JP2975205B2 - 静電チャック及びその製造方法 - Google Patents

静電チャック及びその製造方法

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JP2975205B2 JP1105792A JP1105792A JP2975205B2 JP 2975205 B2 JP2975205 B2 JP 2975205B2 JP 1105792 A JP1105792 A JP 1105792A JP 1105792 A JP1105792 A JP 1105792A JP 2975205 B2 JP2975205 B2 JP 2975205B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体ウエハー等をチ
ャックするための静電チャック及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体ウエハー固定技術として
は、メカニカル固定、真空チャック、静電チャックの各
方式が知られており、例えば、半導体ウエハーの搬送
用、露光、成膜、微細加工、洗浄、ダイシング等に使用
されている。このうち、静電チャックは、ウエハー設置
面に対して静電力によって半導体ウエハーを吸着し、こ
れとウエハー設置面との密着性を制御できるものであ
る。また、これにより半導体ウエハーの冷却や平面度矯
正等の性能をも付与できるため、非常に有望と考えられ
ている。
【0003】こうした静電チャックは、円盤状基体と絶
縁性誘電体層との間に膜状の内部電極を埋設してなる。
この絶縁性誘電体層には、抵抗が高いこと、絶縁耐力が
高いこと、使用温度において比誘電率が高いこと等の特
性が要求される。静電チャックの吸着力、使用温度範囲
等は、絶縁性誘電体層の材質によってほぼ決定される。
【0004】従来、絶縁性誘電体層の材質としては、ポ
リイミド等の有機絶縁材料が一般的である。この種の材
料を用いた静電チャックは、200 ℃以下の温度では良好
な特性を有する。しかし、例えば半導体製造用熱CVD
装置等においては、300 ℃以上もの高温域で半導体ウエ
ハーをチャックしなければならず、こうした高温域では
有機絶縁材料は使用できない。また、焼結セラミックス
板を絶縁性誘電体層として用いることが知られており、
この場合は 600〜800 ℃程度まで使用できる。しかし、
焼結セラミックスには、空孔や欠陥が多く含まれている
ので、絶縁破壊が生じ易く、絶縁特性についての信頼性
が低い。特に、絶縁耐力にバラツキが大きく、歩留りの
低下や寿命低下の原因となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】窒化珪素等のセラミッ
クス材料からなる膜を、化学的気相成長法(CVD法)
によって形成すれば、高温でも使用可能であるし、また
緻密な膜が得られるので静電チャックの絶縁耐力を高く
できる。しかし、CVD法によってセラミックス膜を形
成する方法では、設備が高価であり、膜の生産速度が極
めて遅く、生産性が悪い。従って、セラミックス膜のコ
ストが著しく高くなるので、実用的ではない。
【0006】本発明の課題は、緻密質セラミックスから
なる盤状基体と、この盤状基体上の絶縁性誘電体層とを
備えている静電チャックにおいて、絶縁性誘電体層の絶
縁耐圧のバラツキを小さくし、かつ熱衝撃が加わった後
にも安定して動作し得るような、信頼性の高い静電チャ
ックを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る静電チャッ
クは、緻密質セラミックスからなる盤状基体と、この盤
状基体の一方の主面に形成された内部電極と、一方の主
面に形成された絶縁性誘電体層を備えており、絶縁性誘
電体層の全体が脱泡済みガラスからなり、絶縁性誘電体
層が内部電極に対して接触し、内部電極を被覆している
ことを特徴とする。
【0008】また、本発明は、緻密質セラミックスから
なる盤状基体の一方の主面に内部電極を形成し、この盤
状基体を回転させながら脱泡済みのガラス溶融液を前記
一方の主面にスピンコートし、ガラス溶融液の被膜を冷
