JP2951750B2 - 吊戸のガイドレール装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、床面上に突出したガイ
ドレール、もしくは凹溝状のレールを設けることなく吊
戸を導くようにした吊戸のガイドレール装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】吊戸は、上部に固定したレールにてハン
ガーを介して吊垂支持し、下端は自由端とするか、もし
くは床面に形成した凹溝レール内に挿入し、吊戸をこの
上部レールと下部の凹溝レールの両レールに導かれて開
閉するようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上部レールのみにて吊
戸を吊垂支持する場合、床面には吊戸の下部を支持又は
案内するための突起物や凹溝がないので、吊戸を開いた
とき、床面上はすっきりするが、反面、吊戸の下部は固
定側に何も係止されていないので、吊戸下部が走行方向
に対して直行方向に振れる欠点がある。またこの吊戸の
振れを防止するために床面にレールを敷設し、吊戸下端
に設けた振止片をこのレールに係止させることがある。
この場合、吊戸の振れ止め効果はあるが、床面にレール
状の突起物があり、床面の美観を損ねたり、歩行時、こ
の突起物につまずいたりする危険がある。また床面の一
部に溝を刻設した凹溝レールとする場合、この凹溝内に
ごみが落ち込み、清掃が困難で、さらに床面の美観を損
ねるものとなる。

【０００４】本発明は、床面にレール等の突起物や凹溝
を形成することなく、しかも吊戸を開閉する際の振れを
防止し、定められた位置で確実に吊戸を開閉させるとと
もに、吊戸を安定した状態で固定できる吊戸のガイドレ
ール装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の吊戸のガイドレール装置は、上部レールに
てハンガーを介して吊戸を吊垂支持し、この吊戸が移動
するとき、床面に出没自在に埋め込んだガイドレールの
ガイドピンを突出させて吊戸下端内に嵌挿し、吊戸を導
くようにした吊戸のガイドレールにおいて、吊戸の開戸
位置にあって吊戸下端に設けた突起にて揺動する２つの
トリガーと、閉戸位置にあって２つの出没するガイドピ
ンとを配設し、このトリガーとガイドピンとを作動リン
ク及びベルクランクを介してトリガーの揺動にてガイド
ピンを出没させるよう連繋するとともに、閉戸状態で前
記突起にて押し下げ力を受ける位置にストッパーピンを
配し、押下時のストッパーピンにて前記作動リンクをロ
ックするようにしたことを特徴とする。

【０００６】

【作用】吊戸が閉方向に走行する方向に向かって床面に
埋設されるガイドレールに、所定間隔をおいてガイドピ
ンを出没自在に設置し、一方吊戸の下面にはその走行方
向にガイドを嵌挿し得る長溝と突起とを形成するととも
に、ガイドピンを、吊戸の移動に際し、吊戸下端に設け
た突起にてトリガーを揺動させ、ガイドレール内に埋没
した作動リンク及びベルクランクを介して、突出又は床
面内に没入させる。これにより、上部のみをハンガーを
介して上部レールに吊垂された吊戸を開閉する際、吊戸
が進行してガイドピンに吊戸が位置する直前にガイドピ
ンが床面上方に突出し、吊戸の長溝内に嵌入され、吊戸
は振れ止めとなり、かつ正確に導かれるものとなる。そ
して、吊戸が閉戸位置の定位置上方にて停止すると、吊
戸下端に設けた突起にてストッパーピンを押し下げ、作
動リンクをロックすることにより、ガイドピンを突出し
た状態に保持するようにする。さらに、吊戸を開戸位置
へ移動させると、突起によるストッパーピンの押し下げ
が解除され、ガイドピンを、吊戸下端に設けた突起にて
トリガーを揺動させ、ガイドレール内に埋没した作動リ
ンク及びベルクランクを介して、強制的にガイドレール
内に没入して床面とほぼ面一とし、開戸時、床面に突起
物がないようにする。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の吊戸のガイドレール装置を図
示の実施例に基づいて説明する。図においてＲは上部レ
ールにて吊戸Ｄの上部を吊垂して吊戸下部を正確に導く
ようにしたガイドレールで、これは床面Ｆに吊戸の移動
方向に沿って、しかも床面と面一となるように埋設され
る。例えば、図１に示すように、吊戸Ｄが固定側の柱Ｐ
から離れ、全閉される状態から、１枚又は複数枚の吊戸
が柱等の固定側にて互いに重なって全開している状態ま
で移動できるようにするものである。したがって、吊戸
を開いた状態ではガイドレールＲの各ガイドピン３，３
は床面内に没して、その頂面は床面とほぼ面一となる。

