JP2996680B2 - 中性子検出用核***型電離箱 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） この発明は、発電用原子炉などの中性子計装の一手段
として用いられる局部出力領域の中性子検出用核***型
電離箱に係り、特にその接続導線と電極端栓との接合手
段の改良に関する。

（従来の技術） この種の電離箱は、既に特開昭62−197784号公報に開
示されている。

この公報に開示された電離箱は、導電体製気密ケース
内に筒状外側電極及び内側電極が所定間隙をおいて設け
られ、この間隙に電離ガスが充填され、気密ケースの一
端部に同軸ケーブルが接合され、且つ他端部に封止切り
される金属排気管をもつケース端栓が接合され、更に外
側電極の排気管側端部に導電体製の電極端栓が固着され
ると共に、電極端栓に接続導線の一端部が接合され他端
部が排気管に固着されてなっている。

この場合、接続導線の一端部が圧接により電極端栓に
接合されており、外側電極は電極端、接続導線、排気
管、及びケース端栓を介して気密ケースと電気的に接続
されている。

（発明が解決しようとする課題） このような従来構造によると、接続導線の一端部が電
極端栓に圧接により接合されているため、外側電極と気
密ケースとの電気的な接続が不安定になる恐れが考えら
れる。特に、原子炉内に装着された後の熱サイクルによ
る応力、或いは振動、衝撃等の機械的外力などで、接続
導線の一端部と電極端栓との接続が不安定になる恐れが
残る。

又、スプラッシュが管内に残っていると、内外両電極
間の間隙に入り、短絡を引き起こしてしまう恐れが考え
られる。言うまでもなく、この種の中性子検出用核***
型電離箱は、高い信頼性を保持しなければならない。従
って、このような外側電極と気密ケースとの電気的接続
の不安定は、確実に防止しなければならない。

この発明は、外側電極と気密ケースとの電気的接続を
確実にし、信頼性の高い中性子検出用核***型電離箱及
を提供することを目的とする。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） この発明は、導電体製気密ケース内に筒状外側電極及
び内側電極が所定間隙をおいて設けられ、この間隙に電
離ガスが充填され、上記気密ケースの一端部に同軸ケー
ブルが接合され、且つ他端部に金属排気管をもつステン
レス製のケース端栓が接合され、更に上記外側電極の上
記排気管側端部にチタニウム製の電極端栓が固着される
と共に、該電極端栓に接続導線の一端部が接合され他端
部が上記金属排気管に気密接合して封止切りされて固着
される中性子検出用核***型電離箱において、上記接続
導線はニッケルで構成され且つこの接続導線の一端部が
上記電極端栓に活性合金法により電気的に接合されてな
ることを特徴とする中性子検出用核***型電離箱であ
る。

（作用） この発明によれば、金属排気管に固着された接続導線
が活性合金法により電極端栓に接合されているので、気
密ケースと外側電極との電気的接続の信頼性が著しく向
上する。

（実施例） 以下、図面を参照して、この発明の一実施例を詳細に
説明する。

この発明による中性子検出用核***型電離箱は、第１
図乃至第３図に示すように構成され、第１図はこの発明
の一実施例に係る中性子検出用核***型電離箱の全体を
示す縦断面図、第２図はその要部の組立て斜視図、第３
図は同じく組立て断面図である。

即ち、オーステナイト系ステンレス鋼のような導電体
からなる円筒状の気密ケース11内には、内壁に沿ってチ
タン製の円筒状外側電極（陰極）12が配設されている。
この外側電極12の内周面の所定領域には、例えばウラン
235のような核***物質の被覆層13が被着されている。
更に、外側電極12の内側には、所定の微小間隙20をおい
て円柱状の内側電極（陰極）14が配置されている。

この内側電極14は、両端部が径小に形成されており、
これら径小端部14a、14bがアルミナセラミックス等から
なる絶縁体製のリング状スペーサ15、21により保持され
ている。

気密ケース11の一端部には同軸ケーブル22が接続さ
れ、その内導体23が内導体リード線24を介して内側電極
14の径小端部14b、又、外導体25が気密ケース11のテー
パ状端部に接続されている。内外両電極12、14の間の微
小間隙20はガウス空間であり、この間隙20には例えばア
ルゴンのような電離ガスが充填されている。

尚、同軸ケーブル22には直流電源26及び電流計27が接
続されて電気信号が計測される。そこで、外側電極12の
開口端には、同種材料即ちチタンで形成された円柱状電
極端栓31が嵌合され、外周の数点が溶接接続部Ｂで接合
されている。

この電極端栓31と内側電極14の径小端部14aとの空間
には、両者の絶縁を確実にする絶縁スペーサ16が嵌めら
れ、この絶縁スペーサ16及び径小端部14aを覆うように
絶縁スペーサ15が嵌められている。又、電極端栓31の中
央部には、孔32が形成されており、その内部にニッケル
製の細い接続導線33の一端部が挿入され、活性合金法に
より固着されている。

更に、これらを取囲んでステンレス製のケース端栓34
が、気密ケース11の開口端部を閉塞して嵌合され、気密
溶接部Ａで全周が気密接合されている。ケース端栓34
は、中心透孔35と連通する排気管36を一体に有してい
る。接続導線33の他端部は、この排気管36の気密封止切
り部37まで少なくとも延長されており、この排気管36の
封止切り部37において挾持されて、一体的に丸め溶接さ
れている。

