JP2959429B2 - エンボス模様紙の製造方法 - Google Patents

エンボス模様紙の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンボス模様紙の製造
法に関するものである。より詳しくは、柔らかい風合い
の紙質を維持したままで、エンボス模様を鮮明に賦型す
ることができるエンボス模様紙の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】紙に意匠性を付与する目的でエンボス処
理することは広く行われている。このエンボス処理は、
抄紙機上で含水率が20〜80重量%の湿紙にフエルト
を押し当てたり、模様を彫刻したロ−ルで賦型するウエ
ットエンボス法や、いったん紙を抄造してから、模様を
彫刻したロ−ル間で押圧賦型するドライエンボス法が代
表的な製造方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ウエットエンボス法で
は柔らかい風合いの紙質を維持したままで、エンボス模
様を鮮明に施されたエンボス模様紙を得ることは非常に
困難であった。これは以下に述べる理由による。エンボ
ス模様の鮮明さは紙の主要成分である製紙用パルプの種
類、繊維長、繊維径、内孔径、繊維壁の厚み、繊維の形
状などを考慮した試料の調製の技術や、エンボス工程の
技術により大きく左右される。製紙用パルプの叩解を適
度に進めるとパルプ自体は柔軟になり、これを使用して
抄造した湿紙においてはエンボスの型が入りやすくなる
ので鮮明なエンボスを施しやすくなる。
【0004】しかしながらこのようにして製造したエン
ボス模様紙は紙質が硬くなってしまう傾向がある。パル
プの叩解を進めること自体は鮮明なエンボスを施すこと
に寄与するが、叩解を進めることはパルプを構成するセ
ルロース繊維のフィブリル化を促進することとなり、必
然的に乾燥後の紙質が硬くなるからである。したがっ
て、柔らかい風合いを維持したままで、鮮明なエンボス
を施した紙を得ることは非常に難しいこととなる。
【0005】本発明はこのような背景でなされたもの
で、柔らかい風合いを維持したまま、エンボスの鮮明さ
を効果的に向上させることができるエンボス模様紙の製
造方法を得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために種々の製紙用原料を用いてウエットエ
ンボス法でエンボス模様紙を作り評価した。そして本発
明者らは、保水力の高い微細フィブリル化セルロースに
着目し、かような微細フィブリル化セルロースを種々の
割合で製紙用パルプと併用しエンボス模様紙を製造して
検討を進めた結果、特定の微細フィブリル化セルロース
をある特定の割合で製紙用パルプに混合し、特定の濾水
度とした紙料を用いてエンボス模様紙を製造すると、柔
らかい風合いを維持したまま、鮮明なエンボスを施すこ
とができることを見いだし、本発明を完成したものであ
る。
【0007】すなわち本発明によるエンボス模様紙の製
造方法は、数平均繊維長0.05〜0.3mmで保水値
250%以上の微細フィブリル化セルロース1〜10重
量%と製紙用パルプ90〜99重量%とからなりかつ濾
水度300〜600mlC.S.F.とした紙料を用い
て抄紙し、抄造工程において紙の含水率が20〜80%
の時にエンボス処理を施すことを特徴とするものであ
る。
【0008】本発明で使用する微細フィブリル化セルロ
ースは、パルプ繊維の細胞壁を形成しているフィブリル
の結束を強力な機械的せん断力等により破壊することに
よってミクロフィブリルの次元まで微細化したものであ
り、特に本発明においては、数平均繊維長が0.05〜
0.3mmで保水値が250%以上の微細フィブリル化
セルロースを使用することが必要である。
【0009】かような微細フィブリル化セルロースを併
用することによって、エンボス模様が鮮明になりしかも
柔らかい風合いを維持したエンボス模様紙が得られる理
由は必ずしも明確ではないが、本発明者ら次のように推
察している。すなわち、エンボス模様が鮮明になるの
