JP2974425B2 - 配向ポリエステルフィルム - Google Patents

配向ポリエステルフィルム

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JP2974425B2
JP2974425B2 JP3010191A JP3010191A JP2974425B2 JP 2974425 B2 JP2974425 B2 JP 2974425B2 JP 3010191 A JP3010191 A JP 3010191A JP 3010191 A JP3010191 A JP 3010191A JP 2974425 B2 JP2974425 B2 JP 2974425B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録分野等で使用さ
れるポリエステルフィルムに関し、特に易滑性、巻き
性、耐摩耗性、耐久走行性が高度に優れ、且つ粗大突起
数の少ない配向ポリエステルフィルムに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般にポリエチレンテレフタレートに代
表されるごときポリエステルは、その優れた物理的およ
び化学的諸特性の故に、繊維用、成形品用の他、磁気テ
ープ用、フロッピーディスク用、写真用、コンデンサー
用、包装用、レントゲンフィルム、マイクロフィルムな
どのフィルム用として多種の用途で広く用いられてい
る。このうちフィルム用として用いる場合には、その滑
り性、及び耐摩耗性が、フィルム製造工程およびその加
工工程における作業性の良否、さらにはその製品品質の
良否を左右する大きな要因となっている。またポリエス
テルフィルム表面に磁性材料を塗布して磁気テープとし
て用いる場合には、磁性材料を塗布する為のコーティン
グロールとフィルム表面との摩擦およびこれによるフィ
ルムの摩耗が激しいため、フィルム表面ではしわおよび
擦り傷が発生しやすい。また磁性材料塗布後のフィルム
をスリットしてオーディオ用、ビデオ用またはコンピュ
ータ用テープ等に加工した後でも、リールやカセット等
からの引き出し並びに巻き上げその他の操作の際に、多
くのガイド部や再生ヘッド等との間に著しい摩擦および
これによるフィルムの摩耗が生じ、擦り傷や歪の発生さ
らにはポリエステルフィルム表面の削れ等による白粉状
物質の析出を生じる結果、磁気記録信号の欠落、すなわ
ちドロップアウトの大きな原因となっている。またフィ
ルム中に充填剤として配合されている不活性無機粒子の
分散性不良による凝集粒子の生成およびその粒子が大き
いこと自体に起因する粗大突起もドロップアウト等の欠
点発生の原因となることが多い。
【0003】従来、フィルムの滑り性及び耐摩耗性の改
良にはフィルム表面に凹凸を付与することによってガイ
ドロール等との間の接触面積を減少せしめる方法が採用
されている。このフィルム表面に対する凹凸形成方法と
しては、(A)フィルム原料として用いるポリマーの触
媒残渣から不溶性の粒子を析出せしめる内部粒子析出法
(特公昭49−13234号公報および特公昭50−6
493号公報など)、(B)不溶性の無機粒子を添加す
る外部粒子添加法(特開昭51−34272号公報、特
開昭52−78953号公報、特公昭55−2225号
公報および特公昭55−41648号公報など)等が多
数出願されている。
【0004】内部粒子析出法は、ポリマー中に析出する
粒子のポリエステルとの親和性は良好であるという利点
を有するが、その生成量および粒子径をコントロールす
ることが困難であるため、フィルムの表面形態を精密に
調整することができず、かつ易滑性も不充分であるとい
う欠点があった。一方、外部粒子添加法では、フィルム
表面形態の設計は前者に比べて容易であるけれども、
粗大粒子の混入、粒子の二次凝集、ポリエステルと
の親和性不良等のため、表面平滑性、易滑性、耐摩耗性
並びに耐久走行性のすべてを満足することが困難であっ
た。すなわち原料ポリマー中の粒子は、その大きさが大
きい程、滑り性改良効果が大きくなるのが一般的である
が、磁気テープ用のごとき精密用途にはその粒子が大き
いこと自体がドロップアウト等の欠点を発生する原因と
なり、さらに電磁変換特性も著しく悪化するため、フィ
ルム表面の凹凸はできるだけ微細である必要がある。こ
の相反する特性を解決する手段の1つとして、大粒径と
小粒径の粒子とを併用する方法も提案されている(特公
昭52−78953号公報、特公昭55−40929号
公報、USP3,821,156およびUSP3,884,
870など)。しかしながら、これらの文献に記載され
