JP2982959B1 - ガラス溶解炉用材料、ガラス溶解炉、ガラス製品の製造方法及びガラス溶解炉用材料の精製方法 - Google Patents

ガラス溶解炉用材料、ガラス溶解炉、ガラス製品の製造方法及びガラス溶解炉用材料の精製方法

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    • C03B35/14Transporting hot glass sheets or ribbons, e.g. by heat-resistant conveyor belts or bands
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  • Engineering & Computer Science (AREA)
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Abstract

【要約】 【課題】 泡の少ない高品質ガラス製品を製造する。 【解決手段】 ガラス溶解炉用材料は、母材が白金又は
白金合金で、含む不純物としてのオスミウム含有量の上
限値が20ppmであることを特徴とする。 【効果】 母材が白金又は白金合金で、含む不純物とし
てのオスミウム含有量の上限値が20ppmとしたガラ
ス溶解炉用材料で炉を内張りしたことにより、溶解ガラ
スにおける泡の発生を抑え、良質なガラス製品を製造す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白金もしくは白金
合金を主成分としたガラス溶解炉用材料、ガラス溶解炉
用材料の精製方法、このガラス溶解炉用材料を使用した
ガラス溶解炉及びガラス製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスにストーンや脈理や泡が存在する
とガラス製品の欠陥となる。ストーンは文字通り石であ
るが、鉱物の結晶体である。このストーンは視野の妨げ
となるのみならず、強度低下の要因となる。脈理は筋状
の非結晶体であり、屈折率に影響し、像を歪めることに
なる。泡は視界の妨げになる。しかも、LCD(Liquid
Crystal Display)基板では、泡が表面に介在すると回
路の断線の原因となる。従って、液晶表示に用いるガラ
ス板や光学レンズは、上記欠点を取り除く必要がある。
【0003】耐火材で内張りした溶解炉でガラスを溶解
し、調整するときに、耐火材の微細な粉がストーンの要
因となることがあり、耐火材がガラス中に溶け込んで脈
理を発生し、耐火材と接触することで泡が発生すること
が知られている。そこで、白金又は白金合金を内張りす
ることで、粉の発生及び筋状欠陥の発生を防止するとい
う対策が講じられている。泡についてはガラス原料中に
一定量の脱泡剤を添加することで泡を除去するという対
策も講じられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記対策で一定の成果
が得られたが、電子部品用ガラス部材(例えば液晶表示
用)では、ごく少量の泡であっても許容されない。一
方、白金が99.95重量%(不可避的不純物が0.0
5重量%)もの高純度の工業用白金を採用したにも拘ら
ず、少量ではあるが泡の発生が認められた。すなわち、
ガラスの更なる品質向上を図るにはこの泡の対策が不可
欠であることが分かった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、設備を全
体的に点検したが泡の発生箇所を容易に特定するには至
らなかった。そこで、溶解ガラスに接している白金に泡
の発生要因があるのではないかと考え始めた。そこで、
白金を調べたところ、現実に使用している工業用白金
は、その産地、製造ロットの違い、古い白金を再溶解し
て再使用するか否か、によって残存する不純物の成分が
ばらつくことが分かった。次の表はその一例を示す。
【0006】
【表1】
【0007】パラジウム(Pd)は安定元素であり、泡
の発生要因とは考えにくい。ロジウム(Rh)は白金の
強度を高めるために添加する元素であり、泡の発生要因
とは考えにくい。一方、オスミウム(Os)は酸化され
やすく、その酸化物は低温で蒸発するものであり、含有
量も際立って多いことから泡の発生に関与している可能
性は高い。イリジウム(Ir)はオスミウムほどではな
いが、800℃以上で酸化され、1000℃以上で揮発
する。しかし、ガラス溶解用ルツボの材料として実績が
あり、このことから泡の発生要因とは考えにくい。砒素
(As)は、それ自体で、若しくは酸化されて蒸発しや
すい物質である。しかし、ガラスに溶解しやすく、泡に
なるとは考えられない。
【0008】そこで本発明者らは、オスミウムの量と泡
の発生数との関係を調べた。図1は本発明に係るオスミ
ウムの含有量と泡の数の関係を示すグラフであり、詳細
な実験条件及び実験結果は後述するが、横軸を白金中の
オスミウム含有量、縦軸を泡の数としたときに、加熱温
度が1150℃でのグラフと1300℃でのグラフを記
載した。オスミウムが20〜31ppmの範囲で泡の数
が製品品質上問題になるレベルに増加する。安全を見て
点P1,P2で示した点、すなわちオスミウムの上限値
を20ppmとすれば泡の発生を抑えることができると
いえる。
【0009】そこで、請求項1のガラス溶解炉用材料
は、母材が白金又は白金合金で、含む不純物としてのオ
スミウム含有量の上限値が20ppmであることを特徴
とする。オスミウムの上限値を20ppmとすれば泡の
発生を抑えることができるからである。
【0010】請求項2のガラス溶解炉用材料は、オスミ
ウム含有量を10ppmに抑えたことを特徴とする。ガ
ラス素材の成分の変動を考慮すればオスミウムの上限を
抑えるには余裕がほしい。そして、泡の発生の点からオ
スミウムは少ないほど良いから、安全率を2倍として、
20ppmの半分の10ppmにすることが好ましい。
【0011】請求項3は、母材が白金又は白金合金で、
含む不純物としてのオスミウム含有量の上限値が20p
pmであるガラス溶解炉用材料を、少なくとも溶解ガラ
スに接触する部分に使用したことを特徴とするガラス溶
解炉である。母材が白金又は白金合金で、含む不純物と
してのオスミウム含有量の上限値が20ppmとしたガ
ラス溶解炉用材料で炉を内張りしたことにより、溶解ガ
ラスにおける泡の発生を抑え、良質なガラス製品を製造
することができる。
【0012】請求項4はガラス溶解炉であって、オスミ
ウム含有量の上限値を10ppmに抑えたことを特徴と
する。10ppm以下にしたことにより、許容値20p
pmに対して十分な余裕を見込むことができ、より確実
に泡の発生を抑え、良質なガラス製品を製造することが
できる。
【0013】請求項5は、請求項3記載のガラス溶解炉
であって、このガラス溶解炉は、ガラス原料を溶解する
溶解槽と、溶解ガラスを脱泡処理する清澄槽と、溶解ガ
ラスを引き伸ばして板ガラスに成形する成形部とを含
み、少なくともこの成形部にガラス溶解炉用材料を使用
したことを特徴とする。成形部では溶解ガラスを板ガラ
スに成形する箇所であり、この成形部に泡が存在するこ
とは許されない。そこで、成形部に泡を出さぬガラス溶