は、製紙用パルプが形成する穴の部分で微細フィブリル
化セルロースがミクロなネットワークを形成し、エンボ
スの型に繊維の絶対数が多く入るためと考えられる。微
細フィブリル化セルロースによるミクロなネットワーク
の形成は電子顕微鏡の観察によって実際に確認されてい
る。また微細フィブリル化セルロースのバインダー効果
によって、エンボスされた部分が強固に固定接着できる
ため、いわゆるエンボスの戻りが起きにくくなると考え
られる。さらに、柔らかい風合いを維持できるのは、主
体となる製紙用パルプ自体をあまり叩解することなくあ
る程度剛直なままで使用でき、得られた紙が低密度にな
るためと考えられる。
【0010】数平均繊維長は、KAJAANI社(フィ
ンランド)製造の繊維長測定機(FS−200型)で測
定したデータのうち、一定のパルプサスペンション中に
存在する繊維の全長を積算した後、その本数で割った値
を示す。通常の紙の原料である広葉樹晒クラフトパルプ
および針葉樹晒クラフトパルプの数平均繊維長はそれぞ
れ0.5mmおよび1mm程度の長さであり、叩解を進
めることでフィブリル化した繊維ですら数平均繊維長は
最小0.35mm程度の長さであることから考えれば、
微細フィブリル化セルロースの数平均繊維長がきわめて
小さいことが理解できる。
【0011】本発明で使用する微細フィブリル化セルロ
ースの数平均繊維長を0.05〜0.3mmとする理由
は、0.05mm未満の場合には微細フィブリル化セル
ロース自体が小さすぎて、抄紙時に抄紙網から微細フィ
ブリル化セルロースが流失する割合が多くなってしま
う。一方、数平均繊維長が0.3mmを超える微細フィ
ブリル化セルロースを使用した場合には、上記したよう
な微細ネットワークの形成が十分でなく、得られたエン
ボス模様紙のエンボスの鮮明さにおいて所望の向上が達
成できない。鮮明なエンボスができ、しかも柔らかい風
合いを維持するためには、特に数平均繊維長が0.1〜
0.2mmの微細フィブリル化セルロースを用いること
が好ましい。
【0012】微細フィブリル化セルロースの保水値はパ
ルプの膨潤度の指標であり、膨潤繊維中に取り込まれて
保持された水分と繊維内および繊維間に存在する自由水
とを、適当な遠心力により区別しうるという考えに基づ
き測定される値である。本発明で規定している保水値も
同様の概念に基づき、JAPAN TAPPI No.
26に指示されている方法で測定した値である。すなわ
ち、規定のフィルターに一定量の試料のマットを予め形
成しておき、遠心分離機を用いて3000Gの遠心力で
15分間脱水した後、保持されていた水の量を絶乾パル
プ量で割ったときの値を示している。通常の未叩解のパ
ルプでは90%前後、叩解したパルプでも200%程度
の保水値しか示さない。上述したようなエンボスの戻り
を起こりにくくする微細フィブリル化セルロースのバイ
ンダー効果は、微細フィブリル化セルロースの比表面積
と密接に関係しており、比表面積が大きければバインダ
ー効果も大きくなる。比表面積と保水値の大きさは正の
相関があり、所望のバインダー効果をもたせるためには
微細フィブリル化セルロースの保水値が250%以上で
ある必要がある。
【0013】微細フィブリル化セルロースの製造法とし
ては従来から種々の方法が知られており、本発明におい
てはいかなる方法で製造された微細フィブリル化セルロ
ースであっても、所定の数平均繊維長および保水値を備
えているものであれば使用できる。例えばセルロース繊
維に機械的せん断力を与えることにより微細フィブリル
化セルロースを製造する方法としては、ビーター,コニ
カルリファイナー,シングルディスクリファイナー,ダ
ブルディスクリファイナー等の各種叩解機を用いる方
法、特公昭60−19921号で提案されているような
繊維状セルロースの懸濁液を小径オリフィスを通過させ
て、その懸濁液に少なくとも3000psiの圧力差で
高速度を与え、次ぎにこれを衝突させて急速に減速させ
ることにより切断作用を行わせる方法、特開昭63−2
56787号で提案されているようなヘベル付き駆動軸
