JP2997497B2 - 磁気情報検出装置 - Google Patents

磁気情報検出装置

Info

Publication number
JP2997497B2
JP2997497B2 JP2073320A JP7332090A JP2997497B2 JP 2997497 B2 JP2997497 B2 JP 2997497B2 JP 2073320 A JP2073320 A JP 2073320A JP 7332090 A JP7332090 A JP 7332090A JP 2997497 B2 JP2997497 B2 JP 2997497B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
probe
cantilever
thin film
tip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2073320A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03274480A (ja
Inventor
幸雄 本多
純男 保坂
剛 長谷川
茂行 細木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2073320A priority Critical patent/JP2997497B2/ja
Publication of JPH03274480A publication Critical patent/JPH03274480A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2997497B2 publication Critical patent/JP2997497B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
  • Measuring Magnetic Variables (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Magnetic Means (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は,磁性探針と磁性体等の試料とを接近させた
時に発生する磁気力又はトンネル電流を利用して,試料
の表面形態あるいは磁気的性質の情報を得る走査型磁気
力顕微鏡,走査型トンネル顕微鏡あるいは原子間力顕微
鏡などの磁気情報検出装置に関する。
【従来の技術】
従来技術である走査型トンネル顕微鏡は,探針と試料
間に電圧を印加し,探針と試料との距離を接近したとき
に得られるトンネル電流および電界放射電流を利用して
試料の表面形態を調べる装置である。一方,走査型磁気
力顕微鏡は,探針として磁性体を用い,この磁性探針を
磁性試料に接近したときの磁気力を利用して試料の磁化
状態を調べる装置である。 従来,磁性探針と試料を接近して得られる磁気力を利
用した走査型磁気力顕微鏡における試料の磁気的情報の
取得方法については,ジャーナル オブ バキューム
サイエンス テクノロジー A6(1988年)第279頁から
第282頁,あるいはアプライド フィジックス レター
ズ 50巻(1987年)第1455頁から第1457頁において論じ
られている。
【発明が解決しようとする課題】
磁気力顕微鏡は,磁性試料表面の漏洩磁界と磁性探針
と相互作用によって生ずる磁気力を検出する装置であ
る。 上記従来技術で用いる磁性プローブは,カンチレバー
の表面全体に単に磁性材料を被覆して磁性プローブを構
成するか,もしくはNiやFeなどの磁性線の先端をL字型
に折り曲げた構成の磁性プローブを用いていた。単にカ
ンチレバーの表面に磁性材料を被覆して構成した磁性プ
ローブでは,磁性体の磁化容易軸が不規則に形成されて
おり試料と磁性プローブ間の磁気力感度が低い欠点があ
った。またNiやFeなどを用いた従来の磁性探針は,探針
材料の保磁力が80A/m以下と小さいために,磁性探針を
試料表面に接近したときに試料表面の漏洩磁界により探
針の磁化の向きが変化して高感度の磁気力の検出ができ
ない欠点があった。さらに同様の原因により試料と磁性
探針が充分に接近できないため,高分解能の磁区構造観
察ができない欠点があった。 また,従来技術では,探針と試料との間隙の変化によ
る誤差が入る為,測定した磁気力(表面形態情報を含
む)から表面形態情報を除去しても正確な磁気力が得ら
れないという欠点があった。 本発明の第1の目的は,試料表面に対して垂直もしく
は平行の漏洩磁界による磁気力を高感度で検出可能な磁
気情報検出装置を提供することにある。また第2の目的