解炉用材料を使用することにした。これで、泡の無い良
質な板ガラスを製造することができる。成形部に限定し
て泡を出さぬガラス溶解炉用材料を使用すれば、設備費
用の高騰を抑えることができる。
【0014】請求項6は、請求項3記載のガラス溶解炉
であって、このガラス溶解炉は、ガラス原料を溶解する
溶解槽と、溶解ガラスを脱泡処理する清澄槽と、脱泡済
みの溶解ガラスを調整、攪拌及び成形するための後部設
備を含み、この後部設備にガラス溶解炉用材料を使用し
たことを特徴とする。後部設備は、例えば調整槽、攪拌
槽、成形部からなるが、この様な後部設備に泡が存在す
ることは好ましくない。そこで、後部設備に泡を出さぬ
ガラス溶解炉用材料を使用することにした。これで、泡
の無い良質なガラス製品を製造することができる。後部
設備に限定して泡を出さぬガラス溶解炉用材料を使用す
れば、設備費用の高騰を抑えることができる。
【0015】請求項7は、請求項6記載のガラス溶解炉
であって、清澄槽にガラス溶解炉用材料を使用したこと
を特徴とする。後部設備と共に清澄槽にも泡を出さぬガ
ラス溶解炉用材料を使用する。より確実に泡の発生を抑
えることができ、良質なガラス製品を製造することがで
きる。
【0016】請求項8は、母材が白金又は白金合金で、
含む不純物としてのオスミウム含有量の上限値が20p
pmであるガラス溶解炉用材料を、少なくとも溶解ガラ
スが接触する壁面に使用した清澄槽にて、溶解ガラスの
脱泡処理することで、前記壁面からの泡の発生を抑える
清澄工程と、母材が白金又は白金合金で、含む不純物と
してのオスミウム含有量の上限値が20ppmであるガ
ラス溶解炉用材料を、少なくとも溶解ガラスが接触する
壁面に使用した調整槽にて、前記清澄槽からの溶解ガラ
スを所定の均一温度に調整することで、前記壁面からの
泡の発生を抑える調整工程と、母材が白金又は白金合金
で、含む不純物としてのオスミウム含有量の上限値が2
0ppmであるガラス溶解炉用材料を、少なくとも溶解
ガラスが接触する壁面に使用した成形部にて、前記調整
槽からの溶解ガラスを板ガラスに成形することで、前記
壁面からの泡の発生を抑える成形工程と、を含むことを
特徴としたガラス製品の製造方法である。
【0017】オスミウム含有量が20ppm以下のガラ
ス溶解炉用材料を使用した設備にて、清澄工程、調整工
程及び成形工程を実施するので、泡のない高品質のガラ
ス製品を製造することができる。
【0018】請求項9は、請求項8記載のガラス製品の
製造方法であって、オスミウム含有量の上限値を10p
pmに抑えたことを特徴とするガラス製品の製造方法で
ある。10ppm以下にしたことにより、許容値20p
pmに対して十分な余裕を見込むことができ、より確実
に泡の発生を抑え、良質なガラス製品を製造することが
できる。
【0019】請求項10は、請求項8記載のガラス製品
の製造方法であって、清澄工程の前に、母材が白金又は
白金合金で、含む不純物としてのオスミウム含有量の上
限値が20ppmであるガラス溶解炉用材料を、少なく
とも溶解ガラスが接触する壁面に使用した溶解槽にて、
ガラスを溶解することで、前記壁面からの泡の発生を抑
える溶解工程を、更に含むことを特徴としたガラス製品
の製造方法である。
【0020】清澄工程、調整工程及び成形工程と共に溶
解工程をも泡の出にくいガラス溶解炉用材料を使用した
設備で実施するので、より泡のない高品質のガラス製品
を製造することができる。
【0021】請求項11は、請求項10記載のガラス製
品の製造方法であって、オスミウム含有量の上限値を1
0ppmに抑えたことを特徴とするガラス製品の製造方
法である。溶解工程も10ppm以下にしたことによ
り、許容値20ppmに対して十分な余裕を見込むこと
ができ、より確実に泡の発生を抑え、良質なガラス製品
を製造することができる。
【0022】請求項12は、請求項8記載のガラス製品
の製造方法であって、成形工程の前に、母材が白金又は
白金合金で、含む不純物としてのオスミウム含有量の上
限値が20ppmであるガラス溶解炉用材料を、少なく
とも溶解ガラスが接触する壁面に使用した攪拌槽にて、
溶融ガラスを攪拌することで、前記壁面からの泡の発生
を抑える攪拌工程を、更に含むことを特徴としたガラス
製品の製造方法である。
【0023】清澄工程、調整工程及び成形工程と共に攪
拌工程をも泡の出にくいガラス溶解炉用材料を使用した
設備で実施するので、より泡のない高品質のガラス製品
を製造することができる。
【0024】請求項13は、請求項12記載のガラス製
品の製造方法であって、オスミウム含有量の上限値を1
0ppmに抑えたことを特徴とするガラス製品の製造方
法である。攪拌工程も10ppm以下にしたことによ
り、許容値20ppmに対して十分な余裕を見込むこと
ができ、より確実に泡の発生を抑え、良質なガラス製品
を製造することができる。
【0025】請求項14は、請求項8記載のガラス製品
の製造方法であって、ガラス製品は、電子部品用ガラス
部材であることを特徴としたガラス製品の製造方法であ
る。泡が少ないので、高品質の電子部品用ガラス部材を
製造することができる。
【0026】請求項15は、請求項14記載のガラス製
品の製造方法であって、電子部品用ガラス部材は、液晶
用ガラス基板であることを特徴としたガラス製品の製造
方法である。泡が少ないので、高品質の液晶用ガラス基
板を製造することができる。
【0027】請求項16は、請求項14記載のガラス製
品の製造方法であって、電子部品用ガラス部材は、無ア
ルカリアルミノ硼珪酸組成ガラスであることを特徴とし
たガラス製品の製造方法である。泡が少ないので、高品
質の無アルカリアルミノ硼珪酸組成ガラスを製造するこ
とができる。
【0028】請求項17は、請求項9記載のガラス製品
の製造方法であって、ガラス製品は、電子部品用ガラス
部材であることを特徴としたガラス製品の製造方法であ
る。オスミウムの含有量を10ppm以下にしたガラス
溶解炉用材料を使用した設備で製造するので、より泡が
少ない高品質の電子部品用ガラス部材を製造することが
できる。
【0029】請求項18は、請求項17記載のガラス製
品の製造方法であって、電子部品用ガラス部材は、液晶
用ガラス基板であることを特徴としたガラス製品の製造
方法である。オスミウムの含有量を10ppm以下にし
たガラス溶解炉用材料を使用した設備で製造するので、
より泡が少ない高品質の液晶用ガラス基板を製造するこ
とができる。
【0030】請求項19は、請求項17記載のガラス製
品の製造方法であって、電子部品用ガラス部材は、無ア
ルカリアルミノ硼珪酸組成ガラスであることを特徴とし
たガラス製品の製造方法である。オスミウムの含有量を
10ppm以下にしたガラス溶解炉用材料を使用した設
備で製造するので、より泡が少ない高品質の無アルカリ
アルミノ硼珪酸組成ガラスを製造することができる。
【0031】請求項20は、請求項8記載のガラス製品
の製造方法であって、溶融ガラスの粘度は、2×106
ポアズを超えないようにしたことを特徴とするガラス製
品の製造方法である。オスミウムの含有量が20ppm
を超えない泡の出にくいガラス溶解炉用材料を使用する
箇所は、接触する溶融ガラスの粘度が2×106ポアズ
以下のところに限定した。溶融ガラスの粘度が2×10
