JP2990901B2 - 光学情報記録媒体 - Google Patents

光学情報記録媒体

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JP2990901B2
JP2990901B2 JP3305852A JP30585291A JP2990901B2 JP 2990901 B2 JP2990901 B2 JP 2990901B2 JP 3305852 A JP3305852 A JP 3305852A JP 30585291 A JP30585291 A JP 30585291A JP 2990901 B2 JP2990901 B2 JP 2990901B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光線を用いた情
報記録再生装置に用いる光学情報記録媒体、とりわけ書
き換え可能な光ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】信号を記録,再生、及び消去可能な光デ
ィスクとして、記録薄膜材料にカルコゲン化物を用いた
相変化型の光ディスクが知られている。一般には、記録
薄膜材料が結晶状態の場合を未記録状態とし、レーザ照
射で急熱急冷して非晶質状態にすることで信号を記録す
る。又、急熱徐冷で再び結晶状態となり、記録信号は消
去される。
【0003】記録薄膜材料としては、例えばTe,In,
Sb,Se等を主成分とする非晶質−結晶間で相変化する
材料、或は異なる2種類の結晶構造の間で可逆的に相変
化をおこす物質を用いることが一般的である。
【0004】保護層材料としては、例えば、Al23
SiO2,SiO,Ta25,MoO3,WO3,ZnS,Zr
2,AlN,BN,SiNx,TiN,ZrN,PbF2,M
gF2等の誘電体或はこれらの適当な組み合わせが知られ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】相変化型光ディスクの
記録・消去の繰り返し回数は、記録薄膜や保護層の材
料,ディスク構成,記録・消去ビームパワー等の最適化
によって向上するが、物性上必ずしも十分に満足しうる
ものとはいえない。
【0006】本発明は、記録・消去の繰り返し特性を向
上した光学情報記録媒体を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、相変化型光学情報記録媒体の記録薄膜に
接して界面制御層を設けた構造とし、この界面制御層の
主成分を1000゜Cにおける標準生成自由エネルギーが
−400kJ/mol O2から−800kJ/mol O2の範囲にあ
る熱的に安定な酸化物とするようにしたものである。
【0008】
【作用】記録薄膜に接して界面制御層を設けた構造と
し、この界面制御層の主成分を1000゜Cにおける標準
生成自由エネルギーが−400kJ/mol O2から−800
kJ/mol O2の範囲にある熱的に安定な酸化物とすること
により、繰り返しによる記録薄膜の破壊が生じにくくな
る。即ち、良好な繰り返し特性が得られるようになる。
【0009】
【実施例】以下図面に基づいて本発明を説明する。
【0010】本発明の記録媒体の代表的な構造例を図1
に示す。記録,再生、及び消去を行うレーザ光は基板1
の側から入射させる。
【0011】基板1としては、PMMA,ポリカーボネ
ート等の樹脂或はガラス等、表面の平滑なものを用い
る。光ディスクの場合、通常基板平面10はレーザ光を
導くためにスパイラル又は同心円状のトラックで覆われ
ている。
【0012】界面制御層3,5は、物理的・化学的に安
定、すなわち記録材料の融点よりも、融点及び軟化温度
が高く、かつその主成分が1000゜Cにおける標準生成
自由エネルギーが−400kJ/mol O2から−800kJ/m
ol O2の範囲にある酸化物からなる。例えば、Cr
23,MnO,NbO,NbO2,SiO2,Ta25,TiO
2,VO2,V23,V25,ZnOあるいはこれらの適