却させて脱泡済みガラスからなる絶縁性誘電体層を形成
する、静電チャックの製造方法に係るものである。
【0009】更に、本発明は、緻密質セラミックスから
なる盤状基体の一方の主面に内部電極を形成し、この盤
状基体を回転させながら脱泡済みのガラス溶融液を前記
一方の主面にスピンコートし、ガラス溶融液の被膜を冷
却させて脱泡済みガラスの被膜を得、この被膜を熱処理
することによって脱泡済みガラスを結晶化させる、静電
チャックの製造方法に係るものである。
【0010】
【実施例】本発明をヒーター付きの静電チャックに適用
した実施例について、図1、図2を参照しつつ説明す
る。図1は、円盤状基体1Aにガラス溶融液9をスピン
コートする直前の状態を示す概略断面図、図2は静電チ
ャックの概略断面図である。まず図1から順を追って説
明する。
【0011】例えば円盤状基体1Aの内部に、抵抗発熱
体2が埋設される。円盤状基体1Aは緻密質セラミック
スからなる。抵抗発熱体2は、例えば、平面的にみると
渦巻状に埋設され、細かくみると螺旋状に巻回されてい
る。抵抗発熱体2の両端に、それぞれ端子3が接続、固
定される。端子3は円盤状基体1Aに埋設される。円盤
状基体1Aの一方の主面1aには、膜状の内部電極7が形
成されている。内部電極7の平面形状は、必要に応じて
選択する。端子3の末端面が、他方の主面1bに露出す
る。
【0012】円盤状基体1Aの例えば中央付近に貫通孔
4を形成し、また、熱電対収容孔5を設ける。熱電対収
容孔5は、他方の主面1b側へと開口し、かつ他方の主面
1aの近くまで延びている。
【0013】例えば電気炉の中に回転テーブル6を設置
する。回転テーブル6は、平坦な支持台6aと回転軸6bと
からなる。支持台6aに、円盤状基体1Aの他方の主面1b
を載置し、ヒーター10を発熱させて円盤状基体1Aを予
熱する。これと同時に、回転テーブル6を回転させる。
回転テーブル6の回転速度は、目的とするガラス溶融液
の被膜の厚さに合わせて、設定する。ルツボ8内に、脱
泡、清澄済みのガラス溶融液9を収容しておき、ルツボ
8を傾斜させてガラス溶融液9を一方の主面1aに流下さ
せる。これによりガラス溶融液9を一方の主面1aにスピ
ンコートし、ガラス溶融液9からなる被膜を形成する。
【0014】スピンコート後は、二つの態様がある。第
一の態様においては、ガラス溶融液からなる被膜を冷却
させてガラスの被膜を得、このガラス被膜を研磨加工及
び整面処理して絶縁性誘電体層11を得る。第二の態様に
おいては、ガラス溶融液からなる被膜を冷却させてガラ
スの被膜を得、この被膜を脱泡済みガラスの再結晶温度
以上に昇温させ、再び降温させることによって脱泡済み
ガラスを結晶化させる。
【0015】図2に示すように、各端子3の端面に給電
ケーブル12Aが接合され、各給電ケーブル12Aがそれぞ
れコントローラー14に接続されている。コントローラー
14に内蔵されたスイッチをオン状態にすることにより、
抵抗発熱体2に通電し、発熱させる。内部電極7を覆う
ように、一方の主面1a上に絶縁性誘電体層11が形成さ
れ、一体化されている。これにより、内部電極7は、円
盤状基体1Aと絶縁性誘電体層11との間に内蔵される。
貫通孔4に給電ケーブル12Bの末端が挿通され、給電ケ
ーブル12Bが内部電極7に接続される。静電チャック用
の直流電源13の正極が給電ケーブル12Bに接続され、直
流電源13の負極がアース線12Cに接続される。
【0016】熱電対収容孔5内に熱電対16を挿入、固定
し、熱電対16をケーブル15に接続する。ケーブル15の他
端をコントローラー14に接続する。熱電対16によって円
盤状基体1A内の温度を観測しつつ、この観測に基づい
て、抵抗発熱体への供給電力を制御する。
【0017】ウエハーWを加熱処理する際には、絶縁性
誘電体層11のウエハー設置面11a にウエハーWを設置
し、ウエハーWに対してアース線12Cを接触させる。そ
して、内部電極7に正電荷を蓄積して絶縁性誘電体層11
を分極させ、絶縁性誘電体層11のウエハー設置面側に正
電荷を蓄積させる。それと共に、ウエハーWに負電極を
蓄積させ、絶縁性誘電体層11とウエハーWとの間のクー