ている大粒径粒子の粒子径の範囲では、磁気テープ用の
ごとき高品質用途に適用する上で表面平滑性が不充分で
あり、さらにドロップアウト等の欠点発生の原因となる
フィルム表面の粗大突起の生成を制御し難いという欠点
があった。又前述の如く不活性無機粒子は一般にポリエ
ステルとの親和性が乏しいため、ポリマーに配合した際
にポリマーマトリックスへの分散性が不良となり、粗大
な凝集物を生じてドロップアウト等の発生原因となる。
たとえ無機粒子のポリマーマトリックスに対する分散性
が優れていても、無機粒子のポリマーに対する親和性が
低いため、例えば、未延伸フィルムを二軸配向する際に
外力が加えられると無機粒子の周囲にボイド(空隙)を
生じ、その結果透明性が低下したり、フィルム表面の耐
摩耗性および耐久走行性が低下したりする欠点があっ
た。
【0005】この不活性無機粒子とポリエステルとの親
和性を向上させるために、シラン系化合物あるいはチタ
ネート系化合物を用いて不活性無機粒子表面をカップリ
ング処理することが提案されているが、この方法は処理
工程が複雑であること、適用できる粒子が限定されるこ
と、効果が期待ほどでない、などの種々の問題があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした事情
に着目してなされたものであって、特に磁気テープ用基
材として用いることのできる配向ポリエステルフィルム
において、上記問題点を解消し、且つ粗大粒子数が少な
い高品質の配向ポリエステルフィルムを提供しようとす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の配向ポリエステ
ルフィルムは、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
レートからなるポリエステルフィルムの基材中に、不活
性無機粒子が0.01〜0.50重量%の割合で分散さ
れてなる配向ポリエステルフィルムであって、該不活性
無機粒子の平均粒径は0.1〜2.0μmであり、該不
活性無機粒子の外接円に対する面積率は60%以上であ
り、該不活性無機粒子は有機官能基を有するジルコアル
ミネートカップリング剤で表面処理されており、そのこ
とにより上記目的が達成される。
【0008】
【作用】上記ポリエステルフィルム基材を形成するポリ
エステルは、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ
ートである結晶性ポリエステルであり、特に限定はされ
ないがその繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテ
レフタレートからなるものが好ましい。共重合成分とし
ては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカル
ボキシルジフェニル、4,4’−ジカルボキシルベンゾ
フェノン、ビス(4−カルボキシルフェニル)エタン、
アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等のジ
カルボン酸成分、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、
シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチ
レノキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等
のグリコール成分、p−オキシ安息香酸などのオキシカ
ルボン酸成分等を任意に選択使用することができる。こ
の他、共重合成分として少量のアミド結合、ウレタン結
合、エーテル結合、カーボネート結合等を有する化合物
を含んでいてもよい。
【0009】該ポリエステルの製造法としては、芳香族
ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させるいわゆる
直接重合法、芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルと
グリコールとをエステル交換反応させる、いわゆるエス
テル交換法等任意の製造法を適用することができる。な
おフィルム基材としては一軸配向フィルム、二軸配向フ
ィルム等いずれでもよいが二軸配向フィルムが特に好適
である。
【0010】本発明において特性改善の為にポリエステ
ルフィルム基材中に分散される不活性無機粒子の平均粒
径は0.1〜2.0μmである必要があり、好ましいの
は0.2〜1.5μmである。特に好ましいのは0.3
〜1.2μmである。不活性無機粒子の平均粒径が0.