当な組合せからなる。又、界面制御層は、場合によって
は、3或は5の何れか一方だけでもよい。
【0013】保護層2,6の材料は、物理的・化学的に
安定、すなわち記録材料の融点よりも、融点及び軟化温
度が高く、かつ記録材料と相固溶しないことが望まし
い。例えば、Al23,SiOx,Ta25,MoO3,WO
3,ZnS,ZrO2,AlNx,BN,SiNx,TiN,Zr
N,PbF2,MgF2等の誘電体或はこれらの適当な組み
合わせからなる。保護層は誘電体や透明である必要はな
い。例えば可視光線及び赤外線に対して光吸収性をもつ
ZnTeで形成してもよい。又、保護層2,6を異なる材
料で形成すると、熱的及び光学的なディスク設計の自由
度が大きくなる利点がある。もちろん同一材料で形成し
てもよい。又、保護層を前記界面制御層と同一組成で構
成してもかまわない。
【0014】記録薄膜4は、結晶状態と非晶質状態との
間で可逆的に構造変化をおこす物質、例えばTe又はI
n,Se等を主成分とする相変化材料からなる。よく知ら
れた相変化材料の主成分としては、Te-Sb-Ge,Te-
Ge,Te-Ge-Sn,Te-Ge-Sn-Au,Sb-Te,Sb-S
e-Te,In-Te,In-Se,In-Se-Tl,In-Sb,In-
Sb-Se,In-Se-Te等が挙げられる。
【0015】反射層7は、Au,Al,Ni,Fe,Cr等
の金属元素、或はこれらの合金からなり、記録薄膜への
光吸収効率を高める働きをする。しかし、例えば記録薄
膜4の膜厚を厚くして光吸収効率を高める工夫をするこ
とによって、反射層7を設けない構成とすることも可能
である。或は、記録薄膜と保護層を交互に複数回積み重
ねた構成とすることにより、記録薄膜1層あたりの膜厚
が薄くても、全体として光吸収効率を高めることもでき
る。
【0016】保護基板9は、樹脂をスピンコートした
り、基板と同様の樹脂板、ガラス板、或は金属板等を接
着剤8を用いて貼り合わせることによって形成する。さ
らには、2組の記録媒体を中間基板或は反射層を内側に
して接着剤を用いて貼り合わせることにより、両面から
記録,再生、消去可能な構造としてもよい。
【0017】記録薄膜,保護層は、通常、電子ビーム蒸
着法,スパタリング法,イオンプレーティング法,CV
D法,レーザスパタリング法等によって形成される。
【0018】Te或はInを主成分とする種々の書き換え
可能な相変化型光ディスクにおいて、特定の領域に、同
じ信号パターンを繰り返し記録すると、その領域の終端
(一連の信号を書き終えた部分)から記録薄膜が破れる
現象が見られる。以下、この現象を 記録領域終端部に
おける繰り返し劣化 と呼ぶ。記録領域終端部における
繰り返し劣化の現象は、レーザ照射時に、記録薄膜構成
元素がディスク半径方向、或はディスク周方向にわずか
に拡散移動し、繰り返しレーザ照射によって、記録薄膜
構成元素の拡散移動量が積算していくことに起因すると
考えている。記録領域終端部における繰り返し劣化は、
特に記録パワーが高い時に顕著である。この現象を解決
する手段として、記録薄膜に接して酸化物を主成分とす
る界面制御層を設けることを試みた。その結果、記録薄
膜に接して設けた界面制御層の主成分を1000゜Cにお
ける標準生成自由エネルギーが−400kJ/mol O2から
−800kJ/mol O2の範囲にある熱的に安定な酸化物と
した場合にのみ、記録領域終端部における繰り返し劣化
が軽減した。
【0019】Te或はInを主成分とし、記録・消去の繰
り返し可能な相変化型記録薄膜組成は無限の組合せがあ
り、その全てに対して酸化物界面制御層の効果を実験的
に確認することは不可能である。しかし、すでに公知に
なっている、Te或はInを主成分とし記録・消去の繰り
返し可能な代表的相変化型記録薄膜の主成分は、Te-S
b,Te-Ge,Te-Se,In-Te,In-Sb,In-Seと大
きく分類することができる。上記分類で代表的な記録薄
膜組成を有する光ディスクについて、界面制御層の効果
