JP3001298U - 火葬炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】主燃焼室と、主燃焼室からの排出ガスの再燃焼
を行う再燃焼室とを並設した火葬炉に於いて、主燃焼室
の燃焼処理能力を高めて、再燃焼処理を軽減して排ガス
の完全な再燃焼を行う。 【構成】主燃焼室１２の前部天井１４を高くし、後部天
井１３との段差部に再燃焼室部３と連通する煙道部２を
形成すると共に、主燃焼室後壁に後部天井面に添って吹
き出す二次燃焼用空気供給部１９を設けてなり、二次空
気の吹き出しで主燃焼バーナー炎が燃焼室の奥まで達す
るようにし、且つ主燃焼室の容積増大部分（前部上方）
での二次燃焼を行う。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、再燃焼室を備えた火葬炉の構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

火葬炉は、その排煙の無臭化無煙化のために被火葬体の主燃焼を行った後の排 ガスを再度燃焼する再燃焼室を備えている。即ち被火葬体が収納される主燃焼室 には、気体燃料若しくは液体燃料を使用した燃焼用バーナーを配設して被火葬体 を燃やし、発生した未燃焼ガス並びに黒煙等は、再燃焼室の再燃バーナーで燃焼 させるものである。

【０００３】 具体的には例えば主燃焼室と前部と再燃焼室の後部とを接続する水平方向に設 けた煙道部を備えた装置（実公平１−３３９３６号公報，特開昭６４−６６１０ 号公報）、奥壁側に鉛直煙道部を備えた装置（特開平３−１００６号公報）、更 には前面に鉛直煙道部を設けている装置（特開平２−１９５１０８号公報）等が 知られている。

【０００４】 ところで被火葬体は可燃物と難燃物とを有しており、可燃物の急激な燃焼によ って主燃焼室から再燃焼を必要とする多量の排ガスが排出され、再燃焼室の処理 能力を越えると、排煙の無臭化無煙化が完全に実施できなくなるので、主燃焼室 での燃焼は再燃焼室での処理能力に制限され、火葬時間短縮の阻害原因となって いる。 勿論再燃焼室の能力を向上せしめると前記問題は解決するが、主燃焼室からの 再燃処理を必要とする排ガス量を軽減しても解決できる。 そこで従来多用されている手段としては、主燃焼室での二次空気による二次燃 焼を実施することで再燃処理の軽減を行うことが知られている。

【０００５】 更に主燃焼室の容積を増大させると被火葬体から発生する排ガスの主燃焼室内 の滞留時間が長くなり、それに伴って排ガスの燃焼（二次燃焼）が促進される。 主燃焼室の容積を増大させた火葬炉としては特開平３−１００６号公報並びに実 公平２３９３７号公報に開示されている。前記火葬炉は、主燃焼用バーナーと対 向する前壁又は主燃焼用バーナーを配設した後壁部に排煙路を設けると共に、排 煙路の入口に垂れ壁を設けたものである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

前記の従来装置のように主燃焼室の容積を増大させると、主燃焼室の処理能力 が増大し、再燃焼処理の負担が軽減されるが、単に主燃焼室を容積増大させたの では、火葬炉自体の増大となり好ましくない。更に垂れ壁による排煙路への排ガ ス導入は主燃焼室内の排ガスの流れが乱流となる虞があり、燃焼制御が煩雑であ る。 そこで本考案は、従前の水平煙道路を備えた火葬炉に於いて、炉全体を大きく すること無く主燃焼室の燃焼処理能力を高めた火葬炉を提案したものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る火葬炉は、後壁部に主燃焼用バーナを配設した主燃焼室と、主燃 焼室からの排出ガスの再燃焼を行う再燃用バーナを具備した再燃焼室とを並設し た火葬炉に於いて、主燃焼室の前部天井を高くし、後部天井との段差部に再燃焼 室と連通する煙道部を形成すると共に、主燃焼室後壁に後部天井面に添って吹き 出す二次燃焼用空気供給部を設けてなることを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】

主燃焼室での燃焼は、主燃焼バーナーによるもので、二次空気を後部天井に添 って吹き出して供給すると、主燃焼バーナーの炎が直ぐに煙道路に吸引されず、 主燃焼室の前部まで達し、排ガスは高い前部天井で折り返して煙道路に入るもの で、煙道路に侵入する直前の主燃焼室の前部天井近傍で、二次空気による排ガス の二次燃焼が行われ、主燃焼室の燃焼能力が向上する。次に排ガスは煙道路を通 過して再燃焼室で再燃用バーナーによる再燃が行われるものである。

【０００９】

【実施例】

次に本考案の実施例について説明する。 実施例に示した火葬炉は、内部に耐火煉瓦ａやセラミックスブロックｂ等で内 壁を形成した炉体である主燃焼室部１並びに再燃焼室部３から構成され、両室の 間に煙道路２を形成したものである。

【００１０】 主燃焼室部１は、前部に防火開閉扉１１を設けた主燃焼室１２を備え、主燃焼 室１２は、後壁から１ｍ未満の後部天井１３と、後部天井よりも高い前部天井１ ４を備え、側壁部分及び前部天井を熱反射能力に優れた耐熱セラミックスブロッ クｂ面で形成し、後部天井１３は、蓄熱能力の高い耐火煉瓦ａで形成してなり、 床面に棺Ａを載置する台車１５並びに台車用レール１６が敷設されると共に、底 面に台車１５の冷却兼用一次燃焼用空気供給部１７を設け、後壁に主燃焼用バー ナー１８と、後部天井１３面に添って吹き出す二次燃焼用空気供給ノズル１９を 設けてなるものである。