1μm未満では易滑性が不充分となり、逆に2.0μm
を越えると特に磁気テープ用としては表面平滑性が不足
し、且つドロップアウト等の欠陥発生の原因となる粗大
粒子数も増大する。
【0011】また該不活性無機粒子の添加量は、ポリエ
ステルフィルム基材に対して、0.01〜0.50重量
%である必要があり、好ましくは0.05〜0.40重
量%、特に好ましくは0.10〜0.30重量%であ
る。0.01重量%未満では易滑性が不充分となり、逆
に0.50重量%を越えると磁気テープ用としての表面
平滑性が不足し、且つドロップアウト等の欠点発生の原
因となる粗大粒子数も増大する。
【0012】また、該不活性無機粒子の粒子形状および
粒径の均一性については特定される訳ではないが、これ
らは特性改善の為の重要な要因の一つになり得る。すな
わち粒子形状については、フィルム表面形態を精密に調
整する必要を考慮すれば、従来用いられてきた体積形状
係数による評価のみでは不充分である。そこで本発明者
らは粒子形状を定量的に把握するために、粒子形状を粒
子の投影断面積と粒子の投影図に外接する円の面積との
比、すなわち「外接円に対する面積率」で規定すること
とした。該面積率が100%に近づくほど粒子形状は球
状に近づくことになる。不活性無機粒子の外接円に対す
る面積率は60%以上であり、65%以上であることが
望まれる。特に好ましいのは70%以上である。不活性
無機粒子の外接円に対する面積率が60%未満では易滑
性および巻き性が不充分となるので好ましくない。
【0013】次に、上記不活性無機粒子の粒径の均一性
に関しては、粒度分布が単分散に近いものであれば、フ
ィルム表面に形成される突起の高さおよび形状が均一に
近くなるということが本発明者らの検討によってわかっ
た。従って、これらの知見より、個々の粒子の粒径の標
準偏差と平均粒径との比、すなわち「粒径のばらつき
度」を粒径の均一性を示す指標として定義した。すなわ
ち、不活性無機粒子の粒径のばらつき度は30%以下、
好ましくは25%以下であることが望まれる。特に好ま
しいのは20%以下である。すなわち、粒度分布が単分
散に近いものであれば、フィルム表面に形成される突起
の高さおよび形状が均一に近くなり、本発明の意図する
ところに合致する。不活性無機粒子の粒径のばらつき度
が30%を越えると、フィルム表面の突起形態は不規則
なものとなり、フィルム表面突起を精密に調整すること
が難しくなる。本発明において、使用する不活性無機粒
子は前述の条件を満たせば、その種類には特に制限され
ないが合成炭酸カルシウムおよび球状シリカが好まし
い。
【0014】本発明の配向ポリエステルフィルムにおい
ては、上記の不活性無機粒子をポリエステルフィルム基
材中へ添加してその特性を改善する訳であるが、この時
ポリエステルと不活性無機粒子との親和性を高めるため
に、有機官能基を有するジアルコアルミネートカップリ
ング剤を用いて不活性無機粒子に対する表面処理を行う
ものである。
【0015】本発明でいう有機官能基を有するジルコア
ルミネートカップリング剤は、下記一般式で示されるよ
うに、ジルコニウムとアルミニウムを主要骨格とし、こ
の複合元素に、水酸基安定性と耐加水分解性を与える配
位子と、有機反応性の配位子が結合しているものであ
る。
【0016】
【化1】
【0017】ここで、Rは炭素数1〜18のアルキル
基、Xは有機官能基であって、カルボキシル基、アミノ
基、エポキシ基、エステル基、水酸基から選ばれる。
【0018】上記エステル基としては、例えばアセトキ
シ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、リン
酸エステル基等が挙げられる。有機官能基Xは市販のジ
ルコアルミネートカップリング剤の官能基をそのまま利
用しても良いし、また場合によっては他の有機化合物で
変性したものであっても良い。
【0019】また、不活性無機粒子を、有機官能基を有
するジルコアルミネートカップリング剤で処理する方法
は特に限定されないが、例えば該カップリング剤を溶媒
に溶解した後、この溶液中に不活性無機粒子を加え、そ
の後溶液中より無機粒子を取り出して乾燥する方法等が
ある。該カップリング剤の不活性無機粒子に対する処理
量は、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは
0.5〜10重量%である。
【0020】本発明において、不活性無機粒子は該カッ
プリング剤を介してポリエステルと化学的に結合してい