でインペラーを回転させ繊維材料に衝撃を加える方法、
特開平4−82907号で提案されているようなハウジ
ング内に配置されたロータとハンマーによって乾式で微
細化を行う方法、特開平3−163135号で提案され
ているような媒体攪拌湿式粉砕装置による方法、特開平
6−10287号で提案されているような振動ミル粉砕
装置による方法、特開平4−194097号で提案され
ているようなサンドミル等の微粉砕機を使用する方法な
どが挙げられる。また、機械的処理だけでなく、酸加水
分解処理、アルカリ処理、液体アンモニア処理、酵素処
理、水蒸気処理などの化学的処理と機械的処理とを併用
した方法も提案されている。
【0014】微細フィブリル化セルロースの原料として
は、製紙用パルプ、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(L
BKP),針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP),広葉
樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒サルフ
ァイトパルプ(NBSP)等の化学パルプや、砕木パル
プ(GP),サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機
械パルプといった木材パルプが使用でき、さらには、コ
ットンパルプや麻,バガス,ケナフ,エスパルト,楮,
雁皮,三椏等の非木材繊維パルプ、再生セルロース繊維
等も用いることができる。
【0015】微細フィブリル化セルロースと製紙用パル
プとの混合割合は、微細フィブリル化セルロース1〜1
0重量%と製紙用パルプ90〜99重量%とする。微細
フィブリル化セルロースが1重量%より少ない混合では
所望の効果が期待できない。一方、微細フィブリル化セ
ルロースを多量に添加した場合には、紙料の濾水性が悪
くなり、抄紙機のワイヤーパートでの水切れが悪化して
紙切れ等の問題を起こし易くなる。微細フィブリル化セ
ルロースの添加量の上限は、原料として用いる製紙用パ
ルプの種類やその濾水度によっても変動し、例えば濾水
度の高いケナフ靭皮パルプを原料として用いる場合で
も、微細フィブリル化セルロースを10重量%より多量
に添加すると紙料の濾水度が200mlC.S.F.よ
り低下してしまい濾水性が悪くなる。また木材パルプを
原料とする場合には、微細フィブリル化セルロースを5
重量%より多量に添加すると紙料の濾水性が悪くなる傾
向がある。
【0016】本発明の方法を実施するに際しては、先ず
微細フィブリル化セルロースと製紙用パルプとを所定の
割合で混合した紙料を調成する。製紙用パルプとしては
従来から慣用されているものが同様に使用できる。例え
ば、LBKP,NBKP,LBSP,NBSP等の化学
パルプや、GP,TMP等の機械パルプ等の木材繊維か
らなるパルプだけでなく、ワラ、竹、エスパルト、とう
もろこし、バガス、葦、ケナフ等の草類繊維、マニラ
麻、サイザル麻、パイナップル葉等の葉の繊維、亜麻、
***、苧麻、黄麻、楮、三椏、雁皮等の靭皮繊維、綿、
リンター、カポック等の種毛繊維などからなるパルプも
使用でき、これらの単独あるいは2種類以上を混合して
もよい。また必要に応じてアクリル、ビニロンなどの合
成繊維、レーヨンなどの半合成繊維等を少量配合しても
よい。
【0017】微細フィブリル化セルロースと製紙用パル
プとを混合して調成した紙料を、次いでビーター、ジョ
ルダン、リファイナー等の周知の叩解機を使用して、濾
水度300〜600mlC.S.F.になるまで叩解を
進める。ここで濾水度を規定した理由は、主体となる製
紙用パルプはあまり叩解せずに柔らかい風合いを維持す
るためであり、混合後の濾水度が300mlより低くな
ると、鮮明なエンボスは施されるが、硬い紙になってし
まう。これに対し、600mlより高いと低密度でやわ
らかい風合いを維持することはできるが、鮮明なエンボ
スが施され難くなるばかりでなく、パルプ繊維が剛直す