6ポアズを超えたところに使用しても効果が薄いからで
ある。従って、設備費用の高騰を効果的に抑えることが
できる。
【0032】請求項21は、請求項20記載のガラス製
品の製造方法であって、溶融ガラスの粘度は、2×10
2ポアズを下回らないようにしたことを特徴とするガラ
ス製品の製造方法である。オスミウムの含有量が20p
pmを超えない泡の出にくいガラス溶解炉用材料を使用
する箇所は、接触する溶融ガラスの粘度が2×102
アズ以上のところに限定した。すなわち、接触する溶融
ガラスの粘度が2×102〜2×106ポアズの範囲にあ
る箇所だけ、泡の出にくいガラス溶解炉用材料を使用す
ることで、設備費用の高騰を効果的に抑えることができ
る。
【0033】請求項22は、請求項20記載のガラス製
品の製造方法であって、ガラス製品が光学用ガラスであ
るときに、その溶融ガラスの粘度が、7×10ポアズを
下回らないようにしたことを特徴とするガラス製品の製
造方法である。ガラス製品が光学用ガラスであるとき
に、オスミウムの含有量が20ppmを超えない泡の出
にくいガラス溶解炉用材料を使用する箇所は、接触する
溶融ガラスの粘度が7×10ポアズ以上のところに限定
した。すなわち、接触する溶融ガラスの粘度が7×10
〜2×106ポアズの範囲にある箇所だけ、泡の出にく
いガラス溶解炉用材料を使用することで、設備費用の高
騰を一層効果的に抑えることができる。
【0034】請求項23は、請求項21又は請求項22
記載のガラス製品の製造方法であって、オスミウム含有
量の上限値を10ppmに抑えたことを特徴とするガラ
ス製品の製造方法である。10ppm以下にしたことに
より、許容値20ppmに対して十分な余裕を見込むこ
とができ、より確実に泡の発生を抑え、良質なガラス製
品を製造することができる。
【0035】請求項24は、オスミウムを含む白金もし
くは白金合金を、酸化オスミウムの蒸発温度より十分に
高い温度で所定時間保持することにより、少なくともそ
れらの表面及び表面近傍のオスミウムの含有量を20p
pm以下に下げることを特徴とするガラス溶解炉用材料
の精製方法である。オスミウムの含有量が20ppmを
超えている場合には、白金もしくは白金合金を例えば1
700℃に数百時間保持することで、オスミウムの含有
量を下げることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基
づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見る
ものとする。図2は本発明に係るガラス溶解炉及びガラ
ス成形用型の基本構成図であり、ガラス溶解炉1は、溶
解槽2、清澄槽3、調整槽4、攪拌槽5、成形部6をこ
の順に配列したものであり、内壁に本発明の白金系又は
白金合金系材料を張り付けたことを特徴とする。白金系
材料については後述する。
【0037】ガラス溶解炉1の全設備に白金系又は白金
合金系材料を張り付けることが不経済であれば、清澄槽
3の下流側の設備である調整槽4、攪拌槽5、成形部6
を「後部設備」と称し、この後部設備にのみ白金系又は
白金合金系材料を張り付ければよい。
【0038】ここで、白金合金は、白金に例えばロジウ
ム元素を加えた合金および、酸化ジルコニウム、酸化カ
ルシウムを含有させたいわゆる均一分散型強化白金を含
む。
【0039】溶解槽2では、ガラス原料を溶解する。清
澄槽3では、溶解槽2から供給される溶解ガラス中の泡
及び溶在ガス成分をガラス原料中に加えた脱泡剤の働き
で除去する。調整槽4では、脱泡済みの溶解ガラスを保
持若しくは冷却して均一な温度にする。攪拌槽5では、
一定温度の溶解ガラスを攪拌して脈理現象を防止する。
なお、9は白金製攪拌棒である。成形部6では、溶解ガ
ラスを引き伸ばして板ガラスにする。この様な一連のプ
ロセスを連続的に実行できるものがガラス溶解炉1であ
る。
【0040】清澄槽3で脱泡処理するから、溶解槽2及
び清澄槽3で発生した泡も含めて除去可能である。一
方、調整槽4、攪拌槽5、成形部6又は排出部7及びガ
ラス成形用型8において新たに泡が発生した場合には泡
はそのまま残ることが多い。そこで、本発明では、少な
くとも後部設備(調整槽4、攪拌槽5、成形部6又は排
出部7及びガラス成形用型8)に本発明の白金系材料、
すなわち泡の出にくい白金系材料を内張りする。これで
新たに泡が発生する心配はない。
【0041】なお、清澄槽3で脱泡処理を容易にするた
めに、溶解槽2及び清澄槽3で発生する泡の量は少ない
ほど良い。そこで、溶解槽2及び清澄槽3をも泡の出に
くい白金系材料で内張りすることは望ましい。すなわ
ち、本発明では泡の出にくい白金系材料を、設備全部又
は調整槽4以降の後部設備に内張りすることを特徴とす
る。後部設備にのみ内張りするのであれば設備費をある
程度圧縮することができる。
【0042】なお、泡や脈理に関する要求品質がそれ程
厳しくないときには調整槽4を省略することは可能であ
る。又、溶解槽2及び清澄槽3を一体構造にすることも
可能のである。図2に示したとおりに攪拌槽5から直接
ガラス成形用型8へ溶解ガラスを送る若しくは攪拌槽5
から排出部7を介してガラス成形用型8へ溶解ガラスを
送り、ガラス成形用型8で型ガラスを製造するようにし
てもよい。
【0043】図2に示す溶解槽2、清澄槽3、調整槽
4、攪拌槽5、成形部6を連結する連結部10を白金又
は白金合金とする場合も、本発明のガラス溶解炉用材料
を使用することが好ましい。
【0044】ガラス原料には、ガラス成分の他、脱泡剤
として酸化砒素、酸化アンチモン、酸化錫、塩化バリウ
ム、硫酸バリウム、塩化カルシウムなどを含め、溶解ガ
ラス中に残存させる。そして、上記ガラス溶解炉1で処
理するガラスの組成は、特に限定しないが、例えばアル
ミノ硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、アルカリ成分
を実質的に含まない無アルカリガラス、たとえば無アル
カリアルミノ硼珪酸ガラス等の建築用の窓ガラスのソー
ダーライムシリカ組成のガラスより歪点が高いガラスで
ある。
【0045】ただし、泡を極度に嫌う電子部品用ガラス
部材、特に液晶用ガラス基板や無アルカリアルミノ硼珪
酸組成ガラスを処理するのに本発明のガラス溶解炉1は
好適である。さらに、本発明は、液晶用ガラス基板ほど
ガラスの単位体積あたりの泡品質が要求されない、上記
ガラス組成を用いた光導波路、光学レンズ、ガラスファ
イバーなどの光学用ガラスの溶解、成形についても好適
である。
【0046】
【実施例】本発明に係る実験例を次に説明する。本発明
は泡の出にくい白金系材料を確立したことを特徴とし、
この確立のために実施した実験例を詳細に説明する。な
お、実験は次の5種類を実施した。[実験1]は液晶用
ガラスを対象としてテストピースによるラボテスト。
[実験2]は光学用ガラスを対象としたテストピースに
よるラボテスト。[実験3]及び[実験4]は、図2の
ガラス溶解炉を用いた実機テスト。[実験5]は泡の出
にくい白金系材料の精製実験。
【0047】[実験1]: ガラス原料:別紙表2に示す組成 白金ルツボ:容量200ml、オスミウム不純物がない
(検出限界が約1ppmである発光分光分析で検出され