る。すなわち、ジルコニウムとアルミニウム元素はオキ
ソ基または水酸基を介して不活性無機粒子の表面と結合
する一方、ジルコアルミネートの末端官能基(有機官能
基)はポリエステルまたはポリエステルオリゴマーの水
酸基またはカルボキシル基と化学結合する。これによっ
てフィルム基材と不活性無機粒子との接着性が強固とな
るので、フィルム基材の延伸時に不活性粒子の界面に空
孔(ボイド)が形成されず、得られた配向ポリエステル
フィルム表面の機械的強度も強く、耐摩耗性および耐久
走行性が向上する。
【0021】また、不活性無機粒子の表面に結合した該
カップリング剤の立体保護作用によりポリエステル基材
中での不活性無機粒子の凝集を防ぐことができる。その
結果ドロップアウト等の欠点発生の原因となる粗大凝集
粒子が極めて少なくなる。
【0022】本発明において、表面処理した不活性無機
粒子をポリエステル中へ添加する時期については、該ポ
リエステル製造過程における任意の段階とすることがで
きるが、初期縮合が終了するまでに添加するのが好まし
い。またポリエステル製造過程への前記の表面処理した
不活性無機粒子の添加方法はスラリー状および粉末状の
いずれかの状態で添加してもよいが、粒子の飛散防止並
びに供給精度や均一性の改善等の観点からスラリー状に
分散させて添加するのが好ましく、特にエチレングリコ
ール(EG)のスラリーとして添加するのが好ましい。
不活性無機粒子をスラリー状に分散させる場合には、そ
れぞれの粒子本来の一次粒子ができる限り再現するよう
な均一な分散を行う必要がある。また所定の平均粒径を
有する粒子を得るために、市販微粒子の解砕処理や分
級、および濾過等の処理を採用してもよい。特に不活性
無機粒子をスラリーとして添加する場合、スラリー中に
5μm以上の粒子が実質上存在しない様にすることが粗
大突起数を低下させる点から特に好ましい。
【0023】不活性無機粒子のスラリー調製時の分散方
法については特に限定はなく、回転式高速撹拌法、高圧
式均質分散法および超音波分散法等いずれの方法あるい
はこれら方法の組み合せを採用してもよい。
【0024】不活性無機粒子のスラリーの溶媒としては
エチレングリコール(EG)の単独使用が好ましいが、
50重量%以下であれば、たとえば水やアルコール類等
の他の溶媒を混合してもかまわない。
【0025】また該スラリーは、初期縮合反応が終了す
るまでの任意の段階でポリエステル製造過程に添加する
ことが好ましい。なお初期縮合反応が終了した時点とは
樹脂の固有粘度が約0.2に達した時を指し、これ以後
では反応系の粘度が高すぎるために添加成分の混合が不
均一になり均質な製品が得られなくなる。またオリゴマ
ーの解重合が起こり、生産性の低下やジエチレングリコ
ール(以下DEGと略記する)副生量の増大を引き起こ
すので好ましくない。
【0026】本発明のポリエステルフィルムに使用され
るポリエステルは、芳香族ジカルボン酸のジメチルエス
テルとグリコールとをエステル交換反応させるいわゆる
エステル交換法および芳香族ジカルボン酸とグリコール
とを直接反応させるいわゆる直接重合法のどちらかの製
造法によっても得ることができる。また、回分式および
連続式のどちらの製造法を適用してもよい。エステル交
換法でポリエステルを製造する場合にはエステル交換触
媒は特に限定されず、従来公知のものはいずれも使用可
能である。直接重合法でポリエステルを製造する場合に
は、DEG生成の抑制剤としてアミノ類や第4級アンモ
ニウム塩類等を用いることはなんら制約を受けない。
【0027】本発明は上述の如く構成されるが、要は粒
子形状が立方体状もしくは球状に近く且つ好ましい粒度
範囲にシャープな粒度分布を示す不活性無機粒子を上記
した特定の化合物で表面処理し、このように表面処理さ
れた不活性無機粒子を特定粒径範囲内で特定量使用する
ことにより、易滑性、耐摩耗性および耐久走行性が高度
にすぐれ、かつ粗大粒子数の少ない配向ポリエステルフ
ィルムを得るものである。すなわち本発明において、粒
子形状が立方体状または球形に近く、粒度分布がシャー
プな不活性無機粒子は滑り性および巻き性が極めて優れ
ているが、この未処理の不活性無機粒子は一般にポリエ
ステルとの親和性が不良なため、製膜・延伸時に粒子の
周囲にボイド(空隙)が生じ耐摩耗性および耐久走行性
が不充分となる。そこで不活性無機粒子を表面処理剤に
よって処理し、スラリー中およびポリエステル中での不
活性無機粒子の分散性の向上およびポリエステルと不活
性無機粒子との親和性を向上させたのである。
【0028】
