量%の範囲で調整で
きる。従属添加元素成分としてのV、Cr、Zr、N
b、Mo、W、Si又はSnは、いずれも公知の実用T
i合金に含有されているものである。個々の元素の役割
は、最終的に得られる焼結Ti合金の組成によっても異
なるが、いずれも公知の内容であるので詳細な説明は省
略する。上記従属添加元素成分は、概してAlやMgと
比較すれば耐酸化性に優れた成分であり、その含有量が
40重量%を超えると、合金自体の耐酸化性が良好とな
り、前記した本発明特有のコーティングを施す意味があ
まりなくなる場合がある。他方、0.2重量%未満で
は、焼結Ti合金中の従属添加元素成分の含有量が低く
なり過ぎて、添加効果が十分に得られなくなる場合があ
る。なお、本発明のプレアロイ粉末には、上記以外の従
属添加元素成分が含有されていてもよい。また、本発明
の焼結Ti合金の製造方法においては、Ti粉末に対
し、上記本発明のプレアロイ粉末に加え、成分及び組成
の異なる別の補助合金成分粉末を配合してもよい。
【0022】プレアロイ粉末中の酸素含有量は、1.2
重量%以下となっていることが望ましい。例えば、酸素
含有量が増大した場合に焼結Ti合金の強度が損なわれ
ることは周知であり、この不具合を防止するために原料
粉末中の酸素含有量を制御することも従来より行われて
きた。しかしながら、Ti粉末とプレアロイ粉末との配
合粉末(以下、単に配合粉末という)を焼結する手法に
おいては従来、配合粉末の平均的な酸素含有量が制御さ
れているに過ぎなかった。本発明者らが鋭意検討した結
果によれば、主体を占めるTi粉末の酸素濃度が低くと
も、プレアロイ粉末の酸素濃度がある値以上、具体的に
は1.2重量%以上に増大すると、全体的な酸素濃度が
それほど高くないにもかかわらず焼結体の緻密化が急速
に妨げられ、強度が損なわれることが判明した。そし
て、プレアロイ粉末の酸素含有量を1.2重量%以下に
制限することで、Ti粉末中の酸素量が多少ばらついて
も緻密で高強度の焼結Ti合金が得られるのである。
【0023】なお、従来、配合粉末を用いた焼結Ti合
金の機械的性質がばらつきやすかったのは、粉末全体の
平均的な酸素含有量を重視するあまり、プレアロイ粉末
の酸素濃度レベルの管理・制御が等閑になっていたこと
が原因ではないかと推測される。上記のように、プレア
ロイ粉末の酸素濃度を1.2重量%以下に管理すること
で、高性能でばらつきの少ない焼結Ti合金を安定に製
造できる。なお、プレアロイ粉末の酸素濃度レベルが高
くなった場合に、焼結体の緻密化が妨げられるのは、プ
レアロイ粉末粒子表面の酸化層が厚くなり、合金成分の
拡散が著しく妨げられることが、その一因として推測さ
れる。
【0024】次に、本発明のプレアロイ粉末は、各種公
知の方法にて製造できるが、例えば図1に示すように、
原料を配合・溶解した後、これをガスアトマイズ法等に
より噴霧して粒度45〜250μm(例えば180μm
程度)の粗粒粉10を作り、次いでこれをアトライタミ
ル、振動ミルあるいはボールミル等の各種方法にて微粉
砕することにより、最終的なプレアロイ粉末13とする
方法を例示できる。
【0025】本発明のプレアロイ粉末は、平均粒径を1
0〜45μmとするのがよい。平均粒径が10μm未満
になると粉末の比表面積が増大して酸化安定性が低下
し、酸素含有量を1.2重量%未満に維持するのが困難
となる場合がある。他方、プレス成形により成形体を作
り、これを焼結する場合は、平均粒径が10μm未満に
なると成形体の密度が上がりにくくなり、結果として焼
結時の収縮量が大きくなり過ぎて、焼結体の寸法精度が
確保しにくくなる場合がある。他方、平均粒径が45μ
mを超えると、焼結時にプレアロイ粉末とTi粉末との
間で均一な成分拡散を生じさせることが困難となり、成
分濃度不均一による強度低下等を生じる場合がある。上
記平均粒径は、望ましくは10〜20μm、さらに望ま
しくは13〜20μmとするのがよい。
【0026】また、本発明の焼結Ti合金の製造方法に
て使用されるTi粉末は、一般に純Ti粉末と通称され
るものを使用できる。ただし、C、N、O、Fe、Mg
等の不可避不純物元素を合計で0.5重量%程度まで含
有していてもよい。そして、平均粒径は35〜100μ
m程度のものを使用するのがよい。平均粒径が35μm
未満になると、成形体の密度が上がりにくくなり、結果
として焼結時の収縮量が大きくなり過ぎて、焼結体の寸
法精度が確保しにくくなる場合がある。他方、100μ
mを超えると、粉末の成形性が悪化するほか、プレアロ
イ粉末を均一分散させることが困難となり、成分濃度不
均一による強度低下等を生じる場合がある。
【0027】以下、本発明の焼結Ti合金の製法の一例
を以下に説明する。まず、図3に示すように、Ti粉末
12と、プレアロイ粉末13と、必要に応じて補助合金
元素粉末14とを所定量秤量して、ミキサ16(例えば
アトライタ)により混合し、原料粉末(配合粉末)15
を得る。次いでこれを所期の形状に成形して焼結するこ
とにより、焼結Ti合金部材を得る。成形方法として
は、例えば図4に示すように、ダイ101のキャビティ
103に原料粉末15を充填してパンチ102,102