なかった)白金地金から製造。 溶解温度:1600℃ 溶解時間:3時間 清澄温度:1600〜1650℃ ガラスサンプル:清浄なステンレス上に流して、直径約
70mm×高さ約5mmの煎餅型のサンプルを作成。
【0048】
【表2】
【0049】白金板:母材が白金でオスミウムの含有量
が1.0ppm、10.3ppm、20ppm、31p
pm、976ppm、7460ppmである白金板を作
成。白金板のオスミウムの含有量は発光分光分析で定量
した。
【0050】上記白金板に、1cm角に切出したガラス
サンプルを載せ、高温顕微鏡にセットし、1050℃、
1150℃、1200℃、1250℃、1300℃又は
1600℃に加熱し、1時間保持し、この間に新たに発
生した泡数をビデオ撮影して数えた。
【0051】図3はガラスサンプルに発生した泡数を示
す状態図である。(a)図はオスミウム含有量が1pp
mの白金板を用い、加熱温度1300℃でガラスサンプ
ルに発生した泡数を示す状態図であり、(b)図はオス
ミウム含有量が7460ppmの白金板を用い、加熱温
度1300℃でガラスサンプルに発生した泡数を示す状
態図である。
【0052】図において、11A,11Bはガラスサン
プル、12A,12Bは白金板、13A,13Bは発生
した泡である。(a)図では泡13Aは1個であり、
(b)図では泡13Bは非常に多い。
【0053】表3中、太い黒枠内は計測した泡の数を示
す。なお、新たに発生した泡の数を時間及び溶解ガラス
が接する白金の面積で割った(除した)ために小数第一
位を含む数となった。
【0054】
【表3】
【0055】この表の一部をグラフ化したものが前記図
1であり、図1から白金板に含まれるオスミウム含有量
が増加するに伴い、泡の個数が増加することが判明し
た。そして、白金板中に含有される不純物のオスミウム
に起因する泡は、白金板とガラスが高温で接していると
発生することが判明した。ガラス中の泡数を減少させる
ためには、白金部材に含まれるオスミウム量を極力少な
くすることが有効であることが実験的に確認することが
できた。
【0056】上記表3の右端に記載したものがガラスの
粘度(ポアズ、poise)であり、温度が高くなるほ
ど泡が発生することと、温度が高くなるほど粘度が小さ
くなることから、粘度が小さくなるほど泡が発生するこ
ととなり、粘度と泡の発生との間に相関があることが十
分推定できる。すなわち、高粘度であれば、仮に泡が発
生してもその泡の移動速度(上昇速度)が極めて小さい
ため、新たな泡が発生しにくい。低粘度であれば、泡が
盛んに上昇し、新たな泡が次々と誕生すると考えられ
る。
【0057】図4は実験1における温度とガラス粘度と
のグラフであり、横軸は温度、縦軸(対数目盛)はガラ
ス粘度を示し、表3右欄の値をプロットして曲線で結ん
だものである。そして、上記表3において、加熱温度1
050℃、オスミウム20ppm以下で、泡の発生は0
であり、逆に加熱温度1050℃から泡の発生が始まる
と言える。そこで、図4のグラフにおいて1050℃の
ところに「泡発生」の矢印を記載した。また、上述した
とおり清澄温度は1500〜1650℃であり、以降の
調整槽(1500℃)、攪拌槽(1500℃)及び成形
部(1150〜1200℃)はそれ以下の温度であるた
め、実工程では清澄温度の1650℃が最高温度とな
る。この温度1650℃及び「清澄」の文字とをグラフ
に記載した。
【0058】図4から泡の発生を考えなければならない
範囲は、グラフの右に白抜き矢印で示したとおりであ
り、この範囲は2×102〜2×106ポアズとなる。こ
の範囲だけ、オスミウムの含有量は20ppm、好まし
くは10ppmを超えないようにガラス溶解炉用材料を
決定すれば、泡の発生を低レベルに抑えることができ
る。逆に、2×102ポアズより低粘度、又は2×106
ポアズより高粘度の領域において、オスミウムの含有量
を20ppm、又は10ppm以下にすることは、効果
的でなく、設備費の高騰を招くことになる。
【0059】[実験2]: ガラス原料:別紙表4に示す組成 白金ルツボ:容量200ml、オスミウム不純物がない
(検出限界が約1ppmである発光分光分析で検出され
なかった)白金地金から製造。 溶解温度:1350℃ 溶解時間:3時間 清澄温度:1350〜1400℃ ガラスサンプル:清浄なステンレス上に流して、直径約
70mm×高さ約5mmの煎餅型のサンプルを作成。
【0060】
【表4】
【0061】白金板:母材が白金でオスミウムの含有量
が1.0ppm、10.3ppm、20ppm、31p
pm、976ppm、7460ppmである白金板を作
成。白金板のオスミウムの含有量は発光分光分析で定量
した。
【0062】上記白金板に、1cm角に切出したガラス
サンプルを載せ、高温顕微鏡にセットし、750℃、8
00℃、900℃、1000℃、1200℃又は140
0℃に加熱し、1時間保持し、この間に新たに発生した
泡数をビデオ撮影して数えた。泡の発生状況は前記図3
(a),(b)と同様であるから、説明を省略する。
【0063】表5中、太い黒枠内は計測した泡の数を示
す。なお、新たに発生した泡の数を時間及び溶解ガラス
が接する白金の面積で割った(除した)ために小数第一
位を含む数となった。
【0064】
【表5】
【0065】図5は実験2のグラフであり、横軸はオス
ミウム含有量、縦軸は泡の数であり、加熱温度が870
℃でのグラフと1080℃でのグラフを記載した。オス
ミウムが20〜31ppmの範囲で泡の数が製品品質上
問題になるレベルに増加する。安全を見て点P3,P4
で示した点、すなわちオスミウムの上限値を20ppm
とすれば泡の発生を抑えることができるといえる。さら
には、ガラス素材の成分の変動を考慮すればオスミウム
の上限を抑えるには余裕がほしい。そして、泡の発生の
点からオスミウムは少ないほど良いから、安全率を2倍
として、20ppmの半分の10ppmにすることが好
ましい。
【0066】すなわち、実験2(図5参照)から、実験
1(図1参照)と同様にオスミウムの上限値を20pp
m、望ましくは10ppmとすべきであることが分かっ
た。
【0067】図6は実験2における温度とガラス粘度と
のグラフであり、横軸は温度、縦軸(対数目盛)はガラ
ス粘度を示し、表5右欄の値をプロットして曲線で結ん
だものである。そして、上記表5において、加熱温度8
10℃、オスミウム10.3ppm以下で、泡の発生は
0であり、逆に加熱温度810℃から泡の発生が始まる
と言える。そこで、図6のグラフにおいて、810℃の
ところに「泡発生」の矢印を記載した。また、上述した
とおり清澄温度は1350〜1400℃であり、以降の
調整槽(1300℃)、攪拌槽(1200℃)及び成形
部(1050℃)はそれ以下の温度であるため、実工程
では清澄温度の1400℃が最高温度となる。この温度
1400℃及び「清澄」の文字をグラフに記載した。
【0068】図6から泡の発生を考えなければならない
範囲は、グラフの右に白抜き矢印で示したとおりであ
り、この範囲は7×10〜2×106ポアズとなる。こ
の範囲だけ、オスミウムの含有量を20ppm、好まし
くは10ppmを超えないようにガラス溶解炉用材料を
決定すれば、泡の発生を低レベルに抑えることができ
る。逆に、7×10ポアズより低粘度、又は2×106