ぎて繊維間結合面積が極端に小さくなり、非常に弱い紙
になってしまう。このような理由で濾水度を規定した
が、紙の柔らかさとエンボスの鮮明さの両方を満足する
上では、350〜550mlC.S.F.とすることが
さらに好ましい。ここで規定している濾水度とは、JI
SP 8121に規定されているパルプの濾水度試験方
法の内、カナダ標準形によって得られる値である。
【0018】上記したように、製紙用パルプに微細フィ
ブリル化セルロースを混合した後に、製紙用パルプを微
細フィブリル化セルロースとともに叩解してもよいが、
予め濾水度450〜700mlC.S.F.程度に叩解
した製紙用パルプに微細フィブリル化セルロースを添加
して濾水度300〜600mlC.S.F.になるよう
にしてもよい。微細フィブリル化セルロースを添加する
ことによって濾水度がどのように変化するかを試験した
一例を下表に示す。この例は、NBKPの未叩解パルプ
(濾水度720mlC.S.F.)およびこのパルプを
濾水度660mlC.S.F.まで叩解したものに、微
細フィブリル化セルロースを1重量%から5重量%まで
量を変えて添加した場合の濾水度の変化を調べたもので
ある。
【0019】 微細フィブリル化セルロース添加量(重量%) 0 1 2 3 5 720 660 610 580 490 660 590 520 460 390 単位:mlC.S.F.
【0020】上記の例では、濾水度720mlC.S.
F.の原料パルプの場合には微細フィブリル化セルロー
スを3重量%添加することにより、また濾水度660m
lC.S.F.の原料パルプの場合には微細フィブリル
化セルロースを1重量%添加することにより、濾水度を
600mlC.S.F.以下とすることができる。
【0021】なお紙料には必要に応じて湿潤紙力増強
剤、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、填料、着色剤、定着剤
などの製紙用副資材を添加してもよい。
【0022】かくして得られた所定の濾水度を備えた紙
料を、長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、傾斜ワイ
ヤー抄紙機などの従来周知の抄紙機を使用して、通常坪
量50〜200g/m2 となるように抄紙する。
【0023】湿紙にエンボスを施すには次に述べるよう
なウエットエンボス法を適宜採用することができる。な
お湿紙の含水率が20重量%未満となるとエンボスがし
にくくなり、また80重量%を越えるとエンボス時に紙
層が崩れてしまうのでいずれも含水率は20〜80%と
することが必要である。フェルトマ−ク法 :トップロ−ル、ボトムロ−ルおよび
それらの間を通るフェルトで構成される抄紙機のプレス
パ−トに湿紙を通過させ、フェルトの織り模様を転写す
る。エンボスロール法 :模様を彫刻したエンボスロ−ルの間
に湿紙を通してエンボスロ−ルの模様を転写する。
【0024】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。重量
部、重量%はいずれも絶乾重量部、絶乾重量%で示す。
【0025】実施例1 微細フィブリル化セルロース(数平均繊維長0.13m
m、保水値440%)1重量部、NBKP30重量部、
LBKP69重量部を混合し、混合物をリファイナーで
濾水度550mlC.S.Fまで叩解した後、ロジンサ
イズ剤(商品名「SPN700」、荒川化学工業(株)
製造)を1.3重量部、澱粉(商品名「アミコール」、
日澱化学(株)製造)を0.5重量部、定着剤(硫酸バ
ンド)を5.5重量部加えて紙料を調成し、長網抄紙機
を使用して坪量100g/m2 (絶乾重量換算)で抄紙
した。抄紙機上のプレスパ−ト後に設置されたエンボス
ロ−ル間に、含水率30重量%の湿紙を通過させエンボ
ス(エンボスロ−ルのエンボス模様部の山の高さは30
0μm)を施し、後は常法に従い乾燥させエンボス模様
紙を製造した。
【0026】実施例2 微細フィブリル化セルロース5重量部、LBKP65重
量部とし、リファイナーで濾水度400mlC.S.