で圧縮することにより成形体を得るダイプレス成形が採
用できる。なお、ゴム型に粉末を充填して液圧圧縮する
冷間静水圧プレス法(ラバープレス法を含む)を使用し
てもよい。
【0028】また、図5に示すように、原料粉末に樹脂
バインダを配合・混練してコンパウンドを作り、これを
加熱して流動状態としたコンパウンド15’を金型10
5のキャビティ106に射出して射出成形体を作り、こ
れを脱バインダした後焼結する金属射出成形法を用いて
もよい。さらに、これ以外にも、熱間静水圧プレス法、
押出成形法、ホットプレス法等を採用することができ
る。
【0029】
【実施例】本発明の効果を確認するために、下記の実験
を行った。 (実施例1)プレアロイ粉末として表1に示すものを以
下のようにして各種用意した。まず、原料を所定量配合
・溶解してこれをアルゴンガスを用いた公知のガスアト
マイズ法により噴霧して、平均粒径180μmの略球状
のアトマイズ粉末を作製した。原料として用いたのは、
Al金属(工業用純Al、純度99%)、V金属(純度
99.8%)、スポンジZr(工業用純Zr、純度>9
8%)、Sn金属(純度>99.8%)、Mo金属(純
度>99%)、Si(純度98.4%)である。続いて
このアトマイズ粉末をアトライタ粉砕することにより、
平均粒径14μmに微粉砕した。微粉砕後の粉末は、6
0℃、相対湿度90%RHの大気中に各種時間放置する
ことにより、酸素含有量を調査した。これを含め、プレ
アロイ粉末中の酸素量は、公知のガス分析法により同定
している。
【0030】他方、補助合金元素粉末としては、ホウ化
Mo(MoB:純度99%、平均粒径3μm)、ホウ素
単体(純度99.5%、平均粒径5μm)、フェロバナ
ジウム粉末(Fe−80V:純度96%、平均粒径25
μm)をそれぞれ用意した。また、Ti粉末としては、
スポンジTiを粉砕して得られる工業用純Ti粉末(純
度99%、平均粒径42μm)を用意した。なお、Ti
粉末の酸素含有量は0.1重量%である。
【0031】上記Ti粉末、プレアロイ粉末及び補助合
金元素粉末を、所期の焼結体組成が得られる比率にて配
合し、これをアトライタにて十分に混合して原料粉末と
した。そして、この原料粉末をダイプレス成形機を用い
てプレス成形することにより、後述する引張試験用試験
片の成形体を得た。次に、これを真空(10−4〜10
−5torr)中にて1200〜1300℃で2〜5h
r焼結することにより、各種組成の焼結体を得た。
【0032】得られた焼結体はアルキメデス法によりそ
の密度を測定するとともに、外面を研磨することによ
り、厚み5mm×幅5.7mm×平行部32mm×全長
96.5mmの引張試験片(粉体・粉末冶金協会標準2
−64)として、室温で引張試験を行い、破断強度を求
めた。以上の結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】すなわち、プレアロイ粉末として酸素量が
1.2重量%以下のものを用いることにより、焼結体密
度が向上し、強度も高くなっていることがわかる。
【0035】次に、プレアロイ粉末としてのAl−40
重量%V合金粉末を、上記したものと同様の方法にて調
製した。なお、粉末の平均粒径は14μmであり、酸素
含有量は0.90重量%であった。この粉末に対し、表
2に示す各種セッケン成分あるいは有機バインダとして
のアクラワックスを各種比率にて配合し、アトライタを
用いて混合した。混合後の粉末中の炭素量を、公知のガ
ス分析法により測定した。また、粉末10gを大気中に
て500℃で1時間加熱し、重量減少を測定した。な
お、加熱中に発生したガスをガスクロマトグラフィーに
より分析したところ、粉末の重量減少は大半が配合した
セッケン成分あるいは有機バインダの蒸発ないし分解に
基づくものであることがわかった。
【0036】次に、上記各粉末を60℃、相対湿度90
%RHの大気中に48時間放置し、放置前後の酸素量レ
ベル変化から酸素増加量を求めた。また、放置前の粉末
を実施例1と同様に成形・焼結して、焼結体の強度を測
定した。以上の結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】すなわち、セッケン成分を配合したものは
放置による酸素増加量が少なく、酸化に対する安定性に
優れていることがわかる。この場合、酸化抑制効果は、
セッケン成分の配合量が炭素含有量換算値(炭素当量)
にて0.1重量%以上にて特に顕著である。他方、炭素
含有量を1.2重量%以下とすることで、焼結体強度を
比較的良好な値に維持できることもわかる。
【0039】(実施例2)プレアロイ粉末としてのAl
−40重量%V合金粉末を、実施例1と同様の方法にて
調製した。ただし、アトライタミルによる粉砕時間を調
整することにより、粉末の平均粒径を8〜50μmの各
種値とした。これにTi粉末を、Ti−6Al−4Vの
合金組成が得られるように配合し、4ton/cm
圧力にてダイプレス成形して、断面径が20mmの円柱
状の成形体を得るとともに、各成形体の高さを測定し
た。次いで、これをアルゴン雰囲気(780torr)
中にて1300℃で2時間焼結することにより焼結体を