ポアズより高粘度の領域において、オスミウムの含有量
を20ppm、又は10ppm以下にすることは、効果
的でなく、設備費の高騰を招くことになる。
【0069】ところで、ガラスの成分が異なると温度に
よる泡の管理は困難になる。しかし、粘度で泡の管理を
実施すれば、この管理手法は各種成分のガラスに広く適
用することができ便利である。図6から対象ガラスの種
類が、光学用ガラスである場合は、7×10〜2×10
6ポアズの範囲のときに、オスミウムの含有量を20p
pm、好ましくは10ppmを超えないようにガラス溶
解炉用材料を決定すれば、効果的であり、経済的であ
る。
【0070】また、図4の液晶用ガラスでは泡の発生を
効果的に且つ経済的に低レベルに抑える粘度の範囲は2
×102〜2×106ポアズである。この2×102〜2
×106ポアズであれば、図6の光学用ガラスでも泡の
発生をもちろん抑制できる。従って、対象ガラスを、光
学用ガラスに限らないとすれば2×102〜2×106
アズの範囲に納めれば、オスミウムの含有量を20pp
m、好ましくは10ppmを超えないようにガラス溶解
炉用材料を決定すれば、効果的であり、経済的である。
【0071】上記二種のガラスについての低粘度側の数
値を示す温度は、それぞれのガラスについてのほぼ清澄
温度に相当する。
【0072】以上に述べた[実験1],[実験2]はテ
ストピースによるラボテストであるから、実機(実際の
装置)にそのまま適用できるか否かを確認する必要があ
る。そこで、[実験3]で実機テストを実施した。
【0073】[実験3]: ガラス原料:実験1と同一、即ち表2に示すガラス組成 実験設備:図2に示す設備、ただし白金系材料は、溶解
槽を除く清澄槽調整槽、攪拌槽及、成形部及び連結部に
は次に示すものを採用 白金系材料:白金の不純物としてオスミウム含有量が2
0ppm、砒素含有量が4ppm、イリジウム含有量が
5ppmの材料 溶解槽:ガラス原料を連続的に溶解槽に投入し、天然ガ
ス燃焼と電気ブースタにより約1600〜1650℃に
加熱して溶解
【0074】清澄槽:天然ガス燃焼と電気ブースタによ
る加熱によってほぼ1600℃でガラス原料中に混入さ
せたAs23清澄剤により脱泡 調整槽:約1500℃に電気加熱 攪拌槽:1500℃で白金製攪拌棒で攪拌 成形部:幅約1000mm×厚みが0.7mmのガラス
板に成形
【0075】ガラス板の成形開始からガラス板中に含ま
れる泡の数をガラスの単位重量当たりで計数した。とこ
ろ、ほぼ10個/kgから1個/kg以下になるまでに
要した時間は「約5日」であった。そして、その後泡の
数はさらに減少し、泡品質は0〜0.3個/kgで安定
した。この泡品質は、液晶表示素子用の基板ガラスとし
て十分満足するものである。
【0076】実験3の結果は、白金に含まれるオスミウ
ム含有量を20ppmとしたので、発生する泡数が少な
く、高品質のガラス製品を実現できることが判明した。
また、実験1および実験3の結果より、白金に含まれる
オスミウム含有量を少なくすることが発生する泡数を少
なくすることができ、白金に含まれるオスミウム含有量
は10ppm以下が望ましい。
【0077】[実験4]:実験3と比較するため、白金
材に含まれるオスミウム含有量は工業用グレードの50
ppmとした。実験3と同じ構造、規模のガラス溶解成
形設備により、表2のガラス組成の巾が約1000mm
の帯状ガラス板を製造し、切断して所定寸法のガラス板
を連続的に大量に製造した。このときに溶解ガラスと接
触する部分に用いた白金部材は、清澄部と、成形部であ
って、これら白金の不純物としてのオスミウム含有量
は、工業用グレードそのままの50ppm、砒素4pp
m、イリジウム6ppmであった。
【0078】ガラス板の成型開始からガラス板中に含ま
れる泡の数をガラスの単位重量当たりで計数したとこ
ろ、ほぼ100個/kgから1個/kg以下になるまで
に「約1ヶ月」を要し、その後もガラス中の泡の数は不
安定であった。実験3は約5日であったから、この実験
4は実験3の6倍のウオーミングアップ時間を要するこ
とになる。
【0079】ガラス溶解炉の清澄部や成形部等の高温の
溶解ガラスと接触して用いられる白金部材の寿命は、ガ
ラス溶解操業内容により異なるが、通常大略1年以下で
あることを考慮すると、実験3で示されるような泡欠点
レベルが早期に安定化できることは、経済的に極めて有
用である。
【0080】以上の実験3,4は実験1に対する実機試
験であった。説明は省略するが、実験2についても同様
であることが実験で確認できた。
【0081】以上の説明から母材が白金又は白金合金
で、含む不純物としてのオスミウム含有量の上限値が2
0ppm、好ましくは10ppmであるガラス溶解炉用
材料が、ガラス溶解炉を構成する上で、極めて重要であ
ることが分かった。そこで、次にガラス溶解炉用材料の
精製実験を行ったので、その説明をする。 [実験5]: 供試材の寸法 30mm×30mm×1.2mm 供試材の主成分 白金 オスミウム含有量 30ppm 精製装置 電気炉 精製時間 100時間,360時間
【0082】30ppmのオスミウムを含む供試材を電
気炉に入れて、1600℃又は1700℃で加熱保持し
て、所定時間後のオスミウム含有量を計測した。
【0083】図7はオスミウム含有量の変化を示すグラ
フであり、横軸は時間、縦軸はオスミウム含有量を示
す。処理温度が1600℃のときには、目標の20pp
mに達するのに360時間かかった。これに対して処理
温度を1700℃にすると、約260時間で20ppm
に達し、360時間後には17ppmまで改善すること
ができた。すなわち、10ppm改善するのに、170
0℃では260時間(11日)、1600℃では360
時間(15日)を要する。
【0084】白金中のオスミウムは、通常は金属として
含有しているが、これを酸化雰囲気で高温で処理する
と、表層のオスミウムが酸化オスミウム(OsO4)に
変る。この酸化オスミウムは沸点が131℃と低く、こ
の温度で蒸発し逸散する。すると、内部からオスミウム
が表面に移動し、酸化されて蒸発し逸散する。オスミウ
ムが表面へ移動することを拡散という。この拡散と蒸発
とが連続的に且つ並行して進行することで、白金中から
オスミウムが抜けると考えられるが、蒸発に要するエネ
ルギーより拡散に要するエネルギーが圧倒的に大きくな
り、そのために加熱温度(処理温度)が高いほど処理時
間が短くなると思われる。
【0085】ところで、上記表1に示したとおりに、工
業用白金のオスミウムの含有率は30〜84ppmであ
る。84ppmであれば、64ppmを低減しなければ
ならず、1700℃で処理すると、単純計算で、11日
×6.4倍=70日、1600℃で処理すれば15日×
6.4倍=96日となる。処理温度が1500℃や14
00℃でも、処理は可能であるが、処理時間は倍増す
る。そこで、実験例5で示したとおりに、1600℃、
好ましくは1700℃で処理することが処理時間短縮の
上で望ましい。
【0086】又は、白金地金供給者において、成分調整
をする段階でオスミウムの含有率を限りなくゼロにする
ことは可能である。従って、そのような白金又は白金合
金を購入するようにしてもよい。
【0087】本発明の製造方法は、泡を極度に嫌う電子
部品用ガラス部材の製造に好適である。泡がないので、