ロン引力により、ウエハーWをウエハー設置面11a へと
吸着させる。これと共に、抵抗発熱体2を発熱させてウ
エハー設置面11a を所定温度に加熱する。
【0018】本実施例によれば、絶縁性誘電体層11を、
脱泡したガラスによって形成しており、空孔がないので
絶縁耐力が大きくなった。特に、各製品について、絶縁
性誘電体層11の絶縁耐力のバラツキが小さいので、絶縁
特性の信頼性が高くなった。しかも、ガラス溶融液のス
ピンコートによって絶縁性誘電体層11を形成することが
できるので、絶縁性誘電体層11の生産性が非常に高く、
これによりコストを下げることもできるようになった。
脱泡済みガラスの好適例については、更に後述する。
【0019】また、本実施例では、ウエハーWをウエハ
ー設置面11a へとクーロン力によって全面で吸着しつ
つ、同時にウエハー設置面11a を加熱してウエハーを加
熱することができる。従って、特に中高真空中でウエハ
ーWを全面に亘って追従させることができ、均熱化する
ことができ、ウエハーWとウエハー設置面との間の隙間
によるウエハーWの均熱性の低下が生じない。従って、
ウエハーWの熱処理をウエハー全面に亘って均一に行う
ことができ、例えば半導体製造装置においては、半導体
の歩留り低下を防止することができる。
【0020】更に、円盤状基体1Aの内部に抵抗発熱体
2が埋設され、また内部電極7が絶縁性誘電体層11と円
盤状基体1Aとの間に内蔵されているので、従来の金属
ヒーターの場合のような汚染を防止できる。また、ウエ
ハーWをウエハー設置面11aへと吸着した状態で直接加
熱するので、間接加熱方式の場合のような熱効率の悪化
の問題は生じない。
【0021】絶縁性誘電体層11を構成する脱泡ガラス
は、実質的に気泡を含まないガラスを意図しており、脱
泡の方法は問わない。そして、この脱泡済みガラスの種
類は、静電チャックの使用目的に応じて選択するが、次
のような性質を有することが好ましい。 a) 使用温度範囲において高い絶縁抵抗を有すること。 b) 絶縁耐力が高いこと。 c) 円盤状基体と熱膨脹係数が近いこと。 d) 使用温度において、5以上の比誘電率を有している
こと。 e) 半導体ウエハーを吸着するための静電チャックにお
いては、半導体ウエハーを汚染しない材料であること。
特に、アルカリ金属元素を含まないことが必要である。
アルカリ土類金属をも含まないガラスが一層好ましい。 f) ウエハーを加熱し、かつ冷却するための目的に静電
チャックを使用する場合は、ウエハーを吸着する際に静
電チャックに熱衝撃が加わる。従って、耐熱衝撃性が要
求される。
【0022】以上の各性質を併有するガラスとして、ア
ルミノケイ酸系ガラス、オキシナイトライドガラスが好
ましい。アルミノケイ酸系ガラスは、Al2O3 、SiO2を主
成分とするガラスであり、高い絶縁抵抗率を特徴とす
る。好適例を示す。 組成:SiO2、60.1 mol% : Al2O3 、18.5 mol% : B2O
3他、 21.4 mol% 。 体積抵抗率: 25 ℃で 1017 Ω cm 以上、350 ℃で 10
11 Ω cm 以上。 耐熱衝撃性 ΔT 135 ℃。 比誘電率 7.2 。 熱膨脹係数 55×10-7/℃(0〜 300℃) 。 このガラスを用いると、350 ℃の高温でも充分大きな体
積抵抗率があり、良好に使用できる。耐熱衝撃性からみ
て、室温を出発点として、100 ℃の急冷や100℃の急速
な温度上昇に耐えられる。アルミノケイ酸系ガラスの熱
膨脹係数は、組成変更により、 42 ×10-7〜 88 ×10-7
/℃の範囲で変更できる。
【0023】絶縁性誘電体層11の材料としてアルミノケ
イ酸系ガラスを用いると、円盤状基体1Aの材質は、こ
れと熱膨脹係数が近いものでなくてはならない。具体的
には、ムライト( 3Al2O3 、2SiO2 : 熱膨脹係数 α=
51×10-7/℃)、アルミナ(Al2O3 : 熱膨脹係数 α=
81×10-7/℃)が好ましい。
【0024】オキシナイトライドガラスは種類が多い
が、Si-O-N系、Si-Al-O-N 系、 Y-Si-Al-O-N系、Mg-Si-
Al-O-N系、 Ca-Si-Al-O-N 系、La-Si-O-N 系等を例示で