F.まで叩解したこと以外は、実施例1と同様にしてエ
ンボス模様紙を製造した。
【0027】実施例3 微細フィブリル化セルロース10重量部、LBKP60
重量部とし、リファイナーで濾水度350mlC.S.
F.まで叩解したこと以外は、実施例1と同様にしてエ
ンボス模様紙を製造した。
【0028】実施例4 NBKP30重量部とLBKP69重量部の混合物をリ
ファイナーで濾水度600mlC.S.F.まで叩解し
た後、ロジンサイズ剤「SPN700」を1.3重量
部、澱粉「アミコール」を0.5重量部、定着剤(硫酸
バンド)を5.5重量部加えて混合し、さらに微細フィ
ブリル化セルロース(数平均繊維長0.13mm、保水
値440%)を1重量部加えて混合して濾水度550m
lC.S.F.の紙料を調成した。この紙料を用いて実
施例1と同様にしてエンボス模様紙を製造した。
【0029】実施例5 LBKP60重量部とし、微細フィブリル化セルロース
を10重量部加えて濾水度を350mlC.S.F.に
したこと以外は、実施例4と同様にしてエンボス模様紙
を製造した。
【0030】実施例6 実施例1と同様に抄紙した湿紙(含水率40重量%)を
抄紙機のプレスパートのフェルト間に通過させてフェル
トの織り模様の転写を施し、後は常法に従い乾燥させエ
ンボス模様紙を製造した。
【0031】実施例7 実施例2と同様に抄紙した湿紙(含水率40重量%)
を、実施例6と同様の方法によりフェルトの織り模様を
転写したエンボス模様紙を製造した。
【0032】比較例1 微細フィブリル化セルロースを添加することなく、NB
KP30重量部とLBKP70重量部を混合したこと以
外は、実施例1と同様にしてエンボス模様紙を製造し
た。
【0033】比較例2 微細フィブリル化セルロースを添加することなく、NB
KP30重量部とLBKP70重量部を混合したこと以
外は、実施例3と同様にしてエンボス模様紙を製造し
た。
【0034】比較例3 NBKP30重量部とLBKP69.5重量部の混合物
をリファイナーで濾水度600mlC.S.F.まで叩
解したこと、微細フィブリル化セルロースを0.5重量
部加えて混合して濾水度550mlC.S.F.の紙料
を調成したこと以外は、実施例4と同様にしてエンボス
模様紙を製造した。
【0035】比較例4 微細フィブリル化セルロースを添加することなく、NB
KP30重量部とLBKP70重量部を混合したこと以
外は、実施例6と同様の方法によりフェルトの織り模様
を転写したエンボス模様紙を製造した。
【0036】比較例5 NBKP30重量部とLBKP55重量部の混合物をリ
ファイナーで濾水度600mlC.S.F.まで叩解し
た後、ロジンサイズ剤「SPN700」を1.3重量
部、澱粉「アミコール」を0.5重量部、定着剤(硫酸
バンド)を5.5重量部加えて混合し、さらに微細フィ
ブリル化セルロース(数平均繊維長0.13mm、保水
値440%)を15重量部加えて混合して濾水度180
mlC.S.F.の紙料を調成した。この紙料を用いて
実施例6と同様の方法によりフェルトの織り模様を転写
したエンボス模様紙を製造した。
【0037】こうして製造したエンボス模様紙の諸性能
の評価を行った。評価は次の方法によった。 エンボスの鮮明さ:JIS B−0651に規定する表
面粗さ試験機で模様紙のエンボス部分の深さを測定し、
この測定値とエンボスの鮮明さの肉眼的評価を考慮にい
れて5点法で評価を行い、最も優れたものを5点、最も
劣ったものを1点として評価した。 紙の柔らかさ:紙を常に扱っている熟練者50人にエン
ボス模様紙の柔らかさを感触的に評価してもらい、非常
に柔らかいを5点、柔らかい4点、どちらとも言えない
3点、硬い2点、非常に硬い1点として5点法で評価
し、50人の平均値で評価した。 評価結果を表1に示す。
【0038】
【0039】表1の実施例1〜5および比較例1、2の