良好な視界が確保でき、且つ像が歪む心配も無い。本発
明の製造方法は、特に液晶用ガラス基板の製造に好適で
ある。泡が表面に介在すると回路の断線を心配しなけれ
ばならないが、泡が無いのでその心配が無いからであ
る。また、本発明の製造方法は、無アルカリアルミノ硼
珪酸組成ガラスの製造に好適である。泡がないので、良
好な視界が確保でき、且つ像が歪む心配も無いからであ
る。
【0088】尚、本発明の白金系材料をガラス溶解炉や
ガラス成形用型の溶解ガラスと接触する部分に張り付け
れば泡防止効果が得られることは明らかである。従っ
て、設備の内面全部に張るか溶解ガラスと接触する部分
にのみ張るかは、任意に決定すればよい。
【0089】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1のガラス溶解炉用材料は、母材が白金又
は白金合金で、含む不純物としてのオスミウム含有量の
上限値が20ppmとしたものであり、オスミウムの上
限値を20ppmとすれば泡の発生を抑えることができ
る。
【0090】請求項2のガラス溶解炉用材料は、オスミ
ウム含有量を10ppmに抑えたことを特徴とし、ガラ
ス素材の成分の変動を考慮すればオスミウムの上限を抑
えるには余裕がほしい。そして、泡の発生の点からオス
ミウムは少ないほど良いから、安全率を2倍として、2
0ppmの半分の10ppmにすることが好ましい。
【0091】請求項3は、母材が白金又は白金合金で、
含む不純物としてのオスミウム含有量の上限値が20p
pmであるガラス溶解炉用材料を、少なくとも溶解ガラ
スに接触する部分に使用したことを特徴とするガラス溶
解炉であり、母材が白金又は白金合金で、含む不純物と
してのオスミウム含有量の上限値が20ppmとしたガ
ラス溶解炉用材料で炉を内張りしたことにより、溶解ガ
ラスにおける泡の発生を抑え、良質なガラス製品を製造
することができる。
【0092】請求項4はガラス溶解炉であって、オスミ
ウム含有量の上限値を10ppmに抑えたことを特徴と
し、10ppm以下にしたことにより、許容値20pp
mに対して十分な余裕を見込むことができ、より確実に
泡の発生を抑え、良質なガラス製品を製造することがで
きる。
【0093】請求項5は、請求項3記載のガラス溶解炉
であって、このガラス溶解炉は、ガラス原料を溶解する
溶解槽と、溶解ガラスを脱泡処理する清澄槽と、溶解ガ
ラスを引き伸ばして板ガラスに成形する成形部とを含
み、少なくともこの成形部にガラス溶解炉用材料を使用
したことを特徴とし、成形部では溶解ガラスを板ガラス
に成形する箇所であり、この成形部に泡が存在すること
は許されない。そこで、成形部に泡を出さぬガラス溶解
炉用材料を使用することにした。これで、泡の無い良質
な板ガラスを製造することができる。成形部に限定して
泡を出さぬガラス溶解炉用材料を使用すれば、設備費用
の高騰を抑えることができる。
【0094】請求項6は、請求項3記載のガラス溶解炉
であって、このガラス溶解炉は、ガラス原料を溶解する
溶解槽と、溶解ガラスを脱泡処理する清澄槽と、脱泡済
みの溶解ガラスを調整、攪拌及び成形するための後部設
備を含み、この後部設備にガラス溶解炉用材料を使用し
たことを特徴とする。後部設備は、例えば調整槽、攪拌
槽、成形部からなるが、この様な後部設備に泡が存在す
ることは好ましくない。そこで、後部設備に泡を出さぬ
ガラス溶解炉用材料を使用することにした。これで、泡
の無い良質なガラス製品を製造することができる。後部
設備に限定して泡を出さぬガラス溶解炉用材料を使用す
れば、設備費用の高騰を抑えることができる。
【0095】請求項7は、請求項6記載のガラス溶解炉
であって、清澄槽にガラス溶解炉用材料を使用したこと
を特徴とする。後部設備と共に清澄槽にも泡を出さぬガ
ラス溶解炉用材料を使用する。より確実に泡の発生を抑
えることができ、良質なガラス製品を製造することがで
きる。
【0096】請求項8は、母材が白金又は白金合金で、
含む不純物としてのオスミウム含有量の上限値が20p
pmであるガラス溶解炉用材料を、少なくとも溶解ガラ
スが接触する壁面に使用した清澄槽にて、溶解ガラスの
脱泡処理することで、前記壁面からの泡の発生を抑える
清澄工程と、母材が白金又は白金合金で、含む不純物と
してのオスミウム含有量の上限値が20ppmであるガ
ラス溶解炉用材料を、少なくとも溶解ガラスが接触する
壁面に使用した調整槽にて、前記清澄槽からの溶解ガラ
スを所定の均一温度に調整することで、前記壁面からの
泡の発生を抑える調整工程と、母材が白金又は白金合金
で、含む不純物としてのオスミウム含有量の上限値が2
0ppmであるガラス溶解炉用材料を、少なくとも溶解
ガラスが接触する壁面に使用した成形部にて、前記調整
槽からの溶解ガラスを板ガラスに成形することで、前記
壁面からの泡の発生を抑える成形工程と、を含むことを
特徴としたガラス製品の製造方法である。
【0097】オスミウム含有量が20ppm以下のガラ
ス溶解炉用材料を使用した設備にて、清澄工程、調整工
程及び成形工程を実施するので、泡のない高品質のガラ
ス製品を製造することができる。
【0098】請求項9は、請求項8記載のガラス製品の
製造方法であって、オスミウム含有量の上限値を10p
pmに抑えたことを特徴とするガラス製品の製造方法で
ある。10ppm以下にしたことにより、許容値20p
pmに対して十分な余裕を見込むことができ、より確実
に泡の発生を抑え、良質なガラス製品を製造することが
できる。
【0099】請求項10は、請求項8記載のガラス製品
の製造方法であって、清澄工程の前に、母材が白金又は
白金合金で、含む不純物としてのオスミウム含有量の上
限値が20ppmであるガラス溶解炉用材料を、少なく
とも溶解ガラスが接触する壁面に使用した溶解槽にて、
ガラスを溶解することで、前記壁面からの泡の発生を抑
える溶解工程を、更に含むことを特徴としたガラス製品
の製造方法である。
【0100】清澄工程、調整工程及び成形工程と共に溶
解工程をも泡の出にくいガラス溶解炉用材料を使用した
設備で実施するので、より泡のない高品質のガラス製品
を製造することができる。
【0101】請求項11は、請求項10記載のガラス製
品の製造方法であって、オスミウム含有量の上限値を1
0ppmに抑えたことを特徴とするガラス製品の製造方
法である。溶解工程も10ppm以下にしたことによ
り、許容値20ppmに対して十分な余裕を見込むこと
ができ、より確実に泡の発生を抑え、良質なガラス製品
を製造することができる。
【0102】請求項12は、請求項8記載のガラス製品
の製造方法であって、成形工程の前に、母材が白金又は
白金合金で、含む不純物としてのオスミウム含有量の上
限値が20ppmであるガラス溶解炉用材料を、少なく
とも溶解ガラスが接触する壁面に使用した攪拌槽にて、
溶融ガラスを攪拌することで、前記壁面からの泡の発生
を抑える攪拌工程を、更に含むことを特徴としたガラス
製品の製造方法である。
【0103】清澄工程、調整工程及び成形工程と共に攪
拌工程をも泡の出にくいガラス溶解炉用材料を使用した
設備で実施するので、より泡のない高品質のガラス製品
を製造することができる。
【0104】請求項13は、請求項12記載のガラス製