は磁性探針表面の変質を防止し,試料と探針間の磁気力
とトンネル電流を再現性良く測定できる磁気情報検出装
置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、本発明において
は,先端が尖ったカンチレバーの先端部表面に磁性体薄
膜が結晶配向制御層が形成され,この層上に磁性体薄膜
が形成された磁性探針を用いる。 また,第2の目的を達成するために,上記磁性体薄膜
の表面に耐酸化性の保護膜を形成する。
【作用】
カンチレバー表面に形成する磁性体薄膜の磁化容易軸
は磁性薄膜を構成する結晶粒の成長方位により異なり,
磁化容易軸の向きを制御するために,カンチレバーの表
面に磁性体薄膜の結晶粒の成長方位を制御する下地層を
設け,この上に磁性体薄膜を真空蒸着法やスパッタリン
グ法で形成する。磁性体薄膜結晶粒の成長方位は下地層
の材料や蒸着粒子の入射方向を制御することによって任
意に変化でき,磁性体薄膜の磁化容易軸がカンチレバー
の面に対して0〜90度の範囲の特定の向きに配向させた
磁性探針が形成できる。磁性探針用の磁性材料はCo,Fe
を主成分とし,これにNi,Cr,Pt,Zr,C,Nなどを添加した
合金あるいは多層膜として用いることができる。また上
記磁性材料の磁化容易軸を制御するための下地層材料と
してはGe,Si,Tr,Cr,Cなどの多結晶膜や非晶質状膜,あ
るいはこれらの合金膜を用いる。 カンチレバーの面に対して垂直方向から平行の方向の
任意の一方向に磁化容易軸が揃った磁性薄膜を磁化容易
軸に沿って磁化してから,カンチレバーの先端を試料表
面に垂直に設置することにより,試料表面の漏洩磁界の
垂直あるいは平行な方向の成分を高感度で検出できる磁
性探針を作製できる。さらに,先端の曲率半径を100nm
以下に尖らせたカンチレバーを用いると,磁性探針の先
端曲率を容易に制御できる。カンチレバーの先端は,半
導体リングラフィ技術におけるエッチング条件などによ
り任意に加工できる。さらには,カンチレバー単体ある
いは磁性薄膜を形成したカンチレバーを,例えば収束イ
オンビーム(FIB)により先端部を加工することによ
り,任意の形状に加工できる。また磁性探針を薄膜化し
たので針金状の磁性探針より保持力が大きくなり,試料
面の漏洩磁界により磁性探針の磁化が変わることがなく
なるため,試料と磁性探針の間隔を充分に接近して測定
でき,高感度,高分解能の磁気力情報を得ることができ
る。この効果は,磁性探針薄膜材料として保磁力の大き
な材料を選ぶことにより,より大きくなる。この構成に
より,磁性探針と磁性試料の間に作用した磁気力により
すなわちカンチレバーに撓みが生じる。この撓みの量を
カンチレバーの後方に設けた変位検出手段(例えばトン
ネル電流,または光学的な方法,あるいは静電容量の変
化)で検出することにより,試料の磁気力情報が得られ
る。また同時に試料と磁性探針の間のトンネル電流を検
出することにより,試料の表面形態情報と,さらに正確
な磁気力情報を得ることができる。 同様の計測手段は,試料と探針の間の磁気力の他に,
音響,熱,光などによる試料と探針間の変位を検出する
走査型トンネル顕微鏡類似装置に適用できる。 また保護膜は,磁性探針の材料に比べて酸化力が小さ
いので,磁性探針の表面に酸化膜や窒化膜などの変質層
が形成されて,磁性探針の磁気的性質の変化を防止する
作用をする。 保護膜の材料として望ましい材料は,Pt,Pd,Au,Ru,Rh,
Cr,Cおよび,これらの内の少なくとも一元素を含む合金
である。保護膜の望ましい厚さは,100nm以下である。保
護膜の材料としては電気伝導性を有する材料が望まし
い。さらに望ましくは非磁性の材料がよい。
【実施例】
以下、実施例でもって本発明を説明する。 実施例 1 第1図により,本実施例を説明する。フォトプロセス
などにより同図(a)のごとく先端が鋭く尖ったカンチ
レバー1を作製した。カンチレバー1の材料としては,
剛性が高く比重の小さいものが良く,本実施例では,Si,
SiO2,Si3N4,W,Mo,ダイヤモンド状カーボン,あるいはス
テンレス鋼を用いて同様の構成のカンチレバー1を作製
したいずれも同様の効果を得た。カンチレバー1は支持
体2によりサポートする。カンチレバー1の先端部3は
鋭く尖った形態に加工した。先端部3の曲率は,例えば
フォトプロセスにおけるエッチング速度やエッチング液
を適切に選ぶことにより任意に変化できた。またフォト
プロセスの後イオンビームエッチングなどにより鋭く尖
った形状に加工した。カンチレバー1の先端部3の曲率
は100nm以下がサブミクロンオーダーの高分解能の磁気
情報を得るのに適していた。次に,カンチレバー1の先
端部3に磁性探針4を形成する(第1図(b))。磁性