【０００８】この吊戸の移動方向の床面に設置されるガ
イドレールＲは、図１及び図３に示すように、断面角Ｃ
字形又は角Ｕ字形をしたレール本体１と、このレール本
体１の開口頂面を覆う蓋片２とよりなり、吊戸Ｄの全閉
位置より全開位置まで移動する長さを有し、かつこの蓋
片２には吊戸が全開時、及び全開時において吊戸下端面
に吊戸移動方向に沿って形成した長溝内に嵌合するガイ
ドピン３，３を出没自在に設けるための孔を所要間隔を
開けて複数個穿孔するとともに、この孔位置には、図１
及び図３に示すように、ガイドピン３，３及びストッパ
ーピン４を嵌合し、かつレール本体１内に設ける。レー
ル本体１内には、その長手方向に沿って２本の作動リン
ク５，６を収納し、この各作動リンク５，６の先端（基
端）をそれぞれピンＰ１，Ｐ２を介してトリガー７，８
の一部に枢着又は係止するとともに、各トリガー７，８
を所要間隔を離して配設し、かつレール本体１に揺動自
在に枢着する。

【０００９】このトリガー７，８は、図１に示すよう
に、上部がガイドレールＲより上方に突出して、吊戸Ｄ
の下面に設けた突起９にて吊戸Ｄの移動時、その方向に
応じて揺動するようにする。そして、このトリガー７，
８の揺動にて、ピンＰ１，Ｐ２にて係止された作動リン
ク５，６がガイドレールＲ内にあって摺動するものであ
る。

【００１０】作動リンク５，６は、Ｕ字形断面をしたガ
イドレールＲ内側面に沿って配設され、一端をそれぞれ
トリガー７，８に、ピンＰ１，Ｐ２を介して係止され、
他端をベルクランク１０，１１を介してガイドピン３，
３に係止し、互いに所要の間隔を離して配設されたトリ
ガー７，８が、吊戸Ｄの移動にて突起９により揺動させ
たとき、この各トリガー７，８の揺動にて作動リンク
５，６をガイドレールＲ内をその長手方向に移動させ、
ベルクランク１０，１１を介して各ガイドピン３，３を
出没させるものである。

【００１１】したがって、トリガー７，８は吊戸Ｄが開
いた状態にあるとき、吊戸Ｄの左端側と右端側位置にそ
れぞれ配置され、２本のガイドピン３，３は吊戸Ｄが閉
じたとき、吊戸Ｄの左端側右端側位置にそれぞれ配置さ
れ、この左側のトリガー８とガイドピン３とを作動リン
ク６にて、さらに、右側のトリガー７とガイドピン３と
を作動リンク５にてそれぞれ連繋させる。

【００１２】ガイドピン３，３は２本とも同じ構成で、
作動リンク５，６及びベルクランク１０，１１の作用に
て床面Ｆより出没するもので、吊戸の移動方向に備えら
れ、吊戸の閉戸位置に設置される。ガイドピン３は、レ
ール本体１の蓋２の孔に嵌合されるようにその外径、形
状を定めた外筒３０の底部をレール本体１にビス３１を
もって係止し、かつこの外筒内に突出ガイド片３２を出
没自在に嵌挿するとともに、挿入時、ガイドレールＲ頂
面と面一となり、突出時、吊戸の長溝Ｄａ内に挿入され
るようにしてその外径、長さ及び突出量を定める。そし
て、外筒３０の外周面長手方向には、突出ガイド片３２
の突出量に一致した長さを有する長孔を穿設し、突出ガ
イド片３２に突設したピン３３を嵌挿するとともに、こ
のピン３３をベルクランク１０，１１の他端片先端に係
着させ、ベルクランク１０，１１の作動にて突出ガイド
片３２が出没するようにする。

【００１３】そして、このレール本体１に被冠される蓋
２の頂面は中央部が両側端より少し高くなるように傾斜
させ、球状のごみであってもこの蓋２上に停止しないよ
うにする。また、この蓋２と同様、突出ガイド片３２の
頂面も中央部が高くなるようにするが、この傾斜は緩や
かなもので、中央の高い位置でも床面より余り突出せ
ず、人がつまづかない程度となっている。

【００１４】また、図１に示すように、吊戸Ｄを閉じた
とき、作動リンク５，６をロックすることが可能なよう
に、ストッパーピン４が吊戸Ｄの閉戸位置における吊戸
後端位置下方のガイドレールＲ内に配設され、かつこの
位置で吊戸Ｄ側に設けた突起９と対向し、突起９にてス
トッパーピン４が押し下げられるようにする。