きる。オキシナイトライドガラスで絶縁性誘電体層11を
形成する場合は、円盤状基体1Aを窒化物セラミックス
(Si3N4 、 AlN等) で形成することが好ましい。この場
合は、また、円盤状基体1Aを構成するセラミックスの
焼結助剤と同じ金属元素を含むオキシナイトライドガラ
スを用いれば、円盤状基体1Aと絶縁性誘電体層11との
接着性が良くなる。例えば AlNや Si3N4の焼結助剤とし
て Y2O3 を用いた場合には、Y-Si-Al-O-N系オキシナイ
トライドガラスが好ましい。また、 Si3N4の焼結助剤と
して MgO、Al2O3 を使用した場合には、Mg-Si-Al-O-N系
オキシナイトライドガラスが好ましい。
【0025】オキシナイトライドガラスは、酸化物ガラ
スと異なり、ガラス内部に Si-N 結合があり、これは S
i-O 結合にくらべて共有結合性が強い。従って、同じ割
合の陽イオンを含む酸化物ガラスにくらべて、強度、電
気絶縁性に優れている。
【0026】脱泡済みガラスの溶融液をスピンコートし
た後、冷却して絶縁性誘電体層を形成すると、若干問題
がある。絶縁性誘電体層を構成するガラスは、アモルフ
ァス状態であるため、イオンが動き易く、ナトリウムイ
オン等の不純物が動き易い。また、高温になると絶縁耐
力が小さくなる。ここで、ガラス溶融液の被膜を一度冷
却した後、再度このガラスの再結晶温度以上に昇温し、
再び冷却すると、高温でも絶縁性誘電体層の絶縁耐力を
高いまま保持できる。抵抗発熱体2、内部電極7の材質
としては、タングステン、モリブデン、白金等が好まし
い。
【0027】上記した手順でヒーター付き静電チャック
を製造し、作動させた。円盤状基体1Aは、イットリア
を焼結助剤とする窒化珪素焼結体で形成した。抵抗発熱
体2の材質はタングステンとした。内部電極7の材質は
タングステンとし、スパッタリングで形成した。この厚
さは 2000 オングストローム以下にした。本例では、下
記組成の Y2O3-SiO2-Al2O3-Si3N4系ガラスを使用した。 Y2O3 30 重量% : Al2O3 30重量% SiO2 30 重量% : Si3N4 10重量% ここで上記窒化珪素焼結体の熱膨脹係数は約 26 ×10-7
/℃であった。オキシナイトライドガラスの熱膨脹係数
は、Si3N4 の成分比によって大きく変わる。そこで、Si
3N4 の重量を10重量%とした。このオキシナイトライド
ガラスの熱膨脹係数は 30 ×10-7/℃であった。
【0028】上記成分のオキシナイトライドガラスを、
窒素中、1600℃で20時間保持して溶融させ、脱泡、清澄
してガラス溶融液を得た。円盤状基体1Aを回転させな
がら、1600℃まで予熱し、窒素中でガラス溶融液をスピ
ンコートした。これにより、ガラス溶融液からなる被膜
が主面1aに形成される。次いで 500℃/時間以下の速度
で、電気炉中で冷却し、厚さ 300μm の絶縁性誘電体層
11を得た。
【0029】このヒーター付き静電チャックの絶縁耐力
を直流電圧で測定したところ、室温では 10 KV/mm であ
り、 300℃で1KV/mm 程度であった。後述する図3に示
すように、本例のヒーター付き静電チャックでは、300
℃では100V程度印加すれば充分な吸着力が得られる。そ
して、1KV/mm は、300V/300μm に当るので、本例でも
300V印加することが可能である。従って、この静電チャ
ックは、300 ℃の高温でも使用できる。ただし、絶縁耐
力(300V)/印加電圧(100V)として安全率を算出すると、
安全率3になる。ただ、絶縁性誘電体層内に、絶縁耐力
のバラツキないし不良の原因となるポアー(空孔)が含
まれていないことから、これでも安全性はかなり高い。
【0030】次に、上記のオキシナイトライドガラスを
再結晶化した。上記のガラス組成では、再結晶温度は約
1200℃である。そこで、余裕をみて1300℃まで窒素雰囲
気中で再度昇温した。この昇温速度は 500℃/時間とし
た。そして、1300℃で5〜10分間保持した後、電気炉中
で 500℃/時間で冷却した。こうしてヒーター付き静電
チャックを作製し、直流電源を用いて絶縁耐圧を測定し