結果から明らかなように、NBKP30重量%とLBK
P60〜69重量%に微細フィブリル化セルロースを1
〜10重量%添加して得られたエンボス模様紙は、微細
フィブリル化セルロース無添加のものに比べて、エンボ
スが鮮明でしかも柔らかい風合いを維持している。実施
例1〜3と実施例4、5を比較すると、どちらも柔らか
い風合いのまま鮮明なエンボスが得られていることか
ら、微細フィブリル化セルロースと製紙用パルプの混合
物を叩解して所定の濾水度とした場合でも、予め叩解し
た製紙用パルプに微細フィブリル化セルロースを添加し
て所定の濾水度とした場合でも、同様の効果が得られる
ことがわかった。また、比較例2のように微細フィブリ
ル化セルロースを添加しないで製紙用パルプを300m
lC.S.F.まで叩解した場合には、鮮明なエンボス
を施すことはできるが、柔らかい風合いが失われてしま
う。
【0040】比較例3のように微細フィブリル化セルロ
ースの添加量が1重量%より少ないと、鮮明なエンボス
を施す効果がほとんどあらわれない。また、比較例5の
ように微細フィブリル化セルロースの添加量を15重量
%と多くすると、紙料の濾水度が180mlC.S.
F.に低下してしまい、地合が悪くなることによってエ
ンボスの鮮明さも低下し、また柔らかさを失って硬くな
ってしまう。さらに、実施例1〜5および比較例1〜3
のエンボスロール法と実施例6、7および比較例4のフ
ェルトマーク法とを比較すると、上述したごとき傾向は
エンボスロール法でもフェルトマーク法でも同様であ
り、ウエットエンボス法全般に言えることがわかる。
【0041】
【発明の効果】従来のエンボス模様紙のウエットエンボ
ス法による製造方法においては、製紙用パルプの叩解を
進めてパルプ自体を柔軟にすることにより鮮明なエンボ
ス模様が得られるが、紙質が硬くなってしまい柔らかい
紙の風合いを維持することができなかったのに対して、
本発明方法によれば、製紙用パルプに微細フィブリル化
セルロースを1〜10重量%混合することにより、製紙
用パルプ自体の叩解を進めなくても混合物の見た目の叩
解度が進む結果、鮮明なエンボス模様をもちしかも柔ら
かい風合いを維持したエンボス模様紙を製造することが
できる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均繊維長0.05〜0.3mmで保
    水値250%以上の微細フィブリル化セルロース1〜1
    0重量%と製紙用パルプ90〜99重量%とからなり、
    かつ濾水度300〜600mlC.S.F.とした紙料
    を用いて抄紙し、抄造工程において湿紙の含水率が20
    〜80重量%の時にエンボス処理を施すことを特徴とす
    るエンボス模様紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記紙料は、微細フィブリル化セルロー
    スと製紙用パルプとの混合物を濾水度300〜600m
    lC.S.F.に叩解したものであることを特徴とする
    請求項1記載のエンボス模様紙の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記紙料は、予め叩解した製紙用パルプ
    に微細フィブリル化セルロースを混合することにより混
    合物の濾水度を300〜600mlC.S.F.にした
    ものであることを特徴とする請求項1記載のエンボス模
    様紙の製造方法。
  4. 【請求項4】 濾水度450〜700mlC.S.F.
    の製紙用パルプに微細フィブリル化セルロースを混合す
    ることを特徴とする請求項3記載のエンボス模様紙の製
    造方法。
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