尚、中心透孔35は、ケース端栓34に形成された通気用
のスリット34a、電極端栓31の外周の一部に形成された
平坦切削面31a、及び同様に絶縁スペーサ15に形成され
た平坦面15aを介して内外両電極12、14の間の間隙20に
連通している。

次に、好ましい組立て順序に従って、要部を説明す
る。

先ず、チタン製の円筒状外側電極12に必要な化学処理
を行なった後、その内面に核***物質の被覆層13を被着
形成する。一方、第２図及び第３図に示すように、外側
電極12と同一材料で形成した導電体製の電極端栓31を用
意する。この電極端栓31は、外側電極12の内径寸法にほ
ぼ相当する外径寸法を有する円柱部31b、外径寸法が外
側電極12と同一な径大係止部31c、及び平坦切削面31aを
有している。

又、中央部の孔32に、ニッケル製の接続導線33の一端
部33aを挿入する。チタンとニッケルは1228゜K（955
℃）に共晶点が存在するので、これを利用し、活性合金
法で電極端栓31と接続導線33を電気的に接合する。通常
は、1.3×10^-3Pa（10^-5Toor）以下の真空中で約1270゜K
（1000℃）に加熱することにより、行なわれる。接続導
線33は、凡そ0.5mm程度の直径を有し、この活性合金接
合部Ｃから少なくとも排気管の封止切り部まで延長され
る長さを有している。

このように構成した電極端栓31を、外側電極12の端部
12aに嵌合する。そして、矢印Ｐで示すように両者の密
着した合わせ目を円周上又は×印で示すように数箇所を
ヘリアーク・TIG溶接により接合する。両者は同じ金属
材料即ちチタンで形成されているので、TIG溶接は容易
に且つスプラッシュを生じることなく良好な溶接状態で
接続することが出来る。

次に、内部電極や絶縁スペーサ15、21などを組合わせ
た後、排気管36を有するケース端栓34を接続導線33をそ
の中心透孔35に通しながら、気密ケース11の端部11aに
嵌合する。このように組立て後、排気管36から内部を排
気し、所定圧力の電離用ガスを封入する。

そして最後に、排気管36をその内部に接続導線33の端
部33bを挾持した状態で所定位置を漬せば、封止切り部
の電気的及び真空気密的な接続、閉塞は確実且つ容易に
出来る。

こうして外側電極12は、この外側電極12に溶接された
電極端栓31、これに接合された接続導線33、及び排気管
36を持つケース端栓34を介して気密ケース11に電気的に
接続される。そして、この電気的接続経路において、チ
タン同士及びニッケルとステンレス鋼をTIG溶接によ
り、又、チタンとニッケルを活性合金法により接続して
いるので、いずれの接続部も良好な接続状態が得られ
る。

（変形例） 第４図はこの発明の変形例を示したもので、上記実施
例と同一効果が得られる。

即ち、この変形例は、接続導線33の一部に螺旋状部33
cが形成されている。又、ケース端栓34に螺旋状部33cを
包囲する比較的径大な凹部35aが形成されている。

この変形例によれば、接続導線33の一部に螺旋状部33
cが形成されているので、排気管36の圧潰封止切りの際
や動作中の熱膨脹サイクルがあっても、この接続導線33
の途中が切断する恐れもなく、信頼性が一層向上する。

尚、螺旋状部33cの代わりに、Ｕ字状に曲げた部分を
設けても良い。又、外側電極12とそれに溶接される電極
端栓31は、共に溶接性が良く溶接時にスプラッシュの発
生しない同種の金属材料を選択することが肝要である。
それには、上記実施例のように、核***物質層を被着し
易いチタン又はチタン合金を、両方に使用することが好
ましい。

しかし、それに限定されるものではない。又、溶接の
手段もTIG溶接の他、レーザ溶接やエレクトロン・ビー
ム溶接、硬ろう溶接などにより接合しても良い。

［発明の効果］ 以上説明したように、この発明によれば、金属排気管
に固着された接続導線が活性合金法により電極端栓に接
合されているので、気密ケースと外側電極との電気的接
続の信頼性が著しく向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例に係る中性子検出用核***
型電離箱の全体を示す縦断面図、第２図はその要部の組
立て斜視図、第３図は同じく組立て断面図、第４図はこ
の発明の変形例を示す縦断面図である。 11……気密ケース、12……外側電極、14……内側電極、
22……同軸ケーブル、31……電極端栓、33……接続導
線、34……ケース端栓、36……排気管。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】導電体製気密ケース内に筒状外側電極及び
   内側電極が所定間隙をおいて設けられ、この間隙に電離
   ガスが充填され、上記気密ケースの一端部に同軸ケーブ
   ルが接合され、且つ他端部に金属排気管をもつステンレ
   ス製のケース端栓が接合され、更に上記外側電極の上記
   排気管側端部にチタニウム製の電極端栓が固着されると
   共に、該電極端栓に接続導線の一端部が接合され他端部
   が上記金属排気管に気密接合して封止切りされて固着さ
   れる中性子検出用核***型電離箱において、 上記接続導線はニッケルで構成され且つこの接続導線の
   一端部が上記電極端栓に活性合金法により電気的に接合
   されてなることを特徴とする中性子検出用核***型電離
   箱。