探針4は磁性材料薄膜により構成した。この磁性材料薄
膜の磁化容易軸の向きを制御するために上記磁性薄膜の
下部に下地層5を設けた。下地層5の材料とこの上に形
成する磁性材料薄膜の組み合わせ方により,磁性薄膜の
磁化容易軸の向きをカンチレバーの先端部3の面に対し
て垂直方向あるいは平行な向きに任意に制御した。下地
層5の材料としてはGe,Si,Ti,Cr,Cなどの多結晶膜や非
晶質状膜,あるいはこれらの合金膜を用いた。また磁性
薄膜材料としてはCo,Feを主成分とし,これにNi,Cr,Pt,
Zr,C,Nなどに添加した合金あるいは多層膜を使用した。
試料と磁性探針の間に作用する磁気力は,磁性探針先端
の磁化の大きさに依存するため,磁気力感度を向上する
ためには磁性探針として用いる磁性材料薄膜の飽和磁化
は100kA/m以上が良い。また,磁性探針を磁性試料表面
に接近したとき,試料表面の漏洩磁界によって磁性探針
の磁化が変化し,その結果磁気力感度が低下する。この
ため磁性探針を構成する磁性薄膜の保磁力は80A/m以上
とした。これら下地層5や磁性材料薄膜は真空蒸着法や
スパッタリング法で形成した。例えば,下地層5として
CrやCを用い,磁性材料としてCo−Ni,Co−Ni−Pt,Fe−
Niなどを用いることにより磁性材料薄膜の磁化容易軸が
カンチレバーの先端部3面に平行かつカンチレバーの先
端方向に高配向した磁性探針4を作製した。また例えば
下地層5としてGe,Si,Tiあるいはこれらの多層膜を用
い,この上にCo−Cr,Co−Cr−Niなどの磁性薄膜を形成
することにより,磁性薄膜の磁化容易軸がカンチレバー
の先端部3の面に対して垂直に高配向した磁性探針4を
作製した。さらに,前記下地層および磁性薄膜を形成す
るとき,カンチレバーの先端部面を蒸着源に対して0〜
90度の範囲で傾斜して設置することにより,磁性薄膜の
磁化容易軸をカンチレバーの先端部面に対して0〜90度
の範囲の任意の向きに制御できた。磁性探針4を構成す
る磁性材料薄膜の保磁力や薄膜の結晶粒径は,薄膜形成
時の温度やスパッタリングガスの圧力などを変化するこ
とにより任意に制御した。例えば,真空蒸着法により基
板温度150℃で膜厚20nmのCr下地層を形成したのち,こ
の上にCo80Ni20からなる磁性薄膜を形成すると,保磁力
16kA/m,飽和磁化700kA/mの磁気特性をもち,かつ磁性容
易軸がカンチレバーの先端部3の面に対して平行に高配
向した磁性探針4を得た。分解能が0.1μm以下の磁気
力情報を得るためには磁性探針の先端の曲率は0.1μm
以下とすることが必要であった。このためには磁性探針
を構成する磁性材料薄膜の結晶粒径は少なくとも0.1μ
m以下に設定する必要があった。磁性材料薄膜の結晶粒
径は,薄膜を形成するときの速度や基板温度,スパッタ
リングガスの圧力,さらには磁性材料薄膜を形成すると
きの下地層の種類により制御した。本実施例の上記条件
で形成した時の磁性薄膜を構成する結晶粒径は20〜50nm
であった。 比較のために,カンチレバーの先端部3の面に下地層
5を設けないで直接Co80Ni20からなる磁性薄膜を形成し
た。この薄膜の磁気特性は保磁力10kA/m,飽和磁化690kA
/mとCr下地層を設けた場合とほぼ同じ特性を示したが,
磁性探針4を構成する磁性薄膜の磁化容易軸の向きがカ
ンチレバーの先端部3の面に対してランダムに配向して
いた。上記2種類の磁性探針を用いて,磁性探針4と磁
性試料の間に働く試料面垂直方向の磁気力感度を比較し
た結果,カンチレバーの先端部3の面に下地層5を設
け,磁性膜の磁化容易軸を高配向した磁性探針が,下地
層が設けない磁性探針に比べて10倍以上大きい値を示し
た。 同様にカンチレバーの先端部3の面に下地層5として
非晶質状のGe膜を形成し,この上にCo−20wt%Crからな
る磁性薄膜を形成し,磁化容易軸がカンチレバーの面に
垂直方向に高配向した磁性探針4を作製した。この場合
の磁性探針は試料面に対して平行な成分の磁気力を高感
度で検出できた。 同様の構成の磁性探針4は,真空蒸着法やスパッタリ
ング法の他に電界メッキ法により磁性材料を付着させて
も良いことは当然である。 本実施例では,カンチレバーの先端部の形状はフォト
プロセスにより方法を説明したが,カンチレバーおよび
磁性探針先端の形状はイオンビームを照射することによ
っても加工できた。例えば,フォトプロセスにより第1
図(a)のごとく作製したカンチレバーの先端を収束イ
オンビーム(FIB)により,さらに鋭い先端形状に加工
した後,この上に磁性薄膜を形成して,第1図(c)の
形態の磁性探針を作製した。また第1図(b)のごとく
磁性薄膜を形成した後,同様に収束イオンビームにより