【実施例】次に本発明の実施例および比較例を示す。実
施例中等に用いられる部は特にことわらないかぎりすべ
て重量部を意味する。
【0029】また、用いた測定法を以下に示す。
【0030】(1)平均粒子径 エチレングリコールスラリー中で炭酸カルシウム粒子を
十分に分散して得られたスラリー中における粒度分布
を、光透過型遠心沈降式粒度分布測定機(SA−CP3
型島津製作所製)を用いて測定しその積算値50%とな
る値を用いた。
【0031】(2)外接円に対する面積率 不活性無機粒子を走査型電子顕微鏡(日立S−510
型)で観察、写真撮影したものを拡大コピーし、さらに
トレースを行ってランダムに200個の粒子を黒く塗り
つぶした。このトレース像より、それぞれの粒子につい
て投影断面積を画像解析装置(ニレコ株式会社製ルーゼ
ックス500型)で測定した。また、各粒子に外接する
円の面積を算出し、下式に基づいて面積率を求めた。
【0032】
【数1】
【0033】(3)粒径のばらつき度 不活性無機粒子を走査型電子顕微鏡(日立S−510
型)で観察、写真撮影したものを拡大コピーし、さらに
トレースを行ってランダム200個の粒子を黒く塗りつ
ぶした。この像を画像解析装置(ニレコ株式会社製ルー
ゼックス500型)を用いて、水平方向のフエレ径を測
定し、その平均値を下式で使用する平均粒子径とした。
また、粒子径のばらつき度は下式により算出した。
【0034】
【数2】
【0035】(4)フィルムの表面平滑性(TAR) フィルム表面を小坂研究所社製触針式3次元表面粗さ計
(SE−3AK)を用いて、針の半径2μm、荷重30
mgの条件下、フィルム長手方向にカットオフ値0.2
5mmで測定長さ1mmにわたって測定し、2μmおき
に高さ方向のデータを量子化幅0.00312μmで外部記録
装置に取り込ませる。このような測定をフィルムの横手
方向について2μm間隔で連続的に150回、つまりフ
ィルムの横手方向0.3mmの幅にわたって測定する。
このときの高さ方向のデータをh(i、j)[i=1〜
500、j=1〜150]としたとき、次式の計算を行
って得られたものをμm単位で表したものがTAR[ス
リー・デイメンジョナル・アベレージ・ラフネス]であ
る。
【0036】
【化2】
【0037】(5)滑り性 ASTM D−1894−63に準拠し、スレッド式ス
リップテスターを用い、23℃、65RH%の環境条件
下、フィルム/フィルム間の静摩擦係数を測定した。
【0038】(6)巻き性 巻き性の代用特性として、図1に示す装置を用い、二枚
のフィルムの間の空気抜け速さの時間(秒)を測定し
た。空気抜け速さの時間が短いほど、フィルムの巻き性
は良好となる。以下に測定方法を図1に基づいて説明す
る。
【0039】この測定方法に用いられる装置は、中央部
に係合部1aを有する皿状の台盤1と、この台盤1の係
合部1aに係合した状態で台盤1上に載置される略環状
のフィルム押さえ2と、このフィルム押さえ2上に、ネ
ジ3によって固定される環状のフィルム押さえ8と、パ
イプ7及び真空ポンプ6とを有する。フィルム押さえ2
の周囲には上面が開口する空洞部2aが設けられ、この
空洞部2aをパイプ7に接続するための細孔2cがフィ
ルム押さえ2の周囲に設けられている。また、フィルム
押さえ2の中央空間部2eと空洞部2aとを連通するた
めの連通部2dがフィルム押さえ2に設けられている。
【0040】まず、上記台盤1の上にフィルム4をB面
(平坦面)を上にして載せる。次いで、フィルム押さえ
2をフィルム4の上から台盤1上に載せ、固定すること
によって、張力を与えながらフィルム4を固定する。次
いで、フィルム押さえ2の上に、別のフィルム5をA面
(易滑面)を下にして載せる。次いで、フィルム5の上
にフィルム押さえ8を載せ、更にネジ3を用いてフィル
ム押さえ8、2及び台盤1を固定する。次いで、フィル
ム押さえ2に設けられた空洞部2aと真空ポンプ6と
を、上記細孔2cおよびパイプ7を介して接続する。そ
して、真空ポンプ6を駆動させると、フィルム5には、
空洞部2aに吸い付けられることによる張力が加わる。
同時にフィルム4とフィルム5の間の空気が、上記連通
部2dを介して減圧されるので、フィルム4とフィルム
5はその重なり合った面において、外周部から密着し始
める。密着する様子は、重なり合った面の上部から干渉
縞を観察することによって容易に知ることができる。そ
して、フィルム4とフィルム5の重なり合った面の外周
部に干渉縞が生じてから重なり合った面の全面に干渉縞
が拡がり、その動きが止まるまでの時間(秒)を測定