を調べたところ、界面制御層の主成分を1000゜Cにお
ける標準生成自由エネルギーが−400kJ/mol O2から
−800kJ/mol O2の範囲にある熱的に安定な酸化物と
した場合にのみ、記録・消去の繰り返し劣化の抑制効果
が顕著であった。実験結果から、前記物性を有する酸化
物界面制御層の設置が、Te或はInを主成分とし、記録
・消去の繰り返し可能な相変化型記録薄膜の記録・消去
の繰り返し劣化−より具体的には記録領域終端部の繰り
返し劣化−の抑制に効果があると判断できる。
【0020】前述のように、通常、消去の可能な相変化
型光ディスク装置の場合には、記録薄膜の非晶質相を記
録信号に対応させ、結晶相を消去状態に対応させる。
又、光学的に識別しうる2つの異なる結晶状態をそれぞ
れ記録、消去に対応させる場合もある。いずれの場合で
も、光学的に識別しうる2つの記録薄膜の状態のうち、
少なくともいずれかの状態を得るには、レーザ光線の照
射によって、記録薄膜を溶融させる、或は相変態の転移
温度以上に昇温させる必要がある。溶融している状態、
或は高温状態の記録薄膜では、記録薄膜の構成元素が拡
散移動しやすい。すなわち、記録・消去の繰り返し可能
な相変化型光ディスクでは、その記録・消去メカニズム
上、記録薄膜が繰り返し劣化する可能性を内在している
と言える。1000゜Cにおける標準生成自由エネルギー
が−400kJ/mol O2から−800kJ/mol O2の範囲に
ある熱的に安定な酸化物を主成分とする界面制御層を記
録薄膜に接して設けた場合に繰り返し劣化が抑制される
メカニズムはよくわからないが、その理由は次にように
考えている。 (1)界面制御層を構成する酸化物の標準生成自由エネ
ルギーが小さすぎる場合は、酸化物を構成する金属元素
と酸素の結合が比較的小さい。このためレーザ照射によ
る記録薄膜の溶融高温時に、本来界面制御層を構成して
いた酸素が記録薄膜を構成する元素に奪われやすくな
る。例えば、記録薄膜の構成材料としてよく用いられる
Ge,Te,Sb,Inの安定な酸化物(それぞれGeO2
TeO2,SbO2,In23)を比較すると、1000℃
における標準生成自由エネルギーはGeO2(hex)が約
−350kJ/mol O2(バルク文献値)で最も大きい。よ
って、1000℃における標準生成自由エネルギーが−
350kJ/mol O2よりも小さい酸化物で界面制御層を形
成し、かつ記録薄膜にSbが存在するとすると、レーザ
照射による記録薄膜の溶融高温時に、界面制御層を構成
していた酸素をSbに奪われることが予想される。又、
酸化物層(この場合は界面制御層)と溶融金属(この場
合は記録薄膜材料)の間の濡れ性は、酸化物の標準生成
自由エネルギーが小さいほど、大きくなる傾向がある
(例えば、日本金属学会誌 VOl.52(1988),pp72)。すな
わち、界面制御層を構成する酸化物の標準生成自由エネ
ルギーが小さすぎる場合は、酸化物界面制御層と記録薄
膜が容易に反応する、ことが予想できる。この結果、記
録薄膜材料を構成する組成が、記録・消去と繰り返すと
ともに変化していき、当初の繰り返し特性が得られなく
なる。実験的に、界面制御層を構成する酸化物の標準生
成自由エネルギーが−400kJ/mol O2以下の場合が、
これに当たると推察される。 (2)界面制御層を構成する酸化物の標準生成自由エネ
ルギーが大きすぎる場合は、酸化物界面制御層と溶融記
録薄膜間の濡れ性が小さくなる。この時、例えば両者の
界面における界面張力の温度依存性が極端に大きくなる
などの理由で、記録薄膜を構成する物質が、溶融時にお
いて動きやすくなると考えられる。実験的に、界面制御
層を構成する酸化物の標準生成自由エネルギーが−80
0kJ/molO2以上の場合が、これに当たると推察され
る。
【0021】以下に 具体的な例をもって本発明を詳述
する。 実施例1 代表的な記録薄膜組成として、Ge2Sb2Te5を選び、こ
の記録薄膜に接して種々の酸化物からなる界面制御層を
設けた場合の、記録・消去の繰り返し特性−特に繰り返
