JP2974639B2 - 極近距離目標を検知する電波センサー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は極近距離目標を検知
する電波センサーに関し、アンテナ目前の極近距離に高
速で接近した目標物体を低い誤検知確率で検知可能とす
る極近距離目標用電波センサーに関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来の
電波センサーにおいて、電波干渉のない状況下では、接
近した極近距離目標を目標物体として検知することは可
能である。しかし、電波干渉の存在する状況下では、電
波干渉を除去する機能が設けられていないので、目標と
する物体ではないものを、誤って目標物体として検知す
る誤検知確率が高く、極近距離の目標物体を正確に検知
するための改良が必要である。

【０００３】本発明は、上述の従来の問題に鑑み、距離
ゲートを複数構成し、複数の距離ゲートの各距離ゲート
出力の順序及び組合せを判定し、その判定結果に基づい
て誤検知確率を低下させ、高速で接近した極近距離目標
を正確に検知することを目的とする。また、低周波信号
を監視し、狭帯域幅の信号を検知すると、この狭帯域幅
信号を除去した低周波信号を出力し、それにより距離ゲ
ート出力の雑音の増加を抑制し、その結果、誤検知確率
を低下させ、高速で接近した極近距離目標を検知するこ
とを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目標を達成するた
めに、本発明の極近距離目標を検知する電波センサー
は、高周波発振器出力を１つの系列符号で位相偏移変調
で変調し、その被変調波（電波）を送信する送信系と、
高速で接近した極近距離の目標物体から反射した被変調
波を高周波発振器の出力で混合し低周波信号に変換し、
１つの系列符号を複数の遅延量で遅延させた、実質的に
複数の系列符号でそれぞれ混合する受信系、混合後の複
数のゲート出力の順序及び組合せを判定することにより
誤検知確率を低下させ、高速で接近した極近距離の目標
物体を検知すると同時に、後段の機構又は装置に検知信
号を出力する識別系、により構成される。

【０００５】また、本発明の極近距離目標を検知する電
波センサーは、上記の電波センサーの構成に加えて、反
射体から返ってくる電波の周波数及びその近傍周波数の
信号を高周波発振器出力で混合し、混合後の低周波信号
を監視し、狭帯域幅の信号を検知すると、この狭帯域幅
信号を除去した低周波信号を出力する構成としている。

【０００６】さらに、本発明の極近距離目標を検知する
電波センサーは、上述の電波センサーを簡略化したもの
であり、距離ゲートを１種類として簡素化した構成とし
ている。このような構成により、本発明の極近距離目標
を検知する電波センサーにおいては、電波干渉の存在し
ない状況下において接近した極近距離目標、即ち電波セ
ンサーが静止している場合は移動目標を表し、電波セン
サーが移動している場合は移動目標又は地面等の静止目
標を表す接近した目標を検知するばかりか、電波干渉の
存在する状況下でも、複数の距離ゲートの出力状況を監
視することにより誤検知確率を低く保持しながら高速で
接近した極近距離目標を検知することが可能となる。ま
た、狭帯域幅の電波干渉波成分を除去することが可能な
機能を備えることにより、誤検知確率を低く保持しなが
ら高速で接近した極近距離目標を検知することができ
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明による極近距離目標
を検知する電波センサーの実施形態を図面にそって説明
する。本発明では位相シフトキーイングで変調された
（ＰＳＫ−ＣＷ方式）電波を使用する。図１は本発明の
第１の実施形態による複数の距離ゲートを持つ極近距離
目標用電波センサのブロック構成図である。

【０００８】送信系では、高周波発振器１から出力され
る搬送波（送信信号）は、符号発生器２から出力される
Ｍ系列、ＧＯＬＤ系列又は任意の系列符号と混合器３で
混合され、電力増幅器４で増幅され、サーキュレータ５
を経て送受信アンテナ６から送信される。なお、サーキ
ュレータ５は送信波と受信波を分離する分波器である。

【０００９】受信系では、高速で接近した極近距離目標
から反射して返ってきた被変調波及び高周波発振器１の
周波数に近傍な周波数の電波干渉波等は、アンテナ６で
受信され、サーキュレータ５を経て混合器７により高周
波発振器１の出力と混合される。混合後の低周波信号は
増幅器８で増幅され、分配器９で最低２種類以上に分配
される。一方、符号発生器２から出力された系列符号は
遅延器アレイ１０で最低２種類以上に遅延され、即ち、
最低２種類以上の距離ゲートが構成され、混合器アレイ
１１により分配器９の出力とそれぞれ混合される。な
お、矢印付きの点線は複数の線をまとめたバス線を表
す。

【００１０】混合器アレイ１１の出力は、干渉波等によ
る信号でない場合は目標との相対距離に応じて出力さ
れ、コンピュータ１２がこの信号を監視し、正しい目標
と判定すると、後段のその他の機構又は装置１３に検知
信号を出力する。なお、超高速目標に対応するためには
コンピュータ１２の代わりにアナログデバイス等で構成
した回路を使用してもよい。

【００１１】図２は本発明の第２の実施形態による複数
の距離ゲートを持つ極近距離目標を検知する電波センサ
ーのブロック構成図である。本実施形態は、図１の構成
に、分配器１６、干渉波検知器１４及びノッチフィルタ
１５を追加し、狭帯域幅の干渉波の電波成分を除去する
ことができる機能を備える構成である。図示から明らか
なように送信系は図１の動作と同様なので説明を省略す
る。