品の製造方法であって、オスミウム含有量の上限値を1
0ppmに抑えたことを特徴とするガラス製品の製造方
法である。攪拌工程も10ppm以下にしたことによ
り、許容値20ppmに対して十分な余裕を見込むこと
ができ、より確実に泡の発生を抑え、良質なガラス製品
を製造することができる。
【0105】請求項14は、請求項8記載のガラス製品
の製造方法であって、ガラス製品は、電子部品用ガラス
部材であることを特徴としたガラス製品の製造方法であ
る。泡が少ないので、高品質の電子部品用ガラス部材を
製造することができる。
【0106】請求項15は、請求項14記載のガラス製
品の製造方法であって、電子部品用ガラス部材は、液晶
用ガラス基板であることを特徴としたガラス製品の製造
方法である。泡が少ないので、高品質の液晶用ガラス基
板を製造することができる。
【0107】請求項16は、請求項14記載のガラス製
品の製造方法であって、電子部品用ガラス部材は、無ア
ルカリアルミノ硼珪酸組成ガラスであることを特徴とし
たガラス製品の製造方法である。泡が少ないので、高品
質の無アルカリアルミノ硼珪酸組成ガラスを製造するこ
とができる。
【0108】請求項17は、請求項9記載のガラス製品
の製造方法であって、ガラス製品は、電子部品用ガラス
部材であることを特徴としたガラス製品の製造方法であ
る。オスミウムの含有量を10ppm以下にしたガラス
溶解炉用材料を使用した設備で製造するので、より泡が
少ない高品質の電子部品用ガラス部材を製造することが
できる。
【0109】請求項18は、請求項17記載のガラス製
品の製造方法であって、電子部品用ガラス部材は、液晶
用ガラス基板であることを特徴としたガラス製品の製造
方法である。オスミウムの含有量を10ppm以下にし
たガラス溶解炉用材料を使用した設備で製造するので、
より泡が少ない高品質の液晶用ガラス基板を製造するこ
とができる。
【0110】請求項19は、請求項17記載のガラス製
品の製造方法であって、電子部品用ガラス部材は、無ア
ルカリアルミノ硼珪酸組成ガラスであることを特徴とし
たガラス製品の製造方法である。オスミウムの含有量を
10ppm以下にしたガラス溶解炉用材料を使用した設
備で製造するので、より泡が少ない高品質の無アルカリ
アルミノ硼珪酸組成ガラスを製造することができる。
【0111】請求項20は、請求項8記載のガラス製品
の製造方法であって、溶融ガラスの粘度は、2×106
ポアズを超えないようにしたことを特徴とするガラス製
品の製造方法である。オスミウムの含有量が20ppm
を超えない泡の出にくいガラス溶解炉用材料を使用する
箇所は、接触する溶融ガラスの粘度が2×106ポアズ
以下のところに限定した。溶融ガラスの粘度が2×10
6ポアズを超えたところに使用しても効果が薄いからで
ある。従って、設備費用の高騰を効果的に抑えることが
できる。
【0112】請求項21は、請求項20記載のガラス製
品の製造方法であって、溶融ガラスの粘度は、2×10
2ポアズを下回らないようにしたことを特徴とするガラ
ス製品の製造方法である。オスミウムの含有量が20p
pmを超えない泡の出にくいガラス溶解炉用材料を使用
する箇所は、接触する溶融ガラスの粘度が2×102
アズ以上のところに限定した。すなわち、接触する溶融
ガラスの粘度が2×102〜2×106ポアズの範囲にあ
る箇所だけ、泡の出にくいガラス溶解炉用材料を使用す
ることで、設備費用の高騰を効果的に抑えることができ
る。
【0113】請求項22は、請求項20記載のガラス製
品の製造方法であって、ガラス製品が光学用ガラスであ
るときに、その溶融ガラスの粘度が、7×10ポアズを
下回らないようにしたことを特徴とするガラス製品の製
造方法である。ガラス製品が光学用ガラスであるとき
に、オスミウムの含有量が20ppmを超えない泡の出
にくいガラス溶解炉用材料を使用する箇所は、接触する
溶融ガラスの粘度が7×10ポアズ以上のところに限定
した。すなわち、接触する溶融ガラスの粘度が7×10
〜2×106ポアズの範囲にある箇所だけ、泡の出にく
いガラス溶解炉用材料を使用することで、設備費用の高
騰を一層効果的に抑えることができる。
【0114】請求項23は、請求項21又は請求項22
記載のガラス製品の製造方法であって、オスミウム含有
量の上限値を10ppmに抑えたことを特徴とするガラ
ス製品の製造方法である。10ppm以下にしたことに
より、許容値20ppmに対して十分な余裕を見込むこ
とができ、より確実に泡の発生を抑え、良質なガラス製
品を製造することができる。
【0115】請求項24は、オスミウムを含む白金もし
くは白金合金を、酸化オスミウムの蒸発温度より十分に
高い温度で所定時間保持することにより、少なくともそ
れらの表面及び表面近傍のオスミウムの含有量を20p
pm以下に下げることを特徴とするガラス溶解炉用材料
の精製方法である。オスミウムの含有量が20ppmを
超えている場合には、白金もしくは白金合金を例えば1
700℃に数百時間保持することで、オスミウムの含有
量を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオスミウムの含有量と泡の数の関
係を示すグラフ
【図2】本発明に係るガラス溶解炉及びガラス成形用型
の基本構成図
【図3】ガラスサンプルに発生した泡数を示す状態図
【図4】実験1における温度とガラス粘度とのグラフ
【図5】実験2のグラフ
【図6】実験2における温度とガラス粘度とのグラフ
【図7】オスミウム含有量の変化を示すグラフ
【符号の説明】
1…ガラス溶解炉、2…溶解槽、3…清澄槽、4…調整
槽、5…攪拌槽、6…成形部、7…排出部、8…ガラス
成型用型、9…攪拌棒、10…連結部、11A,11B
…ガラスサンプル、12A,12B…白金板、13A,
13B…発生した泡。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C03B 5/43 C03B 5/225

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材が白金又は白金合金で、含む不純物
    としてのオスミウム含有量の上限値が20ppmである
    ことを特徴としたガラス溶解炉用材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のガラス溶解炉用材料であ
    って、前記オスミウム含有量の上限値を10ppmに抑
    えたことを特徴とするガラス溶解炉用材料。
  3. 【請求項3】 母材が白金又は白金合金で、含む不純物
    としてのオスミウム含有量の上限値が20ppmである
    ガラス溶解炉用材料を、少なくとも溶解ガラスに接触す
    る部分に使用したことを特徴とするガラス溶解炉。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のガラス溶解炉であって、
    前記オスミウム含有量の上限値を10ppmに抑えたこ
    とを特徴とするガラス溶解炉。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のガラス溶解炉であって、
    このガラス溶解炉は、ガラス原料を溶解する溶解槽と、