しに対する記録パワーの許容範囲−を比較した。Ge2
b2Te5は、良好な記録・消去特性、及び繰り返し特性が
得られる材料として知られている(特開昭62-209742号
広報)。
【0022】図1にディスク構造を示す。基板の材質は
5.25インチ径のガラスとした。記録薄膜の膜厚は50nm
で、膜厚3nmの酸化物界面制御層がその両側をサンドイ
ッチしている。さらにその両側を窒化ケイ素(Si
34)からなる保護層がサンドイッチしている。保護層
の膜厚は、光学的に最適な特性が得られるように決定し
た。具体的には基板側の膜厚が150nm、記録薄膜上に
は200nm設けた。反射層材料には金(Au)を用い、
膜厚は20nmとした。各層の形成はスパタリング法によ
り行った。
【0023】上記構成のディスクを用いて記録・消去の
繰り返し試験を行った。ここで、レーザビーム(波長:
830nm)とディスクの相対速度は14m/secとし、パルス
幅50nsでランダムデータを2−7変調マークポジション
記録をオーバライト(重ね書き)し、10万回の繰り返
し記録回数に伴うBER(Bit Error Rate)の変化を測
定した(以下の実施例において記録・消去特性を調べる
場合の記録条件は、本条件を踏襲している)。この時、
記録・消去パワーを0.2mWきざみで変化させてBER
変化を測定し、繰り返し後のBER値が最小となる記録
・消去パワーを最適パワーと呼ぶことにする。最適パワ
ー、及び最適パワーの15%増しの記録・消去パワーで
繰り返し記録を行なった場合、BERが1×10-5より
も大きくなった時の繰り返し回数を(表1)に示す。
(表1)には、界面制御層材料の酸化物の融点、及び1
000゜Cにおける標準生成自由エネルギーを併記した。
各物性値は、化学便覧改訂3版基礎編,及び鉄鋼便覧第
3版(日本鉄鋼協会編)から引用した。
【0024】
【表1】
【0025】(表1)より、1000゜Cにおける標準生
成自由エネルギーが−400kJ/molO2から−800kJ/
mol O2の範囲にある熱的に安定な酸化物で界面制御層
を形成した場合に、繰り返し特性が良好であることがわ
かる。界面制御層を構成する酸化物の標準生成自由エネ
ルギーが−400kJ/mol O2以下(ここではCoO,Ge
2,SnO2,WO2)の場合、繰り返しに伴うBERの
増加の主因は、ノイズの増加に伴う再生波形の劣化が主
因であることが、オシロスコープを用いた波形観察から
わかった。一方、界面制御層を構成する酸化物の標準生
成自由エネルギーが−800kJ/mol O2以上(ここでは
CeO2,Dy23,Gd23,MgO,Y23)の場合、
繰り返しに伴うBERの増加の主因は、リシンク領域
(信号の同期をとるためデータ16Byte毎に書き込んだ一
定の信号パターンがある領域)、及び記録領域終端部に
おける波形劣化であった。これらの劣化は記録薄膜材料
の物質移動に起因していた。これらの結果から、繰り返
し特性の向上を目的として記録薄膜に接して界面制御層
を設ける場合には、1000゜Cにおける標準生成自由エ
ネルギーが−400kJ/mol O2から−800kJ/mol O2
の範囲にある熱的に安定な酸化物で界面制御層を形成す
るばよい、と結論できる。界面制御層は、複数の酸化物
から構成されていても差し支えない。又、記録層に接し
てどちらか片側にのみ酸化物界面制御層を設けた場合に
おいても、(表1)の結果と同様、1000゜Cにおける
標準生成自由エネルギーが−400kJ/mol O2から−8
00kJ/mol O2の範囲にある熱的に安定な酸化物で界面
制御層を形成した場合に、最も繰り返し特性が良好であ
った。
【0026】次に記録薄膜の組成範囲を広げて、結晶化
・非晶質化感度がともに良好で、かつ記録薄膜に接して
熱的に安定な酸化物界面制御層を設けることによって繰
り返し特性が向上するような構成を調べた。実験の結
果、結晶化・非晶質化感度がともに良好(単一ビームに
よる重ね書きを考慮して、結晶化に必要な加熱時間が10
0nsec以下)で、かつ記録・消去の繰り返し時に記録領