加工し,第1図(c)のごとく任意の先端形状の磁性探
針を作製した。 実施例2 本発明の磁性探針の他の実施例を第2図により説明す
る。厚さ1μm,幅20μm,長さ180μm,のSiO2からなる先
端が鋭く尖ったカンチレバー1の片面に,下地層5,磁性
薄膜7の順に形成した。この時,カンチレバー1は磁性
薄膜7を形成した面が凹面になるように湾曲した。続い
て磁性薄膜7の表面および,これと反対側のカンチレバ
ーの面に保護膜6を形成した。この保護膜6は,電気伝
導性材料が望ましい。磁性薄膜7の表面に形成する保護
膜6の膜厚は,この裏面側に形成する保護膜の膜厚と異
なっても効果は同じであった。カンチレバーの変位は,
カンチレバーの凹面側と金属探針(図示せず)との間の
トンネル電流,或いは光学的な変位検出法により実施し
たが,このためにはカンチレバー1の面は鏡面が望まし
く,この面に形成する保護膜の結晶粒径は50nm以下がよ
かった。保護膜の結晶粒径がこれ以上に大きくなると表
面の起伏が大きくなり,カンチレバーの変位検出の誤差
が大きくなる原因となった。上記の如く作製した磁性探
針は,カンチレバーの先端を試料面に垂直になるように
設置して使用した。 実施例3 本発明により作製した磁性探針を用いて磁気力顕微鏡
に適用した例を第3図により説明する。先端が尖ったカ
ンチレバ1の表面に下地層5,磁性薄膜7の順に形成して
磁性探針4を構成した。この磁性探針は,カンチレバー
の先端が磁性試料8の表面に垂直に接近するように設置
した。すなわちカンチレバー1の面に形成した磁性薄膜
7の酸化容易軸が試料面に対して垂直もしくは平行にな
るように設置した。この磁性薄膜7はカンチレバー1の
面に形成した磁性薄膜の磁化容易軸の方向に磁化して残
留磁化状態に保持して使用した。この磁性探針およびカ
ンチレバーの両面にはAu,Ptなどの電気導電性の被覆層
6を形成した。 磁性薄膜7の反対側の面に,カンチレバー1に接近さ
せて先端が鋭く尖った金属探針9を設置し,カンチレバ
ー面と金属探針の間のトンネル電流を検出することによ
り,試料と磁性探針の間の磁気力によるカンチレバーの
変位を検出した。金属探針9は,先端が鋭く尖ったW線
やPt線で形成したが,いずれも同様の効果を得た。上記
のごとく構成した測定により,磁性試料8の表面におけ
る漏洩磁界によるカンチレバーの変位を検出し,この結
果より磁性試料8の磁区構造などの磁気力情報を得た。
また同時に磁性探針4と試料8の間のトンネル電流を検
出することにより,試料表面の形態情報を得た。 磁性探針の表面に保護膜6を形成することにより,空
気中や真空中,あるいは各種ガス雰囲気で長時間動作し
ても,再現性の良い測定ができた。 保護膜6としては,Ptの他にRu,Rh,Au,Pdおよびこれを
含む合金を用いても効果は同じであった。 実施例4 本発明により作製した磁性探針の他の実施例を第4図
より説明する。 先端が尖ったチップ10から成るカンチレバーを支持体
2で保持した。カンチレバー11は酸化珪素で構成した。
また窒化珪素,ダイヤモンド状の薄膜,もしくは非磁性
金属フォイルのいずれで構成しても同様の効果を得た。
チップ10はタングステン,白金あるいはカンチレバー11
と同一材料からなる非磁性材料,あるいはニッケル,
鉄,コバルト等の磁性材料の線材もしくはフォイルで構
成したものを作製した。チップ10はカンチレバー11に接
着剤などで固定したのちに,その先端を電界研磨などで
エッチングして尖らすか,あるいはあらかじめ先端が尖
ったチップ10をカンチレバー11に固定する方法で作製し
た。上記のごとく作製したチップ10の表面にまず磁性薄
膜の結晶配向制御用の下地層(図示せず)を形成し,続
いてこの上に磁性薄膜を形成して磁性探針4を作製し
た。この場合,先端が鋭く尖った磁性探針4を得るため
に,結晶配向制御用の下地層と磁性薄膜の膜厚は薄い方
が望ましく,それぞれの膜厚は0.1μm以下が適当であ
った。チップの表面に結晶配向制御用の下地層を設けて
磁性薄膜を形成することにより,磁性薄膜の磁化容易軸
がチップ10の面に対して垂直,あるいは平行に高配向し
た磁性探針4を作製した。この磁性探針4の使用に際し
ては,尖ったチップ10の先端に平行あるいは垂直方向に
磁化して用いた。上記磁化された磁性探針4はチップ10
の先端部が試料8の面に垂直に接するように設置した。
磁性探針4がその先端に平行に磁化されているとき,磁
性試料8の漏洩磁界の垂直成分を検出し,一方磁性探針
4がその先端に垂直に磁化されているとき,磁性試料8
の漏洩磁界の水平成分を検出した。磁性探針4と磁性試
料8の相互作用で発生した磁気力によりカンチレバー11
が撓みを受ける。カンチレバー11の撓みによる変位はカ