【００１５】このストッパーピン４は、図２〜図４に示
すように、レール本体１にビス止めされる外筒４０と、
これに嵌挿される突出ガイド片４２を上方へ突出させる
とともに、突出ガイド片４２・外筒４０を貫通したロッ
クピン４３と外筒４０の縦方向に穿孔した長孔４０Ｈと
にて突出ガイド片４２の突出量が規制されている。そし
て、この突出ガイド片４２の頂部にはロックカム４１が
突設され、このロックカム４１が突起９にて押圧される
ようにする。

【００１６】ストッパーピン４の横方向に貫通支持され
るロックピン４３は外筒４０の外側に突出し、この外筒
４０より突出した部分が作動リンク５，６に設けた切欠
５ａ，６ａ内に嵌合して作動リンク５，６が摺動不能と
なるようロックをかけるようにする。したがって、吊戸
Ｄが定位置で閉じられたとき、突起９にてロックカム４
１は自然に押し下げられた状態となり、このロックカム
４１を設けた突出ガイド片４２及びロックピン４３も共
に押し下げられ、このロックピン４３端部が作動リンク
５，６の切欠５ａ，６ａ内に嵌合されるものである。こ
のストッパーピン４にはばね４４が附設されているの
で、吊戸Ｄが定位置に閉じられない限り、突出ガイド片
４２及びロックカム４１は上方に突出しており、作動リ
ンク５，６とは係止されないので作動リンク５，６はロ
ックされない。

【００１７】ストッパーピン４が吊戸Ｄの突起９にて押
し下げられた状態では作動リンク５，６は摺動不能とな
るが、吊戸Ｄは自由に移動できる。そして、閉戸状態で
錠をかけるには、吊戸Ｄが開く方向に移動する際、ガイ
ドピン３と係止する位置にロック片１２を吊戸Ｄに可動
自在に設け、このロック片１２をキーにて回動するよう
に設けることにより行う。これにて、ロック片１２を、
図１の破線で示す位置にキーにより停止させると、吊戸
Ｄを開こうとしてもロック片１２が突出したガイドピン
３に当接し、吊戸Ｄの移動が不能となる。

【００１８】

【発明の効果】本発明の吊戸のガイドレール装置によれ
ば、床面に出没式のガイドピンを備えたガイドレールを
埋め込み、吊戸の移動にてトリガーを移動させ、作動リ
ンクの移動にてガイドピンを出没するようにしているた
め、床面はすっきりし、吊戸を開いたときは、確実にガ
イドピンを床面のガイドレール内に没入させて床面に突
起をなくすことができ、また、吊戸を閉めたときは、吊
戸の移動によりガイドピンが床面より突出して吊戸下端
内に嵌挿されるので、吊戸は走行時においても下部の振
れを防止し、安定して走行でき、しかも、全閉戸時、吊
戸下端に設けた突起にてストッパーピンを押し下げ、作
動リンクをロックすることにより、ガイドピンを突出し
た状態に保持し、吊戸を安定した状態で固定できる利点
を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】全閉戸時の正面図である。

【図２】そのロック部の詳細部正面図である。

【図３】ストッパーピン出没作動部の拡大断面図であ
る。

【図４】同平面図である。

【図５】ガイドピンの断面図である。

【図６】作動リンクとガイドピンの関係を示した説明図
である。

【符号の説明】

Ｄ 吊戸 Ｒ ガイドレール Ｄａ 長溝 １ レール ２ 蓋片 ３ ガイドピン ４ ストッパーピン ５ 作動リンク ６ 作動リンク ７ トリガー ８ トリガー ９ 突起 １０ ベルクランク １１ ベルクランク １２ ロック片

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部レールにてハンガーを介して吊戸を
   吊垂支持し、この吊戸が移動するとき、床面に出没自在
   に埋め込んだガイドレールのガイドピンを突出させて吊
   戸下端内に嵌挿し、吊戸を導くようにした吊戸のガイド
   レールにおいて、吊戸の開戸位置にあって吊戸下端に設
   けた突起にて揺動する２つのトリガーと、閉戸位置にあ
   って２つの出没するガイドピンとを配設し、このトリガ
   ーとガイドピンとを作動リンク及びベルクランクを介し
   てトリガーの揺動にてガイドピンを出没させるよう連繋
   するとともに、閉戸状態で前記突起にて押し下げ力を受
   ける位置にストッパーピンを配し、押下時のストッパー
   ピンにて前記作動リンクをロックするようにしたことを
   特徴とする吊戸のガイドレール装置。