域終端部劣化が生じにくい構成は、Ge-Sb-Te主成分
の組成範囲が、 (Ge)x(Sb)y(Te)z 0.10≦x≦0.35 0.10≦y 0.45≦z≦0.65 x+y+z=1 であった。Ge-Sb-Te主成分の組成範囲は、図2の
A,B,C,D,Eで囲まれた範囲である。上記組成範
囲を有する記録薄膜に接して酸化物界面制御層を設ける
場合でも、1000゜Cにおける標準生成自由エネルギー
が−400kJ/molO2から−800kJ/mol O2の範囲に
ある熱的に安定な酸化物で界面制御層を形成した場合
に、繰り返し特性が良好であることを実験的に確かめ
た。
【0027】記録薄膜主成分のGe-Sb-Te組成範囲を
さらに詳しく検討した結果、 (Ge2Sb2Te5x(GeSb2Te41-x 0≦x≦1 で表わされる範囲の記録薄膜組は、とりわけ結晶化速度
が速いと同時に、繰り返しに記録・消去に伴う記録領域
終端部の劣化−すなわち物質移動による劣化−が顕著で
あった。結晶化速度が速いことは重ね書き可能な相変化
型光ディスクにとって非常に好ましいことである。それ
故、適当な標準生成自由エネルギーを有する酸化物から
なる界面制御層を記録薄膜に接して設けることによる繰
り返し劣化の抑制効果は、 (Ge2Sb2Te5x(GeSb2Te41-x 0≦x≦1 組成において顕著、かつ重要である。
【0028】実施例2 実施例1では、Ge-Sb-Te記録薄膜の両側、或は片側
に1000゜Cにおける標準生成自由エネルギーが−40
0kJ/mol O2から−800kJ/mol O2の範囲にある熱的
に安定な酸化物で界面制御層を形成した場合に、繰り返
し特性が向上することを示した。他にも、Te或はInを
主成分とする記録薄膜、例えばTe-Ge,Te-Ge-Sn,
Te-Ge-Sn-Au,Sb-Te,Sb-Se-Te,In-Te,I
n-Se,In-Se-Tl,In-Sb,In-Sb-Se,In-Se-
Te記録薄膜の両側、或は片側に熱的にで特定の物性値
を有する酸化物(具体的には1000゜Cにおける標準生
成自由エネルギーが−400kJ/mol O2から−800kJ
/mol O2の範囲にある酸化物)からなる界面制御層を設
けることによって、いずれも記録・消去繰り返し特性が
向上する傾向があることを実験で確かめた。一例とし
て、(表2)に(InSb)2Te記録薄膜を有する光ディ
スクの繰り返し特性を示す。ディスクの構造は、ガラス
基板、記録薄膜の膜厚は40nmで、膜厚3nmの酸化物界
面制御層がその両側をサンドイッチしている。さらにそ
の両側を窒化ケイ素(Si34)からなる保護層がサン
ドイッチしている。保護層の膜厚は、光学的に最適な特
性が得られるように決定した。具体的には基板側の膜厚
が150nm、記録薄膜上には200nm設けた。反射層材
料には金(Au)を用い、膜厚は20nmとした。各層の
形成はスパタリング法により行った。実施例1に示した
記録条件で信号を1万回記録した。最適パワーで繰り返
し記録を行なった場合、BERが1×10-5よりも大き
くなった時の繰り返し回数を(表2)に示す。
【0029】
【表2】
【0030】(表2)より、1000゜Cにおける標準生
成自由エネルギーが−400kJ/molO2から−800kJ/
mol O2の範囲にある熱的に安定な酸化物で界面制御層
を形成した場合に、繰り返し特性が良好であることがわ
かる。界面制御層を構成する酸化物の標準生成自由エネ
ルギーが−400kJ/mol O2以下(ここではCoO,Ge
2,SnO2,WO2)の場合、繰り返しに伴うBERの
増加の主因は、ノイズの増加に伴う再生波形の劣化が主
因であることが、オシロスコープを用いた波形観察から
わかった。一方、界面制御層を構成する酸化物の標準生
成自由エネルギーが−800kJ/mol O2以上(ここでは
CeO2,Dy23,Gd23,MgO,Y23)の場合、
繰り返しに伴うBERの増加の主因は、リシンク領域
(信号の同期をとるためデータ16Byte毎に書き込んだ一