ンチレバー11の後方に設けた変位検出手段,例えば先端
が尖った金属探針9を設置し,上記金属探針9とカンチ
レバー11の面の間のトンネル電流により検出した。この
構成の磁性探針を用いることにより10-10Nのオーダーの
磁気力とサブミクロンオーダーの高分解能の磁気情報を
再現性良く得ることができた。 本発明では,磁性探針の磁化容易軸が揃っており,か
つ磁性探針の保磁力が大きいので,従来のように試料か
らの磁界により磁性探針の磁化が変化することがない。
したがって,試料と磁性探針間のトンネル電流を計測し
て表面形態情報を得れば,これと磁気力測定で得た磁気
情報(表面形態情報を含んでいる)とから正確な磁気情
報が得られる。
【発明の効果】
以上述べたごとく,先端が鋭く尖ったカンチレバーの
表面に結晶配向制御用の下地層を設け,この上に磁性薄
膜を形成することにより,磁性薄膜の磁化容易軸がカン
チレバーの面に垂直方向から平行な方向の範囲の任意の
向きに高配向させた磁性探針を形成できる。このように
形成した磁性探針を磁化容易軸に沿って磁化し,カンチ
レバーの先端が試料面に垂直に接近するように設置する
ことにより,試料面に対して垂直,もしくは平行な方向
の磁気力を高感度で,かつ高分解能の検出ができる磁気
情報検出装置を構成できる。 また磁性探針の表面を導電性材料からなる被覆層で被
覆して磁気情報検出装置を構成することにより,磁性試
料と磁性探針間の距離を精度良く制御でき,高感度でか
つ高分解能の試料表面の磁気力情報と形態情報を得るこ
とができる効果がある。また磁性探針の表面を導電性材
料からなる被覆層で被覆することにより,磁性探針の表
面の酸化などによる磁気特性の変化や電気伝導性の変化
を防止でき,磁気力情報と試料表面形態情報を再現性良
く得られる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)乃至第1図(c)は,本発明の一実施例の
説明図,第2図は,本発明の磁性探針の作製方法の一例
を示す説明図,第3図は,本発明の磁性探針を用いた磁
気力顕微鏡への応用例の説明図,第4図は,本発明の磁
性探針の他の応用例の説明図である。 符号の説明 1:カンチレバー,2:支持体,3:先端部,4:磁性探針,5:下地
層,6:保護膜,7:磁性薄膜,8:試料,9:金属探針,10:チッ
プ,11:カンチレバー。
フロントページの続き (72)発明者 細木 茂行 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 平2−78006(JP,A) 特開 平3−96854(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 37/00 G01R 33/10 - 33/12 G01N 27/72 G01B 7/34 H01J 37/28 JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】先端が尖ったカンチレバーと,該カンチレ
    バーの先端部に形成された磁性探針と,該磁性探針と磁
    性試料との間に発生する磁気力による磁性探針の変位を
    検出する手段とを有する磁気情報検出装置において,上
    記磁性探針は磁性材料薄膜によって構成され,かつ該磁
    性材料薄膜の磁化容易軸は一方向に配向していることを
    特徴とする磁気情報検出装置。
  2. 【請求項2】上記磁性材料薄膜は上記カンチレバーの面
    に非磁性下地層を介して形成されている特許請求の範囲
    第1項記載の磁気情報検出装置。
  3. 【請求項3】上記磁性探針を構成する磁性材料薄膜の磁
    化容易軸方向の保磁力は80A/m以上である特許請求の範
    囲第2項記載の磁気情報検出装置。
  4. 【請求項4】上記磁性材料薄膜は上記カンチレバーの面
    に平行もしくは垂直方向に磁化されている特許請求の範
    囲第2項記載の磁気情報検出装置。
  5. 【請求項5】上記磁性探針およびカンチレバーの表面に
    導電性材料からなる保護膜が形成されている特許請求の
    範囲第2項記載の磁気情報検出装置。
  6. 【請求項6】上記磁性材料薄膜の結晶粒径は100nm以下
    である特許請求の範囲第2項記載の磁気情報検出装置。
  7. 【請求項7】上記カンチレバーの尖った先端部の曲率は
    100nm以下である特許請求の範囲第2項記載の磁気情報
    検出装置。