    溶解ガラスを脱泡処理する清澄槽と、溶解ガラスを引き
    伸ばして板ガラスに成形する成形部とを含み、少なくと
    もこの成形部に前記ガラス溶解炉用材料を使用したこと
    を特徴とするガラス溶解炉。
  6. 【請求項6】 請求項3記載のガラス溶解炉であって、
    このガラス溶解炉は、ガラス原料を溶解する溶解槽と、
    溶解ガラスを脱泡処理する清澄槽と、脱泡済みの溶解ガ
    ラスを調整、攪拌及び成形するための後部設備を含み、
    この後部設備に前記ガラス溶解炉用材料を使用したこと
    を特徴とするガラス溶解炉。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のガラス溶解炉であって、
    前記清澄槽に前記ガラス溶解炉用材料を使用したことを
    特徴とするガラス溶解炉。
  8. 【請求項8】 母材が白金又は白金合金で、含む不純物
    としてのオスミウム含有量の上限値が20ppmである
    ガラス溶解炉用材料を、少なくとも溶解ガラスが接触す
    る壁面に使用した清澄槽にて、溶解ガラスの脱泡処理す
    ることで、前記壁面からの泡の発生を抑える清澄工程
    と、 母材が白金又は白金合金で、含む不純物としてのオスミ
    ウム含有量の上限値が20ppmであるガラス溶解炉用
    材料を、少なくとも溶解ガラスが接触する壁面に使用し
    た調整槽にて、前記清澄槽からの溶解ガラスを所定の均
    一温度に調整することで、前記壁面からの泡の発生を抑
    える調整工程と、 母材が白金又は白金合金で、含む不純物としてのオスミ
    ウム含有量の上限値が20ppmであるガラス溶解炉用
    材料を、少なくとも溶解ガラスが接触する壁面に使用し
    た成形部にて、前記調整槽からの溶解ガラスを板ガラス
    に成形することで、前記壁面からの泡の発生を抑える成
    形工程と、 を含むことを特徴としたガラス製品の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のガラス製品の製造方法で
    あって、前記オスミウム含有量の上限値を10ppmに
    抑えたことを特徴とするガラス製品の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8記載のガラス製品の製造方法
    であって、前記清澄工程の前に、 母材が白金又は白金合金で、含む不純物としてのオスミ
    ウム含有量の上限値が20ppmであるガラス溶解炉用
    材料を、少なくとも溶解ガラスが接触する壁面に使用し
    た溶解槽にて、ガラスを溶解することで、前記壁面から
    の泡の発生を抑える溶解工程を、 更に含むことを特徴としたガラス製品の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載のガラス製品の製造方
    法であって、前記オスミウム含有量の上限値を10pp
    mに抑えたことを特徴とするガラス製品の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項8記載のガラス製品の製造方法
    であって、前記成形工程の前に、 母材が白金又は白金合金で、含む不純物としてのオスミ
    ウム含有量の上限値が20ppmであるガラス溶解炉用
    材料を、少なくとも溶解ガラスが接触する壁面に使用し
    た攪拌槽にて、溶融ガラスを攪拌することで、前記壁面
    からの泡の発生を抑える攪拌工程を、 更に含むことを特徴としたガラス製品の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12記載のガラス製品の製造方
    法であって、前記オスミウム含有量の上限値を10pp
    mに抑えたことを特徴とするガラス製品の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項8記載のガラス製品の製造方法
    であって、前記ガラス製品は、電子部品用ガラス部材で
    あることを特徴としたガラス製品の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項14記載のガラス製品の製造方
    法であって、前記電子部品用ガラス部材は、液晶用ガラ
    ス基板であることを特徴としたガラス製品の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項14記載のガラス製品の製造方
    法であって、前記電子部品用ガラス部材は、無アルカリ
    アルミノ硼珪酸組成ガラスであることを特徴としたガラ
    ス製品の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項9記載のガラス製品の製造方法
    であって、前記ガラス製品は、電子部品用ガラス部材で
    あることを特徴としたガラス製品の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項17記載のガラス製品の製造方
    法であって、前記電子部品用ガラス部材は、液晶用ガラ
    ス基板であることを特徴としたガラス製品の製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項17記載のガラス製品の製造方
    法であって、前記電子部品用ガラス部材は、無アルカリ
    アルミノ硼珪酸組成ガラスであることを特徴としたガラ
    ス製品の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項8記載のガラス製品の製造方法
    であって、前記溶融ガラスの粘度は、2×106ポアズ
    を超えないようにしたことを特徴とするガラス製品の製
    造方法。
  21. 【請求項21】 請求項20記載のガラス製品の製造方
    法であって、前記溶融ガラスの粘度は、2×102ポア
    ズを下回らないようにしたことを特徴とするガラス製品
    の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項20記載のガラス製品の製造方
    法であって、ガラス製品が光学用ガラスであるときに、
    その溶融ガラスの粘度が、7×10ポアズを下回らない
    ようにしたことを特徴とするガラス製品の製造方法。
  23. 【請求項23】 請求項21又は請求項22記載のガラ
    ス製品の製造方法であって、前記オスミウム含有量の上
    限値を10ppmに抑えたことを特徴とするガラス製品
    の製造方法。
  24. 【請求項24】 オスミウムを含む白金もしくは白金合
    金を、酸化オスミウムの蒸発温度より十分に高い温度で
    所定時間保持することにより、少なくともそれらの表面
    及び表面近傍のオスミウムの含有量を20ppm以下に
    下げることを特徴とするガラス溶解炉用材料の精製方
    法。
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