定の信号パターンがある領域)、及び記録領域終端部に
おける波形劣化であった。これらの劣化は記録薄膜材料
の物質移動に起因していた。これらの結果から、繰り返
し特性の向上を目的として記録薄膜に接して界面制御層
を設ける場合には、1000゜Cにおける標準生成自由エ
ネルギーが−400kJ/mol O2から−800kJ/mol O2
の範囲にある熱的に安定な酸化物で界面制御層を形成す
るばよい、と結論できる。界面制御層は、複数の酸化物
から構成されていても差し支えない。又、記録層に接し
てどちらか片側にのみ酸化物界面制御層を設けた場合に
おいても、(表2)の結果と同様、1000゜Cにおける
標準生成自由エネルギーが−400kJ/mol O2から−8
00kJ/mol O2の範囲にある熱的に安定な酸化物で界面
制御層を形成した場合に、最も繰り返し特性が良好であ
った。
【0031】
【発明の効果】記録薄膜に接して界面制御層を設けた構
造とし、この界面制御層の主成分を1000゜Cにおける
標準生成自由エネルギーが−400kJ/mol O2から−8
00kJ/mol O2の範囲にある熱的に安定な酸化物とする
ことにより、繰り返しによる記録薄膜の破壊が生じにく
くなる。即ち、良好な繰り返し特性が得られるようにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の記録媒体の構造を示す断面図
【図2】Ge-Sb-Teを主成分とする記録薄膜の主成分
組成範囲を示す図
【符号の説明】
1 基板 2 保護層 3 界面制御層 4 記録薄膜 5 界面制御層 6 保護層 7 反射層 8 接着層 9 保護基板 10基板平面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−125343(JP,A) 特開 平2−195537(JP,A) 特開 平3−181029(JP,A) 特開 平3−88147(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 7/24 533

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、前記基板上に形成され、レーザ
    光線の照射により相変化を生じて光学特性の異なる状態
    へと可逆的に移りうる記録薄膜と、前記記録薄膜の両側
    に形成された2つの保護層とを備えた光学情報記録媒体
    において、前記記録薄膜と前記2つの保護層との間の
    なくとも一方に界面制御層を設け、前記界面制御層が、
    1000℃における標準生成自由エネルギーが−400
    kJ/molO2から−800kJ/mol O2の範囲にある酸化物
    であり、Ta25、V23の2種類の酸化物のいずれか
    1種類、或いはこれら酸化物の組み合わせからなること
    を特徴とする光学情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記記録薄膜の主成分がTe、又はIn
    であることを特徴とする請求項1記載の光学情報記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記記録薄膜の主成分がGe、Sb、T
    であり、前記主成分の組成比が、 (Ge)x(Sb)y(Te)z 0.10≦x≦0.35 0.10≦y 0.45≦z≦0.65 x+y+z=1 で表される範囲内にあることを特徴とする請求項1項記
    載の光学情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記記録薄膜がGe、Sb、Teの3つ
    の成分を含み、前記3つの成分の組成比が、 (Ge2Sb2Te5x(GeSb2Te41-x 0≦x≦1 で表される範囲内にあることを特徴とする請求項1項記
    載の光学情報記録媒体。
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