【００１１】 煙道部２は、主燃焼室部１の前部天井１４と後部天井１３との段差部分に内設 されたもので、前部天井１４の後端に煙道入口２１が開口し、後部天井１３の裏 面部分で煙道２２が構成され、後壁上部が開口して再燃室部３と連通させている 。 再燃焼室部３は、主燃焼室部１の直上に配置したもので、後壁面に再燃用バー ナー３１を配設すると共に、大きな排ガス通過孔３２を備えた仕切部３３で、後 部再燃焼室３４と前部再燃焼室３５とに仕切り、前部再燃焼室３５の側壁並びに 天井にはセラミックスブロックｂで形成し、前部天井に排煙路３６を連接してい るものである。

【００１２】 而して棺を載置した台車１５を主燃焼室１２に入れ、空気供給部１７から燃焼 用一次空気Ａとなる台車１５への冷却用空気並びに二次空気供給部１９からの二 次空気Ｂを、主燃焼室１２に供給した状態で主燃焼用バーナー１８並びに再燃バ ーナー３１に点火して燃焼を開始し、被火葬体の完全燃焼を行うものである。

【００１３】 主燃焼室１２での燃焼制御は、主燃焼バーナー１８の燃料供給量並びに一次空 気及び二次空気の供給制御に基づいて行われるもので、具体的には、燃焼開始時 に燃焼し易いものが一時的に燃焼して、多量の要処理排ガスが排出され、再燃焼 室部３での処理能力を越える場合があるので、一次空気量Ａを少なくして二次空 気量Ｂを多くする。そうすると燃焼開始時の可燃焼物の一時的な過剰燃焼を抑え ることができ、而も二次空気Ｂを後部天井１３に添って吹き出して供給するので 、前部天井１４近傍の容積増大部分で排ガスと二次空気Ｂとの接触による二次燃 焼がなされ、再燃焼室部３での排ガス処理を完全なものにできる（図４参照）。

【００１４】 更に燃焼が進行すると一時空気Ａの供給量を増やして難燃物の燃焼を行うもの で、二次空気Ｂは、主燃焼バーナー１８の炎が直ぐに煙道路に吸引されず、主燃 焼室１２の前部まで達する作用を行う（図５参照）。また主燃焼室１２の側壁部 分並びに前部天井１４に熱反射機能の優れたセラミックスブロックｂを採用して いるので、主燃焼室の昇温冷却が速やかになされ、後部天井１３に蓄熱作用の大 きい耐火煉瓦ａを採用することで、燃焼開始時の二次空気の温度上昇を制限して 可燃物燃焼である初期燃焼時の主燃焼室１２内の異常温度上昇を抑え、蓄熱後に は二次空気の温度上昇に寄与して主燃焼室１２内での二次燃焼に寄与するもので ある。

【００１５】

【考案の効果】

以上のように本考案は、再燃焼室を備えた火葬炉に於いて、主燃焼室の前部天 井を高くし、後部天井との段差部に再燃焼室と連通する煙道部を形成すると共に 、主燃焼室後壁に後部天井面に添って吹き出す二次燃焼用空気供給部を設けてな るもので、主燃焼室の前部と再燃焼室の後部を連通する煙道部を備えた火葬炉と 比較して、炉全体の容積を増大させることなく主燃焼室の容積を増大させること ができたもので、主燃焼室の燃焼処理能力を向上させ、また二次空気を後部天井 に添って吹き出して供給することで、主燃焼バーナーの炎が直ぐに煙道路に吸引 されず、主燃焼室の前部まで達するようにして被火葬体の完全焼却を実現すると 共に、燃焼室増大部分での二次空気による排ガスの二次燃焼を行い、再燃焼室で の燃焼処理負担を軽減して、排ガスの完全燃焼を実現したものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の火葬炉の簡便な側方断面図。

【図２】同炉体構成部材の説明の前後断面図。

【図３】同炉体構成部材の説明の前後断面図。

【図４】同燃焼状態（初期燃焼）の説明図。

【図５】同燃焼状態（主燃焼）の説明図。

【符号の説明】

１ 主燃焼室部 １３ 後部天井 １４ 前部天井 １８ 主燃焼用バーナー １９ 二次空気供給部 ２ 煙道部 ３ 再燃焼室部 ３１ 再燃バーナー

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 後壁部に主燃焼用バーナを配設した主燃
   焼室と、主燃焼室からの排出ガスの再燃焼を行う再燃用
   バーナを具備した再燃焼室とを並設した火葬炉に於い
   て、主燃焼室の前部天井を高くし、後部天井との段差部
   に再燃焼室と連通する煙道部を形成すると共に、主燃焼
   室後壁に後部天井面に添って吹き出す二次燃焼用空気供
   給部を設けてなることを特徴とする火葬炉。
2. 【請求項２】 請求項１記載の火葬炉に於いて、主燃焼
   室の後部天井を１ｍ未満としたことを特徴とする火葬
   炉。
3. 【請求項３】 請求項１又は２記載の火葬炉に於いて、
   主燃焼室の側壁部並びに前部天井部を熱反射機能を有す
   るセラミックス体で被覆し、煙道部を構成する後部天井
   を蓄熱部材で形成したことを特徴とする火葬炉。