得た。この焼結体を表面研磨して試験片とし、これを用
い圧縮試験を行うとともに、その荷重−変位曲線から
0.2%耐力を読み取って強度を測定した。他方、各粉
末を60℃、相対湿度90%RHの大気中に48時間放
置し、放置前後の酸素量レベルを測定した。以上の結果
を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】すなわち、プレアロイ粉末の平均粒径を1
0μm以上とすることで酸化安定性が良好となることが
わかる。他方、平均粒径が45μmを超えたものは、成
形体の強度がやや低く、取り扱い時に欠け等が発生しや
すかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】プレアロイ粉末の粉砕による調製方法を示す概
念図。
【図2】セッケン成分の作用推測図。
【図3】プレアロイ粉末を用いた焼結Ti合金の製造工
程における、粉末の混合工程を示す説明図。
【図4】ダイプレス成形を用いた焼結Ti合金の製造工
程の説明図。
【図5】射出成形法を用いた焼結Ti合金の製造工程の
説明図。
【符号の説明】
12 Ti粉末 13 プレアロイ粉末
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 孝純 愛知県一宮市大字高田字北門37番地 (72)発明者 大河内 敬雄 愛知県名古屋市緑区姥子山三丁目418番 地 (72)発明者 相川 守貴 愛知県名古屋市千種区南ヶ丘1−10−62 −101 (56)参考文献 特開 平9−104902(JP,A) 特開 昭62−87237(JP,A) 特開 昭56−65901(JP,A) 特開 平4−154902(JP,A) 特開 平8−134635(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 1/00 - 7/08 C22C 1/04 C22C 14/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結Ti合金の合金成分源として使用さ
    れるプレアロイ粉末であって、Al及びMgの少なくと
    もいずれかを主成分とする合金にて構成され、金属セッ
    ケン及び/又は有機酸のLi塩を主体とするセッケン成
    分を炭素当量にて0.1〜1.2重量%含有し、酸素含
    有量が1.2重量%以下であり、かつ平均粒径が10〜
    45μmであることを特徴とするプレアロイ粉末。
  2. 【請求項2】 平均粒径が13〜20μmである請求項
    1記載のプレアロイ粉末。
  3. 【請求項3】 500℃にて1時間加熱したときに、主
    に前記セッケン成分の蒸発に由来する重量減少が0.3
    〜1.2重量%となる請求項1又は2に記載のプレアロ
    イ粉末。
  4. 【請求項4】 V、Cr、Zr、Nb、Mo、W、Si
    及びSnから選ばれる1種又は2種以上を0.2〜40
    重量%の範囲で含有する請求項1ないし3のいずれかに
    記載のプレアロイ粉末。
  5. 【請求項5】 前記セッケン成分は、ステアリン酸Z
    n、ステアリン酸Li及びステアリン酸Caから選ばれ
    る1種又は2種以上である請求項1ないし4のいずれか
    に記載のプレアロイ粉末。
  6. 【請求項6】 焼結Ti合金の合金成分源として使用さ
    れるプレアロイ粉末であって、Al及びMgの少なくと
    もいずれかを主成分とする合金にて構成され、金属セッ
    ケン及び/又は有機酸のLi塩を主体とするセッケン成
    分を炭素当量にて0.1〜1.2重量%含有し、かつ、
    酸素含有量が1.2重量%以下であり、平均粒径が10
    〜45μmであるプレアロイ粉末をTi粉末に所定量配
    合して、これを所期の形状に成形後焼結することを特徴
    とする焼結Ti合金の製造方法。
  7. 【請求項7】 Al及びMgの少なくともいずれかを主
    成分とする合金を10〜45μmの平均粒径となるよう
    に粉砕し、これに前記セッケン成分を添加した後混合す
    ることにより前記プレアロイ粉末を調製する請求項6記
    載の焼結Ti合金の製造方法。
  8. 【請求項8】 Al及びMgの少なくともいずれかを主
    成分とする合金を1 0〜45μmの平均粒径となるよう
    に粉砕する際に、これに前記セッケン成分を添加して、
    合金粉砕とセッケンの混合とを同時に行うことにより前
    記プレアロイ粉末を調製する請求項6記載の焼結Ti合
    金の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記プレアロイ粉末は、500℃にて1
    時間加熱したときに、主に前記セッケン成分の蒸発に由
    来する重量減少が0.3〜1.2重量%となるものであ
    る請求項6ないし8のいずれかに記載の焼結Ti合金の
    製造方法。
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