JP2073320A 1990-03-26 1990-03-26 磁気情報検出装置 Expired - Fee Related JP2997497B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2073320A JP2997497B2 (ja) 1990-03-26 1990-03-26 磁気情報検出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2073320A JP2997497B2 (ja) 1990-03-26 1990-03-26 磁気情報検出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03274480A JPH03274480A (ja) 1991-12-05
JP2997497B2 true JP2997497B2 (ja) 2000-01-11

Family

ID=13514763

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2073320A Expired - Fee Related JP2997497B2 (ja) 1990-03-26 1990-03-26 磁気情報検出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2997497B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3989704B2 (ja) * 2001-10-03 2007-10-10 エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 走査型プローブ顕微鏡
CN115616260B (zh) * 2022-09-26 2024-02-23 上海泽丰半导体科技有限公司 薄膜探针卡组件

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03274480A (ja) 1991-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Phillips et al. High resolution magnetic force microscopy using focused ion beam modified tips
US5856672A (en) Single-crystal silicon cantilever with integral in-plane tip for use in atomic force microscope system
JP2604968B2 (ja) サンプルの磁気構造乃至磁区をイメージ化する方法及びこれを応用した記憶装置
JP2961452B2 (ja) 情報処理装置
JPH0689472A (ja) ナノメートル範囲における情報ユニットの時間に関して安定な記憶方法
US5375087A (en) Tunneling-stabilized magnetic reading and recording
Grütter et al. High resolution magnetic force microscopy
JP3141555B2 (ja) 走査表面磁気顕微鏡
JP3210961B2 (ja) 交換相互作用力の測定装置
JP2997497B2 (ja) 磁気情報検出装置
JPH04162339A (ja) 表面観察装置用探針の製造方法及び表面観察装置
Yaminsky et al. Magnetic force microscopy
JPH06249933A (ja) 磁気力顕微鏡用カンチレバー
JP2834212B2 (ja) 磁性探針
JP2984094B2 (ja) 表面観察装置用プローブおよびその製造方法ならびに表面観察装置
JP2872703B2 (ja) 磁気検出素子とそれを用いた磁気力顕微鏡およびその類似装置
US6476386B1 (en) Method and device for tunnel microscopy
JPH03274481A (ja) 磁気情報検出装置
JPH0396856A (ja) 磁性探針
JP2789244B2 (ja) 微小プローブの形成方法
JPH0396854A (ja) 表面分析用プローブ
JPH0755445Y2 (ja) 走査型トンネル顕微鏡の探針
JPH05142315A (ja) 表面顕微鏡用探針及びそれを用いた表面顕微鏡
JP3134369B2 (ja) 表面磁気検出装置
Hoffmann Magnetic and interatomic forces measured by low temperature scanning force microscopy

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees