JP2974543B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、溶融金属を連続鋳造す
る際に、１対の鋼板製のベルトを使用し、そのベルトが
下方へ引抜かれる凝固シェルと同一速度で移動する双ベ
ルト鋳型を使用し、連続的に２mpm 以上２０mpm 以下の
鋳造速度で下方へ引抜く溶融金属の連続鋳造鋳型に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の双ベルト鋳型を用いた溶融金属の
連続鋳造方法では、鋳型内で形成された凝固シェルを下
方に引抜く際に、鋳片幅方向と平行な方向に設置された
円筒状のロール（以下サポートロールと記す）により支
持しつつ、ピンチロールによって駆動させている。

【０００３】このサポートロールによって凝固シェルが
支持されている区間においては、凝固シェル内部に含ま
れている溶鋼の圧力によって、サポートロールとサポー
トロールの間で凝固シェルが外側に膨らむ現象（以下バ
ルジングと記す）が発生する。このバルジングによる膨
らみ量は、鋳造速度が２mpm 以下の低速鋳造領域では
（２）式でもとめることができる。

【数２】 ただし上式中 δ ；バルジング量 ｑ ；溶鋼静圧 ｌ ；サポートロールの間隔 Ｉ ；断面係数 Ｅ ；弾性定数 である。

【０００４】しかし、鋳造速度が増加し鋳型下での凝固
シェル厚みがｄ≧０．０１２ｍとなった場合、凝固シェ
ルの厚みが薄くなり、凝固シェルに塑性変形が生じるよ
うになる。この塑性変形は、鋳片表面の凹凸となって残
留するため、鋳片がサポートロールに接触支持されてい
る部分を通過する際に、凝固シェルを鋳片内部方向に押
し込む。すると凝固シェル内部の溶鋼は、鋳型内の湯面
に向って押し上げられるため、湯面振動現象が発生す
る。

【０００５】この湯面振動は、鋳片表面の凹凸の数に比
例して増加するとともに、湯面振動の振幅増加にともな
って更に発散的に振動振幅が増加する。この結果、鋳片
の横割れ原因となり鋳片品質を悪化させるのみならず、
振幅が増加した際には、溶融金属が鋳型上端を越えて外
部に流出するオーバーフローが生じるため、操業を停止
せざるを得なくなるなどの、生産性悪化原因ともなる。

【０００６】このような湯面振動現象を防止するため
に、例えば特開昭６１−１５０７６０号公報に開示され
ているように、鋳片支持部でのサポートロールの設置ピ
ッチをランダム化するなどの方法が提案されているが、
２mpm 以下の低速鋳造域においては、湯面振動振幅を抑
制する効果があるが、それ以上の高速鋳造域において
は、湯面振動防止効果が発揮されず、鋳造速度増加の障
害となっている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記従来技術で述べたように、２mpm 以上
の高速鋳造時に発生する湯面振動の現象を防止すること
にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来技術
の課題を解決するための手段として、双ベルト連鋳機に
おいてその鋳型長さが（１）式を満たす双ベルト連鋳機
を使用することを特徴とする連続鋳造法

【数３】 ただし Ｌ ；鋳型長さ（ｍ） Ｖｃ；鋳造速度（mpm) ｌ ；サポートロールピッチ（ｍ） Ｑ ；鋳型平均抜熱量（kcal／ｍ² ・ｈ） δ ；弾性限界バルジング量（ｍ） 特徴とする連続鋳造用方法を手段とする。

【０００９】

【作用】以下本発明の作用について説明する。本課題で
ある湯面振動現象の原因は鋳型下部での鋳片バルジング
が永久変形として残留しサポートロールによって押えこ
まれることにある。そこで、本発明者等はバルジングが
変形として残留しないための本発明を完成するに到っ
た。

【００１０】すなわち、本発明の鋳型では、バルジング
が残留しないための必要凝固シェル厚みをすでに鋳型内
部で形成するようになっており、サポートロール部での
凹凸の絞りこみが生じない構成と成っている。

【００１１】そのため本連続鋳造方法では、湯面振動現
象にともなう操業阻害や品質悪化が生じなくなる。

【００１２】

【実施例】以下本発明の実施例について説明する。本発
明の効果を確認するために、本発明者等は、鋳型長さを
２ｍ〜５ｍの範囲で変化させて、湯面振動現象が発生す
る時の鋳造速度を調査した。

【００１３】鋳型は、双ベルトタイプの鋳型であり、製
造される鋳片のサイズは１３００mm幅で５０mm厚みであ
る。鋳型の平均抜熱量は４×１０⁶ kcal／ｍ² ・ｈであ
る。鋳型直下から１０ｍの長さのサポートロールによる
鋳片支持部を持っており、鋳片支持部に設置してあるサ
ポートロールの直径は１５０mm、設置ピッチは１６０mm
で一定である。

【００１４】鋳造した溶融金属はいずれの場合も表１に
示した成分組成の普通構造用鋼である。鋳造量は約３５
０トンである。

【００１５】

【表１】

【００１６】図１には、湯面振動が発生した鋳造速度を
鋳型長さ毎に整理して示したが、図中に示したように本
発明を満たしている場合には湯面振動が生じていない。

【００１７】一方、従来法の鋳型においては、湯面振動
が発生し、鋳型上端を越えて溶融金属が鋳型外部に流出
するオーバーフローが生じたため、鋳造作業を停止し
た。

【００１８】尚本実施例においては、溶鋼を鋳造した場
合についてのみ説明したが、溶鋼以外の例えば銅等の連
続鋳造においても（１）式の適用は可能である。

【００１９】

【発明の効果】以上の述べたように、本発明の連続鋳造
用鋳型を用いる事により、湯面振動現象を効果的に防止
し、連続鋳造工程の生産性を大幅を改善させるととも
に、連続鋳造製品の品質の大幅向上も同時に達成するこ
とが可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を表わす図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠間 昭夫 大分県大分市大字西ノ洲１番地 新日本 製鐵株式会社 大分製鐵所内 (72)発明者 石川 厚史 大分県大分市大字西ノ洲１番地 新日本 製鐵株式会社 大分製鐵所内 (72)発明者 金井 則之 大分県大分市大字西ノ洲１番地 新日本 製鐵株式会社 大分製鐵所内 (72)発明者 米田 順吉 広島県広島市西区観音新町四丁目６番22 号 三菱重工業株式会社 広島製作所内 (56)参考文献 特開 昭62−220250（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−126651（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−237058（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B22D 11/06 340

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 双ベルト連鋳機においてその鋳型長さが
   （１）式を満たす双ベルト連鋳機を使用することを特徴
   とする連続鋳造法 【数１】 ただし Ｌ ；鋳型長さ（ｍ） Ｖｃ；鋳造速度（mpm) ｌ ；サポートロールピッチ（ｍ） Ｑ ；鋳型平均抜熱量（kcal／ｍ² ・ｈ） δ ；弾性限界バルジング量（ｍ）