し、この時間(秒)をもって空気抜け速さとする。
【0041】 (7)耐摩耗性 幅12.5mmにスリットしたフィルムを市販の剃刀に
接触させ、60m/分の速度で10m走行させたとき、
剃刀に付着する白粉の量で評価し、次の3段階にランク
付けした。
【0042】○………白粉の発生がほとんど無い。 △………白粉の発生が多い。 ×………白粉の発生が非常に多い。
【0043】 (8)耐久走行性 温度23℃、相対温度65%の条件下、図2に示す装置
を用いて試験した。この装置は、長さ40mmのクラン
ク11と、回転自在の複数のガイドローラ12と、張力
検出装置13と、市販の家庭用VTRの金属製ガイドポ
スト(最大粗さRt=0.15μm、平均粗さRa=
0.008μm)14と、を具備している。試験を行う
には、幅12.5mmのフィルム10を図示のようにガ
イドローラ12、張力検出装置13、ガイドポスト14
に通し、このガイドポスト14に対する接触角度を3π
/4ラジアンに設定し、上記フィルム10の一端をクラ
ンク11に接続し、他端に重さ50gのウエイト15を
吊るし、この状態でクランク11を8rpmの速度で回
転させる。フィルム10を100往復させた後の、フィ
ルム10の摩擦係数(μk)を求め、下記のように3段
階に評価し、ランク付けした。
【0044】○………μk≦0.25。 △………0.25<μk≦0.035。 ×………μk>0.35。
【0045】 (9)フィルム中の粗大粒子数 フィルムの少量を二枚のカバーグラス間にはさんで28
0℃で溶融プレスし、急冷したのち位相差顕微鏡を用い
て観察し、画像解析処理装置ルーゼックス500(ニレ
コ株式会社製)を用いて処理し、粒子像内の最大長が5
μm以上の粒子数(測定面積4.8mm2当たりの個数)
をカウントし、粒子数の多少によって次のランク付け
で表す。
【0046】× …51個以上/4.8mm2。 ×〜△ …21〜50個/4.8mm2。 △ …11〜20個/4.8mm2。 △〜○ …4〜10個/4.8mm2。 ○ …0〜3個/4.8mm2
【0047】実施例1 A.表面が処理された無機粒子の調製 外接円に対する面積率が75%であり、かつ粒径のばら
つき度が20%である平均粒径0.88μmの合成炭酸
カルシウムを、末端にカルボキシル基を有するジルコア
ルミネートカップリング剤で表面処理した(処理量:炭
酸カルシウムに対し2.0重量%)。
【0048】B.ポリエステルの調製及びポリエステル
フィルムの作成 撹拌装置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口
を設けた2段の完全混合槽よりなる連続攪伴装置、分縮
器、原料仕込口および生成物取り出し口を設けた2段の
完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用い、そ
の第1エステル化反応缶のエステル化反応生成物が存在
する系へ、該系におけるテレフタル酸(以下TPAと記
す)に対するEGのモル比率が1.7で、かつ三酸化ア
ンチモンをアンチモン原子としてTPA単位当たり28
9ppmを含むTPAのEGスラリーを連続的に供給し
た。
【0049】同時にTPAのEGスラリー供給口とは別
の供給口より、酢酸マグネシウム四水塩のEG溶液を、
反応缶内を通過する反応生成物中のポリエステル単位ユ
ニット当たりそれぞれMg原子が100ppmとなるよ
うに連続的に供給し、常圧にて平均滞留時間4.5時
間、温度255℃で反応させた。
【0050】この反応生成物を連続的に系外に取り外し
て、第2エステル化反応缶に供給した。第2エステル化
反応缶内を通過する反応生成物中のポリエステル単位ユ
ニットに対して、0.5重量部のEG、トリメチルホス
フェートのEG溶液をP原子として64ppm、および
上記表面処理無機材料のEGスラリーを0.25重量%
となるように、それぞれ別個の供給口より連続的に供給
した。その後、常圧にて平均滞留時間5.0時間、温度
260℃で反応させた。
【0051】得られたエステル化反応生成物を、撹拌装
置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口を設け
た2段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合
を行い、固有粘度0.620のポリエステルを得た。
【0052】該ポリマーを290℃で溶融押出した後、
90℃で縦方向に3.5倍、130℃で横方向に3.5
倍延伸し、次いで220℃で熱処理して得られた15μ