【００１２】受信系において、アンテナ６の受信電波
は、サーキュレータ５を経て混合器７により高周波発振
器１の出力と混合され、混合後の低周波信号は増幅器８
で増幅され、増幅された低周波信号は分配器１６で分配
され、信号の一部は干渉波検知器１４に入力される。干
渉波検知器１４では、電波干渉波による狭帯域幅の電
波、例えばＣＷ方式の電波が受信されていないか監視
し、この方式の電波を検知するとこの信号を追尾し、ノ
ッチフィルタ１５に設定した周波数情報を送り、ノッチ
フィルタ１５はＣＷ方式の電波成分を除去した低周波成
分を分配器９に出力する。分配器９以降の動作は図１と
同様なので省略する。なお、ノッチフィルタは急峻な落
ち込み特性を示す帯域除去フィルタである。

【００１３】図３は本発明の第３の実施形態による１つ
の距離ゲートを持つ極近距離目標を検知する電波センサ
ーのブロック構成図である。本実施形態は、図２構成の
中の複数の距離ゲートを１種類としたブロック図であ
る。即ち、図２の遅延器アレイ１０は遅延器１７に置き
換えられ、１種類の距離ゲートで構成される。これによ
り、図２の混合器アレイ１１は混合器１８に置き換えら
れる。また、図２のコンピュータに代えてアナログの比
較器１９を使用している。図示から明らかなように送信
系は図１の動作と同様なので説明を省略する。

【００１４】受信系において、上述のように、アンテナ
６の受信電波はサーキュレータ５を経て混合器７により
高周波発振器１の出力と混合され、混合後の低周波信号
は増幅器８で増幅され、増幅された低周波信号は分配器
１６で分配され、信号の一部は干渉波検知器１４に入力
される。干渉波検知器１４では、電波干渉波等による狭
帯域幅の電波、例えばＣＷ方式の電波が受信されていな
いか監視し、この方式の電波を検知するとこの信号を追
尾し、ノッチフィルタ１５に設定周波数情報を送り、ノ
ッチフィルタ１５はＣＷ方式の電波成分を除去した低周
波成分を混合器１８に出力する。

【００１５】一方、符号発生器２から出力された系列符
号は遅延器１７で遅延され、即ち、１種類の距離ゲート
が構成され、混合器１８によりノッチフィルタ１５の出
力とそれぞれ混合される。混合器１８の出力は、混信等
による信号でない場合は目標との相対距離に対応して出
力され、比較器１９が比較して正しい目標と判定する
と、後段のその他の機構又は装置１３に検知信号を出力
する。

【００１６】このような構成により、相対距離情報を基
に誤検知確率を低下させる機能を削除したもので、回路
構成が簡単になっている。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の極近距離
目標を検知する電波センサーによれば、電波干渉の存在
する状況下においても高速で接近した極近距離の目標物
体を低い誤検知確率で検知することができる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施形態による複数の距離ゲー
トを持つ極近距離目標を検知する電波センサーのブロッ
ク構成図である。

【図２】本発明の第２の実施形態による複数の距離ゲー
トを持つ極近距離目標を検知する電波センサーのブロッ
ク構成図である。

【図３】本発明の第３の実施形態による１つの距離ゲー
トを持つ極近距離目標を検知する電波センサーのブロッ
ク構成図である。

【符号の説明】

１…高周波発振器 ２…符号発生器 ３、７、１８…混合器 ４…電力増幅器 ５…サーキュレータ ６…送受信アンテナ ８…増幅器 ９、１６…分配器 １０…遅延器アレイ １１…混合器アレイ １２…コンピュータ １３…その他の機構又は装置 １４…干渉波検知器 １５…ノッチフィルタ １７…遅延器 １９…比較器

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平６−174834（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−98685（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−145985（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−72286（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/95

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 極近距離目標を検知する電波センサーに
   おいて、 目標物体に向けて疑似雑音系列符号もしくは異なる系列
   符号により高周波信号を位相偏移変調で変調した被変調
   波を送信する送信手段と、 前記目標物体から反射した被変調波を受信し、受信した
   被変調波を高周波信号と混合し、混合後の低周波信号を
   増幅し、増幅した低周波信号を少なくとも２種類以上の
   信号に分配する分配手段と、 前記系列符号の少なくとも２種類以上に遅延した各々の
   系列符号をそれぞれに混合することにより複数の距離ゲ
   ートを構成し、目標物体のドップラー成分のみを抽出す
   る抽出手段と、 前記ドップラー成分を基に目標物体の相対距離を検知
   し、検知した相対距離情報を基に誤検知確率を低下させ
   るべく監視し、目標とする物体であると判定すると検知
   信号を出力する検知手段と、 を具備することを特徴とする極近距離目標を検知する電
   波センサー。
2. 【請求項２】 前記目標物体から反射された被変調波の
   周波数及びその近傍周波数の信号を高周波で混合し、混
   合後の低周波信号を監視し、狭帯域幅の信号を検知する
   と、前記狭帯域幅の信号を除去した低周波信号を出力す
   る出力手段をさらに具備する請求項１に記載の極近距離
   目標を検知する電波センサー。
3. 【請求項３】 前記抽出手段は前記系列符号の１種類で
   遅延した系列符号を混合することにより１種類の距離ゲ
   ートを構成し、目標物体のドップラー成分のみを抽出す
   るようにした請求項１に記載の極近距離目標を検知する
   電波センサー。