た。この結果、室温で12 KV/mm、300 ℃で 10KV/mmの絶
縁耐圧が得られた。
【0031】また、この静電チャックの吸着力を、25
℃、300 ℃にてそれぞれ測定した。この測定結果を図3
に示す。この結果からみて、25℃〜300 ℃で充分な吸着
力が得られる。オキシナイトライドガラスが結晶化して
いない場合にも、同様の結果が得られた。オキシナイト
ライドガラスを結晶化させた場合には、300 ℃で10KV/m
m 、即ち、3KV/300μm の絶縁耐圧が得られた。従っ
て、絶縁性についての安全率は極めて高い。また、静電
チャックのウエハー設置面11a の表面温度を 300℃に保
持し、25℃に保持しておいた半導体ウエハーをこの上に
直接置いたが、静電チャックは破損しなかった。従っ
て、本例では、絶縁性誘電体層11が、275 ℃以上の熱衝
撃に耐え得る。
【0032】また、上記静電チャックの漏れ電流から、
絶縁性誘電体層11の体積抵抗率を計算したところ、室温
で2×1016Ωcm , 300℃で3×1011Ωcmであった。従っ
て、300 ℃でも充分大きな抵抗を得られることが解っ
た。
【0033】また、対照例として、絶縁性誘電体層11
を、イットリアを主成分とする窒化珪素の常圧焼結体で
形成した。この相対密度は理論密度の96%であり、4%
は空孔がある。本対照例では、絶縁耐力の高い材質を特
に選択した。この組成は、窒化珪素:93.6重量%、イッ
トリア:1.3 重量%、Yb2O3 :5.1 重量%であった。絶
縁性誘電体層11が上記の焼結体からなる静電チャックを
10基製作した。層11の厚さを約300 μm とした。この絶
縁耐力の平均値は、室温で33KV/mm 、300 ℃で10KV/mm
であった。また、上記した本発明例の静電チャックを10
基製作した。ただし、オキシナイトライドガラスを結晶
化させた。
【0034】こうした対照例及び本発明例の静電チャッ
ク10基毎につき、品質保証試験を実施した。即ち、室温
で約3.3KV の電圧を5分間連続して印加した。この結
果、対照例では2個が破損した。一方、本発明例では破
壊が見られなかった。このように、対照例においては、
元来絶縁耐力の大きい材料を用いているにもかかわら
ず、絶縁耐力に大きなバラツキがあった。これは、焼結
体中の空孔、孔等の欠陥において、ボイド放電が起り、
放電部分の近辺でクラックが発生していることによると
推定される。本発明例では、このような機構による破損
がなく、従って信頼性が高い。
【0035】図4は、静電チャックを示す概略断面図で
ある。図1、図2における部材と同一の部材には同一符
号を付け、その説明は省略することがある。円盤状基体
1Bの一方の主面1aに、例えば平面円形の内部電極7が
形成される。本例では、円盤状基体1Bの内部に、抵抗
発熱体や端子を埋設していない。内部電極7を覆うよう
に、一方の主面1a上に絶縁性誘電体層11が形成され、一
体化されている。これにより、内部電極7は、円盤状基
体1Bと絶縁性誘電体層11との間に内蔵される。この内
部電極7は、パンチングメタルのような穴明きの形状と
すると、誘電体層11の密着性が良好となる。給電ケーブ
ル12Bは直流電源13の正極に接続され、直流電源13の負
極がアース線12Cに接続される。そして、ウエハーWを
ウエハー設置面11a に設置し、吸着する。この動作は、
前記したヒーター付き静電チャックと同じである。
【0036】本実施例でも、絶縁性誘電体層11の材質と
製法とに対し、本発明を適用する。上記の各例ではウエ
ハー設置面11a を上向きにしたが、ウエハー設置面11a
を下向きにしてもよい。上記各例において、静電チャッ
ク全体の形状は、略円形のウエハーWを均等に加熱する
ためには円盤状とするのが好ましいが、他の形状、例え
ば四角盤状、六角盤状等としてもよい。本発明の静電チ
ャックは、エピタキシャル装置、プラズマエッチング装
置、光エッチング装置等に対しても適用可能である。更
に、ウエハーとしては、半導体ウエハーだけでなく、A
1ウエハー、Feウエハー等の導体ウエハーの吸着、加
熱処理も可能である。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、絶縁性誘電体層が脱泡