mのフィルムの特性を表1に示した。
【0053】本実施例で得たフィルムは易滑性、巻き
性、耐摩耗性および耐久走行性に優れ、かつ粗大突起が
極めて少なかった。
【0054】比較例1〜4 表1に示すように、合成炭酸カルシウムの平均粒径、添
加量あるいはジルコアルミネートカップリング剤の種類
を規定した以外は、実施例1と同様にして配向ポリエス
テルフィルムを得た。得られたフィルムについて、実施
例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。表2か
ら、合成炭酸カルシウムの平均粒径、添加量あるいは使
用したジルコアルミネートカップリング剤の種類が本発
明で規定した範囲外となった場合は、易滑性、耐摩耗
性、耐久走行性および粗大突起が極めて少ないといった
特性をすべて同時に満足することができなくなることが
わかる。
【0055】比較例5 合成炭酸カルシウムの外接円に対する面積率を50%と
した以外は、実施例1と同様にして配向ポリエステルフ
ィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と
同様に評価した。その結果を表2に示す。表2から、本
比較例で得たフィルムは、滑り性および巻き性の点では
充分とはいえない品質であったことがわかる。
【0056】実施例2 合成炭酸カルシウムの代わりに、外接円に対する面積率
が95%であり、かつ粒径のばらつき度が14%である
平均粒径0.70μmの球状シリカを0.10重量%を
用いた以外は、実施例1と同様にして配向ポリエステル
フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1
と同様に評価した。その結果を表2に示す。表2から、
本実施例で得たフィルムは易滑性、巻き性、耐摩耗性、
耐久走行性、粗大突起数のいずれの特性も良好であり高
品質であることがわかる。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、ポ
リエステルフィルムの基材中に、特定の有機官能基を有
するジルコアルミネートカップリング剤で表面処理し
た、球状単分散に近い特定粒径範囲の不活性無機粒子を
特定量分散させているので、滑り性、巻き性、耐摩耗性
および耐久走行性が優れ、且つドロップアウト等の欠点
発生の原因となる白粉の発生や粗大粒子が極めて少ない
ポリエステルフィルムを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルムの空気抜け速さを測定するための装置
の模式図である。
【図2】フィルムの耐久走行性を測定するための装置の
模式図である。
【符号の説明】 1 台盤 2 フィルム押さえ 3 ネジ 4 フィルム 5 フィルム 6 真空ポンプ 7 パイプ 8 フィルム押さえ 10 フィルム 11 クランク 12 ガイドローラ 13 張力検出装置 14 ガイドポスト 15 ウエイト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村重 隆一 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績 株式会社 総合研究所 敦賀分室 (72)発明者 中村 鋼一郎 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (72)発明者 久世 勝朗 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平3−234523(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 5/18 B29C 67/16 C08L 67/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ
    ートからなるポリエステルフィルムの基材中に、不活性
    無機粒子が0.01〜0.50重量%の割合で分散され
    てなる配向ポリエステルフィルムであって、該不活性無
    機粒子の平均粒径は0.1〜2.0μmであり、該不活
    性無機粒子の外接円に対する面積率は60%以上であ
    り、かつ該不活性無機粒子は有機官能基を有するジルコ
    アルミネートカップリング剤で表面処理されている配向
    ポリエステルフィルム。
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