済みガラスからなっており、この脱泡済みガラスが盤状
基体上の内部電極に直接に接触し、被覆している。言い
換えると、盤状基体と脱泡済みガラス層とが2層構造を
なしており、この中に内部電極が埋設されている。この
脱泡済みガラス層は、セラミックス焼結体と異なり空孔
がないため、絶縁耐力のバラツキが小さく、信頼性が高
い。また、静電チャックに対して加わる熱衝撃に対して
強く、熱を加えた後にも安定した絶縁耐圧、絶縁耐力を
示す。また、ガラス溶融液のスピンコートによって絶縁
性誘電体層を形成することができるので、絶縁性誘電体
層の生産性が非常に高く、これにより生産コストを下げ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円盤状基体1Aの一方の主面1aにガラス溶融液
9をスピンコートする直前の状態を示す断面図である。
【図2】ヒーター付き静電チャックを概略的に示す断面
図である。
【図3】試作した静電チャックの25℃及び 300℃におけ
る印加電圧と吸着力との関係を示すグラフである。
【図4】静電チャックを概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
1A , 1B 円盤状基体 1a 一方の主面 1b 他方の主面 2 抵抗発熱体 7 内部電極 9 ガラス溶融液 11 絶縁性誘電体層 11a ウエハー設置面 W ウエハー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−57446(JP,A) 特公 昭52−41184(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23Q 3/00 - 3/154 B23Q 3/16 - 3/18 H01L 23/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緻密質セラミックスからなる盤状基体
    と、この盤状基体の一方の主面に形成された内部電極
    と、前記一方の主面に形成された絶縁性誘電体層を備え
    た静電チャックであって、前記絶縁性誘電体層の全体が
    脱泡済みガラスからなり、前記絶縁性誘電体層が前記内
    部電極に対して接触し、前記内部電極を被覆しているこ
    とを特徴とする、静電チャック。
  2. 【請求項2】 前記脱泡済みガラスが結晶化ガラスであ
    る、請求項1記載の静電チャック。
  3. 【請求項3】 前記脱泡済みガラスが、アルミノケイ酸
    系ガラスおよびオキシナイトライドガラスからなる群よ
    り選ばれたガラスであることを特徴とする、請求項1ま
    たは2記載の静電チャック。
  4. 【請求項4】 前記脱泡済みガラスがアルミノケイ酸系
    ガラスであり、前記盤状基体がムライトまたはアルミナ
    からなることを特徴とする、請求項3記載の静電チャッ
    ク。
  5. 【請求項5】 前記脱泡済みガラスがオキシナイトライ
    ドガラスであり、前記盤状基体が窒化物セラミックスか
    らなることを特徴とする、請求項3記載の静電チャッ
    ク。
  6. 【請求項6】 緻密質セラミックスからなる盤状基体の
    一方の主面に内部電極を形成し、この盤状基体を回転さ
    せながら脱泡済みのガラス溶融液を前記一方の主面にス
    ピンコートし、ガラス溶融液の被膜を冷却させて脱泡済
    みガラスからなる絶縁性誘電体層を形成する、静電チャ
    ックの製造方法。
  7. 【請求項7】 緻密質セラミックスからなる盤状基体の
    一方の主面に内部電極を形成し、この盤状基体を回転さ
    せながら脱泡済みのガラス溶融液を前記一方の主面にス
    ピンコートし、ガラス溶融液の被膜を冷却させて脱泡済
    みガラスの被膜を得、この被膜を熱処理することによっ
    て脱泡済みガラスを結晶化させる、静電チャックの製造
    方法。
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